これから10年で起こる、社会の劇的変化

デジタル時代のマーケット

破壊的な攻撃者は予想外のところからやって来る

ベルカーブからシャーク・フィンへ
 
デジタル技術の進展により、新市場開拓と普及の速度が急速に早くなっています。
その理由は

  • 多くの機能をコンピューターで実現できるようになり、実現するまでの時間が急速に短くなった
  • SNSなどの普及により、人々に知られるまでの時間が急速に短くなった

などです。
 

その結果、従来は徐々に市場に浸透し、なだらかに減退するベルカーブから、瞬時に立ち上がり、急速に衰退するシャーク・フィン・カーブに変わってきました。
 
図1 シャーク・フィン・カーブ
 
図1 シャーク・フィン・カーブ
 
マイクロソフトは2010年に家庭用ゲーム機Xbox360用モーションセンサー「キネクト」を発売しました。キネクトは、ゲーム中にプレイヤーの動作、音声、顔を認識することで、全く新しいゲーム体験を提供しました。 
キネクトは発売わずか60日間で80万台を売り上げる大ヒットになり、発売後1年間で2,400万台を売り上げました。しかし発売から半年しなうちに売上は急減し、発売から10か月で使命を終えました。
 

最高益を出した数年後に破たんした「ピンボールマシン」

このように急速に市場が立ち上がる今日、攻撃者は予想もつかないところにいることがあります。 
アメリカでは、ゲームセンター用に長年ピンボールマシンが人気でした。ピンボールマシンは、それぞれの台のわずかな癖を読み取って、「エキストラボール」を稼いだり「リプレイ」を獲得したりします。このからだを使って技術を競う点が大人には好評でした。
 
1980年代アーケードゲーム場の繁栄と共に売上は増加し、1993年には、ピンボールマシンメーカーは13万台を販売し、最高値を記録しました。
 
図2 ピンボール(ウィキペディアより)
図2 ピンボール(ウィキペディアより)
 

ビデオゲーム機の攻撃
 
1970年代アタリ社は、アーケード用の卓球ビデオゲーム「ポン」を発売、好評を博しました。1978年タイトーは「スペースインベーダー」を発売、若者たちは熱狂しました。
 
アーケードにビデオゲームの置き場が徐々に増えていきましたが、ピンボールマシンの設計者ロジャー・C・シャープは、1977年に「ピンボールがビデオゲームにやられるはずがない」と書いています。
家庭用ビデオゲーム機は、任天堂やセガが新型のゲーム機を次々に発売し市場は拡大していました。しかしまだハイエンドのアーケードビデオゲーム機やピンボールマシンと張り合えると誰も予想しませんでした。
 

図3 スペースインベーダー(ウィキペディアより)
 
図3 スペースインベーダー(ウィキペディアより)
 

図4  任天堂スーパーファミコン(ウィキペディアより)
 
図4  任天堂スーパーファミコン(ウィキペディアより)
 

ピンボールマシンを焼き尽くした者
 
1994年ソニーは、当時の業務用コンピューターをしのぐ処理能力を持ったの128ビット・マイクロプロセッサはを備えたプレイステーションを発売しました。「自宅にアーケードビデオゲーム機が欲しい」という若者の夢をついにかなえました。ソニーはとうとう大勢の心を惹きつける「暗号を解読」したのです。 

プレイステーションの爆発的ヒットは、アーケードの急速な閉鎖を引き起こしました。プレイステーションの発売から5年後にピンボールマシンの販売は1/10にまで低下しました。
 

図5 ソニー・プレイステーション(ウィキペディアより)
 
図5 ソニー・プレイステーション(ウィキペディアより)
 
そして一度市場を専有しても次々と新たな競合が出現し、市場は短期間に奪われてしまいます。任天堂はスーパーファミコンで獲得した市場を守り続けるために、NINTENDO64、ゲームキューブ、Wiiと次々に新製品を投入しました。
 

電話機に破壊されたカーナビ

一時は巨大なマーケットであったカーナビゲーションは、スマートフォンにカーナビ機能を実装できるようになって市場を奪われました。
 
特にポータブル型カーナビの影響は大きく、2008年から2012年までの4年間にトムトムの売上は50%に、ガーミンのカーナビと携帯用GPSの売上は4割に減少しました。無料で使えるグーグルマップの登場により、1年半で独立型GPS機器のメーカーは市場の85%を失いました。
 
グーグルの元CEOエリック・シュミットはこう語っています。
「もちろん、私たちは無料が好きだ。消費者も無料が好きだから」
 

GDPでは測れない。お金にならない膨大な価値

 
デジタルの世界はコピーにコストはかかりません。流通コストも限りなくゼロです。その結果、膨大な量のデジタルコンテンツが作成されています。これらは、価値はないのでしょうか。
 

音楽市場は拡大している

日本の音楽市場は、1998年のピークの6000億円から、2014年には3000億円弱にまで低下しています。しかし、日本人が音楽を聴かないかというと決してそうではありません。約3000億円分の音楽サービスは無料サービスに移行したのです。しかし、こうした無料サービスの価値は市場に現れません。
 
実は今の若者はかつてよりはるかに多くの音楽をスマートフォンに入れて持ち歩いています。ミネソタ大学のジョエル・ワルドフォーゲルが行った調査によると、過去10年間で音楽のクオリティは上がったと言います。つまり音楽自体に価値があると考えれば、音楽市場は拡大しています。
 
ただお金を払う人が減少し、市場調査には現れなくなっているのです。
 

世界と日本の音楽事情
 
今、世界全体の音楽市場が大きな成長を見せていますが、実は日本だけがそこから取り残されています。
国際レコード産業連盟(IFPI)の発表によると、2017年のグローバルな音楽市場は前年に比べて8.1%増加し、約173億ドルとなりました。
過去10年で最高額です。
 
特に活況を呈しているのが世界1位の市場規模を持つアメリカです。
イギリスも好況で、どちらもおよそ20年ぶりとなる高い成長率を示しています。
ヨーロッパ主要国ではドイツが微減となっていますが、その他は軒並み拡大傾向。ブラジルなど南米各国も急激な成長を見せ、中国、韓国、インドなどアジア諸国にもデジタル音楽市場が勃興しています。
 
グローバルな音楽市場の成長を牽引しているのはApple Musicなど音楽ストリーミング配信サービスです。この分野の売り上げ高は前年比41%増、世界全体の音楽市場の38%を占めています。
 

図6 全米音楽市場に占めるストリーミング割合
 
図6 全米音楽市場に占めるストリーミング割合
 
一方、日本の音楽市場は前年比3%減。
ストリーミング市場のシェアは全体の9%程に留まり、日本では「売れない」と言われ続けるCDがいまだに市場の主軸を占めていることも落ち込みの原因です。
 
図7 音楽ソフトの売り上げ
 
図7 音楽ソフトの売り上げ
 
ストリーミング配信の普及が世界各国の音楽市場の回復に結びついた背景の一つに、再生回数に応じた売り上げをアーティストやレーベルに配分していることが挙げられます。
 
ヒットの基準は「買われた回数」から「聴かれた回数」となり、再生回数に応じた収益はビッグデータを活用して、アーティストの楽曲のリスナー数や属性がフィードバックとして得られるようになりました。ストリーミング配信のみで着実に収益を得るアーティストも増えストリーミング配信で得た情報をもとに、リスナーにアーティストのライブの情報を配信することで、ライブの集客が確実に増加し、ライブエンターテイメント市場が活況に沸きました。
 
しかし、米国に次いで音楽市場世界2位の日本では、いまだにCDが主軸です。この日本特有の消費行動はガラパゴス症候群の一つとされ、海外のメディアは「超高齢化社会となった日本では、音楽ファンも高齢化した結果、未だにCDを買い続ける傾向にあるのではないか」と注目しています。

とはいえど日本のストリーミングサービス市場の現状は拡大傾向にあるため、遅かれ早かれCD市場と逆転するだろうと言われています。
 
【主要国の2017年の音楽市場】
アメリカ:86億2000万ドル(約9064億円、前年比16.5%増)
日本:2893億円(前年比3.0%減)
ドイツ:15億8800万ユーロ(約2100億円、前年比0.3%減)
イギリス:8億3940万ポンド(約1276億円、前年比10.6%増)
フランス:5億8300万ユーロ(約772億円、前年比3.9%増)
 

デジタル革命は、GDPに影響しない

音楽同様、出版業界も転換点を迎えています。紙の本の販売は年々減少し、多くの出版社が不振にあえいでいます。その原因として、今では多くの一般の人々が、かつては雑誌で提供していたお店、商品や料理の情報やレビューをインターネットで発表していることがあげられます。
 
そのため人々は、情報を得るためにわざわざ雑誌を買うことがなくなりました。雑誌の評論や商品レビューは、商品を提供したメーカーや企業に配慮して批判的な記事が少なく、インターネットの個人のレビューの方が役に立ったりします。
 
かつては車や趣味のものを買うときには、人々は雑誌の記事を熱心に読んでから買っていました。かわりに今では、スマートフォンで検索し、一般の人の書いた歯に衣を着せないレビューを読んでから買います。この一般の人のレビューは無料なので、その価値は市場に現れません。
 

優れたコンテンツにお金が集中

多くの人がインターネットに情報を提供するようになった結果、質の低いコンテンツも増えました。その結果、優れたコンテンツには人気が集中するようになりました。
有名ミュージシャンの曲には、有料のダウンロード、動画視聴など多くのアクセスが集まります。そこに多くのお金が集まる一方、平凡なコンテンツ、人気のないミュージシャンはアクセスが集まりません。
 
一方で、良質なコンテンツであれば、無名の素人でもネットを通じて注目を浴びることができ、人気のないプロが素人に負けてしまうことも起きます。そしてインターネット上の記事や動画は、多くの人が好むものに人気が集中します。多くの人が見ることで、さらに人気が高まるという循環が生まれます。これがスーパースター経済です。
 

スーパースター経済

こりスーパースター経済は、図のようなべき乗則の分布になり、一部のスーパースターが圧倒的に多くの人気(アクセス、利用)を集めます。
 
一方、得意分野に特化した人たちは、右端の方に広く分布するロングテールとなります。今までは誰もアクセスできなかったニッチな分野の専門家にも人々がアクセスするようになり、一定量の需要が生まれました。
 

図8 ロングテール
 
図8 ロングテール
 
このスーパースター経済は

  • デジタル化 (限界費用が限りなく低い)
  • 通信、輸送技術の発達 (デジタルデータはできりなくタダに近い費用で運ばれる)
  • ネットワーク効果 (利用者が増えるほど、性能が向上、利便性が向上)

が要因です。
 
デジタル化によりコンテンツの制作と流通のコストが非常に低下し、限界費用が限りなく低くなりました。その結果誰でもコンテンツを製作、発信できるようになりました。
 
安価な高速通信技術の進歩により、コンテンツは非常に安価に非常に多くの人に配信できるようになりました。そして、利用者が増えるほど、サービスの性能や利便性が向上するネットワーク効果が強くなっています。
 

拡大する格差

このようなスーパースター経済では、格差が二極化していきます。このスーパースターは学歴とは関係ありません。高学歴の人たちでも、場合によっては二極化した下位のグループに入ることもあります。
 

所得格差の拡大

図12に示すように、アメリカでは一人当たりのGDPは増加していますが、所得の中央値は、2009年以降低下しています。その最大の理由は、未熟練労働者の賃金の落ち込みによるものであり、格差が拡大していることを示しています。 

図9 アメリカの一人当たりGDPと所得中央値の推移
 
図9 アメリカの一人当たりGDPと所得中央値の推移
 

デジタル技術の普及により、今後はコンピューターに仕事を奪われる労働者が増えるといわれています。
 
例えばアメリカでは所得の確定申告は、従来は多くの人がH&Rブロックのような企業に依頼していました。しかし今では多くの人がターボタックスのようなソフトウェアサービスを利用しています。
このようなソフトを開発するのは、数十人でできます。そのソフトウェアで数百万人の確定申告が完了します。そして今まで確定申告サービスを仕事にしていた人たちは、失業することになります。
 
一方、ターボタックスのような新たなサービスを生み出すには、コンピューターではできない創造性が必要です。
そのようなスキルを持った高スキル労働者は今でも供給不足であり、その賃金は高くなっています。対して単純作業や単純労働の賃金は低下しています。
 
このような動きから、より良い賃金を求めてより高学歴を目指す若者が増えてきました。
 
図10 アメリカの生産性と労働者の実質賃金
 
図10 アメリカの生産性と労働者の実質賃金

 
その結果、高い賃金を得る高スキル労働者の勝ち組と、低賃金で定型的な業務を行う労働者に二極化していきます。
 

雇用なき景気回復の正体

企業がIT投資を行い業務の効率化を進めることで定型的な業務は減少していきます。その反面、高スキル労働者の仕事は増えます。
例えば、アパレル企業がデジタル技術を活用して最新のトレンドに対応できる多品種少量生産を確立すれば、最新のトレンドに対応できるデザイナーの需要が高まります。
 
エリック、ティム・ブレスナハンらの共同研究によれば、IT投資1ドルにつき、補完的な投資(組織資本、教育・研究、雇用、業務プロセス再設計など)10ドルが誘発されます。その結果、注文入力など多くの定型業務が自動化され、判断やスキルを必要とする高度な業務が残ります。
 
一方その効果が現れるまでには、通常5~7年かかります。その間、高スキル労働者の需要は増加し、定型業務を行う労働者は必要なくなります。しかし好景気の時は人員削減が容易でないため、そのまま雇用を続け、景気が後退した時に大幅な削減を行います。そして景気が回復しても雇用を増やしません。
これが雇用なき景気回復の実態です。
 
例えば、ジェモビッチ、シューが1980年代、1990年代、2000年代を比較したところ、定型的な労働(現金出納係、窓口係など非肉体的労働と、オペレーター、作業者など肉体労働)のいずれも需要が減少し、減少ペースが加速していることが判明しました。
 
減少ペースは、1981~1991年5.6%減、1991~2000年6.6%減、2001~2011年11%減となっていました。
反面、非定型的な労働はどの時期も増加しました。
 

図11 堅調な仕事と激減する仕事
 
図11 堅調な仕事と激減する仕事
 

コンピューターに置き換えできない仕事

コンピューターの得意な仕事と不得意な仕事を考えると、高学歴でなくても、非定型かつロボットやコンピューターが苦手な仕事は、今後も需要が見込まれます。半面、モラベックのパラドクスは依然存在します。それは単純な仕事だけれどコンピューターに任せるには大変すぎて、経済的に合わない仕事です。
 
例えば、コック、美容師、庭師などです。また看護や介護なども補助的にコンピューターやロボットが導入されるかもしれませんが、完全にロボットするには、開発コストと運用コストがかかり過ぎます。
 
一方人口減少局面に入った日本は、高齢者市場を除けば、例えば学習塾、スイミングスクールやブライダル市場などは、市場そのものが縮小しています。そのため競争が激化し、価格低下が起きていきます。
 
また今後モノや人の移動コストが低下し、海外からの就労規制が緩和されると、日本国内でも海外の人件費の安い人材との競争にさらされます。日本も制度上は移民を規制していますが、研修生などの制度で多くの外国人が就労し経済を支えています。
 
実はテクノロジーの進化により定型業務、単純労働は減少し、労働者の収入は減少しています。その反面低賃金の単純労働は担い手が少なく、移民に依存する国も少なくありません。
 
近年、ヨーロッパやアメリカで起きている政変の元凶には、社会、テクノロジーの進化による労働市場の変化を移民問題にすり替えている面もあります。
 

コンテナ物流の進化

コンテナ物流が発達し、海外からの輸入コストは大幅に減少しました。
例えば、中国の上海から東京都内までのコンテナ1本(船の運賃から保険・通関・コンテナをトレーラーで運ぶ費用を含む)の料金は、
 
20フィートコンテナ(33㎥) 20万円強
40フィートコンテナ(67㎥) 約23万円
です。
 
例えば10cm角の商品の場合、20フィートコンテナで3万3千個、40フィートコンテナで6万7千個です。従って、輸送費は、20フィートコンテナで1個6円、40フィートコンテナで1個3.4円になります。(ただし、商社の輸入手続きの費用として手数料が商品価格の1割程度かかります。)
 
図12 コンテナ船(ウィキペディアより)
 
図12 コンテナ船(ウィキペディアより)
 

その結果、今後製造拠点が変化していきます。
かつて企業は、低い人件費を求めて、海外へ進出しました。その後、海外の市場が存在感を増すと、市場の近くで生産するために現地に工場を移転しました。
 
今後、物流コストがさらに低下すれば、コスト、品質、納期、需要地、その他の条件を考慮し、最適な地域で生産することになります。その他の条件には、税金や規制、政情不安なども含まれます。
 
例えば、化学工場は日本では廃液の処理コストが高く、製造コストが上がる場合、その化学製品だけ規制の緩い国で生産し、その部品を中国に集めて製造し、最終検査は日本で行い出荷することも起きてきます。
 

ムーアの法則はどこまで続くのか

ムーアの法則「集積回路の実装密度は18カ月ごとに2倍になる」
により、コンピューターは指数関数で進歩し、社会に大きな変革をもたらしました。
 

図13 ムーアの法則
 
図13 ムーアの法則
 

クライダーの法則

磁気記憶装置の性能当たりの価格は、毎年40%ずつ指数的に下がっています。かつてシーゲイトで最高技術責任者を務めたマーク・クライダーは、これはコンピューターが進歩を止めても、記憶装置は進歩し続ける主張し、「クライダーの法則」と呼ばれています。
 
他にも通信の毎秒ギガビット当たりのコスト、太陽光発電のコスト、DNAの配列決定と合成の塩基対当たりのコストも指数関数的に低下しているといわれています。
 

また作家のレイ・カーツワイルは、1000ドルで可能な毎秒の計算回数を調べたところ、ムーアの法則のような指数関数的増加は、半導体誕生以前のリレー、真空管の時代から適用できることを立証しました。
 

収穫加速の法則
 
一つの重要な発明は他の発明と結び付き、次の重要な発明の登場までの期間を短縮し、イノベーションの速度を加速することにより、科学技術は直線グラフ的ではなく指数関数的に進歩するという経験則である。
 
カーツワイルの唱えた収穫加速の法則は、
「秩序が指数関数的に成長すると、時間は指数関数的に速くなる、つまり、新たに大きな出来事が起きるまでの時間間隔は、時間の経過とともに短くなる。」
というものです。
これはエントロピー増大の法則を考慮にいれたもので、宇宙の秩序増大に関する法則性を射程に入れたものです。
 
また収穫加速の法則は、生命進化のプロセスにも適用されており、DNAの成立、生殖という発明、発明を作る発明としての人間の誕生などを一元的に捉え、ムーアの法則によって示されたような秩序を増大させる技術革新はトランジスタ製造技術の枠を超えて継続するという主張を展開しています。
 
一方で、石器や冶金など、重要なテクノロジーが含まれておらず、コンピュータの発明とパーソナルコンピュータの発明のように、質的な違いが小さい近年のテクノロジーをパラダイムとして選択しており、現代に近づくにつれて技術開発が加速するという結論を示すため、恣意的にパラダイムを選んでいると批判されています。
また、人類による言語の発展のように、時間的に広がりのある事象を単一の時点で表現していることにも批判があります。
 
図14 カーツワイルの法則(ウィキペディアより)
 
図14 カーツワイルの法則(ウィキペディアより)
 

どうして、指数関数的に進歩するのか

  • 人類がそれを望んだから
  • 技術の進歩は、それ自体が目的化するから

 
もしそうだとすれば、指数関数的増加は止まることなく続きます。
 
半導体の微細化は、もうすぐ配線の幅が原子1個の大きさに近づくと言われています。そうなったらムーアの法則は終焉を迎えると言われています。
しかし過去の例から考えると、また新たなブレイクスルーが生まれ、進化が加速するのではないでしょうか。
 

未来のものづくり アンドロイドの思考実験

 
未来の社会を考えるために以下の思考実験を行います。

「もし、人と同じように動くことができるアンドロイドができたらどうなるのか」
 

  • 限りなく安く、休まず働き続けるとしたら
  • そのようなアンドロイドが工場や農場で働いたら

 
そうなると工業製品の価格は大幅に低下します。高品質で安価なものが今以上に容易に手に入るようになります。
 
製造に関して人件費の制約はなくなります。世界中どこでも人件費は同じになるので、価格の差は、光熱費、材料代、間接コストの違いだけになります。
農産物の価格も低下します。
農産物の価格の差は、土地など資産、設備にかかる費用と、日照条件などによる収穫量の差になります。
 
一方でこのアンドロイドをいかに効率よく動かすか、そのノウハウが極めて重要になります。
 

今でもできる高度なアンドロイド
 
手を失った人のために、腕の表面の筋電位で動く義手があります。このような技術を活かせば、5本の指が自在に動くロボットは難しくありません。
 
筋肉は、脳から命令として発せられる微弱な電気的刺激を受け止めることによって収縮します。発生する電位は微弱ですが、体表面でも検知ができ、この「表面筋電位」で筋電義手を動かします。
内蔵されたモーターにより、ものを掴む・離すという動作(把持)ができ、擬似的に本人の意思で動く手が再現できます。
 
「筋電義手で「つかむ」夢 キャッチボールもお手伝いも」
 

 
「ターミネーターの様なハイテク義手を持つ人」
 

 
このような社会で労働の価値はどうなるでしょうか。
 
例えば、アンドロイドは工場の生産や農産物の収穫には効果的ですが、美容師やコックはアンドロイドは補助しかできません。
そうなると工場の仕事にあぶれた人たちが美容師やコックになろうとして、美容師やコックの仕事は奪い合いになり賃金は低下します。対して特別な技術を持ったカリスマ美容師やカリスマコックなどのスーパースターはますます人気が高まり、彼らの収入はさらに高くなります。
 
多様な能力開発が必要
 
このような社会では、アンドロイドができるようなことはアンドロイドがやるようになります。今までの社会は、多くの人々に定型的な決まった仕事を確実にこなすことを求めてきました。しかしこのような仕事はコンピューターやアンドロイドでできるようになります。
 
しかし定型的な仕事は人間の能力の一部でしかありません。今までは事務作業や製造など定型的な仕事に対して能力の高い人たちが評価されてきました。ミスが多いなど定型的な仕事の能力が低い人たちの評価は高くありませんでした。
 
しかし今後そのような単純労働や定型的な業務はアンドロイドやコンピューターに置き換わっていきます、そうなった時、人に求められる能力は大きく変わります。その時、多様な能力を持つ多様な人材をどのように育て、社会の発展に活かすかが求められます。それには学校教育から変革が必要になると思います。
 
 

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