下請け企業にとっての展示会、新規開拓の効果は?

従来、ものづくりの中小企業、特に大手企業の下請け企業にとって、

展示会はあまり縁がないものでした。

 

多くの下請け企業は、特に営業活動をしなくても、

かつては大手企業からの取引で十分な受注がありました。

また営業しようにも、大手企業の一部の工程を請け負って

いるため、どのように売っていいかわからない、

従って新規開拓の方法がわからない場合も少なくありませんでした。

そのため新しい設備の導入などで展示会に行くことがあっても、

新規開拓のために展示会を活用しない企業は多くありました。

しかし最近では、従来の取引先だけに頼っていてはリスクが大きい、

あるいは受注が減ってきたため新規開拓が必要になった、

そのような中小企業の経営者が増えています。

この新規開拓の方法として、展示会に出展しようという企業も

増えています。

最近は自治体など行政機関も、中小企業支援のために展示会の出展を

積極的に支援しているところもあります。

こういった支援サービスを活用すれば少ない費用で出展でき、

「出てみようか」という企業も少なくありません。

 

では、展示会のメリットは何でしょうか。

これは圧倒的な集客力です。

展示会の規模にもよりますが、大きい展示会であれば、

会期中に3~5万人もの来場者があります。

これだけの来場者を1企業が集客することは不可能です。

たとえ行ったとすれば、いくらかかるか想像もつきません。

これは展示会という場を主催者が提供し、そこに多くの企業が

出展することで、来場者にとって魅力的な場となっているからです。

その結果、様々な地域、業種の企業の、様々な職種の人と

短期間に出会うことが出来ます。

その集客の費用を考えると、出展料の20~50万円は

決して高くはありません。

 

その一方で来場者全員が自社のブースを訪れるわけではありません。

(第一、そんなに来られても応対できませんが。)

ある企業は、3万人規模の展示会に出展した際、

自社のブースへの来場者は300人でした。

従って、自社のブースへの来場率は1%です。

この300人の来場者の内、2/3が営業、同業者など顧客以外だとすれば、

新たな顧客情報が100人分手に入ったことになります。

 

一般的には名刺やアンケートを集めるコスト(CPLコストパーリード)は、

1万円程度といわれています。

従って、この展示会の効果は、100万円の価値があります。

そう考えると出展料、ブース装飾費、社員の人件費を合わせた

出展費用に対する費用対効果は悪くありません。

まして自治体の支援で安く出展したり、費用の補助を受けたりする場合、

費用対効果はさらに高くなります。

 

実際、私も企業の技術者だったころ、展示会で多くの

新しい製品や企業と出会い、新たな取引を始めてきました。

新規開拓を考えているなら、展示会の出展を検討することをお勧めします。

 

ただし、この成果が実を結ぶには、この新たな顧客情報を

新規開拓の成果につなぐことが必要です。

そうでなければこの費用は無駄になってしまいます。

つまり展示会の効果は、展示会後の営業活動によって決まります。

これについては、別の機会にお伝えします。

 

追記

社会人になってから、展示会にいろいろ関わってきました。

見学であったり、出展者だったり、

その目的もライバル会社の情報収集から、

新しい商材を探すことだったり、いろいろでした。

出展者としてブースに立って、一生懸命説明したら、

ライバルメーカーの人間だったなんて失敗も数多くしました。

でも、展示会での出会いが新たな取引の始まりとなったこともいっぱいありました。

だから、余計に準備が不十分で折角の機会を活かしきれていない会社の

ブースを見るともどかしく感じます。

「上手くPRすれば、出展者も来場者も幸せになれる」

そんな想いでこの記事を書きました。

 

 

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