売上1/3からの大逆転!展示会の活用 その1

 
(株)金山印刷所(現在は(株)コムズ)は、岐阜県の内陸部、天然温泉で名高い小都市で印刷業を営んでいました。主なお客様は地方の自治体や行政機関でした。
 

下呂市

下呂市


 

しかし平成の大合併で行政機関からの売上は激減、売上は毎年二桁以上のマイナスとなり、数年間で1/3になりました。
絶体絶命のピンチの中、活路を見出したのが展示会でした。
かといって最初からうまくいったわけでは決してありませんでした。何度も失敗して学習し、今では出展すれば必ず新規開拓できるようになりました。
 

中小・小規模企業にとって、展示会は良い関係を構築できる優良なお客様と出会う貴重なチャンスです。では、どうやって展示会を活用すればよいのか、ポイントをいくつかお伝えします。
 

その1 展示会のメリット めったに会えない人に会える

 
私が今まで関わってきた製造業を例に展示会のメリットについてお話しします。
 

なんでもやります!仕事をください!というPR

中小企業、中でも部品加工などを行っている企業が、展示会に出展する際にありがちなのが「できる限り多くの人に関心を持ってもらおう」、「多くの引き合いをもらおう」と考え、「なんでもやります!仕事をください!」とPRすることです。
 

何でもやります

何でもやります


 

実際、今まで下請けとして、「お客様から言われた仕事」を一生懸命やってきた会社もあります。
そういった会社は「なんでもできます。ぜひ見積させてください!」となっても不思議ではありません。
 

「安かったら買う」を避けるには

しかし、「なんでもやります!仕事をください!」というメッセージに関心を示すのは、「○○をつくれる企業はないか」と新たな取引先を探している人たちです。
具体的には、購買、資材調達部門の人です。
 

となると彼らが重視するのはまず価格です。
なぜなら彼らの最も重要な仕事は調達価格の引き下げだからです。そのために少しでも安く調達できるところを探しています。
 

もちろん、あなたの会社がどこよりも安くつくれる自信があれば、「はじめに価格ありき」の引き合いでも問題ありません。
しかし現実には「どこよりも安い価格」で受注してはとてもやっていけないのではないでしょうか。
 

そうなると価格以外に他社よりも「品質が良い」、「精度が高い」というメリットを訴えることになります。しかし購買・資材調達部門の方にとって品質や精度はコストよりも優先順位は低く、中にはそもそも技術の話がわからないという方もいます。
 

従って本当は、品質や性能など価格以外の点に関心のあるお客様にPRしたいのです。

それはメーカーでは設計や開発などの技術部門の人たちです。

メーカーの立場

メーカーは、ライバル企業よりも優れた製品を開発しなければ競争に負けてしまいます。そのためメーカーの技術者は、常に品質、機能などの問題を抱えています。そこで彼らに、その問題を解決する技術・ノウハウを提供すれば、どうでしょうか?
 
価格よりも「問題を解決できるかこと」が優先されますよね。
 

時には価格が問題にならない場合もあります。例えばクレーム対応です。
例えば、リコールになるような大きなクレーム対応では、急いで対策品を作らなければなりません。時には、まず対策品を至急評価し、検証することもあります。
対策品の納入が1日遅れれば、評価も1日遅れます。その間メーカーの製造ラインは止まり多大な損害が発生します。
 

このような時、対策品の価格が2割高いとどうでしょうか。

お客様は高いからよそに発注するでしょうか?

それよりも間違いのないものを納期通りに入れることを重視するのではないでしょうか。
 

私もメーカーで設計をしていて大きな問題が発生したことは何度もありました。
工場からは、いつ対策品の評価結果が出るのかと頻繁に催促してきます。
そんな時に限って、最初に考えた対策案がうまくいかないこともありました。
どうしてそうなってしまうのでしょうか?

思い切った対策案は変更範囲が広く、使えない部品が多くなるからです。そうなると損失金額も大きくなります。それを抑えるために変更範囲を少なくしようとします。
そして小手先の対策案になってしまい失敗します。

その間に時間はどんどん経過し、損失金額は膨れ上がります。
上司から叱られ、胃がキリキリする日々でした。

そんな時、困るのは、納期に遅れたり、出来上がったものが図面通りでなかった時です。
そんな状況では、価格が少々高くて問題になりません。失った時間、それに伴う工場の損失の方がはるかに大きいのですから。
 

このような場合、あなたの会社が他社よりも「早く確実に」対策品を作ってくれるのであれば、価格の違いは問題らならなのではないでしょうか。
 

こちらから提案する利点

 
さらにこちらからお客様に「提案」することで状況はとても有利になります。
 

私自身、設計していて加工について分からないことはよくありました。
直径1ミリの穴は深さ何ミリくらいまで加工できるのか、
複雑な形状の奥まったところに刃物は入るのか、
わからないときは、気心の知れた取引先に聞きました。

そうすると相手から「こうした方が良い」とアドバイスをくれます。そうしてその取引先のノウハウやアイデアが入った図面が出来上がります。
この図面はどこに発注するでしょうか?

私は、当然アイデアを提供してくれた取引先に発注して欲しいと思います。他社に発注すると一からまた説明しなければならないですし、それでもこちらが意図したとおりになるかどうかわかりません。
そこでそうやって打合せした図面は、購買に頼んでその会社に発注してもらいました。相見積は形がい化し、価格競争の入る余地はありませんでした。
 

そんな話、そう多くないと思われるかもしれません。
 

メーカー技術者の悩み

しかし意外なことで大手企業の技術者は困っているようなのです。
中小企業の方から、以下のような話を聞きました。
 

  • 某大手メーカーの設計からホームページ経由で全然取引のない中小企業へ「こんな部品ができませんか?」という問合せがあった
  • 某大手メーカーの生産技術から、「○○で困っているのだけど、○○できないか?」と突然電話があった。聞くとホームページから電話番号を調べたという。

 

これから考えると、メーカーの技術者は、入社してから「ものづくりの基礎」を学ぶことなく、設計や生産技術の仕事に就き、苦労しているようです。

彼らと関係を構築し、こちらから「提案」することで、価格を叩かれることなく受注する道が開けます。
 

実際、ある中堅部品メーカーの社長は、新規のお客様に営業に行くと、
「こちらから提案したいからぜひ設計に会わせて欲しい」とお願いするそうです。
そうして設計に会わせてもらい、いろいろと提案すると、
その会社と取引するように設計の方から購買に働きかけてくれるそうです。
 

メーカー技術者との接点

 

問題はメーカーの技術者との接点がなかなかないことです。
新規開拓で新しいお客様と出会う場としては、以下の方法があります。
 

新しいお客様と出会う場

 

長所 短所
ホームページ お客様からアプローチがある。費用が少ない。 キーワードでの上位表示(SEO)が必要。見せ方の工夫が必要。
紹介 紹介者による信頼。確実に会える。 価格ありきになりがち。紹介者の手前断りにくい。
DM、テレアポ 多数のお客様にアプローチ。 キーマンの名簿の入手が困難。
ビジネスマッチング会 1日で多くのお客様に会える。技術者などキーマンと会える。 購買担当の場合価格重視。1日の商談回数が少ない。技術的なPRが弱い。
展示会 取引を前提とした商談。取引がすぐスタートする可能性がある。 自社のブースに来てもらう努力が必要。費用がかかる。

 

ホームページ

お客様から連絡するため、こちらは待っているだけで良く楽ちんです。サイト制作費も展示会出展等に比べれば高くありません。
しかしお客様は「検索」して探すため、特定のキーワードで検索した際に上位に表示されなければなりません。そのための努力が必要です。
 

紹介

同業者や経営者の人脈などが、発注先を探している会社を紹介してもらう方法です。かつて市場が拡大し、メーカーが新たな取引先を求めている時は、とても効果的でした。
しかし今はメーカーも取引先の選択肢が多くあるので、どうしても「安いところに発注する」ことになってしまいます。
 

DM、テレアポ

新規開拓では、顧客リストに基づいてダイレクトメール(DM)を送ったり、電話でアポを取ったりする方法もあります。今ではこれを外注することもできます。
しかし、メーカーの技術者のリストはなかなか入手できないので、技術者へのアプローチが難しいという問題があります。
 

ビジネスマッチング会

発注側と受注を希望する側が1対1で商談するものです。行政機関、商工会議所、金融機関などが中小企業支援の一環として開催しています。
取引を前提とした場なので非常に濃い商談ができます。ただし、発注側は購買・資材調達部門が大半です。そのため、やはり価格ありきの商談になりがちです。
 

展示会

展示会では、お客様の目的は商談よりも競合や業界情報の収集、講演会出席などです。そのため、普段会えないメーカーの技術者も大勢来ます。
しかしお客様の目的は大手メーカーのブースや講演会です。彼らと接点を持つためには、自社のブースに来てもらうような仕掛けが必要です。
 

このように考えると、お客様の技術者と会うためには、展示会は非常に有効な方法であることが分かります。

しかしただ出展しただけでは不十分で、ターゲットとなるお客様に自社のブースに来てもらう努力が必要です。それについては、次の機会にお伝えします。
 

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