中小企業のものづくり改善 ~5Sについて その4

前回は【清掃】【清潔】【躾】について述べました。

今回は中小企業が、【清掃】【清潔】【躾】に取組むポイントをご紹介します。

 

ここで、この3つの言葉の定義を再度提示します。

【清掃】 身の回りのものや職場の中をきれいに掃除すること

【清潔】 職場をきれいに保つこと(清掃した状態を維持すること)

【整理】【整頓】【清潔】を維持すること

【躾】 決めたことを必ず守るように徹底すること

【清掃】には、1) 日常清掃、2) 清掃点検、3) 清掃保全 があります。

1)  日常清掃 きれいにする清掃=日常業務に組み込む

2)  清掃点検 異常を検知する清掃=清掃に点検を組み込む

3)  清掃保全 故障を防止する清掃=清掃点検業務に保全を組み込む

 

基本的には、最初に毎日の日常清掃に取組み、

日常清掃が定着したら清掃時に設備の異常の検査を組み込みます。

さらに定期的に保全と清掃を組み合わせて、

日常清掃ではできない部分は時間をかけて清掃するとともに、

トラブルの原因となる箇所を異常が発生する前に、対処します。

具体的には、点検・調整したり、消耗部品を交換します。

工作機械や自動化設備など大がかりな設備を使用している企業は、

この清掃保全は重要です。

 

実際、設備の停止が多く、また不良も多く出ている設備を調べたところ、

清掃がほとんどされていなかったことがありました。

そして設備の不調の原因として、エアーシリンダーの動作が

不安定だったので調べたところ、

設備に入れる圧縮空気の異物や水分を取り除くフィルターが

真っ黒に汚れ、タンクに水がたまっていました。

この場合、週末や月末に時間を決めて3)の清掃保全を行ない、

設備を清掃するとともに各部を点検します。

また消耗している部分を交換したり、

調子の悪いところを調整します。

また清掃は、具体的な清掃区域、担当者、清掃時間を決めます。

 

清掃を定着させる上で最も重要なことは、

就業時間内に清掃時間を定めて、全員で行なうことです。

時間を決めずに作業者の自主性に任せておくと、

いつの間にかやらなくなり、もとの汚い現場に戻ってしまいます。

また大企業では清掃にもチェックリストを作ったりしていますが、

通常の清掃であれば清掃箇所は作業者に任せておいても問題はありません。

ただし、点検も合わせて行なうときは、

点検項目はチェックリストを作成しないと、

作業者によって点検しない項目が生じてしまいます。

また清掃の判断基準に困ったときは、

「使う前よりきれいにする」としておけば十分です。

 

身体の手入れと同様に設備の手入れは重要です

身体の手入れと同様に設備の手入れは重要です

【清潔】は、管理者や経営者が常に気を配り、

【整理】【整頓】【清潔】が甘くなってないか注意します。

【整理】【整頓】も一度行なった後は、徐々に崩れていきます。

そこで定期的に【整理】【整頓】を行ない、不要品の処分や置き場の表示の見直しを行ないます。

棚卸しなどで生産が止まっている機会に行なうようにすれば、定期的にできます。

 

【躾】のポイントは、ルールを守ることの大切さを伝えることと、

ルールを破った場合は、必ず指摘し原因を問うことです。

そして原因が分かった後は、作業者を責めるのではなく、

その原因を取り除くようにすることです。

例え小さなルールでも、ルールを破って作業しているのを見過ごせば、

いつか大きな不良や事故を起こすかもしれません。

従って、管理者や経営者は、小さなルール違反も見過ごさないという意識が必要です。

 

ちなみにカイゼンの達人といわれ多数の著書のある酒巻久氏が

社長を努めるキヤノン電子株式会社では、

樹木保護のため前向き駐車がルールになっています。

そしてルールを3回破ったら、退職だそうです。

(労働組合も話し合って、問題ないことを確認して実施したそうです。著書で公言していました。)

 

じつはもう一つ中小企業の【躾】で重要なことがあります。

それは、経営者も含めた管理者もルールを守るということです。

作業者は、仕事をしながらも上司や経営者の行動や言動を実によく見ています。

これぐらいということでも、管理者がルールを守っていないと、

作業者はルールを守らなくてもいいというメッセージと受け取り、次第にルールを守らなくなります。

これは、以前のブログでお話ししたケリング教授の「壊れ窓理論」でも説明されます。

この「壊れ窓理論」については、こちらからご覧ください。

例えば、工場内着帽の規則に対し、

経営者が守らずに無帽で工場内に入ると作業者はそれを見て、

人によってはルールを守らなくて良い、と理解します。

その結果、急いでいるから、少しの間だから、

とルールを守らなくて良い理由を作り、ルールが形骸化します。

そして重大な不良や事故が発生します。

 

【躾】において最も重要なことは、経営者も含めたリーダーが

率先してルールを守り、

部下の些細なルール違反も見逃さず、指摘することです。

(ただし指摘であって、決して怒ることではありません。)

 

5S その1については、こちらから参照いただけます。

ものづくり改善 段取り時間短縮については、こちらから参照いただけます。

ものづくり改善 リードタイム短縮については、こちらから参照いただけます。

ものづくり改善 品質改善については、こちらから参照いただけます。

 

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