人件費 | 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク https://ilink-corp.co.jp 数人の会社から使える原価計算システム「利益まっくす」 Mon, 27 Oct 2025 09:32:27 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.7.4 https://ilink-corp.co.jp/wpst/wp-content/uploads/2021/04/riekimax_logo.png 人件費 | 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク https://ilink-corp.co.jp 32 32 価格転嫁に役立つ!値上金額計算サイト(無料) https://ilink-corp.co.jp/15946.html https://ilink-corp.co.jp/15946.html#respond Fri, 23 May 2025 01:00:54 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=15946 製造費用に占める人件費や電気代などの経費を概算し、およその値上げ金額が計算できるサイトです。
価格転嫁・値上げ交渉の際に、取引先から値上げの根拠を求められた時、値上げ金額の明細が分かります。

本サイトはあくまで目安を計算するためです。正確な金額の計算には、各工程のアワーレート、アワーレートに占める人件費、電気代の比率が必要です。(弊社の原価計算システム「利益まっくす」をご利用いただくと、製品毎の詳細な値上げ金額もご提供します。)

本サイトはどなたでも利用できますが、結果の責任は負いかねます。また内部計算のご質問はお答えできません。

注意点

結果は目安とするための概算です。正確な値上げ計算には以下が必要です。工程毎の人や設備のアワーレート(間接費を含む)の計算や、労務費や経費の性格な比較計算は「利益まっくす」が必要です
利益まっくすについては以下をご参照願います

  • ぞれぞれの製造工程の人と設備のアワーレート (現場の人数、労務費、有人加工・無人加工によって変わります)
  • それぞれ製造工程の製造時間(段取時間、加工時間) (段取時間は段取費用を原価に入れる場合のみ)
  • それぞれのアワーレートに占める間接部門の労務費、工場の経費の占める比率

弊社の原価計算システム「利益まっくす」をご利用いただくと、それぞれの製造工程の人と設備のアワーレートが分かります。また「利益まっくす」のお客様には、アワーレートに占める間接部門の労務費、工場の経費の占める比率から、値上げ金額が計算できるツールをご提供します。

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【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】具体的なモデルでロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失を解説

経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

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https://ilink-corp.co.jp/15946.html/feed 0
【原価計算と見積の基礎】4.人のアワーレートの計算方法 https://ilink-corp.co.jp/9560.html https://ilink-corp.co.jp/9560.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:18:32 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9560
このコラムの概要

企業の原価計算には、アワーレートを正確に算出することが不可欠です。これには、単なる賃金だけでなく、法定福利費や退職金、交通費、さらには家賃や光熱費といった間接費まで含める必要があります。これらの費用を網羅的に考慮し、人件費を固定費として扱うことで、製品の正確な原価を把握し、利益を確保できる競争力のある見積もりが可能になります。

 
【原価計算と見積の基礎】2.製造原価の計算方法(1)では工場で発生する必要と製造原価の構成について

【原価計算と見積の基礎】3.製造原価の計算方法(2)では間接製造費用と販管費、見積金額の計算について説明しました。

ここではアワーレート(人)の計算について説明します。
 

アワーレート(人)は稼働率を入れて計算

 
アワーレート(人)とは、1時間あたりの人の費用です。

これは時給とは違うのでしょうか?
 

アワーレート(人)の計算

 
アワーレート(人)は、人の年間費用を1年間の稼働時間(実際にお金を稼いでいる時間)で割って計算します。

1年間の稼働時間は、年間の就業時間に稼働率をかけて計算します。

従ってアワーレート(人)の計算は以下のようになります。

つまりアワーレート(人)は、稼働率の分、時給より高くなります。
 

A社 正社員Aさんのアワーレート(人)

 
A社の正社員Aさんの費用とアワーレート(人)を図1に示します。稼働率は80%とします。

図1 正社員Aさんのアワーレート

Aさんの支給額は月20.23万円〈注1〉賞与含めて15か月分で303.5万円でした。

社会保険料の会社負担分は303.5万円の16%、49万円でした。


〈注1〉本コラムはできるだけ区切りがいい数字になるように金額を決めています。そのため、現実の費用と比べると高すぎる、あるいは低すぎることがあります。

Aさんの年間費用は

年間費用=20.23×15×(1+0.16)
    =352 万円

Aさんのアワーレートは、

A社 パート社員Hさんのアワーレート(人)

 
パート社員Hさんの時給は、960円/時間、年間費用は115.2万円でした。(図2)

アワーレート(人)は、稼働率が0.8のため、Hさんのアワーレート(人)1,200円/時間でした。

図2パート社員のアワーレート(人)

正社員Aさんのアワーレート(人)   : 2,000円/時間

パート社員Hさんのアワーレート(人) : 1,200円/時間

時給960円のHさんのアワーレート(人)は、稼働率0.8で割ったため1,200円です。

なぜアワーレート(人)の計算に稼働率をかけるでしょうか?

この稼働率は何を意味するのでしょうか?
 

稼働率の意味するところ

 

稼動率の意味は、企業や書籍により様々です。本コラムは、稼働率を「就業時間に対し付加価値を生んでいる時間(稼働時間)の割合」とします。


例えば、ある作業者の1日は図3のようになっていました。

図3 ある作業者の1日

この1日は以下のように分けられます。
 

【付加価値を生んでいる時間】

  • 段取時間
  • 生産時間

 
【付加価値を生んでいない時間】

  • 朝礼
  • 移動
  • トイレのため離席
  • 資材を探す
  • 会議
  • 片付け

 

ここで付加価値を生んでいる時間に段取時間が入っているのは、本コラムは段取費用も見積に入れているからです。

多品種少量生産では、ロットの大きさが違うと製品1個当たりの段取費用が大きく変わります。そのため原価に段取費用を入れます。

大量生産で段取の頻度が少なく、段取費用が見積に入っていない場合、段取時間は付加価値を生まない時間です。

作業者が1日忙しく働いていても、このような付加価値を生まない「稼いでいない時間」があります。しかしこの時間も費用(人件費)は発生しています。

そこで就業時間に対し付加価値を生んでいる時間の割合を稼働率とします。

アワーレート(人)は、人の年間費用を就業時間に稼働率をかけたもので割って計算します。受注が少なくなり稼いでいる時間も少なくなれば、稼働率は下がります。

1日フルに生産するだけの受注がなく、空いた時間に5S活動(整理・整頓)や改善活動を行っても、それは「お金を稼いでいない時間」です。その分、アワーレート(人)は高くなっています。

稼動率は、作業者の稼働時間と就業時間を集計すれば計算できます。

実際は1年を通して行うのは大変なので、数名を一定期間調べて全体の稼働率を推定します。稼働率の値は、1日現場に入っている作業者でも80~95%ぐらいです。
 

賃金、社会保険料、派遣、請負などの費用は?

 

労務費には図4に示すように

  • 賃金
  • 賞与
  • 退職金
  • 各種手当
  • 社会保険料(法定福利費)
  • 福利厚生費
  • 雑給

があります。

図4 労務費の内訳

この労務費は、賃金、賞与、退職金、各種手当などが含まれます。

各現場の人の年間費用は、その現場に所属している人の労務費を集計します。

社会保険料は、全社員がまとめて計上され、個々の社員の金額はわからないことがあります。社会保険料の会社負担の合計はA社では約16%でした。そこで人件費の16%で概算しました。(これは業界によって異なりますので注意してください。)

派遣社員や請負の費用は労務費でなく、外注費や製造経費に入っていることもあります。
これらは原価計算では「労務費」なので、各現場の人の費用に入れ、その分、外注費や製造経費からマイナスします。
 

賃金の高い人のつくった製品の原価は高いのか?

 
正社員Aさんとパート社員Hさんのアワーレート(人)は

正社員Aさんのアワーレート(人)   : 2,000円/時間

パート社員Hさんのアワーレート(人) : 1,200時間

パート社員Hさんのアワーレート(人)は正社員Aさんの60%です。その結果、同じ製品を1時間かけて製造した時の費用は

正社員Aさんが製造   : 2,000円

パート社員Hさんが製造 : 1,200円

パート社員Hさんが製造すればAさんの60%になります。

この計算は正しいのですが、現実には全く同じ製品を、つくった人が違うために異なる原価で管理するのは困難です。

そこで正社員Aさん、パート社員Hさんも含めた、その現場全体の平均アワーレート(人)を使います。
 

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場の平均アワーレート

 

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場は、図5に示すようにA~Dさんまで4人の作業者(正社員)がいました。年間総支給額も352~528万円と幅がありました。

ただし就業時間と稼働率は、計算を簡単にするため同じにしました。

図5 現場の平均アワーレート(人)

マシニングセンタ1(小型)の現場の作業者の年間費用合計は

作業者の年間費用合計=352+352+440+528
          =1,672 万円

マシニングセンタ1(小型)の現場の作業者の「就業時間×稼働率」の合計は

作業者の「就業時間×稼働率」の合計=2,200×0.8×4
                 =7,040 時間

平均アワーレート(人)は以下の式で計算します。

マシニングセンタ1(小型)の現場の場合

平均アワーレート(人)は、2,380円/時間でした。この2,380円/時間であれば、誰がつくっても同じ原価になります。

 

稼働率が低い年は翌年アワーレート(人)が高くなる?

 

忙しい月は人の稼働率が高く、暇な月は稼働率が低くなります。

その結果、忙しい月はアワーレート(人)が低くなり、暇な月はアワーレート(人)が高くなります。そうなると原価が変わってしまいます。

これでは製品が儲かっているのは

  • 高く受注できた
  • 短い時間で生産できた
  • たまたまその月は稼働率が高かった

どれなのかわからなくなってしまいます。

アワーレート(人)は、原価を計算する「ものさし」です。

そこで稼働率は年間で一定とし、アワーレート(人)は一年間変わらないようにします。(この点が、毎月の稼働率から実際原価を計算する財務会計の原価計算と違う点です。)

一方、年によって繁忙状況が変わることもあります。

本コラムは、先期の決算書からアワーレートを計算します。そのため先期の稼働率が低ければ、翌期のアワーレート(人)は高くなります。

本当は、先期は受注が少なかったので、今期は受注を増やしたいところです。

しかし今期のアワーレート(人)が高ければ、見積も高くなってしまい、一層受注しにくくなります。

この場合は、工場が元々目標としている稼働率でアワーレート(人)を計算します。そしてその稼働率を達成できるように営業活動に力を入れます。

では、アワーレート(設備)はどうやって計算するのでしょうか。

アワーレート(設備)の計算方法は【原価計算と見積の基礎】5.設備のアワーレートの計算方法(1)で説明します。

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】

経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
中小企業が自ら原価を計算する時の手引書として、専門的な言葉を使わず分かりやすく書いた本です。
【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】モデルを使ってロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失

弊社執筆の原価計算に関する著作は以下からご参照いただけます

月額5,000円で使える原価計算システム「利益まっくす」

中小企業が簡単に使える低価格の原価計算システムです。
利益まっくすの詳細は以下からお願いします。詳しい資料を無料でお送りします。

経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

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https://ilink-corp.co.jp/9560.html/feed 0
【原価計算と見積の基礎】1.なぜ原価が必要なのか? https://ilink-corp.co.jp/9511.html https://ilink-corp.co.jp/9511.html#respond Tue, 16 Jan 2024 05:18:39 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9511
このコラムの概要

原材料やエネルギー、人件費の高騰が続く中、中小製造業にとって「自社製品はいくらで作っているのか?」を正しく把握することがこれまで以上に重要になっています。利益を確保するには、値上げ交渉や価格転嫁を的確に行う必要があり、その基盤となるのが「個別原価」の管理です。本記事では、個別原価とは何か、なぜ見積や経営判断に不可欠なのか、財務会計との違いを交えながら、中小企業が最低限押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。

なぜ個々の製品の原価(以降、個別原価)が必要なのでしょうか?

「たとえ個別原価がわかっても発注先が一方的に値段を決めるので意味がない」
このような意見もあります。

しかし、個別原価がわからないことで次のような問題があります。
 

「どんどん上がる物価」個別原価がわからなければ値上げできない

 
個別原価がわからなければ原材料や光熱費が上がっても、製品がいくら上がっているのかわかりません。なぜなら原材料や光熱費は生産量によって毎月変動するからです。

試算表を見ても費用が増えているのは「その月の使用量が増えたため」なのか、「値上げの影響なのか」わかりません。決算になって利益が減ったことで、ようやく値上げの影響がわかります。
 

原材料価格の上昇

 
鋼材など鉱物資源は世界中で需要が増加し、価格も上昇しています。

図1の厚板16~25ミリの鋼材の市況価格は、2021年の4月から1年間で40%も上昇しました。

図1 鋼材価格の推移 (厚板16~25ミリの例)

 

エネルギー価格の上昇

 
原油価格は、ウクライナ戦争や産油国の供給調整、投機マネーの流入により大きく変動します。さらに原油や天然ガスは円安の影響も強く受けます。

これにより電気代は高騰し、kWhあたりの平均販売単価は、図2に示すように2022年12月には2年前に比べ2.5倍に上昇しました。(中部電力の例)
 

図2 電気平均販売単価の推移(中部電力)


 
他にも、樹脂や潤滑油など石油を原料とする製品や、刃物などの消耗品、梱包用の段ボール、運送費なども上がっています。
 

人件費の上昇

 
人件費も上昇しています。

図3に示すように、最低賃金は10年間で26%上昇しました。(例 愛知県)最近は人手不足による賃金上昇が加わっています。
 

図3 最低賃金の推移(愛知県)


 

値上げは喫緊の課題

 
このような背景から電気・ガスなどの光熱費、消耗品や運送費などは、随時値上げされています。

これに対し交渉の余地はほとんどありません。その分値上げしなければ利益が削られてしまいます。多くの中小企業にとって値上げは喫緊の課題です。

しかし中には「値上げは無理」とあきらめている会社もあります。

材料費や運送費は、交渉のやり方によっては値上げできる可能性があります。

いくら個別原価が上がったのかわからなければ値上げ交渉ができません。他にも、個別原価がわからないために起きる問題があります。
 

「本当はもっと高いかもしれない」実績原価との違い

 
それは実績原価が見積をオーバーしてもわからないことです。

実績原価が高くなる原因は

  • 設備のトラブルや不安定な工程のため、予定より時間がかかった。
  • 納期に間に合わないため、製造している製品を止めて別の製品を割り込ませた。そのため段取が2回発生した。
  • 作業ミスのため不良品が発生した。
  • 顧客から傷の指摘を受け、全数検査を追加した。
  • 金型費は製品の価格に上乗せする契約で受注したが、途中で生産が打ち切られた。

など様々です。
 

問題を早期に発見するためには実績原価の把握が必要

 
実績原価が上がれば利益が減るだけでなく、時には赤字になります。しかし実績原価を把握していなければ、赤字かどうかもわかりません。

問題を早く発見し対処するには、実績原価の把握は不可欠です。

一方、多品種少量生産の場合、1個1個製造時間を記録するのは大変です。それでも「ロット毎に生産開始と完了の時間を記録する」などやり方を工夫すれば実績時間の記録は可能です。
 

儲かっているかどうかがわかる「ものさし」

 
つまり個別原価は、工場がどのくらい儲かっているかどうかを把握する「ものさし」です。ものさしがなければ、現場が日々適切な利益を出しているかどうかがわかりません。

決算をしてようやく儲かっていないことがわかります。しかしその時は手遅れです。
 

試算表では儲かっているかどうかわかりにくい

 
試算表でもお金の動きはわかりますが、会社全体のお金の動きです。しかも工場の費用は毎月変動します。さらに売上と費用は発生時期もずれます。

儲かっているのかどうかは、試算表ではわかりにくいのです。

しかし、実績原価がわかれば生産している製品が「利益を生んでいるのか、赤字になっているのか」わかり、直ちに手を打つことができます。(図4)
 

図4 個別原価がわからないと問題が放置される


 

原価は計器の役割

 
夜間飛行している航空機のパイロットは、機体が上昇しているのか、下降しているのか目視ではわからないといいます。そのためパイロットは計器を見て操縦します。

同様に個別原価は、工場が適正に運営されているのか、高度(利益)を落としているのかを判断する計器なのです。(図5)
 

図5 個別原価は工場の「ものさし」


 

「ものさし」を財務会計に使う必要はあるか?

 
財務会計において原価計算は重要です。それは個別原価から在庫や仕掛品の金額を計算し、そこから会社の利益を計算するからです。

そのため、大企業は発生した費用を細かく集計して個別原価を計算します。

原価計算は専任の社員が専用のシステムで行います。これは中小企業にとってはとても高いハードルです。
 

決算目的の原価計算と管理目的の個別原価は分ける

 
しかし、決算に必要な原価計算は、今までも会計事務所や税理士が行っています。新たに計算した個別原価を財務会計に使用するメリットは中小企業にはありません。

財務会計に使用しようとすれば、会計基準に合わせた複雑な処理をしなければなりません。そこに手間をかけるより、個別原価はあくまで製品の収益性を評価する「ものさし」とし、製造の仕方や見積のやり方を改善することに力を入れた方が現実的です。
 

お金を数えるのは1度だけ

 
原価計算は、結果が金額(数字)で出るため、つい手間をかけてしまいます。しかし、「どれだけ手間をかけてお金を数えてもお金が増えるわけではありません」。

お金を数えるのは最低限(1回)で十分です。あとはお金を増やすこと(現場の改善)に努力すべきです。

この個別原価はどうやって計算するのでしょうか。

これは【原価計算と見積の基礎】2.製造原価の計算方法(1)で説明します。

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】

経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
中小企業が自ら原価を計算する時の手引書として、専門的な言葉を使わず分かりやすく書いた本です。
【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】モデルを使ってロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失

弊社執筆の原価計算に関する著作は以下からご参照いただけます

月額5,000円で使える原価計算システム「利益まっくす」

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【製造業の値上げ交渉】4. 人件費が上昇すれば原価はどれだけ上がるのだろうか? https://ilink-corp.co.jp/9383.html https://ilink-corp.co.jp/9383.html#respond Mon, 08 Jan 2024 03:57:32 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9383
このコラムの概要

製造業は人件費上昇が製品原価に与える影響を正確に把握すべきです。単に人件費総額を見るのではなく、製品ごとの工数にアワーレート(時間当たり人件費)を掛けて、製品ごとの原価上昇額を算出することが重要です。この具体的なデータを値上げ交渉の根拠とすることで、顧客を納得させ、適正な利益を確保し、持続的な経営を実現できます。

 
最低賃金が上昇し、人手不足もあって人件費が上昇しています。

また2022年以降、資源高、円安などの影響で物価も上昇しています。生活を維持するための賃上げも必要になってきました。
 

人件費の上昇

 
デフレが続く日本でも、これまでも人件費は上昇していました。

それは最低賃金が上がっているからです。

図1に2014年から2023年の間の最低賃金(全国加重平均)の推移を示します。

2014年から2023年の10年間で最低賃金は780円から1,004円と約3割(28.7%)上昇していました。

図1 10年間の最低賃金の推移
図1 10年間の最低賃金の推移

最低賃金は10年間で3割近くも上昇しています。

直近の3年間、2021年から2023年の間でも930円から1,004円と8%上昇しています。

加えて人手不足もあって、最近は最低賃金ではバート・アルバイトの雇用が難しくなっています。
 

賃金上昇でアワーレートは増加

 
人件費が上昇すれば、作業者の費用は増加します。さらに作業者の費用(直接製造費用)だけでなく、間接部門や販管費の人件費も上昇するため間接製造費用や販管費も押し上げます。

これにより原価はどれだけ増加するのでしょうか?
 

人件費の上昇によるアワーレートの上昇

 
架空のモデル企業A社を例に、会社全体の人件費が8%上昇した場合の原価の上昇を計算します。

モデル企業A社の詳細は「製造業の値上げ交渉1 個々の製品の原価はいくらなのだろうか?」を参照願います。
 

平均アワーレート(人) (直接製造費用)の上昇

 
このA社のNC旋盤の現場は、作業者は4人、直接作業者の平均アワーレート(人)は2,375円/時間でした。

このアワーレートの計算は「製造業の値上げ交渉2 我が社の人と設備のアワーレートはいくらなのだろうか?」を参照願います。

作業者4人の年間費用 : 1,672万円

人件費が8%上昇したため

作業者の年間費用=1,672×(1+0.08)=1,806万円

1,672万円が1,806万円に上昇しました。その結果
平均アワーレート(人)の計算

平均アワーレート(人)は、

  • 上昇前 2,380円/時間
  • 8%上昇 2,570円/時間

190円/時間増加しました。
 

間接部門費用も上昇

 
人件費が8%上昇したため、間接部門の労務費も増加します。その結果、NC旋盤の現場の間接製造費用の分配は、544万円から571万円に増加しました。

これにより間接製造費用を含んだアワーレート間(人)は〈注〉
間接製造費用を含んだアワーレート間(人)


〈注〉本コラムでは、間接製造費用を含んだアワーレートを区別するために、

  • 直接製造費用のみのアワーレート : アワーレート(人)、アワーレート(設備)
  • 間接製造費用を含んだアワーレート : アワーレート間(人)、アワーレート間(設備)

と表記します。
またアワーレートは、直感的に理解しやすいように一桁目を四捨五入しています。(正確さよりもわかりやすさを重視しています。) 実際の計算では正確な数字を使用願います。

アワーレート間(人)は、

  • 上昇前 3,150円/時間
  • 8%上昇 3,380円/時間

230円/時間増加しました。
 

アワーレート間(設備)も上昇

 
間接製造費用分配の増加は、アワーレート間(設備)にも影響します。

NC旋盤の現場の設備の間接製造費用の分配も544万円から571万円に増加しました。
間接製造費用を含んだアワーレート間(設備)

アワーレート間(設備)は、

  • 上昇前 1,470円/時間
  • 8%上昇 1,510円/時間

40円/時間増加しました。

このアワーレート間の上昇により原価はどう変わるでしょうか?
 

A1製品の原価

 
A社 A1製品の原価を計算します。

  • 製造時間 : 0.075時間
  • アワーレート間(人) : 3,380円/時間
  • アワーレート間(設備) : 1,510円/時間
アワーレート間(人+設備)の計算
製造費用の計算


製造費用は、

  • 上昇前 346円
  • 8%上昇 367円

21円増加しました。

その結果、製造原価は
製造原価の計算

製造原価も21円増加しました。
 

販管費の増加と見積金額

 
人件費の上昇により販管費の労務費も増加します。A社の販管費は7,700万円が7,868万円に増加しました。
 

販管費レートは増加するとは限らない

 
ただし、A社の場合、販管費の増加以上に製造原価が増加しました。その結果、販管費レートは25%から24.7%と、むしろ減少しました。
 

実際の販管費と見積金額

 
人件費8%上昇後の見積金額は、製造原価は747円なので
見積金額の計算

見積金額は

  • 上昇前 988円
  • 8%上昇 1,013円

25円増加しました。これを図2に示します。

図2 人件費の上昇による見積金額の上昇
図2 人件費の上昇による見積金額の上昇

このように人件費の上昇は原価全体に影響します。
 

3年前に見積した製品も高くなっている可能性

 
時給が最低賃金と同期して上がっている場合、3年前に988円で見積した製品は、現在は25円値上げしなければ、目標の利益が得られません。もしギリギリの価格で受注していた場合、今は赤字になっている可能性もあります。

この値上げ金額の計算は、利益まっくすの値上げ計算シートを使って計算することができます。

では、人件費以外に電気代や消耗品が上がった場合、原価はどうなるのでしょうか?

これについては【製造業の値上げ交渉】5. 電気代が上昇すれば原価はどれだけ上がるのだろうか?」を参照願います。

本コラムの内容について、以下の動画もあります。

経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

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【現場で役立つ原価のはなし】 3. アワーレート(人)とは?その1 計算方法 https://ilink-corp.co.jp/3962.html https://ilink-corp.co.jp/3962.html#respond Fri, 21 Sep 2018 01:25:06 +0000 http://ilink-corp.co.jp/?p=3962
このコラムの概要

人が1時間作業した時の費用「アワーレート(人)」は、年間人件費を実働時間と稼働率で割って算出します。その際、給与以外に賞与や社会保険料も含みます。また稼働率によってアワーレート(人)は変動します。また人の賃金によって異なるため、その現場の平均アワーレートを使います。

人が1時間作業すると、会社にとってどれだけのコストがかかるのか?
それを示すのが「アワーレート(人)」(円/時間)です。
今回は、実際の計算方法や、稼働率による違い、現場ごとの違いなど実践的な視点からアワーレート(人)を解説します。

なお、具体的に理解できるように、架空のモデル企業の数値を入れて実際に計算しています。

1時間当たりの人の費用は?

アワーレート(人)は、社員にかかる年間費用を年間の労働時間で割ることで求めます。

例:社員aさんの場合

  • 年間費用:400万円
  • 年間労働時間:2,100時間
  • アワーレート(人) : 1,900円/時間

これは以下の式で計算します。

1時間の費用 = 1年間の人の費用 年間時間 =     2,100 = 1,905 ≒ 1,900 円/時間

図 人の費用とアワーレート(人)
図 人の費用とアワーレート(人)

人件費が年間400万円の場合、1時間1,900円の費用が発生します。

人の年間費用とは?

例えば、ある会社が社員aさんに支払う費用には以下のようなものがあります。

  • 基本給 : 21万円 (定時時間162時間/月)
  • 残業手当 2.1万円 (月平均残業時間 13時間、残業割増率 : 25%)
  • 賞与(年間合計) : 3か月
  • 総支給額 347万円
  • 社会保険料(会社負担) : 53万円(年間)
  • 年間人件費合計 400万円

時給とは違うアワーレート(人)

aさんの基本給を手時時間で割った時給は約1,300円です。
しかし実際の総支給額347万円を年間就業時間で割った時間単価は1,900円です。なぜならaさんの費用には、賞与や手当、会社負担の社会保険料も含まれているからです。


実はアワーレートは、この1,900円/時間ではないのです。

アワーレート(人)の計算式

なぜならアワーレート(人)の計算には稼働率が入るからです。

アワーレート(人)の計算式

アワーレート(人)の計算式は以下の式です。

アワーレート(人)= 1年間の人の費用 年間時間×稼働率

例:aさんの稼働率が80%の場合

アワーレート(人)は

アワーレート(人)= 1年間の人の費用 年間時間×稼働率 =   400万円 2,100時間×0.8 =2,381 ≒ 2,380 円/時間

稼働率を考慮すると、アワーレート(人)は1,900円/時間が、2,380円/時間と1.3倍に増加します。
なぜ稼働率で割るのでしょうか?

注) 本コラムは一桁目を四捨五入することがありますが、これは数字を直感的にとらえやすくするためです。実際は正確に計算してください。

稼働率とは?

1日の就業時間の中で、実際に「付加価値を生んでいる時間」の比率です。
なぜなら作業者の1日の中でお金を稼いでいない時間があるからです。

「お金を稼いでいる時間」とは?

  • お金を稼いでいる時間(稼働時間):段取・生産時間(見積に含まれるため原価対象)
  • お金を稼いでいない時間(非稼働時間):朝礼、移動、資材を探す、片付け、トイレなど
ある作業者の1日

このお金を稼いでいない時間も費用は発生しているため、アワーレート(人)の計算では稼働率で割って、稼働率の分アワーレート(人)が高くなるようにしています。

注) ここで段取時間を生産時間に入れているのは、見積金額に段取費用を入れているからです。段取もお金をもらうため「お金を稼いでいる時間」です。多品種少量生産では、ロットが変わると原価が大きく変わるため、原則として段取費用も見積に入れます。
これに対して大量生産では段取費用を見積に入れないことが多く、この場合、段取時間は「お金を稼いでいない時間」です。

稼働率の計算

稼働率は以下の式から計算します。

稼働率= 稼働時間 就業時間

原価計算の目的は以下の2つです。

  • 見積金額の妥当性を判断
  • 実際の利益を分析し改善点を探る

そのため、アワーレート(人)は1年間固定して使うのが基本です。前年実績をもとに設定した値に固定することで正確な利益分析ができます。
その場合、稼働率は年間の平均稼働率を使用します。


一方月次決算では、現場の稼働率は毎月変動するため、適切な稼働率を計算します。その結果、アワーレート(人)も毎月変動します。

注) 稼働率はさまざまな定義がありますが、本コラムでは稼働率は就業時間(設備は操業時間)に対する稼働時間の比率とします。

稼働率の実態と測定

現場によって実際の稼働率は異なります。
実際の値は、大量生産の作業者で90~95%、多品種少量生産の現場ではこれより低くなります。

稼働率によってアワーレート(人)が大きく変動しますが、全員の稼働率を把握するのは簡単ではありません。すべて日報に細かく記録していない現場も多く、たとえ記録していてもデータ化されていない工場もあります。(IoTデバイスでリアルタイムに記録していれば別ですが)。

そこで数人の作業者を数日間サンプリングしておよその稼働率を測定します。こうして調べると稼働率が思ったより低いこともあります。
(私の経験では、生産準備や後片付けのため1日の10%は非稼働時間でした。その結果、1日7.2時間(90%)で生産計画を立てるようにしました)。

稼働率を使わない場合の注意点

稼働率を使わない場合、非稼働時間の費用は「間接製造費」として別途原価に計上する必要があります。そのためには現場の作業者の非稼働時間を集計しなければなりません。これは手間がかかるため、稼働率を使って計算した方が簡単で実用的です。

稼働率が変わらない?でも実は原価増

受注が減って現場の出来高は減少しているのに稼働率が変わらないことがあります。なぜならその日の仕事がなくなると困るため、作業者が作業スピードを調整するからです。

例えば、出来高が800個から600個に減っても、8時間かけて製造していれば、一見稼働率は買わせないように見えます。しかし出来高を見れば稼働率は低くなっていて原価は高くなっています。従って稼働率だけでなく出来高にも注意が必要です。

現場のアワーレート(人)は?

現場には賃金の高い人がいれば低い人もいます。この場合、アワーレート(人)はどうなるのでしょうか?

図 平均アワーレート
図 平均アワーレート

給料の違いによる差

この工場には中堅社員bさん、ベテラン社員cさんもいます。
アワーレート(人)はどう変わるでしょうか?
それぞれのアワーレート(人)を表に示します。

社員年間人件費アワーレート(人)
若手社員aさん400万円2,380円/時間
中堅bさん550万円3,270円/時間
ベテランcさん700万円4,170円/時間

同じ製品でも作業者によって原価は最大1.8倍も違います。
これはどう考えればいいのでしょうか?

現場の平均アワーレート(人)

人件費の高い人が生産すれば原価が高くなるのは真実です。
しかし作業者の違いによって同じ製品の原価を管理するのは大変なので、現場単位で平均アワーレート(人)を使う方法が一般的です。

例 4人の現場

作業者と年間労務費は
若手社員a1、a2 400万円
中堅社員b   550万円
ベテランc 700万円

4人とも
年間就業時間2,100時間
稼働率0.8とします。

総人件費 = 400 + 400 + 550 + 700 = 2050 万円

(就業時間×稼働率)の合計 = 2,100 × 0.8 × 4 = 6,720 時間

現場の平均アワーレート(人)= その現場の人件費合計 その現場の(就業時間×稼働率)合計 = 2,050万円 6,720 = 3,051 ≒ 3,050 円/時間

平均アワーレート(人) 3,050円/時間であれば誰が生産しても同じ原価です。

工場全体の平均アワーレート(人)

現場間で人が頻繁に移動する工場では、現場のアワーレート(人)も都度変わります。そこで工場全体の平均アワーレート(人)を使います。

  • 労務費合計:3億480万円
  • 年間稼働時間:128,673時間

工場全体の平均アワーレート(人)= 製造原価の労務費合計 工場の人の年間時間合計 = 3億480万円 128,673時間×0.8 = 2,961 ≒ 2,960 円/時間

2,960円/時間 であれば、どの現場も同じアワーレート(人)で原価を計算できます。

パート主体で低コストの現場

例えば、組立現場はパート社員主体でした。パート社員の時給は低いためアワーレート(人)は工場平均より低くなります。

  • 正社員2名 パート社員8名
  • 労務費 1,790万円
  • 就業時間合計 11,800 時間
図 組立の平均アワーレート
図 組立の平均アワーレート

組立現場のアワーレート(人)= 組立現場の労務費合計 組立現場の年間時間合計 = 1,790×10,000 11,836×0.8 =1,896 ≒ 1,900円/時間

工場平均(2,960円)の約64%です。こうした現場は個別にアワーレート(人)を設定しましょう。

まとめ

  • アワーレート(人)は「年間費用÷稼働時間」で計算。
  • 稼働率を考慮しないと原価が低く見積もられるリスクあり。
  • 給与の高低や働き方でアワーレート(人)は大きく変わる。
  • 実務では現場ごとの平均、または工場全体の平均を活用。

以上がアワーレート(人)の考え方の説明です。
実際に自分たちの現場のアワーレート(人)を計算すると、様々な問題が出ます。

これについてはアワーレート(人)とは?その2を参照願います。

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