平成27年度補正ものづくり補助金 申請書の内容で前回と異なる点
注記)
「令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称ものづくり補助金)申請書の書き方」は、こちらからご参照いただけます。
平成28年2月5日、平成27年度補正 ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金(通称 ものづくり補助金)が公募開始されました。
今回は一般型1,000万円に加えて、小規模型500万円と高度生産性向上型3,000万円が追加されました。
当サイトでは、ものづくり補助金申請書を作成する際のポイントをまとめたものを、平成27年度補正ものづくり補助金申請書 書き方ガイドとして公開しています。
なぜ弊社が書き方ガイドを無料で公開しているかというと、
ものづくり補助金は、公募要領に申請書の書き方が全く書いてないからです。
補助金の申請書は、できる限り申請者の企業自身が書くことが望ましく、そのためには指針となるガイドが必要だと考えたからです。
その結果、多くの方に利用いただいています。
ところが、今回2月5日に公募要領が発表された後、
2月10日に申請書のフォームが改訂されていました。
また書き方のサンプルも公開されました。
うかつにも気づきませんでした。
調べると、今回のサンプルに新たな追加情報がありましたので、書き方ガイドを改訂しました。
一方、サンプルは、内容まで書いていないので、サンプルだけ見ても書き方に戸惑うと思います。
今回改訂した書き方ガイドと合わせてご利用いただくと、分かりやすいと思います。
審査項目にない点で評価される
今回の改訂で、審査の方向性が見えてきました。
そして、審査項目にない部分で評価される可能性もあります。
以下に、書き方ガイドの改定内容と、申請書作成の新たな注意点について述べます。
サンプルについて
サンプルは必ずダウンロードして、内容を確認します。
申請書の全体構成は、このサンプルの通りに書きます。
改訂した弊社のテンプレートも、この構成に従っています。
見出しについて
申請書の見出しは、必ずサンプルと同じにします。
見出しを変えると、審査員が該当する個所を見落とすかもしれません。
[事業の背景・目的]
サンプルは、簡単に書いてありますが、弊社の考える起承転結のストーリーにするためには、当社の事業と業界の動向、当社の顧客、当社の強み、経営課題を記述した方が、説得力が増します。
[試作品の開発等における技術的な課題、解決方法、具体的な目標、優位性]
これについては、今まで説明してきた通りです。
詳しくは以下の経営コラムをご参照ください。
ものづくり補助金 採択の為の最大のポイント「技術の革新性」の書き方
サンプルは、製品の試作開発を想定しているようです。
商品開発を行っている企業は良いのですが、部品加工の企業では書きにくいと思います。
その場合は、製造技術の開発と考えて書きます。
[12分野の技術との関係性]
これは弊社のテンプレートに従って書けば、分かりやすく書けます。
[主な工程ごとのスケジュール] [その具体的な内容]
随分シンプルになっています。
実際の事業期間が5か月くらいしかないので、このくらいしか書けないと思います。
ただし、注意すべきは、下記の留意事項です。
太字で
- 課題を解決するのに必要な工程ごとに
- 不可欠な開発内容
- 材料や機械装置等を明確にしながら
- 具体的な目標
- 及びその具体的な達成手段を記載
とあります。
その具体的な取組内容を箇条書きする際に、上記の項目は必ず入れておく必要があります。
そのためには、具体的な取組内容やその目標を、申請書を書き出す前に明確にしておきます。
そして図や写真をふんだんに使って、審査員に分かりやすく書きます。
内容を審査員が理解できないと、不採択になる可能性があります。
その2 将来の展望
○概要
今回、サンプルに詳しい内容が追加された最も大きなポイントです。
ここが具体的でないと、売上増加の計画に具体性がないと判断され、不採択になります。
前回も、この部分で不採択になった企業がありました。
5年間の間にどのようにして売上を増やすのか、具体的な計画を書きます。
ところが例文は、自社製品を開発し、新市場に取組む事例になっています。
実際は、部品加工や下請けの企業が多く、このようには書けないと思います。
内容は以下の4点です。
- 成果の事業化見込みについて
- 目標となる時期
- 売上規模
- 量産化時の製品等の価格等
これらを簡潔に記載します。
一方で公募要領は、補助金の支給額に対する費用対効果を求めています。
費用対効果を上げるには、できる限り売上を大きく増やす事業計画を作成しなければなりません。
そうなると、その売上を達成する具体的な根拠を書かないと、具体性がないと判断され、不採択となります。
これを5年先まで計画します。
また多くの中小企業は部品加工や下請けの企業です。
自社商品の開発であれば、サンプルのように書けますが、そうでない企業はここで悩みます。
考え方として、設備投資を行い、新技術を手にした場合、他分野や他の取引先を開拓する計画にする方法があります。
そして、順次販路を広げるような計画を作成します。
売上が上がるような確証はないかもしれませんが
具体的な行動、
例えば
- 年間で何社にアプローチする
- ビジネスマッチングに何回参加する
- いくつかの展示会に出展する
- あるいはすでに何社かから引き合いが来ている
- 関心を持ってくれる取引先がある
などを時系列で計画すると具体的になります。
書き方は、例文のように、ひとつの文章で書いても良いですし、弊社のテンプレートのように小見出しをつけると、漏れがなくなります。
[補助事業終了後の5年間の事業化スケジュール]
最初にものづくり補助金の公募要領にあった様式は、各年毎の売上の増加額を、記載する表でした。
今回、日程表の形式になっているので、そのようにします。
ただし、補助金額に対する費用対効果は、審査項目になっているので別に記載します。
補足 テンプレートの項目で書きにくい内容について
審査項目には、国や行政機関独特の言い回しがあります。
例えば、「経営資源の蓄積」とか「地域経済への効果」などです。
(私は、これを「行政言葉」と呼んでいます。)
民間企業の方は、日常使わない言葉なので、そのような内容を聞かれても何を書いたらいいのかわかりません。
これについて、ヒントを書きます。
本事業による経営資源蓄積の効果
今回設備を導入することにより、どんな効果が得られるのでしょうか。
- 加工精度が上がる
- 生産性が向上し原価が下がる
- リードタイムが短くなり短納期対応ができる
- 生産性が向上し生産量が増える
これらは全て、自社にとって新たな経営資源の獲得か、経営資源の強化です。
つまり、審査項目にある「中小企業・小規模事業者の競争力強化につながる経営資源の蓄積」になります。
従って、補助事業の成果として、①~④のような内容を書き、これを新たな経営資源の蓄積と書きます。
地域経済と雇用創出に期待できる効果
審査項目 「厳しい内外環境の中にあって新たな活路を見出す企業として、他の企業のモデルとなるとともに、国の方品と整合性を持ち、地域経済と雇用の支援につながることが期待できる計画であるか」
むつかしい設問です。
他の企業のモデルとなることを意識して経営している企業はそんなにないと思います。
この事業の取組が、今まで同業他社が行っていない取組であれば、
「本事業の取組は、…な業界において、…に販路を拡大する点で、新たな活路を見出す取り組みである。」
と無理やり書いてしまいます。
その上で、地域経済に対しては、
- 自社の売上が増えれば、自社の協力会社の売上が増える
- 自社のコストが下がれば、取引先の売上が増える
- 短納期対応ができることで、自社(又は取引先)の売上が増える
- 生産能力が増強されることで、自社(又は取引先)の売上が増える
そして取引先の売上が増えれば、地域経済が活性化すると書きます。
そして5年間で雇用を増やす事業計画にします。
実際、十分な費用対効果が上がるように売上を大きく増加する計画を立てると、大抵の場合、増員しなければ生産が対応できません。
以上、締め切りが近くなりましたが、今回のサンプルに合わせて、変更したテンプレートの内容と、申請書作成の注意点について記載しました。
他にも以下のサイトにも申請書作成のポイントがあります。
「これを書かないと通らない!」平成28年度補正 ものづくり補助金申請書のポイント
平成27年度補正ものづくり補助金 必要な事前準備と過去の不採択のパターン
ものづくり補助金 二次公募 意外と知られていない採択のポイント
パンフレットや補助金申請書に欠かせない「自社の強み」見つけるポイントは、「違い」
ものづくり補助金 採択の為の最大のポイント「技術の革新性」の書き方
平成26年度補正 ものづくり補助金 意外と知られていない採択後の手続きと収益納付
弊社では、企業の方が自力で申請書作成に取り組む際の参考とするために、ものづくり補助金 申請書書き方ガイドを公開しています。
また末尾のリンクから申請書のテンプレートが無料でダウンロードできます。
「令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称ものづくり補助金)申請書の書き方」
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