製造業の新規受注 ~トップ企業が次々と導入した営業スキル「SPIN」とは

SPINとは、アメリカ ハスウェイト社のニール・ラッカムが考案した新規顧客開拓に効果的な営業手法で、

現在ではIBM、AT&T、富士ゼロックスなど名だたる大企業で採用されている手法です。

1970年代、ハスウェイト社のニール・ラッカムは、

世の中に多くある営業手法がどのように効果を発揮しているか、

第一線で活躍している営業担当者一人一人と面談しました。

その数は合計3万5千人を達しました。

 

その結果

クロージング技法(買ってください営業)は、

石けんやシャンプーのような単純な製品には効果が高いが、

「高額で複雑な商品」には、逆効果になる事、

「高額で複雑な商品」の販売に成功している営業担当者は、

クロージング技法とは異なる別の手法を使用していること、

が判明しました。

この「高額で複雑な商品」の販売に成功している営業担当者はどうやっているのでしょうか。

顧客の潜在ニーズの顕在化とは

 

これを調査した結果、「高額で複雑な商品」の商談が成功する要素は以下の3つでした。

  1. 顧客の方が売手より多く発言している。
  2. 売手はよく質問している。
  3. 売手は、商談の後半になって、初めて商品説明をしている。

 

これはどういうことかというと、

多くの場合商談の初期の段階では顧客はその商品を「欲しい」と思っていません。

つまり顧客は自分でもその商品に対するニーズを意識していないわけです。

そこで売手は、質問により顧客が自らニーズを意識してもらうようにします。

売手が説得するのではなく、顧客が質問に答えることで自ら自覚するようにします。

「欲しい」と思っていなかったが、話している内に自分の抱えている問題に気が付くわけです。

 

これを潜在ニーズの顕在化といいます。

そして顧客が商品を「欲しい」という気持ちが高まったときに、商品を提案すると非常に高い確率で商談が成功します。

これは、個人的にも以下のような体験をされている方はいると思います。

例えば、保険など、

普段の暮らしでは、保険が欲しいと思うことはないと思います。

ですから、保険の営業の方と会って、すぐに保険を勧められても買う人は多くありません。

しかし、保険の営業の方と将来の蓄えや子供の養育費、老後の生活費などを話しているうちに段々と不安な気持ちが生じてきます。

その気持ちがMAXになったとき、適切な保険商品を提案されれば、契約は成功します。

 

この考え方は、部品加工などの下請け企業の製造業の営業にも応用できます。

部品加工などの製造業の仕事の受注は、一度取引を始めれば発注、受け入れ、検査から口座の開設まで様々な業務が顧客には発生します。

また購買価格もまとまった発注では、それなりの金額になります。

そういう点では、これは「高額で複雑な商品」といえます。

そこへクロージング技法(買ってください営業)をかけても、顧客は「安かったら買う」という価格競争になります。

そこで、SPINを活用し、顧客の潜在ニーズを顕在化させ「この会社と取引したい」と思ってもらうことができれば、受注することができます。

このSPINでは、顧客の潜在ニーズを顕在化させ、顧客が「買いたい」と思ってもらうために、4種類の質問を使います。

この4つの質問については、次の機会にお話しします。

 

売れる説明のポイント「FAB」については、こちらから参照いただけます。

「SPIN」の核心、4つの質問については、こちらから参照いただけます。

ものづくりの営業におけるSPINの応用 その1については、こちらから参照いただけます。

 

 

経営コラム ものづくりの未来と経営

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