パンフレットや補助金申請書に欠かせない「自社の強み」見つけるポイントは、「違い」
ある公的機関で補助金申請書の作成支援を行い、
多くの企業の申請書のポイントをアドバイスしました。
その中で自社の強みについて、多くの企業の方が最初は書けませんでした。
この自社の強みは、補助金の申請だけでなく、パンフレットやホームページでも
顧客に訴求する重要なポイントです。
自社の強みを見つけるポイント
今回、多くの企業にインタビューしてわかった
「自社の強みを見つけるポイント」について書きます。
強みの必要な理由
まず、なぜ補助金の申請書に、自社の強みが必要なのでしょうか?
ものづくり補助金申請書は、全体を通して以下のストーリーが流れていると、審査者にわかりやすいです。
- 自社は○○という強みを生かした経営をしている
- 環境が変化し、経営が大変である。
- 顧客から○○という要望がある。
- 環境の変化や顧客の要望に応えるために、○○という事業課題がある。
- ○○という設備を導入し、事業課題を解決する。そのためには、○○という技術的課題がある。
- ○○という創意工夫を行うことで技術的課題を解決する。
- 自社に○○という技術が蓄積される。
- 売上・利益が増加し、業界の進歩と地域の経済・雇用に貢献する。

(ストーリーに沿った補助金申請書の書き方の詳細は、こちらから参照いただけます。)
(技術の革新性の書き方については、こちらから参照いただけます。)
このように
「補助金を受けて事業を行うことで、自社の強みが強化され、経営が良くなる」
というストーリーがおススメです。
これはものづくり補助金以外の、他の補助金でも同様です。
強みに気がつかない原因
ところが多くの企業の方に
「強みは何ですか?」
と質問すると、大半の方が答えられませんでした。
実は、製造業の方は、以下のように考えてしまうと、なかなか強みに気がつきません。
- 自社の技術は同業者に比べて、特別高くない。
- 機械があれば、同業者でもできる仕事である。
- 顧客の要求されたことをやっているだけである。
事実そうかもしれません。
それは多くの製造業の中小企業は、
下請けとして顧客の要求に従って仕事をしてきましたからです。
しかし、本当に他社と違いはないでしょうか?
強みを見つける質問
そんなとき、こんな意地悪な質問をします。
「御社の製品は、○○という設備を使えば、私でもできますか?」
そんなことはないと答えられます。
「それはなぜですか?」
いろいろと設定したり、条件出しをしたりして大変ことを教えてくださいます。
「それは同業者も同じことをやっていますか?」
ここで同業者と違うことがあれば、それは「強み」です。
強みに気がつかない二つ目の原因
強みがなかなか見つからないもうひとつの原因は、企業の方が強みを絶対的な能力と思っているためです。
つまり野球であれば、社会人チームで活躍した選手が
「でもプロ野球にはかなわない」
と思ってしまうことです。
しかしすべての顧客は、プロ野球選手を求めているわけではありません。
プロ野球選手は、能力は素晴らしいかもしれませんが、年俸も高いです。
社会人野球の選手でも、ピッチャーや内野手、外野手などポジションがあります。
顧客は、社会人野球のピッチャーを求めているのかもしれません。
ですから、レベルではなく、ポジションを明らかにすればいいのです。
相手の求めているもの
私が企業にいたとき、新しい協力会社を探したことがありました。
ある企業と始めて面談した時、
「得意な分野は何ですか?」
と聞きました。
「特にありません。なんでもやります。」
私が聞きたかったは、自分が頼みたい仕事がその会社の得意分野かどうかです。
つまり野球でいうポジションです。
ピッチャーが必要なのに、内野手に仕事を発注しても望む結果は得られません。
でもプロ野球選手のレベルを求めているわけではありません。
補助金の申請書も、絶対的なレベルの高低は問題ではありません。
自社のポジション(ピッチャーや内野手など)が明確になっていればよいのです。
それを強みと考えれば良いです。
強みの見つけ方
ではどうやって見つけるのでしょうか?
私は以下のような質問をよくしました。
- 「同業者との違いは何かないですか?」
- 「今までに特別に苦労して、やり遂げた仕事はないですか?」
- 「設備の能力以上に工夫してやっていることはないですか?」
- 「『この人でないとできない』そのような仕事はないですか?」
質問している時は、
その工程・作業が目に浮かぶくらい、
最初にしっかりと聞きます。
そして、その工程・作業を想像しながら、
上記のポイントがどこかにないか、質問していきます。
その場合、ある程度の知識は必要ですが、
その分野の専門家である必要はありません。
実際、自分の専門分野外の企業でも、
実際の工程・作業を聞きながら、強みを確認していました。
企業の方が自身で考える場合は、上記の視点で自ら考えて見て下さい。
そして同業者とのレベルの差は忘れ、違いのみに焦点を当ててください。
強みを訴える時の不安
その際、
「レベルは高くないのに、こんなことを強みと言って大丈夫ですか?」
とよく聞かれます。
大丈夫です。
大きな声では言えないので、小さく書きます。
申請書は
高度な事業かどうかでなく、高度に見えるかどうか
です。
皆さんのやってきた仕事の優劣を、十数ページの紙で甲乙つけられるとは思えません。
ですから、審査基準に従って評点をつけるわけです。
その評点が高ければ採択されます。
皆さんがやってきたことを、自信を持って強みと訴えてください。
先日、スーパーであるメーカーの牛乳を見ました。
「おいしい牛乳」
何か絶対的な評価に基づいて、「おいしい」と訴えているのでしょうか。
他の牛乳は、「おいしくない」のでしょうか。
でも、「おいしい牛乳」を買ったら、おいしいと思って飲みます。
ぜひ、自信を持って、自社の強みを堂々と書いてください。
それが申請書に重みと迫力を加え、採択されやすい申請書になります。
これは自社の会社案内やパンフレットも同様です。
他にも以下のサイトにも申請書作成のポイントがあります。
「これを書かないと通らない!」平成28年度補正 ものづくり補助金申請書のポイント
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