Posts Tagged ‘AI’

技術革新

AI、IoTなど様々な技術革新やそれによるイノベーションは今後どのよう変革をもたらすのでしょうか?

そこで最新の様々な技術やこれまでのイノベーションや技術革新の歴史、発想法など様々なテーマを取り上げました。
 

イノベーションとは何だろうか?それを実現する方法はあるのだろうか?

 

イノベーションを実現する組織とは?その1 ~イノベーションとルーンショット~

イノベーションを起こすような革新的な技術やアイデア「LOON SHOT」は、生まれた直後は実現できるとは思えない「醜い赤ん坊」 です。これを育み育てるのがルーンショット養成所です。アメリカでは国防高等計画局(国防高等計画局(DARPA))がこの役割を果たし、インターネット、GPS、音声認識などのイノベーションが生まれました。

このルーンショット養成所について、サフィ・バーコールの「LOON SHOTS」から2回に分けて説明します。1回目は、王立協会、OSRDの果たした役割についてです。
 

イノベーションを実現する組織とは?その2 ~新しいアイデアを実現する仕組み~

イノベーションを実現する組織について2回目は、イノベーションで起きる偽の失敗とこれを乗り越える方法、そしてルーンショット養成所の考えを中小企業に活かす方法についてです。
 

これから10年で起こる、社会の劇的変化

コンピューターの進歩、SNSの発達により、今日では情報は急速に拡散します。市場の変化も早くなり、人気の商品が短期間に陳腐化してしまいます。この市場の変化は、私たちの仕事や事業にどのような影響をあたえるのでしょうか?そして、人ができる仕事、働き方はどうなるのでしょうか?社会の変化と格差の拡大について考えました。
 

これから10年で起こる、ものづくりの劇的変化

コンピューターの急速な進歩により今まで何十年も研究し、コンピューターには困難と考えられていた音声認識、翻訳、自動運転の実現が目前に迫ってきました。その結果、ものづくりはどう変わるのか?人ができる仕事、働き方はどうなるのか?人工知能やロボットの進化と雇用、社会での格差の拡大について考えました。
 

イノベーターの敗北、真の勝者は模倣者か?

優れたイノベーターが画期的な製品を開発して市場を占有するという話はドラマチックです。しかし実際は、新たな技術を開発してイノベーションを起こした企業が、後から参入した模倣者に市場を奪われてしまうことも多いのです。はたしてイノベーションは企業を強くするのか、モルモットに終わるのか。企業の模倣戦略について考えました。
 

デジタルトランスフォーメーションの真実と本当の怖さ

昨今マスコミに頻繁に登場するデジタルトランスフォーメーション(DX)、どんな意味なのか、漠然としか理解していない方も多いのではないでしょうか?その一方、 「DXに乗り遅れるな!」と多くの企業がDX推進部をつくり予算を投入しています。はたしてDXとは何でしょうか?そこで今回は、DXを取り上げ、DXの話題と実体、そして静かに進行する本当の変革について考えます。
 

「事務ロボットがホワイトカラーの仕事を奪う!」~話題のRPAの特徴と課題~

2015年野村総研とマイケルAオズボーン氏の研究によれば、日本では49%の仕事がロボットやAIに代替可能ということです。今、定型業務を自動的に処理する事務ロボットRPAが大きな話題となっています。このRPAによりどこまでの仕事がコンピューターに代替できるのか?話題のRPAの特徴とその課題について考えました。
 

「人工知能AIの発達で仕事はどう変わるのか」  ~その1 知能とは何か?AIの知能は人を超えるのか?~

AIが進化すれば、なんでもできるようになるかのようにマスコミは報道しています。しかし、知性や感情、人の意識とは何なのか、我々はよくわかりません。知性と感情、意識について、認知心理学とサイバネティクスの観点から、将来AIで世界はどう変わるのか、AIとは何なのか2回に分けて考えました。1回目は意識と知性についてです。
 

「人工知能AIの発達で仕事はどう変わるのか」  ~その2 第三次人口知能ブームの技術とシンギュラリティ~

知性と感情、意識について、認知心理学とサイバネティクスの観点から、将来AIで世界はどう変わるのか、AIとは何なのか2回に分けて考えた2回目、今のAI技術と知性の発達、シンギュラリティについてです。
 

発想法と特許

 

独創的な考えを生み出す柔軟的思考

独創的なアイデアを出すには頭がぼーっとしている方がよいと言われています。脳が疲れて左脳が働かない時の方が右脳が活発に働き革新的なアイデアを出るからです。レナード・ムロディナウ著「柔軟的思考」を元に独創的なアイデアを出す方法について考えました。
 

なぜアイデアが出ないのか?製品開発と発想法の関係

新しいアイデアを出すための発想法は、ブレインストーミングやKJ法など様々な方法が紹介されています。実は創造的な活動は「アイデア出し」に入る前の活動が重要なのです。東京大学 中尾教授の「システムで思考する」、京都大学 逢沢気陽樹の「結果が出る発想法」から、新しいものを生み出すアイデア出しと発想プロセスについて考えました。
 

独創的なアイデアを生み出すための発想法 その1

新製品や新事業だけでなく、日常起きる問題点の解決や改善など様々な場面でアイデアが求められます。そのためには新しいアイデアを生み出す方法が必要です。そこでアイデア発想法を学ぶとともに、偉大な発明家の成功から、ひらめきに加えて必要なことを考え、どのように自分達が発想力を豊かにするかを2回に分けて考えました。1回目はひらめきを生み出す手順についてです。
 

独創的なアイデアを生み出すための発想法 その2

アイデア発想法を学ぶとともに、偉大な発明家の成功から、ひらめきに加えて必要なことを考え、どのように自分達が発想力を豊かにするかを2回に分けて考えた2回目、予想外の事態に対処する柔軟さとコラボレーションの力についてです。
 

リチウムイオン電池における特許をめぐる戦い

特許を取っても技術を独占使用できるとは限りません。後発企業がより良い製品を開発して市場に参入するからです。そこで世界に先駆けリチウムイオン電池を実用化した旭化成の吉野氏の著作から、どうして特許で防ぐことができないのか悪魔のサイクルについて考えました。さらに特許から見た次世代電池開発競争についても考えました。
 

その他先端技術や知識

 

カオス理論が常識を覆す~バブルは再発し、野生動物は激減する、難解なカオス理論を易しく解説~

金融工学は様々なリスクを最小にして利益を最大化するようつくられてます。しかし本当は証券や通貨の変動は金融工学が考える前提より激しく変動していたのです。なぜなら多くの事象は金融工学が前提とする確率と統計よりも、カオス理論に従うからです。そこでマンデルブロ氏の「禁断の市場」より、現在の金融工学の問題点と、難解でわかりにくいカオス理論について説明しました。
 

次世代移動体通信5Gでビジネスはどう変わるか?

ZTE、ファーウェイに対するアメリカの厳しい措置を発端とした米中貿易摩擦は、次世代通信規格5Gの普及とその機器メーカーの問題と合わせて、日本、ヨーロッパを巻き込んだ争いになりました。この5Gとはどのようなものか、その特徴と可能性について考えました。
 

インターネット以来の大発明ブロックチェーンその1 ~ビットコインの成り立ちと特徴~

2009年、サトシ・ナカモトという人物の書いた9ページの論文から生まれた、ビットコインは多くの人々を熱狂させ、ビットコインバブルを生み出しました。その一方で、彼の考えたブロックチェーン技術は、インターネット以来の発明といわれ、今やメガバンクや各国の中央銀行がその仕組みの導入を検討しています。このブロックチェーンとは何なのか、世界はどう変わるのか2回に分けて考えました。1回目は通貨の役割とビットインについてです。
 

インターネット以来の大発明その2 ~ビットコインの技術、マイニングとプルーフオブワーク~

ブロックチェーンとは何なのか、世界はどう変わるのか2回に分けて考えた2回目は、ビットコインの革新的なところ、セキュリティの仕組みとマイニングについてです。
 

インターネット以来の大発明、ブロックチェーンその3 ~フィンテックとスマートコントラクト~

ブロックチェーンとは何なのか、世界はどう変わるのか2回に分けて考えた3回目は、ブロックチェーン技術の将来性と中央銀行が暗号通貨に取り組む理由、そして最新のフィンテックについてです。

インダストリー4.0はものづくりを変えるのか? その1

インダストリー4.0は、昨年あたりからマスコミにさかんに取り上げられ、「ものづくりが変わる!」とセンセーショナルに書かれています。でも具体的には何なのか、良く分からない方も多いと思います。本当にイノベーションが起きるのか、それともかつてのFMSやCIMのように忘れ去られてしまうものなのか2回に分けて考えました。1回目はインダストリー1.0から4.0までの流れとインダストリー4.0の技術についてです。
 

インダストリー4.0はものづくりを変えるのか? その2

インダストリー4.0でイノベーションが起きるのか、それともかつてのFMSやCIMのように忘れ去られてしまうものなのか2回に分けて考えました。2回目はインダストリー4.0の実例と課題についてです。
 

ゲームのルールが変わる、コモディティ化 その1

突然ビジネスのゲームのルールが変わり、それまで市場のトップにいた企業が一気に転落することがあります。そのひとつがコモディティ化です。ルールが変わると今まで築いた優位性がなくなります。取引先の商品がコモディティ化すれば業績が急速に悪化し、自社の仕事にも影響します。そこでコモディティ化とは何か、どうしてコモディティ化は起きるのか、どう対処すればよいのか、2回に分けて考えました。1回目はゲームのルールが変わった例とコモディティ化についてです。
 

ゲームのルールが変わる、コモディティ化 その2

コモディティ化とは何か、どうしてコモディティ化は起きるのか、どう対処すればよいのか、2回目はコモディティ化のメカニズムとコモディティ化に陥らないようにする方法についてです。
 


デジタルトランスフォーメーションの真実と本当の怖さ

最近よく聞く言葉がデジタルトランスフォーメーション(以降DX : Digital Transformation)、新聞やマスコミ、ネットニュースで聞かない日はありません。多くの記事には「世界中でデジタル化が急速に浸透する中、多くの日本企業は遅れている」とも書かれています。

しかしそもそもDXとは何でしょうか?
今何をしなければならないのでしょうか?

DXの本質について考えました。
 

1.DXとは何か

DXとはどのような意味があるのでしょうか?

DXの定義は実は明確ではありません。
 

【広義のDX】

広い意味では、今現在私たちが直面している変化です。それは

「情報技術によって、様々な現実が融合され、結び付き、全てが繋っている世界へと変わっていきます。それは私たちの現実に対する理解、あるいは認識を変えていきます。従来の物理的なものに加えてデジタル化したもの(成果物)がよりインテリジェントになり、現実世界に大きく影響するようになり、個人の関心毎や価値観に変化を与えます。」

スウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマン氏が2004年に書いた論文「Information Technology and the Good Life」の主旨です。この論文で初めてDigital Transformationという言葉が使われました。エリック・ストルターマン氏の論文は思想的、哲学的な内容を含んでいて、その解釈は人によって様々です。
 

【狭義のDX】

「企業がAIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務を変革する抜本的な取り組み」

を指しています。

ここでAIやIoT、ビッグデータは必須でありません。従来の情報通信技術(IT : Information Technology)を活用して、業務の効率化や競争優位を獲得することも含まれます。
 

経産省のDXレポート

DXという言葉が広く知られるきっかけのひとつが経済産業省(経産省)のレポートです。

経産省は2018年に「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本質的な展開~ を発表しました。2020年には続編として「DXレポート2 (中間とりまとめ) 」を発表しました。2018年のDXレポート1には

あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められている。

このような中で、我が国企業においては、多くの経営者がDXの必要性を認識し、DXを進めるべく、デジタル部門を設置する等の取組が見られる。

しかしながら、PoC(Proof of Concept: 概念実証、新しいプロジェクト全体を作り上げる前に実施する戦略仮説・コンセプトの検証工程)を繰り返す等、ある程度の投資は行われるものの実際のビジネス変革には繋がっていないという状況が多くの企業に見られる現状と考えられる。

と書かれています。そして

今後DXを本格的に展開していく上では、DXによりビジネスをどう変えるかといった経営戦略の方向性を定めていくという課題もあるが、そもそも、既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、データを十分に活用しきれず、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうという問題が指摘されている。

と続き、その後は既存ITシステムの老朽化、複雑化、ブラックボックス化し、レガシーシステム(古くなったコンピュータシステム)となっている点を指摘しています。
 

レガシーシステムの問題?

このDXレポート1を読むとDXの主題は「レガシーシステムの問題」でした。

これについてDXレポート2ではDX の定義として、

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」

として、レガシーシステムの問題でなく、デジタル技術を活用して変化に柔軟に対応できていないことが問題としています。

ところがDXレポートに書かれている変化は、

  • 業務のオンライン化(テレワーク)
  • ペーパーレス化
  • DXの推進体制やITベンダーの役割

です。

これは競争優位につながるような変化なのでしょうか?

ではDXがもたらす変化とは何でしょうか?

DXがもたらす真の変化について調べました。
 

2.DXは目的か手段か

DXに関して多くの書籍(DX本)が出版されています。このDX本にはどのようなことが書いてあるのでしょうか。
 

DXの本にある劇的な変化

多くのDX本には、現在社会には以下の3つの大きな潮流があると書かれています。

  • データのデジタル化の推進
  • IoTなど人やモノがネットワークでつながる
  • コンピューターの中の仮想世界とリアルな現実がシームレスでつながる

 
これらが新しい体験や新しい価値を生み出し、従来の事業を崩壊「ディスラプション(disruption)」させると主張します。
 

図1 社会を変化させる3つの潮流

図1 社会を変化させる3つの潮流

しかし具体的に、どのような崩壊が起きるのか、書かれていません。
 

目的と手段の順序が違う

DXは、先に述べた「AIやIoT、ビッグデータなどデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務を抜本的に変革する」ことで、新たな事業が生まれ、従来の事業が崩壊するといわれています。

つまり図2のようにデジタル化という「手段」を使うことで、大きな変革を生み出し、競争優位の確立することがDXです。

しかし競争優位の確立は目的でしょうか?

本来は、事業変革の目的は
対象(顧客)の課題の解決や利便性向上など
新たな価値の創出です。

そのための手段がデジタル化やITによる変革(DX)です。

その結果得られるものが競争優位です。
 

図2 DXの定義

図2 DXの定義

目的と手段の取り違いが、DXに関する議論を読んでもピンと来ない原因ではないでしょうか。

目的があいまいでも、DXというツールを導入すれば新たな価値は生まれるのでしょうか?

またDX本には「デジタル化(テレワーク)で浮いたコストや時間を使って新しいビジネスへ投資する」とも書かれています。しかし実際は逆です。

「新たな事業に取り組まなければならない必然性」
があって「どうしてもリソースが足らない」から、DXでも何でも使って余力をつくるのです。

そうでなければDXで生まれた余力は有給消化や人員削減などで消えてしまいます。

あるDX本には「ITを使って変化を起こし売上や利益を伸ばす仕組みをつくる」とありました。しかし、

  • ITを使えばどのような変化が起き
  • どのような売上や利益を伸ばす仕組みができるのか

具体的なものはありませんでした。
企業や組織がそれまでに築いた仕事のやり方、企業文化は堅牢です。
コンサルティングの現場で、何度もこの堅牢な壁に阻まれ、変革を起こすことができませんでした。
それがITやDXに取組めば変革を起こせるのでしょうか?
 

図3 DXによって新しい価値を生む

図3 DXによって新しい価値を生む

突然出てくる「アジャイル」とは?

DX本を読んでいるとなぜか「アジャイル開発とウォーターフォール開発」というソフトウェアの開発手法が突然出てくることがあります。

【アジャイル開発】
アジャイル(Agile)とは、『素早い』『機敏な』『頭の回転が早い』という意味です。システムやソフトウェア開発の手法で、全体を一気に構築するのでなく、小さな単位でシステム構築とテストを繰り返して開発する方法です。

メリット

  • 柔軟で臨機応変な対応ができるため開発スピードが早い
  • WEBサービスのように、最初にサービスの一部をつくって顧客の反応を見ながら改良するものに向いている
  • 小さな機能単位で実装とテストを繰り返すため、効率がよく、修正の手間が少ない

 

デメリット

  • 新たな機能をつくるときに前につくった機能の修正が発生する
  • 最初につくった機能をやり直すなど作業の重複や無駄が発生する
  • 要件ごとに計画を立てるため、プロジェクトの全体像が見えにくく、いつまでに完成するのかわかりにくい

 

図4 アジャイル開発

図4 アジャイル開発

【ウォーターフォール開発】
従来のITシステムの構築方法です。最初の段階で、機能仕様を決定し、『企画』『設計』『実装』『テスト』などを決められた担当者が行います。

メリット

  • 作業の重複や無駄がない
  • 全体の計画や進捗がわかりやすい

 

デメリット

  • どこかの工程で遅れが生じると全体が遅れる
  • 仕様など上流工程で変更があると、大きな後戻りが生じ、コストも大幅に上がる

 

図5 ウォーターフォール開発

図5 ウォーターフォール開発

アジャイル開発が最新の手法で、ウォーターフォール開発が古い手法というわけではありません。

開発するシステムの機能や性質によりアジャイル開発に向くシステムとウォーターフォール開発に向くシステムがあります。

なぜソフトウェア開発の手法がDXなのか理解に苦しみます。
 

DX本の内容と30年前のBPRの類似性

DX本では、DXを推進するためにDX推進本部を設立して全社的に進めることを提言します。しかし目的や課題があいまいなまま業務効率化のためにDXを推進して変革は生まれるのでしょうか?
競争優位の本質は

  • 商品が優れているか
  • 商品の提供方法が優れているか
  • 今までない商品やサービスで顧客に新たな価値をもたらすか

です。

アップルのiPodが売れた大きな要因は、スティーブジョブズがアメリカのレコード会社とタフな交渉を行い、自社の音楽ダウンロードソフトiTunesからアルバムの曲を1曲1曲バラで買うことができたことがありました。それを実現したのはジョブズの信念とタフな交渉力でした。

DX本に書いてある主旨は、30年前のBPR(Business Process Reengineering)の本の趣旨ととても似ています。

1990年代、元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマーと経営コンサルタントのジェイムス・チャンピーの両氏がBPRを提唱しました。

BPRは、優れた企業をお手本(ベンチマーク)にして自社の業務を洗い出し、最も効率的なやり方(ベストプラクティス)に変えることで業務の効率化とコスト削減を実現する手法です。アメリカで大流行し多くの企業がコンサルタント会社にBPR推進のコンサルティングを依頼しました。

しかし短期的な成果を強く求める経営者によりBPRリストラ(人員整理)の代名詞となり不評を買いました。

図6 BPRの構成例

図6 BPRの構成例

3. DXで新しい価値を生む

一方、AI、VR、AR技術の進歩により今までにない製品やサービスも生まれています。さらにデジタル化で発生する大量のデータを活用すれば新たな価値を生むことができます。
 

AR技術を活用したLIXIL

住宅設備メーカーLIXILから独立した株式会社 K-engine(ケイエンジン)は、リフォームするキッチンやリビングの3D画像や見積を短時間で作成することができます。設備や部材の変更もその場で可能です。

LIXILグループには300万点以上の機器のデータや膨大なリフォームのデータがあります。 K-engineはこれを活用し、AR技術を使って実際の住宅の写真に新しい玄関の画像を貼って、リフォーム後のイメージを確認できます。
 

JR東日本のSuicaのデータ活用

日清食品はSuicaのデータから社員の出張旅費を自動的に清算するシステムを自社で開発しました。このシステムは他社でも利用できるため、日清食品はJR東日本と提携し外販を開始しました。

実は鉄道鉄道会社やバス会社の持っている時間帯別、曜日別の乗降客のデータは、新規出店や既存店の仕入れ予測、売上予測に活用できる非常に価値のあるデータです。2022年1月、JR東日本はこうしたSuicaのデータを今後は外販すると発表しました。

自動車が走っている時の振動やカメラの画像から道路やインフラの補修の判断を行う試みも検討されています。車のドライブレコーダーは常時街中の画像を取得していて、このデータを求めている企業に売れば大きなビジネスの可能性があります(プライバシーへの配慮は当然必要になりますが)。
 

4. デジタルマーケティングは新たな価値を生むか?

DXと一緒に広まっているデジタルマーケティング、これはどんなものでしょうか?

DX、デジタルマーケティングに関連して様々なカタカナ用語が氾濫しています。その意味を整理してみます。
 

デジタルマーケティング

Webサイトのユーザー行動に加えて、スマートフォンやタブレットや公式アプリの行動履歴、商品に搭載されたIoT機能から送られるデータ、これらバーチャルのデータに加えて、イベントでの来店データや販売履歴などリアルな活動データも併せて収集・分析します。これを活用して個々の顧客に対して、WEBマーケティングとリアルマーケティングを合わせて総合的にマーケティングすることです。
 

WEBマーケティング

公式Webサイトを訪れた顧客の、サイト内での行動を追跡して、顧客がどのような情報を求めているのかを探ります。そして顧客が情報に満足して購買につながるようにWebコンテンツを改善します。
 

オムニチャネル

従来のリアルなチャネルとWebを合わせたチャネル(顧客との接点)のことです。マス広告や実店舗に加えて、インターネット広告やメール、SNSなどデジタルツールも活用して顧客と多くの接点をつくります。
 

カスタマージャーニー

「顧客が商品を知った点から購入して実際に利用するまでのプロセス」を指し、一般的にはカスタマージャーニーマップとして図式化します。顧客との接点を図式化し、購買までの顧客の感情の変化を誘導して効果的な販売促進を行います。

図8 カスタマージャーニー

図8 カスタマージャーニー

データドリブン

データに基づいてマーケティングを組み立てます。データドリブンは以下の4つのアクションから成り立っています。

  1. データ収集
  2. ・社内のあらゆるデータを収集し、精査・統合
    ・場合によってはデータ管理ツールの導入

  3. データを「見える化」
  4. ・データを効率よく分析するため、集めたデータ分析しやすい形に加工(「見える化」するという)

  5. データ分析
  6. ・見える化されたデータを分析し、課題の設定や具体的な取組を引き出す
    ・データサイエンスとマーケティングの両方の知識が必要

  7. 実行する
  8. ・具体的なアクションプランを実行する
    ・実行するだけではなくPDCAをまわしてデータドリブンマーケティングを深化する

例 アスクルの一般消費者向けサイト「ロハコ」
自社のウェブサイトがどのように閲覧され使われているか、分析し、表示するシステムを導入しました。その結果、顧客が商品を探す時のニーズと、企業が売りたいものがずれていることがわかりました。

企業は「これを買ってください」とプッシュしていましたが、顧客は「毎日サイトを見に行けるし、さらに買い物ができるお店」を求めていた。クリックしても買わずにおいておく商品が多くあり、買うときはまとめて買います。こういった顧客は1回のサイト訪問で購入する比率は低くなります。

そこで同社は来訪者が購入に至る比率(コンバージョンレート)は追い求めないことにしました。
 

MA(マーケティングオートメーション)

マーケティングを自動で行うツールです。顧客の名前やメールアドレスを取り込むと、あらかじめ作成したメール文面を自動的に顧客に送信し、営業活動を自動化します。
 

Web解析ツール

Webサイト上での顧客の行動や、WEBサイトの検索順位などを分析するツールです。PV(ページビュー)数やUU(ユニークユーザー)数、直帰率など、サイトの訪問者数や行動データを細かく集計・分析できます。主なツールは、「Google Analytics」や「Adobe Analytics」などです。

図9 ウェブサイトは解析されている

図9 ウェブサイトは解析されている


 

SFA(セールスフォースオートメーション)

営業管理システムとも呼ばれ、営業プロセスや営業の進捗状況をチーム全体で管理し、効率化を図るツールです。案件の管理や営業レポートの作成など、営業業務を効率化するための機能があります。
 

エコシステム

元は生態系の用語です。ある領域(地域や空間など)の生き物や植物がお互いに依存しながら生態を維持する関係をエコシステムと呼びます。

例 iPhoneのエコシステム
iPhoneのエコシステムの画期的な点はAppStoreで誰でもiPhoneアプリを開発し、iPhoneで売ることができることです。これにより多くのアプリ開発者がアプリを開発し、短期間に膨大な機能をiPhoneは得ました。

初期のアプリ開発者の中には一人で開発したアプリがヒットして多額の売上を得た人もいます。開発されたアプリはアップルが審査して不正なアプリを排除したため顧客も安心して利用できました。

これは今までの携帯電話やPCにはなかったシステムです。
 

ツールが主役? 忘れられた顧客

そもそもマーケティングとは

企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念

顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセス

(Wikipediaより)

ピーターFドラッカーは
「マーケティングの理想は、販売を不要にするものである。」
マーケティングとは

  • 顧客のニーズに合った商品を、適切な顧客層に発信するための、「商品開発から販売戦略の策定、広告宣伝に効果検証までのプロセスを管理すること」
  • そして商品が「売れる仕組み」をつくること

これにより「買ってください!」とお客様にプッシュせずとも、お客様が買いたくなる状態になることです。
 

マーケティング本来の意味と比較すると、デジタルマーケティングは手法が先になってしまいます。そして本来PRを受ける顧客の考えや立場が置いてかれていかれています。

コンテンツが隠れるネット広告や、一度クリックすると何度も同じ広告を表示するターゲッティング広告などがいい例です。

実際、展示会でマーケティングオートメーション(MA)の会社と名刺交換すると、MAツールのPRメールが頻繁に来ます。しかしたまたま展示会で興味があって質問しただけなのかもしれません。それなのに何回も送られてくるMAツールのPRメールは効果があるのでしょうか? 
 

最近広まったお問合せフォームへの営業メール

企業のお問合せフォームに営業メールを送る手法が広まっています。これがRPA (Robotic Process Automation)などで自動化されれば、営業メールの洪水になりかねません。そうなると、お問合せフォームにRPAが入力できないようbot対策が必要になってきます。

注) RPA (Robotic Process Automation)とは、コンピューター上で行われる業務プロセスや作業を人に代わり自動化する技術です。人間が繰り返し行うクリックやキーボード入力など定常的な業務が自動化できる
 

見直されるデジタル広告

個人情報をもとに広告を配信するデジタル広告は、その広告を不快と感じる読者が増加しつつあります。さらに個人情報を補足する「Cookie」も広く使われています。アドネットワークの普及で、広告が質より量という考え方に変化し、ページビューを追い求める動きが加速しています。広告を掲載することでサイトの質が問われます。再び広告の質が問われています。

現状ではデジタルマーケティングはツールとして進歩しましたが、販売を大きく変革するわけではなく、革新的マーケティングではありません。しかしデジタルマーケティングは、

実は私たちの消費行動を変えてしまう怖さがあります。

 

デジタルマーケティングの本当の怖さ

なぜなら顧客が知りたい情報(記事やニュース)に自社の有利な情報を入れれば顧客の関心を誘導できるからです。Yahooニュースなどのネットニュースは顧客の嗜好に合わせて最適なニュース記事を表示します。顧客が自動車の記事を多くクリックすれば、自動車に関するニュースや記事を多く表示します。

A社が自社のある車を売りたければ、その車の記事をクリックした顧客に、その車に関連した記事、その車に乗っている著名人の感想、その車で行った旅行記事、その車の開発ヒストリーの記事を頻繁に表示します。

記事を目にする機会が増えれば、いつの間にか顧客はその車のファンになっています。そしてある日ディーラーで契約書にサインしています。

これはステマ(悪質なステルスマーケティング)ではありません。正しい記事を顧客の嗜好に合わせてて供しただけです。

実は私自身、yahooニュースを見ていて、気が付いたらある車種が気になって買おうとしたことがあります。少し古い車でしたが、その車の良さを語るいろいろな記事を見ているうちに、以前は全く興味がなかったその車が欲しくなっていたのです。結局中古車しかなく、希望に合うものがなかったので断念しました。そして買えなかった後、もう欲しいという気持ちがなくなりました。

気づかぬうちに、欲望を操作されたような気がします。

実は顧客の欲望を生み出す点はマス広告も同じです。ただWEBの場合、表示される記事やニュースを個人ごとに調整(最適化?)できる点がで費用対効果が非常に大きくなります。

ネットでは各個人が関心を持つ事柄の情報が各個人に集まります。物語性のある広告、著名人のレビューやその商品を使ったユーチューブ動画などさまざまなコンテンツを表示し、その商品に少しでも関心がある顧客が見れば、ファンを増やすことができます。そして買いたい気持ちを起こすことができます。これはグルメ番組を見て、その料理を食べたくなるのと同じメカニズムです。

しかもネットは情報量が多いため、影響は顕著に表れます。

巧妙にコンテンツを設計すれば、個人の嗜好や考え方まで操作できるのです。

 

商品でなく企業を知ってもらうために企業自らコンテンツを制作

一方広告ではなく、企業が自らコンテンツを制作し、コンテンツを通じて自社を知ってもらう取組があります。池江璃花子選手の競技復帰までのストーリーを描いたSK-II STUDIOの5分22秒の動画は、SK-Ⅱを販売するP&Gプレステージ合同会社が作成しました。

監督には是枝裕和氏を起用し、2021年3月29日に公開して、6月9日で再生回数1,990万回を記録しています。

テレビ放送の場合、視聴率1%は国民の1%, 125万人です。実際は世帯の1%であり、1%は関東地区では約40万人、関西地区では約16万人です。対して上記の動画は約2,000万人、しかも世界中の人が見ています。しかも費用は制作費のみのため、テレビ放送と比較して費用対効果は非常に高いといえます。

かつては東芝の「サザエさん」のように1社単独でテレビ番組のスポンサーになることで、自社の知名度を高めるとともに、テレビ番組のイメージを自社のイメージに重ね合わせていました。

これをネット上でも行われているのです。

こうしたファンほ増やす試みで成功したのがスバルです。

北米スバルは2007年よりアメリカで『LOVEキャンベーン』を広告展開しました。オーナーの愛車への思い入れ(=LOVE)を強調した宣伝活動は、共感する人が増え、結果として認知度やブランドバリューがアップしました。

従来からSNSを使って企業と顧客が交流しファンを増やす試みは行われていました。今後は、動画や様々なコンテンツを企業が自ら制作し、知名度を高めるだけでなく、積極的にファインを増やすことが増えると予想されます。
 

5. DXの例

では、具体的にDXによって変わったビジネスにはどのようなものがあるのでしょうか?
 

ペーパーレス、テレワークはDX?

DX関連の記事は、目的と方法の順序が逆になっています。例えばテレワークはコロナ禍の今日、国からもテレワークを強く要請されているため、テレワーク自体が目的になってしまいました。

しかしグーグルやアップルは、社員同士のコミュニケーションや、非公式の会話から生まれる気づきやひらめきを重視して、

職場に集まることに重きを置いています。

日本は和を重視する文化のため活発な議論がなかなかお菊ません。その上テレワークで非公式の会話もなくなれば新たな発想や気づきが生まれるのでしょうか。

そもそもペーパーレスは何のために行うのでしょうか。ペーパーレスでも決済欄が10個もあれば決済に時間がかかります。承認した10人の管理者のうち、何人がプロジェクトの失敗を引き受けるのでしょうか?

しかも効率的なペーパーレス化には印鑑を廃して電子印鑑の仕組みが不可欠です。しかし企業でもまだ決裁印が必要なところもあります。銀行はメガバンクでは口座開設に銀行印は不要になりました。しかし行政の印鑑登録と印鑑証明はそのままです。

図10 なくならない印鑑

図10 なくならない印鑑


 

AR・VR技術への期待

テレワーク、WEB会議の普及でモニター越しの会議が一般化しましたが、対面での対話と比べて、言語外の情報量が不十分です。相手の感情をゆすり、共感を得るようなコミュニケーションは困難です。人は言葉だけで会話するのでなく、表情やしぐさ、場の雰囲気など言語外の情報量が多いためです。

VR会議はこれまでのWEB会議と異なり、以下のメリットがあります

  • 非言語情報の伝達
  • これまでの資料に加えて3Dイメージの活用

  • 高い臨場感
  • 没入感が高いため会議への集中力が高まり、意思決定が速くなる

  • コミュニケーションの活性化

アバターで会議を行うことで、リアルに対面するよりも話しやすくなり、発言量が増える

これらの技術はNEC、NTTデータ、(株)Synamon等が取り組んでいます。
 

「話す、聞く」をシステムで対応

株式会社RevCommのMieTelは、AIで電話営業の会話を録音し、自動文字起こし、分析を行い、顧客情報の共有と営業トークの改善を行うシステムです。会話の抑揚、速度、説明と聞く時間の比率を分析し担当者にフィードバック、自ら振り返ることで自主的に多岐に渡り改善します。

一方、将来音声認識の能力が向上すれば、AIがコールセンター業務を行うことも可能になります。AIは多数の受け答えを全て学習できるので効果的に学習でき、多くの問い合わせに的確に応えることができます。また顧客から質問があったことをWEBサイトのQ&Aや取説のQ&A集に入れることで問い合わせ自体も減らすことができます。コールセンターのオペレーターは、顧客からひどい言葉を言われるなど労働環境が厳しく離職率が高い職種ですが、AIのメンタルは決して壊れません。
 

「調べる」をシステムで対応

アメリカのamplified ai, inc.(アンプリファイド エーアイ)はAIを用いた特許調査プラットフォーム「Amplified」を提供し、特許調査の時間を85%短縮しました。費用は1件当たり2万円です。特許調査には専門知識が必要で、出願前の先願調査は専門家に依頼すると多額の費用がかかります。「Amplified」は、特許の複雑な長文を比較し、類似順に整理する独自のAIを持ち、ある概念を文章で入力すると世界中の特許1億3000万件から類似特許を検索して、類似順に並べてリスト化します。これにより類似特許検索のスピードとコストが飛躍的に削減できました。
 

「助言」をシステムで対応

株式会社STANDING OVATIONはAIコーディネート提案アプリ「XZ(クローゼット)」を無料で提供しています。手持ちの洋服を登録してクローゼットの中身をデジタル化でき、世界最大級のオンライン・クローゼットとして成長しました。

特徴
クローゼットの総価値をグラフ表示します。着用回数をランキングで表示し、着用回数の少ない服や1年間着ていない服に気づくことができます。

着ていないアイテムを使ったコーデ提案や、AIが着ていない服を手持ち服と組み合わせ新しいコーディネートを提案します。

今後は店舗が無料のアプリを提供し、自社製品のコーディネートを確認できれば、顧客は安心して購入ができ、さらに靴やアクセサリなど追加購入も実現します。コーディネートは顧客の年齢、性別、嗜好に合わせて変えることができるので、実際の店員よりも対応範囲が広くなります。
 

6. 製造業のDX 

実は製造業の方が、DXによって大きな変革が起きる可能性があります。
 

キーワードは最適化

製造業はDXと相性が良い職種です。なぜならプロセスが明確で各プロセスからきれいなデータが手に入るからです。これを使って様々な取組ができます。キーワードは、モデル化(シミュレーション)と最適化です。

工業製品は金属など硬くて安定した材料が多くシミュレーションと相性が良いです。曲げや液体の流動などの物理現象をシミュレーションするツールも整っています。例えば以下の取組はすでに行われています。
 

構造解析

製品や構造物の静的強度、振動などのデジタルモデルをつくり、強度や振動特性をシミュレーションします。実物をつくる前に特性を評価し、不十分な場合は対策します。すでに自動車ではシミュレーションを十分に行い、最初の試作を行わない「試作レス」に取り組んでいます。これは現物を試作したからといって、問題点を全て洗い出せるわけでなく、シミュレーションの方が確実に評価できるからです。
 

流動解析など加工プロセスの分析

鋳造、ダイキャスト、樹脂成形での金型内での金属や樹脂の流れ、プレス加工での金属の変形や応力の変化は、現物の評価が困難です。そこでコンピューターでモデルをつくり樹脂や金属の流れやプレス加工時の金属の変形や絞りをシミュレーションします。これにより最適な形状の金型や製造条件を調べ、最初から適切な加工条件できます。

ものづくりでは、解析技術の進歩により今まで見えなかった物理現象が見えるようになりました。そしてこれまで何回もトライ&エラーを繰り返して探求してきた加工条件を少ない回数で実現できるようになりました。
 

プロセスの最適化

製造ラインも同様で、実際の設備をつくる前に3Dのモデルで実際の工場のモデルをコンピューターの内部で実現し、動かして評価します。ダッソーシステムズの「DELMIA」はコンピューターの中の3Dモデルで構成した設備を本番と同じPLCのプログラムで動かすことができます。コンピューターの中で正しく動けば、そのプログラムは実際の生産ラインにすぐに投入できます。

BMWは、グラフィックボードのリーダー企業NVIDIAと組んで最新のバーチャルファクトリーを構築しました。NVIDIAの「Omniverce」というプラットフォームは、人やロボット、部品、搬送などをコンピューターの中でリアルにシミュレートできます。しかも世界中のどこからでもリアルタイムにアクセスできます。工場設計エンジニアはこの仮想空間で工場のレイアウトや設備、人の配置、生産活動やモノの流れを決めて、リアルな再現度でシミュレートします。将来は、設計と企画、生産チームが連携して、実際の生産活動をすべてシミュレーションしてから、現実の生産がスタートできるようになる予定です。

シミュレーションできればどういった条件が最適か短時間で見つけることができます。例えば将棋や囲碁は、コンピューターの能力が向上し、プロに勝つまでになりました。コンピューターはこれまで人間が考え付かなかった打ち手を繰り出します。現在プロ棋士はコンピューターのこういった新たな打ち手を勉強し、対局の準備をしています。コンピューターによる最適化技術が進歩すれば、

熟練の技術者でも思いつかない製造条件の組合せが生まれる可能性があります。

 

変種変量生産の不良分析

モーター、ロボットの大手 安川電機の入間事業所は、サーボモーター400種類、サーボアンプ600種類を変種変量生産しています。生産中に発生する不良は、同じ不良でも機種が違えば内容が違うため、単純に比較できません。

そこで、製造工程で発生するデータと不良を引き起こす要因を分析し、FTA(故障の木解析)を活用して不良の因果関係の分析を行いました。その結果、従来はデータが少ないため不明だった不良の原因が特定できるようになりました。また、個別の製造不良と設計不良の見極めが容易になり、製造部門から設計部門へのフィードバックが増えました。

異音検査は熟練の作業者が耳で聞いて判定するため、その育成には最低でも9か月を要します。そこでモーターの振動を測定しAI(機械学習)で判定させました。AIで判定できないものだけを人が判定するようにしました。
 

生産ラインの見える化

住友ベークライトは樹脂原料の製造ラインに従来の100個/ラインのセンサーを300~500個/ラインに増やし、取得したデータはPLCを経由して一元管理しました。製造ラインの制御を細かくかつ自動化することで作業者の半減を実現しました。各工程のPLCからのデータはエッジPCの「Edgecross」というソフトで収集し、社内サーバーのAI推論モデルが正常かどうかを判定、異常があれば担当者に連絡します。
 

生産計画の最適化

どういった順番でどの製品をどの設備で生産するか、生産管理(あるいは工程管理)は変数が多く、最適な答えを出すのが難しい業務です。

しかしこういった多くの条件の最適解を出すのはコンピューターの得意分野です。厳密に言えば条件が多いと組合せ爆発が起きて、とてつもない計算量になってスーパーコンピューターでも解けなくなります。しかし実際は全ての条件を評価する必要はなく、現実的な条件に範囲を狭めれば実用的な答えを出すことができます。

これは生産スケジューラとして商品化されていますが価格が高く、生産現場をモデル化するのが大変なため、あまり普及していません。しかしこの点を改善し、低価格で使えるクラウド型のソフトが出れば広く普及する可能性があります。今まで生産管理を行ってきた熟練社員が退職し、また製造工程の条件が増えてくると人が最適化するのは困難になるからです。
 

仮想工場で作業環境の最適化

3Dモデルを作成し、仮想空間で製造現場が構築できると、実際の作業者を仮想空間で作業させ、作業性や生産性を事前に評価することができるようになります。これはAR技術とVR機器の進歩により、作業者にVRゴーグルをつけて、あたかも実際に作業しているような感覚でコンピューターの仮想空間で作業を体験します。その中で、作業ミスをしやすい点、危険な点等を事前に発見し、改善することができます。

遠隔からの顧客に対し、AR技術を使って設備の立会を行う試みもあります。設備や製品など現物はPCのモニターからの情報だけでは、本当に良いかどうか判断できません。音声や視覚に現れない情報、実際の動きなどを見るために、重要な設備や製品は「立ち合い」が効果的です。そこでVR・AR技術を用いて、スピーカーやモニターだけでは伝えきれない情報を伝えることで、あたかも現場にいるかのように遠隔での立ち合いが実現します。

ドローンを使って工場の外観、内部を撮影すれば、今までとは別の視点で観察でき、現地での立ち合いよりも多くの情報を伝えられる可能性があります。
 

7. 静かに始まっている本当の変化

このように考えると、

  • リアルな現場がある
  • 自動化、試作レス、事前検証などデジタル化の強いニーズと問題意識
  • データやモデルが十分にあり、最適化のロジックが組める

こういった条件に合致する製造業はDXが最も進歩する分野といえるでしょう。実際これら紹介した取り組みは多くの工場ですでに行われています。

図11 DXで仕事は変わるでしょうか

図11 DXで仕事は変わるでしょうか


 

「すり合わせ型ものづくり」優位論

日本の製造業の優位性「すり合わせ型ものづくり」、これは言い換えれば、個人(や組織)の高い能力が様々な製品や製造工程を最適化できることです。しかし考慮すべき条件が増えて複雑化すると、人による最適化は限界に達します。

将棋や囲碁の例でもわかるようにコンピューターの能力が向上すれば、最適化の能力はコンピューターが人を上回ります。この時日本の「すり合わせ型ものづくりの優位性」は維持できるのでしょうか。

データを集めてアルゴリズムで処理して最適条件を見つけるのは、熟練の技術がなくてもできます。その点では、ものづくりの歴史の浅い新興国でも優位に立つことができます。

例えば半導体はかつて、すり合わせ型のものづくりをしていました。しかし設備が進歩し、それぞれの製造工程が前後の工程に影響せず、独立をして調整すればよくなった結果、工場の能力の優劣は、工場内の設備の負荷の調整という最適化の結果で決まるようになりました。その結果、台湾、中国の半導体メーカーと、日本メーカーの差はなくなりました。
 

プロセスとデータサイエンスの融合

一方、どのようなデータを収集し、どのような観点で分析するかは、プロセスとデータ分析の両方に深い知識がなければできません。その点で優れた生産技術者、プロセス管理者が多い日本企業にアドバンテージがあります。

熟練の生産技術者にデータサイエンティストが協力して、現場で発生するビッグデータを使って最適化の仕組みをつくります。今まで人がやっていたよりもはるかに効率の良い工場や現場の構成ができ、運用できる可能性があります。

コンピューターの特徴は高速性です。現場でPDCAを回すには、実際に現場のレイアウトを変えて、生産してデータを取る必要があります。少なくとも数日、工場によっては何ヶ月もかかります。しかしコンピューターがそのレイアウトの結果を出すのは数秒もかかりません。

そして結果が悪ければモデルを組み直せばよく、しかもモデルを組み直すロジックもアルゴリズム化することもできます。コンピューターが自動でモデルを組み直せばPDCAを短時間に何万回も回すことができます。これは熟練の管理者でも適いません。

Google DeepMindが開発した「AlphaGo」は2016年に世界トップ棋士の一人の李世乭 (Lee Sedol) と戦い、4勝1敗と勝ち越しました。

2017年10月に発表された4代目の「AlphaGo Zero」は、棋譜やビッグデータを必要とせず自己対局によって強化します。全くの初心者の状態から3日間でプロのレベルに到達し、21日目に2代目「AlphaGo」 と肩を並べました。40日間の学習後は、2代目「AlphaGo」 に100戦全勝しました。

「AlphaGo」は、これまでプロ棋士が考えつかなかったような斬新な打ち手を数々打ち出し、囲碁界に大きな衝撃を与えました。今ではプロ棋士が「AlphaGo」などコンピューターの打ち手を研究し、それが流行の布石・定石となり、囲碁の考え方に変革を起こしました。
 

逆に、人の能力と人による管理に固執すると、システムによる最適化やビッグデータの活用が進みません。コンピューターが計算した最適化の結果は今までの常識に反するかもしれません。その結果に対する根拠はコンピューターすらわかりません。
同様に保守的な管理者が

AIの出した常識外れの方法を受け入れるかどうかは管理者次第です。

 

加速する日本の優位性の喪失

「熟練の職人」、「高度な技術」と言っても、その多くはトップアスリートの技術や人間国宝の技ほど高度ではありません。そこまで高度なものを必要とすれば、安定した品質の工業製品を大量に生み出せません。つまりものづくりの高度な技能とは、長年の経験の積み重ねによる知識、判断、使いこなしの部類といえるでしょう。

これまではそれを人が所有していたため模倣が困難でした。また、人がそれを実行するためには、それを実行するような組織文化も必要になります。文化がなければいくら良い手法を指導しても、定着は困難です。

しかし多くの生産プロセスはNC化、自動化、コンピューター制御化しています。これらの条件を最適化するのはコンピューターでもできます。しかも高速で人よりも最適解を出せる可能性があります。NC工作機械やロボット、無人搬送車、自動倉庫で構成された工場をシミュレーションし、最適化するのは人かコンピューターのどちらが有利でしょうか。

そこに気が付きいち早く取り込んだ国に対し、日本はアドバンテージを保ちうるのでしょうか。

以下は人が手放したものです。人とコンピューター、どちらが有能かどうか、考えるまでもないでしょう。

  • 最適な道順 カーナビ
  • 構造体の強度 応力解析
  • 飛行機の操縦 フライバイワイヤシステム
    (B-2など最新の軍用機はコンピューターによる制御がなければ真っ直ぐですら飛べない)

 
本記事は未来戦略ワークショップのテキストから作成しました。
 

参考文献

Information Technology and the Good Life Eric Stolterman, Anna Croon Fors
「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」経済産業省
「DXレポート2 (中間取りまとめ)」経済産業省
「いちばんやさしいDXの本」 亀田重幸、遠藤経著 インプレス
「デジタルトランスフォーメーションで何ができるのか」西田 宗千佳 著 講談社
「テクノロジーを持たない会社の攻めのDX」内山悟志 著 クロスメディア・パブリッシング
「イラスト&図解でわかるDX」兼安暁 著 彩流社
「世界一わかりやすいDX入門」各務茂雄 著 東洋経済新報社
「現場が輝くデジタルトランスフォーメーション」長谷川康一 著 ダイヤモンド社
日経ものづくり 2020年8月号
 

経営コラム ものづくりの未来と経営

人工知能、フィンテック、5G、技術の進歩は加速しています。また先進国の少子高齢化、格差の拡大と資源争奪など、私たちを取り巻く社会も変化しています。そのような中

ものづくりはどのように変わっていくのでしょうか?

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「組織が社員をダメにする?組織文化の問題」 ~AI時代に必要な人材と彼らを生かす組織~

今後、AIが様々な業務に活用されるようになると、定型化された業務はAIに置き換えられ、人はAIが苦手とする業務を行うことが求められます。オフィスではデータ入力やデータ処理、簡単な文書校正などはAIに置き換えられ、人の仕事は企画や立案、相手との交渉や調整になっていきます。このような変化に現在の人や組織は対応できるのでしょうか?AI時代の組織と人について考えます。
 

これまでの組織研究

組織の構成や特徴と、その経営に与える影響は、これまで経営学の中で研究されてきました。一方企業経営は、多様な企業、多様な経営者の活動です。そのため経営学という学問は、多くの人から誤解されてきました。
 

「経営をしたことのない学者に真の経営がわからない」
「経営学のケーススタディは我社には当てはまらない」
これは学問としての経営学と現実の経営を混同したために起きた誤解です。
 

経営学について

経営学は、「経営の真理法則を科学的に探究する」社会科学の学問です。科学の目的は真理を探究ですが、その法則は普遍的でなければなりません。1社に当てはまっても他の企業に当てはまらなければ法則とは言えません。
 

そのために経営学は経営理論を構築し、理論を元に仮説を立てます。そして多くのデータを収集・分析し、経営法則が正しいかどうかを確認します。その際、企業固有の特徴は多数のデータの中で埋没します。そのため経営理論が自社に当てはまらないことはあります。またデータ分析の結果得られた知見は過去に起きたことに対しての知見です。これから起きることはデータがないため分析できません。
 

そして分析の結果、経営法則が正しければ論文を発表します。経営学者は、この論文の数で評価されます。この論文は学術誌に掲載される必要があり、バーバード・ビジネス・レビューのような実務家向けの雑誌に掲載され学術業績になりません。
 

図1 ファイブフォースモデル

図1 ファイブフォースモデル


 

またマイケル・ポーター氏のファイブフォース分析のような実務者向けのツールをつくることも経営学者は熱心ではありません。つまり経営学者の関心は真理の追究で、研究成果が実際の経営に生かせるかは関心がないのです。
 

物理学のような自然科学であれば、研究者が発見した物理法則は普遍性があります。どの企業が活用しても同じ結果か得られます。しかし経営学では個々の企業の規模、業界、構成員、企業文化が異なるため、経営学の経営法則が自社に当てはまるとは限りません。
 

官僚制組織

企業規模が拡大し、メンバーが個々の役割を分担して業務を遂行するようになると、集団として統率が取れた行動をするために組織が必要になります。
バーナードは組織に必要な要素を以下の4つとしました。

  • 共通目的
  • 協働意欲
  • コミュニケーション
  • 意識的な調整努力

 

この組織の基本形をマックスウェーバーは官僚制(ビューロクラシー)組織と名付けました。これは次の特徴があります。

  1. 職務担当者の機能が規則によって規制されている持続的な組織体である
  2. 組織における職務は規定された権限の範囲内で行われる。この権限は分業化された機能を遂行するための責任権限を含み、その内容と行使は明確に規定されている。
  3. 上位の職位が下位の職位に命令するという階層と階層的権限体系が存在する。
  4. 職務の執行は文書によって行われ、文書に記録される
  5. 職務活動を遂行するためには専門的な訓練が必要である。
  6. 職務上の活動は職員の当該活動への専従化を必要とする

 

ウェーバーはこのような組織体は
「完全な発達を遂げた官僚制機構の他の組織に対する優位性は、ちょうど機械が非機械的な生産方法より優れているのと同じである。正確さ、スピード、明確さ、書類についての知識、一貫性、慎重さ、統一性、厳格な従属、摩擦の排除、物的・人的費用の節減、これらは官僚制的管理において最高度に達する。」
そして近代のあらゆる企業に取って卓越した組織体であると述べました。
 

このような官僚制的組織の活動をシステムとしたのがISOマネジメントシステムとも言えます。
 

官僚制組織のメリットは以下が挙げられます。

  1. 組織の成員の行動は方針、規則、手続きによって整合が取れている
  2. 職務が明確に規定されるので職務間の重複やコンフリクトがない
  3. 権威の階層(監督)があるので行動は予測できる
  4. 採用・使用真は専門的技能に基づいている
  5. 組織の成員はそれぞれの職務に専門化されているので、職務の専門的技能・知識を発展させられる。
  6. 人よりも役職が強調されるので組織の継続性が確保される

 

一方、社会学者のマートンは官僚制組織のデメリット(逆機能)について以下のように述べています。

  1. 訓練された無能
  2. 変化した状況においても規則に従うことしかできず状況対応できない「訓練された無能」となる

  3. 最低許容行動
  4. 規則が処罰を免れるための最低水準の行動を規定するため、不確実な状況や特別の努力を必要とする場合でも規則に従っておけば非難されない

  5. 顧客の不満足
  6. 顧客のニーズや状況が異なっても規則に従った定型業務しか行わず顧客の不満が増大する

  7. 目標置換
  8. 本来は目的を達成するための手段や方法を規定する規則自体が目的になってしまう。例えば特定の規則に従った結果が報償されるとその特定の規則が目的化する、規則や手続きに従わないと非難されるという恐怖、組織全体の目標よりも部門目標を優先、等により目的が変質する。

  9. 個人的成長の否定
  10. 効率追求のための過度の分業と専門化は個人の成長を妨げる

  11. 革新の阻害
  12. 効率のみを追求すると革新へ資源を提供せず、組織の目標達成よりも組織内部のパワー・地位の分配に注力する。

 

図2 官僚制の逆機能J,G,マーチ、H,A.サイモン(1993)「オーガニゼーション図第2販」
 

図2 官僚制の逆機能J,G,マーチ、H,A.サイモン(1993)「オーガニゼーション図第2販」

 

現代の企業組織の基本は官僚制組織であるため、上記のデメリットは何らかの形で現在の組織にも存在しています。
 

職能別組織

企業の規模が拡大するにつれて、構成員の業務は細分化され、各部門の業務を調整する必要が出てきます。そのため組織を階層化し、構成員へのコミュニケーションの円滑化を図ります。こうして業務別の組織を細分化したものが職能別組織です。総務部、生産管理部、営業部、製造部などのように業務に応じて組織化することです。
 

図3 職能別組織

図3 職能別組織


 
職能別組織のメリットは、分業化することで専門的経験により技術やノウハウの蓄積が容易でかつ早くなり、各々活動の効率が高まることです。
 

逆にデメリットは以下が挙げられます。

  • 権限がトップに集中するため、トップは日常の管理活動に時間を取られ戦略の構築などの経営活動に時間が取れなくなる。
  • トップに権力が集中するため、後継者育成のための訓練の機会が限られる。
  • 集権的な管理によりリーダーは受け身となり挑戦意欲が低下する。その結果自分の業務に専従し、全社的な視点が欠落し、変革に抵抗するようになる。
  • 業績評価は会社全体で行うため、各部門の業績を適正に評価するのが困難。

 

このような職能別組織のデメリットは、職能別組織形態をとる中小企業でも見られます。
 

AI時代に求められる人材

なぜソニーにiPodができなかったのか?

これからはAIやITが人の能力を補い、人の能力は向上し今まで以上に大きな成果が出せるようになります。例えば、多数のデータの相関分析は、かつては地道にデータをグラフに書き、個々のデータから電卓で相関係数を求めました。今はエクセルに入力すれば瞬時にできます。
 

しかし、そもそも分析の方針が間違っていて、データが適切でなければ正しい結果が得られません。これからは「どれだけやったか」よりも「何を、どうやるのか」が重要です。つまり適切な目的や方法の選択、結果の適正な判断能力が求められます。
 

図4 どれだけやったかよりも、どうやるかが重要
コンピュータ化、自動化以前は効率が低いため、方法の違いは大きな差にならない。労働量を投入して、効率を高めることが重要。
 

図4 どれだけやったかよりも、どうやるかが重要
AI、自動化により、効率は大幅に向上。最初にどの方法を選択するかで結果は大きく変わる。

図4 どれだけやったかよりも、どうやるかが重要
 

アップルがiPodを発売したとき、ソニーにはiPodをつくる技術は全てありました。
なぜソニーはiPodをつくらなかったのでしょうか?
 

それはiPod (アップル) の核心となる質問がソニーになかったからです。それは
「音楽はデジタルなのに、なぜ聞きたい曲を瞬時に手に入れられないのか?」
という質問です。
 

図5 初代iPod

図5 初代iPod


 

それまで音楽はCDなどのメディアを買うものでした。しかしCDのデジタルデータはネットからダウンロードもできます。1999年にはP2Pの音楽共有ソフトNapsterが公開されました。しかしアメリカレコード協会から訴えられ、同年サービスを停止しました。
 

スティーブ・ジョブズは、「欲しい曲を瞬時に手に入れる」を実現するために、レコード会社と粘り強く交渉し、iTunesを使ってCDアルバムの曲をバラ売りさせました。今まで2000円以上払って、アルバムを買わなければ手に入らなかった曲が、iTunesから200円以下で手に入れることができるようになりました。iPodが他社の音楽プレイヤーのようにCDをコピーするだけなら、このようなヒットにはならなかったでしょう。
 

問題をつくる能力

AIが進歩しても、この問題をつくることはまだ当面の間、人間しかできません。そしてイノベーションは、現状に満足しない人間の「なぜ?」から生まれました。
 

「なぜ、毎日毎日書類を書き写さなければならないのか」チェスターカールソン ゼロックスの創始者
「なぜ、掃除機の紙パックはすぐにつまるのか」ジェームズダイソン
「なぜ、カビのまわりでは細菌が繁殖しないのか」アレキサンダー・フレミング ペニシリンの発見
「なぜ焼入れした後に研磨しなければならないのか」焼入れ材の切削加工で研磨レス
 

一方「なぜ?」がイノベーションを生み出すためには、子供のように単純に「なぜ?」と問うだけでは不十分です。強い好奇心を持って自ら問題を深く掘り下げ、解決するという強い意志が必要です。スティーブ・ジョブズが強い意志でレコード会社にCDアルバムの曲をバラ売りさせることができたのは、それまでもディズニー相手にタフな交渉を重ねた経験があったからでした。
 

イノベーションを創出するには、時には様々な手を使ってでも目的を達成するという強い意志が必要です。さらに組織の中でそれを実現するには、協力してくれる仲間も必要です。AI時代に企業間競争を勝ち抜くにはこういったイノベーターの育成とイノベーションを実現する体制が必要です。
(ここでイノベーションという語の本来の意味は、よく言われる技術革新でなく「新結合」です。今までにない事業と事業の組合せができれば、全く新しい価値が生まれます。例えば、AKB48は、アイドル+オタクで新たな市場を作り出しました。)
 

日本の組織と組織文化の問題

「なぜ?」から今までにない組合せ、製品やサービスを実現すれば、自社独自の価値を生み出します。その社員の生み出す価値は、定型業務を行う社員よりはるかに大きなものです。しかし前述のように組織(官僚制)には、人を規則に従い、定型業務しかやらない人間にする傾向があります。さらに日本企業の組織には以下の問題があります。
 

高度成長時代の組織

日本社会はかつてムラを単位とした共同体社会でした。農作業は村全体で協力が必要なため、時には自分の利益を犠牲にしても村のために働くことが求められました。もし村八分にあい共同体のメンバーから外されれば、その村では生きていけませんでした。
 

そのような強い結びつきの共同体意識は、企業にも引き継がれました。これにより企業は社員から利害や打算を超えた忠誠心や貢献を得ることができました。製造業では、大量生産だけでなく多品種少量生産でも、現場で必要なのは勤勉性と協調性です。カイゼンも従来の仕事のやり方の延長線上で「より良い方法」を求めるものです。
 

決して今までのやり方を否定する革新的な方法を作業者に求めていません。日本の共同体意識は高度成長期において、ある程度レベルの高い同質の人材を企業に供給し、企業の成長に貢献しました。
 

さらに新卒一括採用と終身雇用は、社員同士に大きな格差がつかず、その中から徐々に差がついて一部の人間が上位の職制に昇格するシステムでした。その評価には人事部が大きな権限を持ち、評価項目には協調性や忠誠心などの情意項目も重視され、組織への高い忠誠心が醸成されました。
 

その一方、アメリカの経営コンサルタント会社が28カ国の従業員の「エンゲージメント」(仕事に対する熱意)を調査したところ、日本人のエンゲージメントは最低でした。このデータから、他国に比べても長時間労働で休みも取らず働く日本人は、自らの意志で積極的にそうしているのではないということになります。
 

図6 従業員のエンゲージメント
2012/2013 KENXA Work Trends Reportより

図6 従業員のエンゲージメント
2012/2013 KENXA Work Trends Reportより


 

年功序列型賃金と年功による昇格システムは、成長拡大する企業であれば維持できますが、成長がこれ以上望めない企業ではシステムとして維持が困難です。またこのシステムは、若い社員に対して仕事に不釣り合いな低賃金を強いる代わりに、キャリアを積んで子育て期に入ったときに、仕事以上の高給を約束するシステムです。従って、一つの会社に一生務められることを信用していない今の若者にとって、低い報酬で労働を強制する組織と感じます。
 

同質化の弊害1 集団無責任

共同体意識は社員を内向きにし、外部(社会)からの視点がなくなります。そのような意識が高くなると、上司や会社から達成困難な成果を求められた時に、組織(あるいは自分が所属しているグループ)の体面を守るためにコンプライアンスが無視されます。企業不祥事が発生した時に「仕方がなかった」という社員には、個人の責任という意識は希薄です。東芝の不正会計問題では、代々のパソコン事業部の役員は不適切な取引計上による売上の水増しを知りつつ、後任に引き継いでいました。この時、事業部の体面が重視され、個々の役員に自らの責任に対する意識はありませんでした。
 

人の社会的結合の総量は一定なため、仲間どうしの結合が強くなれば、会社としての一体化は弱くなります。こうして会社の中に小さな結束集団がいくつもでき、組織がタコツボ化します。従ってタコツボ化を排除するためには、仲間どうしの結合を弱くしなければなりません。
 

大がかりな組織変更や人事異動で人を大きく移動させるのもひとつの方法です。逆に東日本大震災以降、企業の中で社員の団結を高めるために「絆」をスローガンに掲げるところがありますが、見方を変えればコンプライアンス違反の組織文化を助長する行為です。
 

図7 社会関係資本3つの型
(エキストリーム・チームより)

図7 社会関係資本3つの型
(エキストリーム・チームより)


 

「社会的手抜き」とは、集団で共同作業を行った方が一人で作業を行う時より一人当たりの作業量が低下する現象で、作業以外にもブレインストーミングのような会議でもおきます。その要因には、以下のようなものが考えられます。

  • 自分だけが評価される可能性が低い
  • 努力の量にかかわらず報酬が変わらない
  • 自分だけ努力するのは馬鹿らしいという心理
  • 他者の存在によって緊張感の低下や注意力が散漫になるなどが起きる

 

フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンは綱引き、荷車を引く、石臼を回すなどで実験した結果、1人の時の力の量を100%とした場合、2人の場合は93%、3人では85%、4人では77%、5人では70%、6人では63%、7人では、56%、8人では49%と低下しました。(リンゲルマン効果)
 

この共同体組織は、無責任さや自分たちの集団の利益を優先する体質に加えてお互いの足を引っ張り合う特徴もあります。つまり「出る杭は打たれる」文化です。企業における年功序列の仕組みは、誰かが昇進すれば、誰かが昇進できなくなるゼロサム構造です。そのため、管理職になると自分が昇進するために同僚の足を引っ張ったり、ライバルの事業部の成果が出ないように暗に足を引っ張ったりします。
 

実際、日本企業の社員は、職場の同僚が困っていても助けないし、ノウハウを教えようとしない傾向があります。この傾向は「相手のメリットになる事が自分のデメリットになる」という構造を解消しない限り、なくすことは困難です。
 

同質化の弊害2 圧力

共同体としての企業は閉じた社会で途中退職しない限り、その社会から抜けられません。その意味でムラに近いものがあり、ムラのルール、文化に従わなければ有形・無形のペナルティを受けることがあります。この見えない圧力を先読みすることが「空気を読む」ことです。そしてこの見えない圧力が様々な不祥事を引き起こしています。
 

2009年6月14日村木厚子厚生労働省 局長は、郵便不正事件で逮捕されました。そして2010年9月10日無罪判決が出ました。捜査の過程で検察側は検察が想定した「主犯 村木局長」というストーリーに合わせるため、証拠として押収したフロッピーディスクの日付(プロパティ)を改竄しました。この主任検事の証拠改竄という前代未聞の事件は、主任検事とその上司の元特捜部長の逮捕という結果になりました。
 

なぜ検事が証拠を改竄するという「あってはならないこと」が起きたのでしょうか。この検事は上司から「最低でも村木を挙げよ」という強いプレッシャーをかけられ、自らの検察のストーリーと異なる証拠が発見されたとき、真実よりも組織の体面を重んじたのでした。当時検事が語った「被疑者が言ってもいないことを調書に書くのはよくあっても、物理的な証拠が改竄するのは考えられない」、この段階で検察の内部のモラルは正しいと言えるのでしょうか。
 

村木氏は間違いが起きた時に軌道修正しにくい組織の特徴は

  • 権力や権限がある
  • 正義のため、公のために仕事をしているとプライドがある
  • 機密情報や個人情報を扱うなど情報開示が少ないため、外からのチェックが入りにくい

この3つを挙げています。
 

そして財務省、防衛相、検察、警察などはその典型であり、マスコミや教師、医者などの先生と呼ばれる人たちも危険と指摘しています。こうした組織は性格上「建前は守らなければならない」、「失敗や間違い許されない」という意識になりがちで失敗や間違いを認めることができず、無理を重ねます。
 

逆に失敗や間違いを認めれば、大きな問題になる前に被害を最小にすることができます。このような失敗や間違いを認めることができない組織は、企業の中にもあるのではないでしょうか。
 

生産性低下の原因

海外に比べて日本のホワイトカラーの生産性が低い原因の一つは、管理職の職務と成果があいまいなためです。自らが優先して取り組まなければならない業務やミッションがあいまいなため、目先の雑用や会議に時間を費やし、付加価値を生み出していません。特に大部屋形式のオフィスでは、管理職のところに部下が次々と来て決済や相談するため、自らの業務に集中できません。この重要な業務は大抵頭を酷使するため集中力も必要です。それに対して雑用は頭を使わずにでき「仕事をした」気分になります。
 

それぞれの職務において重視すべきこと、達成すべきことが明確でないため、仕事の配分が適切にできない社員もいます。特に完璧主義者の場合、雑用も一生懸命取り組んで、その結果重要な仕事が間に合わなくなります。これも共同体組織の中で「頼まれたこと」が断れない状況が原因です。
 

図8 やり過ごしを許容するA社の評価基準

図8 やり過ごしを許容するA社の評価基準


 

成果主義と分化

同支社大学政策学部教授 太田肇氏は、これらの問題を解決するためには日本企業に「分化」が必要だと述べています。分化とは「個人や組織が集団、あるいは他人から、物理的制度的、もしくは認識的に分けられること」を指し、職場での仕事の分担を明確にしたり、給料や昇進に差をつける弱い文化や、企業飛び出して独立する強い文化などがあります。
 

具体的にはメンバーが担当する仕事とその成果を明確にし、担当した仕事はプロフェッショナルとして責任を持って遂行することで、フリーランスに近い意識で仕事をすることです。この分化のメリットを以下に述べます。
 

やる気の天井が取れる
  • 仕事の分担を明確にし、裁量権を与えることで、本人の努力・能力により成果がでれば、達成感、自己効力感が得られます。
  • 試作モデルを制作しているA社では、社内独立制度を導入し製造の社員を雇用から独立自営に切り替えました。これにより彼らの個人所得は1.4倍になり、生産性は単価の下落を考慮しても3倍に上がりました。制度導入後は中高年も新しい機械の操作を積極的に習得するようになりました。生産に影響のない雑用をできるだけ減らすようになったことも影響しています。
異質なチームワークが生まれる
  • それぞれの得意分野の異なる専門的な人材がチームを組むことで、各自の能力を生かして今までよりも高い成果を出せます。メンバー同士がプロフェッショナルとして認め合い、チームの目的の達成のために協力することで、均一なチームよりも高いパフォーマンスを発揮します。
無責任型不祥事がなくなる
  • プロフェッショナルとして、複数の企業を渡り歩くようになると、組織のために起こす無責任型不祥事がなくなります。そのようなことをすれば自分のキャリアにキズが付くからです。ソニー生命やプルデンシャル生命では保険営業の担当を個人事業主として独立させています。また福島県三春町では「個人担当・個人責任制」を取り仕入れ、仕事の分担表を全戸に配布しました。

 

一方で分化することで、組織のメンバーがバラバラになり統一された行動が取れなくなるのではないかという心配があります。ところが太田氏はむしろ分化することで新たなつながりが生まれ、人間関係が改善されると言います。
 

自律
  • 自分の意志で行動できるようになることで、むしろ他人とつながりを持とうとする傾向が出できます。一人一人の分担が明確になり必要な権限が与えられれば「やらされ感」がなくなり、仲間を助けようという余裕が生まれます。
人間関係の改善
  • 閉鎖的な集団を解消し、濃密すぎる人間関係を薄めることでむしろ人間関係が改善されます。
功利的な動機と他人への貢献
  • チームでまとまって行うと「社会的手抜き」により全体の成果が低くなります。
  • 一方個人が分化していれば、結果は一目瞭然なので手抜きが起きなくなります。また他人を助けることで見える形で貢献すれば、相手からも感謝されるので積極的に応援するようになります。また見える形にすることで功利的なメリットがなくても、他人へ貢献したいという意欲が生まれます。

 

欧米の組織と組織文化の問題

太田氏によれば日本組織の問題点は、分化が不十分な点にあります。それでは各自の職務が明確に分化し雇用者との間に契約を取り交わしている欧米の組織には、このような問題はないのでしょうか?ハーバード・ビジネス・レビュー編集部の「組織能力の経営論」よりアメリカの組織の問題点を述べます。
 

成果主義の功罪

欧米の企業でも過剰な成果主義は負の側面をもたらしています。その結果、自分や会社の成果を出したいと思うあまり、倫理、法的な境界線を踏み越えたりするケースが出ています。これは利己的な理由でそうなる場合もありますし、社内での圧力から起きる場合もあります。
 

フォルクスワーゲンは世界最大の自動車メーカーになるために経営トップは強気な売上目標を立て、中間管理職はその期待に無条件に応えなければなりませんでした。ディーゼルエンジンの技術者は、廃棄物と燃費の相反する現象を技術的に解決できず、不正なソフトウェアという手段を取ってしまいました。
 

その結果、不正に関与した技術者数名、CEOを含む経営陣の多数が解雇、及び辞職しました。この結果を招いたのは「横暴」とも言われたフォルクスワーゲンの厳しい企業文化にありました。
 

防衛的思考

コンサルタントは専門職として高い教育を受け、会社の業績向上には強い意欲を持つ人たちです。コンサルタントは、クライアントが業績を改善するために以前と違った方法でどのように仕事を進めていくのかを指導する立場にあります。そのため自らの組織の変革にも協力的であると考えられました。
 

あるコンサルタント会社が自社のチームの業績を高めるために変革を起こそうとするとコンサルタント自身が最大の障害となりました。あるプロジェクトの成果を高めるためのヒアリングをしたところ、コンサルタントたちは自分たちのことは棚に上げ、成果が出ないのはクライアントに一方的に非があると主張しました。
 

こういったコンサルタントの自己防衛思考的な言動は、高い学歴が災いして失敗や失意に陥る経験が不足していたためでした。成功への高い意欲は失敗への大きな不安や達成できない時の恥や罪の意識の裏返しだったのです。
 

情報の歪曲

売上数十億ドル(数千億円)のある企業は、ある製品の損失累計が1億ドル(100億円以上)に上り、この製品から撤退すべきと判断しました。実は6年前に5人の社員がこの製品の重大な問題に気付いていました。工場主任の3人は、日々直面する生産トラブルの解決に多額の費用がかかっていることを知っていました。2人のマーケティング担当者は、この費用を価格に転嫁すれば市場競争力は失われることを知っていました。
 

では、なぜこの情報がトップ伝わるのに6年もかかったのでしょうか。実は彼らは悪い情報を上司に伝えていました。しかしこの会社は悪い情報は歓迎しないため、彼らの上司は自分たちの上司ががっかりしないように長い資料を作成しました。その資料を受け取ったミドルマネジャーは報告書に改善策を入れ、明るい材料を付け加えるように指示しました。
 

さらにミドルマネジャーたちは情報を小出しにし、さらに資料の中身を大幅に割愛して、自分たちに直接火の粉がかからないようにしました。経営陣には断片的な情報しか入らず、問題の深刻さは伝わらなかったため、経営陣はこの製品を継続することを表明しました。現場のマネジャーは、このような悲惨な事態になっているのになぜ経営陣が続けようとするのか理解できませんでした。そのため資料を作成することに消極的になり、警鐘を鳴らすことも控えました。
 

組織文化

組織が活性化するかどうかは、公式な組織形態だけでなく、集団が持つ非公式な組織、組織文化によるものも少なくありません。組織文化は創業者の考えや理念、パーソナリティによってつくられ、仕事のやり方を通じて社員間に共有されていきます。その過程で組織文化が合わない社員は去り、組織文化はさらに強化されます。
 

DVDレンタルから現在は動画のストリーミング配信を行っているネットフリックスは、自社の企業文化を記した通称「カルチャーデッキ」を新入社員に読ませています。そこには社員に自由と裁量権を与える代わりに高い水準のパフォーマンスを求めることが記されています。かつて経営が苦境に陥った時、社員の3割を解雇せざるを得ませんでした。しかし残った社員だけの方が事業の効率が高まり高い成果を出すことができました。そのことからネットフリックスは社員により卓越したパフォーマンスを求める文化になりました。
 

ある研究ではチーム内での1年間のメールの数を調べてメンバーの結びつきの強さと売上の関係を調べました。その結果、結びつきが薄いチームは結びつきが強いチームに比べて業績が悪い反面、結びつきが強すぎても業績が低下することが分かりました。人間関係の絆が強すぎると行動に時間がかかり、チームの成績よりもお互いの関係の方が重要になるためでした。
 

さらに緊密な絆は、仲間が不適切な行動、倫理的に間違った行動をしている時、かばい合いを生む可能性があります。実際、集団に対する高い忠誠心があると、不都合な真実や非道徳的な行動をさらしたがらなくなることが研究で指摘されています。さらに過剰な人間関係の重視は「身内」と「部外者」を分け、他人を排除するようになります。
 

アリババのジャック・マーは、いくつかの事業を失敗した後、アリババを創業し、現在は社員数3万8千人という巨大なEC企業を達成しました。強い野心を持つジャック・マーは同じような起業家精神を持った人材を採用してきました。社内では長時間熱心な議論を戦わせることが奨励され怒鳴り合いも辞しません。
 

過去にアリババにいた人物はアリババについて「アリババにいるのは文明人ではない。ルールに沿っておしとやかに試合をする選手たちではない。望むことを何でも追いかける、極端で過激な人たちだ。会議が終わって出てくるときは誰もが叫びすぎて顔が真っ赤になっている。それがこの会社での会議のやり方だ。声を張り上げて強烈にやり合う。」と述べています。
 

これから必要な組織とは

これからAI時代にどのような組織が必要となるでしょうか。その切り口を以下に述べます。
 

年功序列の破綻

適切な評価に賃金まで入れると、若い人に相対的に低い賃金を押し付ける年功序列賃金は、ひとつの企業に定年まで雇用されること信じていない若者たちには受け入れられません。さらに年功序列と新卒一括採用は、最初に入った会社に留まることが収入や待遇面で有利となるため、なかなかやめられずパワハラ、セクハラの温床にもなっています。また年功序列は賃金だけでなく、仕事の裁量権にも及び、若い人、キャリアが浅い人は限られた仕事しかやらせてもらえません。
 

しかしAI時代、年功を積んだ社員が「問題を考えられる」「適切な目的や方法の選択できる」とは限りません。能力を持った社員により付加価値の高い仕事をするためには、年功以外の新たな組織形態が必要です。そのひとつが分化かもしれません。
 

分化の実現

分化の意図するところが、プロフェッショナルとして自立した職業人の集団であれば、組織の中で業務内容を分化しただけで十分だろうかという疑問があります。組織に属して賃金や立場が保証された立場と、独立したフリーランスでは意識に大きな違いがあるからです。
 

一方、仕事の分化が進むと、それを統括する管理者の業務は増加します。これまでの組織は部下が仕事だけでなくそれに派生する雑用や調整業務も行うため、管理能力の不十分な管理者でもチームは成果を出すことができました。しかし各メンバーが専門職として分化した場合、各メンバーを効率よく業務ができるようにマネジメントしなければ十分な成果を出せません。管理者には真のマネジャーとしての管理力が問われるようになります。
 

プロフェッショナルということ

自立したプロフェッショナルを組織してチームにする場合、従来の共同体の組織のように共通の認識や暗黙の了解、例えばあうんの呼吸で仕事を進めることができなくなります。そして組織文化もこれまでとは大きります。
また社員にも相応のプロフェッショナル意識が求められます。業務の時間管理や仕事の成果に対して、品質や納期の管理が求められます。
 

一方で現在の労働法は、高度成長時代の働いた時間だけ成果が出て、それに対して報酬を支払う考え方です。AI時代に入り、時間をかければ成果が出るわけではありません。今後は社員の報酬を決めるのに時間に変わる別の指標が必要となります。一方で労働者は雇用主に対して立場が弱く、必要な部分は法で守られる必要があります。それらを両立する新たな仕組みがこれから必要になるでしょう。
 

参考文献

「経営管理」 野中郁次郎 著 日本経済新聞出版社
「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」 入山章栄 著 日経BP社
「日本型組織の病を考える」 村木厚子著 角川新書
「なぜ日本企業は勝てなくなったのか 個を活かす『分化』の組織論~」 太田肇 著 新潮社
「組織能力の経営論」ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 ダイヤモンド社
「エキストリーム・チームズ」ロバート・ブルス・ジョー 著 すばる舎

 

経営コラム ものづくりの未来と経営

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ロボットは人の仕事を奪う? ~産業ロボットの歴史と最新のロボット技術~

3年前に訪問した中国 湖南省のプレスメーカーは、日本の中小企業と同様に人が設備を動かしていました。今、全てのラインにロボットが導入され、自動化されました。

中国ではロボットの導入が急速に進み、日本を追い越す勢いです。このロボット化が進めば、製造現場の人の仕事はどうなるでしょうか?

そもそも産業ロボットとはどのようなもので、どうして日本で発展したのでしょうか?そしてこれからロボットはどのように進化するのでしょうか?

産業用ロボットの歴史と最新のロボット技術から、これからのものづくりを考えます。
 

産業用ロボットの歴史

 

原点はからくり人形

人の形をした機械は、日本のからくり人形や西洋のオートマタなどが中世に作られていました。中でも日本のからくり人形は独自の発展を遂げ、江戸末期に作られた田中久重の「弓曳童子」などは自働機械と呼べるほど精密で複雑な動作を実現しました。

オルガンを演奏するオートマトン(Wikipediaより)

オルガンを演奏するオートマトン(Wikipediaより)


 

弓曳童子(Wikipediaより)

弓曳童子(Wikipediaより)

一方「ロボット」という言葉は1920年にチェコの作家カール・チャペックの戯曲「R.U.R. ロッサム・ユニバーサル・ロボット会社」で初めて使われました。

SF小説でのロボット三原則

1930年にアメリカのSF作家アイザック・アシモフが「I, Robot (私はロボット)」を発表し、その中で以下のロボット三原則を示しました。

  • 人間に害を与えない
  • 人間の命令に従う
  • 自らの存在を守る

産業用ロボットとは

このようにロボットは、人型の自働機械というイメージがあります。しかし、世界で最も広く使用されているロボットは、人とは全く異なる形の産業用ロボットです。

産業用ロボットは、厳密にはティーチングプレイバックという方法で動作する機械を指します。国際標準化機構(ISO)では「3軸以上の自由度を持つ、自動制御、プログラム可能なマニピュレーター(腕)」と定義しています。

産業用ロボットは、主に自動車や電子部品を生産する工場などで使用されています。自動車工場では、スポット溶接、ボディ塗装、部品取り付けなどに使われています。人間が行うには、単調な繰り返し動作、重量物の運搬などや、霧散している塗料を吸い込むなど、体に負担の大きい作業や作業環境の場合、作業者への負担軽減や作業ミスの削減、品質安定の面からも用いられています。

産業用ロボットの市場は、富士経済研究所の調査によると、2019年の業務・サービスロボットの世界の市場規模が1兆9819億円で、2025年には2019年の2.2倍、2兆2727億円になると予想しています。

ロボット産業全体では、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) によれば、2035年には9.7兆円の市場規模になると予想しています。特に今後はサービス分野で著しい成長が見込まれています。

ロボット産業の将来市場予測(出典:NEDOホームページ)

ロボット産業の将来市場予測(出典:NEDOホームページ)


 

この産業用ロボットで日本企業は世界シェア50%(2012年)と圧倒的な強さがあります。

代表的な日本メーカーは、安川電機、ファナックで、これにスイスのABB、ドイツのKukaの4社が世界の4大ロボットメーカーと呼ばれています。日本では他に川崎重工、不二越、エプソンなどがあります。

オムロンは、世界第10位のアメリカのアデプトテクノロジー社を2015年に買収しました。一方4大ロボットメーカーのひとつKukaは2016年に中国の家電メーカー美的集団に買収されました。

この産業用ロボットは構造から以下の種類に分類されます。

  1. 直交座標型
    X(前後),Y(左右),Z(上下)の3方向に水平移動するロボット
  2. 円筒座標型
    X(前後),Z(上下)する機構を旋回するロボット
  3. 極座標型
    X移動(前後)する機構を、左右旋回と上下旋回するロボット
  4. 多関節型 (水平 (スカラ) 型)
    水平方向に旋回する2軸を持ち、先端が上下するロボット
  5. 多関節型 (垂直型)
    6軸を制御することで人間の腕の動きに近いロボット
  6. パラレルリンクロボット
    リンク機構を並列に配列し、小型のワークを高速で搬送できるロボット

 

初期のロボット

1956年、31歳のエンゲルバーガ氏は、あるパーティーでG.C.デボル氏と出会いました。デボル氏は、ティーチング(教示)とプレイバック(再生)によって動作する「プログラムド・アーティクル・トランスファー」(プログラム可能な物品搬送装置)を特許申請していました。デボル氏はエンゲルバーガ氏にこの発明を説明したところ2人はすぐに意気投合しました。エンゲルバーガ氏は出資者を探し出して1959年にプロトタイプを完成させます。

ユニメートの外観 (Wikipediaより)

ユニメートの外観 (Wikipediaより)


 

これにゼネラルモーターズ社が興味を示し、ダイキャストマシンのワークの取出しに使用しました。エンゲルバーガ氏は、1961年にデボル氏と共同でユニメーション社を設立、1962年には世界初の本格的な産業用ロボット「ユニメート」を完成させました。

エンゲルバーガ氏は、人間の腕の代わりに仕事をするこの機械にアシモフの「I,Robot」からロボットと名付けました。しかし「ユニメート」はGM社のダイキャストマシンのワーク取出しに使われた程度で、その後の普及は進みませんでした。

アメリカの自動車工場では、労働者は溶接、プレス加工などの職能別に組織された労働組合に所属していました。 溶接ラインに「ロボットを導入すれば溶接工が職を失う」ため、労働組合はロボットの導入に強く反対しました。
 

アメリカで普及しなかったロボット、日本で爆発的に広がる

1966年エンゲルバーガ氏は、日本で産業用ロボットの講演を行いました。「30人程度だろう」と思われた講演会には200人あまりの経営者が聴講し、講演終了後の質疑は2時間も続きました。

高度成長期にあった当時の日本は、将来若年労働力が不足する恐れがありました。それを補うためにロボットに高い関心がありました。また当時アメリカの工業技術は世界の最先端にあり、その技術をコピーすれば日本で新事業を興すことができました。

こうして日本のロボット熱は高まり、ピーク時は200社もの企業がロボットに取り組みました。

こうした中、1973年には川崎重工が日産自動車、トヨタ自動車のスポット溶接ラインにユニメートを納入しました。日本ではアメリカと異なり労働組合は、企業別組合で、しかも終身雇用制の為、ロボットを導入して「仕事がなくなっても他の仕事に就く」ことができました。

発達するセンサ、エレクトロニクス技術を追い風に発展

実際はロボットを導入することで、作業者は危険、きつい、汚い仕事から解放される一方、ロボットの調整のような新たな仕事が生まれました。

当時、日本がロボットの開発に有利だったのは、ロボットに必要なエレクトロニクス、コンピューター、ソフトウェア、サーボ、センサなどの技術が大きく進歩し、以前は困難だった「高性能なロボットを製造し、使いこなすことが容易になった」ことでした。

1968年に川崎重工はユニメーション社より技術導入し「ユニメート」を国産化しました。しかしユニメートは様々な問題点があったため、川崎重工は独自にユニメートを改良しました。

さらに安川電機、スター精機、会田鉄工(現アイダ)、石川島、不二越、東京計器、クロガネクレーンなど多くのメーカーがロボットの開発に参入しました。

電子部品実装機もロボットの仲間

松下電器はプリント基板に電子部品を挿入するパナサートを開発しました。このとき電子部品実装機も産業用ロボットに分類されました。今でもロボット上の統計には電子部品実装機が含まれています。しかし汎用的な産業ロボットに対し、プリント基板の製造に特化した電子部品実装機を産業用ロボットの市場に含めるのは問題があるため、統計によっては産業用ロボットの市場から電子部品実装機を除外しています。
 

こうしてアメリカで生まれた産業用ロボットは、日本で大きく発展しました。

ロボットは高度成長期に人手不足と生産量の拡大に迫られた自動車メーカーによって、スポット溶接、アーク溶接、ワーク取出しなどに導入され、日本は稼働台数が世界一のロボット王国になりました。
 

ロボットの電動化と様々な分野への展開

 

こうして日本の工場に広く普及した産業用ロボットは、その後センサーやエレクトロニクスの発展により、より複雑で高度な作業ができるようになりました。

油圧サーボから電動化へ

当初ロボットの駆動は油圧サーボでした。その後、サーボモーターの性能が向上し、ロボットの駆動は油圧から電動化されました。これにより、より複雑で正確な制御が可能になりました。

1972年にはマイクロプロセッサが開発され、1970年にはプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC 通称シーケンサ)が発売されました。PLCの出現で、これまで固定されたリレー回路での制御がPLC内部のプログラムに代わり、制御の変更が格段に容易になりました。そして現場の技術者が短時間でロボットの動作を変更できるようになりました。

1970年代後半には、DCサーボモーターでロボットの可変速運転ができるようになり、「ハーモニックドライブ」のような高減速比の減速機が登場したことでロボットの位置決め精度が向上しました。位置検出にはインクリメンタルエンコーダーが採用され、今まで起きていた速度検出器の断線による暴走がなくなりました。

ロボットでは後発の安川電機は、スウェーデンASEA社垂直多関節ロボットIRB-6をお手本にサーボモーターを使用した電動式のMotomann L-10を開発しました。

電動式のロボットは油圧サーボ方式に比べ安価で使いやすいため、自動車部品のアーク溶接用に多くの中小企業が導入しました。

ファナックは、工作機械用NC技術を応用してロボットに参入しました。特に天井走行型のロボットを開発して複数の工作機械の間のワークをロボットで搬送し、機械加工の自動化・無人化を実現しました。
 

溶接以外の分野へ広がり

多関節ロボットは、事前にティーチングした位置へ正確に停止すればよいため、絶対的な移動距離の正確さは必要ではありません。しかし停止位置の繰り返し精度は必要です。

しかしネジ締めに多関節ロボットを使用すると、先端の剛性が十分でないため停止位置の繰り返し精度が安定しないという問題がありました。これを解決するために山梨大学の牧野洋教授はアームの剛性の高い水平多関節方式のスカラ型ロボットを開発しました。

1980年代、日本の半導体は好調でクリーンルーム内でウェハーを搬送するために発塵を極力抑えたロボットが求められていました。
繰り返し精度が高く発塵の少ないスカラ型ロボットが半導体工場に大量に導入されました。

こうして産業用ロボットは用途に合わせて様々に進化していきました。
 

ロボットの様々な用途

 

こうして高性能になったロボットは、これまで人が行っていた作業にも導入されるようになりました。

スポット溶接

初期の溶接ロボットはユニメートのような油圧サーボ駆動の極座標ロボットでした。
その後、より複雑な動作を実現するために電動化されました。しかし重い(100kg)溶接ガンを短時間に移動し正確に位置決め(±0.25mm)するには、モーターの停止時間の短縮と停止時の振動抑制が必要でした。
ロボットメーカーの要求にこたえるためモーターメーカーは現代制御理論を用いてサーボモーターの制御の高度化に取組み、制御技術は飛躍的に進歩しました。

自動車製造ラインに配備されたKUKA製産業用ロボット (Wikipediaより)

自動車製造ラインに配備されたKUKA製産業用ロボット (Wikipediaより)


 

アーク溶接

アーク溶接は、ロボットアーム先端の溶接部がワークに沿って連続的になめらかに移動して溶接します。ティーチングは作業者が手動でロボットを動かすティーチングプレイバック方式で行います。

糊付け・シーリング

自動車の窓ガラスの接着のため、窓ガラスに接着剤を連続的に塗布するロボットです。ガラスの局面に沿って移動するロボットの先端部は一定の速度でないと接着剤の塗布量がばらついてしまいます。そのため現代制御理論を取り入れ、どのような角度でも一定の速度になるようにしてします。
 

ロボットの進化とソフトウェア技術

 

現在の産業用ロボットは、強力な磁石の開発、制御理論の発展により、さらに高性能になりました。

一方今後は、ロボットのハードウェアよりソフトウェアの重要性が高まっています。このソフトウェアについては、プラットフォームをオープン化する試みがされています。

モーターの進化と現代制御理論の発展

1982年にネオジウム(希土類)を使用した強力なマグネットが日本で開発され従来より小型で強力なモーターが実現できました。加えて巻き線方式を改良することでモーターの小型高出力化が加速しロボットの高速化が実現しました。

一方ロボットが高速化されると相対的にアームの剛性不足が起き振動が起きるようになりました。そこで従来のPID制御などの古典制御理論に対し、状態変数という概念を導入した現代制御理論がロボットの制御に使われるようになりました。

これはコンピューターの計算能力が飛躍的に高まったことで、現代制御理論を取り入れた外乱オブサーバーやフィルタなど様々な機能が可能になったことも要因です。これらの機能はサーボモーターと制御装置に一体化して組み込まれていてユーザーは手軽に利用できるようになりました。

この制御理論の進歩と、それを実現する電子回路、ソフトウェア技術の進歩は、目立たないところでロボットの性能向上に大きく貢献しました。
 

ソフトウェアへの比重の増加とオープン化

コンピューターの進歩によりロボットは複雑な動作や多くの機能が実現され、これを制御するソフトウェアの開発がロボット開発の中で高い比重を占めるようになりました。

一般的なWindowsやMacOSなどのOSはCPUは命令を逐次処理するためリアルタイムでの動作が保証できません。そのため高速で動作するロボットの制御には向いていませんでした。

そこで各ロボットメーカーはロボット制御に適した制御システムを独自に構築してきました。しかしロボットメーカーのソフトウェア開発費は増加する一方で、中にはソフトウェア開発費を回収できずロボットから撤退するメーカーも現れました。こうしてロボット業界の再編が進みました。

このような状況の中、ロボット開発のプラットフォームをオープンソースで行う取り組みが行われています。最初は大学などの研究機関でロボットを使用するために開発したミドルウェアをオープンソースにしたものが始まりで、それが商業分野にも使用されるようになりました。

ROS(Robot Operating System)

ROSはロボット用のソフトウェアプラットフォームで、OSではなく既存のOS上で動くミドルウェアやソフトウェアフレームワークです。

ROSはスタンフォード大学が開発した「Switchyard」が起源で、アメリカのウィローガレージ社が開発を引き継ぎ、2010年にリリース版が公開されました。その後、ROSの開発は「オープンソースロボット財団」が引き継ぎ、オープンソースソフトウェアとして世界中から多くの人々が開発に参加しています。

ROSが動作するOSはLinuxが中心で、一部はmacOS、Windows、Androidにも対応しています。ハードウェアの抽象化、低レベルのデバイス制御、汎用的な機能の実装、プロセス間のメッセージ通信、パッケージ管理などを行い、ソフトウェアの開発や実行のためのツールやライブラリも提供されています。

このROSはロボットアーム、ヒューマノイド、自動運転車やドローンなど様々なロボットに使われていて、次世代バージョン「ROS 2」の開発・リリースも始まっています。

OpenCV

OpenCV(Open Source Computer Vision Library)は、オープンソースのコンピューター・ビジョン・ライブラリで、画像や動画の処理に必要な、さまざまな機能が実装されています。BSDライセンスで配布されるため学術用途だけでなく商用目的にも利用できます。
Intelで開発され、その後、Willow Garageに開発が引き継がれた後、現在はコンピューター・ビジョンの技術開発を手掛けるItseezによって開発が進められています。

 OpenCVを使うと、主に以下のような機能を利用できます。

  • フィルタ処理
  • 行列演算
  • オブジェクト追跡(Object Tracking)
  • 領域分割(Segmentation)
  • カメラキャリブレーション(Calibration)
  • 特徴点抽出
  • 物体認識(Object recognition)
  • 機械学習(Machine learning)
  • パノラマ合成(Stitching)
  • コンピュテーショナルフォトグラフィ(Computational Photography)
  • GUI(ウィンドウ表示、画像ファイル、動画ファイルの入出力、カメラキャプチャ)

 

OpenCVアドオンの例を実行しているopenFrameworks (Wikipediaより)

OpenCVアドオンの例を実行しているopenFrameworks (Wikipediaより)


 

このようにOSやミドルウェア、画像処理がオープンソースで供給されるようになり、規模小さいメーカーでも高機能なロボットを開発できるようになりました。
 

力覚センサ

協働ロボットとは、強い力がかかった際にロボットを停止させ、人に危害を加えないようなロボットです。この時の力を検出するセンサが力覚センサです。力覚センサにはひずみゲージ方式、圧電方式、静電容量方式などがあり、ロボットにはXYZと回転3軸の合計6軸の力が測定できるセンサが使用されています。力覚センサのメーカーには、エプソン、サンエテックなどがあります。
 

協働ロボットによる利用範囲の拡大

 

ロボットの新たな活用として、人と一緒に作業する協業ロボットが注目されています。従来の産業用ロボットは大型かつ高速なため、人がロボットとぶつかれば重大な事故になります。そのため事故が起きないように安全フェンスや光電センサを使ってロボットの可動域内に人が入れないようにしていました。

一方先進国では大量生産の製品は減少し、多品種少量生産の割合が増加しています。今までのようにロボットが同じ製品を長い時間作ることができず、製品は頻繁に変わるようになりました。そこで頻繁に変わる製品に対応して人の作業をアシストするために人と同じエリアで動くことができるロボット(協働ロボット)が必要になってきました。

人と共存するロボット

このニーズに注目したデンマークのUniversal Robots社は、協働ロボットをいち早く開発しました。また掃除機ルンバを生んだiRobot社を創設したロドニー・ブルックスは、2008年にリシンク・ロボティクス社を設立し、協働ロボット「バクスター」と「ソイヤー」を発売しました。(しかしリシンク・ロボティクス社は、2018年10月に廃業しました。)

協働ロボットは、従来の産業用ロボットに比べスピードは遅く、人と接触しても自動的に停止するため安全です。外観も人とぶつかることを配慮して丸みを帯びたデザインになっています。

現在は、川崎重工のduAro2、カワダロボティクスのNEXTAGE、KUKAのLBR iisy、ABB YuMi、不二越のCZ10、ファナック CR-35iAなど各社が協働ロボットを発売しています。

協働ロボットの市場は富士経済によると2025年には日本で1,000億円、世界で5,900億円に成長すると予測されます。

一方日本ではロボットの安全に関する法改正が遅れたため、協働ロボットの導入はヨーロッパに比べ2~3年遅れています。

安全規格の改定

ヨーロッパに比べて遅れていた日本の安全規格の改定は、2013年末に労働安全衛生法が改正され、2015年にJIS B8433-2が制定されました。その結果、リスクアセスメントを行って危険がないと判定できれば、安全柵なしで協働ロボットを使用できるようになりました。

現在は a.のように柵はないけど人とロボットの作業領域は分けられています。今後は、b. のように人とロボットが協調して作業する領域を設けたり、c. のようにどの領域でも人とロボットが協調して作業すると考えられます。
 

a.柵を設置しないが協働ロボットと人間が働く領域は分けられている

a.柵を設置しないが協働ロボットと人間が働く領域は分けられている


 

b.協働ロボットと人間が一部の領域で協調して作業をしている

b.協働ロボットと人間が一部の領域で協調して作業をしている


 

c.協働ロボットが自由に移動し、人間の領域に入り込んで作業をしている

c.協働ロボットが自由に移動し、人間の領域に入り込んで作業をしている


 

協働ロボットの課題

恊働ロボットは今まで人は人、ロボットはロボットと分けられていた作業を、人とロボットが協調して作業を行うため、以下のような課題があります。

  1. 対象物が均一でない(大きさ、形状、固さ)
  2. ユーザー側にノウハウが無い
  3. 人が行う作業の自動化が困難
  4. 人に危害を加えない安全対策

これに対して、以下の取組が必要と考えられます。

  1. 対象物の認識と安定した把持
  2. 容易なロボットティーチングシステム
  3. 熟練作業者の動きの再現
  4. 接触検知と最適な制御

これを下記の表にまとめました。

課題 解決策 技術
対象物が均一でない 対象物の認識と安定した把持 力制御の進化
ユーザー側に運用ノウハウがない 容易なティーチングシステム
ロボット化が困難な作業 熟練作業者の動きの再現 AIの活用
人に危害を加えない安全対策 接触検知と最適な制御

 

人の作業を代替する双腕ロボット

現在多くのロボットメーカーが双腕ロボットを開発しています。その理由は、双腕ロボットは人に近い動作ができるため、今まで人が行っていた作業を代替できるからです。

スイスABB社のYuMiは、各アームが7軸、合計14軸の双腕ロボットです。可搬重量は 1アーム0.5kgと小さいものの位置決め精度は0.02mmと高く、重量も38kgと軽量です。限られたスペースで複雑な動きが実現できるため、画像検査では製品を様々な角度から検査して今までより正確な検査を行います。

また双腕にすることで片方のアームでワークを押さえ、片方のアームで組立てることができます。これにより従来は必要だった専用のワーク固定治具が不要になります。
 

今後求められる「人並みに器用な手先」

今後ロボットが安価で使い易くなっていくと、最も大変なのは人が行っている作業をどうやってロボットに移し替えるかということです。例えば、ビンの蓋を開けて、スポイトを使って中の液体を1cc取り出す作業は、人であれば片手でビンを持ち片手でふたを開けます。そして片手はビンを持ったままで、もう一方の手は、スポイトに持ち替え、液体をスポイトに吸わせます。

これをロボットが行うためにはふたを開く専用のロボットハンド、スポイト付きの専用のロボットハンドを用意し、作業中にロボットハンドを交換しなければなりません。この専用のロボットハンドの設計・製作と、専用のロボットハンドを使った作業のプログラミングがロボット導入の障害となっていました。

一方、ロボットハンドが5本の指であれば、人の手と同じようにロボットハンドを動かせば必要な作業ができます。そのためティーチングはとても簡単になります。あるいは人の指に印をつけて、カメラで作業を記録することで、そこから自動でプログラムをつくることもできます。

現在、医療用に様々な5本指の義手の開発が行われていています。これが実用化されれば、ロボットを5本指にすることで、これまで以上に人と同じ作業が可能になります。
 

協働ロボットの新たな活用例

 

以下に各分野での協働ロボットの活用事例を紹介します。

人とロボットの作業分担

ファナックでは、射出成型機のボールねじ(12~13kg)をベアリングを圧入する作業に自社の重可搬型協働ロボットCR-35iAを使用しています。協働ロボットはボールねじを保管
棚から取出し、ボールねじを圧入機の中で立てた状態で保持します。作業者はベアリングを圧入機にセットし圧入します。その際、圧入機のセンターにボールねじのセンターが来るようにロボットはボールねじを軽く支えています。

従来は男性作業者が行っていたボールねじの取出しとセットをロボットに置き換え、しかもボールねじをロボットが支えるため女性でも作業できるようになりました。しかも協働ロボットはフェンスが不要なため、作業スペースは従来と同じでした。

専用自動機の代わりにロボット

日立アプライアンスは、炊飯器の蓋の組立をUniversal Robots社の協働ロボットUR10 2台を使用して行っています。この工程は、今までは2人の作業者がセル生産を行っていました。しかし手作業では改善の限界が見えてきたため、自動化に取り組みました。

この工程を自動化する場合、従来は専用の自動機を開発していました。しかし自動機は安全柵が必要なためラインが長く、設備の立ち上げにも時間がかかりました。

そこで協働ロボット2台を導入し、1台で複数の組立工程を行うことで、コンパクトなラインを実現しました。ラインの費用は1,980万円と少ないため、稼働開始から2年2か月で投資が回収できます。

ロボットによるウサギ追い方式(1人巡回セル)

両替機や釣銭機を製造するグローリーは、組立工程を自動化するためにカワダロボティクスのNEXTAGEを導入しました。同社の製品は工程が多いため、従来のロボットでは、工程の数に応じて部品の供給装置を用意するため多くのスペースが必要でした。また多くの工程に分割するため、個々のロボットの作業時間の差が全体として大きなロスになりました。

そこで1台のロボットが全行程を行うようにして、このロボットが各工程を製品と一緒に巡回して製造するウサギ追い方式を導入しました。部品の供給部が各工程1箇所で済むためコンパクトなラインになりました。

一般的にはウサギ追い方式を導入すると、作業の遅れが作業者にプレッシャーとなり、焦りが生じて不良が多発します。しかしロボットは作業速度の差が少ない上、ロボットは焦らないのでることはありません。

検査時は、両アームで製品を持ち上げて、角度を変えて画像検査を行い、微小な表面の傷も正確に検査します。さらに様々な形状のワークを保持できるように、ワークを掴む際に爪が水平に移動するロボットハンドを開発しました。グローリーは、このノウハウを活用してロボットシステムインテグレーター事業(RSI)も行っています。

超低価格ロボットを使用

自動車部品メーカーのジヤトコ(株)は、中国Shenzhen Yuejiang Technologyの「Dobot Magician」を使って部品の整列作業に取り組んでいます。Dobot Magicianは14万円という超低価格のロボットです。そこで従来のロボットではコストがネックとなって自動化できない作業に導入する計画です。

例えば、生産に使用するボルトなどの部品をトレイに入れる作業は、従来はワークの種類と数が多いため人が行っていました。このような作業にDobot Magicianの導入を検討しています。

協働ロボットがたこ焼きをつくる

ハウステンボスでは、2018年7月にロボットがたこ焼きを焼く「OctoChef」がオープンしました。従来は2~3人の業務でしたが、OctoChefは従業員1人とロボット1台で実現しました。

人が具材の準備を行い、具材の投入、調理はロボットが行います。たこ焼きをひっくり返すのもロボットがピックを使って行います。ただし、うまくいかなかったり、ロボットの動作が間に合わない場合は、人が補助します。焼けたたこ焼きを器に入れる作業は人が行います。

このようにロボットが苦手な作業を人が行うことで、今までロボットの導入が困難な業務にロボットを導入しています。

ランドロイドはなぜ失敗したのか

ランドロイドは、セブン・ドリーマーズが2015年に発表した「洗濯物全自動折りたたみ機」です。大手家電メーカーなどが多額の出資を行い、注目を集めましたが2019年4月経営破綻しました。原因は2017年発売予定が延期を重ね資金がショートしたためでした。

ランドロイドは、洗濯物の種類をカメラが判別し、ロボットアームが衣類の種類に応じて折りたたみ、種類ごとに分けて収納する装置です。

しかし現在の認識技術、ロボットハンドでは人と同じ作業を完璧に行うのは困難です。

完璧にはできない前提で、人がアシストして目的を達成するなら、なおかつ価格に見合った性能ならば、結果は変わったと思います。しかしランドロイドのパートナー パナソニックとしては、そのような中途半端な製品は販売できませんでした。

ランドロイドの失敗は、事業として自動化に取り組む際に「どこまでのレベルを目指せばよいか」目標設定の難しさと、ベンチャー企業が大企業と提携することの相性の難しさを示しています。
 

ロボットは人の仕事を奪うのか

 

このように現在の産業用ロボットは、まだ完全に人の仕事を代替することはできません。これまでの産業用ロボットの進歩と今後の方向性は以下のようになります。現在は4, 5の段階です。

  1. アーム 溶接等 円筒型、極座標型
  2. 自由度の高いアーム 溶接、組立 多関節型
  3. 多機能なアーム 組立・検査 多関節型にセンサ、カメラ、多機能なハンド
  4. 2本のアーム 組立・検査 双腕型
  5. 認識制度の向上 AI、機械学習

ロボットアームの動きは正確に制御できるようになりましたが、人の手にあたるロボットハンドの性能は、まだ人に及びません。認識・判断の性能は現在のAIはまだ人に及びません。そのため「ロボットにできること」と「できないこと」は依然存在します。

ロボットが広く導入されても、ロボットができない仕事は人が行わなければなりません。

OctoChefでは、具材を切ったり、具材をトレイに並べたり、焼けたたこ焼きを器に盛るのは人が行っています。

このような作業までロボット化しようとすると、大変な労力がかかる上にトラブルも多発します。ロボットの活用においては、このロボット化する作業の見極めが極めて重要です。

進むロボット市場の2極化

今後ロボットは2極化が進むと考えられます。

ひとつはAIを活用して高度な画像認識を行い、人が行っている作業の多くを置き換える高度なロボットです。人からロボットに置変えることで、生産性や品質の向上が実現するため、価格がある程度高くても、大企業を中心に広く受け入れられていきます。

また人にとっては過酷な環境での作業もロボットに置き換えられていきます。高い温度や有機溶剤などの人に過酷な作業環境や、高所や水中などの人が行うには安全上の問題やコストが多くかかる作業は、ロボットの導入が進むと予想されます。

もうひとつは、Dobot Magicianのような低価格ロボットです。低価格のロボットが広く普及すれば、簡単な作業のロボットへの置き換えが進みます。スピードは遅くてもロボットは休まず作業するため、高い費用対効果が得られます。

このようなロボットのプログラミングは、現場の作業者が簡単にできる必要があり、ダイレクト・ティーチングや使いやすいプログラミングツールが必要です。

どうやって使うかが問題

今後ロボットは様々な機能を持つと予想されます。そのような高度な機能や画像処理・AIも外部のライブラリをうまく活用すれば、中小企業でも安価に利用できるようになるでしょう。

一方「ロボットを使った方がうまくいく作業」と「人が行った方がうまくいく作業」は依然存在します。

そのため、ロボットを導入するかどうかは、この点に注意して費用対効果を考慮して見極める必要があります。つまり「ロボットをどうやって使用するか」が重要になります。

これについて国もロボットシステムインテグレーター(RSI)の重要性を訴え、様々な支援策を打ち出しています。今後は、ロボットの特徴をよく理解した上で、適切にロボットを導入することが企業の競争力の源泉となるでしょう。

単純作業から解放

今後ロボットの導入が進めば同じ作業を繰り返す単純作業はロボットが行い、人が行うのは「原料を取ってきて袋から開けて装置に入れる」というようなロボットに向いていない作業か、「ロボットの調整をしたり、ロボットの導入を計画したり」といった高度な仕事になります。

一方、すべての作業者がこういった高度な仕事ができるわけではありません。

将来はこういった仕事に適応できない人材の対処が問題になるでしょう。

参考文献

「ロボットテクノロジー」 日本ロボット学会 著 Ohmsha社
「日経ものづくり2017年5月号」
「日経ものづくり2018年10月号」
「産業用ロボット技術発展の系統化調査」 楠田善宏 著 国立博物館 技術の系統化調査報告 第4集

 

経営コラム ものづくりの未来と経営

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「事務ロボットがホワイトカラーの仕事を奪う!」~話題のRPAの特徴と課題~

昨年あたりから急速にマスコミに登場したRPA (Robotic Process Automation)、ホワイトカラーの生産性が大幅に向上し、事務部門において大幅な省人化やコストカットの実績が報告されています。その成果を聞いて、導入を決定した企業も多くあります。
 

このRPAはどのようなものでしょうか?
そして本当にそのような大幅な効率アップが実現するのでしようか?
 

このRPAについて、調べました。
 

RPAとその特徴

RPAとは

RPAとはRobotic Process Automationの略で、事務作業を人に変わってソフトウェア・ロボットを用いて自動化することで、事務作業の効率化を図るものです。ここでソフトウェア・ロボットとは何でしょうか?
 

ロボット(robot)とは、人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと(ウィキペディアより)です。この定義だと、装置もしくは機械を指しますが、今日では、物体としては存在しないが「人の代わりになんらかの作業を、ある程度の工程や手順を自動的行うもの」という意味で、コンピューター言語によるプログラムやソフトウェアもロボットの範疇に含まれます。そこでRPAもロボットとされています。
 

RPAの3段階

このRPAの中に認知技術(ルールエンジン・機械学習・人工知能等)を活用したロボットで、人間を補完して業務を遂行できる仮想知的労働者(Digital Labor)を指す場合もあります。ソフトウェアと仮想知的労働者ではずいぶん違いますが、これは以下の表のようにRPAには3段階の発展があるからです。
 

表1 RPAの3段階

クラス 主な業務範囲 具体的な作業範囲や
利用技術
クラス1 定型業務の自動化 人が行っているマウスやキーボード操作をロボットが自動的に行うことで定型業務を自動化。WEBやメール、伝票などからの情報取得や入力作業などに適用される。
クラス2 一部非定型業務の自動化 AIを活用して定型業務だけでなく、判断を伴う業務や非定型業務にも活用できるもの。音声認識や手書き文字読取、画像解析や過去のデータと照合して判断を行う業務に期待されている。
クラス3 高度な自律化 定型業務の自動化だけでなく、業務プロセスの改善や意思決定まで行うもの。まだ実現していない。

 

現在、広く利用されているのはクラス1の定型業務の自動化です。その中で一部のRPAに手書き文字認識や音声認識にAIが使われ、クラス2に近いものが使われ始めました。一方クラス3の時期は未定ですが、2030年には実現するという説もあります。
 

RPAの導入が促進した背景

日本でRPAを積極的に導入しているのは金融機関です。大手金融機関は顧客との間に膨大な数の取引があります。業務の多くがシステム化されましたが、人手による部分もまだ残っています。厳しい経営環境に直面している金融機関は、AIやビッグデータとともにRPAも早くから研究し、その導入による業務効率化や生産性向上を研究してきました。その成果が明らかになるにつれて、他でも導入に取り組む企業が増えています。
 

そのため調査機関によれば2020年にはRPAの国内市場は2兆円を超えると予測されています。最も大企業がRPAを導入する場合、予算規模は数十億円とも言われ、大手が導入するだけでも市場は容易に1兆円に達します。
 

RPAが注目される背景には、少子高齢化により将来の労働人口が減少することがあります。内閣府によると、2014年は6,587万人の労働力人口が、2060年には3,795万人に減少します。総人口に占める労働人口の割合は、2014年の約52%から2060年には約44%に低下する見通しです。
 

RPAで人間でなくてもかまわない定型業務を自動化すれば、人間が行うべき業務が精査され、より効率的に業務を遂行することが可能となり、日本の労働人口減少の問題解決に貢献するといえます。
 

RPAと従来のITシステムの違い

RPAはロボットと呼ばれますが、実態はソフトウェアです。なぜ、ここにきてRPAという新たなソフトウェアが脚光を浴びたのでしょうか? それは従来のITシステムの成り立ちとも関係があります。
 

ITシステムの成り立ち

従来のITシステムは、会計、受発注管理、生産管理などの業務を、それぞれ仕様を作成し、プログラムを組んで構築しました。30年以上前のオフコン全盛の時代は、ソフトウェアはオフコン導入の際にユーザーの要求に合わせて製作するのが主流でした。
 

現在ではソフトウェアに対する要求が高度化し、開発に時間と費用が掛かるようになりました。そのため、その都度製作していたのでは高価になるので、市販のソフトウェアを購入するケースが増えています。それでも、今でも自社の業務に合わせて一から作ることもあります。(フルスクラッチといいます)
 

市販のソフトウェアは、会計、受発注管理、予算管理、顧客管理、在庫管理などそれぞれの機能に特化して製作されています。会社の業務全体をシステム化するには、複数のソフトウェアを統合して運用する必要がありました。
 

現在は、基幹業務システム(ERP)が導入され、これらの業務は統合されるケースが増えてきました。それでもデータ入力や異なった業務へのデータ転送などは、人による作業がまだ多く残っています。これらの作業の多くは、作業内容は決まっている定型化した作業であり、コンピューターに置き換えることができるものでした。
 

ITシステム、RPA、エクセルマクロ・VBAの違い

RPAとよく似たものにエクセルマクロとVBAがあります。エクセルマクロはエクセル上で動くプログラムのことです。これを活用すればエクセル上の操作を自動化できます。プログラムはエクセルでの操作を記録するだけで可能です。またVBAはエクセルに標準で搭載されているプログラムでエクセル以外にも、ワードやパワーポイントとの間の処理を自動化することができます。
 
エクセルマクロ・VBAが、エクセルやオフィスソフト内での自動化を得意とするのに対して、RPAは他のソフトとの間、さらにWEBアプリとの間の作業を自動化します。
 

一方、RPAで自動化している作業の中には、わざわざRPAで操作しなくても、元々のITシステムを改造した方が、使いやすいこともあります。以下に、作業の自動化に対して、ITシステムの改造、RPA、エクセルマクロ・VBAの特徴と違いを述べます。
 

ITシステムの改造、又はモジュールの追加

  • 動作は安定し、高速
  • 専門知識が必要で、対応に時間と費用がかかる
  • 改造に情報システム担当者が要件定義や仕様打合せなどの手間を取られる
  • 複数のベンダーのITシステム間に改造やモジュールを追加する場合、コミュニケーションのコストが増加する

 

RPA

  • プログラミングの専門知識は不要、教育を受ければ現場の担当者でもプログラミングが可能
  • 自社で対応できるため、対応が早く費用もかからない
  • 担当者に相応のスキルが必要
  • 情報システムが担当すると、業務負荷が増加する
  • 条件によっては、動作が不安定になったり、エラーが起きたりする

 

エクセルマクロ・VBA

  • 自社で対応できるため、外部費用がかからない
  • 担当者に相応のスキルが必要だが、現場でも可能
  • エクセル内(エクセルマクロ)、オフィス内(VBA)の制約がある
  • プログラムによっては動作が不安定になる

 

このように考えると、事務の効率化=RPA と短絡的に考えるのではなく、エクセルマクロ・VBAの方が向いているものと、既存のITシステムを改造した方が良いものがあり、適切に判断する必要があります。
 

RPAの利点

RPAをエクセルマクロ・VBAやITシステムの改造と比較すると以下の3
あります。
 

  • 辞めない、休まない、夜間に自動処理が可能
  • 働き続ける、集中力が低下しない
  • 変化に強く、同じ間違いを繰り返さない

 

【辞めない、休まない、夜間に自動処理が可能】

人のように突発的に休みを取ったり、退職したりしません。また24時間働き続けることができるので、時間のかかる業務は夜間に行うことができます。またカレンダー機能があり、決まった時間に自動的に開始するため、作業忘れがありません。
 

【働き続ける、集中力が低下しない】

長時間稼働しても人のように集中力が低下してミスをすることがありません。大量のデータを処理する場合、人はどこかでミスをするのでその予防や対策が必要ですが、RPAはプログラムが正しければミスがありません。
 

【変化に強く、同じ間違いを繰り返さない】

相手のアプリケーションごとに変わる業務や、日ごとに変わる業務など変化が激しい時もプログラムを切り替えることで柔軟に対応できます。また同じ間違いを繰り返すこともありません。
 

このような特徴があるため、ある程度の手順が決まっている、いわゆる「定型作業」に対しては、RPAはミスなく効率を大幅に向上することができます。「ITシステムによる改善を検討したが費用対効果が見合わず断念した」「そもそも自動化はできないとあきらめていた」業務などにも、改善と改革の可能性を与えてくれる技術です。
 

RPAを導入する5つのメリット

RPAを導入することで得られるメリットは、以下の5つです。
 

  1. ホワイトカラー業務の自動化・効率化
  2. 従来人手に頼っていたオフィス業務を効率化・自動化を実現できます。
     

  3. 人的ミスの防止
  4. 人間が集中力を持続できる時間は限られており、特に何度も繰り返し行う作業では、ミスが発生することが避けられません。
     

  5. 生産性向上
  6. 従来人間が行っていた定型業務をRPAに代行させることで、担当者を他の業務に時間を割くことができ、全体の生産性が向上します。また今後人手不足が深刻化すると、生産性向上が喫緊の課題となり、RPAを導入がその解決策となります。
     

    図1 RPAの自動化の効果

    図1 RPAの自動化の効果


     

    また月に数日しかないが、その間は作業量が多くミスが許されない業務は、担当者の負担が大きく、ミスが担当者に大きな負担となることがあります。
    RPAは一度記録した作業を正確に実行するため、人的ミスの防止になります。またRPAは長時間作業しても、人間のように集中力が途切れ精度が下がることがありません。
     

  7. コスト削減

5分かかる作業がRPAで3分となっても、単体での時間短縮効果は限られています。しかし日々の業務や複数の人が関係する業務では、わずかな時間の短縮も蓄積すれば大きな効果を生みます。またRPAが自動的に行うことで管理の手間がなくなり、曜日・時間に関わらず作業を行うため、全体として大きな工数削減が実現し、その結果、人件費削減につながります。
 

事務業務のアウトソーシングとの比較

データ入力などの事務業務を海外、特に新興国や発展途上国へ委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が、事務業務の効率化の方法として普及しています。しかし、これらは人が行うため、担当者の教育やスキル向上が必要で、スタッフが退職したりすると引き継ぎがうまくいかず、品質が低下したり、納期がかかるなどの問題が生じます。
 

新興国や発展途上国へ委託する場合、これらの国々の人件費が上昇すれば、コストも上がります。さらに正確性が求められる業務は、二重三重のチェックが不可欠となり、コストと時間がかかる問題もありました。
 

RPAは、このようなBPOの人に関する問題がなく、品質とコストが維持できる点に違いがあります。
 

RPA導入の効果と注意点

効果の4段階

RPAの導入は以下のように4段階の効果があるといわれています。
 

  1. RPAソフトウェアの特性 一次効果
  2. コンピューター処理のため、以下の効果が得られます。
    ① 効率化
     ● ミスがない
     ● 見直しや確認が不要
    ② 生産性
     ● 処理速度が早い
     

  3. ロボットファイルの設計ノウハウ 二次効果
  4.  ● 反復処理を実装する、スケジュールに沿って実行する、などを組み込むことで、生産性を向上
     ● プロクラムを部品化・モジュール化し、社内で共用することで、業務を横展開できる、二次効果
     

  5. システム全体としての効果 三次効果
  6. OCR、AIと合わせて導入することで、相乗効果が生まれ自動化が促進します。
     

  7. 導入活動による効果 四次効果

RPAを導入するために、業務全体を見直し、定型化された業務とそうでない業務を洗い出すことで、業務全体の見直しや改善が進みます。
 

実際にRPAを導入すると、一次や二次の効果よりも三次や四次の効果の方が大きいといわれています。
 

導入にあたっての注意点

【RPAへの正しい理解】
大手企業のRPA導入事例やコスト削減効果に踊らされず、RPAのできることを正しく理解します。企業によっては、前述のように当初は時間短縮の効果はそれほど大きくありません。セミナー参加や他社の導入事例集を集めるのも理解を深めるのに良い方法です。
 

【RPA自動化に適した業務の洗い出し】
導入する部門の業務を洗い出し、定型化されている業務やルール化されている業務の中で、情報が電子化されている業務を候補に挙げます。また時間短縮やミス防止など効果のわかりやすいものから取り組みます。
 

【RPAの導入の準備】
プロジェクト等推進体制をつくりリーダーを決定します。特に情報システム担当には負荷がかかるので、前向きな人を選びます。最初は小さな業務から取り組み(スモールスタート)、徐々に対象範囲を拡大します。
 

RPAを使う際の注意点

RPAを使う上で注意すべきことは、RPAで自動化できることは定型的な業務に限定されることです。人間が判断するような業務は、現状のRPA クラス1ではできません。
 

また定型的な業務でも、文字や画像の識別、音声の識別などコンピューターが苦手とする識別はRPAには向いていません。多くのRPAは、文字認識(OCR)や音声認識は搭載しておらず、それらは別のソフトウェアを使用することになります。従って業務がスムーズにいくかどうかは、それらのソフトウェアに依存します。
 

具体的な注意点 ユーザックシステムのブラウザ名人 の例

RPAは、販売管理システムや勤怠管理システムなどのソフトウェアをRPAという別のソフトウェア(RPAでは、ロボットといいますが)で操作します。従って、RPAが安定して動作するためには、RPAが認識しやすいように動作を設定する必要があります。
 

【安定性を確保するために】
RPAが安定した動作をするために、通常はプログラミングの際、マウスを操作し選択や入力を行う場合は、RPAはマウスがhtmlのどこを操作しているか認識し、htmlのタグとしてプログラミングしています。
 

キーボードで操作する場合も、キーボード入力を認識してプログラミングしています。
対して画像内の座標を指定した場合は、サイトによってはPC環境に応じて画像サイズを変える場合があり、座標が違ってしまう可能性があります。
 

画面全体の座標を指定した場合、画面表示はPCのディスプレイの設定により異なるため、思ったように動作しない場合があります。
 

RPAのベンダー

Biz Robo / Basic Robo (Kofax Kapow10)

Kapow社が提供していたツールをKOFAX社が買収・統合したもので、RPAテクノロジー社からはBiz Robo / Basic Roboとして提供されていますが、他のベンダーからはKofax Kapow10として提供されています。
 

サーバー上で稼働し、複数のロボットを同時に使用でき、Webによる大規模なデータ処理アプリケーションに適しています。国内では100社を超える企業に導入され、トリンプインターナショナル社、日本生命、オリックスグループなどに導入されています。費用は、一例として年間利用料の場合60万円~となっています。
 

Ui Path

マイクロソフトのWorkflow FoundationやXAML書式を適用したRPAツールで、動作シナリオ作成、実行、管理支援などをモジュール化し、別々に提供することで、小規模~大規模企業まで幅広く対応する製品です。国内で555社に導入され、三井住友フィナンスグループ、電通、早稲田大学などに導入されています。価格は、最小構成単位で年間利用料87.5万円、自動実行を含めた開発・実行・管理機能の最小単位の年間利用料が385.5万円となっています。
 

Blue Prism

2001年に設立されたRPAの老舗で、金融、医療など高度なセキュリティが必要な分野に強く、日本ではDeNA、住友商事など金融機関や広告代理店、Web企業など30社に導入されています。価格は年間利用料が120万円~です。
 

Automation Anywhere

世界市場では、Blue Prism社、Ui Path社と並んで 3大RPAプロバイダーの1社です。事務処理業務のRPAプラットフォームAutomation Anywhere Enterpriseの他に機械学習/コグニティブ技術によって非構造化データ解析を行い、意味を理解し、必要なアクションをRPAに渡すIQ Bot、リアルタイムでデータからの洞察を得るBot Insight、仮想技術により業務量に応じてボットの数をオンデマンドで調整するBot Farmなどのツールを提供しています。
国内では、横河電機、サントリービジネスシステム、第一生命保険などが導入し、価格は最小構成で100万円/年、標準的な構成で1,300万円/年です。
 

WinActor

NTTの研究所で生まれた純国産RPAツールで、ほぼすべてのWindowsデスクトップアプリケーションに対応し、Webアプリケーションにも対応しています。デスクトップ型でサーバーを必要としないのでPC1台から始めることができ、画面イメージによる機能に特徴があります。2000社を超える企業が導入し、価格はフル機能版が90.8万円、実行機能のみが24.8万円です。
 

Autoジョブ名人

ユーザックシステム社が開発したWebシステム向けの国産RPAツールです。元々Web EDIの受信システムを10年以上にわたり販売していてWebからのデータ処理に強みがあります。ブラウザ操作に特化したAutoブラウザ名人、メール処理を中心としたAutoメール名人もあります。価格は年間60万円、スクリプト実行版は年間18万円です。
 

CELF RPAオプション

SCSK社が開発したもので、Excelの知識でWebアプリケーションを作ることができるクラウドサービスCELFにRPAオプションとして追加されたものです。ほぼすべてのWindowsデスクトップアプリケーション、およびWebアプリケーションに対応しています。Excel内の処理やデータベース連携を得意とし、RPAで行う処理を単純化することができます。価格は、CELFの年間利用料が17.5万円、RPAオプションが3.5万円です。
 

RPAの実施例

投資信託の口座開設業務の自動化

ゆうちょ銀行は、これまで人が行っていた投資信託の口座開設業務に、富士通が開発した業務自動化システムを導入しました。OCRとRPA ( Kofax社の「Kapow(カパウ)」) を活用して、紙に記入した口座開設申込書の読み取り、内容確認、口座開設手続きを自動化し、作業時間を1/3に短縮しました。
 

この作業は、口座開設申込書と顧客の口座情報をひも付けを行い、口座の情報や顧客の個人情報を行員が比較・確認し、システムに手で入力しています。
 

これを読み取った申請書をOCR「DynaEye(ダイナアイ)」を活用し、印字された文字や手書きした文字を高精度に認識し、文字のつぶれなどで読めない時はエラーを返します。未記入部分などがあればエラーを出力し、行員は該当部分のみを確認して修正します。
 

読み取った申請書の情報は、普通口座の顧客情報と合わせて登録し、内容を照合して確認、投資信託システムへの入力から完了通知までをRPAで実施することで、これまでに投資信託の口座開設にかかっていた時間を3分の1に短縮しました。
 

定型化した業務にRPAを導入

社内の業務を洗い出し、定型化している業務にRPAを導入し、残業時間の削減を目指します。業務を洗い出した結果、59業務にRPAの適用を決め、21業務のRPA化が完了しました。例えば、勤怠管理の自動化、顧客への納期解答書の作成、請求書の確認業務などです。
 

Web EDIデータのダウンロード

Web EDIのデータを取引先のWebサイトからダウンロードしますが、発注が365日あり取引先の数も多いため、高い業務負荷でした。取引先ごとにWebサイトの画面が異なるため、操作方法も異なり、作業ミスや漏れが発生していました。
 

RPAに取引先ごとのデータのダウンロード作業をプログラム化し、自動的にダウンロードし、基幹システムに転送するようにした結果、受注ミスと休日出勤がなくなりました。
 

銀行の入金データのダウンロード

(ジャパネット銀行)
クレジットカードやデビッドカードの決済のため銀行のWebサイトにアクセスし入金データをダウンロードし確認していますが、決済の増加により業務量が増え、ミスや漏れが発生していました。銀行のWebサイトの操作に時間がかかるため、人員が増加する半面、ミスが許されないため離職者も増えていました。
 

RPAにより銀行のWebサイトに自動的にアクセスし入金データをダウンロードすることでミスがなくなり、時間も短縮されました。
 

勤怠情報をメール

(外食チェーン)
働き方改革で残業を規制するため、本部の勤怠管理システムで時間超過者をリストアップし、各店舗の店長に手作業でメールを送信していました。作業忘れや送信漏れが起き、作業工数もかかっていました。
RPAで警告メールを自動送信しました。
 

We価格調査

(タイヤのネットショップ)
毎日社員4名が専任して競合店の価格を調査していました。ミスの発生や社員のモチベーション低下の課題がありました。
価格調査をRPAにプログラムし自動化しました。
 

事例のまとめ

多くの事例では、中小企業はRPAの導入による削減時間は、1か月あたり数分から数百分、コストダウン効果で見れば、1か月数千円から数万円にすぎません。費用対効果で考えれば、RPAよりも人で行った方が良い場合もあります。
 

従ってRPAの導入はコストダウンだけでなく、社員の負担を少なくすることで、より付加価値の高い業務に注力できることや、業務負荷が増大した時にも柔軟に対応できなど、総合的に判断する必要があります。
 

専門的なプログラミング技術は不要ですが、業務の自動化とはプログラム化することなのでプログラミングのセンスがあった方が望ましいです。できればエクセルマクロなどの経験があると良いです。
 

RPAかソフトの改造か

このようにRPAの実施例を見ると、わざわざRPAを導入しなくても、現在使用しているITシステムを改造する、あるいはモジュールを追加した方が使いやすい場合があります。RPAは、既存のITシステムを別のソフトウェアで操作するため、RPA自体の不安定さが内在します。またRPAのプログラムの管理が発生します。大がかりな改造でない場合、既存のITシステムに追加のモジュールをアドオンすれば対応できる場合、RPAよりもこちらの方が、操作が簡単で動作も安定していることがあります。
 

逆にRPAの利点は、エンドユーザーが自分でプログラムできる点です。そのため迅速に立ち上げることができ、変更も容易です。またRPAはひとつで多くのソフトウェアを操作できるため、個々にITシステムを改造するよりも少ない費用でできます。
 

RPAを用いた業務効率化とその将来

効果は企業規模により異なる

RPAは定型化された業務が多ければ導入することで、業務を効率化することができます。しかし中小企業の場合、単純な定型業務に一人が専念していることは稀です。そのため業務を効率化しても人員削減までには至りません。
 

これが大企業では、定型業務にある程度の人員が投入されている場合があり、この場合はRPAを導入することで、人員削減とコスト削減が実現します。
 

またRPAを導入することで情報システム担当者の業務量は増加します。情報システム担当者が業務効率化に積極的でない場合、不満が大きくなります。
 

大企業の場合は、自部門の業務を洗い出し、定型化している業務、RPA導入で効果が見込める業務を抽出し、プロジェクトとして推進します。ある程度投資できればOCRや音声認識も導入することで、従来はコンピューターに置き換えできなかった業務も置き換えることができます。
 

中小企業の場合は、定型化できる業務をある程度ピックアップしますが、大企業のように時間とお金をかけて、業務を洗い出すようなことは、時間も人も不足です。そこでそれほど大がかりでないRPAを導入して、まずはRPAに置き換えられる業務をいくつか試してみます。それで効果が確認されれば、現場主導で置き換えできる業務を見つけて置き換えていきます。その際、最初は小さな業務から始めて、できるだけ大きな問題が起きないところから進めていきます。
 

定型的な業務で社外に発注している業務(business Process Outsource : BPO)は、RPAの導入により外注費の削減が可能です。
 

RPAの将来は?

【クラス1】
クラス1の機能では、中小企業では高額なRPAを導入しても効果は少ないと思います。RPAの効果は、情報システム担当者のスキルに依存するため、まずは安価なRPAを導入し、情報システム担当者のスキルアップを図ると良いでしょう。
 

この部分がどんどん使いやすくなれば、情報システム担当者だけでなく、一般の社員も簡単にプログラミングできるようになり、RPAを使う場面が増えます。データの入力に2時間の作業でもプログラミングが30分であれば、RPAの動作は短時間に終了するため、作業時間は半分以下になります。
 

そう考えると、RPA普及のポイントは、RPAの使いやすさの進化と、使う側のスキルの向上です。使う側がプログラミングに慣れていないと、RPAは面倒に感じられ、時間をかけてでも単純作業を続ける人が出るかもしれません。
 

例えば三次元測定機は、一度測定動作をすれば、自動で測定を繰り返すプログラミング機能が30年以上前からありました。そのため三次元測定の担当者にとってプログラミングは当たり前となっています。従って、環境が整えば多くの人がRPAのプログラミングになじむかもしれません。
 

【クラス2】
今後、OCRや音声認識がさらに普及すれば、クラス2は実現可能です。実際は、FAXや紙の帳票や伝票をデータ化して、オンラインで受け取れば、OCRは必要ありません。現実には、取引先とのシステムの違いやセキュリティの問題から、紙でのやり取りは依然としてあります。特に行政機関とのやり取りは印鑑での決済があるため、当分はデータ化しない、データ化してもpdfどまりと予想されます。
 

その場合、OCRがRPAに組み込まれ、エラーのノウハウを広く共有して識別制度が向上すれば、RPAはさらに様々な業務に適用できます。
 

クラス2の例として、請求書のスキャンデータから、AIにより書式を判断して項目を整理し、データベース化するものがあります。初めての書式でも類似の書式から判断したり、スキャンデータと過去の情報を比較してご認識を修正したりして、高い精度を実現しています。
 

【RPAとAIを組み合わせての発展】
RPAツールは導入してからが勝負、スモールスタートで始めて大きく育てる方が良いと言われています。わかり易いRPAから始めてIT活用率を高めていくことが手堅いと考えられます。ここでは、RPAから始めるAI活用の第一歩をご紹介します。
 

【RPAツールで扱うデータ等を拡大】
AI-OCRやAIスピーカーなどの技術を利用して、紙や画像、音声などの情報を、RPAが扱えるような形式のデータに変換し、自動化できる業務の範囲を広げます。非構造化データを構造化する、というような言い方もされます。RPAツールという自動化ロボットに、AI-OCRという優れた目を与えたり、AIスピーカーという優れた耳を与えたりするイメージです。
 

【審査等の判断業務との連動】
RPAでAIのような高度な判断まで行おうとする場合は、高度な判断をする特化型AIと組み合わせるのが現実的です。例えば与信審査判断力を鍛えた特化型AIに、以下のように組み合わせます。
 

  1. RPAが与信審査AIに所得等の情報を渡し、この人にお金を貸しても大丈夫かと問う
  2. 与信審査AIは、受け取った情報から貸与可否を審査判断する
  3. RPAは与信審査AIから戻ってきた審査判断に応じた処理を行う
      (貸与可であれば、貸し出す業務を自動実行する)

 

今後は、何かしらの目的に特化したAI商品が増えていくと予想されます。実用段階に達した特化型AIをRPAと組み合わせることで、それまではRPAには難しい業務を自動化できるようになります。RPAという自動化ロボットに、審査AI等の相談相手を付随するわけです。
 

クラス3の実用化は…

クラス2のRPAでのAIの役割は、OCRの認識精度を高めたり、取得したデータの項目を見て、適切な処理を判断したりするものです。これは、すでに音声認識や検索エンジンでAIの恩恵を受けている私たちにも馴染みやすいものです。また今後AIの活用としては、与信管理や融資の可否にAIやRPAの活用が予想されます。
 

より高度な非定型業務を判断するには、判断の元となるデータが蓄積されていなければなりません。今後RPAが普及し、様々な業務においてデータが蓄積されれば、それらのデータを活かして、AIが判断できる場面が出てくると予想されます。
 

今後どのような場面でAIを活用して、RPAが自動的に判断し、遂行できるような業務があるのか? もし、そのような業務が急速に増えればホワイトカラーの仕事が半減するかもしれません。
 

クラス3よりも重大な変化

むしろ、クラス1、あるいはクラス2のRPAが大量に普及することで、雇用環境に重大な変化が起きるかもしれません。
 

現在のホワイトカラーの仕事の多くは定型業務です。もしこれらがRPAに置き換わると残った仕事は創造的な仕事だけになってしまいます。これは設計でも例外ではありません。設計作業では多くの時間を過去の設計の複写や改変に割いており、本当に新しいものを考える時間は多くありません。
 

このような定型業務に対しクラス2のRPAをアシスタントとして導入すれば、作業効率は飛躍的に高まるでしょう。その半面、設計者は常に頭を動かすことに追われます。あるいは従来5時間かかっていた定型業務をRPAが5分で終わらせてしまえば、設計者は3時間創造的な業務に取り組むだけで同じ成果が出せるかもしれません。
 

一方、ホワイトカラーの中で創造的な業務に向いていない人材は、職場での居場所を失う可能性があります。すでに製造業の現場では、自動化された設備の設定やプログラム、改善のできる人材と、製品の着脱など単純作業しかできない人材とで待遇に格差が生じています。このような状況がホワイトカラーの職場でも、より深刻化するかもしれません。
 

そして、仕事をあまりに創造的なものだけにすることは、別な面で創造性の支障になる可能性があります。優れた研究者や開発者は、膨大なデータを手間をかけて整理・分析し、その過程でデータの中から神がかり的な直感でもって、新たな発見をすることがあります。そこまででなくても、ベテランはデータを眺めていて他の人が気づかない異常や問題点を発見します。
 

このような能力は、一見すると非効率に見える定型的な作業の繰り返しの中から生まれています。かといって、今更かつてのやり方に回帰できないでしょうが、生のデータを扱う時間を補完することも必要かもしれません。
 

参考文献

「絵で見てわかる RPAの仕組み」 西村 泰洋 著 翔泳社
 

 

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「人工知能AIの発達で仕事はどう変わるのか」  ~その2 第三次人口知能ブームの技術とシンギュラリティ~

第三次人工知能ブーム

1980年代の第二次人工知能(以降、AI)ブームは、

  • 当時の記憶装置はエキスパートシステムに入れる知識ベースに限りがあること
  • 形式化(言語化)されていない知識を扱うことが容易でない

そのため、広く普及するには至りませんでした。
 

ところがムーアの法則に従いコンピューターの演算能力、記憶容量は指数関数的に増加し、今まではできなかった大量のデータ処理ができるようになりました。インターネットが普及し、当時のエキスパートシステムでは望めなかった大量のデータ(知識ベース)が手に入るようになりました。
 

1997年にはIBMのAI ディープ・ブルーがチェスの世界チャンピオン カスパロフを破り、2016年にはグーグル傘下のAlphaGoが世界トップのイ・セドルに勝利しました。2011年にはIBMのワトソンがアメリカのクイズ番組「ジュパティ」で勝利しました。
 

こうして身近にAIが使われるようになり、再び第三次人工知能ブームが訪れました。そのカギとなる技術は機械学習とディープラーニング、ビッグデータ解析です。
 

ニューラルネットワーク

図1に示すように、生物の神経細胞をモデルにして人工のニューロンを相互に接続して学習を行うのがニューラルネットワークです。画像の入力に対して各ニューロンを通って出た答えを判定します。正しい答えを出したニューロンの重みづけを増やし、間違った答えを出したニューロンには、その重みづけを減らします。再度同じ入力を処理して、正解に近づけば再び重みづけを増やします。これを繰り返せば、常に正しい答えを出せるように「学習」します。
 

実はグーグルの創設者セルゲイプリンとラリーペイジはこのニューラルネットの研究者でした。ここからインターネットのウェブサイトの評価を重みづけするという検索エンジンの考えが生まれました。
 

図1 人工ニューロンとニューラルネット

図1 人工ニューロンとニューラルネット
 

機械学習

それまでのコンピューターは計算や思考をある語リズんで表し、プログラムを作らないと動作しません。コンピューターはプログラム以上のことはできず、自ら学習することはできませんでした。
 

心理学では「強化学習」というものがあります。これは生物の報酬系に働きかけることで、うまくいったことを強化し、失敗したことは弱めて学習します。この考え方をコンピューターに取り組み、うまくいった状態をコンピューターに理解させ、うまくいった方法に対し変数を変えて目標値に近づけば、これを繰り返して正解を出せるようになります。
 

図2の例では複数の人工ニューロンに入力されたデータの結果は、最初の状態はランダムなため間違いが含まれます。
 

この出力と正解との差に対し、重みづけをさかのぼって修正します。(逆伝播 : バックプロパゲーション と言います。) (図3) 一度、逆伝播で学習しているので、今度はより正解に近づきます。これを繰り返して精度を上げていきます。(図4)
 

図2では女性の画像は約18万のニューロンに分解され、それぞれのニューロンにランダムに重みづけがされた後、各ニューロンが男か女を判定します。各ニューロンの判定結果を集計します。ランダムに重みづけするため、最初は男性90%女性10%と、答えは間違っています。
 

正解は男性0%女性100%なので、出力に正解を入れた場合、今の答えと正解の差から正しい重みづけの値に修正します。(逆伝播:バックプロパゲーション)(図3)
 
再度女性の画像を入力して結果を判定すると、男性60%女性40%と前よりも正解に近づきます。(順伝播:プロパゲーション)(図4)
 

欲しい精度で判定できるようになるまで、これを繰り返します。
 

図2 機械学習の順伝播の仕組み

図2 機械学習の順伝播の仕組み
 

図3 機械学習の逆伝播の仕組み
図3 機械学習の逆伝播の仕組み
 

図4 機械学習の繰り返し

図4 機械学習の繰り返し
 

図5 ディープラーニング

図5 ディープラーニング
 

機械学習には、今まで述べたようにお手本がある教師あり学習と、お手本がなく、類型化(クラスタリング)により目的に近づく教師なし学習があります。機械学習が可能になった背景には、コンピューターの速度が向上し、記憶装置の容量も大きくなったため、膨大なデータを短時間で処理できるようになったことがあります。
 

深層学習(ディープラーニング)

深層学習(ディープラーニング)は、この機械学習の隠れ層を多層化したものです。(図5)
 

これにより、複雑な情報に対応できるようになり、分析精度が飛躍的に向上しました。今では機械学習で層が深くなると、誤差が小さくなりすぎて学習できなくなりした。
 

しかしオートエンコーダーなど技術により困難だった4層以上の多層ニューラルネットを学習できるようになりました。
 

このニューラルネットワークの多層化は、従来は時間と計算コストがかかる点が問題でしたが、コンピューターの高性能化や単純な演算の並列処理に優れたGPUを活用することで実用的になりました。
 

こういった技術の進歩により、特に画像認識の性能は飛躍的に向上しました。2010年から行われている「ILSVRC : Imagenet Large Scale Visual Recognition Challenge (イメージネット大規模画像認識チャレンジ)」という画像認識コンテストでは、2012年トロント大学がディープラーニング (畳み込みニューラルネット) を使用して前年の正解率74.3%に対して84.7%と他と大差をつけて優勝しました。2015年にはマイクロソフトのチームが95.18%と人間の正解率94.9%を初めて超えました。
 

2012年にはグーグルブレインはユーチューブからランダムな画像1000万枚を読み込み、猫の顔を自動(教師なし学習)で認識することに成功しました。さらにグーグルの「ニューラルイメージキャプションジェネレーター」は画像に注釈をつけることに成功しました。またフェイスブックは、逆にテキストから画像を生成することに成功しました。
 

コンピューターの自然言語理解

音声認識や自動翻訳ができるようになったコンピューターは言葉を理解できるようなったのでしょうか?
 

音声認識

アップルのSiri、グーグルの音声アシスタント、スマホの音声認識は高性能になり、日常の問い合わせに的確に答えます。では、「彼ら」は言葉を理解しているのでしょうか?
 

音声は情報の伝達手段としては正確性がなく極めて効率の悪い方法です。理由はまず個人ごとに声の大きさ、周波数(声紋)が異なります。それに言葉の切れ目にあたる音節の取出しが大変です。
 

実は現代の音声認識は「音声は聞き取れない」ことを前提に作られています。「聞き取れない」音を認識するのは確率論を用いて推測しているからです。具体的には文の並びのテンプレートを用意し、聞き取った音声が近いものを順に当てはめていきます。それも総当たりで行うと指数爆発を起こすので、過去に聞き取った音節から、次に聞こえる言葉を推測して待ち構える方法を取っています。これは膨大な音声情報があるからできる手法です。
 

グーグルの文書作成ソフト「グーグルドキュメント」に音声を入力するとこれがよく分かります。最初に聞き取った言葉が間違っていても、文を最後まで言い終わると、文の意味が正しくなるように言葉を修正します。
 

翻訳

コンピューターによる自動翻訳は第一次人工知能ブームの時から取り組まれていました。当時は元の文の構造を要素ごとに分解して、一語一語翻訳し、それを翻訳したい言語の文法に基づいて再度構成しました。しかし日本語と英語では分の構成要素が1対1にならず、主語がない日本語を、英文ではどうするかといった問題もありました。
 

現在のグーグル翻訳などは、文章の意味は無視して大量の過去の翻訳例を参照し近いものを当てはめています。論理学でいえば、演繹的でなく帰納的手法です。つまり膨大な例文から確率的に対応する言葉を見つけ、それを基に文章の構文と内容を推定しています。グーグル翻訳は決して正確ではありませんが、WEBサイトの情報を読む程度には使えます。しかも100種類以上の言語を短時間で翻訳するのは人間では不可能です。
 

第三次人工知能ブームでは、機械学習やディープラーニング、ビッグデータ解析により従来はできなかったことができるようになりました。その点でAIはかなり身近になってきました。一方、コンピューターはまだ言葉の意味を理解できないため、文脈を理解して論理を組み立てることはできません。それでも音声認識や翻訳はかなりの水準のものが実用化されています。
 

人工知能研究者の中には、飛行機の例えから「AIが言葉を理解しなくても理解しているように振舞えば、理解していると言える」という人もいます。
 

飛行機の例え

かつて発明家たちは当初鳥のように羽を羽ばたく機械を作ろうとしました。しかし成功できたのは自然に忠実にまねることを放棄して、プロペラで推力を得て滑空する方法に変えたからです。今日では巨大な飛行機が鳥よりも速く飛んでいます。AIも人間の脳とは異なる方法であっても同じ能力を持つことができると考えられます。
 

図6 鳥よりも早く飛ぶ飛行機

図6 鳥よりも早く飛ぶ飛行機
 

それでは、人間と違った方法でAIはどこまでできるようになったのでしょうか。
 

AIが小説を書いた

名古屋大学の佐藤理史教授は小説を書くコンピューター・プログラムを作成し、星新一賞に応募しました。コンピューターは文脈を理解できないため、モデルとなる文章を分解し、言葉を入れ替えても意味が通る文章をつくるようにアルゴリズムを構築しました。その結果、AIが書いた小説は一次選考は残りましたが、最終選考までは進めませんでした。
 

AIがつくったコピー

静岡大学の狩野芳伸氏は、AIによるネーミング作成ツールを開発しました。当初はほとんどがダメでした。しかし現在は作成したコピーを電通の社員に評価してもらったところ、「50%はコピーとして成立している」という評価でした。そしてAIが作成したコピーを「コピー大賞」に応募したところファイナルまで行きました。
 

AIは東大に入れるのか

新井紀子氏をリーダーに国立情報学研究所は、2011年から2016年にかけて「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトを立ち上げ、AIが東京大学に合格することを目指しました。2015年6月の模試では偏差値57.8をマークしましたが、東大合格を合格するには読解力に問題があり、これ以上の成績向上は不可能として中止しました。
 

その過程で、AIは検索による膨大な知識はあっても文章の読解力が致命的に弱い、AIは意味を理解できないなど「知識に比べ幼稚な知性」という課題が明らかになりました。一方、文章の読解力がない「東ロボくん」が全受験生の上位20%に入ったということで、高校生の読解力が危機的状況にあることが分かりました。
 

AIという技術はない

現在様々な場面でAIが活用されています。人そっくりに応答する場合もあり、将来AIが人に代わると思う人もいます。しかし今のAIは人の言葉は理解できず、事前につくられたプログラムに従って、その場面に適した応答を返しているにすぎません。
 

しかし、AIといってもその中身は機械学習、深層学習、ビッグデータ解析、音声認識、自動翻訳など異なった技術があります。その点で現在はAIというより、図のような個別技術の集まりと考えた方がよさそうです。
 

図7 AIという技術

図7 AIという技術
 

第一次人工知能ブームで、記号論理学による万能論理マシンという人工知能への挑戦は、指数爆発とフレーム問題のため、簡単なパズルしか解けないという結果に終わりました。
 

第二次人工知能ブームでは、万能論理マシンという遠大な目標はあきらめ、知識ベースを基にしたエキスパートシステムにより現実の問題解決に取り組みましたが、膨大な知識をコンピューターに教え込ませることの大変さと、依然として残るフレーム問題のため限られた用途しか活用されませんでした。
 

その後インターネットの普及により膨大な知識ベースが使えるようになり、機械学習やディープラーニングにより画像の判別など今までのコンピューターにはできなかったことができるようになりました。機械学習ではコンピューターが自ら特徴点を見つけ、処理結果を反映させて、判定を向上させる学習機能を獲得しました。
 

しかし翻訳や音声認識ができるようになっても、確率的な手法で適切な言葉を当てはめているにすぎず、言葉の文脈を理解できません。同様にセンター試験や小説を書くことも、人間のような言葉の意味を理解して考えるのでなく、確率的に適切なものを選んでいるにすぎません。一方、生物のふるまいから問題を解決する取り組みがあります。
 

生命工学的アプローチ

セルオートマトン

1952年に生物の自己複製機能をモデル化するため数学者のウラムとフォン・ノイマンによって考案されたものです。コンピューター上の複数のセルで構成され「隣に黒があれば黒になる」「両隣が白なら白になる」のようなある一定のルールに従った場合、コンピューター上のセルは生命のように自己増殖します。
 

余談ですが、1952年、まだコンピューターが簡単な計算を繰り返すことしかできなかった時代に、頭の中だけでこのセルオートマシンを考えたフォン・ノイマンという人は、天才的な頭脳も持ち主だったようです。
 

1982年スティーブン・ウルフラムとクリストファー・ラングトンはセルオートマトンの増殖のパターンは4つのパターンがあることを発見しました。
 

  • クラス1
  •  時間が経つと動きが全くなくなってしまう

  • クラス2
  •  周期的な動きを繰り返す

  • クラス3
  •  でたらめに見える模様が出現(カオス)

  • クラス4
  •  複雑なパターン(カオスの縁)

 

このクラス4は周期的でなく、かといってランダムでもない、生命に見られるような自己増殖を示しました。そしてこのクラス4は計算万能性を示すことが分かり、これはライプニッツの言う「人間が行うあらゆる論理的な思考」ができることを示しました。
 

群知能

コンピューターでも解くのが難しい「最短経路問題」などの最適化問題を、ミツバチなどの生物は集団で実現しています。ミツバチは巣に収まりきらないほど個体数が増えると、新しい場所を求めて引っ越しをします。その際、四方に散った働きバチは、魅力的な場所を見つけたハチは巣に戻り8の字ダンスをして仲間に場所を知らせます。このとき場所が魅力的なほどダンスの時間は長くなります。そうすると魅力的な場所に行くハチの数が徐々に増えて最も良い場所にハチの群れが集まります。つまり群れの力で最適化問題を解決しています。
 

1992年マルコ・ドリゴはコンピューター上でアリの群れを再現して最短経路を求めるアルゴリズム (蟻コロニー最適化法)を開発しました。さらに蟻コロニー最適化法を用いて巡回セールスマン問題を解く方法を考案しました。
 

遺伝アルゴリズム

生物進化の仕組みをアルゴリズム化し、コンピューター上で人工生命が進化していく仕組みを実現したもので、1975年ジョン・H・ホランドによって提案されました。これは以下のようなものです。
 

  1. 最初はランダムに生成されたプログラムがたくさんあるところからスタートする。
  2. 性能や適合度の高いプログラムは増殖させ、性能や適合度の低いプログラムは死滅させる。これは確率的に行う。(再生 : reproduction)
  3. 2つのプログラムを途中の部分で時々ランダムに入れ替えてつなぎ変える。(交差 : crossover)
  4. 時々プログラムに突然変異が起こり、1部分がランダムに書き換えられる。
  5. 再生、公差、突然変異を繰り返す

 

遺伝アルゴリズムは膨大な試行誤差をコンピューターで高速に行うことができ、創薬の開発に使われている他、航空機や建築物の設計にも使われています。
 

一方私たち生命は、実体として身体を持っています。私たちが対象を認識したり、意味を理解するためには、主体としての身体が欠かせません。
 

認識における身体の必要性

例えばグラスにワインが注がれている写真を見ても、コンピューターがそれを認識(理解)するのは困難です。グラスやワインは物体なのでその特性を定義すれば認識することはできるかもしれません。しかし注ぐというのは行為なので、行為する主体がなければ理解できません。
 
図8 グラスに注がれる赤ワイン

図8 グラスに注がれる赤ワイン
 

この認識するためには主体としての身体が必要なのは他の動物でも一緒です。

1963年ヘルドとハインは2匹の子猫を使ったゴンドラ猫の実験を行いました。生後歩けるようになったばかりの子猫を1日3時間、図15のような装置に入れました。違いは一方の猫は自分の脚で歩くことができますが、もう一方の猫は歩くことができません。2匹の見ている景色は全く同じです。
 
図9 ゴンドラ猫の実験

図9 ゴンドラ猫の実験

 
実験の結果、この装置から解放された直後、自分の脚で歩くことができた猫は視覚が正常に機能しました。しかし自分の脚で歩くことができなかった猫は空間認識能力に支障をきたし、ものにぶつかったり障害物を避けられなかったりしました。

つまり私たちが空間を正しく認識するためには視覚情報だけでなく、自分から運動する必要があるのです。
 

シンギュラリティはやってくる?

シンギュラリティとは

レイ・カーツワイル、ヴァーナーヴィンジなどは、今後もムーアの法則に従いコンピューターの能力が指数関数的に向上すれば、いずれ自らを進化させるプログラムを持つようになると考えます。それは人間の学習に比べて極めて高速に進行するため、この汎用AIはいずれ人間の知性を超える特異点を迎えると考えました。これがシンギュラリティです。レイ・カーツワイル氏は2045年、ヴァーナーヴィンジは21世紀半ばと予想しています。
 

36.8ペタフロップスという人間の脳の2倍のスピードで動作するコンピューター上で、AI「ビジーチャイルド」に自らを進化させるプログラムを入れます。このAIは自ら学習し、問題を解き、その結果を判定します。そして、より正しい問題を解けるように自らのプログラムを書き換え、デバッグもします。このAIがインターネットに接続し、何エクサバイトものデータを収集しつづければ、ついには人工超知能が誕生すると予言しました。
 

このシンギュラリティについてレイ・カーツワイルは、

特異点に到達すれば、我々の生物的な身体と脳の限界を超えることが可能になり、運命を超えた力を手にすることになる。死という宿命も思うままにでき、好きなだけ長く生きることができるだろう。(中略)特異点とは我々の生物としての思考と存在が、自らのつくりだしたテクノロジーと融合する臨界点であり、その世界は依然として人間的であっても生物としての基盤を超越している。特異点以降の世界では、人間と機械、物理的な現実とバーチャルリアリティとの間には区別が存在しない。

 

このシンギュラリティに対して、ビル・ゲイツ、イーロン・マスク、スティーブン・ホーキンスらは逆に人工知能の開発に強い懸念を示しています。

人間には、世界を内面化して、頭の中で「こうなったら、どうなるのだろう?」と考える能力がある。つまり、自然淘汰より何千倍も速く、たくさんの問題を解くことができる。シミュレーションをより高速に実行する手段を作り上げた人間は、人間と下等動物が全く違うのと同様に、我々の過去と根本的に異なる時代へと突入しつつある。人間の視点からすると、この変化は、ほとんど一瞬のうちにこれまでの法則をすべて破棄し、制御がほとんど不可能なくらいの指数関数的な暴走に向かっているに等しい
ヴァーナーヴィンジ 「テクノロジーの特異点」1993年

 

超インテリジェントマシンとは、どれほど賢い人間の知的活動をもすべて上回るほどの機械であるのだとしよう。機械の設計も、知的な活動の一つなので、超インテリジェントマシンなら、さらに高度な機械を発明することができるだろう。そうなると間違いなく、「知能の爆発」が起こり、人間の知能ははるか後方に取り残される。したがって、人間の超インテリジェントマシンの最初の1台だけ発明すれば、あとはもう何も作る必要はない
アーヴィングジョングッド 「超インテリジェントマシン1号機についての考察」1965年

 

現在は「シンギュラリティが来る」という考えと、「シンギュラリティは来ない」という考えがあります。
 

シンギュラリティ派の主張(汎用AIによる楽園)

コンピューターの進歩は指数関数的に進む。人間の論理、思考がコンピューターのプログラムに書き換えでき、今後はそれ以外の意識なども脳をリバースエンジニアリングすれば解明できる。そうすれば脳と同じ構成をコンピューターに実現し、脳をコンピューターにアップローディングすることで永遠に生き続けることができる。

さらにコンピューター(強いAI)に自らが進歩するプログラムを入れることで、人間を超越する知性をコンピューターが獲得し、人間はその体の一部をコンピューターと一体化して、超知能を獲得し争いのない平和な社会を実現する。
 

反シンギュラリティ派の主張(汎用AIが人類を滅ぼす)

そのような汎用人工知能を人間は制御することはできず、人類が滅亡する可能性もある。そのような開発は中断し、人工知能は、人類の知性を超えない人類と共存するものに限定すべきだ。
 

シンギュラリティは来ない派(弱いAI論者)

AIが実現できたのは、高速でのデータ処理演算と、画像認識に過ぎない。フレーム問題はいまだ解決されず画像を認識するためには膨大なデータを与えなければならない。翻訳や音声認識も統計的に正しい答えを見つけてきているだけで、意味を理解しているわけではない。

これは認識するための主体となる自己がないためである。今日は大量のデータ分析から人間に判断の元となる材料を提供してくれるが、考えたり判断したりする作業は今後も人間に求められる。
 

生命論的アプローチからのAI論者

人工生命の研究はこれからどんどん進み、記号論理学では解決できなかった問題も解決できるようになる。さらにAIに意識を持たせるためにロボットのような体を与えて、自らの行為とその反応から現実を認識し学習することで、意識を持ち人とコミュニケーションできるAIが誕生する。
 

あなたは未来をどう考えますか?
 

本コラムは2019年10月20日「未来戦略ワークショップ」のテキストから作成しました。
 

経営コラム ものづくりの未来と経営

人工知能、フィンテック、5G、技術の進歩は加速しています。また先進国の少子高齢化、格差の拡大と資源争奪など、私たちを取り巻く社会も変化しています。そのような中

ものづくりはどのように変わっていくのでしょうか?

未来の組織や経営は何が求められるのでしょうか?

経営コラム「ものづくりの未来と経営」は、こういった課題に対するヒントになるコラムです。

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「人工知能AIの発達で仕事はどう変わるのか」  ~その1 知能とは何か?AIの知能は人を超えるのか?~

今、再び人工知能が脚光を浴びています。

この人工知能について考える際、知能とは何かを明らかにする必要があります。
 

知能とは何でしょうか?

人の知能の源は心です。私たちは心により世界を認識します。
この「人は世界をどのように考えるか」は哲学の世界です。
 

プラトンの二元論

ギリシャの哲学者プラトンは、彼の打ち立てたイデア論において世界は二つ存在します。
 

ひとつは目に見える世界です。
もう一つは目に見えない理想的な形(イデア)の世界です。
 

プラトンによれば、このイデアではすべてが論理的に一貫した矛盾のない世界で、これはすべて数学によって表すことができます。この理想的な世界がまずあり、私たちが暮らす現実の世界はその投影にすぎません。
従って様々な概念、思想を数学によって論理的に一貫して説明できれば、それを投影したものが現実の世界にあるはずです。

図1 プラトンのイデア論

図1 プラトンのイデア論


 
この「すべてが論理的に矛盾のない首尾一貫した世界」という概念は、その後の西洋の哲学、思想、科学における基本的な概念として広く浸透しました。さらに今日の人工知能研究者に大きな影響を与えました。
 

一方、プラトンの弟子であるアリストテレスは「物事の本質は自然界の調査を通じて明らかになる」という経験主義を打ち立てました。このアリストテレスの経験主義は広く受け入れられ、多くの人が実験・実証を基に科学的な探求に取り組み、科学の大いなる発展をもたらしました。
 

つまりガリレオが地動説を確信したのは教会で瞑想したからではありません。「経験主義」に基づきひたすら望遠鏡をのぞき観察したからです。
 

科学から協会の足かせを外す

17世紀の哲学者デカルトは、それまでの「神と聖書」という絶対的な権威に変わり、個人にとって「何が確かなものか」を思索し続けました。そして

「我思う、ゆえに我あり」

という結論に達しました。
 

唯一確かなことは、今このことを思考している自分の心です。
こうしてデカルトは、肉体的存在(レス・エクステンティア)と精神的存在(レス・コギスタンス)を分離しました。
 

このデカルトの二元論によって科学は協会からの足かせを外され、科学者は
「世界は何からつくられているのか」
「どうしてすべてのものは今のような姿になったのか」
肉体的存在(レス・エクステンティア)を自由に探求できるようになりました。

図2 デカルトの二元論

図2 デカルトの二元論


 

その一方、精神的存在(レス・コギスタンス)はその後も教会の市墓にありました。心の問題は科学から置き去りにされてきました。こうして「どのようにして心が体に物理的な影響を及ぼすのか」という「心身問題」は20世紀に至るまで長い間の課題でした。
 

意識のハードプロブレム

私たちは赤いリンゴを見れば「赤い」と思います。
リンゴの形は網膜に投影され、視神経から脳に送られます。同様に色の情報も脳に送られます。
しかし、なぜその情報を私たちは赤いと思うのでしょうか。
 

デカルトの二元論に基づく人たちは、意識にクオリア(感覚質)というものが存在すると考えました。つまり心とは単なる脳細胞の神経伝達物質の移動という物理現象でなく、目に見えないクオリア(感覚質)によるものと考えています。

図3 クオリア

図3 クオリア


 

デビッド・チャーマーズはこのクオリアの解明を「意識のハードプロブレム」と呼びました。そして脳科学や生物学で研究されている課題「イージー・プロブレム」と比較し、クオリアの解明は解決困難な問題としています。
 

西洋の論理学

論理学とは、人間の推論についての形式や構造を研究する学問です。有名なのは演繹法や帰納法があります。論理学ではある事実を「命題」と呼びます。
アリストテレスは、複数の命題を組合せることで、正しい推論に達する方法を探求しました。
 
例えば三段論法は

「ソクラテスは人である。」

「人は死ぬ。」

よって「ソクラテスは死ぬ。」

という結果を得ます。
このような推論の方法には演繹法や帰納法があります。
 

演繹法
 真理をつないで推論を重ねる方法です。
 三段論法も演繹法の一つです。

帰納法
 個別の事実から一般的な法則を見出す方法です。
 演繹法では前提が真であれば結論も真ですが、
 帰納法では前提が真でも結論が真とは限りません。
 

論理を数式化! ブールの功績

この論理学を19世紀ジョージ・ブールは、言葉の代わりに数学の演算規則をあてはめ、代数式で記述する方法を考えました。(ブール代数)
 

ブール代数により頭の中で考えた論理的な思考を数式であらわすことができるようになりました。この数式は真と偽を1と0で表すため、コンピューターで処理ができ、後のコンピューターの演算の基礎となりました。
 
図4 ブール代数

図4 ブール代数
 

記号論理学の確立

さらにゴットロープ・フレーゲは、ブール代数で表現ができなかった多義的な表現を表す方法として、変数を含む述語論理という方法を発明しました。こうして論理表現の世界を大きく広げました。
 

フレーゲは述語論理に基づいて世界のありさまを分析的に記述することを目指しました。こうしてプラトンの考えたイデア(論理的に一貫した完全な世界)を実現する体系ができました。
 

この形式論理体系は

  • 体系内で他の真実と矛盾する真実があってはならず、首尾一貫していなければならない
  • 体系内では真の前提から偽の推論を導いてはならない
  • 体系内のある文が真なら、そのことを証明できなければならない「完全性」

となるはずです。
 

そこでドイツの数学者ダフィット・ヒルベルトは記号論理学を完成させるために世界中の数学者に

  • 「数学において真である命題は必ず証明できること」
  • 「公理から形式化された推論をどれだけ行っても、矛盾が示されることは絶対ないということ」

を証明してほしいと依頼しました。

このヒルベルトの「決定問題」によれば、以下のことが実現すると考えられました。
ある文を入力した時、その文が真かどうかを判定するアルゴリズムを示すことができれば、
それを実行する機械はあらゆる定理を証明する完全な論理的機械となる。
 

しかし1930年オーストリアのクルト・ゲーデルは
「『矛盾が起こるような命題が存在しない』とは、その理論によっては証明できない」
ことを彼の「不完全性定理」の中で証明しました。
 

これによりヒルベルトの「決定問題」は実現困難であることが証明されました。
 

図5 論理学体系

図5 論理学体系


 

このように「完全に首尾一貫した論理で表現した理想の世界」に対する西洋の哲学者、科学者の執念は、ブール代数や記号論理学の発展をもたらしました。そして論理学は今でも欧米の大学などでは重要な一般教養科目となっています。
 

それはまたあらゆる定理を証明する完全な論理的機械を求めることにもなりました。それを実現する機械は、別の要求から急速に発展しました。
 

17世紀から19世紀にかけて機械仕掛けの自動人形オートマタがヨーロッパで流行しました。音楽は生演奏しかなかった時代、機械仕掛けで音楽を演奏するオートマタは人々の楽しみでした。
 

計算機の誕生

1642年フランスのブレーズ・パスカルは歯車式計算機「パスカリーヌ」を考案しました。しかし加減算しかできなかったため売れませんでした。
 

ドイツの数学者ゴットフリート・ライプニッツは、独自の機構ライプニッツ・ホイールにより乗除算もできるようにパスカリーヌを改良しました。この改良した計算機は、その後60年間で1500台が販売されました。
 

またライプニッツは1698年に二進数の理論を確立しました。
 

図6 ライプニッツの計算機(Wikipediaより)

図6 ライプニッツの計算機(Wikipediaより)
 

幻のバベッジ機関

1822年イギリスのチャールズ・バベッジは計算機の乗除算(掛け算、割り算)が繰り返し計算であることに着目しました。そして階差方程式を使って繰り返し計算ができる階差機関の実験モデルをつくりました。
 

当時繊維機械は複雑なパターンの制御にパンチカードを使っていたことに着目しました。(現在でもパンチカード式のジャカード織機は使われています。)そこで計算プログラムをパンチカードに入れ、プログラムと機械を分離したバベッジ機関、つまり現在のコンピューターの基本となるものを考案しました。しかしバベッジは政府から多額の予算を受けながら開発はなかなか進まず、バベッジは完成する前に亡くなりました。
 

戦争が高めた計算機のニーズ

20世紀に入り第二次世界大戦が起きると高速計算のニーズが高まります。
 

ひとつは暗号解読です。暗号は複数の文字や数字の組み合わせから成り、その組み合わせを総当たりで調べるには、人よりはるかに高速で行う必要があります。この「総当たりで調べると時間がかかりすぎて解けない」という原理は現在のコンピューターの暗号技術も同じです。
 

もうひとつは大砲の弾道計算などで微分方程式を高速で解く必要がありました。
 

こうしてイギリスはドイツの暗号機「エニグマ」の暗号を解読するために、1943年1,500本の真空管を備えた世界最初のコンピューター「コロッサス マークⅠ」を開発しました。しかしイギリスは「コロッサス マークⅠ」の存在を最近まで秘匿していました。そのため世界最初のコンピューターとして広く知られているのは、アメリカの「ENIAC」です。
 

アメリカは1946年にコンピューター「ENIAC」を開発しました。これに関与していたのが天才的な頭脳を持つといわれたフォン・ノイマンでした。プログラムとデータをいったん記憶し逐次読みだして処理するコンピューターの原理は今も変わらず、この原理は「ノイマン型コンピューター」と呼ばれています。
 

孤高の天才チューリング

世界最初のコンピューター「コロッサス マークⅠ」の開発メンバーの一人が天才数学者アラン・チューリングでした。
チューリングはライプニッツの論理学に啓発され、「コロッサス マークⅠ」のはるか以前に、記号論理処理できる機械「チューリングマシン」を考案しました。
 

これはメモリ、演算機、記憶装置を備え、現在のコンピューターそのものでした。そして
「チューリングマシン」で処理できることはアルゴリズムで表すことができる
ことを数学的に証明しました。
 

さらに
「任意のアルゴリズムがいつ停止するのか」事前に決定するアルゴリズムはない
という「チューリング不完全」を証明しました。
 

これは論理推論を行って文の真偽を判定できる形式言語は存在しない
ことを示し、ヒルベルトの決定問題に対する決定的な反証となりました。
 

チューリングは、またコンピューターと知能について思索を深めていて
「機械は思考することができるか」を見分けるテスト
「チューリングテスト」を考案しました。
 

このテストは人間の審査員が1人の人間と1台のコンピューター(プログラム)に対して対話を行い、審査員が人間とコンピューターと区別がつかなかった場合、コンピューターは知能を持っていると判定する方法です。
 

このチューリングテストの効果について様々な意見がありますが、2014年にはロシアのチャットボット「ユージーン・グーツマン」がこのテストに合格しました。
 

図7 計算機の歴史

図7 計算機の歴史


 

コンピューターの発展と人工知能ブーム

1946年にENIACが開発され、それ以降コンピューターは急速に進歩、発展しました。
1950年代には、IBMなどがコンピューターを商品化し、各国の研究機関や大学に設置されるようになりました。
 

こうして暗号解読と弾道計算から始まったコンピューターは、科学の進歩とともに高速での計算を求める分野に盛んに利用されるようになりました。
こうしてコンピューターが広く利用されるようになると、記号論理学で考えられていた「あらゆる定理を証明する完全な論理的機械」の実現可能性が出てきました。
 

第一次人工知能ブーム

1956年ダートマス大学のジョン・マッカーシーは「人工知能(Artificial Intelligence)」に関する会議を主催し、マービン・ミンスキー、ネイサン・ロチェスター、クロード・シャノンらが参加しました。
 

この会議でアレン・ニューウェルとハーバード・サイモンは、初めての人工知能プログラム「ロジック・セオリスト」のデモを行い、有名な数学の本「数学原論」の定理をいろいろな公理をしらみつぶしに組み合わせて証明できることを示しました。こうして数値計算しかできなかったコンピューターが記号論理学を証明できることが分かりました。
 

プラトンに始まり、フレーゲ、ヒルベルトにつながる記号論理学では、複雑な論理問題を解決できることが知性と考えられていました。そしてデカルトの二元論以来、意識や心は科学の外に置かれていました。
当時、コンピューター学者、数学者などの科学者は「あらゆる定理を証明する完全な論理的機械」が実現できれば、それは人工知能と考えました。そして意識や感情は、重要ではない動物的な側面と考えました。
 

そしてコンピューターが複雑な論理問題を自ら解決できるようになり、今後コンピューターの性能が上がりより複雑な問題をより速く解決できれば、いずれ人間の知能を追い越すと当時のコンピューター学者は考えました。
当時は東西冷戦下の影響もあり、遅れを取るまいと人工知能の開発には多額の予算がつき第一次人工知能ブームが訪れました。
 

第一次人工知能ブームの挫折

しかしこの第一次人工知能ブームは2つの障害により挫折しました。ひとつは「指数爆発」もうひとつは「フレーム問題」です。
 

指数爆発

現代情報理論の基礎を構築したクロード・シャノンは、1949年に「チェスのためのコンピュータプログラミング」を発表しました。
シャノンのミニマックス法は、どの状態が自分にとって有利かを示す評価関数をつくり、自分と相手の交互の打ち手の組合せのすべての評価関数の結果から最適な打ち手を決定する方法です。
 

図8では白は今1, 2, 3の3つの選択肢があります。白が打った後、黒はそれぞれ1, 2の選択肢があります。その結果2手先には6つの結果があります。それぞれの評価関数の結果を青で示しました。その結果、白は1を選択すれば、次に黒が1でも7、2でも12となり、他の手よりも結果の平均は高くなります。(MAX) 一方白が1を選択すれば次の手の評価関数は7となり、白には最も高い評価ですが、黒にとっては最も低い評価です。(MIN) こうして最初の手は1が選択されます。
 

一方この方法は、はるか先までの打ち手を先読みしようとすると、組合せが指数関数で増加し、コンピューターの計算能力を超えてしまいます。
 

図8 ミニマックス法

図8 ミニマックス法


 

この探索空間の指数爆発は、コンピューターでは手に負えない問題です。

図9 組合せと計算回数

図9 組合せと計算回数


 

しかしカーナビは地図上で最短経路を示す必要があります。もしすべての組み合わせを計算すれば指数爆発を起こします。
1959年エドガー・ダイクストラは、スタート地点から一斉にスタートし、最も早くゴールに着いた経路が最短経路であるというアルゴリズム(ダイクストラ法)を考案しました。これは現在にカーナビに広く使われています。
 

一方よく似た問題で「巡回セールスマン問題」があります。
 
図10 巡回セールスマン問題
図10 巡回セールスマン問題
 

これは各都市とそれらをつなぐルートがわかっている時、これらの都市を全て通ってスタート地点に戻るルートのうち、最短のルートを求めるものです。
この問題は必ず指数爆発を起こすため、「NP困難な問題」と呼ばれています。
 

【実は計算できないゲーム理論】

「囚人のジレンマ」で知られるゲーム理論は、利己的なプレイヤーが自分の得になる事を優先して行動した場合、お互いの利害がどうなるかを示した理論です。
 

ここで相手がどのように戦略を変えても自分が得られるものが大きくなる条件が「ナッシュ均衡」です。これは経済学の教科書ではおなじみですが、実はナッシュ均衡の計算は指数爆発を起こします。そのためプレイヤーが多い場合のナッシュ均衡は理論上存在しても「計算できない」点です。
 

2009年にクリストス・パパディミトリウらがナッシュ均衡はNP困難な問題であることを証明し、現実的な時間内に答にたどり着くことは不可能であることを示しました。
 

適当に考えられない「フレーム問題」

1969年のジョン・マッカーシーが提言した問題で、コンピューターは問題を処理する際に全ての可能性を考えてしまうため、時間内に問題を処理できない問題です。
 

これに対して人間は結果に大きな影響を与えない事柄は取り除き、枠(フレーム)をつくって必要な事柄だけを枠の中に入れ、その中だけで思考します。
 

爆弾処理ロボットの悲劇

哲学者のデネットがこのフレーム問題を説明した例です。
 

【爆弾処理ロボット1号の悲劇】
人工知能搭載の爆弾処理ロボット1号は、人間の代わりに爆弾が仕掛けられている部屋から貴重な美術品を取り出す指令を受けました。爆弾処理ロボット1号は美術品が入った台車を押して部屋から出てきましたが、爆弾は台車に仕掛けられていたため、爆弾処理ロボット1号は爆発に巻き込まれました。
 

爆弾処理ロボット1号は美術品を取り出すために荷車を押せばよいことは分かったのですが,それによって,爆弾も一緒に取り出してしまうということは分からなかったためでした。
 
図11 爆弾処理ロボット1号

図11 爆弾処理ロボット1号
 

【爆弾処理ロボット2号の悲劇】
そこで改良した爆弾処理ロボット2号が製作され、再び美術品を取りに部屋に向かいました。爆弾処理ロボット2号は台車を動かしたときの影響を
 

もし台車を動かしても,天井は落ちてこない.

もし台車を動かしても,部屋の壁の色はかわらない.

もし台車を動かしても,部屋の電気は消えない.

もし台車を動かしても,壁に穴があいたりしない.

‥‥‥‥
 

と順番に考えている間に爆弾が爆発しました.
 

図12 爆弾処理ロボット2号
図12 爆弾処理ロボット2号
 

台車を動かしても天井は落ちてくることはないのですが、落ちてこないかどうかは爆弾処理ロボット2号は
「考えない」
とわかりません。
 

そして考えなければならないことは無数にあり、考えるのに時間がかります。その間に爆弾が爆発してしまいます。人間は影響のなさそうなことは考えずに排除しますが、コンピューターはどんな方法でも実際に考えなければ判断できません
 

チェスや将棋では予めチェスや将棋以外のことを考えないようにするためフレーム問題は生じませんが、いろいろな状況に対応する人工知能ではこの問題を無視できません。
こうして人工知能は当初の期待とは裏腹に現実の問題よりはるかに単純なパズル、迷路、チェスなどしか解けないことがわかりました。そして1970年代に入るとブームは急速に冷めていきました。
 

第二次人工知能ブーム

1980年代に入ると、ハードディスクなどコンピューターの外部記憶装置が進歩し、それまでよりはるかに大量のデータを扱えうことができるようになりました。そこで専門家(エキスパート)の知識をコンピューターに大量に入れたエキスパートシステムを使い、現実の複雑な問題をコンピューターで解くことが試みられました。
 

つまり第一次人工知能ブームの時のように論理学的アプローチで世界を完全に記述する汎用人工知能はとりあえずおいておいて、もっと限られた範囲で人間の知識をベースにコンピューターで問題を解決する取組でした。
 

医療現場での活用

スタンフォード大学では1970年代からエキスパートシステムに取り組み、エキスパートシステム「マイシン(Mycin)」は500ほどのルールでできた知識ベースを持ち、医師は質問に「はい/いいえ」で答えれば原因と思われる細菌のリストと推奨される抗生物質を示しました。
 

マイシンは正解率が65%で、細菌感染が専門でない医師よりはよい結果が出ました。しかし専門医の診断結果(80%)ほどではありませんでした。
 

現実世界の問題が解けるように見えたエキスパートシステムですが、そのためには専門家のあらゆる知識を教え込まなければならず、多数のルールを教えている間には互いに矛盾するルールも出てきました。
 

コンピューターは矛盾したルールにぶつかると止まってしまい、また教えていない事例に直面するとコンピューターは対処できませんでした。エキスパートシステムもルールが明確な簡単な事例にしか対処できず、複雑で例外も起こりうる現実世界には対処できませんでした。
 

こうして、今度こそはと思われた二回目のブームは深い失望とともに終結し、またしても人工知能は二回目の冬の時代に突入していきます。
 

世界トップを目指した日本の第五世代コンピューター

1980年代通産省は、産官学の最先端の研究者を集めて、欧米のコンピューターをしのぐ世界一斬新なコンピューターをつくるために、第五世代コンピューター開発プロジェクトを10年間500億円の予算で行いました。
これは「人間の言葉を理解し、人間とコミュニケートしながら問題解決するコンピューター」でつまり人工知能のことでした。
 

こうして出来上がった並列推論マシンは当時の技術では画期的なコンピューターでしたが「人間の言葉を理解し、人間とコミュニケートしながら問題解決」は実現できず、プロジェクトは失敗に終わりました。
 

強いAIと弱いAI

これは哲学者ジョン・サールが作った用語で、彼は強いAIは単なる道具ではなく、正しくプログラムされたコンピューターには精神が宿ると考えました。
 

【弱いAI】
人間の認知能力を必要としない問題解決や推論を行うコンピューターのことで、例としてディープ・ブルーのようなチェスプログラムがあります。弱いAIが意識を持ったり、人間並みの認知能力を示すことはないとされています。
 

【強いAI】
人間の知能に迫り人間の仕事をこなしたり、幅広い知識と何らかの意識を持つAIのことです。
 

【汎用人工知能(Artificial General Intelligence)】
汎用人工知能(AGI)は人間レベルの知能の実現を実現したAIのことです。
 

ここに至って、科学は人工知能を考えるうえで、今まで触れられなかった意識の問題を避けて通ることができなくなりました。
チューリングテストに合格すれば知能があると考えることに対して、哲学者のジョン・サールは以下の問いを投げかけました。
 

【中国語の部屋】

チューリングテストに合格したコンピューターは知能があるという考えに対して、哲学者ジョン・サールは1980年に発表した概念です。
 

英語しかわからない人が部屋にいて、その部屋には、中国語がわからなくても、中国語で書かれた問いかけに完全な回答ができる説明書がありました。すると部屋の人は英語しか分からなくても、中国語で書かれた質問の紙を見て、質問に適した中国語の回答を、説明書を見て中国語で書いて答えることができます。この場合、中国語で受け答えができるからといって中国語が分かるとは限りません。
 

同様に、チューリングテストに合格して知能があるような受け答えができたからといって、本当に知能があるかどうかは分からないという反論です。
 

こうして第二次人工知能ブームが終焉を迎えた後、2010年代に再び第三次人工知能ブームが訪れました。
 

では現在、知能とは何か?意識とは何か?

といった問題は解決したのでしょうか?

今使われている人工知能はどのような技術をもとにしているのでしょうか?
 

これについては、「人工知能AIの発達で仕事はどう変わるのか」  ~その2 第三次人口知能ブームの技術とシンギュラリティ~でお伝えします。
 

本コラムは2019年9月15日「未来戦略ワークショップ」のテキストから作成しました。
 

経営コラム ものづくりの未来と経営

人工知能、フィンテック、5G、技術の進歩は加速しています。また先進国の少子高齢化、格差の拡大と資源争奪など、私たちを取り巻く社会も変化しています。そのような中

ものづくりはどのように変わっていくのでしょうか?

未来の組織や経営は何が求められるのでしょうか?

経営コラム「ものづくりの未来と経営」は、こういった課題に対するヒントになるコラムです。

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ものづくり未来戦略ワークショップ 過去の資料

過去の歴史や事例やシンクタンクの予測や統計数値を元にした資料を学び、ものづくりや経営の未来を考えるワークショップです。

講師の話を聞くだけでなく、後半は参加者の皆さんでテーマについて語り合い、考えを深めます。

ワークショップの時間や場所、お申し込み方法はこちらからお願いします。

過去のワークショップの資料

 

第115回「ヒューマンエラーの原因と対策その1」~事故や不良をなくすにはどうしたらよいか~

テーマはヒューマンエラーです。

1月には羽田空港で日航機と海上保安庁機が衝突する事故が起きました。

原因は管制官の指示の聞き間違いでした。

このようにヒューマンエラーによって、不良品の発生から大事故まで起きています。

このヒューマンエラーはなぜ起きるのか?

どうすればヒューマンエラーをなくすことができるのか?

不良・事故とヒューマンエラーについて2回に分けて考えます。

1回目は、人間の認知のゆがみとヒューマンエラー、そしてポカミスを防ぐ方法について です。

テキストは、以下からダウンロードできます。

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勉強会資料「ヒューマンエラーの原因と対策その1」~事故や不良をなくすにはどうしたらよいか~
 

第114回「価格の本質と価格戦略」~中小企業は価格競争を避けることができるのか?~

テーマは価格の力と価格戦略です。

原材料、人件費など費用が上昇し、価格転嫁は大きな課題です。

では、いくらが適正な価格でしょうか?

「価格競争は最悪の戦略」とも言われます。

特に中小企業は安売りに走らず価値を訴求するようにと言われます。そして高く売れた成功事例が紹介されます。

一方私たちは買い物に行けば、食品は安いものを買います。高いものを好んで買う人は稀です。

この価格の力とはどのようなものなのか、

本当に高く売り続けることは可能なのか、

ジャグモハン・ラジュー「スマート・プライシング」

エレン・ラペル・シェル「価格戦争は暴走する」から

価格の力と価格戦略について考えました。

テキストは、以下からダウンロードできます。

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勉強会資料「価格の本質と価格戦略」~中小企業は価格競争を避けることができるのか?~
 

第113回「変化する社会と高い成果を出す組織とは?」~従来の組織論と「心理的安全性の高いチーム」の比較~

テーマはチームです。

グーグルは社内プロジェクト「プロジェクト アリストテレス」で、社内で高い成果を上げるチームについて調べました。

その結果、高い成果を上げるには、メンバーやリーダーの能力には関係がないことが分かりました。

高い成果を上げたチームに共通していたのは「心理的安全性が高い」ことでした。

この心理的安全性が高いチームとはどのようなものなのか、

これに対して日本のこれまでの組織は何が問題なのか

チームと組織について考えました。

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勉強会資料「変化する社会と高い成果を出す組織とは?」~従来の組織論と「心理的安全性の高いチーム」の比較~
 

第112回「変化する社会・人と若手社員の育成」~21世紀の人を育て、戦力化する方法~

テーマは若者たちの育成です。

言われたことしかやらない、メンタルが弱い、今どきの若者たちに対する批判は多くあります。

実は若者たちがダメなのでなく、社会や人が変化しているのに組織や仕事のやり方が合わなくなっているからです。

では、社会や人はどのように変わってきたのか?

若者たちを育て、彼らの能力を引き出すにはどうすればいいのか?

21世紀の「人を育て戦力化する方法」について考えました。

テキストは、以下からダウンロードできます。

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勉強会資料「変化する社会・人と若手社員の育成」~21世紀の人を育て、戦力化する方法~
 

第111回「これから求められるアイデアを生み出す方法」~AI時代に必要な発想法とアイデアを実現する組織~

テーマは発想法です。

新たなアイデアが次々と出れば問題解決や企画もどんどん進みます。

発想法は実は技術で、誰でも習得可能です。

ただしこの発想法、コピーライターなど広告業界の発想法と技術開発の発想法は違います。

ではどのような違いがあるのでしょうか。

そこで技術開発や新製品開発に必要な発想法について考えます。

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勉強会資料「これから求められるアイデアを生み出す方法」~AI時代に必要な発想法とアイデアを実現する組織~
 

第110回「イノベーションとは?」~イノベーションは意図的に起こすことは可能なのか~

テーマは「 イノベーションとは本当は何か? 」です。

「○○イノベーション推進会議」「○○イノベーション戦略」

多くのイベント、方針、記事にイノベーションという言葉がかかれています。

安倍政権の成長戦略でも第三の矢は「イノベーション」でした。

企業や個人が努力して、それを国が支援すれば、起こすことができるのでしょうか。

そしてイノベーションが起きれば、経済は成長するのでしょうか。

そもそもイノベーションとは何なのでしょうか。

イノベーションについて、考えます。

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勉強会資料「イノベーションとは?」~イノベーションは意図的に起こすことは可能なのか~
 

第109回「本物の変革か、ただのバズワードか?」~最新の技術・話題を検証する~

テーマは「流行の技術やビジネス手法は本当なのか」です。

DX、IoT、インダストリー4.0、これがなんだか具体的に説明できるでしょうか?

それでも「今DXに取り組まないと遅れる」と国も率先して旗を振っています。

そうしてかつてERP、FMS、SIS、3Dプリンターなど様々なバズワードが脚光を浴びた後、ひっそりと消えていきました。

そこで楠木健氏の 「逆・タイムマシン経営論」から、インダストリー4.0、AI、DX、などのバズワードは本物なのか、検証します。

そして現在の電池の限界と次世代バッテリーから、今のEV報道について考えます。

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勉強会資料「本物の変革か、ただのバズワードか?」~最新の技術・話題を検証する~
 

第108回「人を活かす未来の組織とは?」~人の本質と生き生きと働く環境を考える~

テーマは「希望と闘争、未来の組織、会社」です。

状況により普通の人でも悪事に手を染めることもあれば、困っている人を身の危険も顧みず助ける人もいます。

前回は、このテーマについてスタンリー・ミルグラムやフィリップ・ジンバルドーの実験から状況の力と服従について取り上げました。

果たして人間の本質は、どちらなのか? 

今回、ルトガー・ブレグマン 著「希望の歴史」を参考に人類の希望と闘争を振り返ります。

そして未来の組織、会社について考えます。

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勉強会資料「人を活かす未来の組織とは?」~人の本質と生き生きと働く環境を考える~
 

第107回「服従の心理学」~普通の人が違法に手を染める「状況の力」について~

テーマは「状況の力と服従の心理学」です。

大手中古車店の保険金不正問題、大手自動車メーカーのデータ改ざん問題などコンプライアンスが問われる不祥事が起きています。

このような問題はコンプライアンス体制の構築や人間性を高める教育で解決するのでしょうか。

「服従実験(アイヒマン実験)」のスタンリーミルグラム、

スタンフォード監獄実験のフィリップ・ジンバルドーの著作から、

どのような時、普通の人が悪事に手を染めるのか、状況の力と服従の心理について考えます。

テキストは、以下からダウンロードできます。

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勉強会資料「服従の心理学」~普通の人が違法に手を染める「状況の力」について~
 

第106回「 稲盛会計学と中小企業経営 」~ 部門別損益管理の光と影を考える ~

テーマは「アメーバ経営」です。

稲盛和夫氏が創業した京セラは、7人のメンバーで創業した中小企業が、その後好業績を続け、現在では連結売上高2兆円の大企業になりました。

その京セラの経営手法が部門別採算管理を追求したアメーバ経営です。

JALの再生をはじめとして多くの企業で採用されています。

一方で、中小企業には導入が大変など否定的な意見もあります。

一方、このアメーバ経営は、稲盛和夫氏の経営に対する考え方、人生観が強く反映されています。

では、このアメーバ経営とはどのようなもので、

どのような良い点、悪い点があるのでしょうか。

アメーバ経営と部門別採算管理について考えました。

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勉強会資料「 稲盛会計学と中小企業経営 」~ 部門別損益管理の光と影を考える
 

第105回「なぜ品質管理を徹底しても品質問題が起きるのか?」~品質の本質、量産と小ロットの違いと過剰品質を考える~

9月のテーマは「品質と品質管理」です。

品質・品質管理の本はとてもたくさんあります。

それらを読むと、以下の疑問がわいてきます。

「なぜ品質第一で高い品質の自動車は年間300件以上のリコールがあるのか?」

「トランクの内側のキズまでダメ出しする製品は本当に品質がいいのか?」

「なぜ多くの人が高品質の日本メーカーより中国製の液晶テレビを買うのか?」

そこでこの疑問に答えるために、

「品質とは何か」

「品質と品質管理の関係」

「TQCとTQM」

について考えました。

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勉強会資料「なぜ品質管理を徹底しても品質問題が起きるのか?」~品質の本質、量産と小ロットの違いと過剰品質を考える~
 

第104回「中小企業は特許を取るべきか?」~自社のノウハウや知的財産を守る方法~

テーマは「特許か秘匿か、中小企業の知財戦略」です。

特許は自社の技術やノウハウを守るために取ると考えられています。

本当に特許を取れば、自社の権利は守られるのでしょうか。

特許制度とは何か?

白色LEDを世界最初に開発した日亜化学が自社の技術を守るために行ったことは何か?

中小企業が自社のノウハウを守るためにするべきことは?

取引先からノウハウを盗まれないために必要なこと?

書籍「レシピ公開『伊右衛門』と絶対秘密『コカ・コーラ』どっちが賢い」を参考に

特許とは何か、そして中小企業はどうやってノウハウを守るかについて考えます。

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勉強会資料「中小企業は特許を取るべきか?」~自社のノウハウや知的財産を守る方法~
 

第103回「あなたはなぜチェックリストを使わないのか?」~ヒューマンエラーを防ぐチェックリストの使い方~

テーマは「ヒューマンエラー対策とチェックリスト」です。

不注意による不良品から重大事故まで、うっかりミス(ヒューマンエラー)は様々な場面で大きな損失を発生させます。

なぜミスが起こるのでしょうか?

その原因は

「知っていればできるのに知らなかった=無知」と

「知っていてもできない=無能」の二つがあります。

この無能をカバーするのがチェックリストです。

そこでアトゥール ガワンデの

「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」

を取り上げ、チェックリストの効果について考えます。

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勉強会資料「あなたはなぜチェックリストを使わないのか?」~ヒューマンエラーを防ぐチェックリストの使い方~
 

第102回「なぜセグウェイは失敗しダイソンは成功したのか?」~新事業の成功要因と成功に不可欠な錬金術~

6月のテーマは「マーケティングとイノベーション」です。

飲食店の新メニューから新車開発まで、企業は競争に打ち勝ち売上を伸ばすために新製品を開発します。

新製品開発については、これまでアイデア発想法やイノベーション、価格設定について取り上げました。

今回は、どのようにして顧客は新製品を買うのか?

どうやって企業は新規事業を拡大させるのか?

について、ジェフリー・ムーアの「キャズム」とローリー・サザーランドの「欲望の錬金術」を取り上げます。

新製品の販売が拡大すると、顧客が変化し、それに応じた製品のアップグレードが必要な点と、それぞれの顧客にどのようにPRすべきか、そして従来の経済性の観点の間違いなどを考えます。

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勉強会資料「なぜセグウェイは失敗しダイソンは成功したのか?」~新事業の成功要因と成功に不可欠な錬金術~
 

第101回「なぜ世界の成長し続けたのか?」~アメリカ経済の終焉とこれからの成長を考える~

5月のテーマは「経済成長と産業史」です。

失われた20年と言われ、日本は先進国の中でも低成長が続きました。

これを解消しようと国は「成長戦略」を掲げています。

しかし本当に再び成長できるのでしょうか。

ノースウェスタン大学教授ロバート・J・ゴードンは、際立った成長を記録した19世紀から20世紀にかけての100年が、むしろ異常だったと言います。

そこで氏の著作「アメリカ経済 成長の終焉」から過去の経済成長の要因と

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勉強会資料「なぜ世界の成長し続けたのか?」~アメリカ経済の終焉とこれからの成長を考える~
 

第100回「なぜ高くても、安くても買ってしまうのか?」~価格を決定する要因と企業の価格戦略~

4月のテーマは「価格」です。

これまで私たちは、商品を購入する際に店頭で商品と価格を見て選びました。

あるいは、複数のディーラーで営業担当者から車の見積を取って比較しました。

今はインターネットで最も安い商品を簡単に買うことができます。

中国製品などは、競合の1/10の価格で手に入ります。

その一方で、16万円もするiPhoneが売れています。

また最近は様々な商品が値上げしました。我々は新たな価格を受け入れざるをえません。

そこで今回は、様々な価格決定の方法と製品・事業の特徴、そして価格が顧客の行動に及ぼす影響について考えます。

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勉強会資料「なぜ高くても、安くても買ってしまうのか?」~価格を決定する要因と企業の価格戦略~
 

第99回「型にはめて考えると創造性は生まれる」~インサイドボックス思考と水平思考~

3月のテーマは「創造性は枠の中で生まれる」です。

これまで未来戦略ワークショップでは、イノベーションや発想法を何度も取り上げました。

紹介した発想法の多くは、独創的な発想には現在の制約を排除した自由な発想の必要性が書かれていました。

これに対してロニ・ホロウィッツは、過去の創造的な解決方法を分析して、革新的な解決策は、問題周辺の狭い領域「閉じた世界」で生まれていたと主張しました。

この考え方から、ジョンソン・エンド・ジョンソンのドリュー・ボイドは、あえて制約の中で考えて独創的なものを生み出す「インサイドボックス思考法」を提唱しています。

果たして革新的なアイデアは、枠の中で考えるべきか、枠の外で考えた方がいいのか、二つの発想法を比較しました。

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勉強会資料「「型にはめて考えると創造性は生まれる」~インサイドボックス思考と水平思考~
 

第98回「企業不祥事と組織文化2」~日野自動車、三菱自動車の事例から不正の原因と組織文化を考える その2~

2月のテーマは「企業不祥事と組織文化 その2」です。

三菱自動車は新型軽自動車の燃費データを捏造し、大きな問題となりました。

さらに日産、スバルは、法令に違反して資格のないものが完成車検査を行っていました。

こういった問題はなぜ起こるのか?

三菱、日産、スバルの事例と日野自動車の調査報告書にある社員の声から、企業不祥事の背景について考えました。

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勉強会資料「企業不祥事と組織文化2」~日野自動車、三菱自動車の事例から不正の原因と組織文化を考える2~
 

第97回「企業不祥事と組織文化」~日野自動車、三菱自動車の事例から不正の原因と組織文化を考える~

1月のテーマは「企業不祥事と組織文化」です。

燃費不正問題のため、日野自動車は遂に大半のトラックを販売できなくなりました。

日野自動車以外にもスバル、日産、フォルクスワーゲンなどで不正問題が起きました。

これに対し、企業のコンプライアンス強化の指摘がされています。

本当にコンプライアンスの問題なのでしょうか?

どうして不正問題が起きたのか?

こういった問題を防ぐにはどうしたらよいのか?

現場の視点で不正問題について考えます。

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勉強会資料「企業不祥事と組織文化」~日野自動車、三菱自動車の事例から不正の原因と組織文化を考える~
 

第96回「労働生産性向上と人材教育」~企業の業績向上に本当に必要なことは何か?~

12月のテーマは「労働生産性と人材教育」です。

日本は一人当たりのGDPで多くの国に抜かれました。

さらに円安で購買力も低下しています。

これに対して「もっと生産性を高めるべき」「働き方改革」といったかけ声が上がっています。

なぜ日本の会社の生産性は低いのか?

生産性向上は正しいのか?

熊野英生氏の「なぜ日本の生産性は低いのか?」と

ルディー和子氏の「勤勉な国の悲しい生産性」から、

生産性向上と効率化について考えます。

テキストは、以下からダウンロードできます。

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勉強会資料「労働生産性向上と人材教育」~企業の業績向上に本当に必要なことは何か?~
 

第95回「ハッキングから会社を守る」~情報セキュリティ・個人情報保護法の課題~

11月のテーマは「情報セキュリティ」です。

今年3月には、トヨタ自動車の1次下請 小島プレス工業の子会社のシステムがコンピューターウイルスに感染、小島プレス工業の主要なサーバーも感染し、生産が不可能になり、この影響でトヨタ自動車は国内14工場の生産を1日停止しました。

今日、自社のコンピューターの感染が取引先や社会に大きな影響を与えます。

これを防ぐためにはどうしたらよいのか?

ウイルスや攻撃者から自社を守る情報セキュリティに関しては国は様々な資料、法規制をつくりました。

また多くの本もあります。

しかしこれらに欠けているものがあります。

「攻撃者の視点」です。

そこで今回、著名なハッカーで、逮捕後は情報セキュリティのコンサルティングをしているケビン・ミトニックの著作を参考に自社を攻撃から守る方法について考えます。

また営業秘密や個人情報保護についても取り上げます。

テキストは、以下からダウンロードできます。

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勉強会資料「ハッキングから会社を守る」~情報セキュリティ・個人情報保護法の課題~
 

第94回「行動を支配する8つの要素」~心理学・行動経済学から学ぶ人を動かす方法~

10月のテーマは「影響力の武器」です。

日常の買い物から、就職先の選定や経営の意思決定まで、私たちが決断する際、条件は複雑で多岐にわたります。

実際はそれらをすべて分析するのでなく、特定の切り口から見た一面で判断します。

それを利用すれば人を特定の方向に誘引できます。

社員や子供に積極的に学習させることも、通りすがりの人に高価な品物を売りつけることも可能です。

心理学者のロバート・チャルディーニは「影響力の武器」の中で返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性などを解き明かしました。

10月の未来戦略ワークショップはこの 「影響力の武器」の中から、人々の行動を誘引する要素について学びました。

テキストは、以下からダウンロードできます。

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勉強会資料「行動を支配する8つの要素」~心理学・行動経済学から学ぶ人を動かす方法~
 

第93回「粉飾決算と経営破綻」~大企業の粉飾に至る過程とその背景~

9月のテーマは「粉飾決算」です。

カネボウ、三洋電機、東芝

過去に決算を粉飾した企業の多くが経営が破綻したり、

大幅な人員整理を余儀なくされました。

なぜこのようなことが起きるのか?

そこには株式市場からの圧力と企業会計規則の変化、

そして激変する経営環境の変化に苦しむ企業の姿がありました。

それはあのジャック・ウェルチが率いたGEもそうだったのです。

そこでカネボウ、三洋電機、オリンパス、GEを取り上げ、

粉飾に至った過程とその結果について学び、

企業経営と会計について考えました。

テキストは、以下からダウンロードできます。

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勉強会資料「粉飾決算と経営破綻」~大企業の粉飾に至る過程とその背景~
 

第92回「企業組織と日本人の共同体文化の矛盾」~頻発する企業不祥事の真の原因とコンプライアンスでは防げない理由~

8月のテーマは「企業組織と日本人の共同体文化」です。

なぜ企業不祥事が後を絶たないのでしょうか?

毎回コンプライアンス軽視が叫ばれ、企業は対策を取ります。

しかし組織は規則や法令に従って活動する以前に、

日本社会特有の共同体の価値観に基づいて、メンバーは行動しています。

この日本社会の共同体の実体を考慮せずにルールで縛ろうとしても無理があります。

そしてコンティジェンシー理論や組織文化、リーダーシップ論など経営学の経営組織論は、日本の共同体文化の議論が抜け落ちています。

どうやら、それが経営組織論を学んでも「実際は違う」という原因です。

そこで日本陸軍士官でフィリピンで過酷な体験をした故山本七平の著書「指導者の条件」から、

共同体としての日本社会の特徴と、日本型組織の課題を取り上げ、欧米の組織論と対比して考えました。

そして未来の組織のあるべき姿について考えました。

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勉強会資料「企業組織と日本人の共同体文化の矛盾」~頻発する企業不祥事の真の原因とコンプライアンスでは防げない理由~
 

第91回「複雑化する社会やシステムとヒューマンエラー」~複雑化するシステムの問題を食い止める組織とは~

7月のテーマは「複雑化する社会・システムとヒューマンエラー」です。

スリーマイル島原子力発電所の事故は、些細な機器の故障が問題の連鎖となって炉心融解という自由大事故につながりました。

イェール大学チャールズ・ペローは、こういった事故は

  • システムが相互に影響する複雑性
  • システムの構成要素が短時間に影響する密結合が高いこと

により起きると主張しました。

実はIoTや自動運転など身の回りのものの複雑性は高くなっています。

今まで経験したことのない事故やトラブルが起こる可能性があります。

この複雑性を増したシステムの問題と、これに適切に対処する組織について考えました。

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第90回「危機管理とBCP」~企業経営の本当のリスクとリスクマネジメントを考える~

6月のテーマは「事業継続計画(BCP)」です。

日本は地震、豪雨による水害など災害が多い国です。

災害の規模によっては事業の継続が困難になることもあります。

そこで万が一に備えた事業継続計画(BCP)を作成することが求められています。

ところが国が求めるBCPは自然災害のみを対象としています。

本当に企業の経営リスクは自然災害だけなのでしょうか?

中小企業における事業のリスクとは何か、

企業経営の危機管理についてまとめました。

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勉強会資料「危機管理とBCP」~企業経営の本当のリスクとリスクマネジメントを考える~
 

第89回「中国経済の誤解」~学ぶべきマクロ経済コントロールと今後の課題~

5月のテーマは「中国政府の経済政策」です。

中国経済については「不動産バブル」「シャドーバンク」などマイナスの面をことさら強調して、危機を煽り立てるような報道や書籍が目につきます。

現実には、不動産バブルは崩壊せず、リーマンショックも乗り切って、成長を続けています。

どのように中国の指導者層が困難を克服してきたのか、冷静な書籍や報道は多くありません。

今回取り上げる

トーマス・オーリック著「中国経済の謎―なぜバブルは弾けないのか?」

この本は、あえて政治には触れず、中国の指導者層の経済政策に焦点を当てて詳細に書かれています。

今回、この本を取り上げてこれまでの中国経済の巧みな運営と、今後のリスクについて学びました。

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第88回「若者の価値観とやる気を引き出すには?」~適応できないのは若者なのか、シニア世代なのか?~

4月のテーマは「若者の価値観とやる気を引き出す方法」です。

これまで若者の特徴については、ゆとり教育世代などを取り上げ、主に我々上の年代の視点から、若者たちの違いと彼らのやる気を引き出す方法について考えました。

今回、ひきこもり、ニートを題材に彼らの視点から、価値観、社会をどのように見ているのか、取り上げます。

そこには20世紀型価値観と21世紀型価値観の違いがありました。

「親より豊かになれない世代」の彼らが社会をどのように捉えているのか、

そして私たちはどう接すればよいのか、

考えを深めたいと思います。

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第87回「イノベーションを実現する組織(体制)」~新しいアイデアを実現する仕組みとは?~

3月のテーマは「イノベーションを実現する組織(体制)」です。

革新的な技術や製品は、思いついた直後は不完全でとても実現できるとは思えません。

この「醜い赤ん坊」は大抵は、多くの批判にさらされ、日の目を見ません。

そこでヴェネヴァー・ブッシュは「醜い赤ん坊」を生み出すアーティストを、既存事業を行うソルジャーから守る仕組みをつくりました。

これはアメリカで数多くの先端技術を生み出しました。

国防高等計画局(DARPA)です。

この「醜い赤ん坊」を育てる仕組みは、研究機関、大企業だけでなく、中小企業でも新たな取組を実現するために取り入れることができます。

そこで3月のワークショップは、サフィ・バーコールの「LOON SHOTS」から、この革新的な製品を守り育てるシステムについて考えます。

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第86回「イノベーションとは何か?改めて考える」~実現する手法は存在するのか、後付け理論なのか~

国の成長戦略にも書かれているイノベーション

いろいろな場面でよく使われる言葉ですが、本当はどのようなものなのでしょうか?

発明と技術革新、生産革新、新規事業とイノベーションの関係はどうなっているのでしょうか。

これまでもイノベーションについては取り上げてきましたが

改めてその意味するところと実情について考えます。

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第85回「粉飾決算の原因と結果」~東芝不適切会計問題の実情とその震源地~

東芝の粉飾決算(不適切会計)は経営を大きく揺るがし

上場停止にまでなりました。

今回はこの粉飾決算について

・なぜ粉飾決算を行うのか?

・どのような手法があるのか?

・粉飾決算はどのような結果をもたらすのか?

取り上げました。

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第84回「SDGsの真実」~私たちは、本当は何をすべきか?~

持続可能な開発、低炭素化社会の実現、などSDGsに関して、様々なキーワードが報道されています。

しかしSDGsと言われてもピンと来ない方も多いのではないでしょうか?

ではSDGsとはどんなものなのでしょうか?

実は、環境問題は背景に政治的、思想的な対立があり、一筋縄ではいきません。

しかも二酸化炭素排出削減は、EVや太陽光発電よりももっと大きな問題があるのに、それについてはほとんど報道されていません。

そこで

地球温暖化と二酸化炭素排出量の関係はあるのか?

二酸化炭素排出量削減に本当に必要なことは何か?

SDGsと環境問題の本質について考えました。

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第83回「政府債務がどれだけ増えても破綻しない?」~話題の『現代貨幣理論』MMTを考える~

今回の衆院選では多くの候補者や政党が積極的に財政出動して景気浮揚を訴えました。

しかし財政は大丈夫でしょうか?

そこで「財政は問題ない」とした拠り所が

「自国通貨を発行できる国はいくら財政赤字を拡大してもデフォルトしない」

というMMT(現代貨幣理論)です。

MMTはステファニー・ケルトン教授が提唱し、

下院議員のオカシオ・コルテス氏が積極的な財政政策の根拠として主張し、

日本でも西田昌司参院議員(自民党)などが取り上げました。

一方従来の経済学者から「ブードゥ―経済学」とまで言われ、激しく批判されています。

MMTの主張は本当なのか?

MMT推進派と反対派、双方の主張を取り上げました。

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第82回「組織に存在する『空気』とは何か?」~誤った意思決定と同調圧力の原因を考える~

10月のテーマは、組織における「空気」です。

第二次世界大戦中、戦艦大和は100%成功の見込みのない沖縄への特攻に出撃しアメリカ軍に撃沈されました。

当初は反対だった第二艦隊長官 伊藤中将が最終的にこの作戦命令に従ったのは、その場の空気でした。

この「空気」は今も日本の組織に存在し、

企業不祥事の多くはこの空気によるものと考えられます。

では、この空気とはどのようなもので、なぜ空気が生まれたのか

山本七平氏の「空気の研究」

鈴木博毅氏の「『超』入門 空気の研究」

池田信夫氏の「空気の構造」

などの著作から

日本社会と日本の組織に存在する空気とその影響について考えました。

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第81回「『直感』による意思決定はうまくいくのか?」

9月のテーマは、意思決定における「直感」です。

ベンジャミン・フランクリンは

「迷っているなら、メリットとデメリットを紙に書き出して考えるように」

と言っています。

ある経済学者がどちらの大学の終身在職権をとるか悩んでいる時、知人が

「君が講義でいつも言っているようにメリットとデメリットを書き出せばいいじゃないか」

とアドバイスしたら、

「いい加減なことは言わないでくれ。こっちは真剣なんだから」

と怒ったそうです。

では、私たちはどうやって意思決定しているのか?

それが 「直感」 です。

一方自信がある人ほど強引に自分の考えを通して、大失敗を起こします。

はたして直感による意思決定は正しいのでしょうか?

そこでマックス・プランク人間発達研究所のゲルト・ギーゲレンツァーの著作から、

「直感による意思決定の方がうまくいく」という説と

レナード・ムロディナウ、マイケル・J・モーブッサンの著作から

直感による意思決定のワナを取り上げ、

二つの意思決定の違いについて考えます。

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第80回「経営と会計 固定費の役割と設備投資のリスク」~低成長時代の設備投資を考える~

売上が減少すると経理、会計事務所から固定費の削減を言われます。

しかし固定費を削減は間違った意思決定です。

それはなぜでしょうか?

一方固定費を増やす設備投資は、確実に投資を回収できる計画が求められます。

しかし売上が拡大期と、減少期では回収の様相が全く変わります。

これを数字で検証し、設備投資について考えます。

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第79回「なぜ指導したことができないのか?」~「教えはず」と「分かったつもり」の原因を探る~

仕事のやり方、手順を指導した

マニュアルや手順書を渡した

にもかかわらず、新人や部下が内容を理解していない。そしてこれによる事故や不良はなくなりません。

なぜ、教えたことを理解していないのか?

実は理解するためには、対象だけでなく、その背景や関連する事柄なども含めてその集団の共通の知識が必要なのです。

しかし新人や外部の人間には、その集団特有の共通知識がないため理解できないのです。

そこで7月の未来戦略ワークショップは、

「理解するとは」を掘り下げて、今までの指導の問題と新人が理解するために必要なことを考えます。

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第78回「デジタルトランスフォーメーションの真実と本当の怖さ」

昨今マスコミに頻繁に登場するデジタルトランスフォーメーション(DX)、

どんな意味なのか、漠然としか理解していない方も多いのではないでしょうか?

その一方、 「DXに乗り遅れるな!」と多くの企業がDX推進部をつくり予算を投入しています。

はたしてDXとは何でしょうか?

今回調べていく中で、DX本に書いてあることの多くは、ツールが先にあって必要性が後から書かれていると感じました。

その一方、多くの人は気づいていませんが、製造業のDXは深く確実に進行し、

将来日本のものづくりの優位性はなくなることが分かりました。

そこで6月は、DXを取り上げ、DXの話題と実体、そして静かに進行する本当の変革について考えます。

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第77回「カオス理論が常識を覆す」~バブルは再発し、野生動物は激減する~

ポートフォリオ理論など現代の金融工学は様々なリスクを盛り込み、リスクを最小にして利益を最大化するように設計されています。

この理論から何人ものノーベル賞受賞者が出ています。

そして金融工学の世界では、バブルは起きないはずです。

ではなぜ、バブルは起きたのか?

数学者マンデルブロ氏は、証券や通貨の変動を調べた結果、価格の変動は金融工学の前提よりずっと激しく変動していることを発見しました。

原因はマンデルブロ氏は多くの事象はカオス理論(フラクタル)に従うと考えました。

つまり金融以外にも、今まで正しいと思っていた物理現象も理論よりももっと激しく変動しています。

そこで5月のワークショップはマンデルブロ氏の「禁断の市場」より、現在の金融工学の問題点と、カオス理論について学びます。

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第76回「『生まれ』か『育ち』か、若者育成の課題」

「『生まれか?』『育ちか?』若者の育成の課題」

人が持っている能力・才能は遺伝子に組み込まれたものか、

それとも学習の成果か?

これまでも二分した議論について

「子育ての大誤解」と「天才を考察する」という相反する2冊を取り上げ、

遺伝子の働きと学習の効果について学び、

社員教育と採用について考えます。

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第75回「ティール組織」

企業は階層型の組織をつくり

「上司と部下」の関係で仕事をマネジメントします。

しかしこういった従来のマネジメントはうまく行っているとは言い難く、

上司と部下のコミュニケーションは不十分、

パワハラの問題、

部下の意欲の低下と退職など多くの問題が起きています。

この従来の組織に対し「管理をしない」ティール組織が話題になっています。

はたしてティール組織は未来の組織なのか、一過性のものなのか

フレデリック・ラルーチ著「ティール組織」から組織と管理について考えます。

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勉強会資料 「ティール組織」

 

第74回「創造性を高める二人で考える力」

発想法について、この勉強会でも過去に何度か取り上げました。

発想法の基本は、

・徹底的に材料を集める

・行き詰まる

・手放す

・ひらめく

です。

ホンダジェットを開発した藤野道格氏は、

寝る前に翼の上にエンジンを置いた飛行機の姿が浮かび、

壁のカレンダーを破いて急いでその姿をスケッチしました。

しかし、このひらめき「Aha! Moment」はなかなか起きません。

一方、素晴らしい作品を残した人たちにはパートナーがいました。

ジョンレノンとポールマッカートニー、

井深大と盛田昭夫、

スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック

なぜ彼らは二人で取り組むことで一人では成し遂げられないようにことができたのか?

ジョシュア・ウルフ・シェンク著「二人で一人の天才」より、

ペアによって生まれる創造性について考えます。

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勉強会資料 「創造性を高める二人で考える力」

 

第73回「過去の経営の失敗と危機の克服事例」~過去を振り返り激変する未来への対処を考える~

1月のテーマは、これまでの経営の失敗事例を総括しました。

その上で、この勉強会の出発点

「現在の延長線上に未来はあるのか?」

「これから私たちが考えるべきこと?」

についてディスカッションしました。

今までに取り上げた経営の失敗事例や変化への対応

・シェア1位でも成長期の競争に遅れたトーハツ

・M&Aの失敗から破綻した曙ブレーキ

・市場の急激な変化に何とか対応したフジフイルム

・普及品市場を明け渡し中国企業と手を組んだダイキン

・コピーメーカーと手を組んだホンダ

・汎用品を捨ててもシェアを維持した日亜化学

などです。

さらに経営環境の変化として

・世界の人口増加と日本のGDP順位の下落

・日本の生産年齢人口の急激な減少

・AIはどこまで人に代わるのか

などを取り上げました。

これらを再度総括して、

「現在の延長線上に未来はあるのか?」

「これから私たちが考えるべきこと?」

についてディスカッションしました。

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勉強会資料 「過去の経営の失敗と危機の克服事例」~過去を振り返り激変する未来への対処を考える~

 

第72回「複雑な問題を『未来から解く』U理論とは?」

12月のテーマは、U理論です。

組織、企業、社会において、お互いの利害がぶつかり合う問題は

全員が納得する解決策をつくるのはとても大変です。

それは過去の経験が役に立たず

全く新しい「解」を創造しなければならないからです。

こういった複雑性が高い問題に対し、

MITのオットーシャーマー博士は

「出現する未来」から新たな解決策を創造する「U理論」を提唱しました。

このU理論は、企業でのイノベーション創出ワークショップなど発想法だけでなく

南アフリカの人種問題やコロンビアの反政府ゲリラなど対立する組織の対話にも

活用されています。

そこで今回はU理論とは「どのようなものなのか」学び

身近に活用できるのか話し合いたいと思います。

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勉強会資料 「複雑な問題を『未来から解く』U理論とは?」

 

第71回「中小企業の視点から考えるトヨタ生産方式の光と影」

11月のテーマは、トヨタ生産方式(TPS)です。

半導体、家電とかつて栄華を誇った多くの日本企業が不振に陥る中

自動車は高い競争力を維持し、好業績が持続しています。

中でもトヨタ自動車は売上、収益性共群を抜いています。

そのトヨタ自動車の生産の仕組み「トヨタ生産方式(TPS)」は

トヨタの強さの源泉として高く評価されています。

そして経営改善の切り札として、トヨタ生産方式は

メーカーのみならず、日本郵便や行政機関にまで導入されました。

ところがトヨタ生産方式は、自動車に最適化されたシステムで

他の業界ではどのうな問題が起きるのか、

掘り下げた議論は、あまりありません。

そこで今回は、自らトヨタ自動車で期間工として働いた経験のある

岐阜大学准教授 伊原亮司氏の著作を元に

トヨタ生産方式の光と影について考えました。

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第70回「次世代移動体通信5Gでビジネスはどう変わるか?」

10月のテーマは次世代移動体通信5Gです。

ZTE、ファーウェイに対するアメリカの厳しい措置を発端とした米中貿易摩擦は、情報通信をめぐる覇権争いに発展しています。

これは次世代通信規格5Gの普及とその機器メーカーの問題と合わせて、日本、ヨーロッパを巻き込んだ争いになっています。

では、この5Gとはどのようなものか、その特徴と可能性について考えました。

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第69回「思想の対立か、パラダイムの転換か?」~脚光を浴びるベーシックインカム~

9月のテーマは、ベーシックインカムです。

ベーシックインカムは、社会保障として国民1人1人に毎月定額の現金を支給する政策です。

この思想は17世紀から既にありましたが、

最近になって海外でも様々な学者や団体が導入を提唱しています。

ひとつには年金や生活保護などの社会保障制度は行政コストが非常にかかるため、

むしろ一律給付の方が効率的だという考えです。

さらに非正規雇用など不安定な生活に置かれた人々に安心を提供し、

起業に失敗しても生活できるため起業が活発になるといわれています。

今提唱されているベーシックインカムはどのような制度で、

経済的に成立するのか?

その結果社会はどうなるのか?

考えます。

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第68回「行動経済学から考える『行動を促す方法』」~コロナに見られるリスク選好とリスク回避~

8月のテーマは、行動経済学です。

伝統的な経済学が人は合理的に考えて最適な行動を取るとしたのに対し、

人は必ずしも全て合理的に考えて行動するわけではないことを示し、

従来の経済学モデルでは説明できないことを解き明かしたのが行動経済学です。

例えば、人は喜びよりも損失の方が大きく感じることや

将来の利益よりも目先の得になることに飛びつくことです。

これは現在のコロナウィルスに対する人々の反応にも表れています。

どうして人はリスクに過剰に反応するのか?

行動経済学から考えました。

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第67回「なぜ人は忘れるのか、記憶のメカニズムと特徴」

7月のテーマは、ヒューマンエラーの原因「記憶について」です。

日常業務において、私たちは見たり聞いたりしたことをいったん記憶し、

次の行動の判断に使っています。

記憶したことが変容したり、忘れてしまうことでミスが起きます。

事務作業から大規模なプラントの運転まで、

多くの業務はこのあいまいな記憶に依存し

記憶ミスが原因で大きな問題が起きます。

今回は、記憶の仕組みと、どのような時に忘れてしまうのか

記憶が変容するのかを取り上げ

記憶ミスによる問題を防ぐ方法を考えます。

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第66回「世界恐慌」~金融危機と通貨危機の同時連鎖はなぜ起こったのか?~

6月は、いつもと趣向を変えて、

現在に直接影響はないけど知っておいたら面白いテーマとして、

世界恐慌を取り上げました。

歴史の教科書には、第一次世界大戦後の好景気に沸くアメリカで

投資バブルが発生、バブルがはじけたため、世界恐慌が発生したと書いてあります。

当時の世界の置かれた状況は?

各国の中央銀行はどう動いたのか?

ヨーロッパ、アメリカ、日本の金融政策は?

金本位制と金融政策、経済発展と通貨の役割、などを取り上げ、

現在の不況を理解する手がかりにしたいと思います。

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第65回「グーグルに見るこれからの組織と人材2」~これからの企業の企業文化、組織、人事評価~

5月のテーマは、これからの企業に必要な社員のスキル、育成と組織 その2です。

従来、日本企業は難易度の高い大学から新卒一括採用し、

教育、育成してきました。

一方、グーグル、アマゾンなどのIT企業は、

優秀でなく、傑出した人材のみを採用しています。

そのため広くリクルートした人材を徹底期に面接、評価し、

それでもわずかな人しか入社できません。

その反面、自由にとれる軽食など社内の管理は今までの企業とは大きく異なっています。

対して日本企業の終身雇用、年功序列賃金は様々な問題を抱えています。

その対策として導入した成果主義もうまくいっていません。

これからの企業に必要な人材、組織はどのようなものか?

2回にわたりグーグルなどIT企業と日本企業とを比較し、考えます。

第2回目は、「組織と評価制度」について行います。

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勉強会資料 「グーグルに見るこれからの組織と人材2」~これからの企業の企業文化、組織、人事評価~
 

第64回「グーグルに見るこれからの組織と人材」~これからの企業に必要な採用、育成、組織~

4月のテーマは、これからの企業に必要な社員のスキル、育成と組織についてです。

従来、日本企業は難易度の高い大学から新卒一括採用し、

教育、育成してきました。

一方、グーグル、アマゾンなどのIT企業は、

優秀でなく、傑出した人材のみを採用しています。

そのため広くリクルートした人材を徹底期に面接、評価し、

それでもわずかな人しか入社できません。

その反面、自由にとれる軽食など社内の管理は今までの企業とは大きく異なっています。

対して日本企業の終身雇用、年功序列賃金は様々な問題を抱えています。

その対策として導入した成果主義もうまくいっていません。

これからの企業に必要な人材、組織はどのようなものか?

2回にわたりグーグルなどIT企業と日本企業とを比較し、考えます。

第1回目は、4月に「これからのスキル、採用、育成」について行います。

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第63回「なぜ中小企業の商品開発は失敗するのか?」~ランチェスター戦略から考える商品開発~

3月のテーマは、ランチェスター戦略と新製品開発です。

創業・起業を増やそうと国は様々な支援を行っています。

私もコーデネーターとして、起業や新製品開発の支援に関わってきました。

その中で「これはうまくいかない」と思えるプランも多く見ました。

ただ、全く新しい製品が売れるかどうかは、予測できません。

これは私も断言してはいけないと肝に銘じています。

それでも「中小企業が手を出してはいけない事業」はある気がします。

これについて、ランチェスター戦略から考えると整理できました。

そこで3月の勉強会は、新製品開発をランチェスター戦略でひもといて

「なぜ中小企業の商品開発は失敗するのか?」

そして、中小企業が新製品開発で成功するためにはどうすれば良いかを考えます。

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第62回「独創的な考えを生み出す柔軟的思考」

2月のテーマは、発想法です。

理論物理学者レナード・ムロディナウ著「柔軟的思考」によると

独創的なアイデアを出すためには頭がぼーっとしている方がよい

という実験結果があります。

理由は左脳には常識的な考えに固執し自由な発想を妨げる機能があるため、

脳が疲れて左脳が働かない時の方が

右脳が活発に働き革新的なアイデアを出るからです。

これは今までの発想法とは逆の考え方です。

今回はこの「柔軟的思考」を元に独創的なアイデアを出す方法について考えます。

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第61回「なぜ曙ブレーキは破綻したのか?」~中小企業が取引先の破綻の予兆を察知できるのか?~

1月は経営の失敗事例を取り上げていて、今回は曙ブレーキがテーマです。

多くの中小企業にとって取引先の業績不振や倒産は経営に大きな影響があります。

ティア1のブレーキメーカー曙ブレーキは1月29日に私的整理手続きの1つ、事業再生ADRを申請しました。

その前の期まで黒字で順調だった曙ブレーキに何が起きたのか?

このような取引先の変調は事前に予測できるのか?

上場企業の経営悪化とその要因について考えました。

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勉強会資料 「なぜ曙ブレーキは破綻したのか?」~中小企業が取引先の破綻の予兆を察知できるのか?~
 

第60回「これからの日本の産業は何か?」~日本の産業発展の歴史とグローバル環境から次の産業を考える~

これからの日本を支える産業がテーマです。

紡績・繊維から、鉄鋼・造船、そして電気・半導体から自動車と日本の輸出を支える産業は変化してきました。

その過程で多くの企業が栄枯盛衰の憂き目に遭いました。

では、これからの日本を支える産業は何でしょうか?

医療? 航空機?

これからの産業については情報が少なく、しかも行政やシンクタンクの一方的な情報ばかりです。

しかし過去に発展した産業や企業は、常にこうした公の予想の外で起きました。

そこで12月の勉強会は、

これまでの日本の産業発展の歴史と現在の日本の企業の規模と業界のデータから、

今後どのような産業が発展するのか、

ディスカッションしました。

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勉強会資料 「これからの日本の産業は何か?」~日本の産業発展の歴史とグローバル環境から次の産業を考える~
 

このテキストの別紙資料「2018年産業別主要企業と売上高」は、こちらからダウンロードできます。(パスワードは同じです。)
 

第59回「組織が社員をダメにする?組織文化の問題」~AI時代に必要な人材と彼らを生かす組織~

縦割りで横のつながりがない、

自分の仕事だけ行い、部門間の協力が弱い。

このような問題は大企業だけでなく多くの中小企業にも見られます。

近年の企業の不祥事や過労死、パワハラなどは、組織や組織文化にも原因があります。

現在の組織や日本企業の組織文化の問題点は何か?

欧米の組織の問題点は何か?

人に変わってAIが活用される時代になった時、人が活躍できる組織とは?

日本と欧米の組織の問題点と事例から、

これから求められる組織と組織文化について考えます。

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勉強会資料 「組織が社員をダメにする?組織文化の問題」~AI時代に必要な人材と彼らを生かす組織~
 

第58回「人工知能AIの発達で仕事はどうかわるのか」~その2 AIによって変わるとビジネスと仕事~

9月と10月の2回にわたり、人工知能について取り上げました。

10月は、AIと仕事についてです。

2013年にオクスフォード大学のオズボーン氏は、今後10~20年の間に47%の仕事が機械に代替されると発表しました。

オズボーン氏の発表は多くの議論を巻き起こし、

その説に対して賛否両論があります。

一方マスコミは「AIに仕事が奪われる!」と煽り立てています。

実はコンピューターに奪われるのは仕事全体でなく、仕事の中の細分化されたタスクです。

では、どのタスクがコンピューターに取って替わり、

どのタスクが人でなければできないのか?

AIと仕事について考えました。

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勉強会資料 「人工知能AIの発達で仕事はどうかわるのか」~AIによって変わるとビジネスと仕事~
 

第57回「人工知能AIの発達で仕事はどうかわるのか」~その1 知能とは何か?AIの知能は人を超えるのか?~

AIが進化すれば、なんでもできるようになるかのようにマスコミは報道しています。

2045年にはAIが人間の知能を超えるシンギュラリティが来ると予言する科学者もいます。

しかし、知性や感情、人の意識とは何なのか、我々はよくわかりません。

そこで9月と10月の2回にわたり、人工知能について取り上げます。

9月は、知性と感情、意識について、認知心理学とサイバネティクスの観点から、将来AIで世界はどう変わるのか、AI万能論とAI限定論の意見対立をふまえてAIとは何なのか考えました。

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勉強会資料 「人工知能AIの発達で仕事はどうかわるのか」~その1 知能とは何か?AIの知能は人を超えるのか?~
 

 

第56回 「人間の注意力とは? 注意不足の原因と対策」

自動化、コンピューター化が進んでも、製造業に限らず多くの企業では人が行う仕事は多くあります。

コンピューターやシステムが行う仕事は不良やミスが激減し、今や不良の最大の原因は人のミス、ヒューマンエラーです。

製造業では、

「確認したはずなのに見落とした」、

「うっかり確認を行わなかった」

という不注意による問題が発生し、管理者は「もっとしっかり注意しろ!」と叱責します。

では、この人の注意力とはどのようなものでしょうか。

今回はヒューマンエラーの中でも不注意について、その原因と対策を考えます。

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勉強会資料 「人間の注意力とは? 注意不足の原因と対策」
 

第55回 「米中半導体戦争」

アメリカは5月にファーウェイに制裁措置を発動し、

ファーウェイは、アメリカ、日本でスマホの販売ができなくなりました。

このファーウエイは、人民解放軍の技術者 任正非が創業した会社で、

主力事業は携帯電話の基地局のシステムのソフトとハードです。

この分野は、ヨーロッパのエリクソン、ノキア、中国のZTEとファーウエイで

世界のシェアの大半を占め、なかでもファーウエイは世界のトップシェアです。

アメリカも日本も、携帯電話の通信は必ず基地局を通ります。

その気になればファーウエイはアメリカや日本から情報を盗むことも可能です。

このような背景を踏まえて、

今後米中貿易戦争はどのようになっていくのか?

アメリカ、中国の半導体技術とシェアの観点から考えました。

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勉強会資料 「米中半導体戦争」
 

第54回 「産業ロボットの進化と変わるものづくり」

AIの発達により、今後ロボットはより身近になるといわれています。

ソフトバンクは、Pepperを発売し、今ではロボットが接客するホテルもあります。

ところがロボットを最も多く使用している製造業において

今後ロボットがどのように発展するのかあまり知られていません。

一方で、経産省は企業の生産性向上のために製造業のロボット導入を後押ししています。

今起きているロボットの大きな潮流は、従来の速さと正確さでなく

遅くてもいいから人の作業に代わることができる、人と一緒に作業できるロボットです。

そのためにセンサや制御に新しい技術がどんどん開発されています。

そこで6月の勉強会では、技術の視点から

「産業ロボットの進化と変わるものづくり」

について考えました。

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勉強会資料 「産業ロボットの進化と変わるものづくり」
 

第53回 「モチベーションとやり抜く力『GRIT』」

難関大学の卒業生は優秀な社員になるのでしょうか?

グーグルは、学歴や面接での評価が採用後のパフォーマンスに無関係なことが分かり、採用のプロセスを見直しています。

心理学者アンジェラ・ダックワースは、陸軍士官学校の地獄の特訓を耐え抜いたのは、学校の成績やスポーツの実績でなく、やり抜く力GRITにあることを発見、このGROTをスコアリングする方法を開発しました。

そして、このGRITこそが、仕事やスポーツの成果を決めることが分かりました。

このGRITとは何か、どうしたらGRITを伸ばすことができるのか、

逆に私たちの組織はGRITを下げるようなことをしていないか、

モチベーションとGRITについて考えます。

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勉強会資料 「モチベーションとやり抜く力『GRIT』」
 

 

第52回 「インターネット以来の大発明、ブロックチェーン」その2 ~ブロックチェーン技術とフィンテック~

2009年、サトシ・ナカモトという人物の書いた9ページの論文から生まれた

ビットコインは多くの人々を熱狂させ、

ビットコインバブルを生み出しました。

その一方で、彼の考えたブロックチェーン技術は、

インターネット以来の発明といわれ、

今やメガバンクや各国の中央銀行がその仕組みの導入を検討しています。

このブロックチェーンとは何なのか、世界はどう変わるのか、

2回に渡って考えました。

4月は、第2回目として「ブロックチェーン技術とフィンテック」 

ブロックチェーン技術の将来性と中央銀行が暗号通貨に取り組む理由、そして最新のフィンテックについても考えました。

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勉強会資料 「インターネット以来の大発明、ブロックチェーン」その2 ~ブロックチェーン技術とフィンテック~
 

 

第51回 「インターネット以来の大発明、ブロックチェーン」その1 ~ブロックチェーン技術とビットコイン~

経営勉強会「未来戦略ワークショップ」3月は、

ブロックチェーンです。

2009年、サトシ・ナカモトという人物の書いた9ページの論文から生まれた

ビットコインは多くの人々を熱狂させ、

ビットコインバブルを生み出しました。

その一方で、彼の考えたブロックチェーン技術は、

インターネット以来の発明といわれ、

今やメガバンクや各国の中央銀行がその仕組みの導入を検討しています。

このブロックチェーンとは何なのか、世界はどう変わるのか、

2回に渡って考えます。

3月は、第1回「ブロックチェーン技術とビットコイン」

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勉強会資料 「インターネット以来の大発明、ブロックチェーン」その1 ~ブロックチェーン技術とビットコイン~
 

第50回 「なぜアイデアが出ないのか? 製品開発と発想法の関係」

経営勉強会「未来戦略ワークショップ」2月は

「なぜアイデアが出ないのか? 製品開発と発想法の関係」

新しいアイデアを出すための発想法は、ブレインストーミングやKJ法など様々な方法が紹介されています。

しかしいざ新しい商品を考えようとしてブレインストーミングを行っても、単なる雑談会で終わってしまったことはないでしょうか。

その結果、

「ブレストをやってもアイデアは出ない」

「メンバーの質が悪いとアイデアは出ない」

という方もいます。

実は創造的な活動は「アイデア出し」に入る前の活動が重要なのです。

そこで2月の勉強会では、東京大学 中尾教授の「システムで思考する」

京都大学 逢沢気陽樹の「結果が出る発想法」

から、新しいものを生み出す発想プロセスについて学びました。

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勉強会資料 「なぜアイデアが出ないのか? 製品開発と発想法の関係」

 

第49回 「家電から自動車へ、中国企業の競争戦略」~戦略的市場攻略と異質競争の徹底~

経営勉強会「未来戦略ワークショップ」1月は

「家電から自動車へ、中国企業の競争戦略」~戦略的市場攻略と異質競争の徹底~

11月に中国 深センと湖南省に行き、

中国市場の大きさと市場を武器にした積極的な投資や若い起業家の熱意を実感してきました。

その中国は、今、米中貿易摩擦が話題となっていますが、

実は彼らは自分たちの弱い点を正確に分析し、

戦略的に市場を攻略しています。

中国企業の戦略を分析した立正大学の苑教授などの論文から、

自動車とテレビ市場における中国企業の戦略を学びます。

そして、あえて自社技術を供与してでも、

中国企業の格力と提携したダイキンの戦略から、今後の市場戦略を考えます。

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第48回 「事務ロボットによりホワイトカラーの仕事がなくなる!」~話題のRPAの特徴と課題~

経営勉強会「未来戦略ワークショップ」12月は

「事務ロボットによりホワイトカラーの仕事がなくなる!」~話題のRPAの特徴と課題~

2015年野村総研とマイケルAオズボーン氏の研究によれば、日本では49%の仕事がロボットやAIに代替可能ということです。

今、定型業務を自動的に処理する事務ロボットRPAが大きな話題となっています。

このRPAによりどこまでの仕事がコンピューターに代替できるのか?

将来はどこまで事務作業がコンピューター化されるの?

話題のRPAの特徴とその課題について考えました。

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第47回 「捨てられる銀行、中小企業の資金調達の課題2」~米国の中小企業金融との比較~

10月21日に第46回 「捨てられる銀行、中小企業の資金調達の課題1」~国の金融政策と銀行経営の変節~について行いました。
 

11月は、アメリカの中小銀行と中小企業のテーマを取り上げました。

日本はオーバーバンキングという意見がありますが、金融機関の数だけでいえば、日本は銀行と信用金庫を合わせて387行に対して、アメリカの銀行数は7,083行と、日本の約18倍です。

そしてアメリカの中小銀行は、担保や個人保証に頼らず、経営者や経営状況を見て融資を行うという「事業性評価による融資」を実行しています。

そこで11月は、アメリカの銀行の実情と、経営者と金融機関の間の信用について、日本と欧米の違いを考えました。

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第46回 「捨てられる銀行、中小企業の資金調達の課題1」~国の金融政策と銀行経営の変節~

10月21日に第46回 「捨てられる銀行、中小企業の資金調達の課題1」~国の金融政策と銀行経営の変節~について行いました。
 

10月の勉強会のテーマは、金融機関です。

日銀のマイナス金利の導入もあって金融機関の収益は厳しくなり、2017年度は地域銀行の約半数54行が本業では赤字となっています。

一方、金融機関は保証協会付融資を優先し、企業経営を顧みなくなっています。これを問題視した金融庁は、金融機関に事業性評価を重視した融資に注力するように指導しています。

なぜ、このような状況になったのか?

それはバブル崩壊後の不良債権処理と金融庁の指導が原因でした。これが今日の中小企業と金融機関との関係に大きな影響を与えました。

この中小企業と金融機関の関係の変化と、債務者区分や個人保証の問題、短期借入金から長期借入金への切り替えの問題などについて考えました。

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勉強会資料 捨てられる銀行、中小企業の資金調達の課題1~国の金融政策と銀行経営の変節~

 

第45回 「一時の話題か、新市場へと広がるのか、ドローンの可能性と課題」

9月16日に第45回 「一時の話題か、新市場へと広がるのか、ドローンの可能性と課題」について行いました。
 

9月の勉強会のテーマは、ドローンです。

ドローンは、2010年にフランス パロット社がAR Droneを発売後、急速に広まりました。

今では、趣味の空撮から、ビジネスとしての映像撮影や測量、さらにインフラ点検など様々な用途に使われています。

さらに豊田市の団体カーティペーターは2020年の東京五輪で人が乗ったドローンをお披露目すると宣言しています。

しかしこのドローン、調べてみるとまだまだ問題が多く、マスコミの報道にはかなり誇張が見られます。

では、今後ドローンはどのように活用され、それによりビジネスに革新が起きるのか、考えました。

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勉強会資料 一時の話題か、新市場へと広がるのか、ドローンの可能性と課題

 

第44回 「中小企業が使える経営戦略手法はあるか?」

8月26日に第44回 「中小企業が使える経営戦略手法はあるか?」について行いました。
 

経営戦略については過去に

第12回「戦略とは何か?戦略と戦術について考える」

第21回「経営戦略の発展の歴史とその特徴」

で学びました。

経営戦略手法は、過去のポーターやPPMに対して、新しいリソースペーストビューやVRIOなどがあります。

また中には、戦略でなく戦術レベルのものや、個別企業の成功事例を戦略として紹介しているものもあります。

このような状況下で、経営環境も技術も大きく変わったのに、ファイブフォースやSWOTをいつまでも使っていていいのだろうかという疑問もあります。

さらに過去に学んだ中国企業の価格戦争は、戦略の教科書には載っていません。

そこで今回は、中小企業にとっての経営戦略とその方法論に絞り、今出ている手法の中から中小企業が使えるもの、使えないものを考えました。

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勉強会資料 中小企業が使える経営戦略手法はあるか?

 

第43回 「なぜ間違えるのか?誤った意思決定について」

7月22日に第43回 「なぜ間違えるのか?誤った意思決定について」について行いました。
 

ヒューマンエラーの中でも、人間の意思決定のミスについて、進化心理学から掘り下げました。

人間の意思決定が経済学者が考えているように合理的でないことを、ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが解き明かし、行動経済学を確立し、ダニエル・カーネマンはノーベル経済学賞を受賞しました。

実は、この非合理な決定を行う原因は、何万年もの間、人間が生物として環境に適応するために獲得した能力のためでした。

これを解き明かしたのが進化心理学でした。

今回、進化心理学の視点から、人間の意思決定の誤りについて学びます

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勉強会資料 なぜ間違えるのか?誤った意思決定について

 

第42回 「シンギュラリティ、2045年人工知能が人間の知性を超える?」

6月17日に第42回 「シンギュラリティ、2045年人工知能が人間の知性を超える?」について行いました。
 

2045年にはシンギュラリティがやってきて人工知能が人間の知性を超えると言われています。

そして人の仕事の半分は人工知能に置き換わると言われています。

しかしマスコミの報道はセンセーショナルに人工知能の成果を発表しますが、人工知能がどのようなものなのか、今後どのように発展するか、詳しい情報は多くありません。

実は人工知能に対する欧米の主流は、機械的な人間観に基づいていて、意識すらも作り出せると考えています。

そこで人工知能の歴史と今後の発展と限界について考え、未来の仕事がどう変わっていくのか考えました。

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勉強会資料 シンギュラリティ、2045年人工知能が人間の知性を超える?

 

第41回 「今までのやり方が通じない!現代若者考」~若者を取り巻く社会環境とのやる気を引き出す方法~

5月20日に第41回 「今までのやり方が通じない!現代若者考」~若者を取り巻く社会環境とのやる気を引き出す方法~ について行いました。
 

ゆとり教育世代に代表される現代の若者は、

「今までのような指導方法が通用しない」

「少しきつく注意すると心身に不調をきたしてしまう」

このようなことが日常的に発生し、その対処にベテラン社員が振り回されます。

一方で、雇用延長により退職を引き延ばしてきた団塊の世代も本格的にリタイヤを始め、

人材不足が深刻になっています。

しかしせっかく採用した人材が戦力にならず辞めてしまうのは大変な痛手です。

では若者の退職を防ぎ、早期に戦力化するにはどうしたら良いでしょうか。

現在の若者の特徴と育成について考えました。

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勉強会資料 今までのやり方が通じない!現代若者考~若者を取り巻く社会環境とのやる気を引き出す方法~

 

第40回 「ビットコインの登場で経済政策はどう変わるか? その2」~マネタリズムから仮想通貨まで~

3月18日に第40回 「ビットコインの登場で経済政策はどう変わるか? その2」~マネタリズムから仮想通貨まで~ について行いました。
 

経済学の発展を背景となる社会環境の変化を2回に分けて行いました。

4月は、2回目として、新古典派から今後の経済までです。

今日、ケインズ派の大きな政府から一転して自由主義、

小さな政府を求める新古典派にが主流となりました。

その一方で、マネーは世界中にあふれ、原油や株、サブプライムローンなどになだれ込み、価格暴騰やリーマンショックを引き起こしています。

そこに仮想通貨という政府の管理の及ばないものが大量に発生すると混乱に拍車をかける恐れがあります。

そこでケインズ以降の経済学の考え方と、今後仮想通貨の影響について考えました。

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勉強会資料 ビットコインの登場で経済政策はどう変わるか? その2~マネタリズムから仮想通貨まで~い

 

第39回 「ビットコインの登場で経済政策はどう変わるか? その1」

3月18日に第39回 「ビットコインの登場で経済政策はどう変わるか? その1」~古典派からケインズまで~について行いました。
 

経済活性化、不況対策など政府は様々な手を打っています。

その基本は、経済学者の提案する経済政策にあります。

政府は経済学者の提言を参考に公定歩合の変更や国債の発行を通じて、

経済を良くしようとしています。

アメリカではシカゴ学派の考え方が主流であり、

貨幣供給量の管理を重点的に経済政策が進んでいます。

しかし、今後ビットコインのような政府の規制を受けない代替貨幣が出現すると、これが大きく変わる可能性があります。

そこで、経済学の発展を背景となる社会環境の変化を2回に分けて学びます。

3月は、1回目として、古典派からケインズまでです。

なぜ市場経済という考えが生まれたのか、

それ以前の社会との違い

「見えざる手」に反旗を翻したケインズの考え、

こりらを当時の産業状況と現在を対比し、

今の経済政策の有効性について考えます。

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勉強会資料 ビットコインの登場で経済政策はどう変わるか? その1~古典派からケインズまで~

 

第38回 「リチウムイオン電池における特許をめぐる戦い」

2月18日に第38回 「リチウムイオン電池における特許をめぐる戦い」について行いました。
 

世界に先駆けて、画期的な製品を開発した企業が

いつのまにかシェアを失い失速しています。

ノーベル賞を受賞した赤崎教授と共同で青色LEDを開発した豊田合成

今はほとんどシェアがありません。

これに対し、日亜化学がどのように権利を守りシェアを維持したのか

これについて2017年2月の勉強会で学びました。

今回はリチウムイオン電池を取り上げ

世界に先駆けリチウムイオン電池を実用化した旭化成の吉野氏の著作から

どうして特許で防ぐことができないのか

悪魔のサイクルについて学びます。

また特許から見た次世代電池開発競争についても考えます。

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勉強会資料 リチウムイオン電池における特許をめぐる戦い

 

第37回 「中国製品を駆逐したホンダの二輪車戦略」

12月17日に第37回 「中国製品を駆逐したホンダの二輪車戦略」について行いました。
 

2000年代初頭、アジアの二輪車市場は拡大が続き

ホンダをはじめとする日本メーカーは、現地生産で拡大する市場に対応します。

しかし中国製の安価なコピーバイクにシェアを奪われていきます。

そこでホンダは他ではやらない戦略を採用し、

東南アジアの市場を中国メーカーから奪回しました。

どうしてホンダが中国企業から市場を奪うことができたのか、

その要因を考え、

将来の四輪車における中国企業との競争戦略のヒントを考えました。

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勉強会資料 中国製品を駆逐したホンダの二輪車戦略
 

第36回 「電池はエンジンを駆逐するのか?バッテリー戦争」

12月17日に第36回 「電池はエンジンを駆逐するのか?バッテリー戦争」について行いました。
 

2017年に入りガソリン車やディーゼル車の販売を

フランス、イギリスは2040年に、

オランダとノルウェーは2025年までに禁止すると発表しました。

トヨタ自動車は2020年代には次世代バッテリーの固定電池の量産を発表しました。

バッテリーの進化によりEVはどうなるのか?

最新の電池開発について学びます。

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勉強会資料 電池はエンジンを駆逐するのか?バッテリー戦争
 

第35回 「EVの覇者となるのか、教科書に載っていない中国企業の経営戦略」

11月19日に第35回 「EVの覇者となるのか、教科書に載っていない中国企業の経営戦略」について行いました。
 

家電、スマートフォンなどで世界を席巻しつつある中国企業、

その経営戦略は日本や欧米の企業とは全く異なるものです。

はたしてEV時代が到来すると自動車も中国企業が席巻するのでしょうか?

中国企業の経営戦略について考察しました。

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勉強会資料 EVの覇者となるのか、教科書に載っていない中国企業の経営戦略?
 

第34回 「IoTは中小企業のものづくりを変えるのか?」

10月15日に第34回 「IoTは中小企業のものづくりを変えるのか?」について行いました。
 

9月の「IoTとは何か?これから起こる変化を考える」では

今言われているIoTとはどのようなもので、

今後どのようなビジネスが出現するかを考えました。

10月は、

各メーカーがどのようにIoTによるものづくりの最適化に取り組んでいるのか、

これにより中小企業のものづくりがどのように変わるのか考えました。

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勉強会資料 IoTは中小企業のものづくりを変えるのか?
 

第33回 「IoTとは何か?これから起こる変化を考える」

9月24日に第33回 「IoTとは何か?これから起こる変化を考える」について行いました。
 

「IoTでものづくりが変わる」

新聞、雑誌にIoTの文字を見ない日はありません。

国もIoTに取り組む企業に補助金を支給し、IoTを推進しています。

でも、

「IoTとは何か」

と聞かれると悩んでしまいます。

そこでIoTの本質とこれから起こる変化について、

2回に分けて行います。

第1回は、9月に

「IoTとは何か?これから起こる変化について考える」

今言われているIoTとはどのようなもので、今後どのようなビジネスが出現するか考えます。

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勉強会資料 IoTとは何か?これから起こる変化について考える
 

第32回 「人はなぜ間違えるのか?ミスの原因と対策」

8月20日に第32回 「人はなぜ間違えるのか?ミスの原因と対策」について行いました。
 

日常生活の中の様々な場面でミスをします。

多くの場合、当人は間違っていることに気づかず、問題が起きて初めて間違ったことに気づきます。

このようなヒューマンエラーを防止するため、今回は原因として
「不注意」
「見つけにくいものをあきらめる」
「タスク飽和」
「疲労」
などについて考え、

その対策として外化とチェックリストの活用などについて考えました。

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勉強会資料 人はなぜ間違えるのか?ミスの原因と対策
 

第31回 「ゆとり教育社員への処方箋」

7月23日に第31回 「ゆとり教育社員への処方箋」について行いました。
 

6月18日に行った第30回「ゆとり世代の特徴と誤解」で、ゆとり教育世代に代表される今の若者の特徴と、企業の人材マネジメントの問題について考えました。
 

7月23日は、若者たちの弱点を補い、積極性を引き出す具体的な方法について考えました。

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勉強会資料 ゆとり教育社員への処方箋
 

 

第30回 「ゆとり世代の特徴と誤解」

6月18日に第30回 「ゆとり世代の特徴と誤解」について行いました。
 

今の若者たちの、今までは考えられないような行動に戸惑う管理職が増えています。

そして「今どきの若者たちは…」という批判が起きます。
 

それでは今までの人材管理に問題はなかったのか、

社員のモチベーションは高かったのか、

これまでの人材管理の問題について考えました。
 

そして「ゆとり教育世代」という虚像の実態を解明すると共に、若者の問題の本当の姿について考えました。
 

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勉強会資料 ゆとり世代の特徴と誤解
 

第29回 「グローバル資本とデフレの関係」

5月21日に第29回 「グローバル資本とデフレの関係」について行いました。
 

円安で輸出企業の利益が増えても企業は内部留保を積み上げ、賃上げや設備投資は依然低調です。

この日本のデフレについて、JPモルガン証券の北野一氏は、

「原因は成長余力の乏しい日本企業がその実力以上に利益を出していることにある」と断言します。
 

この北野氏の主張するデフレの原因について深掘りし、借入と資本と費用の関係と、購買力平価でみた時の実質為替レート、そして格差の拡大について考えました。
 

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勉強会資料 グローバル資本とデフレの関係
 

第28回 「競争戦略としての価格戦争とそのメカニズム」

4月16日に第28回 「競争戦略としての価格戦争とそのメカニズム」について行いました。
 

新今まで経営戦略の教科書に「価格戦争」はありませんでした。

「必然的に価格競争になった」例はあっても、「自ら価格戦争を仕掛ける」選択肢は、教科書にはありませんでした。

しかし、中国など新興国は、競合をふるい落とすために、価格戦争を仕掛けてきます。

そして、多くの日本企業が「価格戦争を仕掛けられている」ことに気づかず、敗退しました。

それは今後、価格戦争とは無縁だった自動車産業をも巻き込む可能性があります。
 

では、この価格戦争はどのようなものなのか?

どのような条件で発生するのか?

いくら価格を下げれば、シェアがどのくらい上がるのか?
 

価格戦争の理論と、中国(電子レンジとカラーテレビ)と日本(HY戦争)について学びました。
 

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勉強会資料 競争戦略としての価格戦争とそのメカニズム
 

第27回 「独創的なアイデアを生み出すための発想法」

3月19日に第27回 「独創的なアイデアを生み出すための発想法」について行いました。

新製品や新事業だけでなく、日常起きる問題点の解決や改善など様々な場面でアイデアが求められます。

そのためには新しいアイデアを生み出す方法が必要です。

実は、このアイデア発想法はすでに確立されており、これに従えば誰でも新しいアイデアを生み出すことができます。
 

では、なぜ日本企業からもっと画期的なアイデアが出てこないのでしょうか。
 

実はイノベーションを起こすには、画期的なアイデアだけでは不十分なのです。

過去の発明を調べると偉大な発明家はひらめきだけでなく、予想外の事態に対処する柔軟さと、コラボレーションを活かしていました。
 

そこで、3月の勉強会は、基本的なアイデア発想法を学ぶとともに、偉大な発明家の成功から、ひらめきに加えて必要なことを考え、どのように自分達が発想力を豊かにするか、考えました。

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勉強会資料 独創的なアイデアを生み出すための発想法
 

第26回 「発明を守る方法と、権利を守る戦い」

2月12日に第26回 「発明を守る方法と、権利を守る戦い」について行いました。

1月の勉強会で、日本の半導体業界は高い技術を持ちながら、グローバルでの大量生産、大量消費の流れに対応できず、不十分な投資により価格競争力を失い、敗北しました。

では、特許は企業の競争力の源泉になるのでしょうか。

2月の勉強会では、知財を守る方法と、知財からお金を取る目的だけで活動する企業について考えます。

そして自社の技術を守りながら、グローバル競争を生き抜いた日亜化学の取組から、知財について、より深く考えます。

日亜化学は、豊田合成とともに青色LEDを世界に先駆けて開発しました。

そして日亜化学は、今でも一定のシェアを確保していますが、豊田合成のシェアは急落しました。

その違いは、将来のコモディティ品の争いを予想していたかどうかでした。

この両者の違いについて考えます。

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勉強会資料 発明を守る方法と、権利を守る戦い
 

第25回 「半導体の敗北と自動車の将来」

1月15日に第25回 「半導体の敗北と自動車の将来」について行いました。

私が21歳で東芝に入社した時、配属先の隣の工場が半導体の多摩川工場でした。
地方から大量の女の子が就職していました。

当時、最も利益を出していたのは、コンピューター、複写機の情報本部と半導体事業部でした。

あの半導体がどうして韓国、台湾に負けたのか、本や記事を読んでも納得できませんでした。

今回調べて、その敗因は技術で負けて、経営で負けたことが分かりました。
そして、これは今花形の自動車にも起こりうることです。

今回、半導体の敗因を技術と経営から分析し、自動車に対して起こりうる未来を考えます。

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勉強会資料 半導体の敗北と自動車の将来
 

第24回 「これから10年で起こる、社会の劇的変化」

12月18日に第24回 「これから10年で起こる、社会の劇的変化」について行いました。

コンピューターの急速な進歩により、今まで何十年も研究し
コンピューターには困難と考えられていた音声認識、翻訳、自動運転の
実現が目前に迫ってきました。

近い将来、コンピューターが人間の知能を超えるとも言われています。
その結果、ものづくりはどう変わるのか?
その時、人ができる仕事、働き方はどうなるのか?

12月は、人工知能やロボットの進化と雇用、社会での格差の拡大について考えました。

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勉強会資料 これから10年で起こる、社会の劇的変化
 

第23回 「これから10年で起こる、ものづくりの劇的変化 その1」

11月20日に第23回 「これから10年で起こる、ものづくりの劇的変化 その1」

コンピューターの急速な進歩により、今まで何十年も研究し
コンピューターには困難と考えられていた音声認識、翻訳、自動運転の
実現が目前に迫ってきました。

近い将来、コンピューターが人間の知能を超えるとも言われています。

その結果、ものづくりはどう変わるのか?
その時、人ができる仕事、働き方はどうなるのか?

11月と12月の2回に分けてこれから10年で起こる変化について考えました。

11月は、コンピューター、人工知能の進歩とものづくりへのロボット化です。

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勉強会資料 これから10年で起こる、ものづくりの劇的変化 その1
 

第22回 「合意形成と説得術、B to Bでの価格交渉術」

10月16日に第22回 「合意形成と説得術、B to Bでの価格交渉術」

未来戦略ワークショップ第5回で「価格とは?価格と価値について考える」、

未来戦略ワークショップ第11回で「価格と市場戦略、高く売るために必要なこと」、

と価格について考えました。

今回、価格交渉を念頭に置いて、交渉術について考えます。

従来の交渉のスキル、相手をねじ伏せる方法と、
お互いがWin-Winを目指すハーバード流交渉術の違いを考えました。

そして、ハーバード流がなかなかできない理由や
「戦場の霧」の概念から固定された考えにとらわれず、
新たな解決策を生み出す「創造的な交渉術」についてご紹介します。

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勉強会資料 合意形成と説得術、B to Bでの価格交渉術
 

第21回 「経営戦略の発展の歴史とその特徴」

9月21日に第21回 「経営戦略の発展の歴史とその特徴」

未来戦略ワークショップ第12回で、戦略の起源と軍事での戦略と経営での戦略について考えました。

今回、経営戦略の歴史と変遷について考えます。

経営コンサルタントが使う経営戦略のフレームワークはどのような経緯で生れたのでしょうか?

コンサルタントファームの経営戦略手法やフレームワークは、彼らのビジネスのためのツールです。

今や流行が過ぎ、誰も顧みなくなった戦略もあります。

今回1970年代、ボストンコンサルティンググループの黎明期から、
ポーターなど様々な戦略の大家の発展と歴史を振り返り
「経営戦略は役に立つのか」について考えました。

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勉強会資料 経営戦略の発展の歴史とその特徴
 

第20回 「ものづくりにおけるヒューマンエラーの原因と対策」

8月21日に第20回 「ものづくりにおけるヒューマンエラーの原因と対策」

人によるミスは、事務手続きから、組立ミス、交通機関の運行ミスなど様々な場面で大きな問題を起こしています。

しかし多くの場合、自動化、コンピューター化は容易でなく、人に頼っているため、ミスを確実になくすことは容易ではありません。

そこで人のうっかりミス ヒューマンエラーの原因について説明し、
現場でのヒューマンエラーの事例について、
従来のポカヨケやシステム化による対策と
ヒューマンエラーの原因から対策するヒューマンエラー対策を比較し、
これからのヒューマンエラー対策について考えますした。

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勉強会資料 ものづくりにおけるヒューマンエラーの原因と対策

 

第19回 「模倣者に負けるイノベーションの現実」

7
7月17日に第19回 「模倣者に負けるイノベーションの現実」

イノベーションについて経営書や専門家の意見は、
その時点で優れた企業にもっともな理由をつけたという気がします。

実際は、新たな市場を切り開いた企業が、
その後模倣者に市場を奪われてしまう例もあります。

はたしてイノベーションは企業を強くするのか、モルモットに終わるのか
企業の模倣戦略について考えました。

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勉強会資料20160717_模倣者に負けるイノベーションの現実
 

第18回 「なぜ高くても買ってしまうのか?行動経済学から読み解く」

6月19日に第18回 「なぜ高くても買ってしまうのか?行動経済学から読み解く」

ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーの二人は
行動経済学という新たな分野を切り開き、
ダニエル・カーネマンは2002年にノーベル経済学賞を受賞しました。

この行動経済学と従来の経済学との違いを考え、
人間の非合理な判断をどのように行動経済学は解き明かしたのか、
考えました。

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勉強会資料 なぜ高くても買ってしまうのか?行動経済学から読み解く
 

第17回 「ゆとり世代の特徴と若者のモチベーションを上げる方法」

5月15日に第17回 「ゆとり世代の特徴と若者のモチベーションを上げる方法」

生れた時から携帯とネットがある環境、ゆとり教育と格差社会、
ワーキングプアなど、現代の若者が置かれている環境を考察しました。

そして彼等のモチベーションを高める方法として、
ダニエル・ピンクのモチベーション3.0を元に
今の若者に合った、報酬や評価にではない方法を考えました。

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勉強会資料 ゆとり世代の特徴と若者のモチベーションを上げる方法
 

第16回 「インダストリー4.0はものづくりを変えるのか?」

4月17日に第16回 「インダストリー4.0はものづくりを変えるのか?」

インダストリー4.0は、昨年あたりからマスコミにさかんに取り上げられ、
「ものづくりが変わる!」とセンセーショナルに書かれています。

でも具体的には何なのか、良く分からない方も多いと思います。

本当にイノベーションが起きるのか、
それともかつてのFMSやCIMのように、すぐに萎んでしまう花火なのか、
詳しく検証しました。

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勉強会資料 インダストリー4.0はものづくりを変えるのか?
 

第15回 「中小企業の高収益化とその課題」

3月20日に第15回 「中小企業の高収益化とその課題」

中小企業の収益が低い原因を分析したみずほ総研の論文から
中小企業の低収益の原因と対策を考えました。

また、中小企業の独自技術化と収益力の関係を調査した
神戸大学 大学院のレポートから分かった、
中小企業の利益率と技術力の意外な関係を紹介しました。

そして中小企業の利益を高める方法について、考えました。

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勉強会資料 中小企業の高収益化とその課題
 

第14回 「人口減少社会とこれから起こる変化」

2月21日に第14回 「人口減少社会とこれから起こる変化」

統計数値を基にした少子高齢化の実態と、その原因として政策の失敗、
そして地方行政の失敗と行政に衝撃を与えた増田レポートから
国が日本をどう変えていこうとしているのか学びました。

そこから今後の市場の変化について、考えました。

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勉強会資料 人口減少社会とこれから起こる変化
 

第13回 「失敗事例に学ぶ、なぜ、あの企業が破たんしたのか」

1月17日に第13回 「失敗事例に学ぶ、なぜ、あの企業が破たんしたのか」

盤石な財務体質でも倒産したトーハツ、
対して財務内容が悪く倒産しかけたホンダ。

実は、自社がいくら良い経営をしても、
ライバルがそれ以上の攻勢をかけると環境は大幅に変わります。

トーハツとホンダを比較することで、
MBAのような1社だけのケーススタディからは見えない
戦略の本質を考えました。

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勉強会資料 失敗事例に学ぶ、なぜ、あの企業が破たんしたのか
 

第12回 「戦略とは何か、戦略と戦術について考える」

12月20日に第12回 「戦略とは何か、戦略と戦術について考える」

経営書や経営コンサルタントの話に、「経営戦略」という言葉がよく出てきます。

この経営戦略とは、何でしょうか。

経営書にある大企業の戦略は中小企業も有効なのでしょうか。

SWOT分析やバランススコアカードなどのフレーワークは、中小企業でも役に立つのでしょうか。

一方、経営者が独自に考えた戦略で、業界でのシェアを引き上げて例もあります。

この戦略について考えました。

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勉強会資料 戦略とは何か、戦略と戦術について考える
 

第11回 「価格と市場戦略、高く売るために必要なこと」

11月15日に第11回 「価格と市場戦略、高く売るために必要なこと」

企業がどのように価格を決めているのか、価格決定の方法と
市場価格を調べる価格調査方法、価格の失敗事例
高く売るための取組について、学びました。

また、PSM法により、思ったより高く価格設定ができた事例についても考えました。

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勉強会資料 価格と市場戦略、高く売るために必要なこと
 

第10回 「会計が判断を誤らせる、会社の数値と実務の違い」

10月18日に第10回 「会計が判断を誤らせる、会社の数値と実務の違い」

会計上の数値はあくまで会計のルールに基づいて算出した数値です。

時にはその数値を基に判断することで、損失を招くことがあります。

会計数値と実務の違いについて考えました。

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勉強会資料 会計が判断を誤らせる、会社の数値と実務の違い
 

第9回 「人間の失敗メカニズムと、失敗を防ぐリーダーの役割」

9月27日に第9回 「人間の失敗メカニズムと、失敗を防ぐリーダーの役割」

中小企業の現場の多くはポカヨケやコンピューターシステムの構築ができず
人の注意力に頼ってミスを防止しています。

その結果、人のミス、ヒューマンエラーが生じます。

この゜ヒューマンエラーの原因と対策について考えました。

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勉強会資料 人間の失敗メカニズムと、失敗を防ぐリーダーの役割
 

第8回 「軍事から日本独自の経営戦略へ、ランチェスター戦略」

8月23日に第8回 「軍事から日本独自の経営戦略へ、ランチェスター戦略」

ランチェスター戦略は、経営コンサルタントの田岡信夫氏が、
イギリスの航空技術者ランチェスターの軍事戦略「ランチェスターの法則」を、
企業経営に応用し体系化したものです。

ランチェスター戦略は、松下幸之助氏など多くの企業経営者に採用され、
業績の向上に活用されました。

ランチェスター戦略は経営学などの学問ではないので、
MBAやコンサルタントでも知らない方もいます。

しかし中小企業の経営者の中には熱心に学ばれる方もいますので
必須の知識だと思います。

一方で、ランチェスター戦略にも限界はあり、
これだけで戦略を立案するのは危険です。

このランチェスター戦略の優れた点と、その限界について考えました。

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勉強会資料 ランチェスター戦略
 

第7回 「2050年から現在を考える、日本がインドネシアに抜かれる時」

7月19日に第7回 「2050年から現在を考える、日本がインドネシアに抜かれる時」

経営戦略を考える際、今後の経営環境の変化を予測することは重要です。

しかし巷にあふれる「2020年はこうなる!」のような本は、売れるためにセンセーショナルな話題ばかりで、信頼できる内容が少ないです。

実際、今2012年に書かれた「2015年はこうなる!」という本を読めば、予測がことごとく外れていることが分かります。

そこでうんと遠く、2050年の世界を考え、そこから現在を見ることで将来が予測できます。

こうして発表されている2050年の世界は、今とは全く違ったものでした。

これについて、考えました。

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勉強会資料 2050年から現在を考える
 

第6回 「どうしてコモディティ化が起こるのか?自社の業界はどうか?」

6月177日に第6回 「どうしてコモディティ化が起こるのか?自社の業界はどうか?」

突然ビジネスのゲームのルールが変わり
それまで市場のトップにいた企業が一気に転落することがあります。

そのひとつがコモディティ化です。

これについて、資料をまとめた結果、
モジュール型、すり合わせ型ものづくりなどの
議論とは別に、大きな変化がやってきていることがわかりました。

また、この変化に日本企業が全く対応できていない
という現実も見えてきました。

このテーマについて考えました。

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勉強会資料20150617_どうしてコモディティ化が起こるのか?
 

第5回 「価格とは?価格と価値について考える」

5月17日に第五回 「価格とは?価格と価値について考える」

なぜ人はその商品を買うのか?

その時買い手が認める価値とは何か?

そこから価格と価値について考えました。

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勉強会資料20150517_価格とは?価格と価値について考える
 

第4回 「イノベーションを起こした発明家とその発想術」

4月19日に第4回 「イノベーションを起こした発明家とその発想術」

すぐれたイノベーターは、どのように考えて素晴らしいアイデアを出したのか、

あるいは素晴らしいアイデアがありながら
イノベーションを実現できなかったのは何故か?

調べてゆくと、一般に伝えられていることは結果の良い点だけであり、
アイデアを具体化するにはもっと大事なことがあります。

これについて考えました。

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第3回 「高収益企業の実例と高収益化のポイント」

3月15日に第3回 「高収益企業の実例と高収益化のポイント」

厳しい経営環境の中、多くの中小企業が低収益に苦しんでいます。

その中でも高収益の中小企業があります。

多くの実例企業の例から「どうして高収益なのか」
そしてそれは自社にどう展開できるのか考えました。

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勉強会資料20150315_高収益企業
 

第2回 「イノベーションの誤解!日本でイノベーションが起きない本当の理由」

2月15日に第2回 「イノベーションの誤解!日本でイノベーションが起きない本当の理由」

破壊的イノベーションと持続的イノベーションの違いから
優良企業が新たなイノベーションに駆逐される事例を見て
自社の取引先や環境について考えました。

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勉強会資料20150215_イノベーション
 

第1回 「企業はどう変化に対応すべきか、失敗した企業に学ぶ」

1月25日に第1回 「企業はどう変化に対応すべきか、失敗した企業に学ぶ」

高い技術を持ちながら、社会、産業の大きな変化に対応できなかった池貝鉄工

デジタル化という急激な変化に対応できた富士フイルム

2つの事例から変化への対応と、自社の取引先はどうか考えました。

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勉強会資料 株式会社池貝

勉強会資料 富士フイルム

 

今後の予定など「未来戦略ワークショップ」の詳細はこちらを参照ください。

 
 

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