売上1/3からの大逆転!展示会の活用 その7 新規開拓の重要性と展示会の活用のまとめ
これまで弊社では展示会を活用した新規開拓について、7回にわたり経営コラムに書いてきました。
なぜ中小の製造業にとって展示会の活用が重要なのでしょうか?
それは普段会うことができない設計や開発の人と会うことができるからです。
私自身、企業で開発していた時は、展示会で新しいサプライヤーを見つけ、新たな取引を行ってきました。当時は、インターネットやホームページが普及していなかったため、新しい取引先が必要になっても情報を得る手段は限られていました。取引のあるメーカーや商社に聞くぐらいしか方法がありませんでした。
なぜ新しい取引先が必要かというと、新製品の開発などで今までのサプライヤーでは要求を満たせなくなったからです。そこで必要な技術のある会社を探すわけですが、そういった会社と出会う場は、展示会しかありませんでした。
当時は情報が少なかったせいかと思いましたが、今でも知人の大手メーカーの開発者は頻繁に展示会に行っています。
大メーカーといえども、部品加工や設計、評価など多くの業務をアウトソースしている今日、優れた技術を持ったサプライヤーを探すことは不可欠なようです。
では、どのように展示会を活用し、新規開拓を成功させるか、以下にこれまでのコラムをまとめました。
キーマンと会うことが重要
展示会に初めて出展する企業が誤解しがちなのは、展示会には取引先を求めて多くのお客様が来ていると思ってしまうことです。
そのつもりで出展して、反応が思わしくないと
「展示会はうまくいかない」
とあきらめてしまいます。
私が展示会で「これは!」と思う企業を見つけても、その後すぐに引合にはなりませんでした。「こういった技術を持っている企業がある」という情報を頭に入れておき、半年ぐらい経って、問題が起きた時その企業にコンタクトすることもありました。
つまり開発や設計に自社を知ってもらっても、そこから引き合いや受注につながるまでには時間がかかります。
一方、中には購買や資材の担当の方が新たな取引先を展示会で探していることもあります。この場合は、比較的短時間に引合や見積依頼になります。
しかし購買や資材からのアプローチは、その会社の従来のサプライヤーと同等、又はそれ以下の価格を求めるため、利益の厳しい受注になります。
この点が、開発や設計担当へのアプローチと、購買や資材担当へのアプローチの違いです。
この開発や設計へのアプローチと購買や資材へのアプローチの違いについて、
売上1/3からの大逆転!展示会の活用 その1 展示会のメリット
に詳しく書きました。
何をPRすべきか、人を惹きつけるものは?
では、メーカーの開発や設計の方にブースに来てもらうには、どうしたらよいでしょうか?
展示会場には、あなたの会社も含めて非常に多くの出展企業があります。来場される方は、すべてのブースを回ることはありません。
お目当てのブース、そして自分が気になったブースだけ見学して帰ります。
では「自分が気になったブース」は何でしょうか?
ここで大切なことは、メーカーの開発や設計の方は「自分のことしか関心がない」ことを理解することです。
人が、関心があるのは自分のことです。
そして開発や設計の方が気になっていることとは、開発や設計業務での課題や問題です。
従って、彼らの抱えている課題や問題を想像して、その答えのヒントがブースにあると思えば、あなたの会社のブースに気づいてもらえます。
では、どのようすれば彼らの課題や問題を想像して、彼らに気づいてもらえるか、考え方と言葉にする方法を
売上1/3からの大逆転!展示会の活用 その2 人をひきつけるもの
に書きました。
ブースに入ってもらうためには?
しかしPR内容に気がついても、ブースに入ってくれるとは限りません。
開発や設計には、接客や説明を好まない人も多く、ブースに入るのは抵抗があります。
それでもブースに入るには、
「今ここで見ておかないと、後では見られない」
というものが必要です。
それが展示物であり、展示パネルです。
では、どのような展示物や展示パネルが必要なのか、その具体的な内容を売上1/3からの大逆転!展示会の活用 その3 ブースに来てもらうために用意すべきものに書きました。
説明ではない!接客の本当の目的
こうしてブースに来たお客様に、あなたの会社のスタッフは「説明員」として来ているので一生懸命説明します。
それを見ていた他のお客様はスタッフが説明に行く前にブースから去っていきます。
実は、接客の目的は説明ではありません。
本当の目的は、後で営業できるようにお客様の情報を手に入れることと、あなたの会社がお客様の課題や問題を解決できると感じてもらうことです。
そのためには、説明は短時間で終え、できる限りお客様から質問してもらいます。
展示内容に関心があれば、聞きたいことはあるはずです。
あるいは展示パネルの説明にあえて「?」と思うようなところをつくって、お客様から質問するようにします。
お客様の質問に答え、さらにこちらから質問することでお客様の情報が手に入ります。
こうして質問と回答をやり取りすれば、その後の名刺交換はスムーズにできます。
このブースでスタッフの行動について
売上1/3からの大逆転!展示会の活用 その4 ブースでの行動
に書きました。
展示会後、受注につなぐために
展示会ではお客様の感触は良い感じでした。
ところが展示会の後、訪問すると思ったより反応が良くないことがあります。
それは開発や設計の場合、あなたの会社の技術が良いと思っても、今は採用するタイミングではないためです。
「前のモデルを開発した時は大変苦労したが、この会社の技術を使えばうまくいくかもしれない」
「前のクレームでは解決までにとても苦労したが、この会社の技術があれば、対策は容易かもしれない」
そのようにお客様が思っても、次の開発やクレームが起きなければ、必要がありません。そして次の開発やクレームは、2年後かもしれません。
では、このようなお客様に対して、どのように対処すべきか
売上1/3からの大逆転!展示会の活用 その5 展示会終了から受注までの行動
に書きました。
魚のいない池で釣りをする
こうしてお客様との出会いを期待して展示会に出展しても、そもそも出展した展示会が目的とするお客様が来ないこともあります。
(お客様を魚に例えるのは失礼ですが、)魚のいない池で釣りをしている状態です。
実は展示会はテーマ、開催場所、主催者によってさまざまなものがあります。
出展料が安いからと地元の展示会に出展しても、来場者は一般のお客様や行政機関ばかりで、目当てのお客様がほとんど来ていないとことがあります。
また、開催日に他のイベントが重なっていたり、開発に追われるなどお客様の事情で、有望なお客様が非常に少ない年もあります。
まずお客様が来る展示会を選び、
そして1回出て成果がなくても継続して出展します。
では、どの展示会に出展すべきか、
売上1/3からの大逆転!展示会の活用 その6 どの展示会に出展すべきか?展示会の費用対効果とは?
に書きました。
新規開拓が収益性を決める
中小の製造業の多くが、その地域の大手企業、あるいは大手企業の下請けと取引し、大手企業の成長に伴い、自社も成長してきました。
取引先が成長している時は、1社だけの取引でも問題はありません。取引先の成長に伴い、自社の受注も増えていきます。取引先も生産能力の確保を優先するため、コストダウンのために転注するより生産の安定を求めます。
しかし今日、多くの企業が海外に工場を移転し、国内工場の成長は限られています。
その中で利益を増やすために、メーカーはサプライヤーへ発注価格を引き下げを求めてきます。そしてより安い価格でつくれるところがあれば転注も行います。さらに海外の部品メーカーに発注することもあります。
それでも複数の会社と取引していれば、無理に低い価格のものは断って、他の会社の受注を増やすことができます。
しかし1社としか取引していなければ、ひの価格を飲まざるを得ません。
下請けである以上、どんなに大きな会社でも取引先が1社しかなければ、このリスクは変わりません。
今後、中小の製造業は二分していくと予想されます。
1. 積極的に新規開拓を行い、取引先を増やしている企業
そういった企業は、条件の悪い受注は断り、利益を確保します。そして利益を設備や人に投資して、より難易度が高い、あるいは付加価値の高い受注を取っていきます。
2. 従来と同様限られた企業とだけ取引先している企業
取引先からの価格引き下げを断ることができず、利益が出なくなっていきます。設備は老朽化、社員は高齢化し、新しい取り組みや難しい受注ができなくなっていきます。
違いは、新規開拓を行い取引先の分散を行ってきたかどうかです。
この新規開拓の有力な手法として展示会があります。
ぜひ、展示会をうまく活用して、新たな取引先を増やし、発展することを祈っています。
《お知らせ》
弊社では、初めての出展から受注まで、中小企業が展示会を使った新規開拓のノウハウをわかりやすく書いた「中小企業の展示会マニュアル」を出版しました。
詳細はこちらをご参照ください。
経営コラム ものづくりの未来と経営
人工知能、フィンテック、5G、技術の進歩は加速しています。また先進国の少子高齢化、格差の拡大と資源争奪など、私たちを取り巻く社会も変化しています。そのような中
ものづくりはどのように変わっていくのでしょうか?
未来の組織や経営は何が求められるのでしょうか?
経営コラム「ものづくりの未来と経営」は、こういった課題に対するヒントになるコラムです。
こちらにご登録いただきますと、更新情報のメルマガをお送りします。
(登録いただいたメールアドレスは、メルマガ以外には使用しませんので、ご安心ください。)
経営コラムのバックナンバーはこちらをご参照ください。
中小企業でもできる簡単な原価計算のやり方
製造原価、アワーレートを決算書から計算する独自の手法です。中小企業も簡単に個々の製品の原価が計算できます。以下の書籍、セミナーで紹介しています。
書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」
中小企業の現場の実務に沿ったわかりやすい個別製品の原価の手引書です。
基本的な計算方法を解説した【基礎編】と、自動化、外段取化の原価や見えない損失の計算など現場の課題を原価で解説した【実践編】があります。
中小企業・小規模企業のための
個別製造原価の手引書 【基礎編】
価格 ¥2,000 + 消費税(¥200)+送料
中小企業・小規模企業のための
個別製造原価の手引書 【実践編】
価格 ¥3,000 + 消費税(¥300)+送料
ご購入及び詳細はこちらをご参照願います。
書籍「中小製造業の『製造原価と見積価格への疑問』にすべて答えます!」日刊工業新聞社
普段疑問に思っている間接費・販管費やアワーレートなど原価と見積について、分かりやすく書きました。会計の知識がなくてもすらすら読める本です。原価管理や経理の方にもお勧めします。
こちら(アマゾン)から購入できます。
簡単、低価格の原価計算システム
数人の会社から使える個別原価計算システム「利益まっくす」
「この製品は、本当はいくらでできているだろうか?」
多くの経営者の疑問です。「利益まっくす」は中小企業が簡単に個別原価を計算できるて価格のシステムです。
設備・現場のアワーレートの違いが容易に計算できます。
間接部門や工場の間接費用も適切に分配されます。
クラウド型でインストール不要、1ライセンスで複数のPCで使えます。
利益まっくすは長年製造業をコンサルティングしてきた当社が製造業の収益改善のために開発したシステムです。
ご関心のある方はこちらからお願いします。詳しい資料を無料でお送りします。