投稿 労働生産性向上と人材教育 その1 ~なぜ労働生産性の向上が必要なのか?~ は 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク に最初に表示されました。
]]>日本が成長するには、労働生産性を高めなければならない、それにはイノベーションが必要と言われています。
つまり
イノベーション→労働生産性向上→GDP成長
というわけです。
しかし、こう言われ10年以上経過しましたが、大きなイノベーションは生まれず、アベノミクスの第三の矢は実現していません。
一方、企業も生産性を高め、より大きな付加価値を生まなければ賃金を上げられません。賃金が上がらなければ、個人消費は低迷したままで景気も良くなりません。
どちらも労働生産性の向上がカギです。
生産性は、アウトプットをインプットで割ったものです。
労働生産性とは「労働の成果(アウトプット)」を「労働量(インプット)」で割った「労働者1人あたりが生み出すアウトプットの指標」です。
実は労働生産性は、
日本、アメリカといった国レベルで比較するマクロ的な視点の労働生産性と、
各企業の時間当たりの生産性といったミクロ的な視点の労働生産性
のふたつがあります。
マクロ的な視点の労働生産性は、GDP(国の踏み出した価値の合計)を就業者数で割って計算します。
ここでGDPは国内で生み出したものやサービスの付加価値の合計で、以下の式で表します。
このGDPは、国内で生産して消費した「ものやサービス」と「海外に輸出したもの」の合計から、「海外から輸入したもの」を引いたものです。
その中で、マクロ的視点の労働生産性は、国民一人が平均してどれだけのGDPを生み出したのかを示します。
一方でGDP(実質GDP)は、1人あたりの労働生産性から以下の式で計算します。
日本がGDPを上げるには、「働く人を増やす」、「1人が生み出す価値を高める」のいずれかが必要です。
一方、ロバート・ソローの経済成長理論によれば、GDPの増加は、以下の3つの要因があります。
労働投入量の増加は、国の人口の増加を指します。
資本投入量の増加は設備投資を指します。
ところが人口や設備投資が増えなくても、産出量(GDP)は増加します。
それは技術革新があるからです。技術が進歩し、設備の性能が向上し、仕事のやり方も改善されれば、同じ労働投入量、同じ設備投資金額でも産出量は増えます。
これをTFP(全要素生産性)、またはソロー残差と呼びます。
日本のように今後は人口増加や、高度成長期のような大規模な設備投資が期待できなくても、技術革新があればGDPは増加します。
先に述べたイノベーションとは、この技術革新を指します。
安倍政権が2015年に立案した「日本再興戦略」には「生産性革命」が謳われています。これはTFPの上昇を目指しています。
アベノミクスでも、第三の矢としてイノベーションの創出が掲げられています。にもかかわらず日本のTFPの上昇率は高くありません。
どうすればTFPが向上するのでしょうか。
内閣情報調査室 前田氏による「TFP(全要素生産性)に関する一試論」によるとTFPを高める要素として、
の4つを挙げています。
これはどのような内容でしょうか。
これはより高性能な生産設備を導入することです。
その結果、投入量に対する生産量が増大します。他にも省エネ性能の高い設備を導入すれば、より少ないエネルギー(費用)で同じ生産量を達成できるため、資本の質を高めます。
またブランドのような無形資産があれば、同じ製品でもより高く売れます。そのためこのブランドも資本の質です。厚生労働省の「平成28年版 労働経済の分析」では高級なブランドが多く無形資産装備率が上昇している国ほどTFP上昇率が高い傾向がありました。
例えばロレックスなど高級腕時計は、価格の高さがステータスとなり、多額の付加価値を生みだしています。今日時計はスイスの主要産業のひとつで、スイスは世界の時計のシェアの50%を占めています。
この無形資産には、OFF-JTのような教育による人的資本形成も含まれます。
より能力の高い労働者を雇用して、時間当たりの生産量が増加すればTFPは上昇します。
これは製造業の場合、労働者が頑張って製造して生産量を増やすという20世紀的な考え方より、より高いスキルの労働者を雇用して、自動化を推進してより高度な製品を生産し、生産量を増やすという考え方です。
一方サービス業では、より近いホスピタビリテイの労働者を雇用すれば、質の高いサービスが提供でき付加価値を高めることができます。あるいはレベルの高い接客によってリピーターが増えれば、長期的にはTFPの増加につながります。
また博士号など高度な知識を持つ人材が、新技術や新製品を開発すればTFPは上昇します。
社員への能力開発投資とTFPの関係は、内閣府「平成29年度 年次経済財政報告」によれば、企業が能力開発費を1%増加した結果、TFPは0.03%の増加があったことが報告されています。
またワークライフバランスを実現し、女性、高齢者、外国人など社員の多様性が広がれば、TFPが増加する可能性があります。
経営者の経営能力が高くなれば、企業が生み出す付加価値が増えてTFPが上昇します。
この付加価値の増大は革新的な製品やサービスだけでなく、物流や流通、マーケティング、管理など業務のさまざまな面(ビジネスプロセス)を強化・改善しても実現します。経営の質は、こういったビジネスプロセスの改革も含んでいます。
企業の立地や政府の施策も、TFPの上昇に影響します。
特定の地域に産業が集積することで、優れた労働者が集まるとともに企業間の連携が強化され、新技術の波及効果が高まります。政府の規制緩和が新しい産業を生み出すこともあります。あるいは優れた技術を持つ外国企業が日本に進出すれば技術やノウハウが日本に移転されます。
こういったTFPの上昇はGDPにどのような影響を及ぼすのでしょうか。
前田氏のシミュレーションによると下記の3つの結果が示されました。
この試算からイノベーションが起きて供給が増えても、需要が増えなければ
という結果になりました。
(輸出には外国人観光客の国内消費、インバウンド需要も含まれる。)
この試算からイノベーションが起きて、かつ輸出やインバウンドが増加して需要が増えれば
という結果になりました。
この試算から、イノベーションが起きても輸出も国内需要も増えないため、公共投資で補った場合
という結果になりました。
このシミュレーションからわかることは、TFPの上昇はあくまで供給側の指標ということです。
需要側の問題を解決しなければ、技術革新はさらなるデフレを誘発するということです。
一方、実際の経済活動において、TFPの上昇がどのような製品や技術により達成されるのかは、よくわかっていません。しかも実際の経済活動は、様々な人々の消費行動など複雑な要因があります。上記のようなシミュレーション通りにならない可能性もあります。
企業の労働生産性も基本的な考え方は同じです。企業の場合、1人当たりの労働生産性の他、時間当たりの労働生産性も使用されます。
企業の生み出す付加価値は、売上から材料費など外部から購入した金額(変動費)を引いたものです。
付加価値=売上-外部購入費用=売上-変動費
企業で発生する費用は、
があります。そこで利益は以下の式で表されます。
利益=売上-費用=売上-変動費-固定費=付加価値-固定費
1人当たりの労働生産性は、この付加価値を就業者数で割ったものです。
時間当たりの労働生産性は、この付加価値を就業者全員の就業時間の合計で割ったものです。
上記の式を具体的な企業の数字に落とし込むと、意外なことがわかります。「改善は付加価値を高めるとは限らない」のです。
なぜでしょうか。
企業の労働生産性を具体的な数字で検証してみます。
モデル企業A社は、1人のみの会社です。この会社は製品A1(価格1,500円 年間販売量1万個)のみを生産しています。
A社
付加価値額1,000万円に対して、A社は賃金600万円、
会社の経費は200万円なので、これを引いて200万円の利益がありました。
A社の労働時間は2,000時間なので、
1時間当たりの付加価値(時間当たり労働生産性)は5,000円/時間でした。
材料価格が20%上昇しました。
時間当たりの労働生産性は4,000円/時間に減少します。
利益は0円です。
そこで利益回復のため以下の3つの手段を検討します。
値上げをすれば、売上は1700万円に増加します。
付加価値は1,000万円に回復し、利益も200万円になります。
時間当たりの労働生産性は5,000円/時間に戻ります。
A1製品の製造時間は0.2時間なので、これを0.16時間にして20%短縮します。
しかし売上、外部費用は変わらないため、付加価値は800万円のままです。
1万個の製造に必要な労働時間は1,600時間に減少しますが、その分賃金を下げなければ利益は200万円になりません。
ただし労働時間を短縮すれば、時間当たりの労働生産性は5,000円/時間に戻ります。
販売量を1.25倍増加させます。
外部費用も1.25倍の875万円、労働時間も1.25倍の2500時間になります。
ただし賃金は変わらないとします。
その結果、付加価値は1,000万円に回復し、利益は200万円になります。
ただし時間当たりの労働生産性は4,000円/時間に低下します。
つまり原材料の上昇などで付加価値が減少した場合、以前の利益を維持するには値上げか、販売量の増加などで付加価値を回復することが必要です。
改善で製造時間を短縮しても、販売量が増加しなければ利益は回復しません。
(生産量に応じて労働時間と賃金が変動できれば別ですが。)
労務費が固定費であれば、材料価格の上昇などで付加価値が減少した場合、時間短縮などの改善では利益を維持できません。
受注を増やすか、値上げするか、付加価値を増やすか、いずれかの方法を取る必要があります。
人口減少など市場の縮小に直面する日本も同様です。
参考 計算の詳細
製品A1
売価 1,500円
年間販売量 1万個
年間売上 1,500万円利益=1500-500-600-200=200 万円
付加価値=1500-500=1000 万円
年間労働時間 2,000時間、1人なので、1人当たりの労働生産性=1000万円
1時間当たりの労働生産性=1000×104/2000=5000円/時間
年間で1万個生産なので
1個の生産時間=2000/10000=0.5時間
A1製品の原価
材料費500円
労務費600円
経費200円
1個の利益=1500-500-600-200=200円
1個の生産時間=2000/10000=0.2時間
【材料価格が20%上昇】
材料価格が40%上昇し、年間では500万円→700万円に増加
● 価格がそのままの場合
付加価値=1500-700=800 万円 200万円減少
利益=1500-700-600-200=0 円
利益はゼロ円になる。労働生産性は
1時間当たりの労働生産性=800×104/2000=4000円/時間
4,000円/時間に減少する。
● 値上 1500円→1700円
付加価値=1700-700=1000 万円
利益=1700-700-600-200=200 万円
利益は200万円と変わらない。
● 原価低減
製造時間を20%短縮、製造時間0.2時間→0.16時間
労務費600円→480円
計算上の原価=700+480+200=1,380円
利益=1500-1380=120円
しかし年間での販売量は1万個で同じ場合、売上1500万円は変わらないため
付加価値=1500-700=800 万円
付加価値は200万円減少し、利益はゼロになる。
● 販売量増加
販売量を1.25倍増加、1万個→12,500個
売上=1500×1.25=1,875万円
材料費=700×1.25=875万円
労務費600万円は変わらないものとする。ただし労働時間は1.25倍となり
労働時間=2000×1.25=2500時間
利益=1875-875-600-200=200円
1時間当たりの労働生産性=1000×104/2500=4000円/時間
材料費が上昇し、1個当たりの利益はゼロになる。
労務費が固定費で変わらない場合、売上を1.25倍にすれば付加価値は増加し利益は200万円になる。
GDPが成長すれば、年々経済規模が大きくなります。雇用は安定し、家計収入は増加、生活も安定します。税収が増加し政府債務も減少します。
従って国家の安定と国民生活の安定にはGDPの成長が不可欠と国は考えます。
GDPを成長させるためには以下の方法があります。
今から出生率を上げても、生まれた子供が生産活動に貢献するのは20年以上先です。すぐに効果が出るのは移民の増加です。
就労者数が増えなくても一人当たりの生み出す付加価値が増えればGDPは増加します。これは労働生産性の向上に他なりません。
このような背景から、国は日本の労働生産性を高めるべく努力をしています。ところがなかなか効果が出ません。
なぜ日本の労働生産性は低いままなのでしょうか。
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]]>投稿 ハッキングから会社を守る2~ソーシャルエンジニアリングと企業が行うべき対策~ は 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク に最初に表示されました。
]]>実はこうしたセキュリティ関連の情報には、重要なものがひとつ抜けています。それがソーシャルエンジニアリングです。
このソーシャルエンジニアリングとはどのようなものでしょうか?
ここまで情報セキュリティに関する管理面、技術面での課題と対策を紹介しました。情報セキュリティに関する国のガイドラインや多くの書籍の内容もここまでしか触れられていません。
これで十分でしょうか?
実はハッカーが使う重要な手法に対する防衛が抜けているのです。
「ソーシャルエンジニアリング」です。
ソーシャルエンジニアリングとは、ネットワークに侵入するために必要なパスワードなどの情報を「インターネットなどの情報通信技術を使わずに入手する方法」です。
ハッカーも全く情報がなければ、パスワードのクラックには総当たり攻撃をしなければなりません。
例えば、8桁のパスワード 英数字(大文字・小文字)+記号 の場合、1桁の組み合わせは120種類、8桁を総当たり攻撃でクラックするには
仮に1回の試行時間0.001秒としても
試行回数=1208=4.3×1016 回
全ての試行が完了するまでの期間は130万年かかり、事実上総当たり攻撃ではクラックはできません。
ところがパスワードが「password」+4桁の数字という情報があれば、
試行回数=104=10,000 回
全ての試行が完了するまでの期間は100秒となり、すぐにクラックできてしまいます。
そこでハッカーは様々な手法を使い、このパスワードは「password」+4桁の数字という情報を聞き出します。これがソーシャルエンジニアリングです。
電話を利用したソーシャルエンジニアリングは、対面しないためターゲットに近づいて情報を入手しやすいのが特徴で、昔からある代表的な方法です。
何らかの方法でそのターゲットとなるサービス等のユーザー名を入手したら、その利用者のふりをして、ネットワークの管理者に電話をかけ、パスワードを聞き出したり、パスワードの変更を依頼したりします。
また、逆に管理者になりすまして、直接利用者にパスワードを確認するといったことも行えます。
肩越しに覗くことから、ショルダー(shoulder=肩)ハッキングとも呼ばれる方法です。パスワードなどの重要な情報を入力しているところをさりげなく覗き見します。
【具体的な対策】
たとえオフィス内などの普段の慣れた場所であっても、クレジットカードの番号やパスワードなど、キーボードで重要な情報を入力する際には周りに注意することが重要です。
重要な情報をゴミ箱に捨てたりしていませんか? 外部からネットワークに侵入する際に、事前の情報収集として行われることが多いのがトラッシングです。
不正アクセスの対象として狙ったネットワークに侵入するために、ごみ箱に捨てられた資料(紙や記憶媒体)から、サーバーやルータなどの設定情報、ネットワーク構成図、IPアドレスの一覧、ユーザー名やパスワードといった情報を探し出します。
1978年ある企業のバックアップシステムの開発を担当していたスタンリー・リフキンは、「銀行から企業への送金通知手順を知りたい」とセキュリティ・パシフィック・ナショナル銀行の特別顧客用送金室に入りました。壁には行員がその日に受け取ったセキュリティ・コードがいくつも紙に書いてありました。
彼はセキュリティ・コードを記憶し部屋を出ました。彼は公衆電話から銀行の国際部マイク・ハンセンになりすまし、スイスの銀行に1,020万ドル振り込むように指示しました。彼は電話1本で1,020万ドルを手に入れたのです。
ソーシャルエンジニアリングを駆使するハッカーたちは決して「あなたのパスワードを教えてください」といった質問はしません。
情報の核心に近づくために、部署名、電話番号、担当者名などを違った人たちから順に聞き出します。パスワードを聞かなくても、ペットや子供の名前や分かれば、クラッキングはできるのです。
無料のサービスが充実したため、社員が独自にITツールをインストールするシャドーITの問題があります。これらの無料ツールにはセキュリティ上脆弱な点があるものもあり、そこが侵入者のきっかけとなる可能性があります。
あるいは個人でGmailやグーグルクロームを使用している場合、会社のメールをGmailに転送して出先でも見られるようにすることもあります。同様に個人で使用しているノートPCを会社のサーバーにもアクセスできるようにすれば、外出先でも仕事ができます。テレワークの普及とともにこうしたBYOD(Bring Your Own Device)も広まっています。
一方、個人のスマートフォンやPCの使用は外出先での紛失・盗難のリスクが高いです。あるいは個人のスマートフォンやPCにインストールしたITツールやゲームソフトが侵入者のきっかけになることもあります。実はハッカーが侵入を試みるソフトの中でゲームソフトはとても多いのです。
システムが攻撃を受けるポイントは主に以下が挙げられます。
基本的にはどのシステムにもバグがあり、その脆弱性が攻撃されます。バグの修正パッチが配布されたら直ちにインストールするようにします。また、サポートが切れた製品は使用しないようにします。
インターネットの入り口のゲートウェイにはファイアウォールが設置され、不正アクセスを防御しています。それでも通常のメールを装って侵入するメールは防げないため、ITベンダーから提供されている迷惑メール対策やURLフィルタリング、WEBフィルタリングなども活用します。
パソコンなどの端末機器のセキュリティです。例えば紛失や盗難に備えてデータの暗号化を行います。万が一、紛失した場合は遠隔でその端末を使用禁止にする遠隔管理を行います。そのために全社員のIT端末の登録とユーザー名、パスワードの管理が必要です。
なおネットワーク機器などのパスワードの初期設定が”admin”や”password”になっている場合は必ず変更します。各機器の初期設定がどんなパスワードになっているか一覧は、闇サイト(ダークウェブ)で容易に入手が可能です。
また社員が業務上必要のないデータにアクセスしないようにアクセス権を管理したり、自宅でマルウェアに感染したファイルを会社のPCにUSB接続しても感染しないようにウイルス検出を行ってからデータを移行するなども重要です。
利用するクラウドサービスについてもhttpsのような通信の暗号化を行い、自宅のWiFiもWPAやWPA2のような暗号化を行います。
標的型攻撃メールを防御するには、標的型攻撃メールと正常なメールの違いを教育する必要があります。標的型攻撃メールを受けた時の対応策を学習します。
情報サービスのユーザーIDとパスワード管理のルール化を行います。個人に任せると容易に突破されるパスワードを使用することが多いので、管理方法はルール化し、定期的な確認を行います。
シングルサインオン(SSO)の導入を検討しても良いでしょう。「シングルサインオン(Single Sign-On)」は、「シングル 」と「サインオン」を組み合わせた造語で1度システム利用開始のユーザー認証 (ログイン) を行うと、複数のシステムを利用開始する際に、都度認証を行う必要がない仕組みのことです。
また、1度の認証で、以後その認証に紐づけられている複数のシステムやアプリ・サービスにも、追加の認証なしで利用できる製品・システム・ツールも意味します。
良いパスワードと悪いパスワードの例を以下に挙げます。
良いパスワード
悪いパスワード
ユーザーIDもパスワードと同じように以下のようなものは避けます。
パスワードは「暗証番号」ではありません。
コンピューターによる総当たり攻撃が行われる今日では、必要な文字や記号まで入れたパスワードはもう暗記はできません。本人が記憶した暗証番号を入力するのは過去の話です。
パスワードはシステムにログインするための「電子鍵」なのです。そして記憶できないことを前提として、パスワードの管理方法を自社で決めなければなりません。当然ソーシャルエンジニアリングの攻撃を考慮しておきます。
ただし、セキュリティの条件を全部満たそうとすると業務は極めて非効率になってしまいます。業務の効率性、社員の利便性を考慮して、漏洩リスクとのバランスをとることが大切です。
そしてパスワードを作成する際には、総当たり攻撃を受けても「クラッキングされるまで何年も時間がかかるようなものでなければならない」を念頭に置きます。
ハッカーたちの座右の銘に「我々に見つけられないセキュリティの穴はない」というものがあります。
世界的に著名なハッカー ケビン・ミトニックは、セキュリティについて以下のようにアドバイスしています。
このように完全なセキュリティは存在せず、情報漏洩やハッキングの可能性はいつでもあります。そこでいつか起きるという前提で「情報セキュリティ事故」が起きた時の対策を立てておく必要があります。
対策を考える場合、情報漏洩やマルウェア感染が確認された場合と、マルウェア感染の疑いがあるが確証がない場合の2種類を考えます。
前者はBCPに準じて、社内の報告、対処、場合によっては顧客への報告を行います。
後者は疑わしい場合の報告のルールを決めておかないとうやむやになってしまい、マルウェア感染を長期間放置する恐れもあります。
それを防ぐために、誰に報告し、どのように対処し、安全を確認するのか決めておきます。特に情報システム管理の専任者がいない中小企業では、担当者不在が原因となって放置されることがあります。
「ハッカーズ」ケビン・ミトニック、ウィリアム・サイモン 著 インプレスジャパン
「欺術」ケビン・ミトニック、ウィリアム・サイモン 著 ソフトバンク・パブリッシング
「実務に役立つ改正個人情報保護法速攻対応」 (株)シーピーデザインコンサルティング著 学研
「機密情報の保護と情報セキュリティ」畠中伸敏 著 日科技連
「社長のための情報セキュリティ」日経BPコンサルティング情報セキュリティ研究会 著 日経BPコンサルティング
「サイバー攻撃からあなたの会社を守る方法」藤原礼征 著 中経出版
人工知能、フィンテック、5G、技術の進歩は加速しています。また先進国の少子高齢化、格差の拡大と資源争奪など、私たちを取り巻く社会も変化しています。そのような中
ものづくりはどのように変わっていくのでしょうか?
未来の組織や経営は何が求められるのでしょうか?
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2022年3月1日トヨタ自動車は国内14工場の生産を停止しました。
原因は仕入れ先の小島プレス工業のサーバーがウイルスに感染したため部品供給のめどが立たなかったからです。
発端は小島プレス工業の子会社が外部との通信に使用していた機器にセキュリティ上の脆弱性があったことです。
2月27日にそこからウイルス(ランサムウェア)が侵入しました。
その結果、小島プレス工業の約500台のサーバーのうち、受発注や電子カンバンに係るサーバーまでが感染しました。トヨタも100人態勢で支援に乗り出しましたが、28日中には復旧のめどは立ちませんでした。トヨタは週明け3月1日の生産ラインを停止することを決定しました。
たった1台の機器の脆弱性のためトヨタの受けた損害は数億円にもなりました。
3月2日の午後、小島プレス本社に一人の作業服の男性がいました。トヨタの社長 豊田章男氏でした。トヨタがこの事態をどれほど重く見ていたかがわかります。トヨタのサプライチェーンは6万社もあります。そのうち1社でもセキュリティが破られればどうなってしまうのか、今回の事件は示しました。
今では企業と多数の取引先がネットワークで結ばれ、リアルタイムで情報をやり取りしています。これにより生産の効率は上がり、発注の無駄も減りました。一方それと引き換えに、一旦ネットワークに問題が起きれば、サプライチェーン全体に影響が及ぶようになったのです。
ただし情報漏洩事件に限れば、外部からの不正な侵入よりも内部の者による漏洩の方が多いのです。
理由のひとつは、通信販売が発達したためです。顧客名簿の価値が高まり、社内の顧客名簿を名簿業者に売れば多額のお金が入るようになりました。
もうひとつの理由は、設計図面など技術情報が電子化されたことです。膨大な図面や技術情報もUSBひとつで簡単に持ち出せるようになりました。
2014年7月「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」を運営するベネッセコーポレーションで顧客情報が流出しました。
2014年6月ベネッセコーポレーション(以降、ベネッセ)の複数の顧客に身に覚えのない企業からDMが送られてきました。顧客は個人情報が漏洩したのではないかと思いベネッセに相次いで問い合わせしました。ベネッセで調査した結果、合計3504万件の顧客情報が漏洩したことが判明しました。同社は6月30日、警察に顧客情報漏洩の疑いがあることを報告しました。
調査の結果、同社がデータベースの運用や保守管理を委託していたシンフォームの39歳のシステムエンジニアが顧客情報を持ち出したことが判明、7月17日警察に逮捕されました。彼は派遣会社からシンフォームに派遣され、ベネッセのデータベースの管理を行っていました。そのため顧客情報に容易にアクセスができました。警察の調べに対して「金がなくて生活に困っていたため、名簿業者に売却した。売却の総額は数百万円になった」と供述しました。
委託先の派遣社員が数百万円のお金欲しさに起こした個人情報の流出は、ベネッセ100億円以上の損失をもたらしました。この事件が原因で同社は90万人以上の顧客と社会的な信頼も失いました。
一方、昔から企業が所有する技術やノウハウを盗み出す産業スパイはありました。今はUSB 1個で大量の設計情報も持ち出せるため、漏洩リスクは高くなっています。
2012年3月27日、愛知県警はヤマザキマザックのサーバーから設計情報を漏洩させたとして、同社社員で中国籍の唐博容疑者を逮捕しました。一方、唐容疑者は容疑を否認しています。
唐容疑者は約10年前に来日し日本の大学を卒業後、正社員としてヤマザキマザックに入社しました。事件当時は販売部営業係に所属し、社内の営業部員へ工作機械の説明する業務を行っていました。唐容疑者は設計情報へのアクセス権はありませんでした。
ところが1月から3月にかけ、唐容疑者は相当数の工作機械の図面を私物のハードディスクに複製していました。おそらく何らかの不正な方法でアクセス権を取得したとみられます。そして3月12日に「中国に住む父親の体調が悪い」として退職を申し出ました。しかし大量のデータをダウンロードしているのを見た同僚が不審に思ったことで事件が発覚しました。
アメリカのコンピューター好きなティーンエイジャーの2人、マットとコスタは、電話システムのハッキング「フリーキング」でハッキングの技能を高めていました。
そんな二人はある晩、携帯電話会社の中継局に出かけ、ゴミ箱漁りをしていました。そこでゴミ箱から「すべての中継局と電子認識ナンバー(ESN)」を書いたメモを見つけました。このデータを使い、自分の携帯電話に特別なファームウェアを入れるとどこでも無料で電話をかけることができるようになりました。(当時インターネットの接続はLANでなくモデム経由のダイヤルアップ接続でした。)
2人は無料となった通信を使い、ウォー・ダイヤラーを行ってコンピューターに手当たり次第に電話をかけさせました。そこで偶然、連邦地方裁判所のモデムの番号を見つけました。連邦地方裁判所のコンピューターのユーザー名はpublic、パスワードもpublic、あまりにも単純でした。
2人はこの連邦地方裁判所のコンピューターを経由して、このコンピューターが使用しているOSメーカー(仮にA社)のコンピューターにトロイの木馬を送りました。そして、そこに接続されている多くのコンピューターの情報を引き出すことに成功しました。その中にボーイングのコンピューターのログイン情報がありました。
ある日、マットとコスタがボーイングのネットワークに侵入した時、彼らの前にUNIXのshellが現れました。どうやらボーイングの社員がそれまでサーバーにアクセスしていたコンピューターをログアウトせずに放置したようです。難なくファイアウォールを突破した2人はボーイングのネットワーク内を自由に行き来しました。
その頃ボーイングのコンピューターセキュリティの専門家ドン・ボーリングは、ボーイングの社員と連邦法執行官らに情報セキュリティの研修を行っていました。
研修中、ドンは情報システム担当者から、何者かがパスワードをクラックした痕跡があるという報告を受けました。マットとコスタの仕業です。ハッキングの痕跡を印刷するとユーザー名の多くが判事(judge)という文字で始まっていました。
ドン・ボーリングは研修に参加していた法執行官に向かってユーザー名のリストを見せました。ユーザー名は、連邦地方裁判所の判事のコンピューターでした。こうして連邦地方裁判所へのハッキングが判明し、法執行官たちの顔は真っ青になりました。
その結果、FBIはマットとコスタの電話番号を逆探知しました。そして所在を突き止め、2人を逮捕しました。
コンピューターに不正に侵入するハッカーは、全員が犯罪目的ではありません。このハッカーは以下の3つに分類されます。
①の政治的、経済的な利益のために行われるのは、特定の国や企業へのサイバー攻撃や身代金目的の攻撃です。
②は個人の利益のためのデータの盗用や販売です。内部の者の犯行が多数を占めます。
企業の持つ顧客リストは高い価値があります。ベネッセコーポレーションから流出した顧客リストは複数の名簿事業者が購入し、その名簿はある通信教育の企業が購入していました。こうして犯人は数百万円の利益を得たのです。
③の愉快犯は、マットとコスタのように自らのハッキング能力を磨くために行うものです。
侵入が困難なシステムほど彼らは侵入を試みます。侵入すること自体が目的なので、苦労は厭いません。むしろ侵入が困難なほど挑戦意欲が掻き立てられます。
企業や個人から情報や企業秘密のような価値のあるものを盗み出す窃盗や強盗は、サイバー空間以外の現実世界にもいます。ただし現実世界にはサイバー空間のような③はいません。会社や住宅に侵入して何も盗ってこなければ、リスクを冒す価値がないからです。
しかしサイバー空間のハッカーたちは「自分の技術を試すため」侵入自体が目的です。
しかし何もしなくても、重要な情報がある部屋をハッカーが自由に出入りする状態は安全とはとても言い難いのです。
では攻撃者はどのような攻撃手段を取るのでしょうか?
代表的な攻撃手段を示します。
注) 使われる用語の意味
ウイルス : プログラムやパソコンに寄生して広がり、システムの挙動に悪影響を及ぼすプログラム
ワーム : 単体で増殖を繰り返し、ネットワークを介して広がり、パソコンや情報に悪影響を及ぼすプログラム
トロイの木馬 : 侵入先のコンピューターで、コンピューターの使用者が意図していない操作を秘密裏に行うプログラム
スパイウェア : 感染先に保存されている情報を盗み、外部に送信するプログラム
ネットワークなどを通じて感染を広げるマルウェア(悪意を持ったソフトウェア)の一種です。「ランサム」(Ransom)は英語で「身代金」を意味します。
ランサムウェアに感染すると、コンピューターのファイルが暗号化されて復元できなくなったり、端末が起動不能または操作不能になったりします。
前述の小島プレスの子会社が感染したのもランサムウェアです。
取引先からのメールと全く同じように見えます。実はこれが攻撃メールなのです。担当者や部署名、連絡先も正しく、メール本文の内容もおかしくありません。日本語も不自然でなく、相手のURLも合っています。ところが添付ファイルがウイルスであったり、メール内のURLをクリックすると問題のあるサイトに誘導されてしまいます。
これは攻撃者は攻撃対象を決めて、攻撃対象から不審に思われないように攻撃メールを送ってくるからです。
この標的型攻撃メールでは、攻撃者は事前に何らかの方法で顧客から攻撃者へのメールを取得しています。もし標的型攻撃メールの攻撃を受けても被害に遭わないようにするには、例え顧客から来たメールでも「不用意に添付ファイルを開かない」、「見覚えのないURLがメールにあってもクリックしない」といった注意が必要です。
第三者がSQLコマンドを悪用してデータベースに不正にアクセスして、情報の搾取や改ざん、削除を行う手法です。
具体的には、攻撃者はウェブサイトのお問い合わせフォームなどに不正に情報を引き出すSQL文を入力します。例えば、氏名を入力するフォームに「山田太郎」と入力する代わりに「山田太郎+SQLスクリプト」を入力します。このSQLスクリプトを使い、データベースを改ざんしたり削除します。
ECサイトや会員制のウェブサイトは個人情報がデータベースに格納されています。これらはSQLインジェクション攻撃でデータ漏洩の被害を受けやすいのです。あるいはブラウザの画面コントロールに使用されるJavaScriptでも、不正なJavaScriptコマンドを入力するJavaScriptインジェクション攻撃があります。
OSやアプリケーションなどソフトウェアのバグを衝く攻撃です。
アプリケーションやOSのバグは、「脆弱性」と呼ばれ、攻撃者に狙われます。攻撃者はこのバグ(脆弱性)を衝いて悪意あるプログラムを実行します。
メーカーはバグを発見すると随時バグを修正した修正パッチを提供します。しかし修正パッチが配布されてもユーザーが修正パッチをインストールするまで時間がかかります。その間に攻撃者が脆弱性を衝いて侵入します。これが「ゼロデイ攻撃」です。あるいは攻撃者自身がアプリケーションやOSの脆弱性を発見すれば、メーカーも知らないため、大きな被害が出ます。
過去のゼロデイ攻撃の例にWannaCryがあります。これはWindows10の脆弱性を衝いたランサムウェアで自己増殖機能を持っていました。2017年には世界中のセキュリティが脆弱な端末が感染しました。
インターネット・エクスプローラーやグーグルクロームのようなブラウザも多くの脆弱性が発見され、そのためアップデートが頻繁に行われています。
2021年にインターネット・エクスプローラーで脆弱性が見つかり、攻撃者が脆弱性を悪用したWEBサイトを作成し、バンキングマルウェア(オンラインバンキングの認証情報を狙い、不正送金を目的としたマルウェア)やランサムウェアに感染させました。
(インターネット・エクスプローラーはすでにサポートが終了しているため、使用すれば脆弱性を攻撃されるリスクがあります。)
パスワードは以下の方法でハッキングされます。
ネットワークにつながるPCや機器の端末のどれかに脆弱性があり、攻撃者が侵入すれば、攻撃者はその端末のキーボード操作などを盗み見るソフトをインストールしてしまいます。そして端末がサーバーに接続するパスワードをハッキングしてしまいます。
あるいはパスワードをハッキングするソフトを使います。例えば攻撃者がネットワークに侵入するとサーバーが外部と接続するポートを調べます。もし解放されているポートがあれば、それを足掛かりに侵入します。サーバーに侵入するにはサーバーのパスワードが必要です。しかしパスワードをハッキング(クラッキングともいう)するツール(パスワードクラッカー)やパスワードクラッカーの辞書ツールは闇サイト(ダークウェブ)で容易に入手できます。攻撃者はこういったツールを使って総当たり攻撃を行います。
何万回試行してもコンピューターが自動で行えばそれほど時間はかかりません。もし事前にパスワードがpassword○○○○(4桁の数字)と分かっていれば、パスワードのハッキングは極めて容易になります。そしてハッカーたちは後述のソーシャルエンジニアリングの手法を使ってこういった情報を入手します。
かといってセキュリティをいたずらに強化すれば、業務のスピードは低下し、顧客サービスも低下します。そのため情報セキュリティは何を守らなければならないのかを明確にします。
また自社の秘密の漏洩は内部によるものの方が多いのです。社内の人間による機密情報の持ち出しをシステムで完全に防ぐこと困難です。
企業秘密防衛の本の中には防衛策として訴訟が書いてあるものもあります。しかし訴訟は漏洩した後の話です。
守るべきものは大きく分ければ以下の2つです。
こうした背景から関心が高まってきたりが「情報セキュリティ」です。
この情報セキュリティとはどのようなものでしょうか?
情報セキュリティとは、JISによれば「コンピューターやインターネットを安全に、安心して使うための対策」のことです。これは以下の3つを維持することです。
総務省の「平成30年度情報通信利用動向調査」によれば企業の約半数が何らかの攻撃を受けています。多いのはウイルスメールや標的型メールですが、不正アクセスや情報漏洩、ホームページ改ざんの被害を受けた企業もあります。
情報セキュリティの要素は以下の7点があります。
機密性とは認められた人だけが情報にアクセスし、操作できるようにすることです。このアクセス制限には、
などがあります。これらが不十分な場合、情報の改ざんや漏洩が発生します。
情報が正確で改ざんや削除などが行われていない状態を指します。完全性の維持には、
などが必要です。
情報へのアクセスを認められた人が、必要な時に問題なく情報を見たり、操作できることです。Webサイトがダウンしないようなサーバーの管理など、サービスが正しく提供されるための対策です。
この機密性、完全性、可用性は7つの情報セキュリティの中でも最も重要な内容なため、それぞれの頭文字をとって「情報セキュリティのCIA」とも呼ばれています。
情報を使用する人が間違いなく本人であること、情報そのものも偽物ではないことを確かめます。特定の人しかアクセスできないように、情報システムにログインする際はIDとパスワードを入力するようにします。
(5)責任追跡性
誰が情報にアクセスしたのか明確にすることです。アクセスログの記録は責任追跡性の維持に効果的です。
情報に対し行った操作が正しく、正しい結果が返ってくることや、システムに故障がないことなどです。
情報の製作者が後で否定することで悪意ある改ざんや破壊を行っても責任を逃れることができないようにすることです。文書ファイルにデジタル署名をつけて制作者を明らかにしたり、情報の変更記録のログが残るようにします。
脅威は人的脅威、技術的脅威、物理的脅威の3点です。
人のミスや悪意のある行動を指します。ミスにはシステムの誤操作などもあります。例として
などです。
悪意のある行動は、情報漏洩やデータの改ざんなどです。IDやパスワードなどを不正に聞き出すソーシャルエンジニアリングは悪意のある人的脅威です。
不正なプログラムなど、技術的に生まれる脅威です。例えばコンピューターウイルスなどです。
情報システムやコンピューターに、物理的に発生する脅威を指します。
物理的脅威の防止には機材の定期的なメンテナンスや自然災害を想定した環境整備、パソコンのID・パスワードの認証設定などが必要です。
具体的な情報セキュリティ対策のうち、技術的対策を以下に示します。
インターネットを経由した不正アクセスに対し、ネットワーク階層を守るセキュリティ機器です。許可された機器やIPアドレスの信号のみを通信可能とし、それ以外の機器からの通信を遮断します。さらに攻撃者がネットワークのポートをスキャンして、ネットワーク上の開放ポートを探るのを防止します。
攻撃者の中にはネットワークサーバーの脆弱性を衝いてDos攻撃などを仕掛ける場合があります。これはファイアウォールでは防げないため、IDS/IPSは通信パターンを調べて異常なパターンの通信を排除します。
Dos攻撃のような明らかに異常なパターンの通信に対し、SQLインジェクション攻撃は通信パターンは正常ですが、不適切なコマンドをウェブアプリケーションに送信する攻撃です。そのためIDS/IPSは検知できません。WAFはウェブアプリケーションの送られるデータ検査することでSQLインジェクションやJavaScriptインジェクション攻撃から防御します。
IDとパスワードでアクセス制限をかけるのに加えて、メールアドレスや携帯電話番号を使用した二段階認証も行うことで不正アクセスを防ぎます。
物理的脅威に対してアクセス制限をします。許可された人のみがパソコンやサーバーを使えたり、機材のある建物にアクセスでき、他の人はアクセスできないようにします。
パソコンなどから一定時間離れる場合、自動的にロックがかかるようにします。組織内で運用する場合は、「〇分経ったらスリープ状態になる」など基準を設けます。
パソコン自体が管理されてなく紛失してもわからない職場もあります。そこでパソコンそのものにも破壊や盗難の防止策を施します。本体のカバーが開けられたことを通知する警報設置や、ワイヤーから切断されたときにブザーが鳴るケンジントンロックなどがあります。
従業員に対して情報セキュリティ教育を行います。
情報を扱う人に対する教育として、パソコン、SD・USBメモリーの取り扱い方法や個人情報の扱い方、情報を使用する際のモラル教育を行います。
これらの対策は相互に効果を高める効果があるため、一つだけに注力しても効果は高くありません。そこで技術的対策、物理的対策、技術的対策を組み合わせることが重要です。
情報セキュリティ事故(インシデントという)が起きた時、対処方法を決めておかなければ、初動対応を誤り、被害を拡大させてしまいます。事故対応だけでなく、情報セキュリティに関して問題が発生した時の責任者と連絡方法を決めておきます。
図に例を示します。
国際規格(JIS Q 27002: ISO/IEC 27002)に従ってすべての情報資産がセキュリティの適切な運用ができているか審査し認証が付与されます。認証にはJIS Q 27002: ISO/IEC 27002が定める要求事故に適合し、情報の機密性・完全性・可用性の維持がなされていることが必要です。
個人情報の取り扱いが適切な法人や組織に付与されます。ISMSマークと違いプライバシーマークは個人情報のみを対象としています。
2014年成立し、2015年1月から施行されています。サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効率的に推進するため、基本理念や国の責務、サイバーセキュリティ戦略をはじめとする施策の基本となる事項を規定したものです。
具体的な戦略は「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」や他の法律にゆだねられます。
短時間のうちに無差別かつ大量に送信される広告や宣伝メールなど、いわゆる「迷惑メール」を規制し、良好なインターネット環境を保つために2002年に施行されました。2008年に法改正が行われ、オプトイン方式の導入や罰則の強化も盛り込まれました。
特定電子メールとは、
「営利を目的とする団体および営業を営む場合における個人」
である送信者が
「自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信する電子メール」
で、(総務省のガイドラインでは)
「電子メールの内容が営業上のサービス・商品等に関する情報を広告または宣伝しようとするもの」
であれば特定電子メールに該当します。その場合、企業が顧客や見込み客にメールマガジンなどを配信する場合は注意が必要です。この場合、「広告または宣伝」とそれに関するウェブサイトへの誘導の有無で「特定電子メール」に該当するかどうかが決まります。
特定電子メール法に従わず「オプトイン方式」や「送信者の表示義務」を守らず、「送信者情報を偽った電子メールの送信 」や「架空電子メールアドレスあての送信」を行った場合は最高「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、法人では「行為者を罰する他、法人が3000万円以下の罰金」が科せられます。
特定電子メールを送信する際、受信者から事前に同意を得ることです。
一方「オプトアウト」とは、受信者側が特定電子メールを「もう入りませんよ、送らないでください」と受信を拒否することです。オプトアウトの通知が来た場合、送信者は特定電子メールの送信を停止しなければいけません。
2000年に施行され、サイバー犯罪の深刻化等の事態を受け、2012年に改正された法律です。改正で、フィッシング行為や識別符号(IDやパスワード)の不正取得・不正保管が禁止され、不正アクセス行為に関する法定刑の引き上げが行われました。
不正アクセス禁止法では、不正アクセス行為や不正アクセスを助長する行為、他人の識別符号(IDやパスワード)を不正に取得する行為が禁止されています。
個人情報とは、生存する個人に関する情報で、氏名、生年月日、住所、顔写真などにより特定の個人を識別できる情報を指します。
生年月日や電話番号は、それ単体では特定の個人を識別できませんが、氏名と組み合わせると特定の個人を識別でき個人情報に該当します。
要配慮個人情報とは、他人に公開されることで、本人が不当な差別や偏見などの不利益を被らないように取扱いに配慮すべき情報です。例えば、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、身体障害・知的障害などの障害などが要配慮個人情報に該当します。「要配慮個人情報」の取得は、本人の同意が必要です。
氏名だけでも個人情報に該当します。企業が個人情報を取得する場合は、あらかじめ利用目的を公表(ホームページ等)する、あるいは取得後速やかに利用目的を本人に通知、又は公表する必要があります。また、取得後利用目的を変更する場合は、本人の同意が必要です。
個人データとは、個人情報を検索可能なように分類、整理したものを指します。
顧客が記入したアンケートは個人情報であっても個人データではありません。アンケートを表に整理し、エクセルに入力して顧客を検索できるようにしたものは個人データになります。
個人情報は安全管理の義務は生じませんが、個人データは安全管理が必要です。
安全管理の措置は、個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」の「8(別添)講ずべき安全管理措置の内容」に具体的に示されています。
ただし中小事業業者(従業員100人以下)ではそこまでの、そこまでの措置は困難なことから必要な最低限の措置が示されています。
中小規模事業者の場合、個人データを取り扱う社員が複数いる場合は責任者を決めておきます。個人情報保護法に従って社内で定めたルールに従い個人データを取り扱っているか、責任者が確認します。
また、情報漏えい等が発生したときの連絡体制を決めておきます。個人データの取り扱いについて、責任者は年に1回は点検し、必要に応じて見直します。
従業者に個人データの適正な取扱いを周知徹底するとともに適切な教育を行わなければなりません。具体的には以下の2点です。
物理的安全管理措置として、次に掲げる措置が必要です。
中小規模事業者が個人データを記録したパソコンやUSBメモリ、個人データが記載された書類などを管理する場合、少なくとも次の対応を行います。
これは前述の情報セキュリティと重複する部分が多くあり、以下の安全管理措置対策が必要です。
中小規模事業者は技術的安全管理措置として、少なくとも次の対応が必要です。
営業秘密は、企業が持つ秘密情報の中で、「不正競争防止法」により保護の対象となる秘密情報を指します。社員が営業秘密を持ち出した場合、民事上・刑事上の措置をとることが可能です。
秘密管理性とは、情報を秘密として管理されていること。適切に管理されていなければ保護の対象となりません。
事業活動における製品やサービスの生産・販売・研究開発などに役立つ、事業者にとって有用な情報であること。
非公知性とは、公然と知られていないこと。一般的に入手することができない状態にあること。
紙やデータディスクは「秘」「社外秘」「Confidential」などの記載をし、秘密とすべき情報であることを表示します。情報を使用する者について制限を行ったり、使用に際して一定の承認行為を設けます。
該当する紙や媒体を、鍵がかけられる棚などの収納設備に収納し、鍵を管理する取扱責任者を置きます。
10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科せられます。
原因の多くは「人」です。従業員、退職者、取引先や共同研究している関係企業、それ以外の第三者などが含まれます。
過去の事例では顧客情報がもっとも多く、次いで設計図や製造装置の情報が多いです。これらの漏えいの多くは人を介して行われていました。
原因が従業員の場合、管理ミスによる事故と悪質な行為の2つがあります。管理ミスによる事故で多いのは、営業秘密が記載されたメールの誤送信、営業秘密が入ったバッグの置き忘れなどです。
悪質な行為としては、高額な報酬との引き換え、転職先への営業秘密の持ち出しなどが挙げられます。
IT化による情報の取り扱い手法の変化や業務の外部委託化、雇用の流動化などのため情報漏えい事故は後を絶ちません。営業秘密の漏えいを招かないためには、状況に応じて適切な管理を行う必要があります。
部外者の侵入による営業秘密の流出を防ぐため、出入管理が必要です。社員証の場合、紛失やなりすましの恐れもあるため、生体認証の方がより効果的です。
内部者による情報漏えいの犯行を防ぐには、防犯カメラの設置も効果的です。営業秘密を保管している場所に防犯カメラを設置し、常時監視していることを周知するとともに、万が一漏えいが発覚した場合にすぐ状況を確認できる環境を作りましょう。
機密文書を廃棄する際は、内容の流出を避けるため、機密文書専門の廃棄処理サービスを活用します。
パソコンやモバイル機器、記憶媒体などのIT資産を適正に管理することは、意外に大変です。具体的には、パソコンやモバイル端末から、それらにインストールされたソフトウェアなどのバージョン・ライセンスに関する情報を一元管理できることが理想的です。
営業秘密を適切に管理するためには、以下の5つの措置が必要です。
これらの項目の実施により、「組織的安全管理措置」を行うことができます。
従業員が適切に情報を取扱い保護できるために、機密保持契約を結んだり、社内規程などについて教育や訓練を行ったりすることを「人的管理」と言います。
アメリカも同様に企業や個人が不正な手段で企業秘密を取得したり、漏洩することを禁じています。現在は統一トレード・シークレット法として各州が州法として採用することを勧告し、現在41の州が採用しています。
この中でトレード・シークレットは以下のように定義されています。
製法、様式、修正、プログラム、考案、方法またはプロセスなどの情報で
またトレード・シークレットに対する侵害行為として
が定められています。
Appleが、企業秘密を盗んだとして自社の自動運転車チームの元メンバーを刑事告訴しました。Appleの訴えにより、元社員のXiaolang Zhang被告が中国への逃亡を図ろうとしたところ、2018年7月7日にサンノゼ空港で逮捕されました。
Appleの知的財産の窃取に関して米連邦捜査局(以下、FBI)の事情聴取を受け、同氏は罪を認めています。Zhang氏は2015年からAppleで働き、同社の自動運転車プロジェクトで、センサデータを分析する回路基板の設計とテストを担当しました。
2018年4月に休暇を取得して中国に戻り、その後職場に戻り、Appleを退職してXMotors(小鵬汽車)という中国の自動運転車のスタートアップに転職すると上司に告げました。
その際に上司が疑念を持ち、AppleのNew Product Security Teamに連絡したところから、不正行為が明らかになりました。
1980年代初頭のIBM ソフトウェアの窃盗事件の発生、その後の米ソ冷戦構造で軍事技術情報をめぐるスパイ事件の増加という背景と、民事規制では十分ではないという観点から、営業秘密の不正取得等に関して制定された連邦法です。
EEAは、以下の2つの犯罪を禁止しています。
本条は、所有者の許可なく営業秘密を取得もしくは他人に譲渡し、又は、その他の方法で所有者から営業秘密を奪うことを禁止しています。
本条は、営業秘密の窃取、獲得、破壊又は伝達に関する同様の行為を禁止していますが、外国主体の便宜に関する規定の代わりに、所有者以外の者の便益のために営業秘密を不正取得するという被告人の意図を要件としています。
注意が必要なのは未遂及び共謀でも同じ罰則が科せられることです。
またFBIは不正取得の疑いがあれば、覆面捜査も行います。例えば捜査員が、営業秘密に興味があるふりをして近づいたりします。営業秘密を所有する企業が調査を手助けすることも多いです。海外企業と事業提携を行う場合、提携企業がライバル企業の営業秘密を不正に取得すれば、自社もアメリカでの刑事事件に巻き込まれる恐れがあります。
「ハッカーズ」ケビン・ミトニック、ウィリアム・サイモン 著 インプレスジャパン
「欺術」ケビン・ミトニック、ウィリアム・サイモン 著 ソフトバンク・パブリッシング
「実務に役立つ改正個人情報保護法速攻対応」 (株)シーピーデザインコンサルティング著 学研
「機密情報の保護と情報セキュリティ」畠中伸敏 著 日科技連
「社長のための情報セキュリティ」日経BPコンサルティング情報セキュリティ研究会 著 日経BPコンサルティング
「サイバー攻撃からあなたの会社を守る方法」藤原礼征 著 中経出版
人工知能、フィンテック、5G、技術の進歩は加速しています。また先進国の少子高齢化、格差の拡大と資源争奪など、私たちを取り巻く社会も変化しています。そのような中
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このルーンショット養成所について、サフィ・バーコールの「LOON SHOTS」から2回に分けて説明します。1回目は、王立協会、OSRDの果たした役割についてです。
イノベーションを実現する組織について2回目は、イノベーションで起きる偽の失敗とこれを乗り越える方法、そしてルーンショット養成所の考えを中小企業に活かす方法についてです。
コンピューターの進歩、SNSの発達により、今日では情報は急速に拡散します。市場の変化も早くなり、人気の商品が短期間に陳腐化してしまいます。この市場の変化は、私たちの仕事や事業にどのような影響をあたえるのでしょうか?そして、人ができる仕事、働き方はどうなるのでしょうか?社会の変化と格差の拡大について考えました。
コンピューターの急速な進歩により今まで何十年も研究し、コンピューターには困難と考えられていた音声認識、翻訳、自動運転の実現が目前に迫ってきました。その結果、ものづくりはどう変わるのか?人ができる仕事、働き方はどうなるのか?人工知能やロボットの進化と雇用、社会での格差の拡大について考えました。
優れたイノベーターが画期的な製品を開発して市場を占有するという話はドラマチックです。しかし実際は、新たな技術を開発してイノベーションを起こした企業が、後から参入した模倣者に市場を奪われてしまうことも多いのです。はたしてイノベーションは企業を強くするのか、モルモットに終わるのか。企業の模倣戦略について考えました。
昨今マスコミに頻繁に登場するデジタルトランスフォーメーション(DX)、どんな意味なのか、漠然としか理解していない方も多いのではないでしょうか?その一方、 「DXに乗り遅れるな!」と多くの企業がDX推進部をつくり予算を投入しています。はたしてDXとは何でしょうか?そこで今回は、DXを取り上げ、DXの話題と実体、そして静かに進行する本当の変革について考えます。
2015年野村総研とマイケルAオズボーン氏の研究によれば、日本では49%の仕事がロボットやAIに代替可能ということです。今、定型業務を自動的に処理する事務ロボットRPAが大きな話題となっています。このRPAによりどこまでの仕事がコンピューターに代替できるのか?話題のRPAの特徴とその課題について考えました。
AIが進化すれば、なんでもできるようになるかのようにマスコミは報道しています。しかし、知性や感情、人の意識とは何なのか、我々はよくわかりません。知性と感情、意識について、認知心理学とサイバネティクスの観点から、将来AIで世界はどう変わるのか、AIとは何なのか2回に分けて考えました。1回目は意識と知性についてです。
知性と感情、意識について、認知心理学とサイバネティクスの観点から、将来AIで世界はどう変わるのか、AIとは何なのか2回に分けて考えた2回目、今のAI技術と知性の発達、シンギュラリティについてです。
独創的なアイデアを出すには頭がぼーっとしている方がよいと言われています。脳が疲れて左脳が働かない時の方が右脳が活発に働き革新的なアイデアを出るからです。レナード・ムロディナウ著「柔軟的思考」を元に独創的なアイデアを出す方法について考えました。
新しいアイデアを出すための発想法は、ブレインストーミングやKJ法など様々な方法が紹介されています。実は創造的な活動は「アイデア出し」に入る前の活動が重要なのです。東京大学 中尾教授の「システムで思考する」、京都大学 逢沢気陽樹の「結果が出る発想法」から、新しいものを生み出すアイデア出しと発想プロセスについて考えました。
新製品や新事業だけでなく、日常起きる問題点の解決や改善など様々な場面でアイデアが求められます。そのためには新しいアイデアを生み出す方法が必要です。そこでアイデア発想法を学ぶとともに、偉大な発明家の成功から、ひらめきに加えて必要なことを考え、どのように自分達が発想力を豊かにするかを2回に分けて考えました。1回目はひらめきを生み出す手順についてです。
アイデア発想法を学ぶとともに、偉大な発明家の成功から、ひらめきに加えて必要なことを考え、どのように自分達が発想力を豊かにするかを2回に分けて考えた2回目、予想外の事態に対処する柔軟さとコラボレーションの力についてです。
特許を取っても技術を独占使用できるとは限りません。後発企業がより良い製品を開発して市場に参入するからです。そこで世界に先駆けリチウムイオン電池を実用化した旭化成の吉野氏の著作から、どうして特許で防ぐことができないのか悪魔のサイクルについて考えました。さらに特許から見た次世代電池開発競争についても考えました。
金融工学は様々なリスクを最小にして利益を最大化するようつくられてます。しかし本当は証券や通貨の変動は金融工学が考える前提より激しく変動していたのです。なぜなら多くの事象は金融工学が前提とする確率と統計よりも、カオス理論に従うからです。そこでマンデルブロ氏の「禁断の市場」より、現在の金融工学の問題点と、難解でわかりにくいカオス理論について説明しました。
ZTE、ファーウェイに対するアメリカの厳しい措置を発端とした米中貿易摩擦は、次世代通信規格5Gの普及とその機器メーカーの問題と合わせて、日本、ヨーロッパを巻き込んだ争いになりました。この5Gとはどのようなものか、その特徴と可能性について考えました。
2009年、サトシ・ナカモトという人物の書いた9ページの論文から生まれた、ビットコインは多くの人々を熱狂させ、ビットコインバブルを生み出しました。その一方で、彼の考えたブロックチェーン技術は、インターネット以来の発明といわれ、今やメガバンクや各国の中央銀行がその仕組みの導入を検討しています。このブロックチェーンとは何なのか、世界はどう変わるのか2回に分けて考えました。1回目は通貨の役割とビットインについてです。
ブロックチェーンとは何なのか、世界はどう変わるのか2回に分けて考えた2回目は、ビットコインの革新的なところ、セキュリティの仕組みとマイニングについてです。
ブロックチェーンとは何なのか、世界はどう変わるのか2回に分けて考えた3回目は、ブロックチェーン技術の将来性と中央銀行が暗号通貨に取り組む理由、そして最新のフィンテックについてです。
インダストリー4.0は、昨年あたりからマスコミにさかんに取り上げられ、「ものづくりが変わる!」とセンセーショナルに書かれています。でも具体的には何なのか、良く分からない方も多いと思います。本当にイノベーションが起きるのか、それともかつてのFMSやCIMのように忘れ去られてしまうものなのか2回に分けて考えました。1回目はインダストリー1.0から4.0までの流れとインダストリー4.0の技術についてです。
インダストリー4.0でイノベーションが起きるのか、それともかつてのFMSやCIMのように忘れ去られてしまうものなのか2回に分けて考えました。2回目はインダストリー4.0の実例と課題についてです。
突然ビジネスのゲームのルールが変わり、それまで市場のトップにいた企業が一気に転落することがあります。そのひとつがコモディティ化です。ルールが変わると今まで築いた優位性がなくなります。取引先の商品がコモディティ化すれば業績が急速に悪化し、自社の仕事にも影響します。そこでコモディティ化とは何か、どうしてコモディティ化は起きるのか、どう対処すればよいのか、2回に分けて考えました。1回目はゲームのルールが変わった例とコモディティ化についてです。
コモディティ化とは何か、どうしてコモディティ化は起きるのか、どう対処すればよいのか、2回目はコモディティ化のメカニズムとコモディティ化に陥らないようにする方法についてです。
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持続可能な開発、低炭素化社会の実現、などSDGsに関して、様々なキーワードが報道されています。しかしSDGsと言われてもピンと来ない方も多いのではないでしょうか?ではSDGsとはどんなものなのでしょうか?
実は、環境問題は背景に政治的、思想的な対立があり、一筋縄ではいきません。しかも二酸化炭素排出削減は、EVや太陽光発電よりももっと大きな問題があるのに、それについてはほとんど報道されていません。そこで地球温暖化と二酸化炭素排出量の関係はあるのか?二酸化炭素排出量削減に本当に必要なことは何か?SDGsと環境問題の本質について2回に分けて考えました。1回目はSDGsの17の目標についてです。
持続可能な開発、低炭素化社会の実現、などSDGsについての2回目は、地球温暖化に関する議論と、発電、自動車以外の二酸化炭素排出問題についてです。
企業は階層型の組織をつくり「上司と部下」の関係で仕事をマネジメントします。しかしこういった従来のマネジメントはうまく行っているとは言い難く、上司と部下のコミュニケーションは不十分、パワハラの問題、部下の意欲の低下と退職など多くの問題が起きています。この従来の組織に対し「管理をしない」ティール組織が話題になっています。はたしてティール組織は未来の組織なのか、一過性のものなのか。フレデリック・ラルーチ著「ティール組織」から組織と管理について考えます。
ベーシックインカムは、社会保障として国民1人1人に毎月定額の現金を支給する政策です。この思想は17世紀から既にありましたが、最近になって海外でも様々な学者や団体が導入を提唱しています。ひとつには年金や生活保護などの社会保障制度は行政コストが非常にかかるため、むしろ一律給付の方が効率的だという考えです。さらに非正規雇用など不安定な生活に置かれた人々に安心を提供し、起業に失敗しても生活できるため起業が活発になるといわれています。今提唱されているベーシックインカムはどのような制度で、経済的に成立するのか?その結果社会はどうなるのか?ベーシックインカムについて考えました。
中国経済については「不動産バブル」「シャドーバンク」などマイナスの面をことさら強調して、危機を煽り立てるような報道や書籍が目につきます。現実には、不動産バブルは崩壊せず、リーマンショックも乗り切って、成長を続けています。どのように中国の指導者層が困難を克服してきたのか、冷静な書籍や報道は多くありません。
今回取り上げるトーマス・オーリック著「中国経済の謎―なぜバブルは弾けないのか?」この本は、あえて政治には触れず、中国の指導者層の経済政策に焦点を当てて詳細に書かれています。この本を取り上げてこれまでの中国経済の巧みな運営と、今後のリスクについて2回に分けて説明します。1回目は中国の政治体制と、日本のバブル崩壊、アジア通貨危機から彼らが何を学んだかについてです。
トーマス・オーリック著「中国経済の謎―なぜバブルは弾けないのか?」を取り上げてこれまでの中国経済の巧みな運営と、今後のリスクについて2回に分けて説明します。2回目は中国のこれまでの経済運営と現在の課題です。
今回の衆院選では多くの候補者や政党が積極的に財政出動して景気浮揚を訴えました。しかし財政は大丈夫でしょうか?そこで「財政は問題ない」とした拠り所が「自国通貨を発行できる国はいくら財政赤字を拡大してもデフォルトしない」というMMT(現代貨幣理論)です。
MMTはステファニー・ケルトン教授が提唱し、下院議員のオカシオ・コルテス氏が積極的な財政政策の根拠として主張し、日本でも西田昌司参院議員(自民党)などが取り上げました。一方従来の経済学者から「ブードゥ―経済学」とまで言われ、激しく批判されています。MMTの主張は本当なのか?MMT推進派と反対派、双方の主張を取り上げました。1回目はMMTの主張です。
「自国通貨を発行できる国はいくら財政赤字を拡大してもデフォルトしない」というMMT(現代貨幣理論)の2回目は、MMTの主張に対する反論です。
リーマンショックは100年に一度の危機と言われました。では100年前の世界恐慌は度のようなものだったのでしょうか?それはリーマンショックよりもはるかに大きなものでした。歴史の教科書には、第一次世界大戦後の好景気に沸くアメリカで投資バブルが発生、バブルがはじけたため、世界恐慌が発生したと書いてあります。当時の世界の置かれた状況は?各国の中央銀行はどう動いたのか?ヨーロッパ、アメリカ、日本の金融政策は?金本位制と金融政策、経済発展と通貨の役割、などを取り上げ、不況を本質について考えました。
円安で輸出企業の利益が増えても企業は内部留保を積み上げ、賃上げや設備投資は依然低調です。この日本のデフレについて、JPモルガン証券の北野一氏は、「原因は成長余力の乏しい日本企業がその実力以上に利益を出していることにある」と断言します。この北野氏の主張するデフレの原因について深掘りし、借入と資本と費用の関係と、購買力平価でみた時の実質為替レート、そして格差の拡大について考えました。
紡績・繊維から、鉄鋼・造船、そして電気・半導体から自動車と日本の輸出を支える産業は変化してきました。その過程で多くの企業が栄枯盛衰の憂き目に遭いました。では、これからの日本を支える産業は何でしょうか?医療? 航空機?
これからの産業については情報が少なく、しかも行政やシンクタンクの一方的な情報ばかりです。しかし過去に発展した産業や企業は、常にこうした公の予想の外で起きました。これまでの日本の産業発展の歴史と現在の日本の企業の規模と業界のデータから、今後どのような産業が発展するのか、ディスカッションしました。
統計数値を基にした少子高齢化の実態と、その原因として政策の失敗、そして地方行政の失敗と行政に衝撃を与えた増田レポートから国が日本をどう変えていこうとしているのか学びました。そこから今後の市場の変化について、考えました。
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では、この8つの要素は顧客との交渉にどのように活用できるのでしょうか。
この活用については、様々なセールス・テクニックの本に書かれています。ここでは顧客との交渉に焦点を当ててまとめました。
相手から無償でもらうことは心理的な負担(借り)です。接待やお歳暮は返報性の原理をうまく活用したものです。しかし今では仕入れ先からの贈り物や接待が規制されている会社もあります。顧客も警戒心を持っているため贈り物や接待は難しくなっています。
一方、新製品の開発などは、顧客からテストや試作を頼まれることがあります。これも接待やお歳暮と同じ効果があります。「これだけ試作してくれたから、そこに出そう」となるわけです。
仕入先も試作やテストを行えば費用がかかります。しかし試作やテスト費用を支払うためには稟議書など特別な手続きが必要な会社もあります。そんな時、無償でやってくれれば顧客はとても助かります。
ここで大切なことは、無償でも見積は出すことです。つまり顧客に「いくらの仕事を無償でやったのか」金額を意識させることです。その金額が大きいほど、顧客の心に大きな借りが生まれます。
あるいは自社で開発した新しい製造方法をPRする場合、顧客にサンプルを渡すのも良い方法です。技術者の中にはこういったサンプルを大切にする人が多くいます。このサンプルは、顧客の引き出しの中に何年も入っていて、サンプルをつくった会社のことを顧客に思い出させます。
交渉の場合、最初に自分から譲歩すれば、顧客に返報性の原理が作用します。相手がこれだけ譲歩したのだから、相応の譲歩をしなければならない雰囲気になります。こちらも暗に「こちらがこれだけ譲歩したのだから…」と圧力をかけます。逆に相手が先に譲歩すれば、こちらが同様の圧力を受けます。
交渉の際、取引条件は必ず仕様書や議事録に記録します。仕様書や議事録に書いたことは「決まったこと」として、その方向に議論を導く「一貫性の法則」が働きます。記録しなければ、話し合った内容をお互いが自分に都合の良いように解釈してしまいます。
また顧客が「今日決めよう」と言えば「例え不利な条件でも今日決めなければならない」という一貫性の法則が働きます。その場合「今日決めよう」と言われても、結果が自分たちに不利ならば「私の一存では決められません」と保留します。
従って、こういった交渉はトップ以外のNO.2以下が行った方が有利です。もし不利な条件を押し付けられた時「これは持ち帰って上司と相談します」と結論を保留できるからです。
相手に好意を持ってもらうのはセールスの基本的なテクニックです。これが交渉結果を左右する場合もあります。そこで基本的なテクニックを身につけておきます。
テクニックの例
議論が技術になる場合、自社の技術者を連れて行けば、発言の重みが変わります。その際、「○○課のリーダーで経験○○年の○○さんです」と紹介すれば、より強く権威付けされます。
ある調査によれば「○○についてはこうです」と自信たっぷりに話す専門家より、「確かなことは言えませんが、○○のデータを見る限り、私の経験では○○であると思われます」と、不安な点も正直に話す専門家の方が高い信頼が得られました。自社の技術者を連れていく場合も技術者にはこのような伝え方をさせます。
自社で取ったデータよりも県の工業試験所など公設試験所のデータの方が顧客の信頼は高くなります。公設試験所の試験費用は比較的安く、顧客の信頼を得るためと考えれば、費用対効果は高いです。
「○○について不満な点は何ですか?」と質問すれば、顧客は不満な点を頭の中で探します。そして意識は不満な点に向かいます。つまり顧客に注目してほしい点、重要だと思って欲しい点を質問して、そこに注意を向けてもらいます。
コピー待ちの列に「先にコピー取らせてもらえませんか?」とだけ頼むよりも「先にコピー取らせてもらえませんか? コピーを取らなければいけないので」と理由を言った方が、先に取らせてくれる人が増えたという心理学の実験があります。
そこで「ぜひこれを受注させてください」と、その点だけお願いするよりも「前回の○○は失注しました。今回の○○も失注すれば会社が非常に厳しい状況になるため、これだけはぜひ受注させてください」と理由を言えば説得力が増します。
あるシステム会社は「コスト」「価格」という言葉は顧客に損失やマイナスのイメージを抱かせるため、代わりに「購入」「投資」という言葉に言い替えています。製造業であれば「コスト」より「原価」の方がマイナスイメージは低くなります。
交渉では最初に出した意見よりも後から出した反論の方が強く印象に残ります。そこでできるだけ最初は相手に条件を提示してもらい、後から反論すれば印象が強くなります。
メリットだけでなく、メリットとデメリットを両方上げて対比すればメリットがより強調されます。あるいは長所の代わりにその裏返しの短所を強調することで、誠実さと短所の反対の長所を印象付けることができます。
「不格好なのは見た目だけです」
広告代理店DDB(ドイル・ディーン・バーンバック)社のこのコピーにより、フルサイズの大型車が主流の1960年代のアメリカで、フォルクスワーゲン ビートルを大ヒットさせました。
顧客の要求が厳しい場合、自社の提案がより妥当な価格に見えるようにするには、さらに費用のかかる、しかし性能的にはより高い提案を付け加え、そちらを強く推します。これによりこれまでの提案の価格は打倒に感じられます。
中小企業は大企業に比べ人材を採用は苦戦します。一方で業務に対する能力は、中小企業の新入社員と大企業の新入社員に大きな差はありません。(まだ業務に就いていないので当然ですが) ところがその後の業務経験と教育によって次第に差が広がります。
中小企業の場合、長期的な社員の能力向上は、主に業務を通じて教育するOJTになります。OJTでは、先輩達が今までやってきた仕事はできるようになります。しかしそれ以上に伸びるのは困難です。むしろ担当した業務だけを長年行うことで、新しいことを学ばずその仕事に固執します。(「タコツボ化する」)
しかしこれまでと同じ業務を繰り返していては、競合との競争に勝つことはできません。現状の殻を打ち破り、組織が進歩するためには、仕事のやり方を改善する必要があります。加えて新しいことを学ぶ必要もあります。しかしタコツボ化した社員に「ああしろ、こうしろ」と言っても言うことを聞きません。このような場合、人を望む方に動かすために、以下の8つの要素が活用できます。
業務のやり方を変え、新しいことを学習するには、その前提を整える必要があります。「なぜ、変えなければならないのか」という問いに対する答えです。つまり8つの要素を活用する前の「プリ・スエージョン(下準備)」が必要なのです。
経営者は、企業が今後も発展するために「会社をこう変えたい」「社員にこうなってほしい」という希望があるはずです。これを社員に浸透させるために以下のようなアクションを起こします。
これは答えを言わせるのでなく、質問することで社員にやるべきことや身に着けるべき能力を自ら意識させることです。こうして質問を繰り返して課題を意識させることは、社員が自ら動くようになるための下準備です。
社員が自ら1年間、業務上取り組むべきこと、自らの能力を高めるためにやるべきことを紙に書かせます。それを数か月ごとにフォローします。紙に書くことで一貫性の法則が働き、自主的に行うようになります。
これは目標管理制度と同じです。ただし目標管理制度には問題があります。
それは目標管理が評価と結びついていることです。そのため目標を達成できなければ評価が下がります。そうなると無難な目標しか書きません。評価と切り離して、人材育成のツールに限定すれば一貫性の法則という強力な作用を活用できます。
成果主義は社員の業績を評価し優劣をつけて待遇に格差をつけます。しかし業績は担当社員の努力だけではどうにもならないこともあります。さらに行き過ぎた成果主義は、社員の不正を引き起こします。
仕事の成果は、顧客や競合など外部との関係、他部門の高度などもあり、自分が完全にコントロールできません。しかし自らの行動はコントロールできます。
「どのように仕事のやり方を変えたのか」「どのようにスキルアップに取り組んだのか」こうした行動を各社員に公表させます。これは具体的でごまかしはききません。また目に見えてわかるため、他の社員も公平に見ることができます。
成果主義では目標を達成すれば報酬が得られます。この報酬は一時的な満足感は得られますが、長期にわたって強いインセンティブは働きません。なぜなら目標が達成できそうもなければ報酬をあきらめればよいからです。一方、完全歩合制のセールスマンのように達成しなければ生活に支障をきたすような場合、社員間の協力はぎくしゃくし、成果の偽装も起きます。
そこで報酬は後でなく、先に渡します。そうすれば返報性の原理が働き、目標に取り組む強いインセンティブになります。つまり社員が目標を設定すれば、それに対して報酬を先に支払うのです。しかも1年後、目標を達成できなくても返すことは許されません。
社員は「ラッキー」と思うでしょうか。
いえ「返報性の原理」が働き、とても気持ち悪く感じます。他の社員が決めたことを実行し目標を達成していれば、なおさらそう感じます。
ここまでやるのは行き過ぎと感じる場合、資格取得など外部教育で「返報性の原理」を活用する方法もあります。資格の取得や教育終了で報奨金を出すのでなく、最初に取組んだ時点で報奨金を出すのです。最初に報奨金を受け取り途中でやめれば、返報性の原理から社員は気持ち悪く感じます。これが取組を継続するインセンティブになります。
社会的証明には良い面と悪い面があります。
研修やスキルアップは、新入社員や高齢社員も含めて全員で行います。その内容は人によって異なるかもしれませんが、スキルアップをやることに対して例外を作りません。進捗や達成度は全員に公開します。
集団意識の強い日本では、組織の中で自分一人だけやらないのはとても居心地悪いのです。ただしスキルや能力は個人差があるため、カリキュラムはいくつか用意して、本人が選択します。これにより一貫性の原理が働きます。
服装の乱れ、標準作業の無視、安全ルールからの逸脱などを放置すれば、「ルールを無視してもよい」という悪い社会的証明になります。放置すれば重大な事故や不良が起きかねません。そのため些細な違反も必ず指摘します。
ただし強く叱る必要はありません。悪いことは本人も分かっているからです。「悪いことをすれば必ず指摘される」という文化ができれば、「ルール無視は見過されない」という良い社会的証明になります。
一度決めたルールも時間の経過とともに徐々に守られなくなります。ルールを維持するには、誰かが嫌われ役になって違反したものに対し指摘しなければなりません。
時にはあえてルールを守らずに、それを自己主張と考える社員もいるかもしれません。しかも本人に理由を聞いてもはっきりと言いません。このような場合「良い警官、悪い警官」の手法が使えます。悪い警官役の社員がルール無視した社員を厳しく叱責します。良い警官役の社員が「君が本当はまじめで、仕事もしっかりとやっている」と本人の力を認め共感を示します。その後で「どうして○○のルールを守らないんだ」と質問します。
新しい仕事に取り組むとき、あるいは研修などでジグソー教室の技法を使えば社員間の協力を高めることができます。
新しい仕事の場合、分野の異なる様々なメンバーを集めて、一つのテーマに取組むようにします。この場合、お互いが協力しなければ目的は達成できません。一定期間お互いが協力して仕事をすることで、お互いのことがよくわかり、好感が高まります。これはその後の円滑な組織運営に効果を発揮します。
研修でもそれぞれの自分の専門分野の内容を他のメンバーに教え合うようにします。お互いが先生になるため、お互いに好感と尊敬が生まれます。
例えば、生産管理の担当が生産管理を、品質管理の担当が品質管理を、他の部署のメンバーに教えます。できれば、グループをつくりお互いが協力しないと達成できないような課題をつくって研修をすると効果的です。一見ムダな研修に見えますが、お互いの業務の理解が深まり、横の連携が強化され、ローテーションも容易になります。
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]]>「なぜこれを買ったのだろうか」
そこには第三者の承認への誘導が働いているのです。
この承諾誘導は様々なセールスのテクニックとして紹介されています。そして人が承諾誘導に反応してしまうのは、脳が無意識に決定してしまうからです。
逆にこのメカニズムをうまく使えば社員教育やスキルアップに活用できます。社員が積極的に困難な課題に取り組んだり、自らスキルアップに取り組むようにできるのです。
そこで今回は私たちの行動を支配する8つの要素と、社員育成への活用について考えます。
なぜ人はだまされるのでしょうか?
それは、人には思慮深いだまされにくい自分と、直感的で簡単にだまされる自分がいるからです。
行動経済学では、私たちの脳が意思決定を行う際、無意識に2つのシステムを使い分けていると考えます。これがシステム1とシステム2で、
とも呼ばれています。
システム1は、これまでの経験を元に感覚的、直感的な判断です。対してシステム2は、直観に頼らないで論理的、理性的な思考に基づく判断です。
システム1は私たちが祖先から受け継いだ認知・判断システムです。私たちの祖先は常に危険な野生動物に襲われる環境で狩猟採取生活を営んできました。そこでは素早く敵や獲物を判断し行動しなければ生き延びられませんでした。
そのため私たちの祖先は、直感(本能)と経験に基づいて素早く判断するシステム1に頼って生きてきました。
一方、今日の複雑化した社会では、様々な条件を考慮してじっくりと考えなければならない場合があります。その場合、私たちは直感に頼らず、論理的にじっくりと考えるシステム2で判断します。
しかし脳は考える時に非常に多くのエネルギーを消費します。システム2は大量のエネルギーを消費するため、私たちはできればシステム2でなく、システム1で判断しようとします。
そしてトップセールスマン、詐欺師など私たちを洗脳しようとする人たちは、システム1の特徴を巧みに生かして、私たちの判断を誘導するのです。
七面鳥の母鳥はひな鳥の「ピーピー」という鳴き声に反応して、ひな鳥を世話します。ひな鳥が「ピーピー」と泣かなければ無視します。
この七面鳥の天敵は毛長イタチです。毛長イタチのぬいぐるみが近づくと母鳥はひなを守ろうと鋭い鳴き声を上げて威嚇します。
ところがこのぬいぐるみにテープレコーダーを埋め込み、ひな鳥のピーピーという鳴き声を流すと、それまで攻撃していたぬいぐるみを、ひな鳥だと思って自分の翼の下に抱き込んでしまうのです。しかしテープを止めると再び攻撃をします。
つまりひな鳥のピーピーは母鳥が母親の行動を開始する「引き金特徴」なのです。
ピーピーという引き金特徴が現れると、母鳥の行動のテープが再生されます。「カチ」とボタンを押すことでテープレコーダーは再生を始め、「サー」とテープが回り、あらかじめ持っている母鳥の行動パターンが再生されるのです。
この行動パターンのテープは私たちも持っています。それがシステム1なのです。
トップセールスマンや詐欺師は、どうすれば私たちのテープレコーダーが「カチ」と押されて、「サー」と意思決定が「自動操縦」されるのかがわかっています。
では、私たちのシステム1の行動パターンにはどのようなものがあるのでしょうか。
私たちの行動を支配するシステム1は、大きく分けて8つの要素があります。
私たちは、人から何かをもらったら、もらいっぱなしにするのはとても気持ちが悪いのです。何かお返しをしないと気が済まないのです。つまり「ギブ・アンド・テイク」です。
例えば、お葬式の香典に対する香典返しなどです。このもらったら何かお返しをしないと気が済まない「返報性の原理」は、私たちに強力に作用します。そのため承諾誘導の手段としては極めて強力な方法です。
従って相手から何かをもらった「借り」があれば、相手から何か要求された時にたとえ不利な条件でも断ることができません。例えば、食品売り場での試食がそうです。多くの人は試食すれば店員のお薦めを断れずに商品を買います。
この返報性は極めて強力に作用するため、国の命運を決める外交交渉から、日用品の販売まで実に様々な場面で使われています。例えば以下のようなものです。
販売や交渉の場面で、最初に相手が受け入れられないような要求をして相手に拒否させます。次に最初の要求から譲歩して要求をすると、相手は拒否できず受け入れます。
実は最初の要求(高額な商品やサービスやとても受け入れられない内容)は、はったりなのです。狙いは、最初の条件を拒否したことで「借り」があると顧客に思わせ、次の要求を受け入れることで借りを返した気持ちにさせることです。
返報性の原理は非常に強力なため、この原理を知っていても罠にかかるのを抗うのは困難です。
そこでこういった販売に直面した場合は無料のものは受け取らないことです。日本のことわざにもあります。「タダほど高いものはない」と。
自分が言ったこと、決めたことを守ろうとすることです。英語には責任を伴う約束を指すコミットメント(commitment)という言葉があります。
実は本人が意識していなくても、約束を口にした以上、約束を実行しなければ、「言ったこととやることの一貫性が保たれず」とても苦痛なのです。
「言ったこと」を実行しようとするのはシステム1です。「言ったこと」を実行すれば、それについてこれ以上考える必要はありません。しかし実行しなければ、できなかった理由をあれこれ考え、自分を納得させなければなりません。
アメリカの思想家エマソンは「愚かな首尾一貫性は、偏狭な心に住む小鬼である」と言いました。
つまり「『前言を翻すのは格好悪い』といった執着にとらわれると、自由に考えられなくなる。偉大な思想家は過去の自分に縛られない」と説きました。
一貫性は「言ったこと」よりも「やったこと」に対しより強力に作用します。人は「自分がやったことは正しい」と思いたいのです。
例えば競馬場では馬券を買うと、馬券を買った馬が勝つ確率がより高く予想することが、カナダの心理学者が発見しました。「買ったからには、勝つに違いない」というわけです。
しかも言うよりも書く方が一貫性はより強く働きます。これがセールスの場面で使われます。
ローボールテクニックとは、最初は相手が承諾しやすい条件を出して相手の承諾を得ます。そして徐々に相手に不利な条件を提示し、それを承諾させる手法です。条件をボールに見立て「低いボールから投げる」という意味でこう呼ばれています。
相手は最初にイエスと言うと、イエスと言ったことに対して一貫性を保とうとします。そのため条件が悪くなっても、ノーとはなかなか言いません。
例えば、店頭にあるバーゲン品が気に入って、それを買うつもりで店の中に入ったのに、店内で高額な商品を薦められて買ってしまいます。これは高額な商品という不利な条件に変わっても、最初の「買う決意を変えたくなかった」という一貫性のためです。
アメリカでの自動車セールスのポイントは、とにかく顧客に椅子に座ってもらい、契約書に住所と名前を書かせることです。顧客は買う意思を表明しています。その後から条件を変えればいいのです。
チャルディーニ氏はある販売店にセールス訓練生のふりをして紛れ込みました。その販売店は最初に、顧客に「魅力的な他店よりも低い価格」を提示します。そして購入契約書やリース契約書に顧客がサインした後、顧客に計算上のミスがあったと伝えます。
あと400ドルが必要だと。
すでに買うつもりで契約書にサインした顧客にとって、追加の400ドルは出せない金額ではありません。その結果、価格は最初提示された魅力的な価格でなく、他店と同様の「平凡な価格」になってしまいます。
あるいは最初は下取り車にとても高い値段をつけておき、後で上司が「こんな値段では下取りできない」と言います。そして販売員は顧客に400ドル上乗せするようにお願いします。
運動部の新入部員への厳しい練習 通称「しごき」、あるいは心理的に受け入れがたく、しかも意味のないことを強制する「いじめ」、これにはどんな意味があるのでしょうか。
実はつらく苦しいことをさせられた人ほど「こんなに苦しいのだから、それに見合ったものがあるはず」という一貫性が強く働きます。そしてチームの構成員としての忠誠心(チームワーク)が高まります。
この「しごき」は効果がある練習の必要はなく、単につらく苦しければよいのです。
未開部族社会の成人の儀礼やアメリカの高校・大学のフラタニティ(男子学生社交団体)の儀式も同様です。フラタニティへの加入儀式には、山奥に一人で置いてかれて凍死してしまった例や、砂浜に穴を掘らされ中に横たわるように命令されたところ、穴が崩れて窒息死してしまった例など、残酷な儀式による死者も起きています。
ジョナサン・フリードマンは、7歳から9歳の男の子に、強く脅せば言うことを聞かせられることができるか実験しました。
22人の男の子の前に5つのおもちゃを与え、その中で高価な電池で動くロボットだけは
「絶対に遊んではいけない」「もし遊んだらすごく怒るからね。」
と言い聞かせました。罰を受けることもにおわせました。
その後部屋にいる男の子たちを隠れて観察したところ、脅しを受けた男の子の内20人はロボットでは遊びませんでした。6週間後、今度は一人ずつ5つのおもちゃのある部屋に入れて観察したところ、今度は77%の男の子が禁止されたロボットのおもちゃで遊びました。
今度は、フリードマンは別の男の子たちに脅しは一切しないで
「ロボットで遊ぶのは悪いことだから」
という理由を伝えてロボットで遊ばないように警告しました。
6週間後、同様に一人ずつ5つのおもちゃのある部屋に入った男の子たちを観察したところ、ロボットのおもちゃで遊んだ子は33%でした。
何が違ったのでしょうか?
1番目のグループでは「遊んではいけない」という脅しによって、責任は外から与えられました。
対して2番目のグループは「ロボットで遊ぶのは悪いこと」という警告によって、男の子たちは自分たちの責任と思ったのです。
その結果、男の子たちは遊ばないという一貫性に従って行動したのです。
私たちは判断の際に他者の行動を参考にします。そして私たちま日常は、自分で判断しなければならないものが多くあります。例えば、買い物は多くの商品を自分で判断し選ばなければなりません。
ひとつひとつの商品に対しシステム2を発動し、商品の価格、量、機能を比較して決断すればとても疲れます。そこでシステム1の出番です。「売れている商品は良い商品」とシステム1が自動的に判断します。
そこでお店は店頭で商品を山積みにして「売れている」というイメージを演出します。さらにポップに「売れています」「大人気」と書きます。他にも「繁盛しているように」偽の客であるサクラを入れたります。募金箱には最初からお金を入れておきます。
大勢が支持しているものを支持する心理的効果を指し、アメリカの経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱されました。バンドワゴンとはパレードの先頭にいる楽隊車のことです。その後ろに行列ができることからバンドワゴン効果と名付けられました。
例として、流行に乗りたい心理、友達が持っているものと同じものを欲しがる子供の心理が挙げられます。
自殺の報道に影響されて、報道の後自殺が増えることです。
ウェルテルとはゲーテの『若きウェルテルの悩み』で最後に自殺した主人公の名前です。『若きウェルテルの悩み』の出版後、これに影響された若者達が彼と同じ方法で自殺したことが起源です。日本でも1986年アイドル歌手の岡田有希子が18歳で飛び降り自殺をすると、その後30名の若者が高所から飛び降りて自殺しました。
軽微な犯罪を徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を抑止できるとする理論です。アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案しました。
「建物の窓が壊れているのを放置すれば誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」
という考え方が元になっています。
逆に社会的証明を誤って使うと
「多くの人が望ましくないことを行っている」
という誤ったメッセージを人々に発信してしまいます。
例えば、アメリカの化石の森の公園で、看板に「これまでに公園を訪れた多くの人が化石木を持ち出したため、化石の森の環境が変わってしまいました」と書いたところ、ネガティブな社会的証明の効果で、ますます多くの人が化石木を持ち出しました。持ち出した量は看板を立てなかったときの3倍にもなりました。
ところが別の看板に「公園から化石木を持ち出すのはやめてください。化石の森の環境を守るためです」と書いたところ、持ち出すのは減りました。
何か頼まれるとき、嫌いな人から頼まれるよりも、好きな人から頼まれる方が受け入れやすいものです。また知らない人から頼まれるよりも、知っている人から頼まれる方が受け入れやすくなります。
この好意を持っている人と知っている人は似た作用をします。そしてトップセールスマンや詐欺師はこの好意を巧みに操ります。
私たちは外見の良い人は、「才能、親切心、誠実さ、知性を兼ね備えている」と自動的に判断します。裁判でもかわいい女の子やハンサムな男性は、そうでない人に比べて刑が軽くなる傾向があります。「こんなかわいい子があんなひどいことをするわけがない」と陪審員は思います。本当はそうでなかったとしても。
人は自分と似ている点があれば好ましく思います。この似ている点は、生年月日、出身地、大学、趣味、好きな球団など多岐にわたります。
アメリカでは車のセールスマンは、顧客の下取り車を調べている間に自分と顧客の類似点を探すように訓練されます。トランクにキャンプ道具があれば、自分もキャンプが好きだといい、ゴルフボールがあれば、ゴルフの話をします。こうして優秀なセールスマンは短い間に顧客と親密な関係を築き「○○店から買った」のでなく「○○さんから買った」と顧客が感じるようにします。
リック・ファン・パーレンの研究ではウェイターが注文を客の言葉通りに繰り返すとチップが増えることが確認されました。ある調査ではそれだけでチップが70%も増えたのです。単に客の注文を繰り返すだけで、類似性が強まり親近感が生まれました。
世界で最も偉大なセールスマンとしてギネスブックにも載っているジョー・ジラードは、1968年から15年間トップの販売記録を打ち立てました。(その後は執筆や講演を行いセールスからは引退しました。)
彼の秘訣は、1万3千人以上の顧客に毎月挨拶状を送ったことです。挨拶状には「あなたが好きです」と印刷されていました。このカードが毎月送られると、印刷され機械的に送られたカードでも顧客はジョー・ジラードに好意を感じたのでした。
日本でも手書きのハガキを見込み客に定期的に送って成果を上げているセールスマンがいます。手書きのハガキを受け取った人は、印刷したハガキよりもより好意を感じました。
お世辞(称賛)についてミネソタ大学で行われた興味深い研究があります。
最も効果的な称賛は、最初はあまり良いことは言わず、徐々に高まる称賛を何気なく本人に聞かせる方法です。その結果、最初から自分に良い表価を聞かされるよりも、評価者にずっと強い好意を感じました。
人は何度も会っていると好意が生まれます。これは「ザイアンス効果」と呼ばれます。
この効果は会って会話するだけより、握手などの身体的接触もあった方がより効果があります。選挙で政治家が多くの人と握手をするのも、この効果を狙っているからです。
繰り返し接すると好意や印象が高まる効果で、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱しました。はじめのうちは興味がなくても何度も見たり、聞いたりするうちに好感を持つようになります。
ザイアンス効果の例として、よく会う人や、何度も聞いている音楽などがあります。この効果は、図形や、漢字、衣服、味やにおいなど様々なものにも生じます。広告もこのザイアンス効果を狙ったものです。
より親密な関係をつくる方法として、協同で何かを行う方法があります。
学校では、授業は教師が子供たちに教え、教師に指された子供が答えます。こういった関係では、子供同士は良い成績を取るためのライバルです。子供たち同士で協力することはないため、お互いの好意が高まることはありません。
そこでエリオット・アロンソンたちは「ジグソー教室」と呼ばれる方法を、テキサス州とカリフォルニア州で開発しました。これはチームに分かれた生徒たちが試験に向けて勉強します。その際、生徒たちは合格のために必要な情報のうち、それぞれが異なった一部の情報しか与えられません。従って生徒たちはお互いに教えあい、協力しなければ合格できません。良い成績を取るためにはチームのメンバーすべての力が必要です。
この場合、生徒は敵でなく味方同士になります。「ジグソー教室」を行った結果、人種間の友情は深まり偏見も少なくなりました。少数人種の子の自尊心は高まり、成績も向上しました。また白人の生徒の自尊心や好感度も向上し、テストの成績も従来の方法よりも良くなりました。
尋問に使用される心理学的な戦術で、良い警官役と悪い警官役の2人で行います。「悪い警官」は容疑者に対し、乱暴な言葉や侮辱的な発言、脅迫などを行い、容疑者が強い反感を持つようにします。
その後「良い警官」が容疑者へ理解を示し容疑者への共感を演出します。さらに容疑者を「悪い警官」からかばうようにします。容疑者は悪い警官への畏怖と嫌悪から良い警官を信頼し、良い警官に色々な情報を話すようになります。
役職、専門性、資格など様々な権威があると人はそれに盲従してしまいます。この権威には以下のようなものがあります。
エール大学の心理学者スタンレー・ミルグラムが「人は権威に盲従するかどうか」を実証するために行った実験です。この実験は被験者を教師役と生徒役に分け、教師役は生徒役に問題を出します。もし解答が間違っていれば教師役は生徒役に電気ショックを与えるように権威ある博士から指示されます。
電気ショックの強さは、間違いの数に伴い段階的に強くするように決められました。実際は、生徒役はサクラの役者で電気は流されませんでした。そして電圧が高くなるほど生徒役は痛みを大げさに訴える演技をして被験者の教師役の反応を調べました。
その結果、たまりかねて実験を中止する教師役も出ました。しかしそれでも被験者の65%が、最大電圧450ボルトまで博士に指示されるまま生徒役に加えました。
被験者は権威ある博士の指示に盲従することを示しました。この実験でミルグラムは、人はたとえ良心の呵責があっても、権威者の指図があればそれに従うことを示しました。
過去の飛行機事故では、機長の誤った判断を他のクルーが指摘できず重大な事故が起きてしまいました。そこからリーダーの誤った意見に押し切られて他のメンバーが反論できないことを指します。
上司や権威がある人、大きな成果を上げた人の判断は間違っていないと思い込むことが原因です。特にリーダーが絶対的な権力を持つ場合、機長症候群が起きやすくなります。
いつでも手に入るものと比べ、今しか手に入らないものの価値は高くなります。
日本でのオリンピック(2021年東京オリンピック)、2025年の大阪の万博(55年前に行った人は別として)などは一生に一度の機会です。個人でも結婚式(その後離婚、再婚があるかもしれませんが)、自分の葬式(本人はもう見ることはできませんが)は、二度とありません。人はこういったものに大金をかけることを厭いません。
そこでセールスでは様々な方法で希少性つくります。例えば季節限定、数量限定などです。「今日まで50%OFF」であれば、顧客は50%OFFのお得を手にできるのか今日しかないと思います。例え来月また50%OFFのセールがあったとしても。
ビンテージカーの価値は、もう新車では手に入らないからです。これまで手に入っていたものでも、もう手に入らないとわかると急に価値が高くなります。
1985年コカ・コーラ社はペプシコーラに対抗するため甘みの強いニューコークを発売しました。コカ・コーラ社の失敗は、この時従来のコカ・コーラを販売中止にしたことです。その結果顧客から「昔の味を返せ」と抗議が殺到しました。そして3か月後には以前のコカ・コーラをコカ・コーラ・クラシックとして再発売する羽目になってしまいました。ところが猛烈な抗議をした人ですら、ブラインドテストでは以前のコカ・コーラとニューコークの違いは判らなかったのです。
なぜこうなったのでしょうか?
原因はこれまで手に入っていたものが手に入らなくなったからです。
これは個人的なコントロールの喪失に対する抵抗感「心理的リアクタンス」によるものです。この心理的リアクタンスは、コロナ禍でのトイレットペーパーの争奪や、両家の反対で燃え上がったロミオとジュリエットの愛など様々な場面で人々に影響を与えます。逆に当たり前になれば欲しくなくなります。
銃規制に揺れるアメリカで、ジョージア州のケニソーは1982年6月ケニソーに住む成人はすべて銃と弾薬を所持しなければならないという法律を制定しました。しかも違反者には200ドルの罰金を課しました。ところがこの法律に従って銃を買ったのは数人でした。みんなが持っている当たり前のものには価値が感じられなくなったのです。
私たちは日常生活で重要だと思うものには注意を向けます。その結果、システム1は逆に「注意を向けたものは重要なもの」だと判定します。
優秀なセールスマンは売り込みの前に、顧客に「重要と思って欲しいこと」に注目するように仕向けます。具体的には、質問をすることで、それまで顧客が意識していなかった「満たされなかった問題」に意識を向けさせます。例えば「○○について不満はありますか?」
これはセールスマンが顧客の不満を知るための質問ではありません。顧客に○○の不満な点に意識を向けさせるための質問です。そうすることで、これからセールスする商品の良さを顧客がより強く感じるための「プリ・スエージョン (下準備)」なのです。
講演会では、巧みな講演者は特に大事な箇所であえて小さな声で、聴衆が耳を澄ませて集中しなければ聞き取れないくらいの声で語りかけます。
集中することで聴衆はそれがとても重要なことだと思うのです。
ドイツの心理学者クルト・レヴィンは「人は欲求によって目標指向的に行動するとき緊張感が生じ、行動は持続する。しかし目標が達成されると緊張感は解消する」と考えました。
心理学者ブリューマ・ゼイガルニクは実験を行い
「完了していない課題の記憶は、完了した課題の記憶に比べ想起されやすい」
ことを示しました。これは「ツァイガルニク効果」と呼ばれています。
テレビ番組ではクイズの答えやドラマのクライマックスの前に「続きはCMの後で」とCMを挟むのは、CMに入ると視聴者を離れるのを防ぐためです。授業でも最初に「なぜ○○なのか?その理由は後で説明します」と言い、その答えを授業の最後に言えば、生徒は最後まで集中して聞きます。
期限内に必ず原稿が完成する著者がいました。その秘訣は、原稿を書くときに「必ず章や節の途中で終わること」でした。これを応用すれば、重要な仕事を遅れないようにするために「前もって少し手をつけておく」という方法があります。ツァイガルニク効果により、いつも気に留めるため、忘れなくなります。
「最初に見たもの」と「次に見たもの」の違い、このコントラストにより商品や提案が魅力的なものに見えます。ある不動産会社は新しい顧客を連れて家を見て回る時、最初に必ずひどい物件を見せます。これは売るためでなく見せるための物件です。そうするとその後見て回る家がどれも魅力的な物件に感じられます。
逆に最初に価値の高い高額な商品を買うと、次に金額の低い商品を見ても金額の違いに気を留めなくなります。洋服店では、顧客が最初に高い商品を買うように店員に指導します。最初に数万円のスーツを買えば、一緒に買うシャツやベルトの金額は大した金額に感じなくなるからです。
つまり最初に顧客に提示される条件は、その後の意思決定の重要な基準になるのです。これを使って顧客を誘導する方法があります。
認知バイアスの一種で、最初に示される値や条件(アンカー)によってその後の判断が歪められることです。その結果、判断は最初に示される値や条件に近づきます。
例えば「国連加盟国のうちアフリカの国の割合はいくらか」と質問します。その時、質問の前に「65%よりも大きいか小さいか」と尋ねると中央値は45%になりました。しかし「10%よりも大きいか小さいか」と尋ねると中央値25%と大きく変わりました。
このアンカリングの効果は、日常の様々な判断に影響します。ある店舗では、これまでの商品の陳列に、それよりも高額な商品を1点追加しました。それだけで今までの商品がたくさん売れるようになりました。高額な商品が加わったことで、今までの商品がお値打ちに見えるようになったのです。
採用など様々な場面で行われる面接、最初に面接を受ける場合と後で面接を受ける場合のどちらが有利でしょうか。
最初に受けた方が、まだ面接官の評価基準が定まっていないので評価が甘くなるという説があります。
実際に実験したところ、後に面接を受けた方が有利になるという結果が出ました。これは最初の方の面接者の印象が面接を重ねるに従って薄れていくのに対し、後の方が強い印象を残せるからです。
では、これを自社のビジネスや教育に(良い意味で)どのように活用できるのでしょうか。これについては別の機会にお伝えします。
「影響力の武器」ロバート・B・チャルディーニ 著 誠信書房
「影響力の武器 実践編」ロバート・B・チャルディーニ 著 誠信書房
「影響力の武器 戦略編」ロバート・B・チャルディーニ 著 誠信書房
「プリ・スエージョン」ロバート・B・チャルディーニ 著 誠信書房
人工知能、フィンテック、5G、技術の進歩は加速しています。また先進国の少子高齢化、格差の拡大と資源争奪など、私たちを取り巻く社会も変化しています。そのような中
ものづくりはどのように変わっていくのでしょうか?
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本コラムの内容は2014年から始めた「未来戦略ワークショップ」のテキストがベースになっていて、以下の分野です。
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]]>投稿 【製造業の値上げ交渉】19. 下請法や国のガイドラインを値上げ交渉に活かす方法 は 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク に最初に表示されました。
]]>国の支援策とその活用方法を説明します。
国の支援策には以下のようなものがあります。
◆法律
下請代金支払遅延等防止法 (以降、下請法)
◆ガイドライン等
下請適正取引等の推進のためのガイドライン (以降、ガイドライン)
価格交渉ノウハウ・ハンドブック (以降、ハンドブック)
下請法は、発注先がやってはいけない禁止事項が決められ、違反した場合は、公正取引委員会からの勧告や罰金が定められています。
【報告があった場合】
中小企業庁に確認しましたが、もし理不尽な要求や問題のある行動の報告があっても、公正取引委員会は直ちにその企業に調査に入りません。彼らは日頃からこうした情報を収集していて、問題のある報告が多い企業に対し、時機を見て調査に入るそうです。(この調査件数は年間で5,000件を超えます。) 従ってどの仕入先からの報告で調査に入ったのか取引先はわかりません。
一方、ガイドラインには罰則はありませんが、国が考える望ましい取引の事例と、望ましくない取引の事例が具体的に書かれています。従ってガイドラインに抵触するような取引は、取引先に対して「そのような要求はガイドライン抵触しませんか」とやんわりとけん制することができます。
また原材料、エネルギー費用などの上昇を取引価格に転嫁している状況は、国が定期的に大手企業に対し調査を行っています。調査結果は公表され、価格転嫁に消極的な企業は実名が公表されます。その結果、大手企業にも価格転嫁を認める状況になってきています。
下請法の違反事例やガイドラインに反する行為は、取引している中小企業が報告しなければわかりません。またこういった問題行為は、取引先企業の方針だけでなく、担当者個人の問題もあります。
実際には理不尽な要求があったから公正取引委員会に報告しても、すぐに是正されるわけではありません。しかしこうした取引先の問題行動を各社が報告し、公正取引委員会が動くことで、理不尽な要求や優先的地位の濫用が減少し、公正な取引の実現に向かいます。
そのためには、取引にかかわる中小企業の関係者は、法律やガイドラインを読んで「どのような要求が下請法やガイドラインに抵触するのか」理解しておく必要があります。つまり下請法やガイドラインは、立場の弱い中小企業が「自らを守るための武器」なのです。
詳細は、国の資料を見ていただくとして、以下に概要とポイントを説明します。
親事業者<注記>が下請事業者に製造やサービスを委託した時に、親事業者の義務と禁止事項を定めた法律です。
違反すれば、罰金や公正取引委員会の勧告措置が定められています。勧告措置を受けた場合、違反した企業は、社名、違反内容がホームページで公開されます。
この下請法には図1に示すように4つの義務と11の禁止行為が定められています。
詳細は下請法を読んでいただくとして、実務で問題となりやすい点を説明します。
「委託後、直ちに、給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法等の事項を記載した書面を交付する義務」のことです。従って発注は注文書など書面で必ず行い、注文書には発注単価が記入されていなければなりません。
これは良い面と悪い面があります。
◆良い面
単価の取り決めなしで注文を受けて、あとで安い金額とされることを防ぐことができる。受注する時点で単価が低すぎれば交渉できる。
◆悪い面
納期が短いため図面だけFAXで送ってもらって材料の手配をしたい。しかし注文書が発行できないと図面を送ってもらえない。
このように不便な面もありますが、仮単価でも金額が入ると、それが基準になってしまいます。そこでできるだけ金額を決めて受注するようにします。
「下請事業者に責任がないにもかかわらず受領を拒むこと」です。
納期を守るために、手配に時間がかかる部材を仕入先の判断で先行手配することがあります。本来は取引先から書面で内示をもらうべきですが、内示の手配数で不足する場合、仕入先が先行手配を上積みします。同様に仕入先が自主的に在庫を持つ場合もあります。
これは順調に受注があればよいのですが、景気が急減速し内示が取り消されると問題になります。
ガイドラインでは
「取引先から『参考情報』として提示された場合でも、それが実際の部材手配や製造着手につながる場合は、事実上の発注とみなされる」
と書かれています。実際に大量の部材を抱えてしまった場合、引き取ってもらわないと経営に影響します。しかしこのガイドラインを示して引取りを求めるのはなかなか大変です。
そこで先行手配や在庫を持つ場合、予め先行手配の記録をします。具体的には取引先と打合せし「『参考情報』を元に先行手配をする」という旨の議事録をつくり、取引先のサインをもらいます。もしサインが拒否されれば、先行手配はしない方がいいです。その場合、「リードタイムはこれだけかかるのだから、それ以上の短納期は無理」ということを書面に残します。
「支払代金を、支払期日までに支払わないこと」です。
最近は月末締の翌月払いの企業も増えて、検収が上がればスムーズに支払われるようになりました。
問題は検収がなかなか上がらない場合です。特に装置や金型は取引先が問題なく生産を立ち上げて検収になります。中には問題の解決に何か月もかかり、それまで検収が上がらないこともあります。
そこで、取引先と契約する際に進捗度に応じて何割かを支払ってもらう方法があります。
例えば、建設業は工事代金が大きく、自社も工事中に業者へ支払いしなければなりません。そのため、こういった方法が一般的です。ただし最後の支払いは、完成・引き渡しが条件です。
このような方法を取れば資金的に楽になりますし、取引先も検収を上げるまで支払いは残るので安心できます。
「通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること」です。
「通常支払われる対価」とは、「その下請事業者の属する取引地域において一般的に支払われる対価」を指します。
「著しく低い下請代金」は解釈によって変わりますが、ガイドライン、ハンドブックによれば、
などが挙げられています。取引先からの定期的な原価低減要請でも、原価低減できるネタがないのに一方的に価格を引き下げれば買いたたきになります。
「下請事業者に責任がないにもかかわらず、給付の内容を変更させたり、給付をやり直させること」です。
例として合否判定が曖昧な傷や外観について、一方的に「傷があるものは不良だから受け取れない」とされる場合、取引先の事情で手直しを依頼されたが、その費用を支払われない、などです。
親事業者と下請事業者の間の取引において「望ましい事例」と「望ましくない事例」を示すことで、公正な取引を促すことを目指したものです。
ガイドラインは以下の20の業種について、それぞれ作成されています。
(1)素形材
(2)自動車
(3)産業機械・航空機等
(4)繊維
(5)情報通信機器
(6)情報サービス・ソフトウェア
(7)広告
(8)建設業
(9)建材・住宅設備産業
(10)トラック運送業
(11)放送コンテンツ
(12)金属
(13)化学
(14)紙・加工品
(15)印刷
(16)アニメーション制作業
(17)食品製造業
(18)水産物・水産加工品
(19)養殖業
(20)造船業
自社の業種が20に当てはまらない場合も、近い業種のガイドラインを読んでおくことをお薦めします。
例えば、プレス、切削など金属加工の場合、
(2)自動車
(3)産業機械・航空機等
(5)情報通信機器
この3つを印刷して読んでおくことをお薦めします。
(情報通信機器は、受注や書面の交付、支払などがQ&A形式で具体的に書かれているので参考になります。)
ガイドラインの内容の参考例として、「(2) 自動車」の一部を紹介します。
自動車のような大量生産品の場合、現行モデルで使用する部品は毎月一定量が発注されます。しかしそのモデルが販売中止になると、その部品は補給品扱いになり、発注量が大幅に少なくなります。それでも依然と同じ価格で発注されれば単価が合いません。
これについてガイドラインでは
少量の補給品を以前と同じ価格で発注することは下請法の買いたたきに該当する恐れがあると明記しています。
問題は、自動車は部品の共通化が進み、今受注している部品が量産品なのか補給品なのかわかりづらいことです。例えばある車種はモデルチェンジでその部品は使用しなくなったが、ある車種はまだ使用しているため、発注量が1/3になっても発注が定期的に行われることもあります。
そのような場合は、補給品・量産品と区別せずに発注量に応じて価格を設定するように取引先と交渉します。
自動車メーカーによっては、量産終了時に一括買い上げなどの制度があるメーカーもあります。しかし二次以降の下請けに、そういった情報も入ってこないこともあります。その場合は取引先を通じてこういった情報を収集します。
金型費用を一括で支払わず、部品の価格に上乗せして支払う場合、金型は自社の資産です。自社の資産ですが、その部品の発注がなくなっても生産再開の可能性があるため、金型を保管しなければなりません。その場合、金型を無償で保管させることは、ガイドラインでは
下請法の不当な経済上の利益の提供要請に当たる恐れがあると明記されています。
一方、保管費用をもらっても金型が増える一方であれば、保管場所の確保や管理費用が増えていきます。本来、取引先が保管すれば、その後の使用可能性を考えて見切りをつけて廃棄するはずです。そのような金型でも保管費用を払っているからと保管を続けさせられます。
そのような場合、今後も保管する金型は増え続けると考え、保管スペースの費用、管理費用を計算し、保管すれば利益が出る金額を設定します。そして「今後も金型を保管し続ければこれだけかかりますがいいですか」と費用を請求します。支払いが拒否されれば「差し上げます (大抵償却は終わっている) ので取引先で保管してください」とお願いします。
金型を納入する際に「保守のために必要だから」と図面を要求される場合があります。図面を提出するかどうかは、取引先が設計費用を払ったかどうかが基準になります。
設計費用を払えば、設計の成果物である図面は取引先の所有物です。
設計費用を払わなければ、金型代は金型に対して支払われただけで、図面は自社の知的財産です。もし図面を要求されれば設計費用を請求します。
設計費用を払わないのに図面も要求する場合、
下請法のかいたたきに該当する恐れがあるとガイドラインに明記されています。
あるいは「メンテナンスのために金型図面が必要」と取引先が言えば、メンテナンス(再研など)に必要な個所だけ、寸法が入った図面を渡します。それ以外の箇所は寸法の入っていない外形図でもメンテナンスは十分できます。もしそれでは不十分だと取引先が言えば、明らかに次回以降の金型を他社でつくらせる意図があります。
部品の配送費用が仕入先の負担になっている場合、配送費用があいまいになっていることがあります。しかし定期的な配送便に間に合わず、営業担当者がライトバンで数個納品すれば、余分に配送費用がかかっています。その費用も仕入先の負担です。
あるいは仕入先が有償支給品(材料)を取引先から引取りする場合、納品の帰りの便に積めればよいのですが、積み切れずに別便で引き取りしなければならない場合、余分に費用が発生します。
その場合、自社の配送費用がどのくらい発生しているかを明確にし、その費用が取引先から適切にもらえているか調べます。できれば見積に管理費とは別に配送費用、梱包費用を入れます。そして運賃が上がった場合、値上げ交渉します。
本来は、取引先の都合で別便で納品した場合、追加の配送費用を請求すべきです。現実には難しいことも多く、別便で納品することが多ければ、その分見積の配送費を膨らませてカバーする必要があります。
原材料価格の上昇が発注価格に反映されても、反映されるタイミングが遅ければ、その間利益は少ないままです。また原材料価格以外の費用、エネルギーコスト、副資材、労務費は価格に反映されていない場合もあります。
このような費用が上昇しているにもかかわらず、一方的に従来の価格を要求することは
下請法の買いたたきに相当する恐れがあるとガイドラインに明記されています。
一方ガイドラインによれば「妥当性のある要請であれば値上げを認める」と回答したメーカーもありました。原材料以外のエネルギーコスト、副資材、労務費の上昇による値上げも、要請すれば値上げできる可能性があります。
労務費の上昇(賃上げ)は、これまでは企業の自主的な判断とみなされてきました。しかし最低賃金は年々引き上げられています。さらに物価も上昇しており、一定の賃上げは必要なものと考えられます。これによる原価の上昇は不可抗力として交渉します。
品質改善のため工程の変更や検査が増えても当初の価格を求められることがあります。あるいは不良が出たため、工程や検査が追加になることもあります。
不良の場合は、仕入先に問題があることが多く、その費用が請求できません。これは以下のように取組みます。
自社の問題で検査や工程を追加した場合、「どうなれば検査や工程をなくせるのか」予め取引先と打合せしておきます。そして品質を高めてできるだけ早く追加した工程や検査をなくすように現場が努力します。
顧客の要望で検査や工程を追加した場合、その分原価が上昇したことを伝えて、値上げ交渉を行います。それでも価格を据え置くことは
不当に低い価格を強制することになり下請法に抵触します。
下請法やガイドラインの内容を要約したものです。取引先と価格交渉を行う際の事前準備のための資料を意図して作成されました。
交渉は準備6割、本番4割とも言われ、本番前にどれだけ準備したかが成否を決めます。
交渉に関係する全員がハンドブックで学習し、どのような要求がガイドラインや下請法に違反するのか理解しておきます。さらにハンドブックが提示するポイントやテクニックを活用します。
以下、ハンドブックにある「こんな取引条件に要注意!」からいくつか紹介します。
量産メーカーで行われる定期的なコストダウン要請、これについてハンドブックでは「発注者が、自社の予算単価・価格のみを基準として、通常支払われる対価に比べて著しく低い取引価格を不当に定めることは、下請法や独占禁止法に違反する恐れがあります。」と書かれています。
ハンドブックには事例として
「今年も5%の単価引き下げを頼むよ」という会話があります。
定期的な5%の単価引き下げも、コストダウンできる根拠がなければ、単なる値下げになってしまい下請法違反の可能性があります。
また「不況時や為替変動時に、協力依頼と称して大幅な価格低減が要求されていませんか」として、こういった価格協力要請も望ましくない取引として挙げられています。
価格交渉の中で
「では、ロットをまとめて発注するので安くしてください」
と言われることがあります。ところがこの約束が実行されず、見積よりも少ないロットで発注されてしまいます。
これについてもハンドブックでは
「大量発注を前提とした見積に基づいて取引単価を設定したにもかかわらず、見積時よりも少ない数量を見積時の予定価格で発注することは、下請法や独占禁止法に違反する恐れがあります。」と書かれています。
あるいは納期に間に合わず分納で入れることもあります。しかし分納が常態化すれば上記の事例に該当します。
新たな製品の引合があった場合、取引先が指値をする場合があります。この指値についてハンドブックでは
「合理的な説明をせずに、通常支払われる対価に比べて著しく低い取引価格不当に定めることは下請法や独占禁止法に違反する恐れがあります」と書かれています。
実際は相見積なので指値より高ければ失注するかもしれません。
一方、品質・供給量の不十分な仕入先の見積を引合いに出して「A社はいくらで見積が出ている」と指値を迫られる場合もあります。
自社が高ければ本当にA社に発注するのか、見極めた上で、自社の適正価格を提示し、価格の根拠を示して交渉する方法もあります。
できればその際、指値でつくるためには
「どこをどう変えればいいのか」
コストダウンを提案します。そうすれば取引先は
この3つから選択することになります。
またハンドブックには書面に残すべき内容を提示しています。
国は価格転嫁に非協力的な企業を公表するなど様々な取組を行っています。そのため取引先の担当者も仕入先の負担になるようなことは言いにくくなっています。
そこで取引先の要求は必ず書面化し、相手のサインをもらうようにします。
口頭では記録が残りませんが、文書にすれば理不尽な要求の記録が残ります。文書化することで理不尽な要求をけん制する効果があります。
以下はハンドブックに挙げられている例です。
これらの記録は契約の一部です。できる限り打合せ当日に記録し、相手のサインをもらっておきます。
(サインするなら、なかったことにしてくれというかもしれません。)
国から提示されている内容は多岐にわたります。学習を個人に任せても進みません。そこで主に取引先と交渉する社員が、講師になって社内で勉強会を開きます。今まで挙げた事例には自社に関係がないものもあるかもしれません。そこで内容を厳選して
「自社が顧客と交渉する際に最低限知っておくべき内容」
をまとめてテキストをつくります。これを使って社内で勉強会を開けば、関係する社員全員の交渉力がアップします。もし違反事例があった場合、社内で共有し、中小企業庁に報告できます。
取引は本来は売り手と買い手が、対等の立場で取引条件を話し合い合意して行うものです。現実には限られた顧客と取引している仕入先は、「受注しなければ経営が成り立たたない」という弱い立場にあります。
そこで国は法律の制定やガイドラインの作成を通じて、不利な立場になりやすい下請企業を支援しています。
こういった国の施策を活用して、公平な取引の実現を願っています。
経営コラム【製造業の値上げ交渉】の記事は下記リンクを参照願います。
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投稿 【製造業の値上げ交渉】19. 下請法や国のガイドラインを値上げ交渉に活かす方法 は 原価計算システムと原価改善コンサルティングの株式会社アイリンク に最初に表示されました。
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