ゆとり教育社員への処方箋

「言われたことしかしない」

「メールで朝、欠勤の連絡をする」

最近の若い人たちの今までの常識では考えられない行動が目立ち、職場で先輩たちが戸惑っています。

彼らの多くが2002年以降それまでの知識偏重の教育から自ら考え、生きる力をつけることを目指した「ゆとり教育」受けてきました。

彼らを「ゆとり世代」と呼び、彼らの特徴の社会的背景を経営コラム「ゆとり世代の特徴と誤解~ゆとり教育の背景①」に書きました。

このコラムでは、彼らの特徴を掘り下げ、彼らが早く戦力になってくれる方法について述べます。
 

ゆとり教育世代の特徴と早期に戦力になってもらう方法

ゆとり教育世代の特徴

ゆとり教育世代と呼ばれる人たちが企業に入るようになると、今までは考えられないようなことも起きて、現場が戸惑っています。
 
例えば、

  1. 指示待ち
  2. 担当エリア以外は掃除しない、電話が鳴っても自分の席でなければ取らない、など言われたことしかやらない指示待ち。

  3. 口頭や電話のコミュニケーション能力低下
  4. 電話や対面での折衝を避けてメールで済まそうとする。飲み会などを断る、今までのコミュニケーションのやり方が通じない。

  5. 成長志向と根拠のない自信
  6. 仕事の選択の基準が転職に有利なスキルが身につくかどうか、そのため、スキルに関係ない雑用を嫌がる。自信満々でできるというので任せたところ、進まなくてオロオロするなど根拠のない自信。

  7. 昇進を避け、リーダーになりたがらない
  8. リーダーになるのを避ける、昇進を嫌がる。これはゆとり世代に限らず、それ以前の世代にも見られる傾向ですが。

  9. リスクを取ろうとせず積極性がない
  10. 失敗した時のことを考え、リスクがあることにチャレンジしない。(これも若者に限らず中堅からシニアまでこの傾向はありますが)

  11. 仕事の優先順位付けができない
  12. 複数の急ぎの仕事があると、優先順位を自分で判断できず、固まってしまう。

  13. メンタルが弱い
  14. 失敗やトラブルが重なると、心が折れて、会社に来ることができなくなってしまいます。

 

キーワードは、異種人材の混成チーム

原因は彼らの育った社会環境の変化と教育の変化(ゆとり教育)にあります。ゆとり教育は自主的に考え、生きる力をつけることを目的とした教育です。これが「与えられた仕事をまじめにこなす」企業が新人に求めるものと合わないためです。

加えて相次ぐ企業のリストラは若者たちに会社に対して安定と安心を信じることができず、今の仕事は自分のスキルアップに役立つかどうかで考えます。そしてスキルアップに役立たないと思えば転職してしまいます。

一方、ホワイトカラーも単純な反復業務はIT化される今日、社員に求められる能力はまじめに仕事をこなすだけでなく、自ら問題を発見し解決する力、そして独創性や創造性などです。

それには今までのように上司から言われたことをまじめにこなすだけでは不十分です。これからは多様な見方や考え方を持った人材が集まり、様々な考えを出し合って答えのない問題を解決しなければなりません。

その点、日本の若者以上に考え方の異なる外国人を雇用すれば、組織の中に大きな多様性が生まれます。そして今までにないアイデアや発想が生まれるかもしれません。

もう1点は、若者たちの安定志向、大企業志向が強くなってきて、中小企業が優秀な若者を採用するのが難しくなってきていることです。(まあ、これから答えのない問題に取り組む際に、ランクの高い大学を卒業した人材が企業にとって必ずしも優秀とは限らないのですが。)

私自身、若者の就職希望を直接聞く機会がありましたが、彼らの安定志向、大企業志向は強いものでした。

それならば、コミュニケーションの難しさはありますが、日本の大学を卒業した海外の若者を採用するのも、ひとつの方法です。かつて日本に留学した外国人の中には日本での就職を希望しても、なかなか大企業の門は狭く、苦労していました。(10年前に彼らと話をしたときはそう言っていました。最近は状況が変わってきたかもしれません。)

そうであれば中小企業が優秀な大学生を採用するチャンスがあります。 (ただし今後、大企業が彼らに広く門戸を開くと獲得競争が激しくなるかもしれません。)
 

ゆとり教育世代を早期に戦力化する4つのポイント

一方、彼らに早期に戦力になってもらい早期退職を防ぐには、今まで当たり前と思っていたことも知らないという前提で指導しなければなりません。その点で若者と外国人の指導は共通点があります。

多くの企業文化は今いる社員や管理職にとって居心地の良い閉ざされた社会になっています。そのような文化は若者たちを阻害し外国人が馴染めません。その点は改める必要があります。

  1. 社会人の基礎教育
  2. 社会人の常識がないことを前提として、教育する

  3. キャリアパスと教育制度をつくる
  4. 若者の上昇志向、将来への不安を解消し、定着率を高める

  5. 従来の日本式のマネジメントの悪い点を改める
  6. 風通しの良い、働きやすい環境をつくる

この4つの処方箋を実行することで、若者たちが定着し戦力となるのに加えて、外国人にとっても働きやすい職場になります。

さらにこの仕組みや体制を学生たちに分かりやすく伝えることで、多くの若者たちがやってくるようになります。
 

社会人の基礎教育

いくら「若者は社会人の常識がない」と非難しても、彼らが社会人の常識を身に着けることはありません。外国人の場合、生まれ育った文化も違います。そこで若者も外国人と同様と考え、採用後は基礎的な常識を教育します。

一度カリキュラムをつくれば、毎年決まったルーチンワークとしてできます。
 

外部教育の活用

社会人に共通するスキル・知識は、外部の集合教育を活用すれば効果的です。例えば、あいさつの仕方、名刺交換、仕事の心構えなどです。

これらは地域の商工会議所や金融機関などで行っているので積極的に活用します。ただし外部研修は、1日~3日です。研修の効果を定着させるには、その後社内で継続して指導(OJT)します。
 

業務上の知識は、自社で教育(OJT)

自社の固有の業務に関する知識は、OJTで指導します。しかしOJTとは名ばかりで、仕事のやり方を教えているだけの会社もあります。

本来のOJTは、育成する目標を決めて、目標を達成するための教育内容を決め、それを指導者が仕事の中で教育するものです。OJTの期間終了後は、目標にどのくらい到達したのかを評価します。

そして各年にその社員が習得する能力をリストアップして、OJTの中で体系的に指導します。それには習得する能力毎にOJTのカリキュラムをつくる必要があります。カリキュラムには、習得する能力と習得するために取り組む業務、業務中に指導する内容、そしてどのようになれば習得できたといえるのか判断基準を入れます。

このOJTのマニュアルをつくる際、マニュアルの作成を指導を受けた社員につくらせる方法もあります。指導を受けた結果を自らマニュアルとして書き表すことで、指導内容に対する理解が深まります。またマニュアルをつくらなければならないため、指導内容をしっかりとメモを取るようになります。

新入社員に任せられる仕事が少なく手持ち無沙汰になるようであれば、その間にマニュアルをつくらせれば時間を有効に活用できます。こうしてつくったマニュアルは、翌年、次の新人の指導に役立ちます。

新人の育成期間を長く取れるのであれば、かつてのように新人が先輩社員の下についてマンツーマンで仕事のやり方を覚える方法も取れます。しかしこれは教育に時間がかかり、指導する先輩によって指導の結果がばらつきます。

今日では多くの現場で新人を短期間で1人前にすることが求められています。また教える方も自分の仕事で一杯で指導のための余力が全くないことがあります。

その結果、仕事のやり方を教えるだけの漠然としたOJTとなり、新人の育成が進まず、その結果、辞めてしまいます。

それを防ぐためにOJTで習得する能力と育成方法のカリキュラムを作成し計画的にOJTを行います。
 

若手社員をトレーナーにつける

OJTのトレーナーには若手社員を充てるのが効果的です。彼らは新入社員と年代のギャップが少ないため打ち解けやすく、彼ら自身も新入社員に教えることで自分の理解が不十分な点に気づき、それを勉強することで成長します。

そしてOJTを受けた若手社員を、次の新人のOJTのトレーナーにします。

 

教育内容の例

  1. 服装(作業着や保護具も含む)や身だしなみ(頭髪、爪、ヒゲ、アクセサリー)
  2. あいさつ(出社時、退社時のあいさつ)、来客へのあいさつなどは、いつ、どのようにあいさつするのか、明確にします。そして「先輩から確実に」行います。

    注意点として、なにが良くて、なにがいけないのか、その境界を明確にすることです。そして、してはいけないことは必ず先輩社員や経営者も守ります。もし誰かが守っていなければ、全員が守るように指摘します。

    もしどうしても守れないルールがあれば廃止します。

    守れないルールを指導することは、暗黙の裡に「この会社ではルールは守らなくてよい」ということを新人に教えることになってしまいます。

     

  3. メールのマナー
  4. 今日若者たちのコミュニケーション手段は、LINEやツイッターなどのSNSが主流です。これはお互いが知っている同士のコミュニケーションで、顧客や取引先に連絡するビジネスメールとは別物です。従って、若者たちは正しいメールの書き方を知らないとして、一から指導します。

    ビジネスメールは、相手に要件を正確に伝え、お願いしたことを実行してもらう必要があります。そのためには、書く前に別紙に内容をまとめます。そして内容がわかるタイトルをつけ、本文は簡潔に箇条書きにします。

    そして、このメールを見た相手に返信して欲しいのか、何かアクションしてほしいのか、単なる報告なのか、分かるように書きます。

    文章の書き方も、メールは文字だけで伝えるため、相手の感情を害しないような注意が必要です。さらに誰と誰に送るのか、CCはどこまで送るのかも的確に判断する必要があります。
     
    これらのことを習得してもらうために、仕事のメールをいくつかのパターンに分けて指導します。

    パターンに沿って書けるようになったら、しばらくの間は上司、又はOJTトレーナーがメールの文章を添削してから送信させます。

    相手に正しく伝わるメールを書くには、内容の整理とそれを適切に表現する国語力が必要です。そのためにはある程度の数をこなす必要もあります。

    それには適切な指導がなければ、業務の中で自然には身につくことはありません。

    メールの書き方が良くないとお客様と思わぬトラブルを起こすこともあります。

    このメールについては、ベテラン社員でも誤解を招くような問題のあるメールをお客に送ることがあります。従って新人の間にしっかりと指導する必要があります。
     

     

  5. 欠勤の連絡・残業のルール
  6. 欠勤の連絡や残業の判断など労務に関するものは注意が必要です。

    労基法では、欠勤(又は有給取得)の連絡は当日の朝でもよいことになっています。現実には当日の朝、欠勤と言われれば現場は混乱します。そのため大抵は、事前に欠勤の連絡をします。つまりこれはホンネとタテマエのダブルスタンダードになっています。そのことを新人に伝えないと、タテマエで当日の朝連絡して他の人たちの迷惑になります。

    そうならないようになぜ当日の欠勤連絡がいけないのか、労基上はOKでも、そうするとどうなるのか説明します。
     

  7. 電話の訓練
  8. 今では電話は、個人のもので携帯電話にかかってきても誰かは分かります。家の固定電話のように見知らぬ人から突然電話がかかってくることはありません。そのため会社の電話を取るのは心理的に大きなプレシャーです。プレッシャーの原因は、
    ・どのように対応して良いのかわからないこと
    ・相手が想定していない要求をした場合、どう対応して良いのかわからない
    この2点です。

     
    図1 電話を取るのが怖い

    図1 電話を取るのが怖い

     
    これに対しては、最初に電話を取って応対するところから徐々に慣れる必要があります。電話の応対の見本をやって見せ、応対を録音して聞かせ、電話応対のスクリプト(台本)を書かせます。そしてスクリプト通りに応対する練習をします。

    その後、社内の人間が外から外線に電話して、新入社員に応対させます。

    その後、外線電話を取るようにしますが、その際、外部からの電話に対してどう対応して良いのか分からないときに助けを求める人を決めておき、すぐに助けられるようにします。

    ここまでやらないとできないのは相当重症な新入社員ですが、そうでない新入社員もこのような段階を踏んでいけばスムーズに電話に馴染みます。
     

  9. クレームなど顧客対応
  10. 居酒屋などで接客業のアルバイト経験があれば別ですが、そうでない場合、新入社員はそれまで顧客と応対したことがありません。そのため顧客に対応する際、顧客の視点がなく、自分の視点しかありません。

    そのため顧客の要求に対して、どう対応すればよいのかが分からない時、自分の視点で
    「自分は悪くない」
    「こんなこと言ったら、上司に怒られる」
    と考えて顧客を怒らせてしまいます。

    今まで立場の違う人と交流することがなく、子供のころからお客様として一方的にサービスを受ける側だったため、顧客にどう対応すべきかわかっていないことが原因です。

    そこで顧客対応が必要な部署では、相手がどのように考え、それに対してどう行動しなければならないかを基本的なことを説明し、ロールプレイを行って身につけさせます。
     

  11. 基本的な知識は徹底して指導、その後は自分で判断できるようにする
  12. 今の新入社員は、それ以前の世代と比べて、家庭や学校などの社会生活で上下関係が希薄で、人間関係の大半が友達という環境で育ってきています。そのため基本的な社会人としての知識や常識はないと考え、基本的な知識から教育します。そういう点で外国人と似ています。

    一方何事もすべて教えていると自分から考えなくなります。
    そこで入社3年目くらいから、
    ・なぜそれが必要なのか、
    ・相手のことを考えたらどうすれば良いのか
    考えさせます。

    例えば新しい決め事や仕組みを考える際に若手社員を入れて、
    「どうしてそれをしなければならないのか」
    「相手はどう思うのか」
    を議論します。そして入社5年目以降は、こういったルールを作る側に入れます。

 

上昇志向、将来への不安を解消するためにキャリアパスと教育制度

職種ごとに、5年、10年、15年、20年での必要な能力とポジションをつくる

前提として今の若者たちは入社した会社は一生安泰で定年まで勤められると思っていません。もし倒産やリストラに遭って今の会社から放り出されても、どうやって次の仕事を得られるかを考えています。

そのため、ある程度仕事ができるようになっても同じ仕事をずっと与えていると、これ以上この会社にいても成長しないと考えます。そしてスキルアップのために転職を考えます。仕事を前向きに考える人程、そのように行動します。

それを防ぐためには、その職種の中で5年、10年、15年、20年と経過するに従い、必要な能力とその育成の道筋(キャリアパス)をつくります。そうすることで、この会社に20年いても成長できると考えます。
 

目標管理制度を活用する

将来に不安を抱え、そのために成長意欲を持っている若者は、高い可能性と伸び代を持っています。従って彼らの可能性を活かす仕組みが重要です。

目標管理制度は、自らが成長するために自分で目標を立て実行する制度です。この制度の良い点は、本人が目標を立て、自らそれを実行すると宣言する点です。人は自分が口に出したことを実現しないと不快に感じる「一貫性の法則」があります。上から与えられた目標には消極的でも自分から言ったことは積極的に取り組みます。

ただし、新人の間はできる限り実施することを目標として、実施した結果は問わないようにします。例えば営業の場合、〇件訪問するなど自分の努力でできることを目標とし、売上や成約件数は、ある程度営業の技術が身についてからにします。なぜなら売上や成約件数を増やす方法を身に着ける前に、結果を目標とするとどうやって目標を達成したら良いのか分からず、自信を失ってしまいます。

かつてはこのような中でがむしゃらにやるうちに光が見えてきたものですが、今の若者にそこまでの頑張りを期待することはできません。
 

必要な能力を身につけるための、育成計画をつくる

職種ごとに、5年、10年、15年、20年での必要な能力が明確になれば、そこに至る育成計画をつくります。といってもそれほど綿密な計画は必要でなく、大ざっぱに必要な能力に対し、どのように仕事や職場を経験するか、そして不足するスキルのうち、どれを外部教育を活用するか、大ざっぱなもので構いません。しかしこれを提示することで、社員にとっては、キャリアパスがより具体的なものに見えてきます。

このキャリアパスは、全体図を作成し、生涯に身につけるスキルを俯瞰できるようにします。

 

専門職と管理職のそれぞれのキャリアパスをつくる

社員が少ない会社でも、専門職と管理職は別々のキャリアパスをつくることをお勧めします。専門職と管理職は、必要なスキルが全く異なり、管理職に向いていない人材もいるからです。一方中小企業では人材が限られるため、管理職に向いていない中堅社員を管理職にせざるを得ないこともあります。

実際に管理職をやらせてみてうまく行かない時、専門職と管理職のキャリアパスがあれば、管理職としては落第だが、専門職としては優秀なので専門職として頑張るように本人に言うことができます。あるいは有望な若手を管理職に引き上げる場合も、他のベテラン社員に対して、彼は専門職としてはまだまだだがマネジメント能力は高いので、そちらで頑張ってもらうと言えば、ベテランも納得してくれます。これが単一のキャリアパスしかないと、若手を抜擢することはベテランの反感や意欲の低下を招きます。
 

積極性・自信をつけさせる

若者たちは、それまでの学校生活の中で、小さな成功体験を積み、自信をつけた経験が非常に少ないです。そのため何か未知のものに取り組んでも、できるかどうかわからない、自信がない、だからやらないという悪循環に陥ります。

彼らのやる気を高めるためには、小さな成功体験と、失敗を乗り越えた経験を積ませて、自信を付けさせる必要があります。小さな失敗を乗り越えることを繰り返して、徐々に自信をつけさせます。ただし、大きな失敗をすると自信を失って辞めてしまうので、そのさじ加減が難しいところです。
 

忘年会、歓迎会、慰安旅行などの行事を企画させる

仕事では小さな失敗でも顧客からの信頼を失ったり、損失をもたらすのでなかなか失敗させることができません。失敗すると分かっていれば、先輩や上司が事前に手を打ちます。

しかし忘年会、歓迎会、慰安旅行などの行事は、失敗しても迷惑を受けるのは社内の人間だけです。従ってこのような機会を活用して、若手社員にチャレンジと失敗する経験を積ませます。
 
図2 行事の企画も成長の機会

図2 行事の企画も成長の機会
 

これは失敗させることが目的なので、失敗を非難しないことです。失敗したことは本人が一番よく分かっています。そして行事の失敗は、目に見えて分かります。従って失敗は決して批判せず、水に流します。
 

社外奉仕活動、ボランティアを企画させる。

社外奉仕活動、ボランティアも社員を成長させる良い機会です。これも失敗しても会社の業績に影響する訳ではないので、社員に任せることができます。社外奉仕活動やボランティアの良い点は「人の役に立った、感謝された」という達成感が得られることです。

今の若者たちは、金銭や地位はあまりインセンティブになりません。むしろ「人の役に立ちたい、認められたい」という面が強くあります。社外奉仕活動、ボランティアで周りから感謝されることで、彼らの貢献意欲を高め、自信をつけさせることができます。

大事なことは、社外奉仕活動、ボランティアの企画や運営を若手社員に任せることです。自ら考えて実行させることで積極性を身につけることができます。これは近隣の道路の清掃など簡単なものでもかまいません。ただし会社の活動として外部から見て恥ずかしくないように統率の取れた行動をするように伝えます。活動への協力は、ペットボトルのお茶などを提供すれば十分です。
 

社外イベントに参加

全日本製造業コマ大戦、ロボットコンテスト、エコランなど社外のイベントに自社チームとして参画させます。これは社内行事や社会奉仕活動よりも、より高いチャレンジが必要になります。その分今までやったことのないことにチャレンジすることで高い達成感が得られます。ただし、会社の業務として命令するとやらされ感が生まれてしまいます。あくまで「こんなイベントがあるのでやりたい」と社員が思うようにします。

こういったイベントの良い点は、参加しない人も会社のチームということで応援するため、社内に一体感が生まれることです。その割に、活動は社員の余暇時間を使う為お金があまりかかりません。イベント参加費や材料代ぐらいです。

ただせっかく参加するのであれば、チームTシャツを用意したり、壮行会や当日の応援、そして報告会などを開催し、社内で盛り上げます。もちろん目的は、成績より失敗することと、チャレンジすることですから、頑張ったことを大いに褒めます。例えば、大会の様子や準備活動などを大きな紙にまとめて、掲示したりします。
 

社内資格制度をつくる

キャリアパスに合わせて、職種ごとに、5年、10年、15年、20年に必要な能力を身につけるために社外研修や資格取得の講座を会社の費用で受けられるようにします。ただし、受講するかどうかは本人の意思で行います。こういった研修費用は安くありませんが、これにより中堅社員の定着率ややる気が高まれば費用対効果は高いです。
 
そして受講した研修や資格をポイントとして蓄積し、昇格や昇給に反映させます。また社内での昇格に対し、認定証を発行するのも良い方法です。認定証には、自分の職能のランクと、そのランクに必要なスキル、それまで受けた研修などを記録します。このような形あるもので、スキルを見える形にすれば社員のやる気が高まります。

本人が転職する場合も、次の会社で自分のキャリアを証明するのが容易になります。「せっかく育てたのに辞める時の手助けをするのか!」と思うかもしれませんが、そのような仕組みをつくることで、社員がやる気を出し定着率が高まることを狙っています。
 
図3 費用対効果が高い認定証

図3 費用対効果が高い認定証
 

外国人の場合、国に帰った時自分のスキルを新しい会社で伝えるのは大変です。このような取り組みは感謝されます。技能研修性についても、何段階か階層別の技能認定証を発行すれば技能を身につけようというインセンティブになります。
 

新規の仕事や製品に対して、志願制をつくる。 本人にやりたい仕事を選ばせる。

特定の人でなくある程度誰でもこなせる仕事であれば、その仕事の担当を志願させる方法があります。自ら選択することで、意欲と責任感を持たせることができます。あくまで本人のやる気を高めるために行うので、決して志願しないことで、やる気がないなどの低い評価をつけてはいけません。あるいは、志願するのではなく、複数の仕事を何人かの社員で選ばせるのもよい方法です。

こうすることによって、上から押し付けられた仕事が、自ら望んだ仕事に変わります。自ら選んだ仕事であれば、出来栄えや納期に対し主体性が生まれます。この体験を積み重ねることで仕事に対するプロ意識を高めます。
 

仕事の能率やスピードを数値化、グラフ化して、掲示する

元々仕事に対する達成意欲や上昇志向の低い社員は、いつまでたってもスビートが上がらない、一人前にならないという問題が起きます。この場合、仕事のスピードや達成量をグラフなどで見える化し、本人に自分のレベルを意識させます。

横並び意識の強い若者世代にとって、自分の現在のレベルを自覚し、置いて行かれる感覚を持つことで成長意欲を引き出します。そして本人に危機意識が生まれたら、それを改善する手段、つまり仕事のスピードを上げる訓練や機会を用意します。これが用意されてないと劣等感のみが高まり辞めてしまいます。
 

仕事をまとめて渡す

部下の管理でありがちな問題は、仕事の指示が細かすぎるわりに、仕事のインプットやアウトプットがあいまいなことです。そのため社員が自主的に考えることができず、指示待ちになってしまいます。これは管理職が育たない土壌にもなっています。

そこで一定年数経過した社員は、できる限り仕事をまとめて渡すようにします。その場合、仕事のインプットとアウトプットは明確にします。さらに徐々に上流工程まで取り組ませます。

例えば、機械加工工場では、ある程度経験してきて自分の担当機械の工程は任せせられるようになれば、いくつかの受注に対し、工程分解を行ったり作業指示書をつくらせます。そうすることで、前後工程も理解し、将来の管理職に必要なスキルも身に付きます。その際、インプットは何か、そしてアウトプット、つまり工程分解の良し悪しを具体的に伝えます。
 

リーダー、主任、班長制度をつくり、昇格に慣れさせる

近年、組織のフラット化が広まり、社員と課長しかない組織が増えています。そうなると、若手社員が管理職になるのは入社して10年以上経過してからになります。

その頃には、今の作業者の仕事に慣れきって、今更部下を持って管理業務なんかやりたくないという心境になります。そこで主任、リーダー、班長職をつくり、入社して何年か経てば管理業務を体験させます。といっても特に管理職をさせる必要はありません。何年か経過すれば、後輩社員や派遣社員や実習生がいると思います。彼らに仕事を教えることが主任やリーダーの仕事で構いません。

これは役職にすることが目的でなく、いつまでも同じ職制にとどまらない文化をつくるのが目的です。そうすることである程度年数がたてば、自然に管理職になることを受け入れるようになります。
 

管理職に残業手当をつける

これについては、反対意見も多いかと思います。しかし管理職になりたがらない原因が給与面であれば、残業手当は最も効果的です。その分の人件費アップは、彼らが管理職として成長すれば許容できるのではないで仕様か。もし人件費抑制のため管理職にしているのであればモチベーションが下がることでデメリットが大きいといえます。

管理職に昇格しても昇給は僅かにして、その代わり残業手当も休日出勤手当もつければ、収入は下がりません。実は残業手当をつけないための意欲の低下は、収入の減少よりも手当がつかずタダ働き(実際はそうではないのですが)になっていることの方が大きいです。

ただしムダな残業は人件費を押し上げるため、人件費総額の管理を課長にさせます。

 

上司は、社員と2回/年個別の面談を行う

わずか15分でも部下と上司が個別に面談することは、部下の不満を解消し、やる気を高めるのに非常に効果があります。にもかかわらずほとんどの中小企業で行われていません。たった15分社員の話を聞き、本人に期待することを伝えるだけで、高価な研修よりはるかに効果が高いのですが。

実はそれだけ部下の気持を上司は聞き取っていません。日常のコミュニケーションは一方的な業務の指示や部下からの報告であり、日頃の不満や人間関係の悩みなどは聞いていません。だから改めてそのような機会を設けると様々な不満や悩みを聞くことができます。
 
図4 個別面談の効果

図4 個別面談の効果
 
ただし効果的な面談を行うためには、聞く方にある程度の技術が必要です。せっかく部下が不満を打ち明けているのに「そうではないんだ!」と説教を始めてしまえば、逆効果になってしまいます。そして経営者も含めて、中小企業の管理職の多くは、聴く技術がありません。そのため、後述の管理職教育の中で、まず聴く技術を徹底的に習得させます。逆に言えば、聴く技術がなければ、管理職として部下を使うことはできないと言っても過言ではありません。
 

従来のマネジメントの悪い点を改め、働きやすい環境をつくる

あうんの呼吸、雰囲気で決まる不文律を極力明文化する

多くの日本企業(大企業も含めて)は、明確に決まりになっていないが、やってはいけないことややらなくてはいけないことが不文律となってあります。

これは働いているうちに徐々に分かるようになりますが、若者や外国人のような異文化の人間には、そのような不文律は理解できません。
 
結果として、教えていないことができないからと「できないからダメなやつ」というレッテルを貼ってしまいます。そこでそのような不文律をできる限り明文化します。といってもなんでもかんでもルールを決める必要はなく、新入社員や転職者に「会社に入って戸惑ったことや知らなかったこと」を洗い出させ、それを明文化すれば良いです。
 

飲まない飲み会

飲み会に不満を持つ若手社員は多く、そもそも飲み会に出ない社員もいます。実は飲み会が親睦を深めるためといいながら、先輩社員の憂さ晴らしの場になっていないでしょうか。そういった飲み会は、若手社員や女性社員にとっては、憂さ晴らしにも親睦にもなりません。特に若者や女性が体質的にお酒が飲めなければ、飲み会は苦痛になります。
 
図5 飲み会は苦痛

図5 飲み会は苦痛
 

本当に親睦を図るのであれば、上司は飲まずに若者に飲ませて、若者の愚痴を聞くと良いです。そうすれば大いに親睦が図れる上、お酒が飲めない人の気持が分かります。ついでに帰りのドライバーも買って出ると良いです。

もしこれを聞いて「どうしてそんなことをしなければいけないんだ」と思った人は、親睦といいつつ、自分の楽しみになっているのではないでしょうか。しかし自分の憂さ晴らしをしたければ、同僚や友人とすれば若者たちに苦痛を与えないで済みます。
 
あるいは親睦会をランチミーティングにする方法もあります。ランチミーティングならお酒は出ませんし、飲み会のように何時間もだらだらと続くこともありません。飲まない人にとっては、昼御飯も晩御飯もあまり変わりませんし、同じ予算なら昼御飯の方が豪華なものが食べられます。
 
図6 忘年会はランチ会

図6 忘年会はランチ会
 
ある会社は、パートさんが多いので夜の忘年会は出席できない人が多いので、忘年会を昼に行っています。年末の最終出勤日は、午前中に大掃除を行い、お昼に豪華なランチを食べて忘年会としています。
 

就業規則があいまいなところがあれば、明確にする

着替えの時間、朝礼の時間、終業後の掃除などを就業時間に含めるかどうか、これは会社によってそれぞれ異なります。もしあいまいであれば就業規則に明文化し、全員が守るようにします。そうしないと新入社員が守らないからと注意すると、逆に不満に思います。

最初から明文化し、入社する際にこういう会社だから守るように伝えておけばトラブルが少なくなります。
 

ホンネとタテマエのダブルスタンダードを直す

研修でいろいろ指導されたが、職場に戻るとだれもやっていないなど、ホンネとタテマエのダブルスタンダードになっていると若者たちはやる気を失います。

従って外部研修を受けさせる場合、若者以外の人間も研修を受けさせて研修講師の言うことが違っていれば、社内を改めるか、若者たちに理由を伝えます。逆に言うと自社の実態とかけ離れた内容の研修であれば受けさせない方が良いです。

あるいは、誰も守っていないようなルールがあれば撤廃します。よくあるのが、始業前にラジオ体操をやることになっていてラジオ体操の音楽が流れるが、誰もやっていない会社です。それであればやめてしまった方が良いですし、 やるのであれば社長から率先して行わなければなりません。
 
図7 やるなら全員

図7 やるなら全員
 

パワハラ、モラハラ防止のため社長へのホットラインを設ける

企業は人の集団ですから、何らかのセクハラ、パワハラ、モラハラはあると考えて仕組みづくりを行います。これらは言った方はその意識がなくても、受け取る相手によってそう受け取ることがあるからです。

対策として、セクハラ、パワハラ、モラハラを受けた場合、社員が社長に直接訴えることができる通報制度を整備します。当然通報しても通報者に不利にならないように配慮します。このようなことがないのが一番ですが、例えあっても経営者が社員を守るという姿勢を見せることで抑止になります。当然ですが、経営者自身がセクハラ、パワハラにならないように細心の注意を払います。
 

管理職の能力不足を対策する

若者の育成について考えた時、既存の管理職の能力が不十分な中小企業は多いです。しかし彼ら中堅社員が管理しなければ会社は回っていかないので、管理職としての能力向上に注力します。具体的には、目標となる姿を本人に伝え、外部研修などに参加させます。40代以降の中堅社員は考え方も硬直していて研修の効果はなかなか出ませんが、それでも少しでも能力が向上すれば、部下の成果が上がるため、何度も根気よく教育を受けさせます。

またセクハラ、パワハラ、モラハラは大きな問題になるので、これに対する教育はしっかりと行います。
 

最初に新入社員につける管理職は、育てられる管理職にする

新入社員が最初に接する上司は、その後の会社生活のモデルとなります。これは孵化した雛が最初に見たものを親とするのとよく似ています。そこで新入社員に就ける最初の上司は面倒見がよく、部下を育てられる管理職を充てます。
 
図8 孵化した雛が最初に見るもの

図8 孵化した雛が最初に見るもの
 

部下とコミュニケーションが取れない、自身に意欲や前向きな姿勢がない、このような問題上司
が最初の上司となった新人は、悪い「刷り込み」がされてしまい、それを矯正するのに大変な労力がかかります。それを考慮し、仕事の能力でなく、育てる能力の高い上司に新人をつけます。
 

上司の人気投票、評価制度をつくる

管理職になった社員の評価は社長が行います。そうなると管理職は、社員より社長の方を向くようになります。特に中小企業では、管理職は経営者から嫌われれば立ち行かなくなるのでその傾向がより強くなります。すると若手社員は「うちの課長は社長の顔色ばかり見て」という評価をします。そこで管理職の評価を部下が行えば、管理職は部下を向くようになります。

具体的には、管理職の人気投票を社員が行います。投票は無記名で行い、イベントとして和気あいあいと行います。
 

評価制度の見直し

人事考課は、能力(職能)と目標管理を分けることをお勧めします。職務能力は本人が努力してもそう簡単には変わりません。つまり能力が低いと評価されれば能力はずっと低いままになります。これでは本人がやる気がなくなります。

そこで能力(職能)と目標管理を分け、社員に自分の目標を立てさせ、目標を達成すれば能力が低くても高い評価をつけます。能力の低い社員も目標を達成すれば高い評価をもらえ、モチベーションが高まります。

能力が高い社員も目標が達成できなければ、評価が下がります。そして頑張ろうという気持ちになります。評価はボーナスに反映し、基本給は本人の職務能力、つまり能力で決めます。
 

年功序列制度を廃し、同一労働同一賃金に

職務能力が長期的な経験と共に高くなるような業種であれば、年功序列賃金制度は高スキルの熟練者を引き留める効果があります。しかしそれほど長期の経験を必要とせず、むしろコンピューターや最新の設備を使いこなすことが重要な業種では、年功序列賃金は、同じ仕事をしてもベテランの方が給料が高く、若い人たちの給料は低いため、不満の温床となります。

この場合、年功序列から徐々に同一労働同一賃金ら変えていった方が不満の解消になります。その場合、子供や扶養家族が多いと収入が不足するため、扶養手当や家族手当で収入の不足をカバーします。そうすることで子供大きくなって扶養手当が必要なくなれば、賃金が下がります。その結果、無理に中高年をリストラしなくてもよくなります。
 

コミュニケーションの改善

なんでもメールですます、対面でのコミュニケーションが苦手な若者の特徴を逆に生かし、社内でSNSを使い、コミュニケーションの改善や情報共有を行います。

例えばLINEグループを使い、仕事や顧客の情報共有、問題点の報告を行っている企業もあります。メールで丁寧な報告文章を書くのではなく、LINEで簡単に起きたことを書くだけで、上司やグループメンバーは起きていることがおおよそ分かります。そして不明な点があれば、面と向かって確認します。
 
あるいは社員に毎日日報を書かせて、コミュニケーションを図っている会社もあります。その場合、上司は必ず日報にコメントを書くことです。書いても反応がなければ、書く意欲が下がってしまいます。

実際に私もある現場で週報を書いてもらったことがあります。(日報はさすがに無理だと判断したので)

部門目標を個人目標に落とし込み、毎週目標達成に対して、できたことを書いてもらいました。同時にその週で問題となったこと、そして自分の考えなども書いてもらいました。A4の専用の書式をつくり、週末に10~15分くらいで書いてもらい、その後必ず上司がコメントしました。

その結果、各作業者の考えていることがよく分かり、コミュニケーションが改善されました。また現場の問題点も、普段報告されていないことが週報に書かれていて、現場の状況がよく分かるようになりました。
 
 

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