リーダーが育つ、コミュニケーションが活性化する、シンプルで画期的な方法

本経営コラムでは、製造業の現場改善のための

様々な手法・考え方を紹介しています。

しかしいずれの場合も、それを実行するのは作業者です。

彼らが確実に実行しなければ、どのような素晴らしい手法も効果がありません。

そして作業者が確実に実行するように管理・監督するのが、現場リーダーの役割です。

 

しかし中小企業にとって現場リーダーの育成は容易ではありません。

お手本となるリーダーがいなかったり、

リーダーになるべき社員も

管理・監督よりも自分が作業している方が楽なので

リーダーとしての役割を十分果たさなかったりします。

bukanosidou

ある会社の現場では、

新入社員が作業の記録をよく忘れるので困っていました。

作業の記録を忘れると、工数が集計できず、

予定通り生産出来ているのかどうかわかりません。

リーダーが何度も注意するのですが、直りませんでした。

一方でリーダーも自らの作業に没頭して、

指導がおろそかになっていました。

作業者の教育と共に、しっかりとしたリーダーの育成が課題でした。

 

一方、社員がリーダーとして成長するとてもシンプルな方法があります。

それが日報です。
 
ある会社は、社員全員に日報を書かせていました。

多くの会社で日報は、営業担当には書かせています。

しかしその会社は、現場作業者から事務にまで日報を書かせていました。

そして日報は、毎日リーダーに提出します。

そしてリーダーは毎回日報にコメントを入れます。

そして経営者は、毎週末に全日報に目を通します。

たったこれだけですが、

これを継続することで社員が育っていきます。

 

その会社の経営者曰く、

リーダー研修などを受けさせると、直後はすごく良くなるが、

時間が経つと元に戻ることが多い。

しかし日報は、効果が急に出ないが、徐々に表れ

戻ることがない。

そして、この会社では日報が唯一の社員教育と広言しています。

 

そんなの続くのだろうかと思うかもしれません。

 

しかし新入社員は、割合素直なので

日報を書くことを決めると、きちんと出すそうです。

むしろリーダーや中堅社員の方が多忙を理由にさぼりがちになります。

そこは経営者が厳しく指導しています。

つまり

「立場が上の人を怠けさせない」

ことが経営者の役割です。

 

営業は毎日顧客を訪問するので日報のネタがありますが、

他の社員は書くネタがあるのだろうかと思うかもしれません。

しかし事務所にも顧客から電話がかかってきます。

現場でも日々品質や機械の調子に変化があります。

顧客情報や日々の変化に着目すれば、書くネタには困りません。

 

この日報を続けることでリーダーが変わっていきます。

毎回コメントを書くことで意識が変わり、

部下への見方、顧客への対応に変化が生まれます。

この日報を継続することで、リーダーとして成長していきます。

この会社の経営者は

「継続したことしか力にならない。」

と言っています。

それでも社員が期待するほどに成長しなかった場合、

どうするのか。
 

この会社では、

個人の力で成果が出なかった場合、

組織の力で求める成果を出すようにしています。

これが経営者の仕事と考えています。

例えば、期待するだけの営業成果が出ない社員の場合、

チームで受注できるような仕組みづくりを行います。

こうすることで会社も成長していきます。

つまり

「やらないのと、やれないのは違う」

のです。

やらないのは、その人の問題ですが、

やれないのは、

「やれるようにしていない」

からです。

「やれない」のであれば、

やれるようにする方法を考えなければなりません。

 

ただし、この方法にも欠点はあります。

それはリーダーが管理できる部下の上限が、

3~4人という点です。

毎日部下の日報を見て、コメントを入れるわけですから、

多くの部下を見るとリーダーの負担が大きくなりすぎます。

大きな組織では、さらに小さなグループに分解して、

それぞれにリーダーが必要になります。

 

でも、これは管理の単位としてはちょうど良いかもしれません。

私も設計の課長をしたことがありますが、

1人でちゃんと見ることができる部下の数は4~5人でした。

部下の仕事を細かく見て、的確なタイミングでアドバイスするには、

そのくらいの人数が限界でした。

そのとき感じたのは、部下によく動いてもらうためには、

「部下を恋人と思わなければならない」

ということでした。

妻では、ダメです。放っておきますから (笑)。

恋人であれば、常に気にするはずです。

そのくらい気にかけて、毎日声をかけると

部下はやる気を出して動いてくれました。

そういったコミュニケーションができると、

困っていることを部下から話してくれます。

例えば、他の組織との調整など、

部下だけでは解決できないことであれば、

リーダーが一緒に解決することで、信頼関係が生まれます。

これがリーダーシップにつながります。

 

そういった関係を構築するためのコミュニケーションの手段として、

日報は非常に優れた方法です。

なぜならリーダーと部下の交換日記みたいなものですから。

 

実際、この会社では日報を継続することで、

社員にリーダーの自覚が生まれ、部下をしっかりと統率するようになりました。

さらに部下とリーダー、社員と経営者のコミュニケーションが改善し、

社内の風通しが良くなりました。

 

人が育ち、優れたリーダーシップが生まれる日報というシンプルな方法

 

考えてみませんか。

 

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