顧客の声とは、何を聞くべきか? マーケティング調査の落とし穴

企業が新製品や新サービスを開発するとき、顧客の求めるものと

違うものを作っては当然売れません。

従って、顧客のニーズの調査が必要になります。

大企業では費用をかけて市場調査を行うでしょうし、

中小企業でも自社製品の場合、顧客の声を聞いたり、

会議で議論したりします。

しかし「市場調査で何を調査するのか」、

とても重要です。

何を調査するのか、その設問によっては、全く異なる結果になります。

 

ダイソンはコードレスのスティック型掃除機DC62を開発するとき、

ある市場調査を行いました。

多くのメーカーは。このような市場調査を行うときに、

いろいろなことを顧客に質問します。

売れるコードレスのスティック掃除機とは何か?

その仕様を決めるのにいろいろなことを聞きたいはずです。

大きさは? 重量は? 吸引力は? 充電時間は?

しかし、これら顧客に聞いたことを合わせると、

大抵は成立しえない仕様になります。

顧客から見れば、重量は軽い方が良いし、

大きさは小さい方がいいし、

吸引力は軽い方が良いのに決まっています。

 

以前、私が産業機械のメーカーで新機種の開発を行っていた時のことです。

当時、私がいた会社はその業界でナンバー2の位置にありました。

ナンバー1メーカーは日本を代表する大企業でした。

その会社を相手に決して大きくない会社ががんばっていましたが、

当時競合メーカーの新製品の攻勢に苦しんでいました。

そこでライバルを打ち負かす新製品を開発していました。

その新機種の仕様を決める会議で、営業から出てきた要求は、

「仕様のあらゆる点でライバルを凌駕し、価格はライバル以下、

そして製品の機構や構成はライバルメーカーと同じ」

こんな仕様でした。

 

これを見た瞬間、負けると確信しました。

今から開発してもリリースまでには2年はかかります。

営業は、現在の敵を見て要求を考えていますが、

2年たてばライバルはさらに先に行っています。

ということは、2年先のライバルに勝てる仕様を

作らなくてはならないのです。

それと、すべての点でライバルを凌駕することは、

技術的に容易ではありません。

できないことはないかもしれません。

しかし、そんな仕様を盛り込むと、完成までに非常に時間がかかり、

しかも目標を達成できない項目がいくつもできて、

大抵は中途半端に終わるものです。

 

では、どうしたから良いのか

ここだけはライバルをはるかに凌駕するというポイントを絞って、

突き抜けるべきです。

 

他の仕様は、ライバル並みかで十分です。

あるいは重要でない部分は、性能を落としてもいいかもしれません。

新機種は営業の要求は無視して、技術部主導でライバルメーカーとは

全く違った特徴を持った製品として開発されました。

その新製品は非常に好評でライバルメーカーに奪われた顧客を

取り返すことができたのです。

しかも、価格は高かったのに

つまり、突き抜けた性能を手にすれば、産業機械のような経済性が

最も重視される商品でも、価格が高くても売ることができたのです。

これは中小企業が取り組む多くの製品やサービスにも共通しているのではないでしょうか。

その突き抜ける部分は何か、

それは製品のコンセプトです。

 

つまりここだけは、負けない、譲れないものです。

ではダイソンの場合は何でしょうか。

同社の掃除機開発のコンセプトは「衰えない吸引力」です。

そのために、彼らが市場調査で求めたものは、ひとつです。

「1回の掃除にどれだけ時間がかかるのか」

調査の結果、掃除の時間は全体の90%以上が20分以内で

あることがわかりました。

そこで20分間は強力な吸引力が持続するように、

二次電池の大きさを決めました。

そこから大きさや重量は必然的に決まりました。

 

こうして開発されたDC62はヒット商品となりました。

実は我が家にも姉妹機DC34があります。

dysonDC34

dysonDC34

 

運転時間が短いことは、最初からわかっていましたから、

使っていても気になりません。

しかしその吸引力は満足です。

 

一貫したメッセージ、あなたの会社は出していますか?

 

『ありきたりの商品をいつもの200倍売ったストーリー』についての記事は、こちらから参照いただけます。

 
 

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