0.7.中小企業の原価管理のまとめ|実績原価の把握と目標原価の実現方法を解説

原価管理の仕組みづくりまとめ|製造業の原価管理・実務・運用

原価管理の仕組みづくり|目標原価と実績原価を比較し利益を改善する考え方

値上げの次に取り組むべき、実績原価と目標原価の差の管理と目標原価を実現する考え方について解説します

値上げ交渉で値上げができても、実際の原価が高ければ利益は増えません。

原価管理とは、単に原価を下げることではなく、
目標原価を設定し、実績原価との差を調べて、その原因を分析し対策することです。

実際の現場では、

  • 材料費が予定より高い
  • 外注費が想定通りにならない
  • 作業時間が増える

など、目標通りにいかない要因が必ず発生します。

重要なのは、そのれを放置せずに、なぜそうなったのか原因を分析することです。

このページでは、値上げの次に取り組むべき「原価管理」について、実績原価の把握から原価の差異の原因分析、対策までの考え方を解説します。

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原価管理とは|目標原価を実現するための活動

原価管理は、原価低減だけでなく、実績原価の把握から原価の差異の原因分析、対策までのの一連の活動です。
これは目標原価を実現するための活動です。

そのためには、

  • 実績原価を把握する
  • 目標原価と比較する
  • 差異の原因分析する
  • 対策を行う

という流れが必要です。
実際には、目標原価では生産できず差異が発生します。

これまで原価管理は、原価低減活動と考えられてきましたが、それだけではありません。
目標原価を設定し、何が原因で差が生じたのかを分析し、自社に合ったやり方で改善につなげることが原価管理なのです。

ここで目標原価を強調するのは、目標原価が適切でない場合があるからです。
「こんなに高くては売れない」「競合はもっと安い」といった理由で、無理に低い目標原価を設定してしまうことがあります。
しかし、もともと無理な目標原価を設定すれば、どれだけ原価低減を進めても目標原価の達成は困難です。
こうした場合、原価低減でなく、無理な目標原価の設定を見直すことが必要です。

原価管理は、受注金額(売価)に対し、実際の利益がどれだけあるのかを管理する仕組みです。
ここからは、材料費、外注費、製造費用(加工費)など、どこで原価の差が生まれるのかを見ていきます。

材料費の管理|単価だけでなく、歩留や使用量も管理する

材料費が予定より高くなる原因は、材料単価の上昇や、使用量の増加があります。
特に歩留の悪化やスクラップの増加は、材料費に大きく影響します。

同じ材料でも、投入量と完成品の関係が変われば、製品1個あたりの材料費は変わります。

材料費の差が見えたら、次は外注費です。
外注費は単価だけでなく、内製との比較も含めて考える必要があります。

外注費の管理|単価だけでなく、内製と比較する

外注費が予定より高くなる原因の多くは、想定していた価格で外注できないことにあります。
そうならないようにするため、最初に外注から見積を取り、実際の価格を把握することが重要です。

また、外注が安ければ外注に出した方が得とは限りません。
外注に出すことで工場の稼働が下がれば、固定費が回収できなくなり、会社全体では原価が上がります。

一方で、その製品を受注することで設備投資が必要な場合は、原価が高くても外注化した方がよい場合があります。 このように外注に出すべきかどうかの判断は、金額だけでなく、固定費の回収や設備投資の必要性、資金まで含めて考える必要があります。

外注費の次は、製造費用です。
製造費用は、時間、ロット、設備の使い方によって大きく変わります。

製造費用の管理|時間・ロット・設備の使い方で原価は変わる

製造費用、つまり加工費が予定より高くなる原因は多岐にわたります。

例えば、

  • 無人加工を予定していた工程が有人加工になる
  • ロットが小さくなり段取費用が増える
  • 標準時間が不明確で作業時間が長くなる

といった要因です。

さらにまた、人と設備の組み合わせや工程の構成によっても原価は大きく変わります。 また改善活動で工数が減っても、浮いた人や時間を別の仕事に活用できなければ、計算上の原価は下がっても実際の利益は増えません。

このように実際の原価管理では、作業者の時間の使い方、ロットの大きさ、設備の使い方など、工場の負荷と工数のバランスまで含めて考えることが必要です。

さらにまた、人と設備の組み合わせや工程の構成によっても原価は大きく変わります。
また改善活動で工数が減っても、浮いた人や時間を別の仕事に活用できなければ、計算上の原価は下がっても実際の利益は増えません。

このように実際の原価管理では、作業者の時間の使い方、ロットの大きさ、設備の使い方など、工場の負荷と工数のバランスまで含めて考えることが必要です。

製造費用を見るときは、設備の考え方も重要です。
高い設備を使うと本当に原価が上がるのか、次に確認します。

設備と原価の考え方|高い設備でも原価が上がるとは限らない

設備費の大半は、設備の購入費用、つまり減価償却費です。

減価償却費は、すでに支払った過去の費用です。
そのため、アワーレートが高い設備を使っても、キャッシュアウトが増えるわけではありません。
この点は、多くの管理者が誤解しやすい点です。

重要なのは、設備の価格だけではありません。
稼働時間、生産性、工程全体への影響によって、1個あたりの原価は変わります。
高い設備を使うかどうかは、アワーレートだけでなく、実際の利益や資金の動きも含めて考える必要があります。

製造原価だけでなく、金型や治具などのイニシャル費の回収も利益に大きく影響します。

原価以外の費用の管理|イニシャル費を回収できるか

利益を考える上で、原価以外の費用も重要です。

たとえば、

  • 金型費
  • 治具費
  • 専用設備
  • 設計費

などのイニシャル費を回収できなければ、その製品は利益を生みません。

これらの費用は、製品単価に上乗せして回収することがありますが、生産数量が予定通りにならなければ回収できないリスクがあります。
そのため、製品単価だけでなく、回収計画まで含めて管理することが必要です。

原価管理では、費用をどう捉えるかも重要です。
次に、直接原価計算と全部原価計算の考え方を確認します。

直接原価計算と全部原価計算|固定費をどう扱うか

固定費は、生産量によって1個あたりの負担が変わります。

生産量が増えれば、製品1個あたりの固定費は下がります。反対に、生産量が減れば、製品1個あたりの固定費は上がります。
このため、固定費を原価に含めない直接原価計算もあります。
しかし、実務では注意が必要です。

それは直接原価計算では、製品ごとの採算が見えにくくなることです。

原価管理では、直接原価計算の特徴を理解しつつ、固定費を含めた全体の原価で判断することが重要です。

直接原価計算と全部原価計算を理解するには、変動費と固定費の考え方が欠かせません。

変動費と固定費の理解|原価管理の前提となる考え方

製造業では固定費の割合が高く、常に固定費の回収が課題になります。

そのためには、変動費と固定費の違い、製品ごとの負担の変化、数量による影響を理解する必要があります。

変動費と固定費は、単純に分けられるものではありません。
生産形態や数量条件によって、扱いが変わる場合もあります。

原価管理は、単なる計算ではなく、利益構造を理解するための基礎でもあります。

原価管理の仕組みづくり まとめ

原価管理とは、目標原価を設定し、実績原価との差を把握し、その原因を見つけ、目標原価を実現するための対策を行う活動です。

材料費、外注費、製造費用、設備費、イニシャル費など、差が生まれる原因はさまざまです。
そのため、原価管理では単に金額を見るだけでなく、なぜ差が生じたのかを把握する必要があります。

そして、その対策の多くは原価低減活動です。
一方、目標原価が適切でなければ、どれだけ原価低減を進めても目標原価は達成できません。

原価管理は、原価を計算して終わりではありません。
値上げと価格交渉で実現した売価に対して、必要な利益が確保できているかを実績原価で確認し、
差があれば原因を把握し、対策につなげる価格と利益の管理活動です。

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原価管理まで理解できたら、必要に応じて見積原価の前提やアワーレートの考え方を見直す段階です。
原価計算の基本に戻り、再度全体を見直すことで、より実態に近い管理につながります。

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原価管理まで理解できれば、原価計算、見積、値上げ、価格交渉、実績原価の確認までの流れがつながります。 必要に応じて「原価計算から値上げまでのまとめ」や「書籍・無料PDF・関連コラムまとめ」で知識をさらに深めることをお勧めします。