稼働率 | 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク https://ilink-corp.co.jp 数人の会社から使える原価計算システム「利益まっくす」 Mon, 27 Oct 2025 09:32:27 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.7.4 https://ilink-corp.co.jp/wpst/wp-content/uploads/2021/04/riekimax_logo.png 稼働率 | 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク https://ilink-corp.co.jp 32 32 【原価計算と見積の基礎】6.設備のアワーレートの計算方法(2) https://ilink-corp.co.jp/9564.html https://ilink-corp.co.jp/9564.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:20:18 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9564
このコラムの概要

設備稼働にかかる変動費(電気代、消耗品費など)を正確にアワーレートに含めることが重要です。これにより、個別の設備コストを正確に把握できるだけでなく、企業全体の生産性向上と利益最大化に繋がります。複数の設備が関わる生産プロセスでは、各設備のアワーレートを正確に把握し、最適な生産計画や設備投資を策定することが、企業の競争力を高める鍵となります。

 
【原価計算と見積の基礎】5.設備のアワーレートの計算方法(1)ではアワーレート(設備)の計算に必要な減価償却費について説明しました。

ここではアワーレート(設備)の具体的な計算について説明します。
 

アワーレート(設備)の計算

 

アワーレート(設備)の計算に使用する設備の年間費用は、実際の償却費とランニングコストです。アワーレート(設備)の計算は以下の式です。

複数の設備がある場合、複数の設備を平均した現場の平均アワーレート(設備)を計算します。

 

A社 マシニングセンタ1(小型)の現場の場合

 

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場の設備を(図1)に示します。

図1 A社マシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレート(設備)

計算を簡単にするため4台とも

購入価格 : 2,100万円
ランニングコスト : 18.4万円
年間操業時間 : 2,200時間
稼働率 : 0.8
実際の耐用年数 : 15年

とします。実際の償却費は

現場の平均アワーレート(設備)は

マシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレート(設備)は900円/時間でした。

4台の設備は導入後、それぞれ4年目、8年目、11年目、12年目でした。

決算書の減価償却費は

4年目 : 215万円
8年目 : 138万円
11年目 : 0円
12年目 : 0円

従って減価償却費から計算したアワーレート(設備)は

減価償却費から計算したマシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレート(設備)は600円/時間でした。
 

24時間稼働した場合

 

人は24時間働けませんが、設備は24時間稼働できます。24時間稼働すれば稼働時間が長くなり、アワーレート(設備)は低くなります。

A社のマシニングセンタ1(小型)を24時間稼働させた結果、

年間操業時間 : 2,200時間 → 6,000時間

年間の電気代 : 18.4万円 → 50.2万円

年間の電気代は50.2万円に増加しました。アワーレート(設備)は

電気代は増えましたが稼働時間が大幅に増えたため、アワーレート(設備)は

昼勤のみ: 900円/時間

24時間 : 400円/時間

昼勤のみの44%になりました。高価な設備はアワーレート(設備)が高くなりますが、24時間動かせばアワーレート(設備)を低く抑えられます。
 

年に半分しか稼働しない場合

 

逆に設備を動かさなければアワーレート(設備)は上昇します。

マシニングセンタ1(小型)の現場で、購入11年目と12年目の設備が半分しか稼働しない場合(図2、図3)

図2 年に半分しか稼働していない設備
図3 2台は年に半分しか稼働しない場合

アワーレート(設備)は以下のようになります。

アワーレート(設備)は1,200円/時間、約1.3倍になりました。

将来更新する設備は使わなくても費用が発生しています。そのため使わない時間が長ければアワーレート(設備)は高くなります。
 

高い設備と安い設備がある場合

 

価格の高い設備と低い設備は、アワーレート(設備)が違うのでしょうか。

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場で、高性能な設備(例えば5軸マシニングセンタ)を1台導入した場合を考えます。この設備は、複雑な加工ができる反面、価格が4,200万円と高価でした。

図4に示すマシニングセンタ1(小型)の現場で購入4年目の設備が4,200万円の場合

図4 1台が高価な設備の場合



4,200万円のマシニングセンタは

実際の償却費 : 280万円 (2倍)

マシニングセンタ単体の
アワーレート(設備) : 1,700円/時間

それまでの2倍近くになります。そのため現場の平均アワーレート(設備) は、1,100円/時間 になり、200円/時間上昇しました。その分見積も高くなります。

高価な設備は価格に見合った付加価値を生むことができれば問題ありません。

しかし、従来の設備と同じ付加価値しか生まなければコストアップになってしまいます。
  

どこまで細かく計算するのか? 設備のランニングコスト

 
設備のランニングコストには図7のようなものがあります。

図7 ランニングコストの例

その内訳は

  • エネルギーコスト
    電気、ガス、水道など水道光熱費
  • 消耗品
    オイル、クーラントなど液体
    二酸化炭素、アルゴン、窒素ガスなど気体
    ウェス、刃物、工具など固体
  • 修理・保守費用
    修理代、保守契約などサービス費用

これらの費用はどの設備でどれだけ発生したのか正確にはわかりません。そこで間接製造費用として、他の工場の経費と共に各現場に分配します。

ただし、設備によっては特定の費用がとても高いことがあります。その場合、その費用はその設備の直接製造費用としてアワーレート(設備)の計算に入れます。例えば

  • ヒーターがあるため消費電力がとても大きい設備。あるいは射出成型機など設備の大きさで消費電力が変わりアワーレート(設備)にも影響する場合。
  • 窒素、二酸化炭素やアルゴンガスなどのガスを多く消費する設備。
  • 食品製造設備のように終業後洗浄のため多量の水を使用する設備。
  • 刃物やオイルなどの特定の消耗品の使用量が多い設備。
  • 多額の修理費が発生する設備。
  • 多額の修理費に備えて毎年保険をかけている設備。又は高額な保守契約をメーカーと締結している設備。

これらの費用は、その設備、あるいは現場固有の費用として、アワーレート(設備)の計算に入れます。

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】

経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
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【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
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【原価計算と見積の基礎】4.人のアワーレートの計算方法 https://ilink-corp.co.jp/9560.html https://ilink-corp.co.jp/9560.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:18:32 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9560
このコラムの概要

企業の原価計算には、アワーレートを正確に算出することが不可欠です。これには、単なる賃金だけでなく、法定福利費や退職金、交通費、さらには家賃や光熱費といった間接費まで含める必要があります。これらの費用を網羅的に考慮し、人件費を固定費として扱うことで、製品の正確な原価を把握し、利益を確保できる競争力のある見積もりが可能になります。

 
【原価計算と見積の基礎】2.製造原価の計算方法(1)では工場で発生する必要と製造原価の構成について

【原価計算と見積の基礎】3.製造原価の計算方法(2)では間接製造費用と販管費、見積金額の計算について説明しました。

ここではアワーレート(人)の計算について説明します。
 

アワーレート(人)は稼働率を入れて計算

 
アワーレート(人)とは、1時間あたりの人の費用です。

これは時給とは違うのでしょうか?
 

アワーレート(人)の計算

 
アワーレート(人)は、人の年間費用を1年間の稼働時間(実際にお金を稼いでいる時間)で割って計算します。

1年間の稼働時間は、年間の就業時間に稼働率をかけて計算します。

従ってアワーレート(人)の計算は以下のようになります。

つまりアワーレート(人)は、稼働率の分、時給より高くなります。
 

A社 正社員Aさんのアワーレート(人)

 
A社の正社員Aさんの費用とアワーレート(人)を図1に示します。稼働率は80%とします。

図1 正社員Aさんのアワーレート

Aさんの支給額は月20.23万円〈注1〉賞与含めて15か月分で303.5万円でした。

社会保険料の会社負担分は303.5万円の16%、49万円でした。


〈注1〉本コラムはできるだけ区切りがいい数字になるように金額を決めています。そのため、現実の費用と比べると高すぎる、あるいは低すぎることがあります。

Aさんの年間費用は

年間費用=20.23×15×(1+0.16)
    =352 万円

Aさんのアワーレートは、

A社 パート社員Hさんのアワーレート(人)

 
パート社員Hさんの時給は、960円/時間、年間費用は115.2万円でした。(図2)

アワーレート(人)は、稼働率が0.8のため、Hさんのアワーレート(人)1,200円/時間でした。

図2パート社員のアワーレート(人)

正社員Aさんのアワーレート(人)   : 2,000円/時間

パート社員Hさんのアワーレート(人) : 1,200円/時間

時給960円のHさんのアワーレート(人)は、稼働率0.8で割ったため1,200円です。

なぜアワーレート(人)の計算に稼働率をかけるでしょうか?

この稼働率は何を意味するのでしょうか?
 

稼働率の意味するところ

 

稼動率の意味は、企業や書籍により様々です。本コラムは、稼働率を「就業時間に対し付加価値を生んでいる時間(稼働時間)の割合」とします。


例えば、ある作業者の1日は図3のようになっていました。

図3 ある作業者の1日

この1日は以下のように分けられます。
 

【付加価値を生んでいる時間】

  • 段取時間
  • 生産時間

 
【付加価値を生んでいない時間】

  • 朝礼
  • 移動
  • トイレのため離席
  • 資材を探す
  • 会議
  • 片付け

 

ここで付加価値を生んでいる時間に段取時間が入っているのは、本コラムは段取費用も見積に入れているからです。

多品種少量生産では、ロットの大きさが違うと製品1個当たりの段取費用が大きく変わります。そのため原価に段取費用を入れます。

大量生産で段取の頻度が少なく、段取費用が見積に入っていない場合、段取時間は付加価値を生まない時間です。

作業者が1日忙しく働いていても、このような付加価値を生まない「稼いでいない時間」があります。しかしこの時間も費用(人件費)は発生しています。

そこで就業時間に対し付加価値を生んでいる時間の割合を稼働率とします。

アワーレート(人)は、人の年間費用を就業時間に稼働率をかけたもので割って計算します。受注が少なくなり稼いでいる時間も少なくなれば、稼働率は下がります。

1日フルに生産するだけの受注がなく、空いた時間に5S活動(整理・整頓)や改善活動を行っても、それは「お金を稼いでいない時間」です。その分、アワーレート(人)は高くなっています。

稼動率は、作業者の稼働時間と就業時間を集計すれば計算できます。

実際は1年を通して行うのは大変なので、数名を一定期間調べて全体の稼働率を推定します。稼働率の値は、1日現場に入っている作業者でも80~95%ぐらいです。
 

賃金、社会保険料、派遣、請負などの費用は?

 

労務費には図4に示すように

  • 賃金
  • 賞与
  • 退職金
  • 各種手当
  • 社会保険料(法定福利費)
  • 福利厚生費
  • 雑給

があります。

図4 労務費の内訳

この労務費は、賃金、賞与、退職金、各種手当などが含まれます。

各現場の人の年間費用は、その現場に所属している人の労務費を集計します。

社会保険料は、全社員がまとめて計上され、個々の社員の金額はわからないことがあります。社会保険料の会社負担の合計はA社では約16%でした。そこで人件費の16%で概算しました。(これは業界によって異なりますので注意してください。)

派遣社員や請負の費用は労務費でなく、外注費や製造経費に入っていることもあります。
これらは原価計算では「労務費」なので、各現場の人の費用に入れ、その分、外注費や製造経費からマイナスします。
 

賃金の高い人のつくった製品の原価は高いのか?

 
正社員Aさんとパート社員Hさんのアワーレート(人)は

正社員Aさんのアワーレート(人)   : 2,000円/時間

パート社員Hさんのアワーレート(人) : 1,200時間

パート社員Hさんのアワーレート(人)は正社員Aさんの60%です。その結果、同じ製品を1時間かけて製造した時の費用は

正社員Aさんが製造   : 2,000円

パート社員Hさんが製造 : 1,200円

パート社員Hさんが製造すればAさんの60%になります。

この計算は正しいのですが、現実には全く同じ製品を、つくった人が違うために異なる原価で管理するのは困難です。

そこで正社員Aさん、パート社員Hさんも含めた、その現場全体の平均アワーレート(人)を使います。
 

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場の平均アワーレート

 

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場は、図5に示すようにA~Dさんまで4人の作業者(正社員)がいました。年間総支給額も352~528万円と幅がありました。

ただし就業時間と稼働率は、計算を簡単にするため同じにしました。

図5 現場の平均アワーレート(人)

マシニングセンタ1(小型)の現場の作業者の年間費用合計は

作業者の年間費用合計=352+352+440+528
          =1,672 万円

マシニングセンタ1(小型)の現場の作業者の「就業時間×稼働率」の合計は

作業者の「就業時間×稼働率」の合計=2,200×0.8×4
                 =7,040 時間

平均アワーレート(人)は以下の式で計算します。

マシニングセンタ1(小型)の現場の場合

平均アワーレート(人)は、2,380円/時間でした。この2,380円/時間であれば、誰がつくっても同じ原価になります。

 

稼働率が低い年は翌年アワーレート(人)が高くなる?

 

忙しい月は人の稼働率が高く、暇な月は稼働率が低くなります。

その結果、忙しい月はアワーレート(人)が低くなり、暇な月はアワーレート(人)が高くなります。そうなると原価が変わってしまいます。

これでは製品が儲かっているのは

  • 高く受注できた
  • 短い時間で生産できた
  • たまたまその月は稼働率が高かった

どれなのかわからなくなってしまいます。

アワーレート(人)は、原価を計算する「ものさし」です。

そこで稼働率は年間で一定とし、アワーレート(人)は一年間変わらないようにします。(この点が、毎月の稼働率から実際原価を計算する財務会計の原価計算と違う点です。)

一方、年によって繁忙状況が変わることもあります。

本コラムは、先期の決算書からアワーレートを計算します。そのため先期の稼働率が低ければ、翌期のアワーレート(人)は高くなります。

本当は、先期は受注が少なかったので、今期は受注を増やしたいところです。

しかし今期のアワーレート(人)が高ければ、見積も高くなってしまい、一層受注しにくくなります。

この場合は、工場が元々目標としている稼働率でアワーレート(人)を計算します。そしてその稼働率を達成できるように営業活動に力を入れます。

では、アワーレート(設備)はどうやって計算するのでしょうか。

アワーレート(設備)の計算方法は【原価計算と見積の基礎】5.設備のアワーレートの計算方法(1)で説明します。

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】

経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
中小企業が自ら原価を計算する時の手引書として、専門的な言葉を使わず分かりやすく書いた本です。
【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】モデルを使ってロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失

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月額5,000円で使える原価計算システム「利益まっくす」

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【現場で役立つ原価のはなし】 3. アワーレート(人)とは?その1 計算方法 https://ilink-corp.co.jp/3962.html https://ilink-corp.co.jp/3962.html#respond Fri, 21 Sep 2018 01:25:06 +0000 http://ilink-corp.co.jp/?p=3962
このコラムの概要

人が1時間作業した時の費用「アワーレート(人)」は、年間人件費を実働時間と稼働率で割って算出します。その際、給与以外に賞与や社会保険料も含みます。また稼働率によってアワーレート(人)は変動します。また人の賃金によって異なるため、その現場の平均アワーレートを使います。

人が1時間作業すると、会社にとってどれだけのコストがかかるのか?
それを示すのが「アワーレート(人)」(円/時間)です。
今回は、実際の計算方法や、稼働率による違い、現場ごとの違いなど実践的な視点からアワーレート(人)を解説します。

なお、具体的に理解できるように、架空のモデル企業の数値を入れて実際に計算しています。

1時間当たりの人の費用は?

アワーレート(人)は、社員にかかる年間費用を年間の労働時間で割ることで求めます。

例:社員aさんの場合

  • 年間費用:400万円
  • 年間労働時間:2,100時間
  • アワーレート(人) : 1,900円/時間

これは以下の式で計算します。

1時間の費用 = 1年間の人の費用 年間時間 =     2,100 = 1,905 ≒ 1,900 円/時間

図 人の費用とアワーレート(人)
図 人の費用とアワーレート(人)

人件費が年間400万円の場合、1時間1,900円の費用が発生します。

人の年間費用とは?

例えば、ある会社が社員aさんに支払う費用には以下のようなものがあります。

  • 基本給 : 21万円 (定時時間162時間/月)
  • 残業手当 2.1万円 (月平均残業時間 13時間、残業割増率 : 25%)
  • 賞与(年間合計) : 3か月
  • 総支給額 347万円
  • 社会保険料(会社負担) : 53万円(年間)
  • 年間人件費合計 400万円

時給とは違うアワーレート(人)

aさんの基本給を手時時間で割った時給は約1,300円です。
しかし実際の総支給額347万円を年間就業時間で割った時間単価は1,900円です。なぜならaさんの費用には、賞与や手当、会社負担の社会保険料も含まれているからです。


実はアワーレートは、この1,900円/時間ではないのです。

アワーレート(人)の計算式

なぜならアワーレート(人)の計算には稼働率が入るからです。

アワーレート(人)の計算式

アワーレート(人)の計算式は以下の式です。

アワーレート(人)= 1年間の人の費用 年間時間×稼働率

例:aさんの稼働率が80%の場合

アワーレート(人)は

アワーレート(人)= 1年間の人の費用 年間時間×稼働率 =   400万円 2,100時間×0.8 =2,381 ≒ 2,380 円/時間

稼働率を考慮すると、アワーレート(人)は1,900円/時間が、2,380円/時間と1.3倍に増加します。
なぜ稼働率で割るのでしょうか?

注) 本コラムは一桁目を四捨五入することがありますが、これは数字を直感的にとらえやすくするためです。実際は正確に計算してください。

稼働率とは?

1日の就業時間の中で、実際に「付加価値を生んでいる時間」の比率です。
なぜなら作業者の1日の中でお金を稼いでいない時間があるからです。

「お金を稼いでいる時間」とは?

  • お金を稼いでいる時間(稼働時間):段取・生産時間(見積に含まれるため原価対象)
  • お金を稼いでいない時間(非稼働時間):朝礼、移動、資材を探す、片付け、トイレなど
ある作業者の1日

このお金を稼いでいない時間も費用は発生しているため、アワーレート(人)の計算では稼働率で割って、稼働率の分アワーレート(人)が高くなるようにしています。

注) ここで段取時間を生産時間に入れているのは、見積金額に段取費用を入れているからです。段取もお金をもらうため「お金を稼いでいる時間」です。多品種少量生産では、ロットが変わると原価が大きく変わるため、原則として段取費用も見積に入れます。
これに対して大量生産では段取費用を見積に入れないことが多く、この場合、段取時間は「お金を稼いでいない時間」です。

稼働率の計算

稼働率は以下の式から計算します。

稼働率= 稼働時間 就業時間

原価計算の目的は以下の2つです。

  • 見積金額の妥当性を判断
  • 実際の利益を分析し改善点を探る

そのため、アワーレート(人)は1年間固定して使うのが基本です。前年実績をもとに設定した値に固定することで正確な利益分析ができます。
その場合、稼働率は年間の平均稼働率を使用します。


一方月次決算では、現場の稼働率は毎月変動するため、適切な稼働率を計算します。その結果、アワーレート(人)も毎月変動します。

注) 稼働率はさまざまな定義がありますが、本コラムでは稼働率は就業時間(設備は操業時間)に対する稼働時間の比率とします。

稼働率の実態と測定

現場によって実際の稼働率は異なります。
実際の値は、大量生産の作業者で90~95%、多品種少量生産の現場ではこれより低くなります。

稼働率によってアワーレート(人)が大きく変動しますが、全員の稼働率を把握するのは簡単ではありません。すべて日報に細かく記録していない現場も多く、たとえ記録していてもデータ化されていない工場もあります。(IoTデバイスでリアルタイムに記録していれば別ですが)。

そこで数人の作業者を数日間サンプリングしておよその稼働率を測定します。こうして調べると稼働率が思ったより低いこともあります。
(私の経験では、生産準備や後片付けのため1日の10%は非稼働時間でした。その結果、1日7.2時間(90%)で生産計画を立てるようにしました)。

稼働率を使わない場合の注意点

稼働率を使わない場合、非稼働時間の費用は「間接製造費」として別途原価に計上する必要があります。そのためには現場の作業者の非稼働時間を集計しなければなりません。これは手間がかかるため、稼働率を使って計算した方が簡単で実用的です。

稼働率が変わらない?でも実は原価増

受注が減って現場の出来高は減少しているのに稼働率が変わらないことがあります。なぜならその日の仕事がなくなると困るため、作業者が作業スピードを調整するからです。

例えば、出来高が800個から600個に減っても、8時間かけて製造していれば、一見稼働率は買わせないように見えます。しかし出来高を見れば稼働率は低くなっていて原価は高くなっています。従って稼働率だけでなく出来高にも注意が必要です。

現場のアワーレート(人)は?

現場には賃金の高い人がいれば低い人もいます。この場合、アワーレート(人)はどうなるのでしょうか?

図 平均アワーレート
図 平均アワーレート

給料の違いによる差

この工場には中堅社員bさん、ベテラン社員cさんもいます。
アワーレート(人)はどう変わるでしょうか?
それぞれのアワーレート(人)を表に示します。

社員年間人件費アワーレート(人)
若手社員aさん400万円2,380円/時間
中堅bさん550万円3,270円/時間
ベテランcさん700万円4,170円/時間

同じ製品でも作業者によって原価は最大1.8倍も違います。
これはどう考えればいいのでしょうか?

現場の平均アワーレート(人)

人件費の高い人が生産すれば原価が高くなるのは真実です。
しかし作業者の違いによって同じ製品の原価を管理するのは大変なので、現場単位で平均アワーレート(人)を使う方法が一般的です。

例 4人の現場

作業者と年間労務費は
若手社員a1、a2 400万円
中堅社員b   550万円
ベテランc 700万円

4人とも
年間就業時間2,100時間
稼働率0.8とします。

総人件費 = 400 + 400 + 550 + 700 = 2050 万円

(就業時間×稼働率)の合計 = 2,100 × 0.8 × 4 = 6,720 時間

現場の平均アワーレート(人)= その現場の人件費合計 その現場の(就業時間×稼働率)合計 = 2,050万円 6,720 = 3,051 ≒ 3,050 円/時間

平均アワーレート(人) 3,050円/時間であれば誰が生産しても同じ原価です。

工場全体の平均アワーレート(人)

現場間で人が頻繁に移動する工場では、現場のアワーレート(人)も都度変わります。そこで工場全体の平均アワーレート(人)を使います。

  • 労務費合計:3億480万円
  • 年間稼働時間:128,673時間

工場全体の平均アワーレート(人)= 製造原価の労務費合計 工場の人の年間時間合計 = 3億480万円 128,673時間×0.8 = 2,961 ≒ 2,960 円/時間

2,960円/時間 であれば、どの現場も同じアワーレート(人)で原価を計算できます。

パート主体で低コストの現場

例えば、組立現場はパート社員主体でした。パート社員の時給は低いためアワーレート(人)は工場平均より低くなります。

  • 正社員2名 パート社員8名
  • 労務費 1,790万円
  • 就業時間合計 11,800 時間
図 組立の平均アワーレート
図 組立の平均アワーレート

組立現場のアワーレート(人)= 組立現場の労務費合計 組立現場の年間時間合計 = 1,790×10,000 11,836×0.8 =1,896 ≒ 1,900円/時間

工場平均(2,960円)の約64%です。こうした現場は個別にアワーレート(人)を設定しましょう。

まとめ

  • アワーレート(人)は「年間費用÷稼働時間」で計算。
  • 稼働率を考慮しないと原価が低く見積もられるリスクあり。
  • 給与の高低や働き方でアワーレート(人)は大きく変わる。
  • 実務では現場ごとの平均、または工場全体の平均を活用。

以上がアワーレート(人)の考え方の説明です。
実際に自分たちの現場のアワーレート(人)を計算すると、様々な問題が出ます。

これについてはアワーレート(人)とは?その2を参照願います。

経営コラム【製造業の原価計算と見積】【製造業の値上げ交渉】は下記リンクを参照願います。


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