平成29年度補正 ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(通称 ものづくり補助金)申請書の書き方

当サイトは、主に企業の方が自ら、平成29年度補正 ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(通称 ものづくり補助金)申請書を書く際の注意点とポイントをまとめたサイトです。

今までの情報を基に、初めて申請書を作成する際に戸惑うことや、見落としがちなことをまとめました。

ただし、これは採択結果を保証するものではありません。

ご利用は自己責任で行っていただき、当サイトを利用したことで生じたあらゆるトラブルについて、当サイトは責任は負いかねることをご理解願います。

 

また当サイト管理者は、申請書の作成代行業務は行っていないことを、ご理解願います。

テンプレートのダウンロードは、こちらから行えます。

 

平成28年度補正 革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金(通称 ものづくり補助金)について

 
平成28年度補正 ものづくり補助金とは、どのような補助金でしょうか。

ものづくり補助金が開始された当初の平成24年度補正の公募要領には以下のように書かれていました。

ものづくり中小企業の競争力強化を支援し、ものづくり産業基盤の底上げを図るとともに、
需要の喚起と好循環を促し、経済活性化を実現する。

(平成24年度補正 公募要領)
 

そして今回の平成28年度補正 ものづくり補助金の公募要領には以下のように書かれています。

国際的な経済情勢の変化に対応し、足腰の強い経済を構築するため、経営力向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための中小企業・小規模事業者等の設備投資の一部を支援します。

(平成28年度補正 公募要領)

 

一般的に国の補助金は、企業の試作や研究開発に対して補助されるものが大半で、日常の生産活動に使用する設備が対象となること極めて限られています。

しかし、ものづくり補助金については、平成24年度補正 公募要領にあるように「中小企業の設備投資を促進し、景気を浮揚させる」という景気対策の側面もあり、生産活動に使用する設備投資も最大1,000万円までが補助金の対象となります。

これが、ものづくり補助金が人気の秘密です。

加えて、平成29年度補正では、「中小企業・小規模事業者が取り組む、生産性向上に資する」と書かれています。

従って、生産性向上を実現する事業計画を作成すれば採択の可能性は高まります。

 

その一方で、補助金は採択により決定されます。
申請書の内容を審査して、評価点の高い申請が採択されます。
そう聞くと「うちのような零細企業ではとても無理」と思うかもしれません。

 

しかし現実には、1人で行っている零細企業でも採択されています。
中小企業が取り組む技術開発の多くは、技術的に高度な開発です。
しかし企業自身が、技術の高度な点に気が付いていません。

このことは多くの中小企業の申請書を見てきた私が自信を持って言えます。

 

一方で企業が自力で公募要領を見て申請書を書いても、

「革新的な設備投資」や「革新的なサービス・試作品の開発」

がしっかり書かれておらず、審査員に伝わらないことが多々あります。

あるいは審査員が求める内容が、書かれていなかったりもします。

自社のやっていることを審査員にきちんと伝え、審査員が求める内容をもれなく書けば、企業の方が作成しても、採択は十分可能と考えます。

企業の方が、このようなチャレンジをするのに、本ガイドが役立てば幸いです。

 

本サイトの構成

 
以下に本サイトの構成を示します。

  1. 採択される申請書のポイント
  2. 申請書に必要な事項
    1) 基本ストーリーを考える
    2) 対象事業が補助事業か確認
    3) 申請書の項目作成1 (自社の現状と経営課題)
    4) 申請書の項目作成2 (技術的課題)
    5) 申請書の項目作成3 (補助事業の成果)
    6) 申請書の項目作成4 (事業実施のための体制)
    7) 申請書の項目作成5 (賃上げ)
    8) 申請書の項目作成6 (表題、要約)
  3. 申請書作成の注意点
  4. 申請書 テンプレート

 

1. 採択される申請書のポイント

 

採択されるためのポイント

補助金申請書が採択されるためのポイントは、以下の4点です。

  1. 申請書に必要な事柄を漏れなく記入する
  2. 審査項目の内容は、全て項目の小見出しをつけて記載する。
  3. 事業課題、達成目標などはできる限り数値で定量的に明記する。
  4. 事業課題(経営課題)から、補助金による事業(以下、補助事業)によって課題が解決、そしてその成果までのストーリーが一貫している。(ブレがない。)

 

ものづくり補助金は、申請書に書くべき内容が非常に多くあります。しかし申請書の書式には、細かく記載されてなく、申請者が書かなければなりません。

本資料は、平成29年度補正ものづくり補助金の申請を例として、必要な項目を網羅しています。

 

補助金は選考

多くの補助金の審査は選考、つまり複数の申請の中から選ばれます。

審査は、基本的な要件を満たしているかどうか採点する一次審査と、国が支援するのにふさわしいかどうかを審査する二次審査があると聞いています。

近年、申請書のレベルが上がり、一次審査は大半の申請書が合格していると考えられます。その結果、採択の成否は二次審査にあります。二次審査では、税金を投入して支援する事業にふさわしいか、事業内容が優れているか、審査されると聞いています。

ここで優れた事業計画とは、技術レベルの底上げになっている新たな産業や市場の開拓になっている投入する税金に対して費用対効果が高いなどです。

これらは国の考える中小企業支援のキーワードです。
それは本マニュアルに従って書き込んでいけば埋めることができます。

重要なことは審査は絶対的な技術レベルの高低ではないということです。
今回の自社の取組の難しさ、創意工夫が審査員に伝われば、高いレベルの開発でなくても採択は可能です。

ポイントは書き方です。

 

頑張っているというストーリー

多くの補助金は一生懸命頑張っている中小企業を支援するためのものです。
担当者もそういう企業を応援したいと思っています。
そのためには、頑張っていることを理解してもらう為のストーリーが必要です。

これは図1のような起承転結でストーリーを構成すると分かりやすいです。

 

図1 申請書全体のストーリー

図1 申請書全体のストーリー


 

経営課題の明確化

このストーリーを作るには、自社の事業を見直し、自社の強みを明らかにする必要があります。
そして今後の市場の変化、顧客の動向、技術の変化を予測し、そこから自社が行うべき経営課題を考えます。

経営課題を補助金による事業で解決します。

それを具体的に実行できるレベルで計画し、申請書に書き表せば、担当者が支援したくなるような申請書になります。
 

自力で書いても採択は可能

このような計画書をつくるには、自社の事業の課題をよく知っている必要があります。
つまり企業自身が書いた方が良い事業計画が書けます。
これまで申請したことのない企業も本マニュアルを参考に自力で申請して採択された方が多くいます。
本マニュアルが企業が自ら事業計画を作る際の参考になれば幸いです。
 

2. 2 前回 (平成28年度補正) との違い

 
平成28年度補正と今回との違いを下記にまとめました。

(1) 補助金のタイプ

①企業間データ活用型

1,000万円×企業数+増額200万円(1社)  補助率2/3

例 3社の場合 1,000万円(1社)×3+200万円×3=3,600万円
このうち600万円は、連携体内で分配可能

②一般型

1,000万円  補助率1/2 (※に該当する場合、2/3)

※先端設備導入計画、又は経営革新計画(平成29年12月22日以降に申請)の申請中であること
補助率2/3にするためには※印のいずれかに取り組む必要があります。

③小規模型 (試作開発 又は設備投資)

500万円  補助率1/2 (小規模事業者2/3)
 

(2)加点項目

  1. 加点項目は以下の5点のみです。
  2. 先端設備導入計画
  3. 経営革新計画、経営力向上計画、地域経済牽引事業計画のいずれかの取得、又は認定中(3点のうちいずれか1点で可、複数取り組んでも1点と同じ)
  4. 総賃金の1%以上の賃上げ
  5. 小規模型に応募する小規模企業者
  6. 九州北部豪雨の被害を受けた企業

 

(3)事業期間

一次公募 公募締切4月27日 6月中旬採択予定
事業完了 12月28日(一般型) 11月30日(小規模型)

二次公募 未定

事業完了までの期間が前回よりも短いので要注意です。
マシニングセンタなどの工作機械は、現在受注過多のため納期が長くなっており、採択されても事業期間内に納入できない製品があります。
 

(4)その他の注意点

  • 先端設備導入計画、又は経営革新計画を申請して、補助率2/3にした場合は、交付決定までに承認通知書が必要です。承認通知書が遅れると正式発注が遅れます。
  • 小規模型は、労働者名簿一覧表の提出が必要です。
  • 昨年の加点事項、TPP、IT化は削除されました。
  • 専門家の活用経費30万円が追加されましたが、これには事業計画書の作成は含まれません。
  • 企業間データ活用型で、先端設備導入計画又は経営革新計画の申請による加点は、少なくとも1社が申請していれば加点されます。ただし1%の賃上げは、全社が行う必要があります。
  • 前回同様、事前に相見積を取っておけば、交付決定が早くなります。
  • 必ず自社が発送してください。 (コンサルティング会社など他人が発送したことがわかると再提出を求められます。)

 

4. 申請書に必要な事項

 

1) 基本ストーリーを考える

図2のように、自社の直面している経営課題(この資料では、事業課題)を考え、それを解決するために補助金を活用してどのような事業を行うのか、それによりどのような成果が自社にもたらされるのか、考えます。

 

全体のストーリー

全体のストーリー


 

ストーリーの骨格がぶれないように

これは申請書の骨格を成すストーリーであり、申請書の中で一貫してぶれないようにします。
当初の目的とした事業課題と解決方法が合っていない、事業課題と成果がずれている申請書もあります。そうなると審査する側もその事業に本当に効果があるのか疑問を持ち、評点が下がります。

 

事業課題

受注減少、コストダウンによる利益率低下など本当に困っていることを書きます。

 

解決方法

導入する設備、開発テーマなど具体的な内容を書きます。設備の費用も明確にします。

 

成果

自社がどうなると良いのか、5年後までの姿を思い浮かべます。

 

2) 対象事業が補助対象か確認

やりたい事業が補助対象事業か確認します。
設備投資の有無、試作開発の有無で申請可能な金額や申請する補助金のタイプが変わります。

設備によっては、補助期間中に導入できなかったり、終了間際に納入されることがあります。
その場合、設備導入後の短い期間に技術課題の解決に取り組むのは困難です。

〈申請枠〉(平成29年度補正ものづくり補助金の場合)

企業間データ活用型 (補助率2/3)  
一般型  (補助率1/2)  (先端設備導入計画、又は経営革新計画で補助率2/3)
小規模型  □ 設備投資のみ  □ 試作開発等 (補助率1/2)  
 小規模事業者 (補助率2/3)

 

〈事業の時期〉

事業完了は、平成30年12月28日まで(小規模型は平成30年11月30日まで)
事業開始が7月からとして、6か月以内 (小規模事業者は5か月以内) で完了する必要があります。

対象期間 

設備導入時期

 

〈ものづくり高度化法〉

「ものづくり高度化法」の定める12分野の技術のどれかを確認します。

「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針の本文を見て、「該当する技術」と「高度化目標」は、本文にあるものを選択します。

ずばりない場合は近いものを探しますが、無理にこじつけると「該当しない」と判断される危険があります。

 

  1. デザイン開発に係る技術
  2. 情報処理に係る技術
  3. 精密加工に係る技術
  4. 製造環境に係る技術
  5. 接合・実装に係る技術
  6. 立体造形に係る技術
  7. 表面処理に係る技術
  8. 機械制御に係る技術
  9. 複合・新機能材料に係る技術
  10. 材料製造プロセスに係る技術
  11. バイオに係る技術
  12. 測定計測に係る技術

 

この「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」は、申請書で「技術の背景」「将来の展望」や「市場ニーズ」を書く際に参考になります。

12分野の(                             )に該当

 

3) 申請書の項目作成1(自社の現状と経営課題)

 

(1) 自社の事業

既存の自社の事業を書きます。

例 当社の事業は、********************である。

 

(2) 自社の商品・サービス(製品・部品)

例 主要な製品は、○○、□□、△△である。

 

(3) 自社の強み

競合に対する自社の有利な点・強みを分かる範囲で書きます。

当社の強みは、********************である。

 
申請書を書く際に重要なポイントです。もし強みが見つからなかったら、以下のような切り口で考えて見て下さい。
 
ヒント

  • 他社がやってなく、自社がやっていることは?
  • 顧客から良いと言われたことは?
  • こだわって行っていることは?
  • 機械の性能以上に使いこなしていることは?
  • ベテランでなければできないことは?
  • 過去に顧客から要求されて、苦労しながら実現したことは?
  • 品質、精度、納期、コストなどで独自に工夫したことは?
  • 特殊な工具、治具、組み立て方法、加工方法はないか?
  • 素人でもできるように工夫したことはないか?
  • 自社の前工程や後工程を取り込んで一貫生産していることはないか?

強みや競合については、SWOT分析などのフレームワークを使う方法もあります。

フレームの枠組みの中で考えると、浮かんでくることがあります。

SWOT分析の参考サイト

ただし、この作業は自社の技術について理解が必要です。

 

図2 SWOT分析

図2 SWOT分析


 

(4) 顧客

自社の顧客を書きます。

申請書の本文は非公開で、秘密は守られます。
具体的な取引先の社名などは書いた方がリアリティが高まります。

例 主な顧客は、********************である。

 

(5) 顧客の要求・ニーズ

自社の顧客が要求していること、今後求めると思われることを書きます。

例 顧客のニーズは、*****

 

(6) 事業上の課題

先ほど挙げた事業課題を再度書きます。
(1)から(5)の流れにつなぐような表現にします。

(今回の補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性)

例 従来は○○の強みから順調に業績を伸ばしてきたが、****のため*****という課題がある。

 

(7) 解決方法

解決方法を再度書きます。上記の流れにつなぐような表現にします。

例 この課題を解決するために、○○の設備を導入する。

 

(8) 今までの取組と異なる点

従来の事業とどこが違うのか書きます。

例 これは従来の設備と比較して○○の点が異なる。

 

(9) 競合他社の違う点

この事業が競合他社の事業とどこが違うのか書きます。

例 この取り組みは競合他社の○○と比較して△△の点が異なる。

 

(10) 顧客のメリット

この事業により顧客にはどのようなメリットがあるのか書きます。

例 これは従来の設備と比較して○○の点が異なる。

 

4) 申請書の項目作成2(技術的な課題)

 

(11) 技術的課題

開発であれば、開発テーマの技術的に困難な点を書きます。

設備投資の場合であっても設備を導入した上で、他社ができないような独自の創意工夫を書きます。
できるだけ担当者が支援したくなるような課題、創意工夫、テーマを書きます。

しかし世界最先端のテーマである必要はありません。
最新の設備を導入しただけでは実現できないこと、例えば、機械の使いこなし、治具の工夫、機械の設定の工夫、材料と刃物の組合せなどを書きます。
ただし、専門用語、業界用語には注意します。

審査項目の技術面での革新性は、この部分で評価されます。

ひとつで弱い時は、複数書きます。多い時は、別表のように表にしても良いです。

 

 

(12) 解決方法

具体的な解決方法を書きます。文章だけで伝わらない場合は、図や写真を活用します。

 

(13) 具体的な目標(定量的・定性的)

技術的課題の解決の目標値です。
できる限り定量的な数値目標を入れます。
数値化できない場合、定性的な判断基準を入れます。

 

(14) 優位性

この技術的課題を達成することで、自社のどのような強みを強化し、他社に対する優位性が高まるのか書きます。

例文 ○○を達成することで、□□の点で競合に対して優位となる。

 
(どのように他社と差別化し、競争力強化を実現するのか、その方法や仕組みを具体的に説明します。)
 

表でまとめた例

技術的課題 解決方法 達成度 優位性
1
2

 

 

【12分野の技術との関係性】 又は【新製品・新技術・新サービスの革新性】

12分野の技術と技術的課題との関連性を書きます。

 

(15) 技術課題

(11)の技術課題を要約して書きます。

例 本事業は、○○の技術的課題を解決することで、□□及び△△を実現する。

 

(16) 12の技術分野

(15)の技術課題が「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針12分野」のどれに該当するか書きます。

例 これは中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針12分野のうち、「**」に該当する。

 

(17) 川下製造業者等の共通の課題及びニーズ

「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針12分野」から、今回の技術課題が川下事業者の共通の課題及びニーズのどれに該当するか書きます。

川下製造業者等の共通の課題及びニーズは、「**」である。

 

(18) 高度化目標

「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針の高度化目標から該当する内容を書きます。

これは中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針の高度化目標「***」に該当する。

 

5) 申請書の項目作成2(補助事業の成果)

 

(19) 本事業の成果が寄与するユーザー

本事業がターゲットとしている具体的なユーザーを書きます。
ユーザーは可能であれば既存顧客と新規顧客をそれぞれ書きます。
航空機、医療・介護、次世代自動車、スマートグリッド、IoTなどの業界に貢献する場合は記載します。

既存顧客

例文
当社が取引している既存顧客を下記の表に示す。本事業の成果を生かして既存顧客に対し、下表の製品を新たに納入する。

企業名 部署 現在納入している製品 新たに納入する製品
1
2

 
(補足説明があれば記載する)
 

新規顧客開拓

例文
本事業の成果を生かして下表の顧客に対し、新たに販路開拓を行う。

企業名 部署 新たに納入する製品
1
2

 
(補足説明があれば記載する)
 

売上増加・販路開拓のプロセス

上記のユーザーに対するアプローチ、営業の具体的な取組を書きます。
相手の部署名、キーマンの名前などできる限り具体的な固有名詞を入れ、確実に実施すると審査員が思えるように書きます。
あるいは取引先の今後の開発計画や生産の立ち上がり予定があれば、それも記載します。

計画1年目
既存顧客〇社〇部に対し、○○をPRして…
新規顧客〇社〇部に対し、〇社の紹介により…
計画2年目

計画3年目

計画4年目

計画5年目

 

(20) 本事業の成果の寄与する市場・市場規模
本事業の対象市場の市場規模と市場シェアを書きます。

市場規模は大抵分からないと思いますので、以下のようなフェルミ推定を使って求める方法もあります。

フェルミ推定とは、実際に調査するのが難しい量を、いくつかの手掛かりを元に推論し、短時間で概算することです。

自動車のシート部品(リクライナ、アジャスタ)を製造しているA社の市場シェア

シート部品の市場は日本自動車工業会の調査によれば、シート部品(リクライナ、アジャスタ)の市場は、1,694億円である。

参考 平成23自動車年度 部品出荷動向調査結果(日本自動車工業会)

  • このうちリクライナが30%と推定すると、508.2億円
  • リクライナのうち自社の製造するリクライナ部品は20%と推定すると、102億円
  • 自動車メーカーT社の国内市場シェアが、50%なので、51億円
  • 自社の主要取引先 自動車部品メーカーB社のT社におけるシェアは40%なので20億円

自社の売上が6億円なので、自社のB社のシェアは30%

自社の国内市場シェアは、30%×40%×50%×20%=1.2%

このように部品メーカーでは、非常に低い数字になることがあります。

しかし市場シェアが審査対象になっているため、分からない場合はこのような考え方で計算します。

市場シェアは、部品メーカーではこのように非常に低い数字になることがあります。
意味がない気もしますが、市場シェアという言葉が審査対象に入っているため、このように推論します。
この数値の信ぴょう性を問われることはありません。

あるいは市場規模の推移を示したグラフや、競合製品との違いを示したポジショニング・マップなども良い方法です。


本事業の対象市場は、○○である。
市場シェアは、金型工業会の資料によれば、国内の金型生産金額は○△億円で、当社の売上は**億円の為、市場シェアは**%である。一方取引先Y社においては、年間金型発注金額は**億円であり、当社は**%を占めている。

 

(21) 市場のニーズ

本事業分野における市場のニーズを記述します。できる限りニーズを数値化します。
(5)の既存顧客のニーズと同じになる場合もあります。

本事業の成果の事業化が寄与する市場のニーズは、*****である。

 

(22) 本事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有すこと

本事業の成果により、自社の製品がどのように他社に対して優位となるか記述します。
優位性の内容は、

  • コスト面では、何パーセント削減など具体的に書きます。
  • 性能面では、生産性や精度、外観品質など具体的に書きます。
    どのくらい良くなったかは、定量的に数値で表します。
    外観品質など数値化が難しいものは、不良率何パーセント低下など他の指標で代替します。

その結果、自社の売上や利益にどのように貢献するか、記述します。


競合との比較

比較項目 当社 ○○(株) △△(株)
価格
価格
性能
性能

 
価格的優位性
**の点に関して…
**の点に関して…

性能的優位性
**の点に関して…
**の点に関して…

 

(23) 売上の増加額(5年間の売上と利益の増加計画)

5年後までの補助対象事業と会社全体の売上高の増加を考えます。
補助金では費用対効果が求められます。
補助金額に対して、5年後の売上高の増加を3倍以上が望ましいです。

(3~5年の間で「付加価値額」「経常利益」の増大を達成する計画の根拠を具体的に示します。)

本事業が対象とする製品の売上計画を下記に示す         (単位 千円)

補助対象製品売上高

補助対象製品売上高


(注)「経過年数」とは本事業による補助事業終了後の経過年数を示します。

上記計画が達成出来る理由を箇条書き(2行ほどの説明を4項目程度)
 

(24) 利益計画

5直近期末の決算書から、売上高、営業利益、経常利益、人件費、減価償却費を記入します。
(23)の売上高の増加計画に従い、利益計画を作成します。
補助金などで設備投資を行う場合、減価償却費の増加を忘れずに盛り込みます。

(「付加価値額」「経常利益」等の算出の根拠を明記)

【ものづくり技術】では、3年間平均で経常利益の年間伸び率1%以上、付加価値額の年間伸び率3%以上は必須ではありませんが、達成できるような計画が望ましいです。
付加価値額の伸び率を高めるためには、雇用を増やして人件費を上げる必要がある場合もあります。

 

表2 5年間の売上と利益の増加計画

表2 5年間の売上と利益の増加計画


 
注意) 今回から直近期末は、1年後を補助事業実施年度としてその前年度になります。決算が間に合わない場合は、見込でも構いません。
例 12月決算の場合
  直近期末 平成29年12月期(見込)
  1年後  平成30年12月期
 
 

(25) 「付加価値額」「経常利益」等の算出根拠
(※)会社全体の事業計画(表)における「付加価値額」「経常利益」等の算出については、算出根拠を明記するように指示しているので、下表から算出すれば明確になります。
例文
会社全体の事業計画(表)における経常利益、付加価値額の算出の根拠は以下の表に基づく
 
 

付加価値額算出根拠

付加価値額算出根拠


 
例文

  • 前掲の売上増加計画により、○○の売上が平成○○年〇月期には〇%増加し、対して費用は〇%の増加にとどまるため、営業利益は〇円増加する。
  • 営業外費用は…(大きな増減があれば説明)
  • これにより経常利益は〇%増加する。
  • 人件費は、平成○○年〇月期に社員●名を採用するため、〇〇万円増加する。
  • 設備投資は、平成○○年〇月期に補助事業により○○万円行う。また、平成○○年〇月期には、新たに○○を投資する。
  • これに伴い、減価償却費は、平成○○年〇月期は、…
  • これにより付加価値額は、〇%増加する。


 

(26) 補助事業終了後5年間の事業化スケジュール

予定している取組を例のように図式化します。

 

5年間の事業化スケジュール

5年間の事業化スケジュール


(注)「経過年数」とは本事業による補助事業終了後の経過年数を示します。
 
上記表の各項目を簡潔に説明(各項目1~3行程度) 
 

(27) 補助金に対する費用対効果

例文
・本事業の成果により、対象事業製品の売上は、平成**年*月期から平成**年*月期の間の5年間で**円から**円と、**円増加する予定である。
・これは補助金額**円に対し費用対効果は**倍である。

 

(28) 本事業による経営資源蓄積の効果
本事業により、高付加化価値の製造設備、低コストの生産体制、生産能力の増強など自社に強化された要素を書きます。
これにより強みが強化され、新たな経営資源の獲得となったことを書きます。

例 本事業の成果により、○○(事業課題、技術的課題の解決)することは、△△であり、これは当社にとって新たな経営資源の蓄積となる。

 

6) 申請書の項目作成3(事業実施のための体制)

 

(29) 社内体制
この事業の総責任者、開発責任者、開発従事者(メンバー)、経理責任者を書きます。

規模の小さい会社では、開発責任者と開発従事者が同じでも構いません。

経理だけは、できれば専任の担当をつけてください。

総責任者 代表取締役 経済次郎 開発責任者 取締役工場長 経済三郎

開発従事者 ○○○○ ○○○○ 経理部門責任者 ○○○○

 

(30) 技術的能力

この開発に従事する者の業務遂行能力を示します。
通常は開発に関係する業務の経験年数(5年以上)を書いておけば大丈夫です。
他に技能検定などの資格も有効です。

下記のように表にするとわかりやすいです。


自社の技術的能力の現状

氏名 役職 開発の担当内容 開発に関連する経歴
○○○○ 班長 溶接 ○○年
○○○○ 主任 設計 ○○年

 

記載例
・事務処理能力面
本事業の日程管理・進捗は、****が計画に対する進捗管理を行う。
本事業に関わる費用は、経理担当の****が専任し、個別に集計し管理する。

 

(31) 社外体制

外部の協力者との関係を示します。多くの場合、左側に供給側の協力者(機械メーカー、材料メーカー、ソフトウェアメーカーなど)、右側に顧客など提供側の協力者を書きます。

供給側の協力者からは、一般的には設備などの設定、調整、運用に指導を受けます。
材料メーカーからは、材料の特性や材料に合わせた使い方、加工条件などの指導を受けます。

提供側の協力者には、例えば顧客には本事業で完成した製品の評価を行ってもらいます。
評価には、公設試験所を活用する場合、それも追加します。

記入は、下記のように協力関係を占めす図と、それぞれの協力者の役割を簡潔に書きます。

 

図3 社外との協力関係

図3 社外との協力関係


 

(32) 具体的な取組内容

設備導入から、立上げ、開発までのプロセスを書きます。

設備導入であれば、
1) 設備仕様確定、
2) 設備選定、
3) 整備導入・設置、
4) 装置教育、
5) テスト加工、
6) 評価、
7) 顧客の評価

最低でもこの7ステップはあると思います。

前述した技術課題の解決方法は、具体的な取組内容を書きます。
1)外部との連携
2)購入する備品・設備
3)数値化された達成度
を書きます。

さらに課題を解決するための工程ごとに、不可欠な開発内容、材料や機械装置等は漏れなく書きます。また具体的な目標及びその具体的な達成手段も記載します。(必要に応じて図表や写真等を用い具体的かつ詳細に記載します。)

1. 機械仕様の決定発注
B金属㈱、A会社㈱は、・・・・
2. 加工装置の製造
A会社㈱は、・・・・
3. 据付、試運転、調整
B金属㈱は、・・据付し、C会社㈱の協力を受けながら・・調整する。

 

(33) 事業実施のスケジュール

上記の具体的な取組内容の項目と合わせ、各項目の実施者と日程(矢印で可)を書きます。実施屋は、自社は担当者名、外部は会社名を記入します。

(機械装置の取得時期や技術の導入時期の詳細にスケジュールを記載します。)

表3 日程表

表3 日程表


補助事業実施期間      交付決定日より   ヵ月間を予定
 

(34) 当社の最近の財務状況と資金調達の見込み

自社の直近2年間の売上、経常利益、当期純利益を書き、経営的に問題ないことを示します。

決算書が赤字、債務超過の場合は、その理由を書き、それが今後解消される見込みであることを示します。
(債務超過が補助金の不採択の理由にはなりませんが、決算書から経営的に持続困難とみなされると不採択になります。)

また補助事業の自己負担分と、つなぎ融資についても書きます。


当社の直近の財務状況は、
平成26年3月期が、売上高*百万円、経常利益*百万円、当期利益*百万円、
平成27年3月期が、売上高*百万円、経常利益*百万円、当期利益*百万円である。

本事業に必要な資金のうち、補助相当額の融資については**銀行**支店より承諾を得ている。残りの自己負担分については、***する。

 

(35) 専門家の活用
生産性向上に関する専門家を活用した場合は、補助金額が30万円増額されます。
その場合、具体的な取組を記載します。(専門家謝金の金額は公募要領に規定があるので注意します。)

例文
本事業において、材料○○を□□の条件で加工する際に、加工条件の設定や加工速度の向上の助言のため○○会社OBの△△氏の協力を受ける。設備導入後のテストカットにのべ10日間立ち合い、当社生産技術部**と共同で条件設定と加工後の形状評価を行う。費用は1日3万円、合計30万円を予定している。

 

7) 申請書の項目作成4(賃上げ)

 

(36) 賃金上昇への取組

賃金上昇の取組が審査の対象に入っていますので、今までの取組と今後の計画を書きます。
これには実績の分る資料の提出が求められます。

① 前年の教育訓練費支出総額が給与支給総額の1%以上
該当する場合は、書きます。(証明書類が必要です。)

② 平成29年の給与支給総額が平成28年と比較して1%以上増加
平成30年の支給総額を29年と比較して増加させる計画

 

下記のように表に記載するとわかりやすいです。

実際は従業員の退職や業務の繁忙による残業の有無により、年間の給与支給総額は変わります。

賃上げを実施したにもかかわらず、これらの事情により年間の給与支給総額がマイナスした場合は、公募要領に載っている「年間支給総額に含めることができる金額」と「含めることができない金額」に分けて計算すれば正確な賃上げが算出できます。
(ただしこれを計算するだけで大変ですが。)

 
記載例
(1) 平成29年に賃上げを実施し、給与支給総額で1%以上増加させた。
平成28年(平成○○年〇月決算)と平成29(平成○○年〇月決算)の給与支給総額の比較
          単位 千円

平成28年 平成29年 増加率
  %

 
給与アップ対象者数 従業員 ○名/○名中 根拠資料 決算書 (別紙のとおり)

また、平成28 年についても、***が見込まれるため、給与支給総額を引き上げる予定である。

(2) 平成30年の給与支給総額を平成29と比較して増加させる計画
平成30年度についても〇%の売上増加が見込まれ、給与支給総額を引き上げる予定である。
平成29年(平成○○年〇月決算)と平成30年(平成○○年〇月決算)の給与支給総額の比較
          単位 千円

平成29年 平成30年 増加率
  %

 
また、平成28年度補正の際の愛知県中小企業団体中央会のホームページにある記載例は以下のようになっています。

②当社では、平成29年に賃上げを実施し、給与支給総額で1%以上増加させた。また、平成30年も賃上げを計画している。
給与支給総額 平成28年 ○○円 → 平成29年 ○○円(○○%アップ)
給与アップ対象者数 従業員 ○名/○名中
根拠資料 賃金台帳、決算書 (別紙のとおり)

 

(37) 地域経済と雇用創出に期待できる効果

地域経済に対しては、売上増加により地域中小企業・材料メーカーへの発注が増え経済が活性化、雇用増加による地域経済への貢献、賃上げによる社員の購買力増強などを挙げます。

例文
 本事業により、売上、生産量が平成○○年〇月期には〇倍に増加するため、平成○○年〇月期には社員〇名を採用の予定である。
 また平成○○年〇月期には賃金を〇%引き上げる予定であり、これにより地域の消費の活性化に貢献する。
 ○○製品の生産量が〇%増加することで、地域の協力会社へ当社からの発注量が〇%増加する見込みであり、これにより地域経済の活性化に貢献する。

 

8) 申請書の項目作成5(表題、要約)

 

(37) 表題

表題は審査対象ではありません。
ただし、審査員は、表題と要約を見て内容を想像し、読み進めていきます。
補助事業の内容を的確に伝える表題が望ましいです。

また設備投資であっても、開発、改善、新事業展開など新たな取組をイメージさせる表題にして、「機械を買って終わり!」と思われないようにします。

(30文字程度)
例文1 
(新型、高速、高精度など設備の機能) な○○(設備名) の導入により、(高精度、低コスト、少量生産対応など事業の成果) な○○の開発 (実現、達成など成果を示す言葉)
例文2(中央会のサンプル)
□□の市場獲得を目指すための□□の△△による◎◎◎の生産プロセスの改善

 

(38) 概要(要約)

ものづくり補助金は、表題と要約は公開される場合があります。
従って企業秘密に該当するものは書かないでください。
決められた字数の中で補助事業の概要が審査員に伝われば良いです。

自社の経営課題、補助事業の内容、12分野との関連、補助事業の予定する成果(売上増加、市場創造、新規開拓、利益率向上など)、航空・宇宙産業、次世代自動車、ヘルスケアなどに関連する場合は、そのキーワードを入れます。

(100文字程度)
中央会の例文 (カッコ内は補足)
現在、○○(自社の事業)において、○○(生産性向上、精度向上、コストダウンなど)のためには、△△や□□(後述の事業課題)が課題となっている。そこで、これらの課題を解決するため、12分野の技術の「○○に係る技術」により、□□、△△、及び○○(設備導入、技術開発、創意工夫)を行い、◎〇◎、△△△及び□□□(具体的な生産性向上、精度向上、コストダウン)を実現させ、試作品を□□△の業界に売り込む(あるいはこの技術をPRして既存顧客への拡販、新規開拓、新たな業界への展開など)ことを目指す。

 

4. 申請書作成の注意点

 

  • 審査者は専門技術に詳しいとは限りません。業界用語や専門用語は、できる限り減らし、どうしても必要な用語は、注釈を追加します。(言葉の意味が分からなければ、事業の革新性が審査員に伝わりません。)
  • 主語+述語、又は 主語+目的語+述語 のシンプルでわかりやすい文章を心がけます。長い文章は、意味を読み違えたり、作成者の意図が伝わらなかったりします。学会誌などに掲載される学術論文は参考になります。
  • 完成後は、第三者に読んでもらい、意味がちゃんと伝わるか確認します。できれば専門知識のない人に読んでもらうと良いです。
  • 内容は論理的に整合が取れるように注意します。例えば「AはBである」、「BはCである」、「故にAはCである」となるようにします。時々「AはBである」、「BはCである」、「故にAはDである」と論理がおかしくなっている申請書があります。特に技術課題の説明では、内容に気を取られて、論理がおかしくなっていることがあるので注意してください。
  • 技術内容を言葉で説明するのには、高度な文章力が必要です。できる限り図や写真を多用して、視覚的に内容を伝えるようにします。
  • 審査項目を良く理解し、審査項目に該当する内容をあまさず書きます。
  • 証拠資料の提出が必要なものは、忘れずに添付します。
  • 申請書の記述は、審査項目をすべて小見出しにすると、審査委員の見落としを減らすことができます。参考までに小見出しの例を以下に示します。
  • 別紙資料を添付することもできますが、読む手間が増えるのでどうしても必要な場合以外は避けた方が良いです。
  • 最後に、完成した後第三者に全体を通して読んでもらい、
    現状→経営課題→解決方法(補助事業)→成果・展望について
    「一連のストーリーが、整合が取れているか」
    「国の担当者が採択したくなるような事業内容か」
    確認してもらいます。
    個々の項目を書き込んでいる間に、ストーリーからずれてしまい、やろうとする内容が伝わらない申請書になってしまうことがあります。
    第三者のチェックを受けることで見直すことができます。

 
 

5. 申請書 テンプレート

 

本マニュアルに従って内容を作成した後、テンプレートの番号に合わせて、マニュアルの番号の文章を張り付けていくと、申請書が完成します。
各審査項目が小見出しになっているため、審査員が見落としすることがありません。
また順序がストーリーに従って配置されているので、読み手に理解されやすいものになっています。

本ガイドのワードデータと、その末尾に平成29年度補正 ものづくり補助金の申請書のテンプレートを加えたものを無料でダウンロードできます。

補助金申請書の書き方1

補助金申請書の書き方1

 

補助金申請書の書き方2

 

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当サイトは、企業の方が自社で申請書を作成する際の参考となるために、サイト管理者の経験を基に一般的な考え方をまとめたものです。

申請書の書き方は、多くの方がいろいろなやり方が行っており、本ガイドは決してそれを否定するものではありません。

 

また当サイト管理者は、申請書の作成代行業務は行っていないことを、ご理解願います。

 
 

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