原価計算と見積の基礎 | 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク https://ilink-corp.co.jp 数人の会社から使える原価計算システム「利益まっくす」 Tue, 30 Sep 2025 07:21:37 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.7.5 https://ilink-corp.co.jp/wpst/wp-content/uploads/2021/04/riekimax_logo.png 原価計算と見積の基礎 | 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク https://ilink-corp.co.jp 32 32 経営コラム 製造業の原価計算と見積 https://ilink-corp.co.jp/10604.html https://ilink-corp.co.jp/10604.html#respond Mon, 29 Jan 2024 08:34:44 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=10604 工場の管理者、原価管理、経理など実務に携わる方たちが感じる原価計算・見積の疑問について、実務者の視点でわかりやすく説明しました。

原価の基本的な考え方、アワーレート計算などをわかりやすく説明した【原価計算と見積の基礎】と、実際に発生する費用の集計や原価への組み込みを詳細に解説した【実務における原価の疑問】があります。

原価計算と見積の基礎

 

個々の製品の原価の計算方法、人と設備のアワーレートの計算方法、間接費や販管費の計算方法など基本的な計算をわかりやすく書きました。


【原価計算と見積の基礎】1. なぜ原価が必要なのか?

様々な費用が上昇する今日、原価が分からないと値上交渉ができません。他にも原価が分からないことで起きる問題は…


【原価計算と見積の基礎】2. 製造原価の計算方法(1)

製造原価を計算する費用は決算書の値を元にします。決算書には工場で発生する様々な費用が計上されています。例えば…


【原価計算と見積の基礎】3. 製造原価の計算方法(2)

個々の製品の見積に間接製造費用と販管費も入れる必要があります。間接製造費用は間接部門の労務費や工場の経費など…


【原価計算と見積の基礎】4. 人のアワーレートの計算方法

人のアワーレートは人の年間費用を実際に付加価値を生んでいる時間で割って計算します。一方各現場には賃金の異なる人がいるため…


【原価計算と見積の基礎】5. 設備のアワーレートの計算方法(1)

設備のアワーレートは設備の年間費用を実際に付加価値を生んでいる時間で割って計算します。この年間費用のうち設備の購入費用は…


【原価計算と見積の基礎】6. 設備のアワーレートの計算方法(2)

設備のアワーレートの具体的な計算を説明します。設備が年間で半分しか稼働しなければ…


【原価計算と見積の基礎】7. 間接費用の分配

人と設備以外の費用、間接製造費用と販管費の計算について説明します。工場には直接製品を製造する直接部門と…
 

以降、個々の製品の原価、工程別の原価については「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】にあります。
 

原価計算と見えない赤字

 


【原価計算と見積の基礎】8. 高い設備は原価が高いのか

設備の大きさ(価格)による原価の違い、設備によって現場を分けるかどうか、ラインの場合の設備の考え方などを説明しました。同じ設備でも大きさによって償却費やランニングコストが異なる場合は…


【原価計算と見積の基礎】9. 自動化とロボットの活用

無人加工と有人加工の違い、ロボットを導入した場合の原価を説明しました。有人加工は加工中、人と設備の費用が同時に発生しますが、無人加工の場合は…


【原価計算と見積の基礎】10. ロットの減少によるコストアップ

段取がある場合、製品1個の段取費用はロットが小さくなると大きくなります。具体的にどのくらい違うのか、機械加工A社樹脂成型加工B社の事例で…


【原価計算と見積の基礎】11. 段取時間の短縮

ロットが少なくなれば原価に占める段取費用が大きくなります。この段取時間を短縮すれば段取費用はどのくらい小さくなり原価はどうなるでしょうか?実は段取は2種類あり…


【原価計算と見積の基礎】12. 検査追加によるコストアップ

検査費用が最初から見積に入っていれば問題ありませんが、検査費用が見積に入っていない場合、検査を追加すれば原価は上がります。この検査には全数検査と抜取検査があり…
 

このコラムの続きは、書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」にあります。
 

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【原価計算と見積の基礎】18.経費の増加によるコストアップ https://ilink-corp.co.jp/9593.html https://ilink-corp.co.jp/9593.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:35:39 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9593
【コラムの概要】

電気代などの光熱費上昇は、間接製造費用としてアワーレートを上昇させ、製品原価を引き上げます。また、運賃の上昇も原価上昇の要因となり、どちらも値上げなしでは企業の利益を大幅に減少させます。企業はこれらの費用増加分を正確に計算し、顧客に値上げを求める必要があります。

○○では不良の増加による原価の上昇について述べました。

一方近年では様々な費用が上昇しています。例えば

  • 原材料価格
  • 電気、ガスなどエネルギー費用
  • 原材料以外の材料、例えば、オイルやグリス、ボルト・ナット、梱包用の包材や段ボール
  • 設備の運転や保全に必要なオイルやクーラント、ウェスなどの消耗品
  • 刃物などの消耗工具
  • 運賃など輸送費
  • 人件費

では、これにより原価はどれだけ上がっているのでしょうか。ここでは

  1. 光熱費の上昇と原価
  2. 運賃の上昇

について述べます。

1. 光熱費の上昇と原価

電気、ガス、水道などの光熱費は、製造原価報告書に記載されています。この製造経費は、間接製造費用として各現場に分配し、アワーレートに組み込まれます。
電気代が上昇すれば、間接製造費用が増えてアワーレートは上昇します。ランニングコストに電気代が入っていれば、設備の費用も増えます。アワーレート(設備)も上昇します。

機械加工A社 マシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレートは、

  • アワーレート間(設備)  :  1,720円/時間
  • アワーレート間(設備)  : 3,360円/時間

でした。このアワーレート間(設備) 1,720円/時間の内訳を図に示します。

図 マシニングセンタ1(小型)の現場 アワーレート間(設備)
図 マシニングセンタ1(小型)の現場 アワーレート間(設備)
  • 直接製造費用 : アワーレート用償却費 140万円 電気代18.4万円
  • 間接製造費用 : 間接製造費用分配 155万円

アワーレートは、直接製造費用と間接製造費用の合計を、設備の稼働時間で割って計算します。この間接製造費用の分配145万円には、工場の共用部分の電気代が含まれています。
同様にアワーレート間(人) 3,360円/時間の内訳を図に示します。

図 マシニングセンタの現場 アワーレート間(人)
図 マシニングセンタの現場 アワーレート間(人)
  • 直接製造費用 : 現場全体の年間労務費の平均 447万円
  • 間接製造費用 : 間接費分配 145万円

設備と同様に、直接製造費用と間接製造費用の合計を、作業者の稼働時間で割って計算します。この間接製造費用分配145万円の中にも、工場の共用部分の電気代が含まれています。

電気代が30%上がった場合、設備の電気代と間接製造費用分配に含まれる共用部分の電気代が上昇します。これを図に示します。

図 電気代30%上昇した場合のアワーレート間(設備)
図 電気代30%上昇した場合のアワーレート間(設備)
図 電気代30%上昇した場合のアワーレート間(人)
図 電気代30%上昇した場合のアワーレート間(人)

アワーレート間(設備)

電気代が30%上昇した結果、
直接製造費用 : アワーレート用償却費 140 万円 
電気代 18.4 → 23.9 万円
間接製造費用 : 間接製造費用分配 145 → 150 万円

アワーレート間(設備) : 1,720 → 1,790 円/時間 (+70円)

アワーレートは、70円/時間上昇しました。

アワーレート間(人)

間接製造費用 : 年間労務費の平均 447 万円/人
間接製造費用 : 間接製造費用分配 145 → 150 万円

アワーレート間(人) : 3,360 → 3,400 円/時間 (+40円)

アワーレートは、40円/時間上昇しました。

アワーレート間(人)とアワーレート間(設備)の合計は

5,080 → 5,190 円/時間 (+110円)

130円/時間増加しました。これによる、A1製品の原価の上昇を図に示します。

図 A1製品の原価、利益の変化
図 A1製品の原価、利益の変化

電気代が30%上昇した結果、

製造費用 : 10円増加
販管費込み原価 : 10円増加

その結果、50円の利益が40円に減少しました。以前と同じ利益にするには10円の値上げが必要です。

そこで値上を顧客にお願いすると「10円ぐらい企業努力で何とかしてくれませんか」と言われるかもしれません。しかし、電気代が30%上昇すれば、A社は年間390万円も費用が増加しています。この10円を値上げしなければ、年間で390万円もの利益を失うことになるのです。

運賃の上昇

運賃には2種類あります。

  1. 製品を顧客に運ぶ費用 (販管費に計上)
  2. 材料の運搬や工場間の移動の運賃 (製造原価に計上)

2. は内部費用で、間接製造費用です。対して1. は顧客の納品場所、納品方法により変わります。特に大きな製品や単価の低い製品は、原価に占める運賃の割合は高くなります。

燃料費や人件費の上昇により、運賃も年々上昇しています。これを価格に転嫁しなければ赤字になってしまいます。そこで製品1個の運賃を以下のようにして計算します。

製品1個の運賃

トラック1台の費用と1台に積める量から計算します。A社 A1製品の場合を図に示します。

図  A1製品の運賃計算
図  A1製品の運賃計算

トラックのチャーター代 : 5万円
1車の積載量 : 2,500個

1個の運賃 = チャーター代 積載量 = 50,000 2,500 = 20 円

1個の運賃は20円でした。
トラックのチャーター費用が1.5倍に上昇すると、

運賃 = 20 × 1.5 = 30 円

見積を10円上げる必要があります。
A社の年間の輸送費が2,000万円であれば、50%の運賃の上昇は1,000万円の増加です。10円値上げしなければ利益が1,000万円減少します。

しかし運賃を見積の販管費に入れてしまうと、値上げ交渉が難しくなります。そこで運賃は販管費と別にします。その場合、その分販管費を低くします。

例 A社
販管費 : 7,700万円
部品の輸送費の年間合計 : 2,000万円
運賃を除外した販管費 : 5,700万円

図 販管費から運賃の除外
図 販管費から運賃の除外

図では、運賃2,000万円を販管費から除外し、販管費は5,700万円、販管費レートは25%→18%になりました。

輸送条件が異なる場合

運賃の計算で困るのは、同じ製品でも輸送条件が異なる場合です。

例えば
条件1 混載便とチャーター便
条件2 顧客までの距離(H工場20km、K工場200km)

毎回異なった運賃を顧客に請求するが難しい場合、それぞれの比率から平均運賃を計算します。まず過去の実績から比率を調べます。

【納品場所】
H工場まで50km 60%
K工場まで300km 40%

【チャーター、混載比率】
チャーター便 80%
混載便    20%

この比率から全体の比率を計算したものを表に示します。

輸送方法比率全体比率
H工場60%チャーター便80 %48 %
混載便20 %12 %
K工場40%チャーター便80 %32 %
混載便20 %8 %

チャーター便のH工場とK工場の運賃を図に示します。

図 チャーター便でのH工場とK工場の運賃
図 チャーター便でのH工場とK工場の運

混載便でのA工場とB工場の運賃を図に示します。

図 混載便でのH工場とK工場の運賃
図 混載便でのH工場とK工場の運賃

集計結果を表に示します。

運賃全体比率運賃×比率
H工場チャーター便48 %2048 %9.6
混載便12 %5012 %6
K工場チャーター便32 %4032 %12.8
混載便8 %1008 %8
合計(平均運賃)36.4

平均運賃は36.4円、これを見積に入れます。

このように光熱費や運賃などの費用の上昇は原価や利益に大きく影響することが分かりました。
他にも設計ミスや加工ミスで失敗しても損失が生じます。特に専用設備など毎回設計する製品ではこうしたミスは避けられません。

では設計ミスや加工ミスは原価や利益はどれだけ変化するのでしょうか?

設計ミスや加工ミスによるコストアップについては○○を参照願います。

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】

経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
中小企業が自ら原価を計算する時の手引書として、専門的な言葉を使わず分かりやすく書いた本です。
【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】モデルを使ってロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失

弊社執筆の原価計算に関する著作は以下からご参照いただけます

月額5,000円で使える原価計算システム「利益まっくす」

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利益まっくすの詳細は以下からお願いします。詳しい資料を無料でお送りします。

経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

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https://ilink-corp.co.jp/9593.html/feed 0
【原価計算と見積の基礎】13.段取時間の短縮 https://ilink-corp.co.jp/9579.html https://ilink-corp.co.jp/9579.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:30:25 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9579
このコラムの概要

製造業において、多品種少量生産が進む中、段取時間の短縮は極めて重要です。この取り組みは、生産停止時間を減らすことで設備の稼働率を高め、製品あたりの固定費を削減します。また、人件費や在庫コストの削減、さらにはリードタイム短縮による顧客満足度向上にも繋がります。段取時間の短縮は、単なる効率化に留まらず、企業の競争力強化に不可欠な経営戦略です。

 
ロットが減少すれば利益が少なくなります。これについては【原価計算と見積の基礎】12.ロットの減少によるコストアップで説明しました。

それでも利益を出すためには、段取費用を削減します。これには段取時間の短縮や外段取化があります。ここでは

  1. 段取の種類
  2. 段取時間の短縮
  3. 外段取化
  4. 段取時間の短縮と外段取化のコスト削減効果

について述べます。

1.二種類の段取

一般的に「段取」と呼ばれる作業は、二種類あります。1つは「品種の切替」、もう1つは「新たな製品の生産準備」です。 

品種の切替

 現在生産中の製品を「すでに実績がある別の製品」に切り替えることです。

今日では製品の種類が増え、大量生産の工場も以前より頻繁に段取を行っています。
多品種少量生産では段取の頻度はさらに高くなっています。そのため段取時間は生産性に大きく影響します。段取で行うことは加工方法によって変わります。具体的には以下の内容です。

【機械加工】
加工プログラムの切替、刃物の交換、加工治具の準備、設定値の入力など

【樹脂成形】
金型の交換、樹脂原料の入れ替え、射出成形機の設定など

【プレス加工】
金型の交換や材料の入れ替え

段取後は、テスト生産を行い品質を確認します。問題があれば製造条件を調整します。品質に問題がなければ生産を開始します。
すでに実績がある製品なので製造条件は確立し、作業手順も決まっています。そのためできるだけ短時間に行います。できれば目標時間を決め、実際にかかった時間を記録します。

新たな製品の生産準備

 これは「今まで実績のない製品」の生産準備です。以下の作業が増えます。

【機械加工】
加工プログラムの作成やテスト加工

単品生産や多品種少量生産では、日々新たな製品を生産します。日常の段取の多くはこの「新たな製品の生産準備」です。

【プレス加工、樹脂成形加工】
新しい金型を使ったテスト加工、加工条件の調整です。量産の現場ではそれほど多くありません。

プレス加工、樹脂成形加工など量産工場では、「品種の切替」を段取と呼び、新たな製品の生産準備は「生産立ち上げ」や「生産準備」と呼ぶこともあります。

この新たな製品の生産準備は、時間よりも作業の正確さとその後の生産の品質が安定していることが重要です。最初の設定に問題があれば、その後不良品を大量に生産してしまいます。

このように、2種類の段取では内容や要求されることが違います。では段取時間はどうやって短縮すればよいでしょうか。

2. 段取時間短縮の方法

 実際に段取作業を観察すると、様々な課題が見つかります。

  1. 段取に必要な治具や金型が近くにないため、遠くまで取りに行っている。あるいは治具や金型が見つからず探している。
  2. 治具や金型を取り付ける位置が定まっていないため、調整や芯出しをしている。
  3. 交換部分がユニット化されていないため、交換に時間がかかる(例 マシニングセンタのツールホルダの数が十分になく、ツールホルダの交換でなく、ツールホルダの刃物を交換している)。
  4. 段取作業中、締め付けるボルトの数が多く、締め付けに時間がかかっている。
  5. 段取の手順が作業者によってバラバラで、段取時間も作業者によって異なる。

このような課題を改善します。一方、段取時間は同じでも、段取を生産中に行えば、設備の停止時間を短くできます。これが外段取化です。

3. 外段取化

 外段取とは、生産中に次の生産の段取を行うことです。

例えばプレス加工や樹脂成形加工では、生産中に次の金型を運びます。樹脂成形加工では、すぐに生産できるように予めヒーターで金型の温度を上げておきます。

このように生産中に行う段取を「外段取」と呼びます。これに対して設備を止めて行う段取を「内段取」と呼びます。「内段取」の一部を「外段取化」すれば、段取中の設備の停止時間を短くできます。

図1では、金型交換1時間のうち、30分を外段取化しました。その結果、内段取時間は30分に短縮できました。

図1 射出成形機の外段取化

マシニングセンタの外段取

 マシニングセンタには、図2に示すようにワークをパレットと呼ばれる治具に固定し、このパレットを自動で交換するものがあります。

パレットを自動で交換する装置をパレットチェンジャー(PC)と呼びます。パレットの交換は自動で行いますが、パレットからのワークの着脱は作業者が行います。パレットには異なるワークを取り付けることができるため、パレットを交換すれば品種を切り替えることができます。またパレットチェンジャーに多くのパレットをセットすれば、夜間無人で生産できます。

図2 パレットチェンジャー

4. 段取時間短縮と外段取化のコスト削減効果

射出成型加工の外段取化の効果

 樹脂成形加工B社 B1製品 (ロット1,000個)、外段取化によって原価がどれだけ改善されるのでしょうか。

【従来】
段取時間(内段取) 1時間

【改善後】
外段取時間0.5時間 内段取時間0.5時間

外段取は生産中、作業者が空いている時間を使って行います。そのため外段取の人の費用はゼロです。

ロット数 : 1,000個
加工時間 : 0.0167時間 (1分)

この時の改善前と改善後の製造費用、利益を図3に示します。

図3 段取時間短縮の効果

製造費用          利益
段取1時間 : 16.7円   段取1時間 : 0.2円
段取0.5時間 : 15.2円    段取0.5時間 : 2.0円

ロット1,000個では0.2円しかなかった利益が、段取時間を短縮したことで2.0円に増加しました。全体の製造時間も短くなり、時間当たりの出来高も増えました。

この外段取化のコスト低減は、作業者が空いている時間に行うことで人の費用がゼロになったためです。生産中作業者が手一杯で、外段取のため他から応援してもらう場合は、人の費用が発生します。そうなると外段取化のコスト低減効果は大幅に減少します。

実は外段取化の最大のメリットは、設備の稼働時間が長くなることです。しかし、それをお金に変えるには、稼働時間が長くなった分、生産量を増やす、つまり受注を増やさなければなりません。外段取化を進めても受注が増えなければ利益は増えません。

では検査が追加されると原価はどれだけ変化するのでしょうか?

検査の追加によるコストアップについては【原価計算と見積の基礎】14.検査追加によるコストアップを参照願います。

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】

経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
中小企業が自ら原価を計算する時の手引書として、専門的な言葉を使わず分かりやすく書いた本です。
【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】モデルを使ってロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失

弊社執筆の原価計算に関する著作は以下からご参照いただけます

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経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

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【原価計算と見積の基礎】12.ロットの減少によるコストアップ https://ilink-corp.co.jp/9576.html https://ilink-corp.co.jp/9576.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:28:48 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9576
このコラムの概要

多品種少量生産が進む現代において、生産ロットの減少は製品原価を上昇させます。これは、生産量に関わらず発生する固定費(減価償却費、人件費など)を少数の製品で分担するためです。ロットが減ると、製品あたりの固定費負担が大きくなります。また、段取り替え時間や材料費も増加する可能性があります。このコスト増を正確に把握し、価格設定に反映させることが、多品種少量生産における重要な経営課題となります。

 
自動化や多台持ちにより原価は大幅に下がりました。
では、ロットの大きさが変われば原価はどのくらい変わるでしょうか。

ここでは機械加工A社、樹脂成形加工B社のロットの違いによる原価の違いを比較します。
 

機械加工A社、樹脂成形加工B社のロットの違いによる原価の違い

 
1個の製造時間は

ロットが大きくなれば、1個当たりの段取時間が短くなります。加工時間に比べて段取時間の長い製品は、ロットが変わると原価も大きく変わります。

では、ロットの違いにより原価はどのように変わるのでしょうか。具体的な数値で検証します。

機械加工A社

 多品種少量生産の例として機械加工A社について考えます。A社のA1製品のロットが100から20に減少しました。ここで

段取時間 : 0.5時間
加工時間 : 0.07時間

です。製造時間と製造費用を図1に示します。

図1 ロットの違いによる製造費用と利益


製造費用          利益
ロット100 : 380円   ロット100 : 50円
ロット20 : 480円    ロット20 : ▲70円

ロットが100から20に減少したことで1個当たりの段取時間は5倍になりました。その結果、製造費用は100円増加しました。
ロット100個では50円の利益がありましたが、ロット20個では70円の赤字になりました。

このように中小ロットの場合、ロットの大きさがわずかに変わっても原価が大きく変わります。では大量生産ではどうでしょうか。 

樹脂成形加工B社

 樹脂成形加工B社 B1製品のロットが10,000個から1,000個に減少しました。

段取時間 : 1時間
加工時間 : 0.0167時間 (1分)

製造費用と利益を図2に示します。

図2 ロットの違いによる製造費用と利益

製造費用          利益
ロット10,000 : 14.1円   ロット10,000 : 3.3円
ロット1,000 : 16.7円    ロット1,000 : 0.2円

このように段取時間が長くても、ロットが大きければ1個当たりの段取費用は小さくなります。

しかしロットが減少すれば、1個当たりの段取費用が増えて原価が上昇し、利益は0.2円に減少しました。 

ロットが大きくても小さくても、ロットの減少は原価に影響する

 中少量生産でも大量生産でも、ロットの大きさが変われば原価は変わります。しかしロットの小さい製品は、ロットの大きさが変わっても担当者は原価が大きく変わるとは思っていません。

発注先が1つの単価しか設定できない場合、ロットが変わっても同じ単価で発注されます。しかし、ロット100とロット20では原価は大きく違います。ロットが減少すれば価格交渉しなければなりません。

一方、納期に間に合わせるため、現場がロット100をロット20に分けて生産することもあります。ロットを分割すれば原価が上がることを現場に理解してもらい、現場が適切に判断できるようにします。では段取時間によって原価はどれだけ変化するのでしょうか?

段取時間の変化と外段取化については【原価計算と見積の基礎】11.段取時間の短縮を参照願います。

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】

経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
中小企業が自ら原価を計算する時の手引書として、専門的な言葉を使わず分かりやすく書いた本です。
【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】モデルを使ってロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失

弊社執筆の原価計算に関する著作は以下からご参照いただけます

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利益まっくすの詳細は以下からお願いします。詳しい資料を無料でお送りします。

経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

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【原価計算と見積の基礎】11.自動化とロボットの活用 https://ilink-corp.co.jp/9574.html https://ilink-corp.co.jp/9574.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:27:55 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9574
このコラムの概要

製造業における自動化・ロボット導入は、人件費削減、生産効率向上、品質安定化を通じて製品原価を大幅に下げます。初期投資は高額ですが、24時間稼働による生産能力の最大化や従業員の安全確保など、長期的な視点でのメリットは多大です。これにより、企業の競争力強化に不可欠な戦略となります。成功には、適切な導入計画と原価分析が鍵です。

設備の大きさによる原価に違いについて【原価計算と見積の基礎】10.高い設備は原価が高いのかで説明しました。

一方、今日では多くの設備がコンピューター制御化(NC化)され、起動ボタンを押せば自動で生産します。この時、原価はどうなるのでしょうか。

この自動化・無人化に関し、以下の6点について述べます。

  1. 人と設備、段取と加工の組合せ
  2. 無人加工と有人加工の違い
  3. 無人加工中の作業者の費用
  4. 人をロボットに置き換えた場合

1. 人と設備、段取と加工の組合せ

 人と設備が稼働する場合、どのように原価を計算するのでしょうか。最初に図1に示すように製造費用を人と設備、段取と加工(製造)で分けて考えます。

図1 段取と加工

図1で加工中の人と設備の組み合わせから

  • 有人加工 (人と設備が同時に加工)
  • 人のみ
  • 無人加工 (加工は設備のみ)

この3つがあります。無人加工の場合、段取は

内段取 : 設備を止めて段取
外段取 : 生産中に設備を止めずに段取

の2つがあります。

「人のみ」の現場で設備を一部使用する場合、設備の費用は、その現場の間接製造費用とします。そしてアワーレート間(人)の計算に入れます。同様に「無人加工」の現場で一部人が関与する場合、人の費用はその現場の間接製造費用とし、アワーレート間(設備)の計算に入れます。

なお、本コラムで原価に段取費用を入れているのは、ロットの大きさが変わると原価も変わるためです。

ロットが少なくなれば1個当たりの段取費用が高くなり原価が上がります。これが原因で赤字になることもあります。一方、大量生産で段取がほとんどない場合、段取費用は原価に入れません。その場合、段取は生産ロスと考えます。

2. 無人加工と有人加工の違い

  有人加工 : 加工中、作業者が設備を常時操作する
無人加工 : 加工中、作業者は設備についていない

この違いを段取と加工に分けて説明します。

有人加工

 【段取】
作業者は設備を止めて段取を行うため、人と設備の両方の費用が発生します。

【加工】
作業者は設備を常に操作するため、加工中も人と設備の両方の費用が発生します。

図2 有人加工

有人加工の場合、製造費用は人の費用と設備の費用の合計です。

人と設備の時間が同じであれば、アワーレートはアワーレート間(人)とアワーレート間(設備)の合計です。これをアワーレート(人+設備)と呼ぶことにします。

アワーレート間(人+設備)=アワーレート間(人)+間アワーレート(設備)  

無人加工

 【段取】
有人加工と同じです。作業者は設備を止めて段取を行うため、人と設備の両方の費用が発生します。

【加工】
設備が自動で加工し、作業者は設備から離れます。加工中は設備の費用のみ発生します。

図3 無人加工

ただし無人加工での作業者の費用がゼロになるには、加工中、作業者は他の現場で「別のお金を稼ぐ仕事」をする必要があります。

「お金を稼ぐ仕事」とは「見積に入っているバリ取りや検査など」です。見積に入っていない検査や次の生産準備はお金を稼いでいません。その場合は加工中も人の費用がかかると考えます。その場合、無人加工でも原価は有人加工と同じです。

設備が無人で加工を続けるには、材料の自動供給と製品の自動取出し(自動排出)の機能が必要です。こういった機能がなく材料の供給と製品の取出しを作業者が行う場合はどうなるのでしょうか。

この時、作業者が複数の設備を担当することがあります。これが多台持ちです。  

多台持ち

  作業者が1人で複数の設備を担当することです。大量生産の工場でよく行われます。1人で2台担当すれば2台持ち、3台担当すれば3台持ちと呼びます。以下は2台持ちの説明です。

【段取】
作業者は設備を止めて段取を行うため、人と設備、両方の費用が発生します。

【加工】
2台持ちの場合、作業者は2台の設備を担当します。

設備の費用は有人加工と同じですが、人の費用は1/2です。

図4 多台持ち

A社のマシニングセンタ1(小型)の年間費用(実際の償却費)140万円です。これは正社員より低い金額です。従って無人加工で人の費用がゼロになれば原価は大きく下がります。2台持ちは人の費用が半分になります。有人加工より原価は低くなります。

一方、無人加工中作業者は他の現場で「別のお金を稼ぐ仕事」をする必要がありますが、これはなかなか難しいです。

実際は加工中作業者がその現場で設備の状態を監視したり、製品の検査や仕上げ作業を行ったりしています。この場合、加工中の作業者の費用はどう考えたらよいでしょうか。

3. 無人加工の作業者の費用

 この場合、無人加工中の作業者の費用は、設備の間接製造費用と考えます。図5は、無人加工の設備が4台あり、2人の作業者が担当しています。

作業者は、設備の段取を順に行い、段取が完了すれば設備は無人で加工します。段取が終われば、作業者は次の段取の準備や完成品の品質確認を行います。無人加工でも多くの現場はこのようにしています。

図5 無人加工中の作業者

この場合、加工中も作業者の費用は発生します。ただし加工中作業者は複数の設備を担当し、作業者の費用がどの製品にどのくらい生じているのかわかりません。そこで加工中の作業者の費用は、設備の間接製造費用とします。

アワーレート間(設備)は

図5の例では4台の設備に作業者が2名なので2台持ちと同じです。作業者の持ち台数が多くなれば、原価はさらに下がります。

作業者の費用は、加工中は設備の間接製造費用、段取中は直接製造費用です。そこで作業者の日々の時間の中で段取時間と加工時間の割合が必要になります。ただしこの比率を正確に調べるのは大変なので、数日間サンプルを取って代表値とします。これを図6に示します。

図6 無人加工の作業者の費用

図6は設備が4台、作業者が2名の場合

作業者の段取時間と加工時間
段取 : 2,200時間 (50%)
加工 : 2,200時間 (50%)

設備は4台なので合計時間は
段取 : 2,200時間
加工 : 6,600時間

段取中は、人と設備の費用が両方発生するため、段取のアワーレートは、アワーレート間(人)とアワーレート間(設備)の合計です。
加工中は設備の費用のみです。ただし、人の費用は間接製造費用としてアワーレート間(設備)に含まれます。その結果

段取のアワーレート : 3,670円/時間 (2,610+1,060)
加工のアワーレート : 2,180円/時間

4. ロボットの導入

 ロボットを導入して無人加工ができれば原価は下がります。しかし、従来の産業ロボットは高価で安全フェンスのため広い場所も必要で、導入は容易ではありませんでした。

近年、スピードはそれほど速くないのですが、安価で安全フェンスも不要な協働ロボットが普及してきました。こういったロボットを導入した場合、原価はどうなるのでしょうか。

図8 ロボット化の場

500万円のロボットでも5年間使用すれば、年間のロボットの費用(実際の償却費)は100万円、パート社員と変わりません。ただし協働ロボットは、スピードは遅いため人よりも時間は長くなります。

しかし、人は24時間働けませんが、ロボットは24時間働けます。ロボットは有休もとりません。人は作業スピードが遅くなったり、トイレのために抜けたりしますが、ロボットは一定のスピードで動き続けます。

そこで現在の作業のままロボットを人と置き換えるより、スピードは劣っても24時間稼働できるロボットの特徴を生かして作業を見直しします。ロボットを導入することで設備が長時間稼働できればアワーレート(設備)が下がり原価が低くなります。
ロボット化でどれだけ原価は下がるのでしょうか。

では製造ロットが変わると原価はどれだけ変化するのでしょうか?

ロットの減少によるコストアップについては【原価計算と見積の基礎】12.ロットの減少によるコストアップを参照願います。

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本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

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【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

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経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
中小企業が自ら原価を計算する時の手引書として、専門的な言葉を使わず分かりやすく書いた本です。
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経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

 

 

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【原価計算と見積の基礎】10.高い設備は原価が高いのか https://ilink-corp.co.jp/9572.html https://ilink-corp.co.jp/9572.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:26:13 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9572
このコラムの概要

高額な設備投資は、減価償却費を増やすものの、必ずしも原価を高騰させるわけではありません。生産効率の向上、不良品の削減、人件費抑制など、多くのコスト削減効果を生む可能性があります。重要なのは、設備価格だけでなく、その設備が生産プロセス全体に与える価値を総合的に評価することです。適切な設備投資は、長期的に見て製品あたりの原価を下げ、企業の競争力を高めます。

大きな設備と小さな設備で原価はどのように変わるのでしょうか?設備の大きさの違いによる原価に関して、以下の5点について述べます。

  1. アワーレート(設備)と設備の費用
  2. 設備の違いによって現場を分けるかどうか
  3. アワーレート(設備)の間接製造費用の影響
  4. 具体的な原価の違い

1. アワーレート(設備)と設備の費用

 アワーレート(設備)は、

本コラムでは設備の年間費用は、決算書の減価償却費でなく実際の償却費を使います。ランニングコストには以下のものがあります。

設備の購入費用 : 実際の償却費
ランニングコスト : 光熱費、消耗品費、修理代、保守料など


図1
 

ランニングコスト

 ランニングコストは設備を動かすのに必要な電気代など光熱費、消耗品費、修理代、保守契約費用などです。この中で設備の差が大きいものをアワーレート(設備)に入れます。今回は電気代のみランニングコストに入れました。

それ以外の費用は金額が少なく設備毎の差も小さいので、間接製造費用として各現場に分配しました。

設備の年間費用が高ければアワーレート(設備)も高くなります。では設備によって現場を分けた方がいいのでしょうか。 

2. 違う設備は現場を分けた方がいいか

 これは設備の機能・能力で判断します。

設備の価格やランニングコストが違っていても、同じ加工であれば生み出す付加価値も同じです。従って、同じ現場にします。 

A社の場合

 機械加工A社は、小型のマシニングセンタ4台と大型のマシニングセンタ4台があります。(図2)この4台は導入時期が異なり、減価償却が残っている設備もあります。ただし加工能力はこの4台の間で差はありません。

大型のマシニングセンタは、大きな部品が加工できるため単価の高い製品が受注できます。
一方、小型のマシニングセンタよりスピードが劣るため、小さな部品は原価が高くなります。

そのため現場はこの2つを使い分けしています。そこで小型のマシニングセンタと大型のマシニングセンタは別の現場とします。

ただし同じ製品を、ある時は大型のマシニングセンタ、ある時は小型のマシニングセンタと、現場が使い分けしていなければ同じ現場にします。つまり、現場を分けるかどうかは「実際に使い分けしているかどうか」です。

図2

です。ラインの効率は

各設備のサイクルタイムのばらつきを縮めない限り、現状では10%のロスが必ず発生します。これは複数の設備に工程分割すれば必ず発生するロスです。実際は、アワーレートの計算には直接製造費用だけでなく、間接製造費用も含まれます。
間接製造費用はアワーレート(設備)にどのように影響するのでしょうか。

3. 間接製造費用の影響

 この間接製造費用を現場に分配する場合、様々な方法があります。本コラムは、

  • 現場の直接製造費用に比例
  • 現場の直接製造時間に比例

この2つを使います。

この間接製造費用を含めたアワーレートがアワーレート間(人)、アワーレート間(設備)で、これは以下の式で計算します。

では設備の大きさによって、原価はどう変わるでしょうか。具体的な数値で検証します。 

4. 具体的な原価の違い

機械加工A社

図5に示すA社の2つの現場(マシニングセンタ1(小型)とマシニングセンタ2(大型))のアワーレート(設備)や原価を比較します。

図5 A社のマシニングセンタのアワーレート

マシニングセンタ2(大型)の1台の年間費用280万円はマシニングセンタ1(小型)140万円の2倍でした。アワーレート(設備)も2倍になりました。ここでは、間接製造費用を各現場の直接製造費用に比例して分配しました。

これは「直接製造費用の高い現場は付加価値の高い製造をするため、間接製造費用を多く負担する」考え方です。その結果、分配した間接製造費用は、

マシニングセンタ1(小型) : 145万円

マシニングセンタ2(大型) : 185万円

でした。間接製造費用を分配したアワーレート間(設備)は、

マシニングセンタ1(小型) : 1,720円/時間

マシニングセンタ2(大型) : 2,850円/時間

1.7倍に差は縮みました。この違いが原価にどう影響するのでしょうか。A社 A1製品の原価を図6に示します。

図6 A1製品の受注条件と原価、利益

A1製品は、製造費用
マシニングセンタ1(小型) : 380円

マシニングセンタ2(大型) : 470円 (+90円)

利益
マシニングセンタ1(小型) : 50円

マシニングセンタ2(大型) : ▲60円

マシニングセンタ1(小型)では50円の利益が、マシニングセンタ2(大型)では60円の赤字になりました。このように大きな(年間費用の高い)設備は原価が上がります。

実際マシニングセンタ2(大型)は製造費用が90円増えました。しかし、この90円の多くは固定費(実際の償却費)です。つまり赤字でも本当にお金が出ていくわけではありません。

もし、マシニングセンタ2(大型)でも加工できる製品があり、マシニングセンタ2(大型)が空いていれば、マシニングセンタ2(大型)で加工すべきです。

そうすれば原価計算上は赤字でも会社の利益は増えます。この点は誤解する現場の人も多いので注意します。 

このように設備毎の原価の違いを計算できました。

では設備を自動化すれば原価はどう変わるでしょうか?

設備の自動化と多台持ち、ロボットの活用については【原価計算と見えない赤字】9.自動化とロボットの活用を参照願います。

 

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【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

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【原価計算と見積の基礎】7.間接費用の分配 https://ilink-corp.co.jp/9566.html https://ilink-corp.co.jp/9566.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:20:53 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9566
このコラムの概要

製品の正確な原価計算と見積もりには、間接費(家賃、光熱費など)の適切な分配が不可欠です。これらの費用を各製品に配賦する際、売上高や作業時間など、企業の状況に合った基準を選択することが重要です。これにより、製品ごとの収益性が明確になり、価格設定や経営戦略の精度が高まります。不適切な配賦は原価を歪め、企業の利益を損なう可能性があります。

 
6.設備のアワーレートの計算方法(2)ではアワーレート(設備)の計算について説明しました。ここでは人と設備以外の費用、間接製造費用と販管費の計算について説明します。
 

意外と大きい間接部門の費用

間接製造費用とは

 工場には直接製品を製造する直接部門と、製品を直接製造しない間接部門があります。間接部門には生産管理、資材調達、物流、品質管理などがあります。間接部門の費用は間接製造費用です。

また直接部門にも部長や課長など管理に専任し直接製造しない人たちもいます。現場の中にも生産準備など補助的な作業を行い、どれだけ作業すれば、どれだけ生産できるのか明確でない作業者もいます。彼らの費用も間接製造費用です。

A社の部門構成を図1に示します。

図1 A社の部門構成

A社の直接製造部門

  • マシニングセンタ1(小型)
  • マシニングセンタ2(大型)
  • NC旋盤
  • ワイヤーカット放電加工機
  • 組立
  • 出荷検査
  • 設計

A社は設計費用も見積に入れているため、設計も直接製造部門です。間接部門は

  • 生産管理
  • 資材発注
  • 品質管理
  • 受入検査

です。また製造課の課長やマシニングセンタの現場のパート社員は間接作業者です。 

設計や検査は直接部門か?間接部門か?

 加工、組立の現場は直接製造部門です。では検査や設計は直接部門と間接部門のどちらでしょうか?
これは、設計費用や検査費用が見積に含まれるかどうかによります。(図2)

図2 設計費用の考え方

【設計費用】
設計費用は、以下の2種類があります。

  1. 自社製品として設計し、製造・販売する製品の設計費用
  2. 顧客の要求に基づいて設計・製作する製品の設計費用

1.の設計費用は開発費で、製造原価の間接製造費用です。あるいは設計費用が研究開発費の場合、販管費のこともあります。

2.の場合、設計費用が見積に含まれるかどうかで、設計費用が直接製造費用か、間接製造費用か変わります。

設計費用が見積に含まれる場合、設計費用は直接製造費用です。この場合、製品毎に設計時間を集計し、設計時間から設計費用を計算し、原価に加えます。そうしないとその製品が儲かったかどうかがわかりません。

設計費用が見積に含まれない場合、設計費用は間接製造費用です。この場合、他の間接部門の費用と同じように各現場に分配します。

【検査費用】
検査費用も同様です。検査費用が見積に含まれる場合、検査もお金を稼いでいます。その場合、検査は直接部門です。検査費用は直接製造費用です。
一方、検査費用が見積に含まれなければ、検査は間接部門です。検査費用は間接製造費用です。

受入検査は見積に含まれないため、受入検査は間接部門で、受入検査の費用は間接製造費用です。
 

これも大きい「工場の経費」

 
もうひとつの間接製造費用は工場の経費です。図3に代表的な工場の経費を示します。

図3 製造経費

図3のうち消耗品・消耗工具費の一部は本来は材料費です。もし消耗品、消耗工具の中で、特定の製品で消費量が多いものがあれば、その費用は直接製造費用として、その製品の製造原価に入れます。

例えば、ある製品は特殊な刃物を使用して加工します。その刃物は高価で消費量も多いため、その刃物代のみ直接製造費用としてその製品の見積に入れます。 

間接製造費用の原価への組込み1 (簡便な方法)

 間接製造費用を原価に組み込む際、2つの方法があります。

ひとつは個々の製品の直接製造費用に一定の比率(間接費レート)をかけて間接製造費用を計算する方法です。この場合、間接費レートは第2章 式2-6より

間接費レート= 先期の間接製造費用 先期の直接製造費用

A社の場合

先期の間接製造費用合計 : 4,680万円
先期の直接製造費用合計 : 1億1,820万円

間接費レート= 4,680 1億1,820 =0.396≒0.40

間接費レートは40%でした。従って

製造費用=直接製造費用×(1+間接費レート)
    =直接製造費用×(1+0.4)
    =直接製造費用×1.4

直接製造費用を1.4倍すれば、製造費用になります。 

間接製造費用の原価への組込み2 (現場の分配)

 間接製造費用を部門別に計算し各現場に分配する場合、本コラムでは以下のように行います。

  • 間接部門の費用は労務費のみとする。
  • 製造経費は間接部門には分配せず、各現場に直接分配する。

この間接部門の費用と製造経費を、各現場の直接時間、もしくは直接製造費用のいずれかに比例して分配します。

  • 直接製造費用に比例して分配
  • 直接製造時間に比例して分配 (人・設備)

設備の直接製造時間に比例して分配する場合、設備がない現場は人の時間を使用します。人の直接製造時間に比例して分配する場合、無人で加工する設備の現場は設備の時間を使用します。(図4)

ただし、特定の現場で多く消費している費用があれば、その現場固有の費用とします。

図4 間接製造費用の分配

直接製造費用に比例して分配

 直接製造費用に比例して分配する場合、各現場の直接製造費用を計算し、直接製造費用の大きい現場には、間接製造費用を多く分配します。直接製造費用が大きい現場は生み出す付加価値が高くたくさん稼ぐはずです。たくさん稼ぐ現場には、間接製造費用をたくさん負担してもらうという考え方です。 

直接製造時間に比例して分配

 直接製造時間に比例して分配する場合、各現場の直接製造時間を合計し、現場毎の直接製造時間の比率を計算します。直接製造時間の大きい現場に間接製造費用を多く分配します。直接製造時間が大きい現場は工場の資源(リソース)を多く使用し、生み出す付加価値も高いと考えます。その分間接製造費用をたくさん負担してもらう考えです。 

アワーレート間の計算

 どちらの分配ルールを採用するかで現場毎のアワーレートは変わります。しかしどちらが正解ということはないので、自社に合った方法を選択します。

アワーレート間(人)、アワーレート間(設備)は

アワーレート間(人)= 人の年間費用合計+間接製造費用分配 直接作業者の稼働時間合計

アワーレート間(設備)= 設備の年間費用合計+間接製造費用分配 直接設備の稼働時間合計

人の年間費用合計は、その現場の直接作業者と間接作業者の人件費の合計です。従って

アワーレート間(人)= 直接作業者人件費合計+間接作業者人件費合計+ 間接製造費用分配 直接作業者の稼働時間合計

また設備の年間費用合計は、その現場の直接製造設備の費用と間接製造設備の費用の合計です。従って

 

アワーレート間(設備)= 直接製造設備の年間費用合計+間接製造設備費用合計+間接製造費用分配 直接設備の稼働時間合計

A社マシニングセンタ1(小型)の現場の計算例

 A社マシニングセンタ1(小型)の現場の例を図5に示します。

図5 間接製造費用を含んだアワーレート(人)

A社は直接製造費用に比例して間接製造費用を分配しました。その結果、マシニングセンタ1(小型)の人の現場の間接製造費用の分配は580万円でした。

アワーレート間(人)= 直接作業者の人件費合計++間接作業者人件費合計+間接製造費用分配 直接作業者の稼働時間合計
= (1,672×10^4+115.2+580×10^4) 7,040
=3,363≒3,360円/時間

マシニングセンタ1(小型)の現場は

アワーレート(人) : 2,540円/時間
アワーレート間(人) : 3,360円/時間

この現場の間接製造費用を含んだアワーレート(設備)を図6に示します。

図6 間接製造費用を含んだアワーレート(設備)

マシニングセンタ1(小型)の設備の現場の間接製造費用分配は580万円でした。

アワーレート間(設備)= 直接製造設備費用合計++間接製造設備費用合計+間接製造費用分配 直接作製造設備の稼働時間合計
= (140+18.4)×4×10^4+0+580×10^4) 2,200×0.8×4
=1,724≒1,720円/時間

マシニングセンタ1(小型)の現場
アワーレート(設備) : 900円/時間
アワーレート間(設備) : 1,720円/時間 

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本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

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このコラムの概要

設備稼働にかかる変動費(電気代、消耗品費など)を正確にアワーレートに含めることが重要です。これにより、個別の設備コストを正確に把握できるだけでなく、企業全体の生産性向上と利益最大化に繋がります。複数の設備が関わる生産プロセスでは、各設備のアワーレートを正確に把握し、最適な生産計画や設備投資を策定することが、企業の競争力を高める鍵となります。

 
【原価計算と見積の基礎】5.設備のアワーレートの計算方法(1)ではアワーレート(設備)の計算に必要な減価償却費について説明しました。

ここではアワーレート(設備)の具体的な計算について説明します。
 

アワーレート(設備)の計算

 

アワーレート(設備)の計算に使用する設備の年間費用は、実際の償却費とランニングコストです。アワーレート(設備)の計算は以下の式です。

複数の設備がある場合、複数の設備を平均した現場の平均アワーレート(設備)を計算します。

 

A社 マシニングセンタ1(小型)の現場の場合

 

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場の設備を(図1)に示します。

図1 A社マシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレート(設備)

計算を簡単にするため4台とも

購入価格 : 2,100万円
ランニングコスト : 18.4万円
年間操業時間 : 2,200時間
稼働率 : 0.8
実際の耐用年数 : 15年

とします。実際の償却費は

現場の平均アワーレート(設備)は

マシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレート(設備)は900円/時間でした。

4台の設備は導入後、それぞれ4年目、8年目、11年目、12年目でした。

決算書の減価償却費は

4年目 : 215万円
8年目 : 138万円
11年目 : 0円
12年目 : 0円

従って減価償却費から計算したアワーレート(設備)は

減価償却費から計算したマシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレート(設備)は600円/時間でした。
 

24時間稼働した場合

 

人は24時間働けませんが、設備は24時間稼働できます。24時間稼働すれば稼働時間が長くなり、アワーレート(設備)は低くなります。

A社のマシニングセンタ1(小型)を24時間稼働させた結果、

年間操業時間 : 2,200時間 → 6,000時間

年間の電気代 : 18.4万円 → 50.2万円

年間の電気代は50.2万円に増加しました。アワーレート(設備)は

電気代は増えましたが稼働時間が大幅に増えたため、アワーレート(設備)は

昼勤のみ: 900円/時間

24時間 : 400円/時間

昼勤のみの44%になりました。高価な設備はアワーレート(設備)が高くなりますが、24時間動かせばアワーレート(設備)を低く抑えられます。
 

年に半分しか稼働しない場合

 

逆に設備を動かさなければアワーレート(設備)は上昇します。

マシニングセンタ1(小型)の現場で、購入11年目と12年目の設備が半分しか稼働しない場合(図2、図3)

図2 年に半分しか稼働していない設備
図3 2台は年に半分しか稼働しない場合

アワーレート(設備)は以下のようになります。

アワーレート(設備)は1,200円/時間、約1.3倍になりました。

将来更新する設備は使わなくても費用が発生しています。そのため使わない時間が長ければアワーレート(設備)は高くなります。
 

高い設備と安い設備がある場合

 

価格の高い設備と低い設備は、アワーレート(設備)が違うのでしょうか。

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場で、高性能な設備(例えば5軸マシニングセンタ)を1台導入した場合を考えます。この設備は、複雑な加工ができる反面、価格が4,200万円と高価でした。

図4に示すマシニングセンタ1(小型)の現場で購入4年目の設備が4,200万円の場合

図4 1台が高価な設備の場合



4,200万円のマシニングセンタは

実際の償却費 : 280万円 (2倍)

マシニングセンタ単体の
アワーレート(設備) : 1,700円/時間

それまでの2倍近くになります。そのため現場の平均アワーレート(設備) は、1,100円/時間 になり、200円/時間上昇しました。その分見積も高くなります。

高価な設備は価格に見合った付加価値を生むことができれば問題ありません。

しかし、従来の設備と同じ付加価値しか生まなければコストアップになってしまいます。
  

どこまで細かく計算するのか? 設備のランニングコスト

 
設備のランニングコストには図7のようなものがあります。

図7 ランニングコストの例

その内訳は

  • エネルギーコスト
    電気、ガス、水道など水道光熱費
  • 消耗品
    オイル、クーラントなど液体
    二酸化炭素、アルゴン、窒素ガスなど気体
    ウェス、刃物、工具など固体
  • 修理・保守費用
    修理代、保守契約などサービス費用

これらの費用はどの設備でどれだけ発生したのか正確にはわかりません。そこで間接製造費用として、他の工場の経費と共に各現場に分配します。

ただし、設備によっては特定の費用がとても高いことがあります。その場合、その費用はその設備の直接製造費用としてアワーレート(設備)の計算に入れます。例えば

  • ヒーターがあるため消費電力がとても大きい設備。あるいは射出成型機など設備の大きさで消費電力が変わりアワーレート(設備)にも影響する場合。
  • 窒素、二酸化炭素やアルゴンガスなどのガスを多く消費する設備。
  • 食品製造設備のように終業後洗浄のため多量の水を使用する設備。
  • 刃物やオイルなどの特定の消耗品の使用量が多い設備。
  • 多額の修理費が発生する設備。
  • 多額の修理費に備えて毎年保険をかけている設備。又は高額な保守契約をメーカーと締結している設備。

これらの費用は、その設備、あるいは現場固有の費用として、アワーレート(設備)の計算に入れます。

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本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

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