アワーレート | 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク https://ilink-corp.co.jp 数人の会社から使える原価計算システム「利益まっくす」 Tue, 30 Sep 2025 07:21:37 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.7.4 https://ilink-corp.co.jp/wpst/wp-content/uploads/2021/04/riekimax_logo.png アワーレート | 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク https://ilink-corp.co.jp 32 32 【製造業の値上げ交渉】7. この製品、いくらが正しいのだろうか? https://ilink-corp.co.jp/10532.html https://ilink-corp.co.jp/10532.html#respond Mon, 29 Jan 2024 01:11:20 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=10532
このコラムの概要

多くの製造業は価格設定を慣例や競合に頼りがちですが、真に適正な価格を決定するには、精密な原価計算が不可欠です。個々の製品原価、アワーレート、間接費など、すべてのコストを包括的に把握し、客観的な「正味の原価」を算出します。この原価に適正な利益を上乗せすることで、自信を持って提示できる「正しい価格」が生まれ、企業の競争力と持続的な成長の基盤となります。

 
いろいろな費用が上がった場合の値上げの明細について【製造業の値上げ交渉】6. 値上金額は見積書にどのように入れればいいのだろうか?で説明しました。

この見積を元に顧客に値上げをお願いすると「高すぎる」と言われることがあります。顧客から「高すぎる」と言われると、いくらが「適正価格」なのだろうかと思います。

ある製品(部品)の適正価格は、あるのでしょうか。
 

自社の適正価格

 
結論から言えば、ある製品(部品)の絶対的な適正価格はありません。ただし、自社がつくった場合の適正な価格はあります。
 

自社の適正な価格とは?

 自社の適正価格とは、製造原価、販管費をカバーし、必要な利益がある価格です。

この価格であれば、必要な経費をまかなって利益が出ます。残った利益を借入金の返済や老朽化した設備の更新に充てることができます。

利益まっくすで計算した原価は、その工場で発生した費用にもとづくもので、これは「真実」です。従って時間(段取時間、加工時間)が適正であれば、これが自社の適正価格です。
 

会社が違えば、適正価格は違う

 しかし会社が異なれば直接製造費用と間接製造費用の比率、販管費レートが違います。つまり適正価格も違います。
 

規模の異なる会社の原価の比較

 そこで規模の異なる架空の機械加工の会社A社とB社の原価を比較します。

2社とも、マシニングセンタ、NC旋盤などによる部品加工と組立を行っています。ただし2社は規模が違います。

A社 売上7億円、社員43人、うち間接は14人
B社 売上30億円、社員193人、うち間接は87人

A社に比べて、B社は外注品も多く、購買や生産管理など間接部門に多くの人がいます。技術や品質管理の人も多く、品質管理や工程管理の体制は充実しています。
 

構成と売上、製造原価、販管費、利益

 
A社の構成を図1に、B社の構成を図2に示します。

図1  A社の構成

 

図2  B社の構成

A社の売上、製造原価、販管費、利益を図3に示します。

図3  A社の売上、製造原価、販管費、利益
図3  A社の売上、製造原価、販管費、利益

B社の売上、製造原価、販管費、利益を図4に示します。

図4 B社の売上、製造原価、販管費、利益


 

アワーレート、販管費レートの比較

 NC旋盤の現場の間接製造費用を含んだ人と設備のアワーレートの合計 アワーレート間(人+設備)を比較します。

NC旋盤のアワーレート間(人+設備)

A社 アワーレート間(人+設備) : 4,620円/時間
B社 アワーレート間(人+設備) : 7,670円/時間

(アワーレート間(人+設備)の計算については【製造業の値上げ交渉】2. 我が社の人と設備のアワーレートはいくらなのだろうか?を参照してください。)

人件費と設備の費用(償却費とランニングコスト)は同じです。それでもアワーレートがこれだけ違うのは、間接部門の人件費と工場の経費の違いによるものです。

決算書の製造原価と販管費から計算した販管費レートを以下に示します。

A社 販管費レート : 0.25
B社 販管費レート : 0.057

B社はA社より工場の規模は大きいのですが、販管費はそれほど大きくありませんでした。その結果、B社の販管費レートはA社より小さくなりました。
 

見積金額の比較

 NC旋盤で加工するA1製品の見積金額を比較します。

(見積金額の計算については【製造業の値上げ交渉】3. 間接費用や販管費も原価に含まれるのだろうか?を参照してください。)

製造時間 : 0.075時間

製造費用
製造費用=アワーレート間(人+設備)×製造時間

A社製造費用=4,620×0.075=346円
B社製造費用=7,670×0.075=575円

製造原価
A1製品 材料費330円 外注費50円
製造原価=材料費+外注費+製造費用

A社製造原価=330+50+346=726円
B社製造原価=330+50+575=955円

販管費
販管費=製造原価×販管費レート

A社販管費=726×0.25=182円
B社販管費=955×0.057=54円

販管費込み原価
販管費込み原価=製造原価+販管費

A社販管費込み原価=726+182=908円
B社販管費込み原価=955+54=1,009円

目標利益率 : 0.087 (A社、B社共)

目標利益
目標利益=販管費込み原価×目標利益率

A社目標利益=908×0.087=80円
B社目標利益=1,009×0.087=88円

見積金額
見積金額=販管費込み原価+目標利益

A社見積金額=908+80=988円
B社見積金額=1,009+88=1,097円

A社とB社では、会社の規模、直接製造費用と間接製造費用の比率、販管費レートが違います。その結果、同じ賃金、同じ費用の設備でも間接製造費用を含んだアワーレートは大きく違いました。

そして見積金額、つまり適正価格も
A社 988円
B社 1,097円

と異なりました。950円の受注金額では利益は、

A社 : 利益=950-908=42円
B社 : 利益=950-1,009=▲59円

A社は42円の利益がありましたが、、B社は赤字でした。

以上の結果を図5に示します。

図5 A1製品の見積金額


 

管理がしっかりしている会社は原価が高くなる傾向

 A社に比べてB社は、以下の特徴があります。

  • 工程管理に専任者がいて、手順書や治具の整備、製造条件の記録や管理がしっかりできている。品質は安定し、製品の製造履歴(トレーサビリティ)も記録・保管している。
  • 品質管理の人員、及び検査・測定機器が充実し、必要な個所はすべて社内で測定・評価できる。
  • 製造技術の専任者がいて技術的に難易度の高い製品も製造条件を工夫して実現できる。

対してA社は価格は低いのですが以下の弱い点があります。

  • 特殊な治具が必要な場合、治具を自社で設計できないため社外に頼まなければならない。
  • 検査・測定機器が十分になく、社内で測定・評価できない項目がある。
  • 製造履歴(トレーサビリティ)を記録・保管する体制がない。

 

製品によって適した仕入先が変わる

 従って製品の要求精度、要求品質、技術的な難易度によって、適切な仕入先は変わります。
 

A社でも問題なく製造できる製品

 難易度が低く、高度な工程管理、製造履歴管理、品質管理が必要でない製品の場合、最適な仕入先はA社です。こういった製品をB社に発注すれば製品は高くなります。
 

高くてもB社に発注すべき製品

 技術的な難易度が高く、不良品が発生すれば重大な問題が起きる製品は、A社ではリスクが高いです。

安いからとA社に発注すれば、手順書が整備されていなかったり、重要な工程の工程管理が不十分だったりして思わぬミスや不良が起きるかもしれません。しかもトレーサビリティがとられていないため、問題が起きた場合、影響範囲を絞り込むことができません。

このような製品は、価格が高くてもB社に発注します。

つまりA社とB社の得意な製品は異なります。これを図6に示します。

図6  A社とB社の得意分野
図6 A社とB社の得意分野


 

市場価格

 適正価格のもうひとつの考え方は市場価格です。この市場価格は需要と供給で決まります。例えば卵は市場価格が日々変わります。需要が増加し供給不足になれば価格は上昇します。製造業でも多くの工場でつくれるものは市場の影響を受けます。

製造業、中でも下請け企業の場合、景気が減速して受注不足に陥れば、少しでも固定費を回収するため、多くの企業は赤字でも受注します。その結果、市場価格は低下します。

しかし実際は発注先と長期的に取引していれば、景気が良くなった時に値上げが困難になるため極端な値下げはしません。

逆に景気が良くなり中小企業の多くが受注が一杯になれば、赤字でも受注する企業はなくなります。その結果、市場価格は上昇します。
 

短時間に見積を出すサービス

 最近は三次元データがあれば見積金額を計算するシステムもあります。ミスミのAIプラットフォーム メビー(meviy)は、三次元データを送れば、板金、溶接、切削加工の部品の見積を1分で出してくれます。

多くの取引先がこういったサービスを利用すれば、将来はこれらがひとつの市場価格を形成するかもしれません。
 

自社のポジションは?

 
自社はA社でしょうか?

B社でしょうか?

自社に合った製品はどのようなものでしょうか?

そこで自社に原価の仕組みを構築し、製品毎の適正価格(適正な見積金額)を算出します。この価格が現在の自社の実力値です。この価格で受注しなければ必要な利益が確保できません。
 

失注が多い場合

 「適正価格」で見積を出して失注が多ければ、競合がいくらで受注したのか調べます。競合と比べて自社の見積が明らかに高ければ、以下のいずれかが考えられます。
 

製造コストが高い

 製造コストが高い原因は

  • 製造工程が多い
  • 製造時間が長い
  • 設備や人の費用が高い

などが考えられます。製造工程の見直し、製造時間の短縮、ランニングコストの削減に取り組みます。
 

自社の間接製造費用、販管費の見直し

 どの製品も競合よりも自社の適正価格が高い場合、間接部門や工場の経費、販管費が大きい可能性があります。自社の間接部門や事務の人員、工場の経費が適正か、削減できないか検討します。

例えば、売上が大きく減少すると、売上に対して間接部門の費用や販管費が高くなります。もし一時的な売上低下でなく、今後もこの売上が続くようであれば、それに合わせて間接部門や事務の体制を変えなければなりません。

これは決して簡単ではありませんが、かつて同じような売上だった時代があれば、その時の組織・体制を参考にし、削れるところはないか検討します。
 

自社に適した製品を受注できていない

 A社でもできる製品の見積金額はB社は高くなります。B社に向いている製品はもっと難易度が高くA社に向いていない製品です。A社でできるような製品をA社と競合して価格を下げれば、B社の経営は苦しくなります。
 

ブラックボックス化

 こういった競合との価格競争を避ける方法は「ブラックボックス化」です。

自社しかできない工程、取引先もわからない工程は取引先にとってブラックボックス化します。相見積が取れないため、その価格が適正かどうかも取引先はわかりません。

あるいは取引先が困っていたことを解決すれば、そのノウハウはブラックボックスにできます。そのためには取引先の困りごとをヒアリングし、それを自社で工夫して解決します。現場で創意工夫したことは自社の強みになります。その場合、カギとなるところは隠しておきます。
 

この適正価格に対し、工程や検査が追加されれば原価は上がります。ではいくら上がるのでしょうか?

これについては【製造業の値上げ交渉】8. 取引先から検査追加の要望があった。いくら高くなるのだろうか?を参照願います。

この記事を書いた人

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【製造業の値上げ交渉】13. なぜ取引先はアワーレートが高いというのだろうか? https://ilink-corp.co.jp/9867.html https://ilink-corp.co.jp/9867.html#respond Sat, 20 Jan 2024 02:59:44 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9867
このコラムの概要

製造業が値上げ交渉で顧客から「アワーレートが高すぎる」と反論されるのは、根拠が不明瞭なためです。この指摘に対処するには、アワーレートがなぜその金額になるのかを具体的に説明できる準備が不可欠です。設備の稼働率、間接費の適切な配分、製品ごとの工数とアワーレートの積算根拠を明確に提示することで、アワーレートの適正性を客観的なデータに基づいて顧客に理解させることができます。

 
値上げ交渉では値上げの根拠を求められることがあります。

これについて【製造業の値上げ交渉】12. 取引先から値上の根拠を求められた。どうすればいいのだろうか?を参照願います。
 

そこで値上げの根拠の資料を持って行くと、資料を見て「アワーレートが高い」と言われることがあります。

このアワーレートは先期の費用に基づいて適切に計算したアワーレートです。

(自社のアワーレートの計算方法は【製造業の値上げ交渉】2. 我が社の人と設備のアワーレートはいくらなのだろうか?を参照願います。)
 

なぜ取引先はアワーレートが高いと言うのでしょうか?

このアワーレートについて取引先が誤解している可能性があります。

それは

  1. アワーレートは間接費を含まない
  2. 稼動率は100%
  3. 減価償却が終われば設備の費用はゼロ

これについて説明します。
 

1.アワーレートは間接費を含まないと思っている

 
これはアワーレートが「人や設備で直接発生した年間費用を人や設備の年間時間で割ったもの」と取引先が思っている場合です。

本コラムではアワーレートは「各現場の人や設備の直接製造費用に、分配した間接製造費用を加えたものを人や設備の年間時間で割ったアワーレート間」です。

このアワーレート間には、間接製造費用も含まれています。

 

具体的な計算例 アワーレート(人)

 
架空のモデル企業A社の例で説明します。

(A社の詳細は【製造業の値上げ交渉】1. 個々の製品の原価はいくらなのだろうか?を参照願います。)

A社 NC旋盤の現場
(アワーレートの計算方法は【製造業の値上げ交渉】2. 我が社の人と設備のアワーレートはいくらなのだろうか?で説明しました。)
 

アワーレート(人)の計算

 
直接製造費用
4人の労務費合計 1,672万円

 

間接製造費用を含んだアワーレート間(人)の計算

 
NC旋盤の現場の人の間接製造費用の分配は、544万円でした。従ってアワーレート間(人)は、

3,150円/時間で、間接製造費用を含めたアワーレート間(人)は、775円/時間増加しました。

注記)
本コラムでは、数字をわかりやすくするためにアワーレートは一桁目を四捨五入しています。実際に計算する際は正確な値を使用してください。

図2 NC旋盤の現場の人の直接製造費用と間接製造費用

具体的な計算例 アワーレート(設備)

 
NC旋盤の現場の設備の費用は

  • 設備償却費 : 100万円/台
  • 電気代 : 23.2万円/台
  • 設備(NC旋盤) : 計4台


 

間接製造費用を含んだアワーレート間(設備)の計算

 
NC旋盤の現場の設備の間接製造費用の分配は、544万円でした。従ってアワーレート間(設備)は、

1,470円/時間で、間接製造費用を含めたアワーレート間(設備)は、770円/時間増加しました。

図2 NC旋盤の現場の設備の直接製造費用と間接製造費用

人と設備が同時に作業する場合

 
NC旋盤の現場は人と設備が同時に作業するためアワーレートは、アワーレート(人)とアワーレート(設備)の合計になります。

直接製造費用のみアワーレート(人+設備)は

アワーレート(人+設備)=アワーレート(人)+アワーレート(設備)
           =2,375+700=3,075円/時間

間接製造費用を含むアワーレート間(人+設備)は、

アワーレート間(人+設備)=アワーレート間(人)+アワーレート間(設備)
            =3,150+1,470=4,620円/時間 (+1,545円/時間)

間接製造費用を含むことで、アワーレート間(人+設備)は1,545円/時間 増加しました。
 

取引先は何を現場のアワーレートとしているか

 
取引先に原価の知識があり、自社の工場のアワーレートが直接製造費用のみのアワーレートの場合、アワーレートを計算する基準が違います。そのため見積書に書かれたアワーレートが高すぎると言います。これは直接製造費用のみで原価を考えている可能性があります。

この時、どちらのアワーレートの計算方法が正しいのか、議論をしても水掛け論になってしまいます。
 

取引先が直接製造費用のみでアワーレートを計算している場合

 
その場合、直接製造費用のみのアワーレートで製造費用を計算に、別に間接製造費用を加えて原価とします。
 

直接製造費用と間接製造費用の比率を計算

 
そこで各現場の直接製造費用のみのアワーレートと、間接製造費用を含んだアワーレートの比率から、直接製造費用と間接製造費用の比率を計算します。

例えばA社 NC旋盤の現場の例を以下に示します。

  • 直接製造費用のみのアワーレート(人+設備) : 3,075円/時間
  • 間接製造費用を含んだアワーレート間(人+設備) : 4,620円/時間

比率は1.50でした。
 

直接製造費用を計算

 
A社 NC旋盤の現場のアワーレート(人+設備)は3,075円/時間

A1製品の製造時間 : 0.075時間

直接製造費用=直接製造費用のみのアワーレート(人+設備)×製造時間
      =3,075×0.075=230.6円

直接製造費用のみで計算したA1製品の製造費用は230.6円でした。
 

間接製造費用を含んだ製造費用

 
間接製造費用を含んだ製造費用は、直接製造費用にこの比率をかけて計算します。

間接製造費用を含んだ製造費用=直接製造費用×比率
              =230.6×1.5=345.9≒346円

直接製造費用のみのアワーレートは3,075円/時間です。A1製品の製造費用は230.6円でした。しかしこれには間接製造費用が入っていません。

間接製造費用は、先の計算から直接製造費用の50%なので115.4円でした。その結果、製造費用は直接製造費用と間接製造費用を加えた346円でした。このように説明して製造費用が正しいことを理解してもらいます。

図3 直接製造費用のみのアワーレートで計算した場合

2.稼働率が入っていない

 
もうひとつの可能性は、顧客がアワーレートを計算する際に稼働率を入れていないことです。実際の現場の1日は図5のようになっています。

図5 ある作業者の1日

1日現場にいる作業者でもその中で朝礼、会議といった付加価値を生んでいない時間があります。この時間も人件費は発生しています。この費用もアワーレートに入れなければ、アワーレートが低すぎてしまいます。

そこで本コラムではアワーレートを計算する際に稼働率を分母にかけます。

この稼働率は、年間就業時間に対し付加価値を生んでいる時間(稼働時間)の比率です。

A社の例では、稼働率を0.8としました。もし顧客が稼働率100%でアワーレートを計算していれば、その分アワーレートは低くなります。

A社 NC旋盤の現場では

直接作業者の稼働時間合計=2,200×4×0.8(稼働率)=7,040時間

稼動率100%では

直接作業者の年間時間合計=2,200×4×1.0=8,800時間

設備の年間時間も同じでした。


アワーレート(人+設備)=アワーレート間(人)+アワーレート間(設備)
           =2,520+1,180=3,700円/時間 (▲920円/時間)

稼動率80%では4,620円/時間だったので、稼動率100%にすることで920円/時間低くなりました。

図5 稼働率を入れた場合と入れない場合の人のアワーレート
図56 稼働率を入れた場合と入れない場合の設備のアワーレート

稼働率100%はありえない

 
稼動率は工場によりさまざまです。大量生産の工場は常に人や設備が稼働するようにして稼働率100%を目指します。それでも材料の供給が間に合わなかったり後工程が遅れたりして稼働率は100%にはなりません。多品種少量生産では、製品の切替えが頻繁に発生し、稼働率は大量生産の工場より低下します。

一方取引先が自社の工場のアワーレートを稼働率100%で計算することがあります。しかし生産していない時間も費用は発生しています。その分も見積に含めなければ赤字になってしまいます。

自社の工場の稼働率が現実に80%ならば、稼働率80%で計算した原価が「適正価格」です。
 

3.減価償却が終わっている

 
法定耐用年数を過ぎた設備の減価償却費はゼロです。そうなると設備の費用はランニングコストのみになってしまいます。

しかし本コラムではアワーレート(設備)に使用する設備の償却費は、将来の更新を考えて「実際の償却費 (購入金額を本当の耐用年数で割った金額)」を使用します。

図7 設備を更新すれば新たな減価償却が発生

A社 NC旋盤の現場の場合、購入金額1,500万円、本当の耐用年数15年のため、実際の償却費は100万円でした。

NC旋盤の現場の4台の設備が、すべて減価償却が終わっている場合、設備の費用はランニングコスト23.2万円のみです。その場合、アワーレート間(設備)は以下のようになります。

実際の償却費から計算したアワーレート間(設備)は1,470円/時間でした。決算書の減価償却費でアワーレート間(設備)を計算すれば、570円/時間も低くなりました。

これについては発注側、受注側どちらも誤解していることがが多いです。

しかし高額の設備を使用する工場では、設備の更新に多額の資金が必要です。更新の時点で「必要な資金が会社に内部留保されている」、「新たに借入できるだけの十分な自己資本とキャッシュフロー」のいずれかが必要です。減価償却が終わった設備でも更新まで考えれば、費用は決してゼロではないのです。
 

アワーレートは考え方によって違う

 
このようにアワーレートは計算する条件によって値が大きく違います。アワーレートは、どの条件で計算するのかで大きく変わります。

本コラムで述べた「稼働率を入れる」、「実際の償却費を使って計算する」は正しいのですが、これを納得してもらうには「なぜそうなのか」理由を理解してもらう必要があります。これはなかなか大変です。

取引先が納得しなければ、取引先が考える条件に合わせてアワーレートを変えます。

例えば、稼働率100%で稼働率80%と同じアワーレートになるように年間費用や時間を調整します。そして見積金額は変えないようにします。
 

原価は真実

 
本コラムで述べた原価は、決算書の数字を元にした真実です。
(ただし算出条件が変われば値も変わるため、唯一無二ではありません。)

A社 A1製品の製造原価は726円、販管費182円、販管費込み原価は908円です。これだけの費用が発生していることを前提に、必要な利益が得られるように交渉します。

ただし受注が少なければ、固定費の回収を優先して赤字でも受注することもあります。それでもA1製品は販管費も含めて908円の費用が発生していることは変わりません。

他にもアワーレート以外に販管費や利益が高いと言われることがあります。

販管費や利益が高いと言われる原因について【製造業の値上げ交渉】14. なぜ取引先は販管費が高い、利益が多いと言うのだろうか?を参照願います。

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https://ilink-corp.co.jp/9867.html/feed 0
【現場で役立つ原価のはなし】9. 間接費の分配とは?その1 https://ilink-corp.co.jp/9598.html https://ilink-corp.co.jp/9598.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:38:03 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9598
【コラムの概要】

製造原価の大部分を占める間接費とは、製造に直接関わらない工場の経費や間接部門の人件費です。品質管理や製造環境の高度化により、その割合は増加傾向にあります。
間接費は多くの固定費を含み、生産量の増減で製品ごとの原価が変動します。正確な原価計算には、この間接費を適切に製品へ分配する必要がありますが、その分配方法には手間がかかり、根拠が不明瞭になる問題も抱えています。
しかし、間接費を計算しないと、適正な売価を設定できず、生産した製品が利益があるかもわかりません。そのため中小企業も間接費の分売は不可欠です。

アワーレート(人)の計算については

またアワーレート(設備)については


実際のアワーレートの中で、人や設備の費用など直接費のほかに、間接費も大きな金額を占めています。
この間接費とはどのような費用でしょうか?

1. 間接費とは?

製造原価の内訳

工場で発生する経費の1年間の合計は、決算書の製造原価報告書に示されます。その内訳は以下の通りです。

材料費
  • 主要原材料
  • 購入品
  • 補助材料:直接/間接
  • 工場消耗品:間接
  • 消耗工具:直接/間接
労務費
  • 直接労務費
  • 間接労務費
外注費
工場経費
  • 電力費:直接/間接
  • 減価償却費:直接/間接
  • 賃借料
  • 地代家賃
  • 通信費
  • 会議費
  • 保険料
  • 修繕費:直接/間接
  • 旅費交通費
  • 荷造包装費
  • 工場消耗品費
  • 租税公課
  • 消耗器具備品
  • 教育訓練費
  • 諸会費
  • 雑費

間接費

ここで「間接」と記載されているものが間接費用です。労務費の間接費は、現場の間接作業者、管理者、および間接部門の労務費です。

図 間接費

この間接費をどのように原価に入れるのかが課題です。なぜなら、原価に占める間接費が増加しているからです。

2. なぜ間接費の分配が必要なのか

原価に占める間接費は増えています。工場によっては加工費の50%が間接費ということもあります。その結果、間接費をどのように原価に組み込むかで原価が大きく変わります。

間接費が増えた理由

顧客・市場の要求が厳しくなっている

品質に対する要求は年々厳しくなり、かつてはリコールにならなかった不良品がリコールや自主回収になっています。そのため、不良品を作らない・出さないために、より高度な品質管理・工程管理や、万が一不良品が流出した場合の迅速な対応のためのトレーサビリティ(製造履歴管理)が求められています。そのため、品質管理・工程管理など管理部門の人員が増加しました。

検査設備・評価設備の増加

より高度な品質管理のためには、検査設備や評価設備の充実が求められることもあります。こうした設備の増加も間接費の増加につながります。

製造環境の改善

わずかな異物混入やより高い精度のため、温度・湿度、空調や異物対策が必要なこともあります。よりレベルの高い空調や温度管理、入室時の異物混入対策なども間接費を増加させます。

他にも様々な要因で間接費が増加します。これを適切に各現場に分配することが必要です。

※注)
本コラムでは、間接費を割り振ることを「分配」と呼びます。
財務会計では割り振ることを「配賦」と呼び、「配賦」も「割り当てる」という意味です。
財務会計には「配賦」のほかに「賦課」という言葉もあり、以下のように使い分けています:

  • 配賦:製造原価を計算する際に、間接費を何らかの基準(配賦基準)を用いて振り分けること
  • 賦課:製造原価を計算する際に、「何に」「どれだけ」使ったのかがわかる直接費を振り分けること

「直接費は賦課して、間接費は配賦する」という表現をします。
しかし、本書では難しい会計用語を用いず、一般的な「分配」を使用します。

工場で発生する費用はすべて原価

先に挙げた工場の経費の中には、一見原価に思えない費用もあります。しかし、実際に支出された費用です。

それに対して、工場でお金を稼いでいるのは直接部門の作業者と設備だけです。先に挙げた経費はすべて、直接部門の作業者と設備が稼いだ売上で賄っています。つまり、間接作業者や間接部門の人の費用、工場の経費は、直接部門の作業者と設備が支えているのです。

図 間接部門の費用は直接作業者と設備が支えている

だから原価を計算する際は、間接部門の費用も工場の経費も、適切な金額を原価に入れなければなりません。工場で使ったお金はすべて原価です。だからボールペン1本余分に買っても原価は上がるのです。これはいくら原価が上がるのかも計算できます。

実態は固定費

一方、間接費の多くが固定費です。固定費なので生産量が増えても変わりません。したがって、生産が増えれば製品1個あたりの間接費は減少します。つまり、生産量が変動すると製品1個の原価も変動します。

生産量によって製品1個あたりの間接費が変わるなら、間接費を細かく計算しても意味がないという意見もあります。実際、管理会計では固定費を振り分けず、直接費のみで計算する「直接原価計算」という方法もあります。

問題は、間接費も原価に入れなければ「いくらで売れば利益が出るのか」「適切な売価」が分からないことです。これは部品加工など受注型生産の工場では問題になります。

そこで、受注型生産の工場では条件を決めて間接費も含めた原価を計算します。一方、自社製品を見込み生産する工場では、価格は市場価格で決まる場合も多く、売価を決めるために原価は必要ありません。その場合は、生産量に応じてトータルでの原価と利益を管理します。

では、間接費の分配はどうすればいいのでしょうか?

3. 財務会計の原価計算

大企業は間接費も含めて原価を計算しています。この大企業が行う財務会計に則った正しい原価計算とは、以下の手順で行います。

(1) 経費を部門別に計算

毎月発生した経費を仕訳する際、「どの部門で使った費用か」が明らかな費用は、その部門の費用にします。この部門は以下のように分けられます。

直接部門

直接製品を製造する部門(例:加工、組立、塗装、検査など)
検査は、検査費用が見積に含まれている場合、検査部門もお金を稼いでいるので直接部門。検査費用が見積に含まれていなければ間接部門です。
同様に設計も、設計費用が見積に含まれていれば直接部門、含まれていなければ間接部門です。

間接部門

直接製品を製造しない部門(例:生産管理、品質管理、資材管理、生産技術など)

この時、消耗品費でも、機械加工部門の刃物代など使用部門が明確にわかる費用は、その部門の費用とします。しかし、消耗品費の中でもウェス、ガムテープなど使用部門が不明確な費用は「共通費」です。他にも共通費には保険料、家賃など様々な費用があります。

図 財務会計の間接費の分配

(2) 共通費を各部門に分配

この共通費は、何らかの分配基準(配賦基準)を用いて各部門に分配します。分配基準には以下のようなものがあります。

  • 社員数:人件費や福利厚生費など、人員に比例すると考えられる費用
  • 占有面積基準:家賃や保険料、固定資産税など、建物や敷地の使用に比例する費用
  • 機械帳簿価格基準:減価償却費や保守料など、機械設備の価値に比例する費用
  • 動力使用量基準:電気代や燃料費など、エネルギー使用量に比例する費用

一見論理的に見えますが、実務でやろうとすると頭を抱えます。雑費や租税公課はどうやって分配すればいいでしょうか?水道代や電気代は各部門の消費金額が分かるでしょうか?

また、社員数の場合、短時間勤務のパート社員と正社員を同じ1人と考えてよいでしょうか?他にも嘱託や派遣社員、請負はどうすればよいでしょうか?

実際の現場は教科書よりも複雑です。

(3) 間接部門費用を直接部門に分配

こうして計算した各部門の費用のうち、間接部門は直接お金を稼いでいないため、その費用は直接部門に分配しなければなりません(間接部門配賦)。
ここでまた分配基準が必要です。この分配基準には以下のような例があります。

  • 資材管理部門:在庫出庫額
  • 資材発注部門:発注伝票数
  • 生産管理部門:生産計画数
  • 品質管理部門:検査数

これも実務では悩むことが多いのです。

例えば、生産管理部門の費用を生産計画数で分配した場合、図のように加工部門と組立部門のその月の生産計画数が同じ50件であれば、50%ずつ分配されます。しかし加工部門は原材料のみで計画の変更はほとんどないのに対し、組立部門は外注加工が多く、納期遅れのため計画の変更が多発していました。実際は組立部門に多くの生産管理の費用がかかっていました。

図 生産管理費用の分配

このように、間接部門費用を直接部門に分配する基準には悩ましいものがあります。しかも間接部門の費用は大きく、この分配の仕方によって原価が大きく変わってしまいます。

(4) 分配(配賦)方法の種類

しかも分配の方法自体も4種類あります。

  1. 直接配賦法
    間接部門費を直接、各直接部門に配賦する方法。計算は単純だが、間接部門同士のサービス提供は考慮しない。
  2. 階梯式配賦法
    サービス提供量の多い間接部門から順に配賦する方法。間接部門間の一方通行的なやり取りを考慮できる。
  3. 相互配賦法
    間接部門同士の相互サービスも反映する方法。精度は高いが計算はやや複雑。
  4. 連続配賦法・連立方程式法
    最も精密な方法で、間接部門間の相互提供を完全に考慮する。大企業やERPシステムで多用。

中小企業の場合、直接配賦法で十分です。なぜなら、そもそも分配基準が前述のように便宜的なもので、現実とは乖離しているからです。

(5) 間接費を製品に分配

こうして直接部門に配賦された間接費を、それぞれの製品の原価を計算する際に分配します。この分配基準には以下のようなものがあります。

  • 直接材料費基準:材料費が多い製品ほど間接費を多く配分
  • 直接労務費基準:手作業中心の工程では有効
  • 製造直接費基準:直接材料費と直接労務費の合計に比例して配分
  • 直接作業時間基準:作業時間を基準に配分。小ロット多品種に向く
  • 機械稼働時間基準:機械時間が多い製品に多く配分。自動化工場に向く
  • 生産量基準:同一製品や類似品の大量生産に有効
  • 売上高基準:販売価格や収益性と比例して配分。ただし製造原価の正確性はやや落ちる

実際は直接作業時間基準及び機械稼働時間基準で十分です。こうして計算した間接部門費用の合計と直接費の合計を、その製品の生産数で割れば、1個の製造費用が計算できます。

ただし、これらの計算はその月の結果がわかっているからできる計算です。つまり、財務会計の原価計算は、実際に発生した費用を割り振って個々の製品の原価に落とし込む方法です。従ってその月の費用が確定しないと原価が分かりません。

工場の利益と製品別損益管理を実現

このように計算することで、その月に生産した製品の製造原価が計算されます。これにより、それぞれの製品の利益がいくらだったのか、製品別損益管理ができます。

間接部門の費用も含めた直接部門の費用も計算できます。そこから部門別損益管理も可能です(ただし、それには1つの製品の売上を各直接部門に振り分けなければなりません)。
また、部門別損益管理を間接部門にまで展開したものが、京セラが行っているアメーバ経営です。

4. 財務会計の原価計算の問題

例えば、今まで原価計算の仕組みがない中小企業がこの方法を導入しようとすると、以下のような問題があります。

経費(共通費)の分配

工場の経費(共通費)を各部門に分配する際、分配基準と実際の消費量との関連が弱いものも多く、「これで正しいのか?」という疑問がわきます。

例えば、地代家賃が従業員用の駐車場の賃料の場合、これは各部門の人数で分配すべきでしょうか。しかし、各部門の中で車通勤の比率は一定ではありません。では、車通勤の人数を調べて分配すべきでしょうか?

この分配によって各部門の費用が変わります。例えば、工場の共通費を各部門の占有面積で分配した場合、面積が広い部門は共通費の負担が多くなります。自部門の占有面積を減らせば共通費が減って原価を下げることができます。かといって現場の通路まで狭くすれば原価は下がりますが、作業効率が犠牲になってしまいます。

間接部門費用の分配

より影響が大きいのが間接部門費用の分配です。これらの部門の人件費は高く、分配の仕方によって原価は大きく変動します。

資材管理の費用を在庫出庫額とした場合、組立部門は購入品・外注加工品が多く出庫額も多く成ます。一方加工品は材料だけなので、同じ点数でも出庫額は少なくなります。その結果、同じ労力をかけていても組立部門に資材管理の費用が多く分配されます。

集計に手間がかかる

そもそも月次決算すらできていない中小企業は少なくありません。月次決算を行うには、年払い・半年払いの費用を月割り計算する必要があります。さらに、毎月発生する費用を集計し、そこから間接費の配賦計算を行う必要があります。

大企業ではERPなどの統合システムが自動的に集計しますが、中小企業では高額なERPを導入していないことが多く、経理担当者がExcelで3日がかりで配賦計算をしているケースもあります。

しかも、それだけの労力をかけても「原価が分かる」だけです。しかもその原価は現場から疑問視されることも多い原価です。

部門別損益管理の課題

配賦計算が発展すると部門別損益管理を行う中小企業もあります。しかし、共通費の配賦によって部門の利益額が大きく変わります。

そのため、各部門の長は数字の変動に神経をとがらせます。その結果、社内で利益争奪戦が生まれます。

部門別損益管理とは「利益は社内のコスト削減によって生み出される」という内部管理志向によって生まれたものです。しかし、現実には企業に売上と利益をもたらすのは顧客です。

経営コンサルタントの故・一倉定氏は「企業活動はすべて顧客志向でなければならない」と言いました。社内で数字を操作しても、利益は1円も増えないのです。

5. 原価計算に間接費の分配が必要な理由

固定費を入れない直接原価計算の課題

間接費の多くが固定費です。そのため、売上が増えれば原価に占める間接費は下がり、利益が増えます。売上が減れば間接費は上昇し、利益は減少します。さらに利益は在庫の増減によっても変動します。

財務会計の原価計算は、こういった要因で変動し利益も変わります。そこで、固定費を配賦しない直接原価計算(変動費のみを原価に含める管理会計手法)が生まれました。中には、損益計算書を変動費・固定費に分けて5期分比較したものを出す会計事務所もあります。

ただし、直接原価計算には問題があります。

いくらで売ればいいのかわからない

そもそも、なぜ原価計算が必要なのでしょうか?
原価計算の最大の目的は、適正な受注価格を設定し、利益を確保することです。

受注時には「この案件はいくらで作れるか」を予測し、利益が出る価格で受注する必要があります。生産後は「実際はいくらかかったのか」を把握し、もし想定より高くついたなら、その原因を分析し、改善策を講じます。

この予測と改善のPDCAサイクルを回すことこそ、原価計算の本質です。

図 現場管理ための原価計算の目的

もし変動費だけの直接原価計算しか行わなければ、固定費の負担を考慮しないため、受注価格が低すぎて赤字になるリスクが高まります。

儲かったかどうかわからない

固定費も含めた製造原価を算出しなければ、その製品が本当に黒字なのか赤字なのかを正しく判断できません。

例えば、受注量が少なく固定費負担が大きい場合、変動費ベースでは黒字でも、固定費を含めれば赤字ということがあります。現場が「予定通りのコストで作れた」と思っていても、実は会社全体の利益を圧迫しているケースもあるのです。

したがって、間接費の配賦は面倒で不正確な部分があっても、経営判断のために避けて通れない作業と言えます。

まとめ

  • 間接費は工場経費や管理部門など、生産に直接関係しない費用
  • 品質管理や製造環境の高度化により、間接費の割合が増加
  • 間接費の多くは固定費。そのため、生産量によって原価は変動
  • 財務会計の原価計算は間接費の分配計算が複雑、しかも根拠が希薄
  • 「いくらで作れるか」を予測し、「いくらかかったのか」を把握するため、中小企業も原価の仕組みが必要

このように、原価計算における間接費の分配は「正解のない作業」である反面、それを行わないと価格決定や採算判断ができなくなるというジレンマがあります。

では、どうすればいいのでしょうか?

これについては別のコラムで解説します。

経営コラム【製造業の原価計算と見積】【製造業の値上げ交渉】は下記リンクを参照願います。


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【原価計算と見積の基礎】11.自動化とロボットの活用 https://ilink-corp.co.jp/9574.html https://ilink-corp.co.jp/9574.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:27:55 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9574
このコラムの概要

製造業における自動化・ロボット導入は、人件費削減、生産効率向上、品質安定化を通じて製品原価を大幅に下げます。初期投資は高額ですが、24時間稼働による生産能力の最大化や従業員の安全確保など、長期的な視点でのメリットは多大です。これにより、企業の競争力強化に不可欠な戦略となります。成功には、適切な導入計画と原価分析が鍵です。

設備の大きさによる原価に違いについて【原価計算と見積の基礎】10.高い設備は原価が高いのかで説明しました。

一方、今日では多くの設備がコンピューター制御化(NC化)され、起動ボタンを押せば自動で生産します。この時、原価はどうなるのでしょうか。

この自動化・無人化に関し、以下の6点について述べます。

  1. 人と設備、段取と加工の組合せ
  2. 無人加工と有人加工の違い
  3. 無人加工中の作業者の費用
  4. 人をロボットに置き換えた場合

1. 人と設備、段取と加工の組合せ

 人と設備が稼働する場合、どのように原価を計算するのでしょうか。最初に図1に示すように製造費用を人と設備、段取と加工(製造)で分けて考えます。

図1 段取と加工

図1で加工中の人と設備の組み合わせから

  • 有人加工 (人と設備が同時に加工)
  • 人のみ
  • 無人加工 (加工は設備のみ)

この3つがあります。無人加工の場合、段取は

内段取 : 設備を止めて段取
外段取 : 生産中に設備を止めずに段取

の2つがあります。

「人のみ」の現場で設備を一部使用する場合、設備の費用は、その現場の間接製造費用とします。そしてアワーレート間(人)の計算に入れます。同様に「無人加工」の現場で一部人が関与する場合、人の費用はその現場の間接製造費用とし、アワーレート間(設備)の計算に入れます。

なお、本コラムで原価に段取費用を入れているのは、ロットの大きさが変わると原価も変わるためです。

ロットが少なくなれば1個当たりの段取費用が高くなり原価が上がります。これが原因で赤字になることもあります。一方、大量生産で段取がほとんどない場合、段取費用は原価に入れません。その場合、段取は生産ロスと考えます。

2. 無人加工と有人加工の違い

  有人加工 : 加工中、作業者が設備を常時操作する
無人加工 : 加工中、作業者は設備についていない

この違いを段取と加工に分けて説明します。

有人加工

 【段取】
作業者は設備を止めて段取を行うため、人と設備の両方の費用が発生します。

【加工】
作業者は設備を常に操作するため、加工中も人と設備の両方の費用が発生します。

図2 有人加工

有人加工の場合、製造費用は人の費用と設備の費用の合計です。

人と設備の時間が同じであれば、アワーレートはアワーレート間(人)とアワーレート間(設備)の合計です。これをアワーレート(人+設備)と呼ぶことにします。

アワーレート間(人+設備)=アワーレート間(人)+間アワーレート(設備)  

無人加工

 【段取】
有人加工と同じです。作業者は設備を止めて段取を行うため、人と設備の両方の費用が発生します。

【加工】
設備が自動で加工し、作業者は設備から離れます。加工中は設備の費用のみ発生します。

図3 無人加工

ただし無人加工での作業者の費用がゼロになるには、加工中、作業者は他の現場で「別のお金を稼ぐ仕事」をする必要があります。

「お金を稼ぐ仕事」とは「見積に入っているバリ取りや検査など」です。見積に入っていない検査や次の生産準備はお金を稼いでいません。その場合は加工中も人の費用がかかると考えます。その場合、無人加工でも原価は有人加工と同じです。

設備が無人で加工を続けるには、材料の自動供給と製品の自動取出し(自動排出)の機能が必要です。こういった機能がなく材料の供給と製品の取出しを作業者が行う場合はどうなるのでしょうか。

この時、作業者が複数の設備を担当することがあります。これが多台持ちです。  

多台持ち

  作業者が1人で複数の設備を担当することです。大量生産の工場でよく行われます。1人で2台担当すれば2台持ち、3台担当すれば3台持ちと呼びます。以下は2台持ちの説明です。

【段取】
作業者は設備を止めて段取を行うため、人と設備、両方の費用が発生します。

【加工】
2台持ちの場合、作業者は2台の設備を担当します。

設備の費用は有人加工と同じですが、人の費用は1/2です。

図4 多台持ち

A社のマシニングセンタ1(小型)の年間費用(実際の償却費)140万円です。これは正社員より低い金額です。従って無人加工で人の費用がゼロになれば原価は大きく下がります。2台持ちは人の費用が半分になります。有人加工より原価は低くなります。

一方、無人加工中作業者は他の現場で「別のお金を稼ぐ仕事」をする必要がありますが、これはなかなか難しいです。

実際は加工中作業者がその現場で設備の状態を監視したり、製品の検査や仕上げ作業を行ったりしています。この場合、加工中の作業者の費用はどう考えたらよいでしょうか。

3. 無人加工の作業者の費用

 この場合、無人加工中の作業者の費用は、設備の間接製造費用と考えます。図5は、無人加工の設備が4台あり、2人の作業者が担当しています。

作業者は、設備の段取を順に行い、段取が完了すれば設備は無人で加工します。段取が終われば、作業者は次の段取の準備や完成品の品質確認を行います。無人加工でも多くの現場はこのようにしています。

図5 無人加工中の作業者

この場合、加工中も作業者の費用は発生します。ただし加工中作業者は複数の設備を担当し、作業者の費用がどの製品にどのくらい生じているのかわかりません。そこで加工中の作業者の費用は、設備の間接製造費用とします。

アワーレート間(設備)は

図5の例では4台の設備に作業者が2名なので2台持ちと同じです。作業者の持ち台数が多くなれば、原価はさらに下がります。

作業者の費用は、加工中は設備の間接製造費用、段取中は直接製造費用です。そこで作業者の日々の時間の中で段取時間と加工時間の割合が必要になります。ただしこの比率を正確に調べるのは大変なので、数日間サンプルを取って代表値とします。これを図6に示します。

図6 無人加工の作業者の費用

図6は設備が4台、作業者が2名の場合

作業者の段取時間と加工時間
段取 : 2,200時間 (50%)
加工 : 2,200時間 (50%)

設備は4台なので合計時間は
段取 : 2,200時間
加工 : 6,600時間

段取中は、人と設備の費用が両方発生するため、段取のアワーレートは、アワーレート間(人)とアワーレート間(設備)の合計です。
加工中は設備の費用のみです。ただし、人の費用は間接製造費用としてアワーレート間(設備)に含まれます。その結果

段取のアワーレート : 3,670円/時間 (2,610+1,060)
加工のアワーレート : 2,180円/時間

4. ロボットの導入

 ロボットを導入して無人加工ができれば原価は下がります。しかし、従来の産業ロボットは高価で安全フェンスのため広い場所も必要で、導入は容易ではありませんでした。

近年、スピードはそれほど速くないのですが、安価で安全フェンスも不要な協働ロボットが普及してきました。こういったロボットを導入した場合、原価はどうなるのでしょうか。

図8 ロボット化の場

500万円のロボットでも5年間使用すれば、年間のロボットの費用(実際の償却費)は100万円、パート社員と変わりません。ただし協働ロボットは、スピードは遅いため人よりも時間は長くなります。

しかし、人は24時間働けませんが、ロボットは24時間働けます。ロボットは有休もとりません。人は作業スピードが遅くなったり、トイレのために抜けたりしますが、ロボットは一定のスピードで動き続けます。

そこで現在の作業のままロボットを人と置き換えるより、スピードは劣っても24時間稼働できるロボットの特徴を生かして作業を見直しします。ロボットを導入することで設備が長時間稼働できればアワーレート(設備)が下がり原価が低くなります。
ロボット化でどれだけ原価は下がるのでしょうか。

では製造ロットが変わると原価はどれだけ変化するのでしょうか?

ロットの減少によるコストアップについては【原価計算と見積の基礎】12.ロットの減少によるコストアップを参照願います。

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】

経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
中小企業が自ら原価を計算する時の手引書として、専門的な言葉を使わず分かりやすく書いた本です。
【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】モデルを使ってロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失

弊社執筆の原価計算に関する著作は以下からご参照いただけます

経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

 

 

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https://ilink-corp.co.jp/9574.html/feed 0
【原価計算と見積の基礎】10.高い設備は原価が高いのか https://ilink-corp.co.jp/9572.html https://ilink-corp.co.jp/9572.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:26:13 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9572
このコラムの概要

高額な設備投資は、減価償却費を増やすものの、必ずしも原価を高騰させるわけではありません。生産効率の向上、不良品の削減、人件費抑制など、多くのコスト削減効果を生む可能性があります。重要なのは、設備価格だけでなく、その設備が生産プロセス全体に与える価値を総合的に評価することです。適切な設備投資は、長期的に見て製品あたりの原価を下げ、企業の競争力を高めます。

大きな設備と小さな設備で原価はどのように変わるのでしょうか?設備の大きさの違いによる原価に関して、以下の5点について述べます。

  1. アワーレート(設備)と設備の費用
  2. 設備の違いによって現場を分けるかどうか
  3. アワーレート(設備)の間接製造費用の影響
  4. 具体的な原価の違い

1. アワーレート(設備)と設備の費用

 アワーレート(設備)は、

本コラムでは設備の年間費用は、決算書の減価償却費でなく実際の償却費を使います。ランニングコストには以下のものがあります。

設備の購入費用 : 実際の償却費
ランニングコスト : 光熱費、消耗品費、修理代、保守料など


図1
 

ランニングコスト

 ランニングコストは設備を動かすのに必要な電気代など光熱費、消耗品費、修理代、保守契約費用などです。この中で設備の差が大きいものをアワーレート(設備)に入れます。今回は電気代のみランニングコストに入れました。

それ以外の費用は金額が少なく設備毎の差も小さいので、間接製造費用として各現場に分配しました。

設備の年間費用が高ければアワーレート(設備)も高くなります。では設備によって現場を分けた方がいいのでしょうか。 

2. 違う設備は現場を分けた方がいいか

 これは設備の機能・能力で判断します。

設備の価格やランニングコストが違っていても、同じ加工であれば生み出す付加価値も同じです。従って、同じ現場にします。 

A社の場合

 機械加工A社は、小型のマシニングセンタ4台と大型のマシニングセンタ4台があります。(図2)この4台は導入時期が異なり、減価償却が残っている設備もあります。ただし加工能力はこの4台の間で差はありません。

大型のマシニングセンタは、大きな部品が加工できるため単価の高い製品が受注できます。
一方、小型のマシニングセンタよりスピードが劣るため、小さな部品は原価が高くなります。

そのため現場はこの2つを使い分けしています。そこで小型のマシニングセンタと大型のマシニングセンタは別の現場とします。

ただし同じ製品を、ある時は大型のマシニングセンタ、ある時は小型のマシニングセンタと、現場が使い分けしていなければ同じ現場にします。つまり、現場を分けるかどうかは「実際に使い分けしているかどうか」です。

図2

です。ラインの効率は

各設備のサイクルタイムのばらつきを縮めない限り、現状では10%のロスが必ず発生します。これは複数の設備に工程分割すれば必ず発生するロスです。実際は、アワーレートの計算には直接製造費用だけでなく、間接製造費用も含まれます。
間接製造費用はアワーレート(設備)にどのように影響するのでしょうか。

3. 間接製造費用の影響

 この間接製造費用を現場に分配する場合、様々な方法があります。本コラムは、

  • 現場の直接製造費用に比例
  • 現場の直接製造時間に比例

この2つを使います。

この間接製造費用を含めたアワーレートがアワーレート間(人)、アワーレート間(設備)で、これは以下の式で計算します。

では設備の大きさによって、原価はどう変わるでしょうか。具体的な数値で検証します。 

4. 具体的な原価の違い

機械加工A社

図5に示すA社の2つの現場(マシニングセンタ1(小型)とマシニングセンタ2(大型))のアワーレート(設備)や原価を比較します。

図5 A社のマシニングセンタのアワーレート

マシニングセンタ2(大型)の1台の年間費用280万円はマシニングセンタ1(小型)140万円の2倍でした。アワーレート(設備)も2倍になりました。ここでは、間接製造費用を各現場の直接製造費用に比例して分配しました。

これは「直接製造費用の高い現場は付加価値の高い製造をするため、間接製造費用を多く負担する」考え方です。その結果、分配した間接製造費用は、

マシニングセンタ1(小型) : 145万円

マシニングセンタ2(大型) : 185万円

でした。間接製造費用を分配したアワーレート間(設備)は、

マシニングセンタ1(小型) : 1,720円/時間

マシニングセンタ2(大型) : 2,850円/時間

1.7倍に差は縮みました。この違いが原価にどう影響するのでしょうか。A社 A1製品の原価を図6に示します。

図6 A1製品の受注条件と原価、利益

A1製品は、製造費用
マシニングセンタ1(小型) : 380円

マシニングセンタ2(大型) : 470円 (+90円)

利益
マシニングセンタ1(小型) : 50円

マシニングセンタ2(大型) : ▲60円

マシニングセンタ1(小型)では50円の利益が、マシニングセンタ2(大型)では60円の赤字になりました。このように大きな(年間費用の高い)設備は原価が上がります。

実際マシニングセンタ2(大型)は製造費用が90円増えました。しかし、この90円の多くは固定費(実際の償却費)です。つまり赤字でも本当にお金が出ていくわけではありません。

もし、マシニングセンタ2(大型)でも加工できる製品があり、マシニングセンタ2(大型)が空いていれば、マシニングセンタ2(大型)で加工すべきです。

そうすれば原価計算上は赤字でも会社の利益は増えます。この点は誤解する現場の人も多いので注意します。 

このように設備毎の原価の違いを計算できました。

では設備を自動化すれば原価はどう変わるでしょうか?

設備の自動化と多台持ち、ロボットの活用については【原価計算と見えない赤字】9.自動化とロボットの活用を参照願います。

 

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

書籍「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】

経営コラム「原価計算と見積の基礎」を書籍化しました。
中小企業が自ら原価を計算する時の手引書として、専門的な言葉を使わず分かりやすく書いた本です。
【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】モデルを使ってロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失

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経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

 

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【原価計算と見積の基礎】6.設備のアワーレートの計算方法(2) https://ilink-corp.co.jp/9564.html https://ilink-corp.co.jp/9564.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:20:18 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9564
このコラムの概要

設備稼働にかかる変動費(電気代、消耗品費など)を正確にアワーレートに含めることが重要です。これにより、個別の設備コストを正確に把握できるだけでなく、企業全体の生産性向上と利益最大化に繋がります。複数の設備が関わる生産プロセスでは、各設備のアワーレートを正確に把握し、最適な生産計画や設備投資を策定することが、企業の競争力を高める鍵となります。

 
【原価計算と見積の基礎】5.設備のアワーレートの計算方法(1)ではアワーレート(設備)の計算に必要な減価償却費について説明しました。

ここではアワーレート(設備)の具体的な計算について説明します。
 

アワーレート(設備)の計算

 

アワーレート(設備)の計算に使用する設備の年間費用は、実際の償却費とランニングコストです。アワーレート(設備)の計算は以下の式です。

複数の設備がある場合、複数の設備を平均した現場の平均アワーレート(設備)を計算します。

 

A社 マシニングセンタ1(小型)の現場の場合

 

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場の設備を(図1)に示します。

図1 A社マシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレート(設備)

計算を簡単にするため4台とも

購入価格 : 2,100万円
ランニングコスト : 18.4万円
年間操業時間 : 2,200時間
稼働率 : 0.8
実際の耐用年数 : 15年

とします。実際の償却費は

現場の平均アワーレート(設備)は

マシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレート(設備)は900円/時間でした。

4台の設備は導入後、それぞれ4年目、8年目、11年目、12年目でした。

決算書の減価償却費は

4年目 : 215万円
8年目 : 138万円
11年目 : 0円
12年目 : 0円

従って減価償却費から計算したアワーレート(設備)は

減価償却費から計算したマシニングセンタ1(小型)の現場のアワーレート(設備)は600円/時間でした。
 

24時間稼働した場合

 

人は24時間働けませんが、設備は24時間稼働できます。24時間稼働すれば稼働時間が長くなり、アワーレート(設備)は低くなります。

A社のマシニングセンタ1(小型)を24時間稼働させた結果、

年間操業時間 : 2,200時間 → 6,000時間

年間の電気代 : 18.4万円 → 50.2万円

年間の電気代は50.2万円に増加しました。アワーレート(設備)は

電気代は増えましたが稼働時間が大幅に増えたため、アワーレート(設備)は

昼勤のみ: 900円/時間

24時間 : 400円/時間

昼勤のみの44%になりました。高価な設備はアワーレート(設備)が高くなりますが、24時間動かせばアワーレート(設備)を低く抑えられます。
 

年に半分しか稼働しない場合

 

逆に設備を動かさなければアワーレート(設備)は上昇します。

マシニングセンタ1(小型)の現場で、購入11年目と12年目の設備が半分しか稼働しない場合(図2、図3)

図2 年に半分しか稼働していない設備
図3 2台は年に半分しか稼働しない場合

アワーレート(設備)は以下のようになります。

アワーレート(設備)は1,200円/時間、約1.3倍になりました。

将来更新する設備は使わなくても費用が発生しています。そのため使わない時間が長ければアワーレート(設備)は高くなります。
 

高い設備と安い設備がある場合

 

価格の高い設備と低い設備は、アワーレート(設備)が違うのでしょうか。

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場で、高性能な設備(例えば5軸マシニングセンタ)を1台導入した場合を考えます。この設備は、複雑な加工ができる反面、価格が4,200万円と高価でした。

図4に示すマシニングセンタ1(小型)の現場で購入4年目の設備が4,200万円の場合

図4 1台が高価な設備の場合



4,200万円のマシニングセンタは

実際の償却費 : 280万円 (2倍)

マシニングセンタ単体の
アワーレート(設備) : 1,700円/時間

それまでの2倍近くになります。そのため現場の平均アワーレート(設備) は、1,100円/時間 になり、200円/時間上昇しました。その分見積も高くなります。

高価な設備は価格に見合った付加価値を生むことができれば問題ありません。

しかし、従来の設備と同じ付加価値しか生まなければコストアップになってしまいます。
  

どこまで細かく計算するのか? 設備のランニングコスト

 
設備のランニングコストには図7のようなものがあります。

図7 ランニングコストの例

その内訳は

  • エネルギーコスト
    電気、ガス、水道など水道光熱費
  • 消耗品
    オイル、クーラントなど液体
    二酸化炭素、アルゴン、窒素ガスなど気体
    ウェス、刃物、工具など固体
  • 修理・保守費用
    修理代、保守契約などサービス費用

これらの費用はどの設備でどれだけ発生したのか正確にはわかりません。そこで間接製造費用として、他の工場の経費と共に各現場に分配します。

ただし、設備によっては特定の費用がとても高いことがあります。その場合、その費用はその設備の直接製造費用としてアワーレート(設備)の計算に入れます。例えば

  • ヒーターがあるため消費電力がとても大きい設備。あるいは射出成型機など設備の大きさで消費電力が変わりアワーレート(設備)にも影響する場合。
  • 窒素、二酸化炭素やアルゴンガスなどのガスを多く消費する設備。
  • 食品製造設備のように終業後洗浄のため多量の水を使用する設備。
  • 刃物やオイルなどの特定の消耗品の使用量が多い設備。
  • 多額の修理費が発生する設備。
  • 多額の修理費に備えて毎年保険をかけている設備。又は高額な保守契約をメーカーと締結している設備。

これらの費用は、その設備、あるいは現場固有の費用として、アワーレート(設備)の計算に入れます。

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【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

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【原価計算と見積の基礎】5.設備のアワーレートの計算方法(1) https://ilink-corp.co.jp/9562.html https://ilink-corp.co.jp/9562.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:19:37 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9562
このコラムの概要

製品原価を正確に把握するには、設備のアワーレートを算出することが不可欠です。この算出には、設備の購入費用を耐用年数で配分する減価償却費や、借入金利、保険料、固定資産税などの固定費を含める必要があります。これらの費用を適切にアワーレートに盛り込むことで、設備の真のコストが明らかになり、より精度の高い見積もりや価格設定が可能になります。

 
【原価計算と見積の基礎】4.人のアワーレートの計算方法ではアワーレート(人)の計算について説明しました。

ここではアワーレート(設備)の計算について説明します。
 

アワーレート(設備)の計算式

 
第3章で説明したアワーレート(人)の計算式は以下の式でした。

アワーレート(設備)も同様に設備の年間費用を「年間操業時間〈注1〉×稼働率」で割って計算します。


〈注1〉アワーレート(人)の場合、就業時間でしたが、設備を「就業」とは言わないので操業時間としました。意味は同じです。

設備の年間費用は、設備の購入費用と年間のランニングコストです。
この設備の購入費用は、減価償却費として計上されています。

この減価償却費はどのような費用でしょうか。
 

減価償却費とは?

 
設備を購入した場合、その費用は耐用年数で分割して減価償却費として毎年計上されます。図1では、2,100万円の設備を購入し、耐用年数は10年でした。

この場合、毎年210万円が費用として計上されます。(定額法の場合)

図1 減価償却費の例

計上される費用とお金の動き

最初の年は設備を買ったため、2,100万円お金が出ていきました。

しかし費用として計上されるのは、減価償却費210万円のみです。

従って会社のお金は、その差額1,890万円分マイナスします。(キャッシュフローがマイナス1,890万円) これを図2に示します。

図2 減価償却費とお金の動き

2年目以降はお金がプラス

2年目以降は、もうお金は出ていきません。しかし毎年減価償却費210万円が計上されます。支出がないのに210万円費用が計上されるため、お金は210万円増えます。(キャッシュフローがプラス210万円)

このように設備投資は、決算書の費用と実際のお金の動きが異なります。

どうしてこのようなことをするのでしょうか。
 

減価償却の考え方

 
これは会社の起源となった大航海時代を考えるとわかりやすいです。

胡椒などの香辛料はヨーロッパでは採れません。そのため、かつては東南アジアや中国からシルクロードを経由して運ばれ、極めて高価なものでした。

しかし16世紀に入るとヨーロッパから東南アジアへの貿易航路が開かれました。

図3 大航海時代の帆船、サンタマリア号(復元)(Wikipediaより)

当時の貿易航海は、多額のお金が必要な一大事業でした。そのため複数の資産家がお金を出して会社をつくって事業を行いました。

当初は1回の航海が終わると、会社を清算して出資者にお金を分配しました。しかし次も航海は行います。毎回会社を清算していては非効率です。

そこで一度航海が終わっても会社を清算せず、出資金は株式として残し事業を継続しました。これが株式会社の始まりです。
 

船の費用

 
ここで船の費用を考えてみます。

船は最初に購入しますが、その後何回も航海に使えます。船の費用をすべて1年目の費用にすると、1年目の航海は大きな赤字になります。

図4では、1年目は経費1億円で売上は4億円でした。しかし船の費用10億円あるため、収支はマイナス7億円でした。

対して2年目以降は船の費用はゼロです。そのため収支はプラス3億円でした。

図4 船の費用と利益

船は10回の航海に使えるとします。そこで船の費用を10回の航海に分けて費用とした方が利益を適切に計算できます。これを図5に示します。

図5 船の費用を均等にした場合

図5では、船の費用は毎年1億円です。収支は1年目からプラス2億円になります。
 

減価償却とは資産の価値が減少すること

 

これは航海に1度出る度に船が痛み、1億円ずつ価値が減っていくことです。

この事業を続けるには、毎年1億円ずつ10年間お金を貯めて、11年目には10億円で新たに船を買わなければなりません。これが減価償却費の意味するところです。〈注2〉

一方、減価償却費があると、毎期の利益と現金の動きが合わなくなります。利益が出ていても会社にお金があるとは限らないのです。


〈注2〉実際は大航海時代は、まだ固定資産や減価償却費の概念はありませんでした。
減価償却費が普及したのは、19世紀イギリスで蒸気機関車が発明され、鉄道が普及したためでした。鉄道は多額の初期投資が必要なため、初期投資した年は多額の赤字が発生します。それでは株主に利益を分配できないことから減価償却という概念が生まれました。
 ただ固定資産の損耗という考え方は、船で考えるとわかりやすいので、貿易航海を例に説明しました。

 

財務会計の減価償却は税法に従う

 
従って減価償却の金額によって利益は変わります。

毎期の減価償却を企業が自由に決めることができれば、企業が自由に利益を増やしたり減らしたりできます。

これは税務署には都合が悪いため、減価償却については以下の2点が税法で決められています。
 

耐用年数

 

耐用年数(法定耐用年数)は、設備の種類に応じて税法で決められています。表1に国税庁の定める法定耐用年数の一部を示します。

表1 法定耐用年数の例

設備の種類細目耐用年数(年)
プラスチック製品製造業用設備8
金属製品製造業用設備金属被覆及び彫刻業
又は打はく及び金属製ネームプレート
製造業用設備
6
その他の設備10
はん用機械器具製造業用設備12
生産用機械器具製造業用設備金属加工機械製造設備9
その他の設備12

この法定耐用年数は、設備の区分が粗く、使用条件の違いも考慮していません。

実際は同じ設備でも、過酷な使い方をする場合とそうでない場合、1日24時間稼働と昼勤のみの場合で劣化は大きく違います。そのため法定耐用年数まで持たない設備もあれば、法定耐用年数よりずっと長く使える設備もあります。

設備でも金額が低いものは1年で償却(一括償却)されます。また設備以外に建物やソフトウェアも減価償却します。しかし土地は劣化しないので減価償却をしません。

定率法と定額法


減価償却の方法は、図6に示すように、毎年一定額を償却する定額法と、毎年一定率を償却する定率法があります。

どちらを採用するかは企業が前もって選択します。定率法を選択すればすべて定率法、定額法を選択すればすべて定額法です。(ただし建物はいずれの場合も定額法です。)

図6定率法と定額法

図6の場合

設備 : 2,100万円
法定耐用年数 : 10年
定額法 : 毎年210万円
定率法 : 1年目420万円、2年目336万円と年々減少

設備の劣化という点で考えれば定額法が適切です(海外は定額法が一般的)。しかし利益が多く出ている企業は、できるだけ早く減価償却をして利益を減らし、支払う税金を少なくしたいと考えます。

また毎年設備投資を行うと、定額法の場合、年々減価償却費が増えて利益を圧迫します。
定率法ならば減価償却費は2年目以降減少するため、こういったことが起きにくくなります。

そのため定率法を選択する中小企業が多いです。

一方大企業と違い、中小企業は減価償却をしなくても違法でありません。利益が出なければ無理に減価償却をしなくてもよいのです。ただし減価償却をしないで利益を増やして決算をよく見せることは、金融機関に対してはマイナスです。

アワーレート(設備)に減価償却費を使用する問題

アワーレート(設備)の計算に、この減価償却費を使用する場合、以下の問題があります。

  • 定率法の場合、減価償却費が年々減少する

図4-6に示すように定率法の減価償却費は年々減少します。そしてアワーレート(設備)も年々低くなります。それでも利益は出ます。

  • 法定耐用年数を過ぎればゼロ

法定耐用年数を過ぎて設備を使用できれば減価償却費はゼロです。アワーレート(設備)はさらに低くなります。

  • 設備の更新を考えると

設備を更新すると新たに減価償却が発生し、アワーレート(設備)が高くなります。

減価償却が終わった設備が、その後は未来永劫使えるならアワーレート(設備)が低くても問題ありません。

例えば、現場で補助的に使っているボール盤やグラインダーなどは壊れない限り何十年も使用できるでしょう。

しかし、日常の生産に使用している設備は徐々に劣化します。そしていつか更新時期が来ます。最近の設備は制御にコンピューターや電子回路を使用するものも多く、コンピューターや電子回路は10~15年で寿命が来ます。

そしてその頃には補給部品もなくなります。 (これはメーカーによります。20年以上補給部品を供給するメーカーもあれば、10年未満でなくなるメーカーもあります。)

減価償却が終わった設備を更新すれば、新たに減価償却費が発生します。減価償却が終わってアワーレート(設備)を低くしていた場合、アワーレート(設備)を高くしなければ赤字になってしまいます。

しかし設備を更新したからといって、価格を上げることができるでしょうか。

更新を考慮した正しい設備の費用


こういったことを避けるためアワーレート(設備)に使用する設備の費用は、購入金額を本当の耐用年数で割った金額を使用します。これを本コラムは「実際の償却費」と呼びます。

例えば図6の設備は法定耐用年数が10年ですが、A社では、実際は15年くらい使用します。

そこで実際の償却費は

この140万円でアワーレート(設備)を計算すれば、設備を更新した後も同じアワーレート(設備)になります。

ただし、実際の償却費からアワーレート(設備)を計算した場合、問題がひとつあります。

それは、設備購入直後は実際の償却費より、決算書の減価償却費の方が高いことです。減価償却費の方が高いため、利益が低くなります。図7では、

実際の償却費 : 140万円

減価償却費(1年目) : 420万円

差額の280万円分利益がマイナスします。場合によってはこのために会社が赤字になるかもしれません。ただし、減価償却費420万円は、実際は現金の支出がない費用です。従って会社に残るお金はどちらも変わりません。

図7 減価償却費と実際の償却費

耐用年数に達したら更新に必要なお金がなければならない


この減価償却費は現金の支出のない費用です。そのため減価償却費の分だけ会社にお金が残ります。

図8に示すように毎年減価償却費でプラスしたお金を貯めていけば、設備が耐用年数に達した時、設備の購入金額分のお金が会社に残ります。

このお金で設備を更新します。借入をして設備を導入した場合は、減価償却費でプラスになったお金で借入金を返済します。設備の更新が来れば、借入金の返済が終わり、新たな借入ができるようにします(実際は借入金の返済期間は耐用年数より短いため、返済にはもっとお金が必要です)。

図8 減価償却と内部留保

減価償却が進むと安く受注しても利益が出る


注意しなければならないのは、減価償却が進むと会社全体の製造原価が下がり、「受注金額が低くても利益が出る」ことです。

顧客から価格引き下げの要求が厳しい場合、利益が出ているので、まだ値下げできるように思えます。しかし値下げを続ければ、次の設備の更新に必要なお金が残りません。しかも多くの工場では、そういった設備は1台ではありません。

例えば、図9の例は設備が4台あり、導入から14年目が1台、12年目が2台、11年目が1台、全て減価償却が終わっています。

図9 4台の設備の更新

4台はそれぞれ

1年後 : 設備1が15年目

3年後 : 設備2、3が15年目

4年後 : 設備4が15年目

になり、順に更新時期を迎えます。

自己資金で設備を更新する場合、今年の時点で8,400万円の内部留保がなければなりません(借入で購入する場合は、新たに借入しても返済できる利益が今年の時点で必要です)。

昨今、中小企業(製造業)の廃業の原因のひとつに設備の老朽化があります。

理由は厳しい値下げ要請に応え続けた結果、利益が減少して更新に必要な内部留保が残らなかったためです。

これを避けるには中期経営計画に設備の更新時期と必要な資金を盛り込んで、計画的に内部留保を積み上げます。

この設備の償却費を使用してアワーレート(設備)はどうやって計算するのでしょうか。

具体的なアワーレート(設備)の計算は【原価計算と見積の基礎】6.設備のアワーレートの計算方法(2)で説明します。

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  • 第7章 個々の製品の原価計算

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【原価計算と見積の基礎】4.人のアワーレートの計算方法 https://ilink-corp.co.jp/9560.html https://ilink-corp.co.jp/9560.html#respond Wed, 17 Jan 2024 02:18:32 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9560
このコラムの概要

企業の原価計算には、アワーレートを正確に算出することが不可欠です。これには、単なる賃金だけでなく、法定福利費や退職金、交通費、さらには家賃や光熱費といった間接費まで含める必要があります。これらの費用を網羅的に考慮し、人件費を固定費として扱うことで、製品の正確な原価を把握し、利益を確保できる競争力のある見積もりが可能になります。

 
【原価計算と見積の基礎】2.製造原価の計算方法(1)では工場で発生する必要と製造原価の構成について

【原価計算と見積の基礎】3.製造原価の計算方法(2)では間接製造費用と販管費、見積金額の計算について説明しました。

ここではアワーレート(人)の計算について説明します。
 

アワーレート(人)は稼働率を入れて計算

 
アワーレート(人)とは、1時間あたりの人の費用です。

これは時給とは違うのでしょうか?
 

アワーレート(人)の計算

 
アワーレート(人)は、人の年間費用を1年間の稼働時間(実際にお金を稼いでいる時間)で割って計算します。

1年間の稼働時間は、年間の就業時間に稼働率をかけて計算します。

従ってアワーレート(人)の計算は以下のようになります。

つまりアワーレート(人)は、稼働率の分、時給より高くなります。
 

A社 正社員Aさんのアワーレート(人)

 
A社の正社員Aさんの費用とアワーレート(人)を図1に示します。稼働率は80%とします。

図1 正社員Aさんのアワーレート

Aさんの支給額は月20.23万円〈注1〉賞与含めて15か月分で303.5万円でした。

社会保険料の会社負担分は303.5万円の16%、49万円でした。


〈注1〉本コラムはできるだけ区切りがいい数字になるように金額を決めています。そのため、現実の費用と比べると高すぎる、あるいは低すぎることがあります。

Aさんの年間費用は

年間費用=20.23×15×(1+0.16)
    =352 万円

Aさんのアワーレートは、

A社 パート社員Hさんのアワーレート(人)

 
パート社員Hさんの時給は、960円/時間、年間費用は115.2万円でした。(図2)

アワーレート(人)は、稼働率が0.8のため、Hさんのアワーレート(人)1,200円/時間でした。

図2パート社員のアワーレート(人)

正社員Aさんのアワーレート(人)   : 2,000円/時間

パート社員Hさんのアワーレート(人) : 1,200円/時間

時給960円のHさんのアワーレート(人)は、稼働率0.8で割ったため1,200円です。

なぜアワーレート(人)の計算に稼働率をかけるでしょうか?

この稼働率は何を意味するのでしょうか?
 

稼働率の意味するところ

 

稼動率の意味は、企業や書籍により様々です。本コラムは、稼働率を「就業時間に対し付加価値を生んでいる時間(稼働時間)の割合」とします。


例えば、ある作業者の1日は図3のようになっていました。

図3 ある作業者の1日

この1日は以下のように分けられます。
 

【付加価値を生んでいる時間】

  • 段取時間
  • 生産時間

 
【付加価値を生んでいない時間】

  • 朝礼
  • 移動
  • トイレのため離席
  • 資材を探す
  • 会議
  • 片付け

 

ここで付加価値を生んでいる時間に段取時間が入っているのは、本コラムは段取費用も見積に入れているからです。

多品種少量生産では、ロットの大きさが違うと製品1個当たりの段取費用が大きく変わります。そのため原価に段取費用を入れます。

大量生産で段取の頻度が少なく、段取費用が見積に入っていない場合、段取時間は付加価値を生まない時間です。

作業者が1日忙しく働いていても、このような付加価値を生まない「稼いでいない時間」があります。しかしこの時間も費用(人件費)は発生しています。

そこで就業時間に対し付加価値を生んでいる時間の割合を稼働率とします。

アワーレート(人)は、人の年間費用を就業時間に稼働率をかけたもので割って計算します。受注が少なくなり稼いでいる時間も少なくなれば、稼働率は下がります。

1日フルに生産するだけの受注がなく、空いた時間に5S活動(整理・整頓)や改善活動を行っても、それは「お金を稼いでいない時間」です。その分、アワーレート(人)は高くなっています。

稼動率は、作業者の稼働時間と就業時間を集計すれば計算できます。

実際は1年を通して行うのは大変なので、数名を一定期間調べて全体の稼働率を推定します。稼働率の値は、1日現場に入っている作業者でも80~95%ぐらいです。
 

賃金、社会保険料、派遣、請負などの費用は?

 

労務費には図4に示すように

  • 賃金
  • 賞与
  • 退職金
  • 各種手当
  • 社会保険料(法定福利費)
  • 福利厚生費
  • 雑給

があります。

図4 労務費の内訳

この労務費は、賃金、賞与、退職金、各種手当などが含まれます。

各現場の人の年間費用は、その現場に所属している人の労務費を集計します。

社会保険料は、全社員がまとめて計上され、個々の社員の金額はわからないことがあります。社会保険料の会社負担の合計はA社では約16%でした。そこで人件費の16%で概算しました。(これは業界によって異なりますので注意してください。)

派遣社員や請負の費用は労務費でなく、外注費や製造経費に入っていることもあります。
これらは原価計算では「労務費」なので、各現場の人の費用に入れ、その分、外注費や製造経費からマイナスします。
 

賃金の高い人のつくった製品の原価は高いのか?

 
正社員Aさんとパート社員Hさんのアワーレート(人)は

正社員Aさんのアワーレート(人)   : 2,000円/時間

パート社員Hさんのアワーレート(人) : 1,200時間

パート社員Hさんのアワーレート(人)は正社員Aさんの60%です。その結果、同じ製品を1時間かけて製造した時の費用は

正社員Aさんが製造   : 2,000円

パート社員Hさんが製造 : 1,200円

パート社員Hさんが製造すればAさんの60%になります。

この計算は正しいのですが、現実には全く同じ製品を、つくった人が違うために異なる原価で管理するのは困難です。

そこで正社員Aさん、パート社員Hさんも含めた、その現場全体の平均アワーレート(人)を使います。
 

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場の平均アワーレート

 

A社のマシニングセンタ1(小型)の現場は、図5に示すようにA~Dさんまで4人の作業者(正社員)がいました。年間総支給額も352~528万円と幅がありました。

ただし就業時間と稼働率は、計算を簡単にするため同じにしました。

図5 現場の平均アワーレート(人)

マシニングセンタ1(小型)の現場の作業者の年間費用合計は

作業者の年間費用合計=352+352+440+528
          =1,672 万円

マシニングセンタ1(小型)の現場の作業者の「就業時間×稼働率」の合計は

作業者の「就業時間×稼働率」の合計=2,200×0.8×4
                 =7,040 時間

平均アワーレート(人)は以下の式で計算します。

マシニングセンタ1(小型)の現場の場合

平均アワーレート(人)は、2,380円/時間でした。この2,380円/時間であれば、誰がつくっても同じ原価になります。

 

稼働率が低い年は翌年アワーレート(人)が高くなる?

 

忙しい月は人の稼働率が高く、暇な月は稼働率が低くなります。

その結果、忙しい月はアワーレート(人)が低くなり、暇な月はアワーレート(人)が高くなります。そうなると原価が変わってしまいます。

これでは製品が儲かっているのは

  • 高く受注できた
  • 短い時間で生産できた
  • たまたまその月は稼働率が高かった

どれなのかわからなくなってしまいます。

アワーレート(人)は、原価を計算する「ものさし」です。

そこで稼働率は年間で一定とし、アワーレート(人)は一年間変わらないようにします。(この点が、毎月の稼働率から実際原価を計算する財務会計の原価計算と違う点です。)

一方、年によって繁忙状況が変わることもあります。

本コラムは、先期の決算書からアワーレートを計算します。そのため先期の稼働率が低ければ、翌期のアワーレート(人)は高くなります。

本当は、先期は受注が少なかったので、今期は受注を増やしたいところです。

しかし今期のアワーレート(人)が高ければ、見積も高くなってしまい、一層受注しにくくなります。

この場合は、工場が元々目標としている稼働率でアワーレート(人)を計算します。そしてその稼働率を達成できるように営業活動に力を入れます。

では、アワーレート(設備)はどうやって計算するのでしょうか。

アワーレート(設備)の計算方法は【原価計算と見積の基礎】5.設備のアワーレートの計算方法(1)で説明します。

「原価計算と見積の基礎」の他のコラムは以下から参照いただけます
本コラムは「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」【基礎編】【実践編】の一部を抜粋しました。

「中小企業・小規模企業のための個別製造原価の手引書」の目次
【基礎編】

  • 第1章 なぜ個々の製品の製造原価が必要なのか?
  • 第2章 どうやって個別原価を計算するのか?
  • 第3章 アワーレート(人)はどうやって計算する?
  • 第4章 アワーレート(設備)に必要な減価償却費
  • 第5章 アワーレート(設備)はどうやって計算する?
  • 第6章 間接製造費用と販管費の分配
  • 第7章 個々の製品の原価計算

【実践編】

  • 第1章 製造原価の計算方法
  • 第2章 難しい原価計算を分かりやすく解説
  • 第3章 原価を活かした工場管理
  • 第4章 原価を活かして見えない損失を発見する
  • 第5章 意思決定への原価の活用

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【基礎編】アワーレートや間接費、販管費の計算など原価計算の基本
【実践編】モデルを使ってロットの違い、多台持ちなど実務で起きる原価の違いや損失

弊社執筆の原価計算に関する著作は以下からご参照いただけます

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利益まっくすの詳細は以下からお願いします。詳しい資料を無料でお送りします。

経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

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【製造業の値上げ交渉】5. 電気代が上昇すれば原価はどれだけ上がるのだろうか? https://ilink-corp.co.jp/9386.html https://ilink-corp.co.jp/9386.html#respond Mon, 08 Jan 2024 03:58:52 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9386
このコラムの概要

製造業は、電気代上昇が製品原価に与える影響を正確に把握する必要があります。単に電気代全体が増えたと捉えるのではなく、各製造工程や設備が消費する電力量を基に、製品1つあたりのコスト増加分を具体的に算出することが重要です。この定量的なデータを値上げ交渉の根拠とすることで、顧客に説得力のある説明が可能となり、適正な利益を確保し、持続的な経営を実現できます。

 
クイズです。

ある会社(A社) 受注金額1,000円の製品で、電気代が30%上昇した時、原価はどれだけ高くなるでしょうか?

1. 5円
2. 9円
3. 20円

正解は2.の9円でした。電気代上昇の影響は意外と大きかったのではないでしょうか?

これは架空のモデル企業の場合でしたが、自社ではどうでしょうか?
 

資源価格の高騰と電気代の変化

 
日本の場合、電気、ガスなどのエネルギー費は原油や天然ガスの価格に影響されます。この原油や天然ガスは、ロシアの産出量も多く、ウクライナ戦争の影響で価格が上昇しました。また大半が輸入のため為替の影響も受けます。また原油は市場で取引されますが、時には投機マネーが流入して価格が大きく跳ね上げることもあります。

2000年から2023年の間の原油価格の推移を図1に示します。

図1 原油価格の推移
図1 原油価格の推移

天然ガスの価格も図2のように乱高下しています。

図2 天然ガスの価格の推移
図2 天然ガスの価格の推移

その結果、電気代も上昇しています。電気代(kWh単価)は、2020年から3年間で2.1倍になりました。

図3 電気代の推移
図3 電気代の推移

これにより原価はどれだけ上昇したでしょうか?
 

電気代の上昇によるアワーレートの上昇

 
電気代が上昇した場合、以下の2つが増加します。

  • アワーレート(設備)の計算に電気代が含まれている場合、その分の電気代の上昇
  • 共用部分の電気代が上昇し、それによってる間接製造費用の分配つが増加

これについて架空のモデル企業A社 NC旋盤の現場のアワーレートと原価を計算します。

モデル企業A社の詳細は「製造業の値上げ交渉1 個々の製品の原価はいくらなのだろうか?」を参照願います。
 

設備のアワーレートの上昇

 
A社 NC旋盤の現場

NC旋盤1台の年間電気代 : 23.2万円

電気代30%増加した場合 

増加後のNC旋盤1台の電気代=23.2×(1+0.3)=30.2万円

NC旋盤の現場は、4台のNC旋盤がありました。この現場の平均アワーレート(設備)は
平均アワーレート(設備)の計算

  • 値上げ前 : 700円/時間
  • 30%上昇後 : 740円/時間

40円/時間増加しました。

一方共用部分の電気代も上昇します。A社の年間の電気代は1,300万円、このうち共用部分の電気代は756万円でした。この756万円も30%増加します。

そのため、間接製造費用の分配は544万円→568万円と24万円増加しました。この間接製造費用の分配については「製造業の値上げ交渉3 間接費用や販管費も原価に含まれるのだろうか?」を参照願います。

従ってアワーレート間(設備) 〈注〉は
アワーレート間(設備)の計算


〈注〉本コラムでは、間接製造費用を含んだアワーレートを区別するために、

  • 直接製造費用のみのアワーレート : アワーレート(人)、アワーレート(設備)
  • 間接製造費用を含んだアワーレート : アワーレート間(人)、アワーレート間(設備)

と表記します。
またアワーレートは、直感的に理解しやすいように一桁目を四捨五入しています。(正確さよりもわかりやすさを重視しています。) 実際の計算では正確な数字を使用願います。

間接製造費用も含めるとアワーレート間(設備)は

  • 値上げ前 : 1,470円/時間
  • 30%上昇後 :1,550円/時間

80円/時間増加しました。
 

人のアワーレートの上昇

 
共用部分の電気代が上昇によって間接製造費用が増加すると、アワーレート間(人)も上昇します。NC旋盤の現場の人の間接製造費用分配は設備と同じ568万円でした。

その結果、アワーレート間(人)は
アワーレート間(人)の計算

  • 値上げ前 : 3,150円/時間
  • 30%上昇後 :3,180円/時間

30円/時間増加しました。
 

電気代の上昇による原価・見積金額の増加

 
このアワーレートの上昇により原価はどうなるのでしょうか?

A社のA1製品の原価と見積金額を計算します。
 

製造原価

 
A1製品

  • 製造時間 : 0.075時間
  • アワーレート間(人) : 3,180円/時間
  • アワーレート間(設備) : 1,550円/時間

アワーレート間(人+設備)の計算
製造費用の計算
その結果、製造原価は
製造原価の計算
製造費用は

  • 値上げ前 : 726円
  • 30%上昇後 : 735円/時間

9円増加しました。
 

見積金額

 
販管費は製造原価に比例して計算するため、販管費も増加します。

A社の販管費レート : 0.25
見積金額の計算

販管費も増加したため、見積金額は

  • 値上げ前 : 988円
  • 30%上昇後 : 999円/時間

11円増加しました。これを図4に示します。

図4 電気代の上昇による見積金額の増加
図4 電気代の上昇による見積金額の増加


 

金額は低いが利益への影響は大

 
見積金額は988円から999円と11円増加しました。11円は988円に比べれば小さな金額です。値上げをお願いすると「それぐらい企業努力で何とかしてくれませんか」と言われかもしれません。

しかし電気代が30%上昇し、経費が390万円増加したのは事実です。この11円の値上げができなければ、390万円の利益を喪失します。11円の値上げは、実際の電気代の上昇に基づく金額であることを伝えて、この金額だけは認めてもらうようにします。

その際、販管費や利益の増加分2円を認めてもらうのは難しいかもしれません。しかしA社は製造原価の25%の販管費が発生しているのは事実です。新たに見積をする場合は、販管費は184円になります。

販管費の増加分を認めてもらうのが難しければ、製造費用の上昇分9円だけは認めてもらいます。
 

電気代以外の工場の経費の上昇

 
消耗品など工場で使用する工具や資材の価格も上昇しています。

例えば機械加工工場では、金属を切削する刃物(バイトやエンドミル)を毎月大量に消費します。刃物にはタングステンなどレアメタルを使用するものもあり、資源価格の上昇やウクライナ戦争によりロシアからの入手が困難になったため価格が上昇しました。

あるいは設備の老朽化により修理代が増えていることもあります。他にも工場の土地の賃借料や材料の運送費が上昇していることもあります。

これらは原価に影響するのでしょうか?
 

比率を計算すれば原価の上昇が計算可能

 
本コラムのアワーレート間の計算では、各現場に間接製造費用を分配して計算しました。

例えば、A社 NC旋盤の現場では間接製造費用の分配は544万円でした。この544万円は先期の決算書の費用を元に計算しました。

A社の決算書の製造経費は

  • 電気代 : 1,300万円
  • 消耗品費 : 400万円
  • 修繕費 : 300万円

でした。この比率から、NC旋盤の現場のアワーレート間(人)、アワーレート間(設備)に占める電気代、消耗品費、修繕費の比率が計算できます。

A社のNC旋盤の現場のアワーレート間(人)、アワーレート間(設備)に占める電気代、消耗品費、修繕費の比率を図5、図6に示します。

図5 A社のNC旋盤のアワーレート間(人)に占める費用の比率
図5 A社のNC旋盤のアワーレート間(人)に占める費用の比率
図6  A社のNC旋盤のアワーレート間(設備)に占める費用の比率
図6 A社のNC旋盤のアワーレート間(設備)に占める費用の比率

なおこの計算は弊社の個別原価計算システム「利益まっくす」値上げ計算シート(オプション)から行いました。

詳細は「原価計算システム『利益まっくす』」の紹介サイトを参照願います。
 

A1製品の値上げ金額の計算

 
この比率から、A1製品の値上げ金額を計算します。

A1製品の材料費330円 外注費50円 製造費用346円
 

A1製品の費用の内訳

 
製造費用346円の内訳を図7に示します。

図7 A1製品の費用の内訳
図7 A1製品の費用の内訳

A1製品の製造費用346円の内訳は

  • 人件費 : 224円
  • 設備償却費 : 28円
  • 電気代 : 31.7円
  • 消耗品費 : 13円
  • 修繕費 : 10円
  • その他 : 39円

でした。
 

値上げ金額の計算

 
例えば

  • 人件費 : 8%
  • 電気代 : 30%
  • 消耗品費 : 15%
  • 修理費 : 10%

増加した場合

人件費=224×0.08=17.9円

電気代=32×0.3=9.6円

消耗品費=13×0.15=2円

修繕費=10×0.1=1円

値上げ金額合計=17.9+9.6+2+1=30.5≒30円

製造費用は30円上昇します。

製造費用=346+30=376円

A1製品は
材料費 : 330円
外注費 : 50円
なので、製造原価は
製造原価の計算
販管費は製造原価に比例して計算するため
A社の販管費レート : 0.25
見積金額の計算
見積金額は

  • 値上げ前 : 988円
  • 値上げ後 : 1,027円/時間

34円増加しました。これを図8に示します。

図8 人件費、電気代、消耗品費の上昇による見積金額の増加
図8 人件費、電気代、消耗品費の上昇による見積金額の増加

以上の計算は決算書の数値を元に計算したものであり、真実です。ただし、それだけの金額が値上げ交渉できるとは限りません。値上げ交渉は顧客が納得できる理由が必要だからです。

それでも様々な費用が上昇した結果、原価がどのように変わったのか知っておくことは価値があります。

一方値上げの資料にはどこまで記載すればよいでしょうか。

これについては【製造業の値上げ交渉】6. 値上金額は見積書にどのように入れればいいのだろうか?を参照願います。

本コラムのテーマについては以下の動画もあります

経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

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経営コラム「ものづくりの未来と経営」は、技術革新や経営、社会の変革などのテーマを掘り下げ、ニュースからは見えない本質と変化を深堀したコラムです。「未来戦略ワークショップ」のテキストから作成しています。過去のコラムについてはこちらをご参照ください。
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【製造業の値上げ交渉】4. 人件費が上昇すれば原価はどれだけ上がるのだろうか? https://ilink-corp.co.jp/9383.html https://ilink-corp.co.jp/9383.html#respond Mon, 08 Jan 2024 03:57:32 +0000 https://ilink-corp.co.jp/?p=9383
このコラムの概要

製造業は人件費上昇が製品原価に与える影響を正確に把握すべきです。単に人件費総額を見るのではなく、製品ごとの工数にアワーレート(時間当たり人件費)を掛けて、製品ごとの原価上昇額を算出することが重要です。この具体的なデータを値上げ交渉の根拠とすることで、顧客を納得させ、適正な利益を確保し、持続的な経営を実現できます。

 
最低賃金が上昇し、人手不足もあって人件費が上昇しています。

また2022年以降、資源高、円安などの影響で物価も上昇しています。生活を維持するための賃上げも必要になってきました。
 

人件費の上昇

 
デフレが続く日本でも、これまでも人件費は上昇していました。

それは最低賃金が上がっているからです。

図1に2014年から2023年の間の最低賃金(全国加重平均)の推移を示します。

2014年から2023年の10年間で最低賃金は780円から1,004円と約3割(28.7%)上昇していました。

図1 10年間の最低賃金の推移
図1 10年間の最低賃金の推移

最低賃金は10年間で3割近くも上昇しています。

直近の3年間、2021年から2023年の間でも930円から1,004円と8%上昇しています。

加えて人手不足もあって、最近は最低賃金ではバート・アルバイトの雇用が難しくなっています。
 

賃金上昇でアワーレートは増加

 
人件費が上昇すれば、作業者の費用は増加します。さらに作業者の費用(直接製造費用)だけでなく、間接部門や販管費の人件費も上昇するため間接製造費用や販管費も押し上げます。

これにより原価はどれだけ増加するのでしょうか?
 

人件費の上昇によるアワーレートの上昇

 
架空のモデル企業A社を例に、会社全体の人件費が8%上昇した場合の原価の上昇を計算します。

モデル企業A社の詳細は「製造業の値上げ交渉1 個々の製品の原価はいくらなのだろうか?」を参照願います。
 

平均アワーレート(人) (直接製造費用)の上昇

 
このA社のNC旋盤の現場は、作業者は4人、直接作業者の平均アワーレート(人)は2,375円/時間でした。

このアワーレートの計算は「製造業の値上げ交渉2 我が社の人と設備のアワーレートはいくらなのだろうか?」を参照願います。

作業者4人の年間費用 : 1,672万円

人件費が8%上昇したため

作業者の年間費用=1,672×(1+0.08)=1,806万円

1,672万円が1,806万円に上昇しました。その結果
平均アワーレート(人)の計算

平均アワーレート(人)は、

  • 上昇前 2,380円/時間
  • 8%上昇 2,570円/時間

190円/時間増加しました。
 

間接部門費用も上昇

 
人件費が8%上昇したため、間接部門の労務費も増加します。その結果、NC旋盤の現場の間接製造費用の分配は、544万円から571万円に増加しました。

これにより間接製造費用を含んだアワーレート間(人)は〈注〉
間接製造費用を含んだアワーレート間(人)


〈注〉本コラムでは、間接製造費用を含んだアワーレートを区別するために、

  • 直接製造費用のみのアワーレート : アワーレート(人)、アワーレート(設備)
  • 間接製造費用を含んだアワーレート : アワーレート間(人)、アワーレート間(設備)

と表記します。
またアワーレートは、直感的に理解しやすいように一桁目を四捨五入しています。(正確さよりもわかりやすさを重視しています。) 実際の計算では正確な数字を使用願います。

アワーレート間(人)は、

  • 上昇前 3,150円/時間
  • 8%上昇 3,380円/時間

230円/時間増加しました。
 

アワーレート間(設備)も上昇

 
間接製造費用分配の増加は、アワーレート間(設備)にも影響します。

NC旋盤の現場の設備の間接製造費用の分配も544万円から571万円に増加しました。
間接製造費用を含んだアワーレート間(設備)

アワーレート間(設備)は、

  • 上昇前 1,470円/時間
  • 8%上昇 1,510円/時間

40円/時間増加しました。

このアワーレート間の上昇により原価はどう変わるでしょうか?
 

A1製品の原価

 
A社 A1製品の原価を計算します。

  • 製造時間 : 0.075時間
  • アワーレート間(人) : 3,380円/時間
  • アワーレート間(設備) : 1,510円/時間
アワーレート間(人+設備)の計算
製造費用の計算


製造費用は、

  • 上昇前 346円
  • 8%上昇 367円

21円増加しました。

その結果、製造原価は
製造原価の計算

製造原価も21円増加しました。
 

販管費の増加と見積金額

 
人件費の上昇により販管費の労務費も増加します。A社の販管費は7,700万円が7,868万円に増加しました。
 

販管費レートは増加するとは限らない

 
ただし、A社の場合、販管費の増加以上に製造原価が増加しました。その結果、販管費レートは25%から24.7%と、むしろ減少しました。
 

実際の販管費と見積金額

 
人件費8%上昇後の見積金額は、製造原価は747円なので
見積金額の計算

見積金額は

  • 上昇前 988円
  • 8%上昇 1,013円

25円増加しました。これを図2に示します。

図2 人件費の上昇による見積金額の上昇
図2 人件費の上昇による見積金額の上昇

このように人件費の上昇は原価全体に影響します。
 

3年前に見積した製品も高くなっている可能性

 
時給が最低賃金と同期して上がっている場合、3年前に988円で見積した製品は、現在は25円値上げしなければ、目標の利益が得られません。もしギリギリの価格で受注していた場合、今は赤字になっている可能性もあります。

この値上げ金額の計算は、利益まっくすの値上げ計算シートを使って計算することができます。

では、人件費以外に電気代や消耗品が上がった場合、原価はどうなるのでしょうか?

これについては【製造業の値上げ交渉】5. 電気代が上昇すれば原価はどれだけ上がるのだろうか?」を参照願います。

本コラムの内容について、以下の動画もあります。

経営コラム【製造業の値上げ交渉】【製造業の原価計算と見積】【現場で役立つ原価のはなし】の過去記事は、下記リンクからご参照いただけます。

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