やはり、地方より「東京」 展示会の費用対効果を考える

突然ですが、魚釣りで一番大事なことは何でしょうか。

それは魚がいるところに釣り糸を垂らすことです。

 

魚のいるところで釣らなければ…

魚のいるところで釣らなければ…

そんなの当り前といわれるかもしれません。

しかし意外と魚がいないところに釣り糸を

垂れていることは少なくありません。

また魚は気まぐれで、しかも海は広いので

いつも同じ場所にいるとは限りません。

魚がいても、エサの種類とエサを垂らす深さが違っていても釣れません。

海底近くにいるハゼやカサゴを釣るためには、

彼らの好むゴカイやイソメを海底に沈める必要があります。

 

実は展示会の出展も同様のことが言えます。

実際展示会を見学するとターゲットとなる顧客が

ほとんどいない展示会に出展している企業が少なくありません。

 

出展理由は、「出展費用が安かった」、「商工会議所から頼まれた」、

などいろいろあると思います。

しかし、出展費用がゼロでも、ブース装飾にお金がかからなくても、

ターゲット顧客のほとんどいない展示会に出展するのは、

費用対効果から考えていかがでしょうか。

まあ出展すれば露出機会が広がって知名度が上がるという考え方もありますが、

中小企業、特に製造業で社名を覚えただけで仕事を依頼するでしょうか。

 

また来場者数も展示会によって大きく変わります。

以下、来場者数の例です。(2008年の実績)

国際工作機械見本市(JIMTOF)   13万人

国際食品工業展(FOOMA JAPAN)  11万人

インターネプコン・ジャパン    5万人

関西機械要素技術展(大阪)      3万人

このように東京や大阪などの大都市でも

来場者数は展示会によって大きな違いがあります。

 

さらに専門分野での業界の展示会では、その分野の来場数が多く、

見込み客の割合が高くなります。

一方様々な分野の業種が入り混じっている展示会では、

ターゲットでない業種の来場者もいるため、見込み客の割合が少なくなります。

この来場者数は地方都市の展示会ではさらに少なくなります。

 

ある中規模地方都市(人口40万人程度)の展示会では、

来場者数は2日間で5,000人弱でした。

しかもこの中には、社会見学のためにクラス単位でやってきた高校生や、

地域の住民も含まれています。

それでいて出展費用は、5~10万円くらいかかります。

 

例えばこの展示会に、金属切削加工の中小企業が出展したとし、

展示会の費用対効果を計算してみます。

ブース出展費用は5万円とします。

またブース装飾や社員の人件費などに200,000円かかったとします。

ターゲット顧客は、金属切削の部品を発注したい製造業の企業です。

5,000人の内、対象となる企業の方が1割とすると、

そのうちの3割が自社のブースに来場すれば、顧客獲得コストは、

(200,000円+50,000円)/(5000×0.1×0.3)=1667円です。

これが展示会の費用対効果を表します。

 

では東京の専門分野の大規模展示会に出展した場合です。

ブース出展費用は200,000円とします。

しかし来場者数が100,000人と多く、ターゲット顧客に近い客層が来場します。

来場者数の3割がターゲット顧客であり、そのうちの0.2割が来場すれば、600人です。

顧客獲得コストは、(200,000円+200,000円)/(100,000×0.3×0.02)=667円です。

 

つまり同じ期間出展しても、東京のような来場者数の多い展示会は

費用がかかるが、顧客獲得数が多く、結果として展示会の費用対効果は

2.5倍になります。

 

また費用対効果だけでなく、その展示会の来場者に

「自社のターゲット顧客がどのくらい含まれているのか」

も配慮すべきです。

専門分野の業界の展示会であれば、ほぼその分野に関連する方が来場しますが、

一般的な分野の展示会や行政が主催する展示会では、

一般の消費者や行政機関の方の来場する割合が多く、

ビジネスにあまりならない展示会もあります。

特に地方の展示会ではそういった傾向にあります。

これは出展する前年に自ら足を運んで雰囲気を確かめたり、

その際出展者に聞いたりするとわかります。

 

そういった点でも東京は全国から人が集まるため魅力的です。

地方の大手企業の方も情報収集は東京に行きます。

また地方の展示会ではメーカーの来場者も実務担当者が多いのですが、

東京の専門分野の業界の展示会では上級管理者などがやって来ます。

 

実際地方のある中小企業は、東京の大きな展示会に出展したところ、

思いもよらぬ大きな企業から引き合いがあり、

実際に商談に行くことができたそうです。

 

実は多くのメーカーにとって、日本は主要な市場でなくなりつつあります。

その結果海外メーカーをはじめとした大手メーカーは

日本の展示会に出展しなくなっています。

実際、東京ビッグサイトや幕張メッセで開催される展示会に行っても、

すべてのコマが出展者で埋まっていることは最近少なくなりました。

 

従って、中小企業にもこういった大きな展示会に

出展するチャンスは十分にあります。

ただし、いきなり東京の展示会に出展するのは心理的な負担が大きいので、

地方の展示会で運営や接客を練習しておいて、

東京の展示会に出展するのは良い方法です。

 

展示会集客の意外なコツについては、こちらから参照いただけます。

 

 

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