段取り時間短縮 その1
多品種少量生産の生産現場では、直接生産している時間よりも、段取り替えの時間の方が長い場合があります。
その場合、生産性の改善やコストダウンには、段取り替え時間の短縮が効果的です。
この段取り替え時間が長いために、できるだけ段取り替え時間の影響を少なくするために生産ロットを大きくしてしまう場合があります。
顧客の発注単位以上に生産ロットを大きくすると、その分在庫が増えてしまいます。
あるいは、1ヶ月の発注の1,000個でも、発注単位は250個で、毎週納入する場合生産ロットが250個であれば、生産した分は全部納入することができます。
ところが生産ロットが1,000個であれば750個はすぐに納入することができず、現場に保管されます。
これが現場のスペースを圧迫し、生産性を低下させる場合があります。
このように段取り替え時間が長いことはデメリットが多く、段取り替え時間の短縮は大きな効果を発揮します。
この段取り替え時間の短縮は、以下のステップで行ないます。
ステップ1 現状の段取り替え時間を測定します。
ステップ2 段取り替え作業を分析します
ビデオ撮影で作業を記録し、個々の作業を分解します。
ステップ3 内段取りと外段取りに分けます。
内段取り 機械を止めて行なう段取り替え作業
外段取り 機械を止めずに加工しながらできる段取り替え作業
ステップ4 内段取りで行なわれている作業を外段取りで行なうようにします。
ステップ5 段取り作業自体を簡単にします。
例えば工作機械などの加工機械では、実際に取組むポイントとして、
・加工治具の取り付けのワンタッチ化やボルトレス化
・刃物のパーマネントセット化
・ワーク毎の加工条件の一覧表や、条件出しの目印
・汎用計測器から、通止めゲージへの変更
・工具を機械のそばに置いたり、現場の配置を見直すことで、歩行距離の短縮
・複数での作業
などがあります。
これらの改善により、当初75分かかっていた段取り替え時間が、6分にまで短縮した例もあります。
1日1回段取り替えが合った場合、大幅な生産性の向上が実現できます。
以下に工作機械を例に具体的な取組方法を紹介します。
ステップ1 現状時間測定
段取り替えの目標時間が決めてなく、作業者は何分で段取り替えを終了するのが適正か知らない場合があります。
そこで、まずは特定の製品でも良いので、段取り替え時間を測定し、目標値を決めます。
ステップ2 段取り替え作業の分析
段取り替え時間がばらつく原因として、段取り替え作業のやり方が作業者毎にばらばらな場合があります。
段取り替え作業の早い作業者の作業をビデオ撮影し、どのような順序でどうやって作業しているか、作業者全員で見て分析します。
早い作業者のやり方を標準化することで、段取り替え作業の時間短縮を図ります。
金型の交換、工作機械のクランプ治具やバイスの交換、加工条件の調整などは、作業者毎に作業の順序ややり方に違いが出やすい箇所です。
ステップ3 内段取りと外段取りに分けます。
ステップ2でビデオで分析する際に、内段取りと外段取りに分けます。
ステップ4 内段取りと外段取り化
内段取りと外段取りにできないか、考えます。
例えば多品種少量生産では、工具交換の時間が段取り替え時間の大半を占めることがあります。
工具の数の分だけをツールホルダを用意して、工具をつけたままにすれば(パーマネントセット)大幅な時間短縮ができます。
一方そこまでツールホルダを購入できない場合は、繰り返し生産する製品については工具だけでも製品の種類毎にまとめて保管すれば、工具を探す時間が短縮できます。
あるいは工具をホルダにセット作業を、前の製品の生産中に行なうようにすれば(外段取り化)、段取り替えによる停止時間は大幅に短縮します。
ステップ5 段取り作業の改善
調整時間の短縮
バイスやクランプ治具を交換した際、適正な位置にすぐに置けるように、位置決めブロックや位置決めピン、けがきなどを追加し、位置調整時間を短縮します。
測定の際は、ノギスやマイクロメーターのような汎用計測器でなく、それぞれの製品専用に通止めゲージを製作すれば、計測時間の短縮と計測ミスの防止が図れます。
段取り時間短縮 その2については、こちらから参照いただけます。
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