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【製造業の値上げ交渉】19. 国の支援策とその活用方法

 
製造業の場合、中小企業の取引先が大企業の場合も多く、発注側と受注側、大企業と中小企業という立場の違いから、不利な条件で受注することもあります。

これは国も問題と考え、様々な支援策を提供しています。

これは、どのようなもので、どう活用すればよいのか?

国の支援策とその活用方法を説明します。
 

国の支援策

 
国の支援策は以下のようなものがあります。

◆法律
下請代金支払遅延等防止法 (以降、下請法)

◆ガイドライン等
下請適正取引等の推進のためのガイドライン (以降、ガイドライン)

価格交渉ノウハウ・ハンドブック (以降、ハンドブック)

下請法は、発注先がやってはいけない禁止事項が決められ、違反した場合は、公正取引委員会からの勧告や罰金が定められています。

【報告があった場合】

中小企業庁にも確認しましたが、もし理不尽な要求や問題行動の報告が中小企業からあっても、中小企業庁や公正取引委員会が直ちにその企業に調査に入ることはないそうです。彼らは日頃からこうした情報を収集し、問題のある報告が多い企業に対して時機を見て調査に入るそうです。従ってどの仕入先から報告があったため調査に入ったかはわかりません。

一方、ガイドラインは、罰則はありませんが、ガイドラインに反する事例が多い取引先は、「価格転嫁に消極的な企業」として経済産業省が実名を公表することがあります。公表される企業にはよく知られた大企業も多く、そこで「価格転嫁に消極的な企業」として公表されることは、その企業にとってイメージダウンになります。
 

どのように活用するのか?

 
下請法の違反事例やガイドラインに反する行為は、受注先の中小企業が報告しなければわかりません。

こういった取引先の問題行為は、取引先企業の方針だけでなく、担当者個人の行動の問題の場合もあります。

個々の取引おいて理不尽な要求を公正取引委員会に報告して、すぐに是正してもらうのは難しいかもしれません。

しかし取引先の問題行動を各社が報告することで、経済産業省が実名を公表したり、公正取引委員会が勧告したりします。これによって理不尽な要求や優先的地位の濫用が減少し、公正な取引の実現に向かいます。

そのためには、取引にかかわる中小企業の関係者は、法律やガイドラインを読んで「どのような要求が下請法やガイドラインに抵触するのか」理解しておく必要があります。

下請法やガイドラインは、立場の弱い中小企業が自らを守るための武器なのです。

詳細は、国の資料を見ていただくとして、以下に簡単に概要とポイントを説明します。
 

下請法

 
親事業者が下請事業者に製造やサービスを委託した時に、親事業者の義務と禁止事項を定めた法律です。

違反すれば、罰金や公正取引委員会の勧告措置が定められています。勧告措置を受けた場合、違反した企業は、社名、違反内容がホームページで公開されます。

この下請法には図1に示すように4つの義務と11の禁止行為が定められています。

図1 下請法の概要


 

下請法のポイント

 
詳細は下請法を読んでいただくとして、実務上で問題となりがちな点を説明します。
 

発注書面の交付義務

 
「委託後、直ちに、給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法等の事項を記載した書面を交付する義務」のことです。

発注は注文書など書面で必ず行い、注文書には発注単価が記入されていなければなりません。

これは良い面と悪い面があります。

◆良い面
単価の取り決めなしで注文を受けて、実際は低いお金となることを防ぐことができる。受注した時点で単価が低すぎれば交渉できる。

◆悪い面
納期がないので図面だけでもFAXで送ってもらってつくりたいが、注文書が発行できないからと図面を送ってもらえない。

このように不便な面もありますが、仮単価でも金額が入ると、それが基準になってしまいます。そこでできるだけ金額を決めて受注するようにします。
 

受領拒否の禁止

 
「下請事業者に責任がないにもかかわらず、給付の受領を拒むこと」です。

仕入先が納期を守るために、手配に時間がかかる部材を自らの判断で先行手配することがあります。本来は顧客から書面で内示をもらうべきですが、内示の数だけでは不足する場合、仕入先が先行手配を上積みすることもあります。同様に仕入先が自主的に在庫を持つ場合もあります。

順調に受注があればよいのですが、顧客がモデルチェンジや設計変更を行い、その部材が不要になると問題になります。

ガイドラインでは

「顧客から『参考情報』として提示された場合でも、それが実際の部材手配や製造着手につながる場合は、事実上の発注とみなされる」

と書かれています。もし大量の部材を抱えてしまった場合、引き取ってもらわないと経営に影響しますが、ガイドラインを示して引取りを求めるのはなかなか大変です。

そこで先行手配や在庫を持つ場合、顧客と打合せし、「『参考情報』を元に先行手配をする」旨の議事録をつくり顧客のサインをもらいます。もしサインが拒否されれば「リードタイムはこれだけかかるのだから、それ以上の短納期は無理だ」ということを書面に残します。
 

下請代金の支払遅延の禁止

 
「支払代金を、支払期日までに支払わないこと。」

月末締の翌月払いの企業も多くなり、検収さえ上がれば支払いはスムーズになってきました。

問題は検収がなかなか上がらない場合です。

特に装置や金型などは、納品しても顧客が生産を立ち上げて問題ないことが検収の条件になっています。中には納入しても問題の解決に何か月もかかり、それまで検収が上がらずお金が支払われないということもあります。

問題の原因が曖昧なこともあり、顧客は良品でなければ検収を上げられないと主張します。

こうした場合、金額の高いものは顧客と契約する際に進捗度に応じて何割かを支払ってもらう方法があります。

建設業では工事代金が大きく、業者へ支払いしなければならないあるため、この方法が一般的です。ただし最後の何割かの支払いは、完成・引き渡しが条件です。

このような方法を取れば資金的に楽になりますし、顧客も検収を上げるまで支払いは残るので安心できます。
 

買いたたきの禁止

 
「通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること」です。

「通常支払われる対価」とは、「その下請事業者の属する取引地域において一般的に支払われる対価」を指します。

著しく低い下請代金が解釈によって変わりますが、ガイドライン、ハンドブックでは、

  • 一方的な指値
  • 一律・一定率での発注価格の減額(コストダウン要請)
  • 材料費・加工費・人件費などのコスト増加を無視した価格据え置き

などが挙げられています。定期的な原価低減で、カイゼンのネタがないのに一方的に価格を引き下げることは、買いたたきに該当します。
 

不当なやり直しの禁止

 
「下請事業者に責任がないにもかかわらず、給付の内容を変更させたり、給付をやり直させること」です。

この例として、合否判定が曖昧な傷や外観について、一方的に「傷があるものは不良だから受け取れない」とされる場合や、顧客の事情で手直しを依頼されたが、その費用を支払われない場合などです。
 

下請適正取引等の推進のためのガイドライン

 
親事業者と下請事業者の間の取引において「望ましい事例」と「望ましくない事例」を示すことで、公正な取引を促すことを目指したものです。

ガイドラインは以下の20の業種について、それぞれ作成されています。

(1)素形材
(2)自動車
(3)産業機械・航空機等
(4)繊維
(5)情報通信機器
(6)情報サービス・ソフトウェア
(7)広告
(8)建設業
(9)建材・住宅設備産業
(10)トラック運送業
(11)放送コンテンツ
(12)金属
(13)化学
(14)紙・加工品
(15)印刷
(16)アニメーション制作業
(17)食品製造業
(18)水産物・水産加工品
(19)養殖業
(20)造船業

自社の業種が20に当てはまらない場合も、近い業種のガイドラインを読んでおくことをお薦めします。

例えば、プレス、切削など金属加工の場合、
(2)自動車
(3)産業機械・航空機等
(5)情報通信機器

この3つを印刷して読んでおくことをお薦めします。
(情報通信機器は、受注や書面の交付、支払などがQ&A形式で具体的に書かれているので参考になります。)
 

参考例 自動車のガイドラインの場合

 
ガイドラインの内容の参考例として、自動車の一部を紹介します。

補給品の価格決め

 
自動車のような大量生産品の場合、現行モデルで使用する部品は毎月一定量が発注されますが、そのモデルが販売中止になると、その部品は補給品扱いになり、発注量が大幅に少なくなります。それでも依然と同じ価格で発注されれば単価が合いません。

これについてガイドラインでは

少量の補給品を以前と同じ価格で発注することは下請法の買いたたきに該当する恐れがある

と明記しています。

問題は、自動車の場合、部品の共通化が進み、今受注している部品が量産品なのか補給品なのかわかりづらいことです。あるいはある車種はモデルチェンジでその部品は使用しなくなったが、ある車種はまだ使用しているため、発注量が1/3になっても発注が定期的に行われることもあります。

そのような場合は、補給品・量産品と区別せずに発注量に応じて価格を設定するように顧客と交渉します。

また自動車メーカーによっては、量産終了時に一括買い上げなどの制度があるメーカーもあります。しかし二次以降の下請けに、そういった情報も入ってこないこともあるようです。その場合は取引先を通じてこういった情報を収集します。
 

型取引の適正化

 
◇金型の保管費用
金型費用を一括で支払わず、部品の価格に上乗せして支払う場合、金型は自社の資産です。自社の資産ですが、その部品の発注がなくなっても生産再開の可能性があるため、金型を保管しなければなりません。その場合、金型を無償で保管させることはガイドラインでは

下請法の不当な経済上の利益の提供要請に当たる恐れがある

と明記されています。

一方、保管費用を払ってもらっても金型は増える一方であれば、保管場所の確保や管理費用も増えていきます。本来、取引先が保管すれば、その後の使用可能性を考えて見切りをつけて廃棄するような金型も、保管費用を払っているからと保管を続けます。

そのような場合、今後も金型は増え続ける前提で、保管スペースの費用、管理費用を計算し、「今後も金型を保管し続ければこれだけかかりますがいいですか」と適切な費用を請求するのも一つの方法です。

◇金型図面の提出
金型を収める際に、保守のために必要だからと図面も要求される場合があります。図面を提出するかどうかは、顧客が設計費用を払ったかどうかが基準になります。

設計費用を払えば設計の成果物である図面は顧客の所有物です。

しかし設計費用を払わなければ、金型代は金型に対して支払われただけです。図面は自社の知的財産です。従って図面を要求された場合は、別途設計費用を請求します。

設計費用を払わないのに図面も要求する場合、

下請法のかいたたきに該当する恐れがある

とガイドラインに明記されています。

あるいはメンテナンスのために金型図面が必要だと顧客が言えば、メンテナンスに必要な個所だけ、寸法が入った図面を渡します。それ以外は詳細な寸法の入っていない外形図のみとするのも一つの方法です。もしそれでは不十分だと顧客が言えば、明らかに次回以降の金型を他社でつくらせる意図があります。
 

配送費用の負担

 
部品の配送費用が仕入先の負担になっている場合、配送費用が明確になっていないことがあります。しかし定期的な配送便に間に合わず営業担当者がライトバンで数個納品する場合、余分に配送費用がかかっています。

しかしその費用は仕入先の負担になってしまいます。

有償支給品の引取りが仕入先となっている場合、納品の帰りの便*に積めればよいのですが、別便で取りにいかなければならない場合、余分に費用が発生します。

まず自社の配送費用がどのくらい発生しているか明確にし、それは顧客から適切にもらえているか確認します。可能であれば見積には管理人は別に配送費用、梱包費用を入れて、運賃が上がった場合、見積に反映できるようにします。

本来は、顧客の都合で別便で納品した場合、追加の配送費用を請求すべきです。現実には難しいことも多く、その場合は見積の配送費をその分膨らませてカバーします。
 

原材料価格、エネルギーコスト、労務費等の価格転嫁

 
原材料価格の上昇は発注価格に反映される場合、反映されるタイミングが遅く、それまでの間利益が減少します。また原材料価格以外の費用、エネルギーコスト、副資材、労務費は価格に反映されていない場合も少なくありません。

このような費用が上昇しているにもかかわらず、一方的に従来の価格を要求することは

下請法の買いたたきに相当する恐れがある

とガイドラインに明記されています。

一方ガイドラインでは、妥当性のある要請であれば値上げを認めると回答した自動車メーカーもあります。原材料以外のエネルギーコスト、副資材、労務費の上昇による値上げも、まずは要請することで値上げできるかもしれません。

労務費の上昇(賃上げ)は、企業の自主的な判断によるものとされます。しかし最低賃金は引き上げされており、その分労務費は上昇します。これによる原価の上昇は不可抗力によるものとして交渉することも可能です。
 

取引条件の変更

 
品質改善による工程変更やコスト増があっても当初の価格を求められる場合があります。あるいは不良品が発生したため、取引先と協議した結果、工程や検査が追加になる場合があります。

特に不良の場合は、仕入先にも問題があるためその費用が請求できないことが多いようです。これは以下のように考えます。

不良の再発防止として検査や工程を追加した場合、元の工程が正しく製造できるになれば、追加した工程や検査はなくせる場合、どのような条件でなくせるのか、顧客と打合せして元の工程の品質を高めてできるだけ早く追加した工程や検査をなくします。

品質を高めるために追加した工程かせ不可欠な場合、その分原価が上昇したことを伝えて、単価に反映してもらうようにお願いします。

単価を上げてくれなくても、次回同様の製品の引き合いがあった時、その単価の根拠となります。もしその工程がその製品を製造するのに必要な工程であれば、それでも単価を据え置くことは

不当に低い価格を強制することになり

下請法に抵触します。
 

価格交渉ノウハウ・ハンドブック

 
下請法やガイドラインの内容を要約したものです。顧客と価格交渉を行う際の事前準備のための資料を意図して作成されました。

交渉は準備6割、本番4割とも言われ、本番前にどれだけ準備したかが成否を決めます。

交渉に関係する全員がハンドブックで学習し、どのような要求がガイドラインや下請法に違反するのか理解しておきます。さらにハンドブックが提示するポイントやテクニックを活用します。

以下、ハンドブックにある「こんな取引条件に要注意!」からいくつか紹介します。
 

合理的な説明のない価格低減要請

 
量産メーカーで行われる定期的なコストダウン要請、これについてハンドブックでは

「発注者が、自社の予算単価・価格のみを基準として、通常支払われる対価に比べて著しく低い取引価格を不当に定めることは、下請法や独占禁止法に違反する恐れがあります。」

と書かれています。

ハンドブックには事例として

「今年も5%の単価引き下げを頼むよ」

という会話があります。

定期的な5%の単価引き下げも、コストダウンできる根拠がなければ、単なる値下げとして、下請法違反の可能性があります。

また

「不況時や為替変動時に、協力依頼と称して大幅な価格低減が要求されていませんか」

として、こういった価格協力要請も望ましくない取引として挙げられています。
 

大量発注を前提とし単価設定

 
価格交渉の中で

「では、ロットをまとめて発注するので安くしてください」

と言われることがあります。ところがこの約束が実行されず、見積よりも少ないロットで発注されてしまいます。

これについてもハンドブックでは

「大量発注を前提とした見積に基づいて取引単価を設定したにもかかわらず、見積時よりも少ない数量を見積時の予定価格で発注することは、下請法や独占禁止法に違反する恐れがあります。」

と書かれています。

現実には納期が間に合わず分納で入れることもあります。しかし分納が常態化すれば上記の事例に該当します。
 

合理的な理由のない指値発注

 
新たな引合では、顧客の指値に対して見積を出すことがあります。この指値に対してハンドブックでは

「合理的な説明をせずに、通常支払われる対価に比べて著しく低い取引価格不当に定めることは下請法や独占禁止法に違反する恐れがあります」

と書かれています。

現実には、相見積なので指値より高ければ失注の可能性があります。

一方、品質・供給量の不十分な仕入先の見積を引合いに出して

「A社はいくらで見積が出ている」

と指値を迫られる場合もあります。

本当に自社が高ければA社に発注するのか、

見極めた上で、自社の適正価格を提示し、価格の根拠を示して交渉する方法もあります。

できればその際、指値でつくるには

「どこをどう変えればいいのか」

コストダウンを提案します。そうすれば顧客は

  1. 品質・供給量に問題のあるA社に指値で発注
  2. 品質・供給量は問題ない自社に指値より高く発注
  3. コストダウン提案を受入自社に指値で発注

この3つから選択することになります。

またハンドブックには書面に残すべき内容を提示しています。
 

取引条件に関するルールを書面化した例

 
国が価格転嫁に非協力的な企業名を公表するなど様々な取組を行っています。そのため取引先の担当者も仕入先の負担になるようなことは言いにくくなっています。

そこで取引先の要求は必ず書面化し、相手のサインをもらうことをお薦めします。

口頭では記録が残りませんが、文書にすれば国から指導があった時、担当者の責任になります。理不尽な要求をけん制する効果もあります。

ハンドブックに挙げられている書面化の一部を記載します。

  • 原材料価格が上昇した際の製品単価への反映
  • 一次的な単価引下げに対応する際に、その後元の取引価格に戻す際のルール・基準
  • 見積価格の前提となる発注数量を明確にし、発注数量が一定の水準以上変動した場合は、単価を再設定する旨
  • 発注者の都合による設計・仕様・納期などの変更が生じた場合、材料費・人件費などの追加費用を発注者が負担する旨
  • 製品の運送経費について、発着地・納入頻度(回数)などを明確に提示した上で、発注者が負担する輸送料率を記載

これらの記録は契約書の一部と考えます。

できる限り打合せ当日に記録し、相手のサインをもらっておきます。

(サインするなら、なかったことにしてくれということもあるかもしれません。)
 

社内での勉強会

 
国から提示されている内容は多岐にわたります。社員個人に学習を任せても進みません。

そこで主に顧客と交渉する社員が、講師になって社内で勉強会を開くことをお薦めします。今まで挙げた事例の中には自社に関係がない内容もあるかもしれません。

そこで内容を厳選して

「自社が顧客と交渉する際に最低限知っておくべき内容」

をまとめてテキストをつくります。これを使って社内で勉強会を開けば、関係する社員全員の交渉力がアップします。

もし違反事例があった場合、社内で共有して中小企業庁に報告できます。

取引は

本来は売り手と買い手が対等の立場で取引条件を話し合い合意して行う

ものです。現実には限られた顧客と取引している仕入先は、受注しなければ経営が成り立たたないという弱い立場にあります。

そこで国は法律の制定やガイドラインの作成を通じて、不利な立場になりやすい下請企業を支援しています。

こういった国の施策を活用して、公平な取引の実現を願っています。
 

経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

 
経営コラム【製造業の原価計算と見積】の記事は下記リンクを参照願います。

 
 

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【製造業の値上げ交渉】11. 社員がなかなか値上げ交渉を進めない

 
値上げ交渉の基本的な手順について【製造業の値上げ交渉】10. どのように値上げ交渉すればよいのか?具体的な交渉の手順で説明しました。

この手順を理解して、社員に値上げ交渉を指示しました。ところが中々進みません。なぜでしょうか?
 

誰が交渉を行うのか?

 
理由として、本音はやりたくないということがあります。

営業の仕事は「注文を取ってくる」ことです。ところが値上げをすれば、注文を取るどころか失注するかもしれません。

つまり値上げ交渉は、これまでの営業の仕事とは真逆の仕事なのです。
 

時代の変化に対応できないマインド

 
実は時代が変わり営業活動も変わっています。
 

かつての営業活動

 
製造業は右肩上がりが長く続いた時代がありました。その時代に重要なのは「受注を増やすこと」です。

受注が増えれば売上も増えて、固定費の比率が下がって利益が増えます。受注増加に伴い設備投資が必要な時もありますが、設備投資の回収は容易です。

当時の一番の問題は失注です。金額が少々低く利益が少なくても、失注しなければ売上は増えます。しかも営業は売上で評価されます。少々安く受注しても売上が大きければ評価は高くなります。

こういった環境で営業をしてきた人にとって、今の環境は正反対です。
 

今の営業活動

 
大幅な売上の増加は望めず、しかも費用は上がっています。利益は減少し、このままでは設備の更新も困難になります。

このような環境で優先すべきは売上よりも利益です。例え売上が大きくても利益がなければ会社が成り立ちません。

その一方受注が全くなければ固定費が回収できないため、赤字でも受注しなければなりません。つまり受注残高に応じてアクセルとブレーキを踏み分けなければなりません。

しかも様々な費用が上がっているため、以前の感覚で決めた価格では利益がありません。

ある会社では、ベテランの営業Aさんは、製造原価の10%を「販管費+利益」として見積もりしていました。しかしこの会社の販管費は製造原価の30%もありました。つまり見積の段階ですでに赤字だったのです。
 

値上げ交渉は経営者の仕事

 
このような意識の社員の場合、値上げ交渉は難しいです。値上げ交渉は「失注するかどうか」というギリギリの駆け引きが必要だからです。

「失注するかもしれないが、このまま値上げをしなければ会社が立ち行かなくなってしまう」

この判断は経営者でなければできません。

値上げ交渉のための資料作成や準備は社員に任せても、顧客の交渉は経営者が行います。利益が年々減少していれば値上げは最優先事項です。

まず経営者が覚悟を持って粘り強く顧客と交渉します。結果が出れば社員に引き継ぐことも可能です。
 

値下げ交渉はナンバー2以下

 
逆に顧客からの値下げ要求など顧客からの要望を受けて返事をしなければならない場合は、経営者でなく営業部長などナンバー2以下が行います。

そうすれば顧客から不利な条件を要求されて困った時、
「私の一存では決められないので、社に戻って社長と相談します」と回答を保留し、時間を稼ぐことができます。

しかし経営者は最終決定権者です。回答を保留できません。最終決定権者とナンバー2では、この違いがあります。

私の経験でも、価格交渉や不良品の損失補填などお金が絡む交渉では、必ず経営者に来てもらいました。経営者が来れば結論がその場で出るからです。特に中小企業は、経営者に来てもらわないと決まらないことも多かったです。

こうして値上げ資料を持って交渉に行くと、値上げの根拠を聞かれることがあります。これはどのようすればよいでしょうか?

これについては【製造業の値上げ交渉】12. 値上げの根拠とは?どこまで出せばよいのか?を参照願います。

経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

 
経営コラム【製造業の原価計算と見積】の記事は下記リンクを参照願います。

 
 

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【製造業の値上げ交渉】8. 検査が追加されると原価はいくら上がるのだろうか?

 
値上げが必要になった原因として、当初より原価が高くなっていることがあります。例えば「検査が追加された」、「当初の見積にない工程が追加された」などです。
 

検査が追加された場合

 
例えば、見積した時点では検査費用は入っていなかったのですが、生産が始まると顧客から「傷があるものは入れないでほしい」と言われ、全数目視検査を追加しました。

この場合、検査費用の分、原価は上がっています。
 

検査費用の計算

 
この検査費用は、抜取検査と全数検査で金額が大きく違います。

そこで架空のA社 A1製品に抜取検査と全数検査を追加した場合の原価を計算します。

(A社の詳細は【製造業の値上げ交渉】1. 原価はどうやって計算すればいいのだろうか?を参照願います。)

A1製品

  • 製造工程 : NC旋盤
  • 製造時間 : 0.075時間
  • 製造費用346円
  • ロット : 100個
  • 材料費 : 330円
  • 外注費 : 50円
  • 販管費レート : 0.25

検査なしの場合
製造原価=材料費+外注費+製造費用
    =330+50+346=726円

販管費=製造原価×販管費レート
   =726×0.25=182円
販管費込み原価=製造原価+販管費
   =726+182=908円

受注金額が1,000円の場合、利益は
利益=受注金額-販管費込み原価
  =1,000-908=92円

図1 全数検査追加


顧客の要求で全数検査を追加しました。これを図1に示します。

検査時間 : 3分(0.05時間)

検査は人が行い設備は使用しないため、アワーレートはアワーレート間(人)のみです。
(アワーレート間(人)は間接製造費用を含んだ人のアワーレートという意味です。詳細は【製造業の値上交渉】2. アワーレートはどうやって計算すればいいのだろうか?を参照願います。)

検査の現場はパート社員もいるため、アワーレート間(人)は他の現場より低く、2,350円/時間でした。
 

全数検査

 
検査費用=アワーレート間(人)×検査時間
    =2,350×0.05=118円

製造原価=材料費+外注費+製造費用+検査費用
    =330+50+346+118=844円

製造原価が増加したため、販管費も比例して増加します。

販管費=製造原価×販管費レート
   =844×0.25=211円

販管費込み原価=製造原価+販管費
       =844+211=1,055円

利益=受注金額-製造原価
  =1,000-1,055=▲55円

全数検査を追加したため販管費込み原価は908円から1,055円と147円増えました。

その結果、98円の利益が55円の赤字になりました。そこで増加した147円の値上げを交渉します。

ただしこの147円のうち118円は検査費用ですが、29円は販管費の増加です。この販管費の増加分の値上げは顧客に認めてもらうのは難しいかもしれません。

その場合は、検査費用の増加分118円の値上げは認めてもらうようにします。
 

抜取検査の場合

 
抜取検査では費用の増加は少なくなります。

例えば、A社 A1製品の検査を抜取検査に変更しました。

抜取検査の条件 100個から5個抜取り

(本来はJISの抜取検査に従って抜取り数は決めます。ただし現場では上記のように適当に抜取り数を決める場合もあります。)

製品1個当たりの検査費用は6円でした。

製造原価=材料費+外注費+製造費用+検査費用
    =330+50+346+6=732円

製造原価が増加したため、販管費も比例して増加します。

販管費=製造原価×販管費レート
   =732×0.25=183円

販管費込み原価=製造原価+販管費
       =732+183=915円

抜取検査を追加したため販管費込み原価は908円から915円と7円増えました。

その結果、92円の利益は85円に減少しました。

図2 抜取検査追加


 

検査を減らすように交渉

 
原因は製造工程で発生した傷のために全数検査を追加したので、価格を118円も上げてもらうのは容易ではありません。

そこで、検査で傷のある製品を除外するのでなく、製造工程を改良してできる限り傷がつかないようにし、全数検査から抜取検査に変えてもらいます。抜取検査であれば値上げしなくても利益は確保できます。

抜取検査は万全ではありません。しかしその傷は118円のコストをかけて完全に除外しなければならない傷でしょうか?

それでも顧客は全数検査を要求することがあります。
 

検査にコストはかからないと思っている

 
それは検査にコストはかからないと思っているからです。顧客自身も自社の工場で検査費用を原価に入れていないこともあります。そうなると議論はかみ合いません。

本コラムで計算する原価は、決算書の数字を元に計算した「真実」です。

3分検査すれば118円の費用が発生します。

その一方、品質を高め良いものをつくるために、「やったほうが良いこと」は検査の他にもあります。顧客は時にはそれを要求します。しかしその費用はつくる側が一方的に負担させられます。

そこで顧客が要求することを行えば原価がいくら上がるのかを金額を示して、「これだけコストが上がりますがそれでもやりますか」と交渉します。

やったほうがよいが、コストをかけるまでもないことも案外多いのです。しかし金額を明示しなければ、いつの間にか「やること」になってしまいます。

具体的な金額を示したのに「値段を上げずにやってほしい」と言われれば、これは国が示したガイドラインに抵触します。
 

少なくとも検査費用を社内見積には入れる

 
一方、社内も検査にコストはかからないと思っていることがあります。

それでは顧客から全数検査を要求されても問題だと思いません。

しかし検査を行えば費用は発生します。そこで、まず社内の原価計算に検査費用を入れます。そして見積にも検査費用を入れます。

そうすれば「検査も原価」という意識が生まれます。原価がかかっていれば、現場は短時間に検査をするように努力します。

検査は慌てるとミスが起きるため、カイゼンの対象外になっている工場もあります。しかし検査も原価です。しかも検査は人が行うのでアワーレート(人)が高く、原価の中で大きな割合を占める製品もあります。
 

顧客と建設的な議論を

 
見積に検査費用を明記すれば、顧客もつくる側も検査費用を意識します。その上で「どうすれば検査費用を少なくできるか」お互い建設的な議論ができれば望ましいです。

検査以外にも運賃や梱包費用の上昇でどれだけ金額は変わるのでしょうか?

これについては【製造業の値上げ交渉】9. 運賃や梱包資材が値上がりすれば原価はいくら上がるのだろうか?を参照願います。

経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

 
経営コラム【製造業の原価計算と見積】の記事は下記リンクを参照願います。

 
 

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【製造業の値上げ交渉】10. どのように値上げ交渉すればよいのか?具体的な交渉の手順

 
近年はいろいろな費用が高くなっています。

これによりどのくらい原価が上昇するのか人件費、電気代など工場の経費の上昇で原価がどれだけ上がるのかについて、

【製造業の値上げ交渉】4. 人件費の上昇で原価はどれだけ変わるのか?

【製造業の値上げ交渉】5. 電気代の上昇で原価はどれだけ変わるのか?

【製造業の値上げ交渉】8. 検査が追加されると原価はいくら上がるのだろうか?

【製造業の値上げ交渉】9. 運賃や梱包資材が値上がりすれば原価はいくら上がるのだろうか?

で説明しました。

必要な値上げ金額が分かれば値上げ交渉しなければなりません。

しかし中には「これまでコストダウンの話ばかりで、値上げの話はしたことがない」といった方もいます。

デフレが続いた日本は、製品の価格を上げられないため、「いかにしてコストを下げるか」一辺倒でした。

値上げは考えられないという時代が長く続きました。

では、値上げ交渉はどのようにすればいいのでしょうか。
 

値上げ交渉の手順

 
一般的な値上げ交渉の進め方を以下に示します。

  1. 事前準備① 国が発行する資料の理解
  2. 事前準備② 現状把握
  3. 方針決定 交渉する製品、値上げ金額、妥協点を決定
  4. 事前連絡 顧客に値上げが必要なことを伝える
  5. 値上げ資料作成 製品毎の値上げ金額、その明細、根拠の詳しい資料の作成
  6. 交渉準備 説明の練習、顧客からの要求に対する反論の準備
  7. 交渉
  8. 交渉後のフォロー

図1 値上げ交渉の進め方

これは一般的な進め方の例です。顧客との関係によって交渉の進め方は変わるので注意してください。
 

1.事前準備①

 
まず値上げ交渉に必要な知識をインプットします。

国が提供する以下の資料を読んで、交渉の基本や発注先が守るべき内容を理解します。
① 価格交渉ハンドブック
② 下請適正取引等推進のためのガイドライン (19のガイドラインのうち、自社に関係するもの)
③ 下請代金支払遅延防止法(下請法)

この国の支援策の詳細は【製造業の値上げ交渉】19. 国の支援策とその活用方法を参照願います。

国は中小企業の価格転嫁(値上げ)に対し様々な支援をしています。

中小企業庁は発注先企業の価格転嫁の状況を調べ、価格転嫁に消極的な企業は実名を公表しています。もし下請法に抵触すれば、公正取引委員会がその会社に調査に入ることもあります。

もし値上げ交渉の中でガイドラインや下請法に抵触するようなことがあれば、中小企業庁や公正取引委員会に報告することをお薦めします。

こうした行動の積み重ねが、発注先企業の姿勢を変え、公正かつ適正な取引が広まることにつながります。
 

2.事前準備②

 
値上げ交渉の前に、どの製品をどれくらい値上げしなければならないか調べます。そのためには製品の適正価格を知る必要があります。

これは製造原価、販管費をカバーし、必要な利益が得られる金額です。この適正価格で受注できれば、毎期の利益が確保でき、借入金の返済や設備投資ができます。

図2に架空の企業A社A1製品の製造原価と販管費、目標利益を示します。

図2 A1製品の製造原価と販管費、目標利益

そこで主要な製品だけで良いので、受注価格と利益(赤字額)を調べます。それぞれの製品の年間受注量から、製品毎の年間売上と年間利益を計算します。

調べると思っていたより違っていることがあります。例えば「大きな売上を占めていた大手企業からの受注は赤字だった。意外と売上の低い中小企業の受注は利益が大きかった」。

図3にA社のA1製品とA2製品の製造原価、販管費と受注金額、年間受注量を示します。

図3 製造原価、販管費と受注金額、年間受注量


 

3.方針決定

 
どの製品をどれくらい値上げするのか、値上げの方針を立てます。

例えば、
1. 初めて値上げ交渉する場合、失敗しても経営に影響の少ない売上の低い製品から行う。

2. 赤字が累積し早急な改善が必要な場合、年間での赤字合計の大きな製品から取り組む。

次に値上げ金額を決めます。値上げの目標は必要な利益が出る金額です。

しかし必要な利益の出る金額が現在の受注金額から大きく乖離している場合、無理にその金額を要求すれば失注する可能性があります。

その場合は、必要な利益が出る金額を適正価格として顧客に示し、「そこまでの値上げはお願いできないので、今回はここまで上げさせてください」とします。

できれば値上げ交渉を行う製品をリストアップして、値上げがうまくいけば年間の利益がどれだけ改善されるかシミュレーションします。そうすればどれだけ頑張れば、会社の業績がどのように変わるのかが見えてきます。
 

4.事前連絡

 
ある日突然、値上げした見積を持って来て「値上げをお願いします」と言われれば顧客もびっくりします。

そこで事前に顧客に

  • ○○が上がって、どうにも採算が合わない
  • 現状の価格を維持するためにいろいろと努力したがどうにもならない
  • こうなれば値上げをお願いせざるを得ない
  • 対象製品と値上げ金額を精査しているので、〇日頃には資料を持参する

と伝えます。

顧客もこの話を受けて、上司に報告したり、課内で値上げ情報を共有します。値上げが仕入先から出れば、顧客も原価が上がります。それに応じて顧客も値上げや納入先との価格交渉を考えなければなりません。
 

5.値上げ資料作成

 
顧客に提出する値上げ資料を作成します。どのくらい詳細な資料が必要かは顧客によります。最近は、何が原因で何パーセント原価が上昇したのか詳細な資料を求められることもあります。

それは顧客(担当者)はその資料を精査し、値上げ金額が適正かどうかを上司や関係部署に説明しなければならないからです。

重要なのは、値上げ資料は適切な原価が計算され、値上げの根拠も明確になっていることです。そして顧客に「この金額が適正だ」と思ってもらうことです。値上げ資料はできるだけ分かりやすく具体的な数値で説明します。

この値上げ資料の作成は【製造業の値上げ交渉】6. 値上げ金額の明細はどうすればいいのか?を参照願います。

図4 値上げ資料の例


おそらくこういった状況では他の仕入先も値上げを要請しているかもしれません。

その結果、顧客は多くの値上げ案件を精査しなければなりません。そのため値上げ資料は顧客の担当者が容易に理解ができて、そのまま上司や他部署に回すことができるものにします。

上司や他部署(例えば原価管理部門)が見て不明な点があれば、担当者に聞きます。担当者が分からなければ、仕入先に聞かなければなりません。

こういったやり取りが複数の仕入先で発生すれば、顧客これに忙殺されます。結果、こういった案件は後回しになってしまいます。
 

6.交渉準備

 
交渉本番の前に、値上げ資料をどのように顧客に説明し値上げを納得してもらうのかプランを立てます。さらに顧客からどのような反論や要求が出るか想定し、それに対する回答を考えておきます。

できれば社内で誰かに顧客役になってもらい、実際の交渉のロールプレイ(リハーサル)を行います。

顧客は日々多くの仕入先と交渉を行っています。交渉の専門家から研修を受けている場合もあります。そういった相手と交渉するのですから、こちらが交渉に不慣れな場合、最初から交渉力に差があります。

それを少しでも埋めるためにロールプレイは有効です。

また顧客の事情によって価格が上げられない製品もあります。その場合、代案としてコストダウン方法があれば用意します。

他にも顧客が本当に転注するかどうか事前の情報収集も重要です。

例えばもっと規模の小さい〇社が低い価格で受注することもあります。値上げをお願いすると「値上げするなら〇社に転注する」と言われます。

実際は規模の小さな〇社は、品質管理、納期対応や安定供給に問題があるかもしれません。しかしそのようなことは顧客は言いません。

交渉を有利にするには、競合も含めた情報を事前に収集しておきます。今では企業の住所は簡単にわかります。競合の〇社を外から見るだけでもいろいろなことが分かります。

また交渉結果を予測し妥結点を考えておくことも重要です。具体的には
(1) 100%認められた

  • 値上げ金額は適正価格 大成功
  • 値上げ金額は適正価格より低い 次回値上げの予告
    (2) 認められたが100%でない 

  • 妥結する
  • 交渉を継続する
  • 断る
    (3) 全く認められなかった

  • 妥結する
  • 交渉を継続する
  • 断る

     
顧客の対応により、どうするのか予め方針を決めておけば、交渉をスムーズに行うことができます。これは製品によって変わったりします。


図5 A1製品の値上げ交渉の妥結点


 

7.交渉

 
以上の準備を行い交渉本番に臨みます。

交渉では、相手の立場を尊重した上で「適正価格」を主張して、値上げに理解を求めます。

最後に「○○までに回答をいただけないでしょうか」と期限を切ります。

期限を切っておけば期限を過ぎて回答がなければ催促できます。もしそれでも回答を引き延ばすようであれば、これは国が定めたガイドラインに抵触しています。
 

8.交渉後のフォロー

 
値上げを認めてもらえた場合も再度訪問してお礼を言います。

値上げが認められず受注を断る場合も、再度訪問し、

  • 顧客の希望価格とどれだけ乖離があったのか、
  • どこに会社に転注したのか、
  • そこは価格や品質に問題はないのか、

といった情報を収集します。

その上で「今後は顧客の希望価格に沿えるようにコストダウンに努力すること」を伝え、関係が悪化しないようにします。
 

適正価格で受注できる顧客かどうか

 

顧客の目的は目標価格での部品・資材の調達です。

現実には様々なものの値段が上がっているので、目標価格の調達は難しくなっているかもしれません。本来は、目標コストを実現するためには図面や仕様から見直して、より低コストでつくれるようにしなければなりません。

しかし顧客が図面や仕様を変えずに目標価格の調達に固執すれば、その価格は自社の適正価格から乖離します。その価格を受け入れれば経営が立ち行かなくなります。

価格交渉の結果、適正価格での受注が困難な場合、

  • 間接費、販管費の削減など自社の費用構造を変えて顧客の希望価格で受注できるようにする
  • 今の顧客との取引を減らして、自社の適正価格で受注できる他の顧客を開拓する

 

交渉の注意点

利益が出ないため困っているため値上げ交渉を行うわけです。ですから経営者が顧客と交渉に行くときは、会社のライトバンがお勧めです。顧客は意外なところを見ていることがあるからです。
 

このように値上げ交渉の手順を理解して、社員(幹部)に値上げ交渉を指示しました。ところがなかなか進みません。なぜでしょうか?

これについては【製造業の値上げ交渉】11. 社員がなかなか値上げ交渉を進めないを参照願います。

経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

 
経営コラム【製造業の原価計算と見積】の記事は下記リンクを参照願います。

 
 

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【製造業の値上げ交渉】15. 値上げ金額が高すぎると言われた。いくら上げるのが適切だろうか?

 
原価を見直したら大幅な赤字になっていました。そこで値上げ交渉を行いました。

顧客から「値上げは検討するが、この金額は高すぎる」と言われてしまいました。

どうすればいいでしょうか。
 

これまで値上げできなかったことが原因

 
こうなった原因は、これまで様々な費用が少しずつ上がっていたが、それが価格に反映できなかったためです。

その結果、「自社の現在の見積金額」と「製品の受注金額」と乖離が大きくなってしまいました。しかもこれまで「コストダウンはあっても値上げはあり得ない」という顧客の姿勢のため値上げができませんでした。そのため費用が上昇して同じ価格で受注した会社もあります。

その結果、値上げ金額が大きくなってしまいました。

例えば、架空の企業A社 A1製品は

受注金額が860円ですが、

販管費込み原価が908円のため、

48円の赤字でした。

(A社の詳細は【製造業の値上げ交渉】1. 原価はどうやって計算すればいいのだろうか?を参照願います。)

目標利益を得るには

価格を988円、

128円の値上げが必要でした。

これを図1に示します。

図1 A社 A1製品の値上げ金額

A1製品は、〇年前の見積は860円でした。

販管費込み原価は800円で

60円の利益でした。

しかしその後、材料費、外注費、人件費、工場の経費が上昇し、

現在の販管費込み原価は908円、

860円の受注金額では

48円の赤字でした。
 

適切な値上げ金額とは?

 
一方、値上げは顧客の立場も考えなければなりません。顧客は、仕入部品の価格が上昇すれば、それを製品の価格に転嫁しなければならないからです。

顧客が自社製品を販売するメーカーの場合、値上げすれば競合との競争に負けて市場シェアを失うかもしれません。

顧客も製品をメーカーに納める下請けだった場合、仕入部品が値上げした分、今度は顧客が値上げ交渉しなければなりません。これはとても大変なことです。

経済産業省の「自動車産業適正取引ガイドライン」には、ティア1など下請け部品メーカー(といっても大企業)が顧客の自動車メーカーに対し、「仕入価格の上昇を価格転嫁ができない」、「値上げすると次のサプライヤー選定に影響すると言われた」という事例が載っています。

こういった背景があるため、顧客が大幅な値上げを受け入れるのは難しいことが分かります。
 


《私の経験》
私の経験でも仕入部品の値上げはある程度は許容しましたが、大幅に上がれば他の仕入先を探しました。大幅な値上げは製品の原価を大きく上げるからです。

その場合、まず今の仕入先に対し「以前と同じ価格でつくるためにはどうしたらよいか」を協議しました。それがうまくいかなければ他の仕入先を探しました。それでも値段が高くなるような場合は、以前の価格でできないか設計変更を検討しました。

しかし設計変更は品質リスクを伴います。仕入先を変えて同じ価格でできるのであれば、そうしたかったです。

シェアを失うリスク

 
大幅に値上げすれば、失注するリスクがあります。また大幅な値上げは顧客との関係が悪化し、その後の取引にも影響します。

ではどうしたらよいでしょうか。
 

適正価格を示して交渉

 
このような場合、値上げは顧客が受け入れられる(と思われる)金額にとどめておく必要があります。

ただし、それでも本当に必要な金額は顧客に提示します。

そして「原価はこれだけかかっているため、本当はここまで値上げしたい。しかし大幅な値上げは難しいことは理解しているので、これだけは上げてほしい」と交渉します。

例えばA社の例では、

A1製品をいきなり128円値上げするのが困難であれば、顧客に

「適正価格は988円ですが、いきなりその価格にするのは難しいでしょうから、せめて80円値上げして940円にしてもらえませんか?」

と交渉します。

940円であれば、

赤字は解消し32円の利益になります。

目標利益ではありませんが、赤字で受注するよりはましです。

(実際の金額は自社と顧客との関係で変わります。この数字はあくまで参考値です。)
 

コストダウン提案も入れる

 
できれば「できる限り値上げ金額を低くするようにコストダウンのアイデアを考えるから図面や仕様の見直しに協力してほしい」、論点をコストダウン協議に変えます。

それには日頃から図面指示や形状に注意して、コストダウンできる箇所を探します。

例えばA1製品では、コストダウンを検討した結果、「公差を緩和し、検査基準を変える」ことで、製造時間を短くできることが分かりました。その結果

  • 人件費 : マイナス20円
  • 製造経費 : マイナス3円

が見込まれました。

これにより値上げを60円、

値上げ後の金額920円に抑えても

40円の利益が出ます。

これを図2に示します。

図2 コストダウン提案も入れた場合


 

他社がやらない製品

 
一方、何らかの理由があって他社がやらない製品であれば、顧客も値上げを受け入れざるを得なくなります。その場合は、顧客が受け入れる値上げ金額はもう少し高くなります。

ただし値上げ金額があまり高いと、顧客は他にできるところを探し始めますので、さじ加減は必要です。

ただし他社がやらないものなのかどうかは、日頃から情報を集めていないとわかりません。

「なぜこれは当社に発注するのですか?」

「この図面の○○はとても難しいのですが、他にやるところはないのですか?」

顧客の担当者と日々の会話の中で、他に競合はあるのか、競合があれば、価格や品質面ではどうか、などをさりげなく質問して情報を収集します。
 

失注しても影響の少ない製品

 
あるいは受注が潤沢にあり、例えこの製品を失注しても業績への影響が小さければ、値上げ幅を大きくすることもできます。

値上げ交渉は失注のリスクがゼロではありません。受注が少なく、ひとつ失注しても業績に大きく影響すれば、値上げ交渉は消極的になります。

営業活動がどれだけ成果を上げていて、受注がどれだけあるかが、値上げ交渉に影響します。
 

一方ずっと前に受注して、同じ価格でつくり続けている製品もあります。例えば15年前に受注して、受注価格は15年間変わっていない製品です。

これはどうすればよいでしょうか?

これについては【製造業の値上げ交渉】16. 15年間金額の変わらない製品、赤字がひどいがどうすればよいだろうか?を参照願います。
 
経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

 
経営コラム【製造業の原価計算と見積】の記事は下記リンクを参照願います。

 
 

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経営コラム ものづくりの未来と経営

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【製造業の値上げ交渉】16. 15年間金額の変わらない製品、赤字がひどいがどうすればよいだろうか?

 
値上げ交渉を行ったところ、「値上げは検討するが、この金額は高すぎる」と言われてしまいました。

「いくら値上げすればいいのか?」

これについては【製造業の値上げ交渉】15. 値上げ金額が高すぎると言われた。いくら上げるのが適切だろうか?で述べました。

よく似た話に、15年以上前から同じ価格で受注している製品があります。15年の間に様々な費用が上がっていることを考えれば大きな赤字です。

できればやめたいのですが、どうすればいいでしょうか。
 

これまで値上げできなかったことが原因

 
15年の間に様々な費用が上がっているため、本来は定期的に原価を計算しなおして値上げをしなければなりませんでした。

しかしこれまで「コストダウンはあっても値上げはあり得ない」という顧客の姿勢のため値上げができませんでした。

その結果、現在の自社が求める金額と受注価格が大きく乖離してしまいました。

例えば、架空の企業A社 A1製品は15年前に760円で受注し、今でも生産しています。

図1 A1製品の15年前と現在の原価の比較

この15年の間に材料費、外注費、人件費、工場の経費が増えています。その結果、A1製品の原価は

  • 材料費 : 265円 → 330円
  • 外注費- : 35円 → 50円
  • 人件費 : 160円 → 224円
  • 製造経費 : 85円 → 122円

さらに販管費も増加し、販管費込み原価は

690円が908円まで増加しました。

これは比較すれば大きく増えていますが、

例えば材料費の値上げ65円は

1年間では平均4.3円という金額です。

しかしこの4.3円毎年値上げできなかったため15年間で大きな差になりました。

現在は受注金額760円では

148円の赤字です。

現在の製造原価は726円なので、製造原価はカバーしていますが、販管費分はもらえていません。

もし全体の受注が少なく工場の稼働が低ければ、この製品は赤字でも続けるべきです。しかし販管費も必要な経費なので、こういった製品ばかりだと売上が経費をカバーできず年間でも赤字になります。
 

ロットが減少すれば、さらに条件が悪化

 
また受注した時は、A1製品は顧客の主力商品であり、1回の受注ロットは100でした。

しかし15年間の間に他の新商品が出て、A1製品を使用する商品の売れ行きは低下しました。現在の受注ロットは20です。

これを図2に示します。

図2 15年前と比べロットが減少した場合

販管費込み原価は1,022円に増加し、

必要な値上げ金額は351円と

さらに増加しました。

製造原価は818円、

760円の受注金額では製造原価ももらえません。できればやめたい案件です。

これは段取費用も計算し原価に入れているから分かりました。もし段取費用を原価に入れていなければ、ロットが減少して原価が高くなったことが分かりません。

この場合、どのように交渉すればよいでしょうか。
 

今の見積金額を適正価格として提示

 
この場合、以下のような流れで交渉すれば、顧客から反感を持たれることなく交渉できます。

最初に

「自社の適正価格(今の見積金額)と受注価格に乖離があり、大きな赤字になっていること」

を報告します。そして現在の適正価格の内訳の資料を提出します。

原因として

「本来は定期的な値上げ交渉が必要だったのに、それができなかった」

と説明します。

その上で

「この金額では赤字が継続するので値段を上げてほしい」

とお願いします。

急に上げるのは無理だという場合は

「段階的に値段を上げてもらえないか」

とお願いします。

急に大幅な値上げは顧客も受け入れがたいと思います。それでも適正価格を提示して、少なくとも「製造原価+販管費」はもらいたいところです。
 

値上げを拒否された場合

 

値上げを拒否された場合、15年前の製品であれば

「この金額では経営が成り立たないので、他にやってくれるところがあれば、そこにお願いしてもらえないか」

と強気に出ることもできます。15年前の製品は、転注が容易でないからです。

例えば

  • 仕様や製品のポイントを知っている担当者がいない
  • 図面や仕様にないカンコツがある
  • すでに主力製品でなければ、それを安く調達するのにそこまでマンパワーをかけられない
  • 転注は想定外の失敗が起きる恐れがある

こういったことがあるからです。

「赤字なのでやめたい」

というと、担当者も困るので感情的になる場合もあるようですが、

「このままでは事業の継続が困難になる」

とこちらの立場も説明し理解を求めます。
 

このように値上げ交渉では「転注」がポイントになります。

また「値上げするなら転注する」と顧客が言うこともあります。本当に転注できるのでしょうか?

この転注については【【製造業の値上げ交渉】17. 転注すると言われたが本当だろうか?で説明します。
 
経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

 
経営コラム【製造業の原価計算と見積】の記事は下記リンクを参照願います。

 
 

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【製造業の値上交渉】17. 転注すると言われたが本当だろうか?

 
値上げ交渉を行うと顧客は「値上げするなら他に出すよ」と言います。

本当に転注するでしょうか?

実は転注が容易な製品とそうでない製品があるのです。
 

転注が容易な製品とそうでない製品の違い

 
転注が容易な製品とそうでない製品の違いは何でしょうか。
 

転注が容易な製品

 

  • 図面や仕様書があればどこでもつくれる(図面に書いてないカン・コツは必要ない)
  • 他にも品質や供給能力に問題ない取引先がある
  • 仕入先が変わっても評価や検証が不要に部品

 

転注の落とし穴

 
図面や仕様書にないカン・コツは、顧客も知らないことがあります。

図面や仕様書通りにつくっても不良が出る場合、現場はいろいろと工夫します。工程を増やしたり専用の治具をつくったりすることもあります。しかしそれを顧客に報告しません。


《私の経験》
寸法公差が厳しい部品があり、表面処理(アルマイト)もありました。そのため表面処理の膜厚のばらつきで公差内に入らないものもありました。その仕入先はアルマイト後、表面をわずかに研削して寸法公差に入れていました。設計の私がそれを知ったのは随分後でした。当然ですが図面に研削指示はありません。

現場が独自に工夫していることは意外とあります。中には仕入先の管理者も知らないこともあります。

こういった製品を転注すれば現場行っていたカン・コツが転注先には伝わらず不良が出ます。
 

転注が容易でない製品

 
このようなことから転注が容易でない製品の例を以下に挙げます。

  • 図面や仕様書以外にカン・コツが必要な製品
  • 品質や供給能力に問題のない取引先がない
  • 仕入先が変われば評価や検証が必要
  • 過去に不良やトラブルが起きた

 

過去に不良やトラブルが起きた製品の転注のリスク

 
不良やトラブルが起きれば顧客は仕入先と協力して原因の究明と再発防止策を行います。仕入先は再発防止策を徹底し、不良が二度と起きないように注意します。

これを転注すれば、転注先は不良の経験がありません。そのため、再発防止策の重要性が理解できず再発防止策が徹底されないことがあります。その結果、以前と同じ不良が起きます。
 

供給能力の問題

 
価格や品質以外にも供給能力が問題になる場合もあります。転注先に十分な供給能力がなければ、納期遅れや欠品が起きます。最悪の場合、現場が止まります。

また生産能力が不足し納期に追われてつくると、ミスを起こします。そして不良品が納入される可能性があります。

価格が高いため転注するのは購買の判断です。

その結果、品質問題や供給不足が起きれば購買の責任です。もし生産ラインが止まったり、不良品が市場に流出すれば購買は強く非難されます。

他にも仕入先が変わると検証や申請が必要なことがあります。
 

転注の結果、評価・検証が必要なことも

 
仕入先が変われば品質が変わる可能性があります。これにより不良品が発生するかもしれません。

これを未然に防ぐために変化点管理を行う顧客もあります。
 

4M変更管理

 
変化点管理で良く行われるのは、4M変更管理です。4Mとは以下の4つです。

  • Man (作業者)
  • Machine (設備)
  • Material (材料)
  • Method (製造方法)

頭文字の4つのMから「4M変更管理」と呼ばれます。他にも4Mに製品(Product)を加えて、4M+Pを管理することもあります。

また変化するタイミングとして、初めて(Hajimete)、変更(Henkou)、久しぶり(Hisashiburi)の3つがあります。これは3つの頭文字をとって、3H管理と呼ばれています。

この4M+Pと3Hを組み合わせたものを、表1に示します。

表1 変化点管理の例

変化項目 変化のタイミング
初めて 変更 久しぶり
Man(人) 新人 配置転換 職場復帰
Machine
(設備)
新規の設備・
金型・治具
修理・仕様変更 長期間使用していない
設備
Material
(材料)
新規の材料 材料・メーカー変更 長期間発注がない材料、長期保管した材料
Method
(方法)
初めての製造・検査・管理の方法 製造・検査・管理の方法の変更 長期間実施していない
方法
Product
(製品)
新製品 設計変更 長期間製造していない
製品

このような変化点では、問題を未然に防ぐために以下の取組を行います。

  • いつもより入念な検査
  • 一時的に抜取から全数検査へ切替
  • 製造工程の入念な確認

つまり転注すれば、こういったコストが顧客の現場で発生します。

製品酔っては、こうした確認だけでなく、評価・検証をやり直すこともあります。
 

評価・検証まで行う場合

 
新製品の開発では、開発の各段階で、機能・性能・安全性・耐久性・品質に問題がないか評価します。

例えば自動車の場合、製品企画から試作、量産試作、量産に至るまでいくつもの段階で評価や検証を行います。

評価・検証した結果は、社内で審査されます。審査の結果、合格しなければ次の開発段階に進むことができません。これは設計審査(DR : Design Review)と呼ばれます。

図1に開発の各段階とDRの例を示します。

図1 開発の各段階とDRの例

図1の場合、DR4が合格し量産を開始しても、品質や性能に重大な影響がある部品が変更されれば、再び評価・検証を行います。時には再びDRを行うこともあります。

自動車の場合、機能や安全性に重大な影響がある部品は重要管理部品に指定します。重要管理部品で設計変更や仕入先の変更があれば、再び評価・検証をします。時には実機でのテストや耐久試験を行う場合もあります。こういった評価・検証やDRもコストがかかります。
 

転注の可能性を見極めて交渉

 
従ってこういった情報を集めれば、今交渉している製品が転注が容易な製品なのか、容易でない製品なのか、見極められるかもしれません。

転注が容易でない製品であれば、顧客の「値上げするなら転注する」という言葉の実現性は低いでしょう。
 

転注先の管理体制は十分か?

 
また、例え低い金額でつくる仕入先があっても、その仕入先の管理体制が不十分であれば、転注は高いリスクがあります。

例えば

  • 手順書が整備されてなく工程管理が不十分
  • 十分な計測機器がなく品質管理が不十分
  • 進捗管理の担当者も不足し納期管理が不十分

このような仕入先に転注すればどうなるか、購買経験の長い人はわかっています。

なお転注する気がないのに転注をほのめかして値上げさせないのは、国のガイドラインに問題事例として挙げられています。
 

では顧客の担当者が値上げ交渉に応じない場合はどうすればよいでしょうか。

これについては【製造業の値上げ交渉】18. 担当者が値上げに応じてくれない時を参照願います。
 
経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

 
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【製造業の値上げ交渉】18. 担当者が値上げに応じてくれない時

 
【製造業の値上げ交渉】6. 値上げ金額の明細はどうすればいいのか?で示した方法で値上げ資料を作為し、顧客に値上げ交渉をお願いしました。ところが

「話をしても取り合ってくれない、話題をそらされてしまう」

「値上げ資料を持って行こうとすると会ってくれない」

このような場合があります。これにはふたつ理由が考えられます。

  • 会社の方針として仕入先からの値上げを断るようにしている
  • 担当者個人が値上げ交渉を避けている

これはどういうことでしょうか?
 

値上げを受け入れれば、自分たちが値上げ交渉しなければならない

 
例えば、図1のような階層構造のサプライチェーンになっている場合です。

図1 サプライチェーンの値上げ

例えば、自社が図1の二次下請の場合、原材料や光熱費の値上げは断ることはできません。値上げを断れば原材料を売ってくれず、交渉の余地はありません。

そこで顧客の一次下請に値上げをお願いします。
 

顧客は値上げを受入

 
この場合、顧客は仕入先からの値上げを受け入れれば、自社の納入先(メーカー)に値上げ交渉をしなければなりません。これはかなり厳しい交渉になります。

経済産業省の「自動車産業適正取引ガイドライン」には、ティア1など下請け部品メーカー(といっても大企業)が顧客の自動車メーカーに対し、「仕入価格の上昇を価格転嫁ができない」、「値上げすると次のサプライヤー選定に影響すると言われた」という事例が載っています。

こういった背景が顧客が仕入先からの値上げを拒否する要因です。
 

顧客(一次下請けメーカー)は値上げを拒否

 
仕入先の値上げを拒否すれば、原価の上昇は限定的です。顧客(メーカー)と値上げ交渉をしなくて済むかもしれません。

このような構造があるため顧客はできるだけ仕入先からの値上げ交渉を避けようとするかもしれません。顧客がこのような対応を組織的に行っていれば、交渉でこれを変えるのは困難です。

この場合は、中小企業庁(下請かけこみ寺)や公正取引委員会にこういった事例を報告します。これを躊躇される方もいますが、発注側と受注側には力関係に差があります。そのために国もいろいろと動いてくれるので、これを活用します。
 

担当者個人の問題の場合

 
あるいは企業としては値上げ交渉を受け入れる体制なのですが、担当者が動いてくれない場合があります。

原因は

  • 購買は値下交渉をする部署で、値上げは担当者の成果にならない
  • 値上げは他の部署との折衝も必要なので面倒
  • 他の仕事で忙しい

などが考えられます。
 

担当者がスムーズに動ける資料

 
仕入先から値上げの要請があれば、担当者は仕入先からの資料を上司、そして他の部署に回して社内の手続きを行います。

例を図2に示します。

図2 値上げの決済の流れ

仕入先からの値上げ資料に金額しかなかったり、値上げの理由があいまいであれば、担当者は上司から修正を指示されます。

そして決裁された資料は、原価管理部署に送られ決済されます。そこでも修正依頼があれば、書類は購買部に戻され担当者は仕入先に修正を依頼します。

値上げ資料の内容が不十分だと、購買の担当者はこの処理に振り回されてしまいます。他に急ぎの仕事があれば、値上げは後回しになります。

従って値上げ資料は金額の明細や根拠を明記し、担当者はそのまま関係部署に回すことができる資料にします。

最初に値上げ資料を担当者に見てもらい、不十分な点は指摘してもらい修正します。そしてできる限り顧客の内部でスムーズに決済される資料にします。

それでも忙しければ、値上げのような緊急性の低い仕事は後回しになってしまいます。

そこで何度か電話したり、直接会って進捗を聞くなどして督促します。さらに担当者の上司にお願いする方法もあります。


《私の経験》
ある会社の購買部にAさんという督促のとても上手な人がいました。Aさんが担当すると期日までに部品が集まるのです。どうして期日までに集めることができたのでしょうか?
仕入先に聞いたのは、Aさんはとにかくしつこく督促するそうです。仕入先もAさんがあんまりうるさいから、Aさんの担当しているものは優先して納めたそうです。

 

どうしたら担当者と良好な関係を築くことができるのか?

 
値上げ交渉のような担当者には面倒な仕事を優先してやってもらうには、担当者との人間関係も重要です。人間関係が良好であれば、担当者へのお願いもしやすくなります。

どうすれば担当者と良好な関係を築くことができるのでしょうか?

担当者もいろいろな人がいるので正解はありませんが、ひとつの方法として価格交渉以外の業務でも担当者がスムーズに仕事ができるようにできる限り協力することです。

例えば納期遅れや不良品の対応です。
 

納期遅れ

 
私が購買の仕事を見ていて思ったのは

「多くの時間を納期確認と督促に費やしている」

ことでした。

納期遅れの報告は本来は仕入先が行うことです。しかし仕入先の中には納期に遅れても連絡しないため、担当者はあちこちの仕入先に電話していました。

例えば、2社の仕入先、A社とB社があります。

A社は納期に間に合わない時、納期の2日前に担当者に「納期に間に合わないこと、予定日が〇日になること」を伝えました。担当者は生産管理にその部品は納期に間に合わず、〇日になることを伝えて、現場の予定を変えてもらいました。

B社も納期に遅れましたがB社から連絡はありませんでした。納期を過ぎたので担当者が連絡すると、納期に間に合わず、納入予定が〇日になると言いました。しかし予定日も守れませんでした。

その結果、納期に部品が入らないため担当者は生産管理や現場から文句を言われました。さらに予定日になっても入らなかったため現場から厳しく非難されました。

担当者は、どちらの仕入先に好感を持つのかは言うまでもないと思います。

図3 納期遅れの対応

他にも担当者が他の部署から非難されることがあります。それは仕入先が不良品を納入した時です。
 

不良品の対処

 
  
納入した製品に不良品があれば、早急に問題を対策して生産を止めないように、いろいろな部署が動きます。こういった時、顧客がスムーズに問題を解決できるように、仕入先はできる限り協力します。例えば

  1. 顧客から呼ばれたらすぐに顧客の工場に行く
  2. 在庫の選別や代品が必要な場合は、直ちに動く
  3. 原因がわからない不良の場合、問題解決のために調査やテストに全面的に協力する
  4. 顧客から求められれば、速やかに報告書を提出する

不良品の問題は、購買だけでなく、製造、品質保証などの部署も関係します。そこで顧客が早く問題を解決できるように全面的に協力すれば、購買の担当者の負担も少なくなります。

特に在庫の選別や代品の製作に時間がかかると、生産の再開が遅くなり、担当者は他の部署から厳しく言われます。


《私の経験》
不良を出したことよりも、不良を出した後の対処の仕方が仕入先の評価に大きく影響しました。難易度の高い部品を作る仕入先は、難易度が高い分不良品も出ました。不良の件数が多くても、対処が迅速であれば仕入先の評価は悪くありませんでした。

また転注の大きな原因は、不良や発生した問題の対処が悪かったことでした。技術的な複雑な部品や製品は、仕入先とメーカーが協力して取り組まなければ問題は中々問題は解決しません。そこで自社の立場ばかり主張し問題解決に協力的でない仕入先は致命的でした。

 

本コラムでもたびたび紹介した国の支援とは具体的にどのようなものでしょうか?

これについては【製造業の値上げ交渉】19. 国の支援策とその活用方法を参照願います。
 
経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

 
経営コラム【製造業の原価計算と見積】の記事は下記リンクを参照願います。

 
 

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【原価計算と見積の基礎】1.なぜ原価が必要なのか?

 
なぜ個々の製品の原価(以降、個別原価)が必要なのでしょうか?

「たとえ個別原価がわかっても発注先が一方的に値段を決めるので意味がない」
このような意見もあります。

しかし、個別原価がわからないことで次のような問題があります。
 

「どんどん上がる物価」個別原価がわからなければ値上げできない

 
個別原価がわからなければ原材料や光熱費が上がっても、製品がいくら上がっているのかわかりません。なぜなら原材料や光熱費は生産量によって毎月変動するからです。

試算表を見ても費用が増えているのは「その月の使用量が増えたため」なのか、「値上げの影響なのか」わかりません。決算になって利益が減ったことで、ようやく値上げの影響がわかります。
 

原材料価格の上昇

 
鋼材など鉱物資源は世界中で需要が増加し、価格も上昇しています。

図1の厚板16~25ミリの鋼材の市況価格は、2021年の4月から1年間で40%も上昇しました。

図1 鋼材価格の推移 (厚板16~25ミリの例)

 

エネルギー価格の上昇

 
原油価格は、ウクライナ戦争や産油国の供給調整、投機マネーの流入により大きく変動します。さらに原油や天然ガスは円安の影響も強く受けます。

これにより電気代は高騰し、kWhあたりの平均販売単価は、図2に示すように2022年12月には2年前に比べ2.5倍に上昇しました。(中部電力の例)
 

図2 電気平均販売単価の推移(中部電力)


 
他にも、樹脂や潤滑油など石油を原料とする製品や、刃物などの消耗品、梱包用の段ボール、運送費なども上がっています。
 

人件費の上昇

 
人件費も上昇しています。

図3に示すように、最低賃金は10年間で26%上昇しました。(例 愛知県)最近は人手不足による賃金上昇が加わっています。
 

図3 最低賃金の推移(愛知県)


 

値上げは喫緊の課題

 
このような背景から電気・ガスなどの光熱費、消耗品や運送費などは、随時値上げされています。

これに対し交渉の余地はほとんどありません。その分値上げしなければ利益が削られてしまいます。多くの中小企業にとって値上げは喫緊の課題です。

しかし中には「値上げは無理」とあきらめている会社もあります。

材料費や運送費は、交渉のやり方によっては値上げできる可能性があります。

いくら個別原価が上がったのかわからなければ値上げ交渉ができません。他にも、個別原価がわからないために起きる問題があります。
 

「本当はもっと高いかもしれない」実績原価との違い

 
それは実績原価が見積をオーバーしてもわからないことです。

実績原価が高くなる原因は

  • 設備のトラブルや不安定な工程のため、予定より時間がかかった。
  • 納期に間に合わないため、製造している製品を止めて別の製品を割り込ませた。そのため段取が2回発生した。
  • 作業ミスのため不良品が発生した。
  • 顧客から傷の指摘を受け、全数検査を追加した。
  • 金型費は製品の価格に上乗せする契約で受注したが、途中で生産が打ち切られた。

など様々です。
 

問題を早期に発見するためには実績原価の把握が必要

 
実績原価が上がれば利益が減るだけでなく、時には赤字になります。しかし実績原価を把握していなければ、赤字かどうかもわかりません。

問題を早く発見し対処するには、実績原価の把握は不可欠です。

一方、多品種少量生産の場合、1個1個製造時間を記録するのは大変です。それでも「ロット毎に生産開始と完了の時間を記録する」などやり方を工夫すれば実績時間の記録は可能です。
 

儲かっているかどうかがわかる「ものさし」

 
つまり個別原価は、工場がどのくらい儲かっているかどうかを把握する「ものさし」です。ものさしがなければ、現場が日々適切な利益を出しているかどうかがわかりません。

決算をしてようやく儲かっていないことがわかります。しかしその時は手遅れです。
 

試算表では儲かっているかどうかわかりにくい

 
試算表でもお金の動きはわかりますが、会社全体のお金の動きです。しかも工場の費用は毎月変動します。さらに売上と費用は発生時期もずれます。

儲かっているのかどうかは、試算表ではわかりにくいのです。

しかし、実績原価がわかれば生産している製品が「利益を生んでいるのか、赤字になっているのか」わかり、直ちに手を打つことができます。(図4)
 

図4 個別原価がわからないと問題が放置される


 

原価は計器の役割

 
夜間飛行している航空機のパイロットは、機体が上昇しているのか、下降しているのか目視ではわからないといいます。そのためパイロットは計器を見て操縦します。

同様に個別原価は、工場が適正に運営されているのか、高度(利益)を落としているのかを判断する計器なのです。(図5)
 

図5 個別原価は工場の「ものさし」


 

「ものさし」を財務会計に使う必要はあるか?

 
財務会計において原価計算は重要です。それは個別原価から在庫や仕掛品の金額を計算し、そこから会社の利益を計算するからです。

そのため、大企業は発生した費用を細かく集計して個別原価を計算します。

原価計算は専任の社員が専用のシステムで行います。これは中小企業にとってはとても高いハードルです。
 

決算目的の原価計算と管理目的の個別原価は分ける

 
しかし、決算に必要な原価計算は、今までも会計事務所や税理士が行っています。新たに計算した個別原価を財務会計に使用するメリットは中小企業にはありません。

財務会計に使用しようとすれば、会計基準に合わせた複雑な処理をしなければなりません。そこに手間をかけるより、個別原価はあくまで製品の収益性を評価する「ものさし」とし、製造の仕方や見積のやり方を改善することに力を入れた方が現実的です。
 

お金を数えるのは1度だけ

 
原価計算は、結果が金額(数字)で出るため、つい手間をかけてしまいます。しかし、「どれだけ手間をかけてお金を数えてもお金が増えるわけではありません」。

お金を数えるのは最低限(1回)で十分です。あとはお金を増やすこと(現場の改善)に努力すべきです。

この個別原価はどうやって計算するのでしょうか。

これは【原価計算と見積の基礎】2.製造原価の計算方法(1)で説明します。

経営コラム【製造業の原価計算と見積】の記事は下記リンクを参照願います。

 
経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

 
 

中小企業でもできる簡単な原価計算のやり方

 
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経営コラム ものづくりの未来と経営

人工知能、フィンテック、5G、技術の進歩は加速しています。また先進国の少子高齢化、格差の拡大と資源争奪など、私たちを取り巻く社会も変化しています。そのような中

ものづくりはどのように変わっていくのでしょうか?

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【製造業の値上げ交渉】6. 値上げ金額の明細はどうすればいいのか?

【製造業の値上げ交渉】5. 電気代の上昇で原価はどれだけ変わるのか?で説明した方法で計算すれば、それぞれの製品の値上げ金額が計算できます。

では、実際にいくら値上げしなければならないのでしょうか?

架空のモデル企業A社 A1製品について考えます。

A社の詳細は【製造業の値上げ交渉】1. 原価はどうやって計算すればいいのだろうか?」を参照願います。
 

値上げ金額の計算

 

「製造業の値上げ交渉5 電気代の上昇で原価はどれだけ変わるのか?」のA社 A1製品の例では、図1に示すように費用が増加しました。

図1 A1製品の費用の増加

図1 A1製品の費用の増加

  • 人件費 : 8%
  • 電気代 : 30%
  • 消耗品費 : 15%
  • 修理費 : 10%

が増加したため、

製造費用は

  • 人件費 : 17.9円
  • 電気代 : 9.5円
  • 消耗品費 : 2円
  • 修繕費 : 1円

合計30円上昇しました。

他にも

  • 材料費 : 10%
  • 外注費 : 5%

上昇したため

  • 材料費 : 33円
  • 外注費 : 2.5円

合計35.5円上昇しました。

これに伴い、販管費、目標利益も増えるため、値上げ金額の合計は90円(89.5円)になりました。

987円の受注金額から、90円値上げできれば上昇する費用をカバーして、利益が確保できます。
 

販管費、利益の増加の値上げは難易度が高い

 

実際は90円の値上げ金額のうち、24円は販管費、利益の増加です。

これは顧客から見れば、値上げを受け入れるのは難しいです。

A社は、先期は製造原価の25%の販管費が発生したのは事実です。新たに見積をする場合は、製造原価の25%で販管費を計算します。そうしないと販管費をカバーできず赤字になってしまいます。

しかし今受注している製品は、この金額で収支が取れているはずです。原価が上がったからといって、販管費も上げなければならないことはないはずです。

このように顧客から言われる可能性があります。

A社の場合、新たに見積計算する場合は、製造原価の25%を販管費、製造原価+販管費の8.7%を利益とします。

しかし値上げ交渉の場合は、実際に増加した費用、材料費35.5円、製造費用30.5円、合計66円の値上げができればOKと考えます。
 

値上げの根拠を求められた場合

 

実際の値上げ交渉では、値上げの根拠を求められることもあります。

簡単な資料で良ければ、先に説明した

A社 A1製品の場合、

  • 人件費 : 8%
  • 電気代 : 30%
  • 消耗品費 : 15%
  • 修理費 : 10%

が増加したため、

製造費用は

  • 人件費 : 17.9円
  • 電気代 : 9.5円
  • 消耗品費 : 2円
  • 修繕費 : 1円

合計30円上昇しました。

他にも

  • 材料費 : 10%
  • 外注費 : 5%

上昇したため

  • 材料費 : 33円
  • 外注費 : 2.5円
    • 合計35.5円上昇しました。

      これを文章にします。
       

      明細が必要な場合

       

      あるいは見積書の明細が必要な場合、1例として、以下のようなアワーレート、製造時間、値上げ金額を記載した明細を作成します。

      図2 見積書の明細の例

      図2 見積書の明細の例

      ただし資料が詳しければ詳しいほど、顧客はその根拠をいろいろと質問します。

      例えば、

      「人件費、電気代等が上昇した時、以下の値上げ金額はどうやって計算したのですか?」

      • 人件費 : 17.9円
      • 電気代 : 9.6円
      • 消耗品費 : 2.0円
      • 修繕費 : 1.0円

      この場合は、以下のように回答します。


      「御社のような大企業では、間接部門の人件費、電気代、消耗品、賃借料などの間接費は、各部門の専有面積や人数に比例して配賦しているかもしれません。

      しかし弊社のような中小企業はそのような詳細な計算はできないので、各部門の時間に比例して一律に配賦しています。その結果、下図のような比率になっています。

      なおこの費用構成は先期の決算書の数値を元に計算したのでほぼ正しいと考えています。なおこの計算方法は専門家に依頼したので、詳しくはわかりません。」

      もし弊社の利益まっくす、及び値上げ計算シートを利用されている場合


      「詳しい計算の仕方はわかりません。当社が使用している原価計算システムは、比率計算のアルゴリズムが非公開となっているためです。」

      図3 アワーレート間(人)の経費の比率

      図3 アワーレート間(人)の経費の比率

      図4 アワーレート間(設備)の経費の比率

      図4 アワーレート間(設備)の経費の比率

      以下の決算書の販管費、製造経費を元に比率を計算しています。

      図5 決算書(販管費)の費用構成

      図5 決算書(販管費)の費用構成

      図6 決算書(製造経費)の費用構成

      図6 決算書(製造経費)の費用構成


       

      適正な販管費、利益が認められない場合

       

      ここまで説明した値上げ金額は、先期の決算書から計算しました。従って真実の原価です。

      しかし中には見積書の販管費〇%、利益〇%と決めていて、それ以上の販管費、利益が認められない場合もあります。

      その場合は、顧客が認める販管費、利益にした上で製造原価を修正しなければなりません。
       

      A1製品の見積を修正した例

       

      顧客が認める販管費、利益にしたA1製品の見積を図7に示します。

      図7 顧客が認める販管費、利益にした見積

      図7 顧客が認める販管費、利益にした見積

      見積金額は、図2と同じです。

      この例では利益率3%、販管費レート7%が顧客の指定でした。

      図7では、その分製造費用が大きくなりました。

      段取時間、加工時間は同じ場合、アワーレートが大きくなりました。

      図2の見積書にある販管費や利益が必要なのは事実です。それが通らなければこのような作業が必要になります。

      この販管費、利益の問題については【製造業の値上げ交渉】3.間接費用や販管費はどう考えるのか?を参照願います。

      では、この値上げ金額をどのように交渉すればよいのか、これについては【製造業の値上げ交渉】10.どのように値上げ交渉すればよいのか?具体的な交渉の手順を参照願います。

      では図面や仕様にない検査や工程が後から追加された場合はどうすればよいでしょうか?

      これについては【製造業の値上げ交渉】7.適正価格はいくらだろうか?を参照願います。

      経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。

       
      経営コラム【製造業の原価計算と見積】の記事は下記リンクを参照願います。

       
       

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