コンサルタントの効果的な活用方法 その2
コンサルタントを活用して、企業の業績を向上するためには、コンサルティングの価値を理解しておく事をお勧めします。
コンサルタントの3タイプ
実は、コンサルタントは以下の3つがあると私は考えています。
- 民間コンサルタント
- 公的コンサルタント
- 顧問(民間)
その違いは、以下のように考えます。
公的コンサルタント
助言・アドバイスが主です。
そして企業側の費用負担が極めて少ないか、無料の場合もあります。
アドバイスは、知識の提供です。
これは公的支援では、費用の関係からそれ以上活動は、
なかなかできないと考えていいでしょう。
これは必要なことが分かれば、実行できる経営者には効果的です。
ただ、現実にはわかっているができないことも少なくありません。
顧問
お金をもらって、助言をする人です。
やはり知識の提供です。
あるいは、経営者の話を聞いて、将来の方向性や打ち手を引き出すコーチング的な顧問もあります。
民間コンサルタント
事業としてコンサルタントを行っているので、多くの場合、顧客獲得のために営業経費がかかり、その分費用も高くなります。
民間コンサルタントは、企業の経営課題の解決に、つまりゴールを約束して、取り組むことになります。
(約束と言っても、契約書に書いてなかったり、成果が出なくても違約金を払うわけではありませんが、依頼する側は、必ずある成果を期待しています。)
つまり、ゴールイメージを明確にして、企業の方とゴールを合意してから取り組むことになります。
その手法は、様々なものがあります。
経営手法の導入型
大手コンサルティングファームが良く行う手法で、欧米では一般的な手法です。
代表的な手法として
- SCM(サプライチェーンマネジメントシステム)
- BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)
- シックスシグマ
などです。
欧米では、経営者がコンサルティングファームを呼んで、
コスト削減や利益を増やす手法を導入して、
経営を改善し株価を上げることを計画します。
この場合、短期的な成果を求める傾向があり、
長期的に見てその経営手法が企業の課題解決に適切かどうかは疑問な場合もあります。
基本的には、どの手法が適しているのかは、導入する企業がよく調べて判断する必要があります。
ある経営手法の説明会で、コンサルタント会社の方が
「それは儲かりますか?」
と質問したそうです。
とても正直な質問です。
ISO認証も、実はコンサルティングを買っている
こういった経営手法は費用の点で、中小企業とは今まで無縁でした。
ところが20年ほど前から事情が変わりました。
ISO等のマネジメントシステムを導入する場合が出てきたからです。
他にも取引差との関係で、情報セキュリティ、事業継続(BCP)などのマネジメントシステムを取得しなければならない企業もあります。
企業は、「認証取得」という看板を買ったつもりかもしれません。
実際は、会社の中に多かれ少なかれ新たな仕事の仕組みを導入することになります。
これが自社の業務に大きな影響を与える場合も少なくありません。
経営者の気づかぬうちに業務量が増え、仕事の流れが滞り、経営に大きな影響を与えます。
基本的には、これらマネジメントシステムの導入もコンサルティングと考えるべきです。
看板だけでなく、自社に最適な仕組みかどうか、コンサルタントとよく話し合って仕組みづくりを依頼すべきです。
研修
人のスキルが課題の場合、解決策として教育があります。
その場合、研修を導入し、講師に研修を行ってもらうことがあります。
これは短期間で効果が期待できます。
一方、その研修講師を今後社内の人間でできなければ、ずっと外部研修を依頼することになります。
外部研修の問題として、一般的なカリキュラムになっているため、自社の固有な課題にカスタマイズできない点があります。
研修で課題を解決する場合、研修を受けた人が次は講師となってOJTを行い、社内に伝搬できるようにすることが望ましいです。
一方で、本当に研修で解決するかどうか、見極めることが重要です。
- 積極性がない
- リーダーシップを取ろうとしない
- ミスが多い
などは、個々の人の問題でなく、
組織の問題、仕事のやり方の問題、上司の問題であることも少なくありません。
ミスをガミガミ怒鳴られている職場で、
「社員に積極性がないから」と研修を受けさせても、
積極的に行動しても失敗すれば、また怒鳴られると分かっていれば、
積極的にはなりません。
業務代行
コンサルタントが実際に業務の一部を代行する場合です。
IT系では、コンサルタント業務とシステム導入がセットになっていたりします。
営業コンサルタントが、同行営業などで営業代行する場合もあります。
あるいは、コンサルタントが仕組みづくりを指導する場合でも、
企業の方が全くイメージがわかない場合、
最初の書式や仕組みを作って見せる場合があります。
その場合、いつまでがゴールで、ゴールの時点で社内で仕組みが回せるようになるのか、明確にしておきます。
弊社の考える、コンサルタントの価値
多くの企業は、課題もわかっているし、課題に対してどうすべきか分かっていることが少なくありません。
従って、コンサルタントがアドバイスをしても
「そんなことはわかっている!」ということになります。
「わかっていてもできないことを、できるようにすること」がコンサルタントの価値と考えます。
そのためにはゴールを明確にした上で、ゴールに向けて努力することを顧客と合意する必要があります。
コンサルタントと企業の方が一体となって、現状の変革に取り組まなければ達成できません。
その上で、コンサルタントは、改革の手法を知っているだけでなく、個々の企業に合わせてカスタマイズする必要があります。
中小企業は、百社あれば百通りの企業があると言われるように千差万別です。
プロスポーツ選手のコーチが、個々の選手の特徴に合わせて、オリジナルの練習メニューを組むように、
コンサルタントも個々の企業の特性に合わせて、プログラムを組む必要があると考えます。
そのためには、クライアント企業の業務を理解していなくては出来ません。
これを私は
「コンサルタントはその企業の現場感をわかっている必要がある」
と思っています。
実務上のスキルや知識は、
それを専業でやってきたクライアント企業の方の方がはるかに良く知っています。
かつてのように、その分野にとても詳しい大先生が重々しく指摘したことを、
クライアント企業がまじめに実践したら、すごく成果があがったということは、
中小企業では難しいと思います。
企業の経営者と社員とコンサルタントが一緒になって、
目標を共有し、
コンサルタントは持っている経営手法や考え方を企業に合わせて最適化し、
3者が必死になって取り組むことで、
やっと企業が変革できます。
そして変革が継続する仕組みを入れることで、コンサルタントがいなくても変革が持続します。
これが弊社の考えるコンサルティングの価値です。
リーダーのスキルアップを実現した仕組み
コンサルティング事例の一部を紹介します。
工場の改革プロジェクトの中で、リーダー人材のスキル不足という問題がありました。
リーダーは今まで部下を指導したことがない人たちばかりなので、部下の管理ができません。
目標管理制度と週報を導入しました。
毎期の全社目標から、その期の部門の目標をリーダーに考えてもらいました。
全社目標がコスト削減-20%であれば、
それを実現するために自分の部門は、何を行い、数値目標を立ててもらいました。
その部門目標を達成するために、毎月の自らの部門で行うことをリーダーに考えてもらいました。
そして月初の会議で、以下の内容を報告してもらいました。
- 部門目標達成のため、先月行った取り組み
- 行った結果、どうだったか
- それを踏まえて、今月は何を行うのか
そして1週間の取組状況を、週末に週報に買いて、上司に提出してもらいました。
週報には、目標の進捗状況に加えて、
「部下の仕事ぶりはどうだったか」、
「現場で発生した問題はないか」
書いてもらいました。
(フォームにそのような項目を設けました。)
つまりリーダーに自ら書くことで、強制的に考える仕組みを作りました。
- 書くことにより、部下はどうだったか振り返ります。
- 書くことで、部門目標の進捗状況も考えます。
- 書くことで、その週の問題点を思い出します。
- 書くことで、問題点を放置せず、対策します。
- 上司はそれを見ることで、リーダーの考えていることが分かります。
- 週報の内容を会議で発表することで、部門間の情報共有も図ることができます。
これを読んで導入できる企業は、コンサルタントは必要ないと思います。
知識があれば解決できるからです。
実際運用を始めてみると色々な問題が発生し、中断してしまいます。
それをひとつひとつ解決し、軌道に乗せることがコンサルティングの価値です。
軌道に乗れば、
リーダーが育つ仕組みが回り、
リーダーが育っていき、
コンサルタントは不要となります。
他にもコンサルタントのについては、以下のコラムにあります。
危険なコンサルタントの見抜き方~「コンサルタントを活用して成果を上げる方法」
経営コラム ものづくりの未来と経営
人工知能、フィンテック、5G、技術の進歩は加速しています。また先進国の少子高齢化、格差の拡大と資源争奪など、私たちを取り巻く社会も変化しています。そのような中
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