自動車が、スマートフォンやテレビのようになる?
今日自動車メーカーはより一層コストを削減するために、モジュール設計を導入し、できる限り部品の共通化を図っています。
これは1つの部品が多くの車種をまたがることで生産量が増大します。
これにより部品メーカー間の競争が激しくなってきました。
昨年11月にトヨタは、2017年末までに米国、日本、欧州向け自動車に衝突防止システムを導入すると発表しました。
中型車以上はデンソー製のレーダーとカメラのシステムを採用するそうです。
しかし小型車はコンチネンタル製のレーダーシステムになるそうです。
部品の共通化が進む今日、このようにヨーロッパのメーカーが国内メーカーでも採用されると、今後部品メーカーの立場は厳しくなくなるかもしれません。
昨年開催された「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2014 名古屋」でもカナダのマグナ社など海外メーカーも出展していました。
現在、自動車の電子化が進み、高級車には100以上のECU(Electronic Control Unit)が搭載されています。
そして現在センサーとECUのソフトウェアのプラットフォームの共通化が進められています。
これはAUTOSARと呼ばれ、現在ヨーロッパ主導で進められています。
現在はECUごとにソフトウェアが作られています。
そこでAUTOSARは、ハードウェアとアプリケーションの間に、共通のソフトウェア(プラットフォーム)を入れて、
ハードウェアが変わっても共通のソフトウェアが使えるようにするものです。
AUTOSARの詳細は以下のサイトを参照してください。
AUTOSARの導入にはデメリットもあり、日本メーカーは慎重になっている反面、ヨーロッパでは、その取り組みが先行してします。
なんとなく、パソコンの黎明期を思い出すのですが、気のせいでしょうか。
20年以上前は、パソコンのOSはマイクロソフトのMS-DOS以外に、IBMのOS/2などもありました。
しかし最終的には、Windowsに集約されました。
AUTOSARが自動車のWindowsにならなければ良いのですが…。
このような記事を見ても、自動車がコモディティ化しつつある気がします。
この車については、(株)デジタルメディア研究所 代表 橘川氏が自身のブログで、
インターネット社会になったことで商品のこだわりが減衰したと言っています。
かつて車はステータスでした。
それが1980年代、若者たちにとって車は《個室》であり《洋服》になったと言っています。
しかしインターネット社会になって若者たちの「商品へのこだわり」が減衰し、
100円ショップの商品のように、リーズナブルで質の良いものであれば良くなってきました。
現在新車の半分が軽自動車であるのも、若者たちの消費が変わってきたことの表れかもしれません。
そのせいか地方では軽自動車に乗ったカップルを良く見かけます。
見栄や体裁にこだわらず、自分達に必要なものを節約して消費しているカップルを見ると、車という商品の位置づけが変わってきていると感じます。
ところが自動車メーカーの人たちは、車が好きな人たちが多く、良い車を作りたいと考えているようです。
以下、JBPRESSより引用
トヨタのチーフセーフティテクノロジーオフィサーの吉田守孝氏は、2011年に豊田章男社長が復活させた1980年代の同社のスローガンを引き合いに出して、こう語る。
「もし単なる移動手段だったら、自動車でなくてもいいんですから」
ホンダの研究開発部門である本田技術研究所の社長、山本芳春氏は、
運転体験は「快適さと楽しさ」のどちらも欠かせないと話す。
「動く箱なんて作りたくないですよ」
しかしメーカーの考える「良いクルマ」と若者達が「欲しい」と思う車は一致するのでしょうか。
そして自動車メーカーの考える「良いクルマ、運転して楽しいクルマ」に、若い人たちは余分にお金を払ってくれるでしょうか。
私自身は、運転しなくても車が運んで行ってくれるなら、その間に読書やスマホを見ることができるので、運転の楽しみより、こちらの方が断然いいです。
ひょっとするとお酒を飲んでも車が運んで行ってくれるかもしれません。
或は今後増加する高齢者はどう思うのでしょうか。
タタがナノの開発に乗り出したのは、タタ・モーターズのラタン会長が雨の日に家族4人が1台のバイクにまたがる光景を見て、
「どうしたら快適に彼らが移動できるだろうか?」
という質問を考えたことがきっかけでした。
そして、バイク並みの価格「10万ルピー」の車を作る決意しました。
日本のメーカー―も、タタのような発想で新たなイノベーションを起こしてほしいと思います。
まだ自動車の恩恵に預かっていない人々は日本にもいるはずですから。
【イノベーションについてのまとめ】
イノベーションとは何か、日本企業のイノベーションの例、画期的なアイデアとそれを実現する方法、そしてイノベーターを脅かす模倣者の戦略など、今までのコラムを
「過去のイノベーションとデジタル時代のイノベーションについて」
にまとめました。良かったら、こちらもご参照ください。
経営コラム ものづくりの未来と経営
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