アベノミクスの成長戦略を製造業の視点から見ると…
2014年11月、安倍首相は2015年10月に予定していた消費税
10%への増税を延期することを決定しました。
2014年4月に行った消費税増税 8%により、
増税前の駆け込み需要の影響もあり、
消費は4月から6月にかけて大きく低迷しました。
実質GDPは4-6月が-1.9%、7-9月が-0.4%、
名目GDPに至っては、7-9月が-0.8%です。
4月から6月の、この増税前の駆け込み需要と、
その反動による消費低迷は予想された反応でした。
しかし、その後消費は増税前の水準に
回復するという予想は外れました。
1997年の消費税5%増税の時は、
4-6月は大きく落ち込んだものの、
7-9月は名目で2.5%、実質で1.9%と
プラス成長に回復していました。
ただしその年1997年秋には金融連鎖破たんが起き、
山一證券が廃業しました。
さらに1997年夏にアジア通貨危機が発生、
輸出が大きくダウンし製造業が大幅なダメージを受けました。
以下が国の税収の変化です。
大きく落ち込んでいることが分かります。
その一方で歳出は最高水準にあるため、
国の債務は増加する一方です。
所得税の低下については、
バブル崩壊後減税を行ったためもありますが、
所得税と消費税を合わせても低下しています。
また法人税もリーマンショック前の半分に低迷しています。
その原因がデフレとされています。
そして、政府はデフレ対策として以下の3つを行います。
- 大胆な金融政策により、物価上昇率2%を実現しデフレからインフレへ変えると共に、円高を円安に変える。
- 政府が10兆円規模の景気対策を行うと共に、円安により企業業績が向上し、投資を促進する。
- 規制緩和により投資を喚起し、経済を成長させる。
この中で最大のポイントは成長戦略だと思います。
では、日本の製造業の成長はどうだったのでしょうか。
図は各国の製造業の出荷額の推移です。
日本の経済を引っ張ってきたともいえる製造業が、
バブル崩壊後伸びていません。
ところが同じ先進国でも、ドイツやアメリカ、韓国などは伸びています。
中国などは著しい増加です。
加えて近年は輸出も減り、2011年からは貿易収支が赤字になりました。
製造業の成長がなければ、GDPの増加は厳しいといえます。
その結果が、前記の税収の低下にも反映しているのではないでしょうか。
どうしてアメリカ、ドイツ、韓国では製造業が成長しているのに、
日本は停滞しているのか。
これを解決しない限り、税収増もデフレ克服も厳しいような気がします。
その解決策として、前述の成長戦略が重要になります。
そのためには、アメリカ、ドイツ、韓国などの成長要因を分析して、
それを日本に取り込むことも必要ではないでしょうか。
過去のバブル崩壊についての記事は、こちらから参照いただけます。
2050年の世界についての記事は、こちらから参照いただけます。
高度成長期の不況についての記事は、こちらから参照いただけます。
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