危険なコンサルタントの見抜き方~「コンサルタントを活用して成果を上げる方法」

中小企業のコンサルタントの効果的な活用方法について、

以下の経営コラムに書きました。

コンサルタントの効果的な活用方法 その1

 

今回は、コンサルタントの効果的な活用方法 その2 として、

企業変革におけるコンサルタントの役割と、

それを阻害する危険なコンサルタントの見抜き方についてお知らせします。

 

コンサルタントとは、

一般的には専門知識やスキルにより、企業の経営課題を解決し、経営を良くする仕事

と言われています。

 

ただ、こう書いてもピンとこない方も多いと思います。

よくある誤解は

「コンサルタントは経営のことを何でも知っている」

「コンサルタントは経営者を指導できる」

というものです。

 

このような誤解から、経営者とお会いした時

「私は経営コンサルタントです。」

と自己紹介すると、

「お前かに何ができるんだ」

という顔をされることもあります。

 

またコンサルタントもMBAや中小企業診断士などの資格を取得した方には、

「私は経営が分かっている」

と考えている方もいるようです。

 

しかし、私はコンサルタントを以下のように定義しています。

コンサルタントとは、

「企業の方が持っていない専門知識やスキルにより、企業の経営課題を解決し、経営を良くする仕事」

ですが、これは言い換えれば、

「企業経営者が自社を良くしたいと思ったとき、自社にはない『やり方』を知っていて、その『やり方』を社内に導入することで、『自社が変わる』手伝いをする仕事」

 

ポイントは、

自社にはない『やり方』、

つまり仕事の仕方や仕組みを知っていて、

そのやり方を定着させることができることです。

 

これは一流のスポーツ選手のコーチを考えるとわかりやすいです。

例えば、オリンピックを目指す一流のスポーツ選手には、多くのコーチが付きます。

練習を指導するコーチ、身体のコンディショニングを担当するコーチ、バランスの取れた食事を考えるコーチ、練習場所や宿泊場所を確保したり、お金を管理するマネージャーなど。

 

では、練習を指導するコーチは、選手より速く走ることができるのでしょうか。

runner

決してそうではありません。

そうであれば、世界一速いマラソン選手のコーチは、誰もできなくなってしまいます。

速く走る指導をするコーチは、

「速く走るやり方を知っていて、速く走れるようになるための方法を指導できる人」

です。

当然、速く走る走り方は、人により異なりますから、選手により、合うコーチと合わないコーチがあります。

そして、選手もコーチの使い方を知っている必要があります。

つまり速く走ることに関しては、

「コーチの言うことに従い、コーチが考えたメニューを確実にこなすこと」

です。

優れた能力を持ちながらも良い指導者に恵まれなかったり、指導者のいうことを素直に聞かなくて実力を伸ばす事ができず、消えて行った選手も多くいます。

コーチが考え、指導できるのは、身体の使い方であり、それを実現するための練習の仕方です。

でも、

気持ちを込めてしっかりと練習して結果に結び付けるか、

ただメニューをこなして時間が経つのかは、

選手次第です。

 

これは経営コンサルタントも同じです。

経営コンサルタントは、コーチであり、経営者(選手)ではありません。

また、経営者の能力が必ずしも必要ではありません。

コンサルタントを使って成果を出すためには、経営者がコンサルタントの使い方を理解している必要があります。

つまりコーチの使い方を理解している選手のように、コンサルタントを使って、会社を変革する考え方を理解していることです。

そして

「変革を実現するのは、自分達であること」

を理解して、コンサルタントが指導する内容を確実に実行することです。

 

その結果、企業の変革が実現すれば、その成果は、費用の何倍もの効果を生み出します。

 

ただし、変革が利益を生み出すまでには、時間がかかることもあります。

それでもコンサルタントの使い方を理解している経営者は、その結果を見て納得されます。

このような指導ができるためには、コンサルタントは、自分が指導するノウハウに精通していなくてはなりません。

 

MBAスクールや中小企業診断士などの資格試験で学んだ知識で指導できるものではありません。

企業に仕組みを導入し、企業の変革を実現するためには、企業の実際の業務に対する深い理解が不可欠だからです。

製造業であれば、作業者の動きや、ものの流れ、伝票の流れなどがイメージできないと、適切な仕組みの導入は不可能です。

私はこれを「現場の空気感をわかっている」と理解しています。

コンサルタントが、自らの実務での経験と、それを体系化したノウハウ、そして仕組みを定着させるスキルが、コンサルティングには欠かせません。

 

逆に大手コンサルティングファームなどでは、海外で流行している経営手法を導入し、経営を改善するビジネスを行っています。

中小企業でも、ISO9001、リスクマネジメント、BCP等の手法の導入があります。

しかし、これらの『やり方』が自社の経営課題の解決に本当に必要か、良く考える必要があります。

中には『やり方』の導入が目的で、経営を良くすることが二の次になっている場合もあるからです。

このコンサルタントの問題は以下の本に赤裸々に描かれています。
 

「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」カレン・フェラン 著 大和書房

著者のカレン・フェランは、かつてアメリカの大手コンサルティングファームで活躍した女性です。

彼女は本の中で、コンサルティングファーム時代に如何に顧客を無視して、コンサルティングを売り込んだかを告白しています。

 

以下、「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」 より引用

 

ケース1

〈コンサルタントを雇うべき妥当な理由〉

異なる考え方から得られるものがあるはずだ。

〈コンサルタントを雇うべきとは思えない理由〉

(社内で支持が得られないので)自分の考え方を支持してくれる外部の意見がほしい。

 

ケース2

〈コンサルタントを雇うべき妥当な理由〉

自社にない専門知識や業務経験が必要である。

〈コンサルタントを雇うべきとは思えない理由〉

意思決定が難しいのでコンサルタントが代わりに決めてもらいたい。

 

ケース3

〈コンサルタントを雇うべき妥当な理由〉

組織のコミュニケーションがうまくいっていないので、階層や部門の橋渡しとなるパイプ役が必要

〈コンサルタントを雇うべきとは思えない理由〉

組織がうまく機能していないので、外部の人間に立て直してもらいたい。

 

ケース4

〈コンサルタントを雇うべき妥当な理由〉

新しい人が来て、新しい考えを持ち込んでくれたら、疲弊した組織も活性化するだろう。

〈コンサルタントを雇うべきとは思えない理由〉

魔法のような解決方法を期待しているので、社内の人間の提案はどれも気に入らない。

 

 

さらに望ましいコンサルタントと雇ってしまうと問題を起こす危険なコンサルタントの見抜き方も語っています。

〈望ましいコンサルタント〉

いくつかの解決策を提案する前に事前分析が必要だと主張する人たち

〈注意すべきコンサルタント〉

万能型の方法論やソリューションを提案し、事前の分析をろくに実施しない人たち

 

〈望ましいコンサルタント〉

何もかもきちんと説明したうえで、自分たちのアプローチについて要点を説明するとともに、クライアント側に対する要望も伝える人たち

〈注意すべきコンサルタント〉

小難しい用語ばかりならべ立てる人たち。わかりやすい言葉で話さないのは、自分たちのやっていることを本当には理解していないか、クライアントに知られたくないからだ。

〈望ましいコンサルタント〉

確実な線で効果を算出する前に、やはり分析を実施したいと主張する人たち。
金銭的な効果の見込みがすべて明確に説明され、漏れがない。
様々な想定がきっちりと網羅されている。
妥当な効果見積もりを行い、水増しがない。

〈注意すべきコンサルタント〉

すぐに巨大な効果を約束する人たち。どんなに確実に思えても「返金可能だから」と押し付けてくるサービスには注意すること。そういう約束をちゃんと守るかどうか、わかったものではない(ベテランを引き上げて新人をよこすとか)

〈望ましいコンサルタント〉

幅広い業務経験があり、様々なことに対応する人たち。
必ずしも同業他社の案件を扱った経験が必要なわけではない。
業界に詳しい人が必要な場合もあるが、ときには異なる視点からヒントを得られる場合もある。
総合的に見て、信頼できる判断を行う人が望ましい。

〈注意すべきコンサルタント〉

経験に乏しい人たち。実際の経験がない場合、提供できるのは方法論だけだ。
もしその方法論が間違っていても、経験がないため認識すらできない。

〈望ましいコンサルタント〉

真摯に向き合ってこちらの話を聞き、率直なコミュニケーションをする人たち。
わからないことがあれば隠さずに言う。

〈注意すべきコンサルタント〉

どんなことにも答えられ、つねにこちらが望むとおりの経験があるように見せる人たち。ハッタリの可能性が高い。

 

コンサルタントは経営者ではないので、経営能力があるとは限りません。

だからコンサルタントが成果を出すためには経営者に対する敬意(リスペクト)が不可欠ではないかと思います。

中小企業の経営は、債務の個人補償という自らの体を張って経営しなくてはなりません。

経営者に対する尊敬と理解がなくては、経営者から信頼され、企業を変革することはできないのではないでしょうか。

 

 

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