平成27年度補正ものづくり補助金 必要な事前準備と過去の不採択のパターン

12月24日経済産業省が平成28年度予算の概算要求を発表しました。

その中で、今年度と同様にものづくり補助金などが実施される見込みです。

ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金

1021億円 (平成27年度補正予算)

 

平成27年度補正予算のため、平成28年の3月までには公募が開始されると予測されます。

平成27年は、2月13日に公募が開始されました。

昨年は締め切りまでに2か月以上と十分な時間がありましたが、余裕をもって取り組むために今から準備することをお勧めします。

 

昨年の傾向

平成24年度補正予算から始まったものづくり補助金は、この3年間支援機関で申請のお手伝いをしてきましたが、最近は採択のハードルが高くなった気がします。

下表にそれぞれの応募件数と採択件数、採択率を示します。

 

募集時期 応募件数 採択件数 採択率
平成24年度補正一次公募一次締切 1,094 742 40%
平成24年度補正一次公募二次締切 6,047 4,162 41%
平成24年度補正二次公募 6,314 5,612 47%
平成25年度補正一次公募一次締切 4,480 2,916 39%
平成25年度補正一次公募二次締切 8,322 6,697 45%
平成25年度補正二次公募 9,684 4,818 33%
平成26年度補正一次公募 17,128 7,253 42%
平成26年度補正二次公募 13,350 5,881 44%

 

この結果からみると、採択率は応募件数の過多に関わらず、33~47%の間にあります。

この結果から、国は採択率をある幅に入れるように採択件数をコントロールしているのではないかと考えられます。

一方、申請書のレベルは、年々上がってきています。

採択率を一定にコントロールしているとすれば、採択は相対評価していることになります。

ということは、いくら自社が良い申請書を書いても、他社がより良い申請書を出せば、不採択になるということです。

 

申請書のレベルが上がってきている原因は、ひとつは支援機関から派遣されている専門家が企業を指導した結果、よりレベルの高い申請書を企業が書くようになったことです。

もう一つは、申請書作成の代行に士業などの専門家の関与が増えたことです。

 

申請書を企業自身が作成する際の注意点

 

弊社では、多くの企業の申請書の作成を支援した経験からも、申請書を企業自身が作成することは、大きなメリットがあると考えています。

その効果として

  • 自ら研究開発計画を作成することで、採択後の実行段階がスムーズに行うことができる。
  • 申請書を作成するプロセスにより、自社の事業を見直す、新たな事業戦略を構築するきっかけとなる。
  • 自社の技術力を高め、売上を増やす計画を作成することで、その計画が本当に実現する。

ところが、企業自身でいざやろうとなると様々な問題があります。

 

企業自らが申請書の作成に取り組む際の問題点

  1. 書き方が分からない。公募要領にも具体的な書き方が記されていない。申請書の書式を見て、その書式のスペースに合わせて、わずかな量しか書かないと、まず採択されない。
  2. 公募要領が補助金を活用し慣れている方向けの内容であり、初めて取り組む方にはわかりにくい。そのため、自社で作成しても採択されるか自信がない。
  3. 分からないことが多いため、完成までに時間がかかる。
  4. 申請書のような文章を書き慣れていないため、審査員が理解しやすい文章が書けない。行政機関独特の言い回しや要求があり、要求に合った内容が書けない。

 

企業自身が自ら申請書に取り組む際の支援策

このような問題に対して、以下の解決方法があります。

《書き方が分からない》

本来は、公募要領に丁寧な書き方や作成事例があっても良いと思いますが、現実にはそのようなものがないため、弊社で下記のようなマニュアルを作成しました。

平成28年度補正 革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金(通称 ものづくり補助金)申請書の書き方

 

《採択される自信がない。

マニュアルに従って作成した申請書は、第三者の確認を受け、不足事項をアドバイスしてもらうことで、完成度を上げられます。
商工会議所や各県の産業振興センターなどの活用をお勧めします。

 

《分からないことが多いため、完成までに時間がかかる。》
上記と同様、各支援機関の活用をお勧めします。
本コラムにも注意点を上げました。

 

《審査員が理解できるような文章が書けない。》

この点では慣れるしかないのですが、できる限り専門用語を使わないようにして、完成した申請書はまず専門知識のない人に読んでもらうことをお勧めします。

 

マニュアルに従って、申請書を作成する際の注意点

 

ものづくり高度化法12分野について

実際の事業上の分類とは異なるため、自社の事業が12分野のどれに該当するかわからない場合があります。

中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針

今までの経験上、大抵の事業は12分野のどれかに当てはめることができます。

 

例えば、立体造形に関わる技術では、3Dプリンターや樹脂成形のようなぴったりと当てはまる技術の他、鋳造、ダイキャスト、プレス、ゴム、ガラスの製造も該当します。

あるいはスプリングやワイヤーベンディングも三次元的な形状を製造するため、立体造形に該当します。

ポイントは、審査員が明らかにこれは違うと思うようなものでなければ、大丈夫です。

 

一方、心配だからと多くの分野が該当するように申請すると、審査員は該当する全ての分野の技術に対して審査します。

つまり多くの分野に対して、革新性を訴えなければならず、却って不利となります。

 

経費明細は細かく出し、個々の費目が対象になるかどうかを確認する。

設備を買う場合でも、輸送、据付、導入教育や付属品など様々な種類の費用が発生します。

補助金は対象となる費用が決まっているため、費用の明細まで明確にして、どれが該当するか確認します。

そうしておかないと、採択されても交付申請の段階で対象外として認められないことがあります。

 

経営状態が良くない場合

実際には、債務超過であっても、金額がそれほど大きくなければ採択されるようです。

ただし、採択されても設備費用の1/3は自己負担です。自己負担分の資金調達の目途は立てておきます。

 

各審査項目からまんべんなく加点を狙う

公募要領に公開されている審査項目に対し、審査員はそれぞれ評価して加点します。

従って、1項目だけが素晴らしくても、他の項目が加点されないようでは不採択となってしまいます。

一点豪華主義でなく、各項目でまんべんなく加点するようにします。

 

ありがちな不採択のパターン

平成26年度補正から不採択となった場合、応募企業が問合せすると不採択の理由を教えてくれます。

そこから意外な事実が判明しました。

 

革新性が弱い

技術的な課題と解決方法の書き方が弱く、革新性がないと判断される場合です。

具体的には、単に設備を導入して解決するような内容になっている。

 

対象市場があいまい

実際、自社が製造している部品が、最終製品のどこに使われているか知らない企業もあります。

取引先が上場企業であれば、決算報告書は公開されています。

そこには、その会社はどのような製品があり、売上がどのくらいあるか記載されていますので、これを参考にします。

 

重要なことは、取引先に対する売上だけでなく、その製品分野での市場という考え方です。

また新製品や新規事業では、この市場自体がまだない場合があります。

これから市場をつくるので、どのくらい市場規模か分からないというのが正直なところだと思います。

その場合も、類似の市場を参考にして、具体的な市場規模を数字で示します。

 

売上増加の根拠があいまい

これも昨年多かったパターンです。

ものづくり補助金では補助金の費用対効果を評価します。

従って、補助金の金額に対して、ある程度の売り上げの増加が必要となります。

その結果かなり希望的な数字(夢物語)を書くと、その根拠が問われます。

かといって売上増加の根拠を聞かれても困る方も多いと思います。

この場合、売上を増やすための具体的な実施策を書きます。

 

例えば、平成28年度は、○○と○○を行い、●●の顧客に対して、PRを行い、売上を*%増加させる。

翌年は、新たに○○を行い…

このように具体的な実技施策を書くことで、根拠を示す事ができます。

 

波及効果が弱い

補助金は、個別の企業の事業活動に対しては支給されません。

補助金によって手に入った技術や能力が、その業界や他の企業に波及すれば業界全体の技術水準の向上や新たな価値の取得につながります。

それが補助金の申請書の求める公益性です。

 

従ってどのような価値の向上や業界への波及効果があるかを必ず記述します。

実際は、補助金で設備投資を行い、生産性が向上したり、リードタイムが短縮したりしただけかもしれません。

しかし、生産性が向上することで、部品のさらなるコストダウンにつながり、国内での自動車部品メーカーの競争力の向上につながる。

リードタイムを退縮することで、自動車メーカーの開発期間を短縮し、海外メーカーとの競争力を高める。

このような記述を入れます。

 

専門的過ぎて、審査員が理解できない

書き慣れていない企業の方が独自で書き上げると、このような申請書になっていることがあります。

技術内容や新しい取り組みについて熱心に書かれているので、専門知識のない人から見れば、何を訴えているのか良く分からない申請書になってしまっています。

 

審査員は、思った以上に自社の事業について知らないと思った方が良いです。

しかし書いている人は、専門的になってしまっていることになかなか気づきません。

一度専門分野を知らない人に見てもらうことをお勧めします。

 

申請書の書き方の参考例

 

技術内容の書き方については、手本があります。

実はものづくり補助金のスキームは、ものづくり高度化法(通称 サポイン)がベースになっています。

このサポインの採択事例や実施結果は公開されています。

実施体制や技術内容の書き方は、研究開発成果報告書が参考になります。

以下のサイトに過去の研究開発成果報告書がありますので、自社の事業に近い分野の

報告書を参考にすると良いです。

中小企業ものづくり技術高度化法 研究開発成果等報告書

また以下のpdfも個々の採択事例の川上、川下企業のニーズとの関係が記してあるので参考になります。

中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針の概要

サポインは、開発費を全額国が負担するため、審査も厳しく、内容も高度なものが多いので、ものづくり補助金ではそこまで高度なものでなくても大丈夫です。

このような書き方を国が求めていると考えれば良いです。

 

他に参考となる経営コラム

 
他にも以下のサイトにも申請書作成のポイントがあります。
 
「これを書かないと通らない!」平成28年度補正 ものづくり補助金申請書のポイント
 
平成28年度補正ものづくり補助金 前回からの変更のポイント
 
ものづくり補助金 二次公募 意外と知られていない採択のポイント 
 
パンフレットや補助金申請書に欠かせない「自社の強み」見つけるポイントは、「違い」 
 
ものづくり補助金 採択の為の最大のポイント「技術の革新性」の書き方 
 
平成26年度補正 ものづくり補助金 意外と知られていない採択後の手続きと収益納付 

 
 

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